裁決事例 裁決事例集 第22集
要旨
請求人が分配した剰余金は、組合の特殊性から法人税法第61条第1項第1号に規定する「事業分量配当」に当たるとの主張について、同条の趣旨は、事業分量配当金の実質が組合の取引の相手方となった個々の組合員に対する取引についての一種の割引金であることに着目して、特に損金算入を認めているものと解されるところ、本件剰余金の分配は、請求人の組合運営を円滑にならしめるため、配当金を同額として組合員感情の融和を図るためにされたものと認められ、出資配当と解するのが相当であるから、請求人の主張には理由がない。
要旨
物の引渡しを要しない請負による損益は、原則的には役務の提供が終わった時期をもって計上の時期であると解されるところ、本件原石運搬工事の性格及び内容は原石の運搬及びこれに付随する諸作業を契約作業量に見合うだけ反復継続的に提供するものであるから、単位当たりの作業量の検収が、すなわち役務の提供の完了を意味するものであり、これをもって損益計上の基準とすべきものであるので、日々の作業量の検収を基準に、部分的、区分的に役務の提供が完了するものであるとした原処分は相当である。
要旨
課税土地譲渡利益金額の計算上、土地の譲渡等に係る収益の額から控除する譲渡原価は、租税特別措置法施行令(昭和57年政令第72号による改正前のもの)第38条の4第5項第1号イの規定により「当該譲渡に係る土地等の譲渡直前の帳簿価額(当該帳簿価額のうちに各事業年度において支出した利子の額が算入されている場合には、その額を控除した金額)」と定められており、譲渡した土地が棚卸資産である場合には、法人税法施行令第32条“たな卸資産の取得価額”の規定により取得価額とすべき金額を基礎として適法に算定された税務計算上の帳簿価額をいうものと解され、この帳簿価額に販売費が含まれないことは明らかであるところ、本件仲介料はいずれも土地の譲渡に際し、販売委託による仲介料として支出した費用であることは請求人も自認しているところであるから、本件仲介料を譲渡した土地の収益に対応する譲渡原価に含まれないした原処分は相当である。
要旨
請求人が支払った医師等に対する謝礼並びに入院時の新聞購読料、牛乳代金及びテレビ賃借料は、医師による診療等の対価若しくは診療等の直接必要な費用とは認められないから、これらの金額は、所得税法上の医療費とすることはできない。
居住用兼賃貸用資産の譲渡代金と借入金とをもって居住用兼賃貸用資産を取得した場合における借入金利子のうち、賃貸用部分に対応する金額は不動産所得の金額の計算上必要経費に該当するとした事例
裁決事例集 第22集 55頁
要旨
居住用兼賃貸用資産を譲渡し、その譲渡代金と借入金をもって居住用兼賃貸用(貸店舗)資産を取得した場合における当該借入金に係る支払利子については、請求人により特にその賃貸用部分の取得代金が借入金によって賄われたことが具体的に立証されない限り、その全額を不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することはできず、当該取得資産のうち賃貸用部分と居住用部分の占めるそれぞれの床面積の割合に基づいて支払利子をあん分し、そのうち賃貸用部分に対応する支払利子の金額のみを不動産所得の金額の計算上必要経費とするのが相当である。
要旨
原処分庁が請求人の売上除外であると認定した取引は、[1]その販売先がいずれも請求人の得意先であることが認められ、その売上代金の大部分は専務取締役の個人預金に入金されているが、同人はその取引に係る所得について確定申告をしないこと、[2]当該取引の一部について請求人の正規の納品書、請求書、領収書が使用されていること、[3]当該取引の一部は倉庫会社に保管されている請求人の在庫商品を販売したものであること、[4]当該取引が専務取締役の個人取引であることを裏付けるに足りる証拠資料がないことから、専務取締役個人に帰属するものではなく、請求人に帰属するものと認定するのが相当である。
要旨
鉄道用地下トンネルを埋設するための本件区分地上権が設定されている土地を、通常支払うべき権利金を支払わないで賃借した場合における経済的利益の額の算定に当たり、請求人は、本件区分地上権は相続税法第23条に規定する地上権に当たるから、同条の規定によって評価すべきであると主張するが、地上権といわゆる区分地上権については、民法上学説は一致して呼称及び取扱いを区分しており、両者は経済的機能及び法的支配力の面でその性格を異にする独立した別個の権利とされているところ、相続税法においても、地上権なる用語については、まず、民法上の解釈に従うのが妥当であり、さらに、実体に即しても、地上権と区分地上権の権利価額は、両者の質的差異を反映して、明らかにかい離していることが認められるから、本件区分地上権は、相続税法第23条に規定する地上権には含まれず、同法第22条の規定によりその取得時の時価で評価すべきである。
更正決定の処分に当たって、繰延資産の金額に算入された交際費等の金額のうち損金不算入額に対応する部分の金額を繰延資産の金額から減額しなかったとしても違法ではないとした事例
裁決事例集 第22集 248頁
要旨
交際費等の損金不算入額の計算に当たり、原処分庁が支出交際費等の額に含めた本件交際費等の額のうちには、原価算入額が含まれているから、当該金額のうち損金不算入額から成る部分の金額は、税務調整により減額し、所得の金額の計算上損金の額に算入すべきである旨主張するが、原価に算入された交際費等の額のうち損金不算入額に対応する部分を特定することは非常に手数を要することであるので、法人自らの決算又は申告調整において原価に算入しない旨の処理をした場合には、法人の計算をそのまま認めることとしているところであり、原処分庁が更正又は決定の処分を行うに当たって、必ず損金不算入額に対応する部分の金額を原価外のものとして資産の取得価額又は繰延資産の金額を減額しなければならないという性質のものではなく、原処分庁が減額しなかったからといって違法ないし不当というには当たらず、これを違法とする請求人の主張は独自の見解であって採用できない。
要旨
本件取引は、請求人が15億円を返済期間60年の長期貸付けさせることと関連させて、貸付先が請求人に対し土地を期間も同じく60年、大型店舗建設を目的とし賃貸借するものであり、前者の利息債権と後者の賃料債権を同額とし、将来にわたり、これをその都度個々に取り立てるような意思は毛頭なく、全額相殺勘定によることを当然のことと考えていたものであることが明らかであり、本件取引の実情及び契約の細部等に若干の疑問点が認められるものの、いずれの点も前示判断を左右するものではないから、本件取引については受取利息の額を益金の額に算入するのであれば、他方の同額の相対立する支払地代の額も損金の額に算入すべきであり、その一方の受取利息の額のみを益金の額に算入した原処分は失当である。
要旨
代表取締役から取締役への分掌変更に伴い支給した役員退職給与について、[1]臨時株主総会議事録及び取締役会議事録等は、いずれも真正に作成されたものと認められないことから、代表取締役辞任及び本件役員退職給与の支給についての証拠資料とは認められないこと、[2]当該議事録の内容について所定の商業登記がされていないこと、[3]その当時当該代表取締役は高齢であったが、著しく健康を害していたとは認められず、かつ、他に定時株主総会まで従来どおり代表取締役としての執務ができない特段の事情があったと認めるに足りる証拠資料がないこと及び[4]取締役への分掌変更後における報酬の支給状況等からみて、当該取締役が臨時株主総会時において、実質的に退職と同様の事情にあったとは認められないから、当該役員退職金は損金の額に算入することはできない。
要旨
支出した費用が譲渡所得の金額の計算上控除すべき譲渡費用に当たるか否かは、資産の譲渡との関連において、その資産の値上がり益を実現させるための費用性があるか否かによって判断すべきものと解されるところ、他に有利な条件で譲渡するために、いったん締結した土地、建物の売買契約を解約し、その解約に伴って支出した違約金に係る借入金利子は、その元本に当たる支出違約金と同様に本件譲渡との関連において、費用性を有するものというべきであり、譲渡所得の金額の計算上、違約金主体とその支払のために要した借入金利子とを区別して取り扱う理由がない。
したがって、支出違約金に係る借入金利子の額は、本件譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上、譲渡費用の額に算入すべきである。
要旨
本件著作権収入に係る所得税額を損金の額に算入した更正の理由の付記がないことについては、請求人の提出した確定申告書に本件所得税額につき控除を受けるべき金額の計算に関する明細の記載が全くなく、当該所得税額の控除を受ける意思表示がないので、当然に損金の額に算入したにすぎず、このことまでも付記をする必要はないとするのが相当である。
なお、法人税法第68条第4項に規定するゆうじょ規定は、確定申告書に控除を受けるべき金額及びその計算に関する明細の記載がなかったことについて、やむを得ない事情があった場合に適用されるものであって、本件所得税額が法人税の前払いの性格を有することをもって当然に適用されるものではなく、また、外国法人に内国民待遇を付与するために適用されるものでもない。
要旨
本件土地は、請求人の亡父が生前に取得し、所有していたものであって形式上第三者である贈与者の名義にされていたものにすぎないから、請求人に対する名義変更登記の原因が贈与であるとしても、実体は相続により所有権を取得した請求人への真正な登記名義の回復登記であるとの主張について、亡父が本件土地を取得していたことを証明する証拠はなく、当該第三者が本件土地の取得時から請求人に贈与するまでの長期間自己のためにする意思をもって平穏、かつ公然に管理し、その一部は売却するなど使用収益していたこと、また、相続開始から贈与に至るまでの間当該第三者から請求人に本件土地の承継又は引渡しがなされたとする事実もないので、本件土地は贈与登記時に当該第三者から請求人に贈与されたものと認めるのが相当である。
要旨
遺産分割が家事審判に基づく競売による価額分割の方法により行われ、当該分割の対象となった土地の競売代金のうちから取得した遺留分相当額の金員については、相続財産として取得したものであり、譲渡所得の課税対象とはならない旨の主張について、譲渡所得の課税は、譲渡所得の基因となる資産の値上がりによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として、その資産の所有者の支配を離れて他に移転するのを機会にこれを清算して課税する趣旨のものであり、当該金員については、家事審判に基づく競売による価額分割がなされたことによって、その値上がり益の清算が行われたものと認められるから、所得税法第33条第3項に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当するものであり、したがって、原処分は相当である。
要旨
原処分は、役員報酬の額のうち役員2名に対し増額改訂して支給した本件追加報酬について、臨時的給与であるから役員賞与に当たるとして損金不算入としているが、[1]役員両名に対して、昇格した後も昭和51年4月まで昇給の措置が採られていないこと、[2]本件追加報酬が両名の昇格後支給すべきであった増額報酬の追給であることに関しては、請求人の主張、関係者の答述及び実際支給額がいずれも符合していること、[3]一般企業において、役員が昇任若しくは昇格した場合には権限と責任が加重されることから、その対価として当該昇任者等の給与の額を増額するのが経済界の通例であることからすれば、本件追加報酬は実質的にも役務の対価たる性質を有する根拠のある給与と認めるのが相当であり、また、本件追加報酬はあらかじめ定められた支給基準に基づいて、昭和51年5月から昭和52年4月に至る12か月にわたり、役員両名の定額報酬に上積みして各月定額により支給したものであって、定期の給与と認めるのが相当であるから、これは役員報酬として損金の額に算入するのが相当である。
要旨
本件貸金債権は、被相続人が生前において回収不能を理由として40,000,000円の全額を放棄したものであるから、本件貸金債権は本件相続開始時には存在しない旨の主張については、[1]債務者はいずれも被相続人に対して借入金債務のあることを認識していること、[2]本件貸金債権を放棄する旨の意思表示が、被相続人をはじめ当該債権の処分権限を有する者から、本件債務者に対し、本件相続開始前にはなされていないことが認められ、他にこの点に関する主張を認めるべき資料はなく、本件貸金債権に係る回収状況について調査したところによれば、32,500,000円の貸金債権が本件相続開始時において存在していたものと認めるのが相当である。
要旨
懲戒解雇した従業員に対して、地位保全仮処分申請に係る裁判所の決定の履行として支払った金員は、当該決定が懲戒解雇の意思表示の効力を雇用関係存在確認訴訟事件の本案判決確定に至るまで停止させるとともに、本案判決確定まで請求人は当該従業員に対して毎月所定の金員を支払うよう命じていることなどから、請求人と当該従業員との間に雇用関係の存在することが認められるので、所得税法第28条第1項に規定する給与所得に該当するものとすることが相当である。
要旨
国税通則法第38条第1項は、同項第1号に規定する納税者の財産につき強制換価手続が開始された場合において、納付すべき税額の確定した国税でその納期限までに完納されないと認められるものがあるときは、その納期限を繰り上げ、その納付を請求することができる旨を規定しているところ、原処分庁が、本件更正等により納付すべき税額等を請求人がその納期限までに完納することは、請求人の資力の状況等から困難であると認め、本件繰上請求処分を行ったことは、[1]請求人の所有不動産の一部について債権者の申立てにより裁判所が登記原因を競売手続開始とする強制競売申立ての登記をしていること、[2]裁判所は、原処分庁に対し請求人の所有不動産について競売開始を決定したことを原因として、租税債権の有無等の申出を認める催告をしていること、[3]請求人の所有資産にはすべて国税に優先する抵当権が設定されていることなどの各事実に照らし相当であり、手続上の違法は認められない。
要旨
農地法第5条第1項第3号に規定する届出をする上で有利になるという理由で、本件土地を便宜賃貸したところ、本件土地の譲渡に際し、借地人(会社)から借地権を主張されたので底地価額で当該借地人に譲渡した旨の主張は、[1]賃貸の時において借地人が既に倒産していること、[2]当該借地人との間で作成された売買契約書の売主の署名が買主(借地人)の従業員によってなされていることなどの事実に照らし理由がなく、請求人が本件土地を形式上当該借地人から転得したことになっている者に対し直接譲渡したと認めるのが相当である。
要旨
本件建築中の物件は、請求人が転勤前に居住していた旧家屋を、転勤先から戻った後に、建て替えて入居する計画の下に建築中のもので、その建築途中に隣接家屋の所有者から苦情を受け、建築工事を中止したままの状態で譲渡したものであるところ、租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前のもの)第35条第1項に規定する「居住の用に供している家屋」とは、「譲渡の日若しくはこれに近い所定の時期までに、その者がある程度の期間継続して居住する意思をもってこれに居住し、生活の本拠として利用している家屋をいう」と解されることから、本件建築中の物件の譲渡については、居住用財産の譲渡所得の特別控除の規定の適用はない。
要旨
請求人が株主たる地位に基づかないで増資新株の割当てを受けたことについては、当該新株につき額面金額による買戻しの約定又は譲渡制限があったとしても有利な発行価額による経済的利益の享受があったとみるべきであり、当該経済的利益の額の計算の基礎となる新株の価額については、本件株式の所有の実態からみて利益配当がどの程度期待できるかということが主要な価値的判断要素となるから、配当金を一定の利率で還元して元本たる株式の価額を求める配当還元方式により評価するのが客観的で合理的であると認められるところ、その配当率については、増資前2年間の平均175パーセントという高い配当率は、増資後もそのまま継続するという保証のないものであって適当でなく、増資後4年間の平均20パーセントという一般的で将来も期待し得る配当率によるのが相当である。
要旨
給与所得者であった請求人は、年の中途において退職し、その後その年の12月末までに所得がない場合には、退職前の請求人の扶養親族を請求人及び他の納税者のそれぞれの扶養親族としても違法ではないと信じて確定申告書を提出したものであり、扶養控除の額を過大に申告し、不正に所得税額の還付を受ける意思は全くなかったこと、つまり、確定申告書の提出に当たり請求人が所得税法の規定を知らなかったこと、また、原処分庁が請求人に対しその説明をしなかったことをもって、国税通則法第65条第2項に規定する正当な理由となり得ないことは明らかであるから、扶養控除額の減額に基づく修正申告に係る納付すべき所得税額に対して過少申告加算税を賦課決定した原処分は相当である。
要旨
原処分庁は、分筆後の本件宅地の課税標準の金額の認定に当たり、比準すべき類似地として分筆前の土地を選定しているが、登録免許税法施行令附則第3項の後段の規定の趣旨は、本件宅地のように固定資産税評価額のない不動産に係る登録免許税の課税標準の金額について、その近傍類似の不動産に比準して、当該不動産の固定資産税評価額と均衡を失しないように認定すべきものと解されるところ、本件宅地と分筆前の土地は、その沿接する公道の幅員、舗装の有無の状況等、その実態が極めて異なっているものと認められるので、分筆前の土地を類似地として選定したことは相当でない。
要旨
過年度の益金の額に算入した受取利息のうち、制限超過利息を本件調停により残存元本に充当したことに伴い受取利息の額を減額したことが、国税通則法第23条第2項第1号に規定する更正の請求ができる後発的事由に該当する旨の主張について、同項の規定は国税一般についての更正の請求の手続を一般的に定めたものであり、同項各号の一に該当することを理由として更正の請求がなされた場合には、個々の税法の課税要件の実体規定に基づいて課税標準等の変動をどのように取り扱うことが法律の規定に合致するか、その内容をよく吟味して判断すべきであるところ、現行の法人税法は、期間損益課税を建前とし、同法第22条第4項の規定により、一般に公正妥当な会計処理の基準に従って各事業年度の所得の金額の計算をするものとされ、後発的事由が生じた場合には、その事由の発生した事業年度の特別損失として「前期損益修正」の項目で会計処理をすることになり、一般にこの処理が定着しているものとみられるから、このような会計慣行を前提とする法人税法においては、後発的事由が生じたとしても、過年度にさかのぼって所得の金額を修正すべきではないと解するのが相当である。
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