裁決事例 平成12年(2000年)
要旨
請求人は、不動産賃貸に係る土地と建物(マンション)を一括購入し、[1]その減価償却資産となる建物本体の取得価額は、一括購入価額から路線価を基に算出した土地の実勢価額及び建物附属設備の価額を控除した額とし、[2]建物附属設備の取得価額は、一括購入価額から路線価を基に算出した土地の実勢価額を控除した額の30%相当額と主張し、原処分庁は、[3]建物本体の取得価額は、土地と建物の固定資産税評価額の比を一括購入価額に乗じて算出した額とし、[4]建物附属設備の取得価額は、建物本体に含めて計算すると主張する。
審判所において調査したところ、本件賃貸物件は新築マンションと中古マンションであり、新築マンションについては、売主等において土地と建物とに区分経理されているから、建物の取得価額はその金額によることが相当と認められ、また、建築時の工事費の割合が把握できることから、建物本体及び建物附属設備の取得価額は、その工事費の割合を基に計算することが相当と認められる。
次に、中古マンションについては、土地と建物の価額の区分について、その売主等においても把握できず、また、類似譲渡事例等もないところ、相続税評価額や固定資産税評価額等を基に合理的と認められる価額を見積もる必要があるが、固定資産税評価額は同一の機関で土地及び建物の評価を行うものであることなどから、本件においては、土地と建物の固定資産税評価額の比を一括購入価額に乗じて建物の価額を算出し、建物本体と建物附属設備のそれぞれの取得価額については、建築時の工事費の割合が把握できることから、その工事費の割合を基に計算することが相当と認められる。
本件宅地上の建物は相続開始直前において空家であり、賃借人を募集していた等の事実は認められず、その空家の状態も一時的なものとは認められないから、事業用の小規模宅地等の特例の適用はないとした事例
裁決事例集 第60集 567頁
要旨
要旨
- 本件は、原処分調査の過程で請求人が帳簿書類及び証拠資料一切を廃棄したため、事実関係を確認する書類等は存しないこととなったところ、請求人は、本件燃料費及び本件タイヤ費について、[1]いわゆるバッタ屋5者の所在、購入日、購入品目はいずれも明らかでないこと、[2]バッタ屋からの燃料費は安価とはいえないこと、[3]他の業者からの燃料の購入状況からは、本件燃料費に相当する量の燃料が購入されたとは認めがたいこと、[4]タイヤ取引自体は違法ではないにもかかわらず、延21回にわたってタイヤ類を購入したとしながら、タイヤ購入先4者の連絡先も知らないのは不自然であること及び[5]他のタイヤ購入先との取引金額はその都度異なっているにもかかわらず、バッタ屋からのタイヤ購入額の大半が同額であるのは不自然であることから、本件費用は、いずれも架空の費用であると推認するのが相当である。
- 原処分庁は、公表外普通預金に入金した金額は、請求人が関係資料を提示しなかったから、消費税の課税対象とした旨主張するが、これらの入金額は、自動車事故の発生に伴い、保険契約に基づく免責条項に基づき、加害者から直接受領した損害賠償金及び車両事故に伴う休業補償金であるから、いずれも対価性のないものであり、また、関係資料を提示しない場合には、このような対価性のない取引であっても消費税の課税対象とするとの規定は存しないから、本件入金額は、いずれも消費税の課税対象とはならない。
同族会社への不動産賃貸料につき、無利息の保証金に係る経済的利益を加算すると、必ずしも低額でないから、所得税法第157条の適用はないとの請求人の主張が排斥された事例
裁決事例集 第60集 344頁
要旨
請求人は、本件土地の賃貸借に伴って貸付先である同族会社から無利息の保証金を受領しており、この保証金から生ずる経済的利益の額と本件土地の賃貸料を加算すれば、必ずしも低額でない旨主張するが、本件土地の賃貸料は、同地域の他の比準同業者の賃貸料に比し低額であり、請求人が主張する保証金から生ずる経済的利益の額を加えたところで判断しても、低額であることが認められ、所得税法第157条の規定を適用して不動産所得の計算をした原処分は適法である。
要旨
請求人は、平成9年分の所得税に係る重加算税の賦課決定処分が審査請求中であり、充当適状に至っていないから、当該重加算税に平成10年分の所得税の純損失の繰戻しによる還付金等を充当した本件充当処分は違法である旨主張するが、通則法第105条第1項は、国税に関する法律に基づく処分に対する不服申立ては、その目的となった処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない旨を、また、課税処分と充当処分とは、それぞれ別個の目的及び法律効果を有する独立した行政処分であり、その間に違法性が承継されるものではないから、請求人の主張には理由がない。
要旨
請求人は、公共事業の施行に伴いM市から建物等の移転補償金として交付された金額のうち、移転先土地に要した造成費は、移転先土地が田であり、宅地造成しなければ移転できない事情を考慮し、所得税法第44条に規定する資産の移転等の費用とみるべきであり、一時所得に係る総収入金額に算入されない旨主張するが、本件造成費は、工事内容及び工事費の額並びに移転先土地の状況に照らすと、田を宅地化するという土地の価値を高める工事に当たり、結果的にも移転先土地の価値の増加をきたしたものと認められるから、本件造成費は資本的支出に当たるとみるのが相当であり、移転補償金をその交付の目的に従って資産の移転等の費用に充てた以外の金額となり、一時所得の総収入金額に算入される。
要旨
原処分庁は、請求人(コンビニエンスストア経営)が酒類小売販売の営業権を譲り受けた日は、営業権譲渡契約書に「営業譲渡期日は、酒類販売免許変更通知の日とする。」旨記載されていることから、請求人が税務署長から通知を受けた平成9年12月17日となり、営業権の譲り受けに係る消費税は、同日の属する課税期間の課税仕入れとなる旨主張する。
しかしながら、[1]営業権の譲渡者は、請求人が経営する店舗内で平成9年12月31日まで酒類を販売していたこと、[2]請求人が営業権を資産に計上した日及び営業権の譲渡者が営業権の譲渡対価を雑収入に計上した日は、いずれも平成10年1月1日以後であること、[3]店舗内の酒類の在庫の引継ぎは平成10年1月1日に行われていることが認められるから、営業権の譲渡者が店舗内で酒類の販売をしていた平成9年12月31日以前に営業権の引渡しがあったとすることは相当でなく、請求人による酒類の販売が可能となった酒類販売業免許の日である平成10年1月1日を本件営業権の引渡しの日とするのが相当である。
要旨
請求人は、請求人の製品を韓国市場に広めるため、外国子会社を設立、発行済株式の総数を保有して同社との間で業務委託契約を締結し、その契約に基づく役務の提供に対して毎月100万円の業務委託費を支払ったと主張するが、請求人が審査請求に及んで本件業務委託の役務提供の事実を証明する資料として提出した証拠書類は、その資料内容及び業務内容において外国子会社の従業員から同社の社長に対する通常業務の一貫としての連絡、伺いの域を超えない報告書等であることから、外国子会社は、請求人に対し、役務の提供をしていたとはいえず、業務委託費は本件契約に基づく役務の提供の対価とは認められない。
したがって、本件業務委託費は、法人税法第37条第6項、措置法第66条の4第1項及び第3項の規定により、外国子会社に対する寄附金と認めるのが相当である。
要旨
請求人は、土地の買収金額には、請求人に支払義務のない農地転用金が含まれており、農地転用金相当額は実質的には土地の売却収入にはならないから、譲渡所得の計算上、総収入金額から除外すべきであると主張するが、[1]農地転用金の支払義務は、請求人にあると認められること、[2]土地の買収金額に農地転用金が含まれて支払われている事実が認められないこと、[3]譲渡所得の総収入金額は、別段の定めがあるものを除き収入すべき金額によると規定されていることから、譲渡所得の計算上、農地転用金を土地の売却収入から除外する理由がなく、本件土地の譲渡により現実に収受した売買代金43,352,100円を譲渡所得の収入金額であると判断して行った、更正をすべき理由がない旨の通知処分は適法である。
要旨
請求人は、売上計上漏れがあったとして修正申告書を提出しているが、重加算税の賦課決定に対して、[1]売上計上漏れに係る預金口座は本人名義であり、二重帳簿は作成していないこと、[2]税金をごまかす意思はなく単に小遣い稼ぎをしようとしたものであること、[3]調査担当職員に公表外預金口座はないと申述したのは、調査時点では当該預金口座は解約済であったこと、[4]関係書類を全て破棄したとするが、調査担当職員はその事実を確認していないことを理由として、隠ぺい仮装の事実はない旨主張する。
しかしながら、請求人は、[5]得意先に対する請求書を自ら作成して売上金の一部を当該預金口座に入金しており、売上金であることを十分認識していながら記帳担当者に報告していなかったこと、[6]その結果として納税額が過少になることを認識していた、[7]公表の預金口座とは別に請求人名義の預金口座を開設して公表外で管理し、そこに売上金の一部を入金していたことが認められることから、請求人は故意に売上金の一部を隠ぺいしていたというべきであり、原処分は相当である。
要旨
請求人は、[1]消費税等の確定申告についても、法人税と同様に確定申告期限までに請求人の決算が確定しないし、法人税と消費税等の確定申告相互間には両輪若しくは一体の概念があることから、法人税の確定申告書の提出期限の延長が認められた以上、消費税等の確定申告書の提出期限も延長されるべきであり、[2]本件納付税額は、法定申告期限内に納付しており、国に何らの損害も与えていないし、[3]原処分庁は、請求人が法人税の確定申告書の提出期限延長に関する指導を受けた際、消費税等に関連した説明を何ら行っておらず、また、本件納付税額を納付した際においても、原処分庁は納付の事実をもって確定申告書との照合が可能であり、照合の結果、本件確定申告書がその時点で提出されていないのであるから、期限内に提出するよう指導すべきであったにもかかわらず、何らの指導も行っておらず、原処分は信義誠実の原則に反し、不当な処分である旨主張する。
しかし、[4]消費税の納税義務は、課税資産の譲渡等の時に成立しており、確定した決算に基づくことは、消費税等の確定申告の要件とはなっておらず、また、消費税法には、確定申告書の提出期限の延長を認める旨の規定も設けられていない。さらに、法人税法と消費税法とは別個の規定であるから、法人税の確定申告書の提出期限の延長適用の有無が、消費税等の確定申告書の提出期限に影響を及ぼすものでもない。
また、[5]申告納税方式を採用する国税においては、納税申告が納税義務を確定させる重要な意義を有することから、国税通則法第66条第1項の規定は、申告の適正を担保し申告納税制度を確保するために、納税義務者に課せられた税法上の義務の不履行に対する行政上の措置として無申告加算税を課すものであり、このことは、納付すべき税額が法定納期限内に納付されたことにより左右されるものではない。さらに、[6]請求人は、原処分庁が消費税等に関しては確定申告書の提出期限の延長はない等の適切な指導を行っておれば、本件確定申告書を法定申告期限内に提出しており、原処分を避けることができた旨主張するが、申告納税制度の下における確定申告は、本来、納税者自身の判断と責任においてなされるべきであることから、指導がなかったとしても原処分を違法とすることはできない。租税法規に適合する課税処分について法の一般原理である信義誠実の原則の法理の適用により課税処分を取り消すことができる場合があるとしても、租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、信義誠実の原則の法理の適用については慎重でなければならず、信義誠実の原則に反するというには、租税法規の適用における納税者間の公平平等という要請を犠牲にしても、なお当該課税処分を免れさせて、納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合でなければならないと解される。
これを本件についてみると、請求人の主張をもって、上記した特別な事情が存するとは認められない。
したがって、原処分が信義誠実の原則に反し不当であるということはできない。
譲渡代金によって弁済したのは自己の債務であって、保証債務ではないとして、保証債務を履行するために資産を譲渡した場合の譲渡所得の特例の適用を認めなかった事例
裁決事例集 第60集 315頁
要旨
請求人は、本件土地の譲渡代金で返済した借入金について、主たる債務者名義は請求人となっているが、借入金を費消したのも、弁済していたのも請求人の長男であり、実質的な主たる債務者は長男であるから、本件土地の譲渡は保証債務を履行するために行われたものであると主張するが、[1]金銭消費貸借証書上、主たる債務者は請求人となっていること、[2]請求人の長男自身が主たる債務者となることも可能であったのに、そうしていないこと、[3]債権者は請求人に対して貸し付けたものであると答述していることから、この借入金は、請求人が主たる債務者であると認められる。したがって、本件土地の譲渡代金から返済したのは自己の債務であって、保証債務の履行による弁済ではないので、所得税法64条2項の規定を適用することはできない。
要旨
請求人は、株式会社の代表取締役であったが、同社の株主総会の決議に基づき役員報酬を返還したことは、所得税法施行令第274条第2号に規定する事実に該当し、更正の請求ができる旨主張するが、当審判所の調査によれば、本件役員報酬の支給につき、一定の場合は、これを減額し、又は返還するなどの特段の定めがあったとは認められず、結局、請求人は経営上の事情から任意に本件役員報酬を返還したものであり、これは、請求人が会社に対し、その財務体質を改善するため私財を提供する旨の新たな合意がなされたことによるべきであるから、請求人が本件役員報酬を返還したことは、取り消すことのできる行為が取り消されたことによるものとはいえず、同号に規定する事実に該当する旨の請求人の主張には理由がない。
要旨
請求人が、固定資産の取得に係る固定資産税精算金を損金の額に算入して申告したところ、原処分庁は、同精算金は取得した固定資産の取得価額に算入すべきものであり、損金算入できないとして更正処分を行った。これに対して、請求人は、当該申告に際して本来損金算入できる登録免許税及び不動産取得税を固定資産の取得価額に算入したことは会計処理の選択誤りであったとして、当該登録免許税等の額のうち更正処分の額について損金算入を求める更正の請求をしたものである。
しかしながら、請求人は、登録免許税等を固定資産の取得価額に算入することを確定申告において選択しており、当該会計処理に誤りはなかったというべきであり、さらに、請求人が主張する会計処理の選択誤りは、国税通則法第23条第1項第1号により更正の請求が認められる場合に当たらないことは明らかであるから、いずれにしても請求人の主張には理由がないことになるから、当該更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知処分は適法である。
法人税法第81条第4項に規定する「営業の全部の譲渡が生じた日は、営業譲渡について、中小企業等協同組合法の規定に基づき所管行政庁の認可を受けた日後の日であるとされた事例
裁決事例集 第60集 453頁
要旨
請求人は、欠損金の繰戻しによる法人税額の還付請求において、法人税法第81条第4項に規定する「営業の全部の譲渡が生じた日」は、譲受人との間で営業譲渡に合意した仮契約書を取り交わした日である旨主張するが、請求人の事業を規制する中小企業等協同組合法の規定において、営業譲渡については所管行政庁の認可を受けてはじめてその効力が生ずるものとされていることから、請求人の営業の全部の譲渡が生じた日は、所管行政庁の認可を受けた日後、店舗、預金及び固定資産の引渡し並びに従業員の解雇及び再雇用等が行われた日であると認めるのが相当であり、当該日をもって欠損金の繰戻し請求に理由がないとした原処分は相当である
滞納者に対する滞納処分として差し押さえられた滞納者名義の養老生命共済に係る満期共済金の支払請求権及び解約返戻金の支払請求権について、滞納者の父である請求人がした自己に帰属する旨の主張を排斥した事例
裁決事例集 第60集 612頁
要旨
請求人は、本件養老生命共済契約は滞納者の父である請求人が滞納者の名義を借りて契約したものであり、また、共済掛金も請求人が支払っていることから、本件債権(滞納者が契約した養老生命共済に係る満期共済金の支払請求権及び解約返戻金の支払請求権)は請求人に帰属する旨主張する。
しかしながら、当該共済約款によればいずれも滞納者に帰属するものと認められるのであり、仮に請求人主張のものであっても、請求人には虚偽の外形を自己の意思で作出したことが認められることから、民法第94条第2項の類推適用により、請求人は本件債権が請求人に帰属することをもって善意の第三者である差押処分庁に対抗することはできない。
したがって、この点に関する請求人の主張は採用することができない。
要旨
請求人は、法人税の青色申告の承認の取消処分は、請求人に対し事前に説明や予告なしに行われたもので、原処分庁の裁量権を逸脱し、これを濫用して行われたものであり、また通知書に記載された取消し理由が記載されていないので、違法又は不当である旨主張する。
しかしながら、法人税法第127条第1項各号の一に該当する事実がある場合に、実際に青色申告の承認を取り消すか否かは、税務署長の合理的な裁量に委ねられており、その裁量権の行使が社会通念上妥当性を欠き濫用したと認められるときは、当該処分が違法又は不当となると解されるところ、請求人は本件確定申告書のみならず、その前事業年度及び前々事業年度の確定申告書の提出についてもその期限を徒過しており、しかもその徒過した理由が請求人の事務処理の遅れであることから、本件取消処分が裁量権を濫用して行われたということはできない。
また、請求人は、本件確定申告書を、その提出期限の延長申請をすることもなく、当該申告期限までに提出しなかったものであり、この事実は法人税法第127条第1項第4号に規定する取消事由に該当すること、また青色申告の承認の取消手続において、当該処分の相手方に対し事前に説明や予告を行わなければならない旨を定めた法令の規定はないことからすると、本件取消処分は適法である。
要旨
1 地目の判断は、課税時期の現況によって行うのであり、本件雑種地は、一般的には建物の建築が制限されているとはいえ、建築がまったくできないものではなく、その状況は、宅地の状況に最も類似し、山林と明らかにその状況を異にしているから、本件雑種地の価額は、本件雑種地と状況が類似する付近の宅地を比準地として、宅地比準方式により評価するのが相当である。
2 本件雑種地の評価において、50%相当額を控除したのは、本件雑種地は、その状況が宅地に類似しているとはいえ、実際には、都市計画法に基づく利用制限があることを考慮したためであり、相当である。
土地・建物を一括して譲渡した場合において、それぞれの取得価額が不明なときには、[1]先ず建物の取得費をN調査会が公表している着工建築物構造単価から算定し、[2]次いで土地の取得費は、譲渡価額の総額から建物の取得費を控除し、土地の譲渡価額を算定した上で、譲渡時に対する取得時の○○価格指数(住宅地)の割合を乗じて算定した事例
裁決事例集 第60集 208頁
要旨
請求人は、分離の課税長期譲渡所得金額の計算上、本件建物と本件宅地を一括して譲渡し、そのいずれの取得価額も不明である場合の取得日の算定について、次の通り主張する。
本件建物、本件土地及び農地を一括して3,000万円で取得したが、本件建物は老朽化と傷みによってその価値はなく、また農地も利用価値に乏しい無価値のものであり、よって取得価額の全てが本件宅地の価額である。
しかしながら、当審判所の調査によれば、本件建物のうち昭和55年に建設された新建物については、築後4年の経過で損傷もさほど認められないから、価値は現存し、大正6年に建築された旧建物は価値はないが、一部改築部分については、改築を請け負った工務店の金銭出納帳に記載された金額が取得費の額と認められる。
なお、請求人が主張する本件宅地の取得費は、その支払先・支払金額を確認することができず、請求人の主張は認められない。
これらのことから、本件建物の取得費は、取得時期は判明しているが取得価額が不明なもの(新建物)については、N調査会(以下「調査会」という。)が公表している着工建築物構造単価から算定する。また、本件宅地については、譲渡価額の総額から建物の取得費を控除して宅地の譲渡価額を算定したうえで、譲渡時に対する取得時の六大都市を除く市街地価格指数(住宅地)の割合を乗じて算定する。
上記の算定方法は、調査会が公表した数値であり、市場価格を反映した近似値の取得費が計算でき、合理的であると認められる。
要旨
原処分庁は、請求人が、A社から入金した工事代金を、過入金と判断して本件事業年度の売上げに計上しなかったことについて、[1]本件事業年度末までに適正に処理されていれば、当該過入金は当然発生しないこと及び[2]翌事業年度に当該過入金を売上げに計上した際に、小口に区分処理しただけでなくその対応する原価として他の工事原価を計上したことは、通則法第68条第1項の隠ぺい、仮装に当たるとした。
しかしながら、請求人は、本件過入金を本件事業年度においてA社からの売掛金の入金として経理しており、また、翌事業年度には売上げに計上していることから、利益が繰り延べられていることをもって通則法第68条第1項の隠ぺい、仮装に当たるとまでは認められない。また、請求人が、工事原価を付け替えた処理については、当該処理が本件事業年度に係るものでなく、この点については理由がない。
以上により、重加算税の賦課決定処分は、過少申告加算税相当額を超える部分の金額について取り消すのが相当である。
要旨
請求人は、空き家となっていた本件家屋が傷むのを防ぐため、妻とともに本件マンションから本件家屋に転居して住民票を移し、居住の用に供していたので、措置法35条の特別控除を適用できる旨主張するが、[1]本件家屋には、ほぼ同時期から譲受人の娘夫婦が居住していること、[2]本件家屋及び本件マンションの近隣住民らの申述、及び[3]本件家屋及び本件マンションの電気・ガスの使用量などから総合判断すると、請求人が本件家屋を主たる生活の本拠として居住していたとは認められないので、本件特例の対象となる居住の用に供していた家屋には該当しない。
本件土地の取得価額とともに借入金の利子を建設仮勘定に計上しており、新規取得土地等に係る負債の利子の課税の特例の適用上損金不算入金額はないことから、以後の事業年度における累積損金不算入額もないとした事例
裁決事例集 第60集 469頁
要旨
請求人は、本件各事業年度において本件土地の取得価額とともに本件建設仮勘定等に含めて計上していた本件借入金利子の額を、措置法第62条の2(本件特例)を適用して、その後の事業年度である本件事業年度の損金の額に算入すべき旨主張する。
しかしながら、本件特例による累積損金不算入額の適用に当たっては、本件各事業年度及び本件事業年度の確定申告書に本件特例の適用に関する明細書の添付が必要であるところ、請求人の確定申告書にはその明細書の添付がなく、また、その添付がないことについてやむを得ない事情も認められない。
さらに、本件土地は本件特例の対象となる新規取得土地等に該当するのであるが、本件各事業年度において、本件借入金利子の額は損金の額に算入されないで本件建設仮勘定等の資産勘定に計上されていることから、本件各事業年度における本件特例による負債利子の損金不算入額を計算すると、いずれの事業年度においても損金不算入額は算出されず、累積損金不算入額も零円となることから、本件事業年度において本件特例により損金の額に算入される累積損金不算入額もないことになる。
したがって、本件建設仮勘定等に計上していた本件借入金利子の額について、本件事業年度において本件特例を適用して損金の額に算入することはできない。
要旨
本件契約は養老保険契約であり、本件保険金は被保険者である請求人が保険期間満了日まで生存していたことによって支払を受けるべき満期保険金等であることが認められる。
また、据置契約は、本件保険金を原資として、請求人の意思によって新たに締結されたものであり、本件契約とは別個の預金契約であると認められる。
そうすると、本件保険金は、本件契約の保険期間満了後、請求人側に現実に金員が支払われることなく、新たに締結した別個の契約に引き継がれたものにすぎないと認められ、いずれも平成10年中にその支払を受けるべき権利が確定していることが認められるから、平成10年分の一時所得となり、この点に関する請求人の主張は採用できない。
要旨
請求人が作成した輸出承認申請書の記載内容のみをもって、原処分庁は、請求人がフィリピンの現地法人あてに輸出した中古の機械装置は、輸出承認申請書の記載価額148百万円で譲渡されたと認められるから、その対価が増資の支払債務と相殺されているとしても、その譲渡益は111百万円であると主張するが、[1]請求人における当該機械装置の取得価額が72百万円であり、輸出直前の帳簿価額が18百万円であったこと、[2]フィリピン政府の輸入許可が、株式投資のための輸入で為替取引を伴わないものであることを前提としていること、[3]本件機械装置の輸出に関係した荷役業者との通信文書によれば、本件機械装置は現地法人への現物出資資産として手続きが進められてきたことが容易に読み取れるから、本件は、日本における現物出資そのものではないとしても、フィリピン政府当局から指摘された資本金不足を回避するため、本件機械装置の評価額を水増しして増資に係る払込み資産としたものと認めるのが相当である。そうすると、法人税法施行令第38条の規定により、時価を超える払込み価額はなかったものとされるところ、本件機械装置の時価は、その帳簿価額に相当する金額と認められるので、請求人は、この取引による譲渡損益は生じないから、原処分は取り消すのが相当である。
要旨
請求人は、相続した土地区画整理事業施行中の本件土地については、相続開始時に仮換地は行われているものの、事業の遅れから使用収益ができない状況にあるから、評価基本通達24-2により仮換地に基づいて評価すべきではなく、従前の市街化調整区域に存する農地として評価すべきである旨主張する。
しかしながら、評価基本通達24-2の本文及びただし書に定める仮換地の指定がなされている土地に関する評価方法は合理性を有することが認められ、また、審判所の調査によれば、本件土地は、相続開始時点で区画整理事業が進行中で、実際に本件相続開始日のおよそ1年後に造成工事が完了し、請求人に対し使用収益の開始ができる旨通知されている事実が認められることから、同通達に定める評価方法によることは相当であり、請求人の主張には理由がない。
要旨
国税通則法第46条第5項及び国税徴収法第152条には、税務署長等が換価の猶予をする場合には担保を徴さなければならない旨規定されており、国税通則法第50条には、担保の種類として第3号に土地が、第6号に税務署長等が確実と認める保証人の保証が掲げられている。
また、国税通則法施行令第16条第2項は、担保として土地を提供しようとする者は、抵当権を設定するために必要な書類を国税庁長官等に提出しなければならない旨、同条第3項は、保証人の保証を担保として提供しようとする者は、納税保証書を国税庁長官等に提出しなけれならない旨規定している。
これを本件についてみると、次のとおりである。
原処分庁は、請求人から約束手形の提供を受けて換価の猶予をしていたが、その後、さらなる担保として土地の担保の提供において必要とされる抵当権設定登記承諾書等の書類の提出を受けて換価の猶予期間を延長したこと、及び本件訴訟においてこれらの書類の真偽について争われたが真正に作成されたものと認定されたことから、原処分庁のした抵当権の設定に係る手続は適法に行われていると認められる。
また、本件判決において抵当権設定行為が否認されたのは、物上保証人が抵当権を設定するに際して請求人から債務の免除を受けるなどの経済的利益を受けていないことによるものであって、納税保証書を徴さなかったことではないのであるから、原処分庁の手続上の瑕疵によるものとは認められない。
なお、納税保証書は担保提供者たる請求人の意思により提出するものであると解されるところ、既に担保の提供を受けている原処分庁が徴さなければならない理由も認められず、物上保証人による滞納者の租税債務の負担を証する合意書を徴さなければならないとする法令上の規定もない。
平成8年分の所得税の確定申告において、措置法第36条の6第1項の特例の適用を受けた結果、8年分と10年分の所得税の合計額が、適用を受けなかった場合の合計額よりも過大になったとしても、更正の請求はできないとされた事例
裁決事例集 第60集 1頁
要旨
請求人は、平成8年分の所得税の確定申告において特定居住用財産の買換えの特例(以下「本件特例」という。)の適用を選択し、平成10年において本件特例の適用を受けた買換資産を譲渡したが、本件特例の適用を受けた場合の平成8年分と平成10年分の納付すべき税額の合計額が本件特例の適用を受けなかった場合の納付すべき税額の合計額に比較して過大となるから、更正の請求を認めるべきである旨主張するが、本件特例の適用を受けたことにより納付すべき税額が過大であったとしても、このことは、通則法第23条第1項第1号に規定する更正の請求事由に該当しない。
要旨
請求人は、同人を契約者、その妻を被共済者とする生命共済契約により受領した死亡保険金について、本件共済掛金の負担者は妻であるから、みなし相続財産に該当し非課税所得となる旨主張する。
しかしながら、本件共済契約の契約者及び本件死亡保険金の受取人は請求人であり、本件共済掛金は請求人名義の預金口座から口座振替の方法により支払われていることは、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、特に反証のない限り、本件共済契約の契約者である請求人が、本件共済掛金の実質的な負担者であると事実上推定され、当審判所の調査によっても、この推定を覆すに足りる証拠資料は見当たらなかったから、本件死亡保険金は、みなし相続財産には該当せず、非課税所得にも該当しないこととなり、一時所得に該当することとなる。
代理権のない請求人の父に請求人名義の署名・押印をさせ、提出させた本件各修正申告書は無効で重加算税の取消しを求めるとの請求人の主張を認めず、請求人の父の納税申告手続全般にわたる代理権の存在及び同人による隠ぺい仮装行為を認定した事例
裁決事例集 第60集 119頁
要旨
請求人は、調査担当職員が、請求人から代理権を授与されていない請求人の父をして、本件修正申告書に請求人名義の署名、押印をさせ、これを提出させたものであるから、本件修正申告書は無効である旨主張する。
しかしながら、請求人と請求人の父は、平成6年分以降、農業者年金を受給するため、農業所得の申告者の名義を請求人の父から請求人に変えたものの、農作業の従事の状況等確定申告に係る農業所得の金額の計算も、請求人の父が従前と変わらず行っているものというべきであり、さらに、請求人の父は、調査担当職員に対し、請求人名義の貯金通帳を提示し、請求人の各年分の所得税の確定申告書を町役場に赴いて作成、提出し、各年分の確定申告が過少申告となっていたことを自認し、請求人に迷惑を掛けたくないとして、請求人名義の署名、押印をしたこと、本件調査の全過程において請求人の父が対応していたこと、請求人は、農業について父に任せている旨述べたことからすれば、請求人の父は、請求人から、農作業及び確定申告に限って任されていたものとは考えられず、むしろ、農業に係る作業、申告に係る計算並びに確定申告及びその修正までを含めた税務上の全般の事務を任されており、請求人に代わってこれらを行っていたと認めるのが相当であるから、請求人の父が本件修正申告書に請求人名義で署名、押印をして、これを原処分庁に提出した行為の効果は、請求人に帰属するというべきである。
重加算税の制度は、納税者が過少申告をするについて、隠ぺい、仮装という不正手段を用いていた場合に、過少申告加算税よりも重い負担を課することによって、悪質な納税義務違反の発生を防止し、もって申告納税制度による適正な徴税の実現を確保しようとする行政上の措置であり、納税義務者本人の刑事責任を追及するものではないことからすれば、その合理的解釈としては、隠ぺい、仮装の行為に出た者が納税義務者本人でなく、その代理人、補助者等の立場にある者で、いわば納税義務者本人の身代わりとして同人の課税標準の発生原因たる事実に関与し、同課税標準の計算に変動を生ぜしめた者である場合を含むものであり、かつ、納税義務者が納税申告書を提出するに当たり、その隠ぺい、仮装行為を知っていたか否かに左右されないものと解すべきである。
これを認定した各事実に照らし判断すると、請求人の父の行った一連の行為は、国税通則法第68条に規定する隠ぺい、仮装に該当するというべきである。
要旨
請求人らは、相続財産が存在しないのにもかかわらず行われた相続税の決定処分等は無効であり、相続税の納税義務はないから、これに基づいてされた不動産の差押処分は違法である旨主張する。
しかしながら、被相続人に相続財産があることが登記簿上推認され、かつ、相続税の決定処分等について異議申立てもされていないのであるから、同処分等は適法に確定しており、さらに、仮にこれに瑕疵があったとしても、当該課税処分の瑕疵が重大かつ明白で当然無効であるか、権限のある者によって取り消されない限り、滞納処分に影響を及ぼすものではないと解されるところ、本件においては、このような特段の事情は認められないから、請求人の主張には理由がない。
請求人が開設者等として名義貸しした診療所の事業所得が記載された請求人名義の所得税確定申告書の効力及び隠ぺい仮装行為の有無が争われ、請求人の主張を排斥した事例
裁決事例集 第60集 96頁
要旨
確定申告は、納税者の判断とその責任において、申告手続を第三者に依頼して納税者の代理又は代行者として申告させることもできるが、その場合であっても、納税者が第三者に申告手続を一任した以上、その者がした申告は納税者自身が行ったものとして取り扱うべきである。
請求人は、平成5年分については、源泉徴収票を本来の当該診療所事業者(以下、「事業者」という。)らに渡し、平成6年分については、すでに勤務先の病院を退職しているにもかかわらず、確定申告書の用紙及び源泉徴収票を事業者らに渡しているのであって、請求人は、その確定申告手続の代行を事業者らに一任したものといわざるを得ない。
請求人は、事業者らに依頼したのは、その給与所得の申告手続のみであり、本件事業所得の申告手続は依頼していない旨の主張もするが、請求人は、本件事業所得の金額も記載された平成6年分所得税の更正の請求書を提出している上、本件事業所得の申告により高額となった住民税を事業者らに負担させていること、さらに、所得税法第232条第1項の規定により財産及び債務の明細書を提出しなければならないのは総所得金額及び山林所得金額の合計額が二千万円を超える場合に限られるところ、請求人は、平成6年分の所得税について、本件事業所得の金額が加算されたことにより総所得金額が二千万円を超えたとして財産及び債務の明細書を提出していることからすると、やはり請求人は本件事業所得の申告手続についても事業者らに依頼していたというべきである。
請求人は、当該診療所の実質的な経営者ではないにもかかわらず、事業者から開設者及び管理者となることを依頼されて、これを承諾し診療所の開設届を提出して、自ら本件事業所得が請求人の所得であるかのように装っただけでなく、請求人から確定申告手続の依頼を受けた事業者においても、本件事業所得が事業者自身の所得であることを承知の上、当該診療所の事業に係る収入及び経費の管理並びにこれらの入出金を請求人名義の銀行口座を使用して行い、請求人名義で発行された支払基金からの支払調書を添付して、本件事業所得が請求人の所得であるように装って、これに基づき還付金に相当する税額を過大に申告しているのであって、これらのことは、本件各年分において国税通則法第68条第1項に規定する場合に該当する。
要旨
請求人は、相続税の物納による資産の譲渡は、事業としての行為ではなく、かつ、本件マンションは、消費税が非課税とされる住宅の貸付けの用に供していた資産であるから事業資産ではないなどとして、本件物納は、消費税の課税対象とはならない旨主張するが、本件物納は、課税事業者である請求人が不動産貸付業の用に供している本件マンションをもって相続税について代物弁済したものであるところ、代物弁済は、資産の譲渡等に該当し、また、事業の用に供している建物の譲渡は、その譲渡の原因が何であるかにかかわらず、事業活動に関連して行われる資産の譲渡として事業に付随したもので、事業として対価を得て行う資産の譲渡等に該当するものと解されるから、本件物納が、請求人の相続税を納付するためのものであったとしても、消費税法第4条第1項にいう事業者の行った資産の譲渡等に該当するものと認めるのが相当である。
なお、消費税法第6条第1項の別表第一の第1号において、土地の譲渡については、消費税を課さないこととされていることから、本件物納のうち、土地に係る部分については、消費税は課されないこととなり、建物に係る部分のみが消費税の課税対象となる。
期限後に提出された申告書は還付請求申告書に該当するので、更正処分により賦課すべき加算税は過少申告加算税になるとして無申告加算税の賦課決定処分の一部を取り消した事例
裁決事例集 第61集 39頁
要旨
書類の提出等に係る効力の発生時期については、一般には、その書類が税務官庁へ到達した時(いわゆる到達主義)に効力が生ずると解されるところ(民法第97条第1項参照)、納税申告書については、郵便事情等を考慮し、また、納税者と関係税務官庁との地理的間隔の差異に基づく不公平を是正するために、到達主義の例外として、国税通則法第22条で、「納税申告書が郵便により提出された場合には、その郵便物の通信日付印により表示された日にその提出がされたものとみなす。」と規定されているものである。
請求人は、通信日付印が平成12年3月16日であったとしても、同月15日中に郵便ポストに投かんしたものを期限内申告書として取り扱わないのは不合理である旨主張するが、一方で、本件封筒には平成12年3月16日の通信日付印が押印されることを知っており、さらに、国税通則法第22条の規定により、本件申告書が通信日付印の日である平成12年3月16日提出されたものとみなされることを知りながら、本件申告書を本件郵便ポストに投かんしたと認められる。また、当該郵便局では、平成12年3月15日及び同月16日において、平常どおりの業務が行われており、誤って同日の通信日付印が押印された事実は認められない。
そうすると、本件申告書は、国税通則法第22条の規定により、本件封筒の通信日付印により表示された平成12年3月16日に提出されたものとみなすのが相当であり、本件申告書は期限後申告書となるので、本件更正処分は適法である。
なお、請求人は、申告書を3月15日中に郵便ポストに投かんした場合も、時間外収受箱に投かんした場合と同様に、期限内申告書として取り扱うべきである旨主張するが、本件申告書は郵便により提出されたものであるから、原処分庁が、国税通則法第22条の規定に従い、本件申告書を期限後申告書として取り扱ったことは相当であり、この点に関する請求人の主張には理由がない。
本件申告書は期限後申告書であるが、国税通則法第65条第1項に規定する還付請求申告書に該当し、かつ、本件更正処分も還付金の額に相当する税額を減額するものであるので、本件更正処分により賦課すべき加算税は、同項に規定する過少申告加算税ということになる。
ところで、本件更正処分に伴い、国税通則法第66条の規定に基づき賦課した無申告加算税の賦課決定処分については、その適用条文を誤ったものであるが、無申告加算税又は過少申告加算税は共に無申告又は過少申告による申告義務違反の発生を防止する趣旨で課される税であり、本質において変りはないと解される(最高裁昭和40年2月5日第二小法廷判決参照)ことから、無申告加算税の賦課決定処分のうち過少申告加算税相当額を超える部分を取り消すのが相当である。
担保物処分(国税を担保する抵当権の実行)のための差押処分につき抵当不動産の第三取得者に対して民法第378条[滌除の意義]以下に定める抵当権の実行通知をはじめとする諸手続をとらないことに違法はないとした事例
裁決事例集 第60集 36頁
要旨
請求人は、贈与税の納税義務を負っている者から、同人の贈与税額を担保するために、大蔵省が抵当権を設定している不動産を購入した第三取得者の立場にある。
請求人は、原処分庁が右の贈与税を徴収するためにした、担保物処分(国税を担保する抵当権の実行)としての担保不動産の差押処分について、民法第378条[滌除の意義]以下に定める抵当権の実行通知をはじめとする諸手続を行っていない違法があるとして、その取消しを求める旨主張する。
しかしながら、国税担保のための抵当権の実行手続については、国税通則法第52条第1項で「滞納処分の例により処分する」と規定されているのみであり、国税通則法、国税徴収法及びその他滞納処分に適用される法令には、滌除に関する民法の規定を適用ないし準用する旨の規定が置かれていないこと及び右の「滞納処分の例により処分する」の規定の趣旨は、租税の徴収については、租税のもつ特殊性から、迅速かつ能率的に行うため自力執行制度としての滞納処分手続がとられ、民事執行手続によらないとされており、その延長として国税の担保物の処分による徴収も同じ手続で行うことを定めたものと理解でき、国税担保のための抵当権については、滌除に関する民法の規定が適用ないし準用されないものと解することに合理性が認められること等から、原処分は適法である。
要旨
請求人は、消費税及び地方消費税の確定申告書を法定申告期限内に提出しなかった事情として、[1]原処分庁が申告書用紙を送付せず、申告の必要性を知らせなかった、[2]課税事業者の届出書は原処分庁の指導に従っただけであり、その内容を理解していなかった、[3]前年の課税売上高3,000万円以下で無税であったので、本年の課税売上高も3,000万円以下であったため申告の必要がないと考えていたと主張する。
しかしながら、事業者は、消費税法第45条に規定するとおり消費税及び地方消費税については税務署長からの通知、案内等の有無に関わりなく、税額等を記載した申告書を法定申告期限内に提出しなければならないものであり、申告書用紙の送付がないことをもって法定申告期限内に申告書を提出できなかったことの正当な理由にはならないし、課税事業者の届出書の内容を理解せず原処分庁の指導に従って提出したとの主張も正当な理由にはならない。
また、期限後申告書は原処分庁が提出をしょうようした後に提出されたものであるから、「決定があるべきことを予知してされたものではないとき」にも該当しない。
耐用年数省令別表第一に基づき耐用年数を適用する場合には、新たな技術又は素材により製造等されたものであっても、個々の減価償却資産を同表に掲げる「種類」、「構造又は用途」及び「細目」の順に従って同表のいずれに該当するかを判断し、その該当する耐用年数を適用するとした事例
裁決事例集 第60集 387頁
要旨
原処分庁は、本件空調設備のように冷凍機に直結する電動機がない場合には、その冷凍能力を冷凍機の出力として判定すべき旨、また、その場合の冷凍能力は351.6キロワットとなり、耐用年数省令で定める基準22キロワットを超えるから、本件空調設備は「その他の冷暖房設備」に該当し、耐用年数は15年となる旨主張するが、本件空調設備が冷凍機の出力が22キロワット以下の「冷暖房設備」又は冷凍機の出力が22キロワット超の「その他の冷暖房設備」のいずれに該当するかは、「冷凍機の出力」のみを基準として区分しており、「冷凍機の出力」とは、冷凍機に直結する電動機の出力をいうものと解するのが相当であるから、冷凍機に直結する電動機を有しない本件空調設備は「冷暖房設備」に該当し、その耐用年数は13年とするのが相当である。
要旨
請求人は、保証債務が存在していたことは、[1]本件譲渡の話が進んだ平成3年12月に作成した返済予定表及び返済予定表を基に作成替えした連帯借用証書があること、[2]債権者から貸金の返還訴訟等を提起され判決等を受けたこと、[3]保証債務を借入金7,000万円及び譲渡代金3,700万円で返済したこと及び[4]債権者、主たる債務者等の陳述書等があることからも明らかであり、本件譲渡代金は、その全額が直接保証債務の履行に充てられていないが、最終的には本件譲渡代金が保証債務の履行に充てられており、本件特例が適用されるべきである旨主張する。
しかしながら、[5]返済予定表及び連帯借用証書は、本件土地の譲渡の話が平成5年5月にまとまっていることからすると、いずれも日付をさかのぼって作成されたものであり、その連帯借用証書も保証人欄の氏名が追加記載されるなど、その信憑性に欠けるものであること、[6]判決等は、訴訟が欠席裁判であり本件借入金の存在を実質審理されたものではなく、保証債務の存在を仮装するためのものと認められること、[7]保証債務を履行するための借入金については、その調達先が原処分段階から二転三転しており、その決済を現金と主張するのみで具体的に裏付ける証拠書類がないこと及び[8]関係人のいずれの陳述も具体的な証拠書類に基づくものではないことからすると保証債務が存在していたとは認められない。
したがって、請求人のその余の主張を判断するまでもなく本件特例は適用できない。
雇用主が契約した生命保険契約に基づき保険金受取人である被相続人の遺族が取得すべき死亡保険金の一部を雇用主が遺族から贈呈を受けた場合に、その残額はみなし課税財産である退職手当金等に当たるとする請求人の主張がしりぞけられた事例
裁決事例集 第60集 491頁
要旨
- 雇用主が、その従業員や役員のために、これらの者を被保険者とする生命保険契約の保険料を負担している場合において、被保険者の死亡によりその相続人等が死亡保険金を取得したときには、雇用主の負担した保険料はその従業員や役員が負担したものと解し、死亡保険金は相続税の対象とするのが相当である。(相続税法第3条第1項第一号)
しかし、雇用主が、その死亡保険金を退職手当金等として支給することとしている場合には、その死亡保険金は退職手当金等に当たるものと解するのが相当であるが、その判断は、雇用主である企業の定款、株主総会、社内規程、就業規則、労働協約等において、その死亡保険金が退職手当金等として支給されるものである旨の意思が明らかにされているか否か等を考慮して行うのが相当である。 - ところで、J社においては、取締役の退職慰労金について、定款で、株主総会の決議により定める旨規定し、また、役員退職慰労金内規で、その金額は、株主総会において承認された金額又は株主総会の決議に従い取締役会において決定した金額とする旨規定されているにもかかわらず、本件被相続人に対する退職慰労金の支給については、株主総会において何ら決議されておらず、また、本件死亡保険金を退職手当金等として支給する旨の定めもない。
このことからすれば、請求人が本件生命保険契約に基づき取得した死亡保険金は、退職手当金等としては認められないというべきである。 - そして、雇用主たるJ社は、被相続人の生存中に本件生命保険契約を締結し、その保険料を支払うのみで、本件死亡保険金については何ら権利はなく、請求人は、被相続人の死亡により、当然に本件死亡保険金を取得することができるのであるから、請求人が取得した死亡保険金は、その全額が生命保険金として相続税の課税対象となる。
要旨
金銭貸付けに係る所得について、請求人は、貸金業者として登録しており、営業チラシの配布により広く一般の顧客を求めるとともに、人的・物的設備を備えて事業として金銭を貸し付けているので、事業所得に該当する旨主張する。
しかしながら、本件における特定の法人に対する金銭貸付行為は、[1]請求人と当該法人とが特殊の関係にあること、[2]担保を徴していない若しくは担保が形式的で実質を伴わないこと、[3]貸付金利が低すぎること、[4]請求人は、当該法人が市中から借り入れる際に、保証料を得ることなく連帯保証人となっていること、[5]当該法人は自力で市中銀行から融資を受けられる状況になかったこと等を勘案すると、社会通念に照らして営利を目的とした事業として行われているとは認められない。
また、特定の法人以外の者に対する金銭貸付行為は、[6]平成7年分は7名延べ8件の1,600千円であり、平成8年分及び平成9年分は新たな貸付けがないこと、[7]その請求人の平成8年分受取利息の総額は49,497円と少額であること、[8]請求人は、主に給与収入により生活を維持していることなどからすると、貸付口数の多寡、反復継続性等を客観的にみて、いまだ事業規模に達していないとするのが相当である。
したがって、本件金銭貸付けに係る所得(損失)は、所得税法第27条に規定する事業所得には該当せず、同法第23条[利子所得]から第34条[一時所得]までに規定するいずれの所得にも該当しないことから、同法第35条に規定する雑所得に該当し、また、この雑所得の金額の計算上生ずる損失の金額については、同法第69条第1項の規定による損益通算をすることはできない。
要旨
請求人は、ソープランドに勤務する女性に交付した金員が所得税法第72条[雑損控除]第1項に規定する横領による損失に該当する旨主張するが、当該金員の交付については、請求人が別途提起した損害賠償訴訟の判決において、請求人から当該女性に対する贈与である旨判示していることからすれば、当該金員は請求人が当該女性に対して贈与したものと認めるのが相当であるから、当該金員の交付が所得税法第72条第1項に規定する横領による損失に該当する旨の請求人の主張には理由がない。
修正申告書の提出について、国税通則法第65条第5項に規定する「更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当しないとして、これを排斥した事例
裁決事例集 第60集 62頁
要旨
本件修正申告書の提出は、請求人が本件確定申告書の提出に当たり配偶者特別控除の規定の適用を誤ったことに起因し、かつ、当該誤りを是正するために行われたものであって、当初適正であった申告につきその後の事情の変化により過少申告となったことによりされたものではないことは明らかであり、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」がある場合には該当しないというべきである。
また、所得税法は、いわゆる申告納税制度を採用しており、この制度の下では、納税者が自己の判断と責任において、課税標準等及び税額等を法令の規定に従い計算し、適正な申告をすることが求められているのであるから、原処分庁が申告の誤りを確定申告書の提出後直ちに指摘しなかったとしても、そのことで法令の適用を誤った請求人の責任が原処分庁に転嫁されるものではなく、この点に関する請求人の主張には理由がない。
そして、原処分庁は、本件確定申告書の内容を検討した結果、請求人には配偶者特別控除の規定が適用されず、結果として過少申告になっていることを把握し、その是正を行うために請求人に本件はがきを送付し、来署を依頼したこと、その後、原処分庁は、請求人が来署しないため、修正すべき内容を記入した本件修正申告書用紙を請求人に送付し、請求人はこの本件修正申告書用紙に署名押印して原処分庁に提出したことが認められる。
以上の事実によれば、本件において納税者宅に赴く等の直接的な調査までは行われていないが、原処分庁が確定申告書を精査検討して過少申告の事実を把握した事実が認められ、このことは国税通則法第65条第5項に規定する「調査」に該当すると認められるし、また、本件修正申告書の提出は、修正すべき内容を記入した本件修正申告書用紙の原処分庁からの送付を受け、本件確定申告書の誤りを原処分庁から指摘されたことによるものであり、同項に規定する「更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当しないというべきである。
要旨
請求人らは、無道路地に誤って付された路線価に基づき相続税の申告をしたため納付すべき税額が過大となったのであるから、請求人がこの誤りを知ったことをもって通則法第23条第2項に規定する後発的事由による更正の請求を認めるべきである旨主張する。
しかしながら、通則法第23条第2項においては、第1号及び第2号で判決、和解、更正、決定といった外部的ないし客観的な事由を規定し、同項第3号の「やむを得ない理由があるとき」をこれらに類するものとしていることなどから、納税者の主観的な事由をもって、同項の後発的事由に該当すると解釈することはできないというべきである。したがって、「本件土地に平成9年分以降路線価が付されていないことを請求人が知った」という主観的な事由は、通則法第23条第2項のいう「後発的事由」に当たらないから、請求人の主張には理由がない。
要旨
請求人は、本件売上金が計上漏れとなったのは、請求人の事務員が本件売上金を請求人会社の代表取締役からの借入金として誤って経理処理をしたことによる旨主張する。
しかしながら、(請求人の代表取締役名義の)個人預金口座に振り込まれた顧客からの売上代金をそれぞれ請求人貯金口座に振替入金しているが、平成8年1月18日に個人預金口座に入金された本件売上金は請求人の平成8年1月期の売上げに計上しないで、しかも、平成8年2月2日に請求人貯金口座に振替入金後、平成9年1月期において、これを請求人の代表取締役からの借入金として経理処理している。
このことは、請求人が本件売上金が個人預金口座に入金されたことを奇貨として、平成8年1月期においてこれを売上げから除外し、平成9年1月期において借入金に仮装して経理処理したものと解するのが相当である。
ところで、原処分は、請求人の平成10年1月期の修正申告により増加した所得金額を対象としているが、これは、請求人が、[1]平成8年1月期において本件売上金を売上げから除外し、[2]これに基づき、平成9年1月期以降に欠損金を過大に繰り越す確定申告書を提出し、[3]また、上記[1]の行為に基づき、平成10年1月期において、平成8年1月期から繰り越されてきた過大な欠損金を損金の額に算入して過少な所得金額の確定申告書を提出したのであるから、このことは、平成10年1月期において税額等の計算の基礎となるべき事実の一部を隠ぺい又は仮装したところに基づき確定申告書を提出したということができる。
したがって、原処分庁が平成10年1月期を対象として重加算税の賦課決定をしたことは相当である。
非同族会社を基幹とする同族関係法人の株の持ち合いにおける子会社、孫会社の同族法人の判定の結果、請求人は留保金課税の対象となる同族会社に該当するとした事例
裁決事例集 第60集 437頁
要旨
- 留保金課税の適用対象となる同族会社については、法人税法第67条第1項カッコ書により、同族会社であることについての判定の基礎となった株主のうちに「同族会社でない法人」がある場合には、当該法人をその判定の基礎となる株主等から除外して判定するものとした場合においても同族会社となるものに限るとしているので、非同族会社をその判定の基礎となる株主等に選定したことによってはじめて同族会社となる会社(以下「非同族の同族会社」という。)には、留保金課税の適用はないこととなる。
そして、ここでいう「同族会社でない法人」には、非同族会社のみでなく、上記の「非同族の同族会社」を含むものと解される。 - 請求人は、関連会社5社が発行済株式をそれぞれ20%ずつ保有していることから、その3社の持株割合の合計が100分の50以上となるため、法人税法第2条第10号に規定する同族会社に該当する。
さらに、請求人の株主である関連会社5社のうち、非同族会社であるE社及び「非同族の同族会社」であるI社は「同族会社でない法人」であることから、両者を除いた3社の持株割合を合計すると60%である。
そうすると、請求人は、「同族会社でない法人」を判定の基礎となる株主から除外して判定しても、3社の持株割合の合計が100分50以上となるのであるから、法人税法第67条第1項に規定する留保金課税の対象となる同族会社に該当することとなる。
要旨
国税通則法第23条第2項第1号に規定する「判決」は、当事者間に権利関係の争いがあり、その後の判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)により申告等があった当時の権利関係と異なった権利関係が生じたような場合の判決を指し、請求の認諾があった場合もそれが調書に記載されると確定判決と同一の効力を有するので同様であるが、請求の認諾による結果が訴訟当事者間で当初から予定されていたもので、専ら租税負担を回避する目的で実体とは異なる内容のものは含まれないと解されるところ、本件の請求の認諾は、本件贈与税更正処分により、請求人及び贈与者が贈与契約の際に予定していたものより重い納税義務が生ずることが判明したため、本件贈与を実質的に合意解除し、専ら租税負担を回避する目的で錯誤を理由とする本件の贈与の無効確認訴訟を提起したうえで得たもの、すなわち実体とは異なるものであると認めるのが相当であり、また、本件贈与により請求人に生ずることとなった賃貸収入等の経済的利益が請求の認諾があっても消滅していないことも踏まえれば、本件の請求の認諾は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する「判決」に該当せず、本件の更正すべき理由のない旨の通知処分は適法である。
要旨
国税通則法第68条第1項は、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出したときは、過少申告加算税に代え、重加算税を課する旨規定している。
そして、重加算税は、納税義務違反の発生を防止し、徴税の実を挙げるため違反者に対して課される行政上の処置(措置)であり、代理人等の第三者を利用することによって利益を享受する者は、それによる不利益をも甘受すべきであるとの原則が適用されるべきであるから、第三者に申告を一任した場合には、その者の申告行為は納税者自身がしたものと取り扱われ、その者が国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部の隠ぺい又は仮装を行った場合には、納税者本人にもその効果が及ぶと解される。
これを本件についてみると、代理人である税理士の行為は、平成7年分の不動産所得について、本件青色決算書に架空の必要経費を多額に計上することにより、不動産所得に多額の損失があったごとくに見せかけ、その結果として不正に所得税を免れていたと認められることから、税理士に申告手続等を一任した請求人が、課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出したというべきである。
要旨
請求人は、相続財産の管理を委託していたJに、同人への債務を返済するため本件土地を譲渡したところ、同人が、相殺後の残代金を支払わないまま死亡し、その相続人も相続放棄をしたため、本件未収金が回収できなくなったから、所得税法第64条第1項の規定(本件特例)を適用すべきである旨主張する。
しかしながら、請求人は、相殺後の残代金の決済について何年も具体的な取決めをせず、即時に精算を求めていないことからすれば、本件譲渡代金の残代金についてもJに引き続いて管理を委託していたとみるのが相当である。仮に、Jが、請求人名義で預金を管理していたことを請求人が知らなかったとしても、前記認定を覆すものとはいえず、かえって、請求人は、J及びその請求人に対し、貸付金又は預け金として返済を求めていることが認められる。
したがって、本件未収金は、譲渡代金そのものが回収不能となったと見ることはできず、請求人がJに対して有する貸付金ないし預け金の返還請求権について、行使不能となったと認めるのが相当であるから、本件特例を適用する余地はない。
合併の際、被合併法人から上場株式を著しく低い価額で受入れ、作為的に評価差額を創り出した場合には、純資産価額方式による取引相場のない株式の評価上、その創り出された評価差額に対する法人税等相当額を控除することはできないとした事例
裁決事例集 第60集 546頁
要旨
- 被相続人らは、あらかじめA社の子会社であるB社の営業譲渡を行わせ、これにより形骸化した同社の株式すべてをを買収した上、C社を吸収合併する方法によってC社が保有する有価証券のうち、A社の株式を時価に比して著しく低い価額で受け入れ、もってA社の株式の帳簿価額をおよそ20分の1に圧縮し、評価通達に定める純資産価額計算上の評価差額を創り出したものである。
- このような特異な取引が行われたのは、被相続人らがD社の指導の下で、同社の企画を実行したもので、被相続人らの行為は、被相続人の保有するA社の株式についての相続対策を行う目的のみで行われたものであることは明らかである。
評価差額に対する法人税等相当額を控除するのは、個人事業者が個々の事業用資産を直接所有している場合と株式の保有を通じて会社の資産を間接的に保有している場合との均衡を図るものであるが、本件のように租税負担の軽減を図って作為的に評価差額を創り出した場合まで、当該評価差額に対する法人税等相当額を控除することは同通達の趣旨を著しく逸脱するものであって、このような保有形態を利用していない一般の納税者の租税負担を考慮すれば、課税公平の観点からみても、看過し難いものである。
そうすると、本件株式については、評価通達に定める方法によって評価することが著しく不適当となる特別の事情があると認められることから、評価通達6の定めにより合併によって創り出された評価差額に対する法人税等相当額を控除せずに計算した金額が相続税法22条の「時価」に当たると解するのが相当である。請求人らは、客観的価値としての株式の時価を算定するに当たって、法人税等相当額を控除するのは当然であると主張するが、評価差額に対する法人税等相当額を控除して評価するのは、むしろ特殊な条件下における価額を求めるものであるから、かかる事態を本件株式の評価上考慮すべき理由はない。
要旨
請求人が従前勤務していた法人(以下「本件法人」という。)において加入していた適格退職年金制度の掛金等の負担について、退職手当規程上、当該退職年金制度の加入者が定年により退職した場合、退職手当の金額からその基準額の全額を控除すると規定されているのみで、基準額と退職年金制度の原資との関係について明文で定めた規定は見当たらない。
しかしながら、[1]基準額は年金の原資に「移行」することとされていること、また、年金月額の算定方法が基準額の算定方法と相応していることからすると、当該退職年金制度の加入者についてみる限り、その基準額に相応する金額が年金の原資として本件法人により継続的に拠出され年金資産となっているものと解されること、[2]請求人の署名、押印のある退職年金給付申請書をみても、年金についての従業員の拠出総額を零円と記載していること、[3]本件法人の経理処理上も基準額相当額については会社拠出金として処理されていること、[4]そもそも適格退職年金制度においては、退職の際、当該制度の加入者の退職年金の原資となる掛金が加入者に帰属しないことを前提として、退職年金の実際の支給時に課税されていることを考え併せると、本件の年金原資の拠出者(負担者)は請求人でなく、本件法人であると認めるのが相当であり、請求人が受領している退職年金は雑所得の収入金額となる。
請求人が米国の子会社から、株式の償還による金員の支払いを受ける際に、米国において源泉徴収された税について、当該償還金は資本の払戻しであり、米国において源泉徴収された税は法人税法第69条及び同施行令第141条にいう「法人の所得を課税標準として課された外国法人税」に該当しないので外国税額控除は受けられないとされた事例
裁決事例集 第59集 178頁
要旨
請求人は、本件償還金に課された源泉徴収税は、米国歳入法の規定により本件償還金が配当金とされたことにより源泉課税されたものであり、この源泉徴収税は、法人税法施行令第141条に規定する「外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税」に該当し法人税法第69条に規定する外国法人税として外国税額控除の対象となる旨主張する。
しかしながら、本件償還金は我が国においても米国においても減資による払戻しであり、払込金額と同額である本件償還金額は、およそ所得とは認められない。したがって、米国において本件償還金に課された源泉徴収税は、法人税法施行令第141条に規定する「外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税」に該当せず、法人税法第69条に規定する外国税額控除の対象とはならない。
遺産に係る基礎控除額を計算する場合の相続人の数は、実際の相続人について該当する相続人の資格の数によるのではなく、実際の相続人の数そのものによるとされた事例
裁決事例集 第59集 272頁
要旨
民法第5編第2章の各条は、相続人となり得る者の範囲及び要件を規定したものであるが、これを本件相続に当てはめてみると、請求人の場合、いずれにせよ本件被相続人の相続人の一人になるという結論が導かれるにすぎない。
そうすると、相続税法第15条第2項に規定する「相続人の数」とは、民法第5編第2章の規定による相続人に該当する者(人)の数とするのが相当であるから、請求人のように資格重複する相続人であったとしても、相続人の実数が増加するわけではないので、1人として数えることになる。
遺産分割がなされていない場合であっても、配偶者が金融機関から払戻しを受けた法定相続分相当の預金は、配偶者にかかる相続額の軽減の適用上、「分割された財産」として更正の請求の対象となるとされた事例
裁決事例集 第59集 282頁
要旨
相続税法第19条の2第2項は、「分割されていない財産」は配偶者の税額軽減の対象に含めない旨規定しており、また、同法第32条6号は、この「分割されていない財産」が「分割された場合」には、更正の請求ができる旨規定している。「分割されていない財産」を税額軽減の対象としていないのは、配偶者が実際に取得した財産に限りその対象とする趣旨と解され、このことから、この「分割されていない財産」には、配偶者が特定遺贈を受けた財産等、既に配偶者が実際に取得しており、分割の対象とならない財産は含まれない(軽減の対象となる)ものと解されている。
ところで、最高裁判決(昭和29年4月8日第1小法廷判決、昭和30年5月31日第3小法廷判決)によれば、相続財産中に可分債権があるときは、その債権は法律上当然に分割され(分割の対象とならない)、各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するとされているが、他方、家庭裁判所における遺産分割審判においては、遺産全体の分割を円滑に行う等の事情から相続人全員が合意した場合には、可分債権であっても、遺産分割の対象としている取扱いが定着しているものと認められる。そうすると、可分債権であることをもって分割の対象とならないとみることは相当でなく、配偶者が現実に取得していない段階では、相続税法第19条の2第2項に規定する「分割されていない財産」に含まれ、税額軽減の対象とはならないと解するのが相当である。
しかし、預金債権についてみた場合、分割がなされない場合であっても、配偶者がその法定相続分相当について金融機関に払戻請求を行い、実際に払戻しを受けたときには、配偶者はその金員を実効支配をするに至っていることから、その払戻しを受けた預金は、「分割されていない財産」から除外され、税額軽減の対象になると解するのが相当である。
同様に、更正の請求においても、払戻しを受けた法定相続分相当については、「分割された財産」に該当するものとして、更正の請求の対象になると解するのが相当である。
要旨
- 相続税法第7条の規定は、法律的には贈与契約によって財産を取得したものではないが、経済的には時価より著しく低い価額で財産を取得すれば、その対価と時価との差額について、実質的に贈与があったとみることができるので、この経済的実質に着目して、税負担の公平の見地から課税上は、これを贈与とみなす趣旨のものと解される
- このような規定の内容及び趣旨からすれば、被相続人の相続財産を不当に減少させることとはならないとしても、財産の取得が著しく低い対価によって行われた場合に、その対価と時価との差額については、実質的に贈与があったとみなして本規定が適用されることとなる。
- 本件取得日における本件土地の時価は、13,284千円であると認められ、請求人は本件解決金の額4,000千円を支払って本件土地を取得しているのであるから、請求人の土地の取得は「著しく低い価額で財産の譲渡を受けた場合」に該当し、請求人は、時価と本件解決金との差額9,284千円を本件相続人から贈与により取得したものとみなされることとなる。
要旨
評価通達にいう借地権とは借地借家法第2条第1項に規定する建物の所有を目的とする地上権又は賃借権をいい、この「建物の所有を目的とする」とは、借地使用の主たる目的がその地上に建物を建築し、これを所有することにある場合をいうのであるから、借地人がその地上に建物を建築し、所有使用とする場合であっても、それが借地使用の主たる目的ではなく、その従たる目的にすぎないときは、「建物の所有を目的とする」に当たらないと解される。
これを本件についてみると、賃借人は本件敷地を含む本件土地を昭和53年ころから本件相続開始日まで引き続いてバッティングセンター経営の事業用地として利用し、本件待合フロアー等はバッティングセンターと構造上一体となっており、本件建築物はいずれもバッティングセンターの経営に必要な付属建築物として建築されたものと認められるから、本件土地の賃貸借の主たる目的は、バッティングセンターとして使用することにあると言える。
そうすると、賃借人が本件建築物を建築所有していたとしても、それは本件土地をバッティングセンターとして使用するための従たる目的にすぎないというべきであるから、本件賃貸借は、借地借家法第2条第1項に規定する建物の所有を目的とする賃借権に該当せず、したがって、本件敷地には、借地権は存在しない。
遺贈の効力は認められるものの、請求人がその効力の有無について疑問を抱いたとしてもやむを得ない客観的な事情が認められるとして、遺贈に関する調停の成立により国税通則法第23条第2項第1号の規定による更正の請求を認めた事例
裁決事例集 第59集 14頁
要旨
- 本件遺言は、その文言からみる限りでは、[1]財産を与える旨の具体的な記載がないこと、[2]相続財産に属する特定の財産の処分でないこと、[3]本件遺言書の文言からみると継続的に金銭を給付する金銭債権の遺贈ともみられるが、必ずしも十分な記載がないこと、[4]仮に、継続的に金銭を給付する金銭債権の遺贈だとしても、いつまで金銭を交付すればよいのか、何ら給付期間に関する記載がないこと等遺贈としての効力を巡って、判断の分かれる余地が大きいものであると認めざるを得ない。
ところで、遺言の解釈に当たっての基本的な考え方(最判昭和58年3月18日)を踏まえて本件遺言に係る遺言者である被相続人の真意を推認すると、被相続人は、本件受遺者に恩義を感じ、感謝の気持ちから、本件受遺者に相当額の財産を遺贈する意思を有していたことは確実であり、本件遺言は、本件受遺者を信頼し、屋敷、墓等の管理を依頼するため、将来にわたり受遺者の生活を安定させ得る程度の金銭を取得させる意図の下に記載されたものと認めるのが相当である。
したがって、このような被相続人の真意を踏まえれば、本件遺言は、単なる被相続人の希望の表明と解するのは相当でなく、毎年金銭を継続的に給付することを内容とする金銭債権の遺贈と解するのが相当である - 請求人は、相続税の期限内申告の時点で既に承知していた本件遺言書の内容に基づき、本件受遺者に対して実現すべき金銭債権の相続開始時の価額を評価し、それを相続財産の価額から控除して課税価格を計算すべきであったにもかかわらず、これをしなかったにすぎないのであるから、本件調停の成立によりその具体的な内容が確定したことを理由として、当然に国税通則法第23条第2項第1号の規定による更正の請求ができると解するのは相当ではない。
しかしながら、遺言の解釈において、結果的には遺贈の効力を認めるべきではあるものの、納税者がその効力の有無につき疑問を抱いたとしてもやむを得ないと認められる客観的な事情が認められることにより、申告等の時点において、遺贈の実現義務の負担を確実には予想し得ず、相続財産の価額からその義務の金額を控除しないところにより課税価格を計算したことにつき納税者に責めを負わせることが酷と認められる事情が存する場合には、国税通則法第23条第2項第1号の規定による更正の請求を認めるのが相当である。
本件遺言については、文言からみる限りでは、遺贈としての効力を巡って、判断の分かれる余地の大きいものであると認められ、原処分庁も、不確実なもので、そもそも遺言としての効力はないとの判断にたっていることを踏まえれば、請求人が、期限内申告の時点において、遺贈の実現義務の負担を確実には予想し得なかったとしてもやむを得なかったものと認められる。
したがって、本件更正の請求は、国税通則法第23条第2項第1号に該当し、適法なものと解するのが相当である。
遺贈に対して遺留分による減殺請求がなされている場合であっても、各共同相続人の取得財産の範囲が具体的に確定するまでは、受遺者の課税価格はそれがないものとして計算した金額によるとされた事例
裁決事例集 第59集 262頁
要旨
- [1]請求人は、平成9年8月20日、家庭裁判所の遺言の検認の際、「遺言書の筆跡は、遺言者のものだと思います。名下等の印影も、遺言者が使用していた印章によるものに間違いありません。」と陳述していること、[2]請求人は、本件遺言に係る遺贈の放棄をしておらず、他の相続人からされている遺言無効及び相続欠格の主張を争っていること、[3]本件遺言の効力及び相続欠格事由の有無については、他の相続人から裁判外において主張されているにすぎず、訴え等の提起はされていないことを考慮すれば現時点においては本件遺言は有効であり請求人は相続欠格者でないことを前提として、その課税関係を判断するのが相当である。
- 遺留分減殺請求がなされていても、各共同相続人の取得財産の範囲が具体的に確定するまでは、その遺留分減殺請求がなかったものとして課税価格を計算するのが相当であると解され、そのように解しても、取得財産の範囲が具体的に確定した際には、相続税法第32条の更正の請求、同法第30条又は第31条の期限後申告又は修正申告、同法第35条の更正等による是正手段がある以上、不都合はない。
合併存続法人に生じた欠損金額を被合併法人の所得金額を対象として欠損金の繰戻請求を認めるべきであるとの請求人の主張に対して、合併存続人と被合併法人では法人格が異なることから還付請求は認められないとして、これを排斥した事例
裁決事例集 第59集 191頁
要旨
商法第103条[合併の効果]は、吸収合併の場合、合併存続法人が被合併法人の権利義務を承継する旨規定しているところ、この合併により合併存続法人が承継する権利義務は、被合併法人の私法上の実質的な積極的、消極的財産であって、計算上の数額である資本や各準備金、あるいは単なる経理計算関係などはこれに該当するものではなく、また、被合併法人の公法上の権利義務が合併存続法人に承継されるかどうかは、当該公法上の権利義務の性質によって個別に検討されるべきものである。
そして、法人税法第81条第1項の規定は、法人税は各事業年度ごとに所得金額を算定し、これによって課税する原則の例外として青色申告法人に限り欠損金の繰戻しの制度を認めているものであるが、前述のとおり計算関係にすぎない合併存続法人の欠損金が合併の効果として合併前の被合併法人に当然に及ぶと解することはできず、その繰戻しが認められるためには法人税法上、別段の根拠が必要であると解される。しかしながら、同条の欠損金の繰戻し制度について、合併後の合併存続法人の欠損金につき、合併前の被合併法人の所得についてまで及ぶことを認めた規定はない。
また、この制度は各事業年度ごとの所得によって課税する原則を貫くと各事業年度を通じて所得計算をする場合に比して、税負担が加重となる場合が生ずるので、これを緩和して当該法人の企業活動の健全を期待保障しようとするものであるから、この趣旨からして欠損金の繰戻しが許されるには当該法人が人格の同一性を保っていることを前提とするものと解されるところ、合併存続法人と被合併法人は人格の同一性を保っているということはできないことから、請求人の主張を認めることはできない。
土地がいわゆる公図混乱地区に所在し、その地積の確定は測量が完了するまではできなかったとしても、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由に当たらないとした事例
裁決事例集 第59集 37頁
要旨
請求人らは、本件更正処分による納付すべき税額の計算の基礎となった事実が当該更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったのは、やむを得ない事情によるものであり、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由がある旨主張するところ、本件土地が公図混乱地区にあったため、その地積の確定には相当の時間を要し、現に原処分庁が本件更正処分をした時点において、本件土地の測量が完了していなかったことは認めることができる。
しかしながら、過少申告加算税が、過少な申告という事実のみをもって賦課されるものであることに照らすと、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由があると認められる場合とは、税法の解釈に関して申告当時に公表されていた見解がその後改変されたことに伴い修正申告をした場合など、申告当時に適法とみられていた申告が、その後の事情の変化により、納税者の故意過失に基づかないで過少申告となった場合のように、過少申告をしたことが真にやむを得ない理由によるもので、かかる納税者に過少申告加算税を課すことが不当又は酷になる場合を意味するものと解するのが相当である。
本件において、請求人らは、当初、本件土地の一部について、その登記名義が被相続人であるにもかかわらず、これを相続財産として申告しなかったばかりか、本件土地の地積は不動産登記簿上の地積とも、本件貸付台帳上のそれとも異なることを認識しながら、あえて当該貸付台帳上の地積等に基づいて本件申告をしたのであり、本件土地が公図混乱地区にあり、また、その地積を確定した上で修正申告をする予定である旨を調査担当職員に告げていたとしても、請求人らは、本件申告時において、本件土地の地積が本件申告に係る地積の範囲内であり、これを超えるものではないことを客観的に裏付ける事実を認識していたものということはできないのであるから、正当な理由があるとは認められない。
要旨
国税徴収法第39条に規定する「著しく低い額の対価」と認められるか否かは、結局、その財産の種類、数量の多寡、時価と対価との差額の大小、その他諸般の事情を総合的に考慮して、時価(通常の取引価格)に比較して社会通念上著しく低い額と認められるか否かにより判断するほかなく、不動産のように、時価が必ずしも明確でなく、人により評価を異にする値幅のある財産については、国税徴収法基本通達第39条関係6の注書の1に定めるように、時価のおおむね2分の1に満たない額をもって、著しく低い額による対価と解するのが相当である。
これを本件についてみると、本件不動産の譲渡時における時価は、当審判所の依頼した不動産鑑定士の鑑定の結果によれば165,000,000円と評価されており、その手法及び過程において特に不合理な点は認められないから、これと同額と認められ、他方その対価は100,000,000円であり、当該対価は時価の約61%とその2分の1を相当上回っている。その上、当審判所の調査によれば、請求人は、納税者から、このままでは税金の納付や借入金の支払ができないと懇請されて、やむを得ず、需要の低い転売の見込みもない本件不動産を譲り受けることとし、実際、現在にいたるまで転売もしていないのであって、このような状況を考えると、本件対価とその時価との差額が65,000,000円に及ぶからといって、請求人に補充的を負わせなければ公平の理念に反するとはいえない。また、原処分庁の主張するように当該譲渡につき詐害行為に該当する行為があるとしても、第二次納税義務は、詐害行為取消権と制度の趣旨及びその要件、効果を異にしているので、そうであるからといって当然に第二次納税義務を負うことにはならない。したがって、本件譲渡は「著しく低い額の対価による譲渡」に該当せず、請求人に対してなされた第二次納税義務告知処分は違法であるから、その全部を取り消す。
株式方式によるゴルフ会員権が取引市場において下落した場合であっても、発行法人の資産状態が著しく悪化したものではないとして損金算入を認めなかった事例
裁決事例集 第59集 172頁
要旨
請求人は、本件株式のゴルフ会員権売買市場における取引価額が下落したことは、当該株式の発行法人の土地及び借地権の価額等の下落が主たる要因でその資産状態が著しく悪化したことは明白であり、本件評価損は施行令第68条第2号ロの規定に該当すると主張するが、本件株式はGゴルフクラブの会員権としての地位を表章しているものであるところ、そのゴルフ会員権売買市場における取引価額は、ゴルフ場の施設利用権としての価値の上下を含む需要と供給の関係で成立するものであるから、その取引価額が下落したことをもって直ちに、発行会社の資産状態が著しく悪化したことを意味するものではないし、また、当審判所の調査によっても、発行会社の資産状態が著しく悪化したとの事実を認めることができず、施行令第68条第2号ロに規定する「有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化した」ことには該当しないから、請求人の主張は採用できない。
過誤納金全額を請求人に還付しながら、その2年後に延滞税の督促処分をしたことは信義則に反するとの請求人の主張に対して、請求人が特段の不利益を受けたわけではないとして、これを排斥した事例
裁決事例集 第59集 56頁
要旨
国税通則法第37条第1項は、納税者がその国税を納期限までに完納しない場合には、税務署長は、その納税者に対し、督促状によりその納付を督促しなければならない旨規定する。
ところで、本件延滞税の額は、本件相続税の法定納期限の翌日である平成8年2月20日から、本件修正申告に係る相続税の納期限である同年11月6日までの期間の日数261日に応じ、当該修正申告により納付すべき本税の額380,000円(ただし、国税通則法第118条第3項の規定により10,000円未満の端数を切り捨てた後の金額)に年7.3%の割合を乗じて計算した19,800円(ただし、同法第119条第4項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後の金額)であること、そして、上記納期限を経過した後の平成11年6月25日現在、この19,800円の全額が未納であったことが認められるから、当該金額について同日付でなされた本件督促処分は適法ということになる。
もっとも、請求人は、国税通則法第57条第1項の規定によれば、原処分庁は本件過誤納金を本件延滞税に充当すべきところ、これに反して当該過誤納金の全額を請求人に還付しながら、それから2年も経過した後に本件督促処分をしたのであって、このことは信義則に反する旨主張する。
確かに、国税通則法第57条第1項は、税務署長は、還付金又は国税に係る過誤納金(以下、「還付金等」という。)がある場合において、その還付を受けるべき者につき納付すべきこととなっている国税があるときは、還付に代えて、還付金等をその国税に充当しなければならない旨規定するところ、請求人には、上記のとおり、平成9年9月18日現在、納付すべきこととなっている本件延滞税があったのであるから、原処分庁としては、本件誤納金を本件延滞税に充当すべきであり、にもかかわらず、当該過誤納金を請求人に還付したことは上記規定に反すると言わざるを得ないのであるが、過誤納金の還付と督促処分とは別個のものであるから、当該還付が違法に行われたからといって、本件督促処分が当然に違法、不当となるわけではない。
また、信義則が租税法律関係にも適用される法原則であるとしても、本件過誤納金を本件延滞税に充当することなく、これを請求人に還付したからといって、これをもって、原処分庁が、当該延滞税の納付を督促しない旨を公的に表明し確約したものということはできないし、請求人も、本件督促処分によって、本来納付すべき本件延滞税を納付しなければならないというにすぎず、当該延滞税の納付の督促はないと信頼し、これに基づいて何らかの行為をしたために特段の不利益を受けたわけでもないのであるから、本件においては、租税法律主義の原則や納税者の平等、公平の要請をおいてまで、請求人の利益を保護すべき特段の事情はないというべきである。
したがって、請求人の主張には理由がない。
要旨
請求人は、ワラントの権利行使期間が徒過し失効したことによる損失(以下「失効損失」という。)について、ワラントを著しく低い価額で譲渡した場合の取扱い及び法人税法における損金算入との取扱いとの課税の公平から、他の株式等に係る譲渡所得の金額の計算上、取得費又は譲渡費用として控除すべきである旨主張する。
しかしながら、ワラントの失効とは、権利行使期間の徒過により、発行会社の株式を一定の条件で購入することのできる権利が消滅することであって、資産の譲渡には該当しないものであるから、ワラントの取得価額を他の株式等に係る譲渡所得の金額の計算上、取得費又は譲渡費用として控除することはできない。
また、所得税法には、法人税法の取扱いを準用する旨の規定はないことから、請求人の主張には理由がない。
請求人(弁護士)が妻(税理士)に支払った税理士報酬の額は必要経費に算入されず、請求人の必要経費の額は、妻がその税理士報酬を得るために要した費用の額となると判断された事例
裁決事例集 第59集 75頁
要旨
所得税法第56条の規定により、請求人が営む弁護士業から請求人と生計を一にする親族である税理士業を営む妻に支払われた税理士報酬の額は請求人の事業所得の計算上必要経費に算入されず、請求人の事業所得の計算上必要経費に算入される金額は、妻が請求人から本件税理士報酬を得るために要した費用の額となる。
なお、本件の場合、その費用の額が明らかでないが、その金額は、妻の事業所得の必要経費の額に、その総収入金額に対する本件税理士報酬の額の占める割合を乗じて算出した金額を請求人の弁護士業に係る必要経費と認定することが相当である。
登録免許税法第28条1項の規定に照らせば、登記を了したからといって、登録免許税の課税標準等が正当と認定されたことにはならず、登記後に税務署長に納付不足の通知を行うことは課税の公平等に反するとはいえないとした事例
裁決事例集 第59集 391頁
要旨
- 登録免許税が自動確定方式の国税であることと、登記機関が、この方式により確定した税額の全部又は一部が納付されていないとして税務署長にその旨を通知することとは相反するものではないし、これが課税の公平等に反するともいえない。
- 登録免許税法第28条第1項及び第29条第1項の規定に照らせば、登記官が、本件登記の申請に対し、同法第26条第1項の通知をせず、納付不足を理由に登記申請を却下することもしないで本件登記を了したからといって、登記申請書に記載された登録免許税の課税標準の金額及び税額が正当と認定されたことにはならない。
- なお、本件土地については、登記申請日現在、台帳価格がなかったのであるから、その価額は、本件土地に類似する土地の台帳価格を基礎として本件登記官が認定した価額となる。
本件登記官は、「旧5番4の土地」を本件土地に類似する土地とし、その平成10年度の台帳価格を基礎として本件土地の価額を認定しているが、これらの土地は、その形状に若干の違いはあるものの、ともに宅地で、面積もほぼ等しく、かつ、道路との位置関係や地理的条件も同一であることが認められるから、本件登記官の認定は相当である。 - 国税通則法第75条第1項の規定によれば、不服申立てができるのは、国税に関する法律に基づく処分に限られるところ、延滞税は、同法第60条1項各号に規定する所要の要件を充足することによって、法律上当然にその納税義務が成立し、成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税であって、上記の国税に関する法律に基づく処分により確定するものではないから、本件延滞税に関する審査請求は、対象となる処分が存在しないにもかかわらず、なされた不適法なものである。
合併無効の判決が確定しても遡及効はないから当該合併により発生したみなし配当には何ら影響がなく、更正の請求の要件を充足していないとして、請求人の主張を排斥した事例
裁決事例集 第59集 28頁
要旨
商法第110条は、「合併を無効とする判決は合併後存続する会社又は合併に因りて設立したる会社、其の社員及第三者の間に生じたる権利義務に影響を及ぼさず」としており、合併無効の判決が将来に向かって合併を無効とする効力を有するに止まり、合併のときにさかのぼって合併を無効とするものではないことを規定している。
そして、当該判決によって、合併後存続する会社又は合併によって設立した会社は、無効判決確定のときに将来に向かって合併前の数社に分けられ、同時に合併により消滅した会社は、将来に向かって復活することになる。
また、上記規定は、商法第415条第3項において、株式会社に準用する旨規定しているから、ここにいう社員には株式会社における株主が含まれると解されている。
これを本件についてみると、本件合併は、本件判決により無効とされ、そのことが確定したのであるが、本件判決の確定日の前日である平成11年4月3日までは有効であったのと同様にその効力を保持していたものであり、当該確定日以後において、合併前の状態に回復され、解散会社も当該確定日から将来に向かって復活するにすぎないのである。
そうすると、本件合併は、合併の日にさかのぼって無効となるのではないから、当該合併に基づき行われた株式の割り当て交付及びそれによって発生した本件みなし配当には何ら影響がないといえる。
したがって、本件判決の確定は、国税通則法第23条第2項第1号にいう「その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定した」ことには該当せず、更正の請求の要件を充足していないというべきである。
後発的事由(判決)に基づく更正の請求に対して、請求人が申告当時、課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に変更を来すことを予想し得たとして、重加算税の賦課決定処分を認容した事例
裁決事例集 第59集 1頁
要旨
国税通則法第23条第1項に規定する期限徒過後に、課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えに対する判決により当該事実が申告と異なることとなった場合、納税者において、申告当時に、課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に変更を来すことを予測し得た場合においては、同条第2項第1号に規定する判決には当たらないと解すべきである。
これを本件についてみると、請求人は、相続財産である宅地及び建物を単独相続するに当たり、未分割の相続財産である本件小作権を将来解約する場合には、これに係る本件補償金を相続人全員に分配することを他の相続人らに約束し、さらに本件補償金を受領した当時においては、これを他の相続人らに分配する意思があったにもかかわらず、それを誠実に履行しなかったために、他の相続人らから本件小作権に係る遺産分割の調停の申立て及び不当利得返還請求等各訴訟が順次提起され、本件判決が確定して、本件補償金のうちの他の相続人らの相続持分に相当する金員を支払ったものであると認められる。
そうすると、本件補償金に係る譲渡所得の確定申告時である平成3年3月の時点において、請求人は、本件補償金は他の相続人らにも分配しなければならないことをすでに認識していたこと及び本件小作権に係る訴訟が係争中であったことなどからみると、請求人は、本件補償金のうち、自己の相続持分に相当する金額のみが自己に帰属するものであることを十分に認識していた上、仮に、本件補償金の全額が自己に帰属するものとしてこれに係る譲渡所得の確定申告をすれば、後日、当該申告に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に変更を来すことを確定申告時には十分に予測し得たものと認められるから、本件判決は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決には当たらないといわざるを得ない。
したがって、本件判決を理由として本件更正の請求はできないから、本件通知処分は適法である。
要旨
- 請求人は、本店ビルの新築工事に際し、財団法人H機構(以下「H機構」という。)が共同事業者として参加したのは、H機構の成立経緯等から共同事業という法律的形式をとらざるを得なかっためであり、H機構が負担した共同事業に係る分担金の経済的実質は資金融資であるから、本店ビルの建築中にH機構に対して支払った建中金利相当額は、支払利息である旨主張する。法律的形式と経済的実質とが異なるような場合には、単に当事者によって選択された法律的形式だけでなく、その経済的実質をも検討すべきことは当然であるが、当事者によって選択された法律的形式が経済的実質からみて通常採られるべき法律的形式と明らかに一致しないものであるなどの特段の事情がない限り、当事者によって選択された法律的形式は、原則として経済的実質をも表現しているものと解される。
そこで、H機構との取引についてみると、法律的形式は、H機構が本店ビルの建築費の一部を負担して共同事業者として参加し、本店ビルの竣工後に共有持分を請求人に譲渡したものであるが、この法律的形式が経済的実質からみて通常採られるべき法律的形式と明らかに一致しないものとは認められない。そうすると、請求人には特段の事情は認められず、H機構との共同事業の法律的形式は経済的実質をも表現していると認められる。 - 請求人は、本店ビルの新築工事に際し、その共同事業者であるH機構が負担した共同事業に係る分担金の実質は資金融資であるから、本店ビルの建築中にH機構に対して支払った建中金利相当額は、支払利息である旨主張するが、H機構との共同事業協定書、建物延払条件付譲渡契約書等の各契約内容及びH機構の答述等を勘案するとH機構は本店ビルの建築費の一部を負担して共同事業者として事業に参加し、本店ビルの竣工後にH機構の本店ビルの共有持分を請求人に譲渡したものと認められること及び共同事業協定書等には、建中金利相当額はH機構の本店ビルの共有持分の譲渡代金の前払金であることが明記されていることから、共同事業に係る分担金は本店ビルの建築費であり、建中金利相当額は本店ビルの取得代金であると認めるのが相当である。
相続税法第34条第1項の連帯納付義務は、各相続人の固有の相続税の納付義務の確定に伴い法律上当然に確定し、直ちに連帯納付義務者に対し徴収手続を行うことができ、また、補充性が認められないから、本来の納税者に対する徴収手続を尽くさないでされた連帯納付義務についての督促は不当であるとの請求人の主張には理由がないとした事例
裁決事例集 第59集 344頁
要旨
請求人は、原処分庁が滞納者に対する滞納処分を十分に行っておらず、誠実な職務を遂行しているとはいえないこと及び本件滞納国税の負担を請求人に一方的に求め、租税負担の公平性を阻害していることから、本件督促処分は不当である旨主張する。
しかしながら、相続税法第34条第1項に定める連帯納付義務は、相続税の徴収の確保を図るために相互に各相続人に課した特別な責任であり、その確定は各相続人の固有の相続税の納付義務の確定という事実に照応して法律上当然に生じるものであるから、各相続人の固有の納税義務が確定すれば、直ちに連帯納付義務者に対して徴収手続を行うことができ、また、国税徴収法第32条以下に規定されている第二次納税義務のような、本来の納税義務者に対する滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合に限って滞納国税の納税義務を負担するという補充的な性格を持つものではない。
したがって、原処分庁が請求人に対し本件滞納国税に係る連帯納付義務の履行を求め徴収手続を進めたとしても、これが本来の納税者である滞納者に徴収手続を尽くした後でなければできないというものではないことから、請求人の主張には理由がない。
いわゆるエスクロー契約により、株式及び新株引受権の売買契約によって生ずる売主の補償責任の履行を担保するため売買代金の一部を第三者に1年間預託する方法で取引がされた場合、当該預託された売買代金相当額は、株券等の引き渡し時の総収入金額に計上すべきこととされた事例
裁決事例集 第59集 99頁
要旨
請求人らは、本件エスクロー資金は売主の補償責任を担保するため第三者に預託されたものであり、エスクロー期間が終了する平成10年3月14日まで受け取ることができる金額が確定しないから、平成9年分の譲渡所得に係る総収入金額に該当しない旨主張するが、所得税法第36条第1項による総収入金額の計算上、資産の譲渡に基づく収入金額は、当該資産の所有権その他の権利が相手方に移転した日の属する年分の総収入金額に算入すべきものと解するのが相当とするところ、請求人らが認めるように、本件株券は、買収契約書により平成9年3月14日に買主に引き渡されているのであるから、本件エスクロー資金を含む譲渡価額の総額は、平成9年分の譲渡所得に係る総収入金額に該当する。
滞納会社に対する滞納処分として差し押さえられた請求人名義の定期預金の払戻請求権について、預金の原資となっている滞納会社から振り込まれた金員は請求人に対する役員報酬ということはできないこと等から、滞納会社に帰属すると認めるのが相当であるとした事例
裁決事例集 第59集 450頁
要旨
請求人は、同人名義の本件定期預金口座に係る払戻請求権は請求人に帰属しており、これが滞納会社に帰属するものとしてなされた本件差押処分は違法である旨主張する。
本件定期預金口座は、滞納会社から請求人名義の普通預金口座(以下「本件普通預金口座」という。)に振り込まれた金員(以下「本件金員」という。)により開設されたものであることから、まず、本件普通預金口座の預金者について検討すると、[1]請求人は、本件金員は請求人が滞納会社から支給を受けた役員報酬である旨主張するが、請求人が滞納会社に対し役員としての役務を提供した事実は認められず、本件金員が役員報酬であると認められないから、本件普通預金口座は、滞納会社の出捐によって開設されたものというべきであり、また、[2]本件普通預金口座の開設手続等は、滞納会社の実質的経営者の指示でその社員が行っていたこと及び本件普通預金口座の届出印は滞納会社によって管理保管していたことが認められることから、本件普通預金口座は、滞納会社が自らの預金とする意思で開設したものというべきであり、したがって、本件普通預金口座の預金者は請求人ではなく滞納会社というべきである。
次に、本件定期預金口座の預金者について検討すると、本件定期預金口座の届出印には請求人の印章が用いられており、このことからは、本件定期預金口座は請求人が自らの預金とする意思で開設したとみる余地もある。しかしながら、その原資となった本件普通預金口座の預金者は元々請求人ではないし、本件定期預金口座の開設に当たり、滞納会社が請求人に対し本件普通預金口座に係る払戻請求権を譲渡した事実も、請求人が本件普通預金口座から払戻を受けた金員を自己のものとした上、自らの預金とする意思で本件定期預金口座に入金したなどの特段の事情も認められないことから、本件定期預金口座の預金者は、やはり滞納会社というべきである。
したがって、本件定期預金の払戻請求権は、請求人ではなく、滞納会社に帰属するものであり、請求人の主張には理由がない。
公売手続の取消しを求める本件審査請求は、国税徴収法第171条第1項第3号に規定する不服申立期間を徒過しているが、公売通知書に不服申立期間の教示を欠いたため瑕疵があり救済されるべきであるとの主張が排斥された事例
裁決事例集 第59集 461頁
要旨
請求人らは、公売通知書及び最高価申込者決定通知書に不服申立ての期間等の教示をしなかったから、国税徴収法第171条1項第3号の期限を徒過しても本件審査請求は適法である旨主張する。
しかしながら、[1]公売通知はそれ自体として納税者の権利義務その他法律上の地位に影響を及ぼすものではないから、行政処分には当たらないと認められること。[2]最高価申込者の決定処分自体は公売の場所で終了し、かつ出席している関係人に口頭で告知されているのであって、滞納者等に対する通知は、納税者に対し、原処分庁が買受け適格のある申込者に最高価申込者の決定をしたという事実行為を通知したものにすぎないこと。したがって、これらは、行政不服審査法第57条第1項に規定する行政処分を書面ですることが要求されている場合に当たらないから、教示の必要はない。
複数の商品を顧客に対して一括して引渡し、その代金を顧客から一括して受領する場合の、消費税法施行規則第22条第1項に規定する「決済上受領すべき金額」とは、その受領するときに顧客に交付する領収書(レシート)ごとの金額であると解するのが相当であるとされた事例
裁決事例集 第59集 360頁
要旨
消費税法施行規則第22条第1項は、事業者が、課税資産の譲渡等に係る決済上受領すべき金額を当該課税資産の譲渡等の対価の額と消費税に相当する額とに区分して領収する場合において、消費税に相当する金額の1円未満の端数を処理したときは、当該端数を処理した後の消費税に相当する額を基礎として、課税標準額に対する消費税額の計算を行うことができる旨規定(以下「本件規定」という。)している。
請求人は、食料品については個々の商品ごとに端数処理を行ない、また、食料品以外の商品についてはレシートごとに端数処理を行った上で、これらの事実を記録したレシートの控えを保存しているから本件規定が適用されるべきである旨、及び基本通達で示されている消費税法施行規則第22条第1項に規定する「決済上受領すべき金額」の解釈は、本件課税期間においては公表されておらず、この解釈に沿って申告することは不可能であった旨主張するが、食料品については本件規定の適用要件を満たしているとは認められないが、食料品以外の商品については、本件規定の適用要件を満たしていと認められる。
なお、消費税法施行規則第22条第1項に規定する「決済上受領すべき金額」の解釈に関する基本通達は、消費税法の施行当初から課税庁が有していた解釈を念のため明らかにしたものと認められる。
要旨
- 本件敷金が無利息債務に当たるのは明らかであり、これを承継した請求人らは、当然に通常の利率による利息相当額の経済的利益を本件敷金の返還期までの期間享受するのであるから、その債務控除すべき金額については、敷金の金額から、請求人らが返還期までの間に享受するこの経済的利益の相続開始時の額を控除した金額によるのが相当である。
- 相続税法第22条が債務の評価について相続開始時の現況による旨規定していることからすれば、債務の評価に当たっては、相続開始時において客観的かつ具体的に確認されない事柄を影響させることは妥当ではないのであるから、相続開始日において、賃貸借期間の満了日前に本件契約の終了することが確実と認められる事情が存しない限り、賃貸借期間のうちの残存期間をもってこの経済的利益を算出するのが合理的である。
- 本件敷金のような長期無利息債務の評価に用いる通常の利率は、統一的な指標となり得る長期金利等を基準とし、相続開始時に弁済期までの金利の動向等を考慮して求めるのが相当であるから、他の財産の評価方法とのバランスをも考慮すれば、相続開始月以前10年間の長期国債(10年)の応募者利回りと長期プライムレートの平均値を基礎とし、年5%とするのが相当である。
要旨
揮発油税法第14条第1項第1号及び同法施行令第5条第1号にいう「揮発油の製造者」とは、現実に揮発油の製造を行っている者であり、「揮発油の製造場」とは、現実に揮発油の製造を行っている場所であると解するのが相当である。
すなわち、揮発油税法第23条に規定する揮発油税営業等開始申告書を提出している者に対して揮発油を移出しても、その者が移入した場所において現実に揮発油の製造を行っていなければ、当該移出に同法第14条第1項に規定する未納税移出を適用することはできない。
請求人は、揮発油を移出した者が揮発油を移入した者における揮発油の製造の有無を確認する義務を負うとする法令の規定がないので、揮発油を移入した者が製油所を揮発油の製造場とする揮発油税営業等開始申告書を提出していることのみをもって、当該製油所は「揮発油の製造場」に該当する旨主張するが、揮発油を移出した者が揮発油を移入した者の揮発油の製造の有無を確認する義務を負う旨の法令の規定が存しないとしても、揮発油の製造場からの移出が揮発油税法第14条第1項に規定する要件に該当するかどうかの判断は、揮発油を未納税移出しようとする者の責任において行われるべきものであるから、この点に関する請求人の主張は採用することができない。
また、請求人は、揮発油税法第14条第2項に規定する手続要件さえ具備していれば、いかなる場合でも、未納税移出に係る揮発油税の免除が受けられる旨主張するが、同項では、同条第1項に規定する未納税移出の適用要件を充足して移出した揮発油について、揮発油税の免除を受けるための申告手続が規定されているものであり、同項に規定する未納税移出を適用するためには、同項各号に規定する未納税移出の適用要件を充足する必要があるというべきであるから、この点に関する請求人の主張には理由がない。
したがって、本件各月分の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分はいずれも適法である。
減額更正処分により発生した過誤納金を収納未済額に充当した結果、物納許可を受けた相続税額を超える価額の財産により物納されたこととなり、物納財産の収納許可額と物納許可を受けた相続税額との差額が金銭で還付され、その差額に対して譲渡所得が課税された事例
裁決事例集 第59集 129頁
要旨
請求人は、本件過誤納金について、原処分庁が請求人の納付すべき税額を減少させる更正処分をしたことから、金銭で納付していた税額が還付されたものであり、相続税の物納許可による過誤納金が還付されたものではないことから、譲渡所得の課税対象とはならない旨主張するが、当該更正処分により生じた過納金は、国税通則法第57条第1項の規定に従って適法に請求人の納付すべき税額に充当されているところ、本件過誤納金は、物納許可を受けた相続税額を超える価額の財産により物納されたことから、物納財産の収納価額と物納許可された相続税額との差額が請求人に金銭をもって還付されたものであり、租税特別措置法第40条の3に規定されている物納許可を受けて物納した財産に当たらないから、同条の規定の適用はなく、通常の資産の譲渡と同様に、譲渡所得の課税対象になる。
要旨
法人税法第37条第4項に規定するいわゆるみなし寄付金の場合、収益事業から公益事業への資産の支出とは、現に収益事業に属する資産を公益事業に支出してこれにつき明確に区分経理をし、かつ、その資産がその公益法人等の本来の事業のための資金として使用されることをいうものと解されるから、収益事業から公益事業へ資産を支出したとしても、直ちにその支出した資産の額に相当する金額を元入金として公益事業から収益事業に受け入れた場合には、法人税法第37条第4項にいう支出には当たらず、また、これにつき明確に区分したことにはならないから、本件における当該収益事業から公益事業への支出額(公益事業から収益事業への元入金)は、みなし寄付金には該当しない。
マッサージ師に支払った外注費は、所得税法第28条に規定する給与等に該当するので、消費税法第2条第1項第12号に規定する課税仕入には該当しないとされた事例
裁決事例集 第59集 372頁
要旨
請求人は、請求人がマッサージ師に支払った外注費は、所得税法第28条に規定する給与等を対価とする役務の提供に係るものではないので、消費税法第2条第1項第12号に規定する課税仕入には該当する旨主張する。
しかしながら、請求人と各マッサージ師との契約書等によれば、各マッサージ師はマッサージ業務を遂行するに当たって[1]営業時間、施術コース及び施術料金、業務時間、服装、休憩等の各項目にわたって定められた規則に従って業務に従事していること、[2]顧客に対する事故の責任は請求人にあることなどから、請求人と各マッサージ師との間には雇用関係があるということができ、本件外注費は給与等を対価とする役務の提供に係るものに該当し消費税法第2条第1項第12号に規定する課税仕入には該当しないと認められる。
また、請求人は、請求人がマッサージ師に支払った外注費は、給与ではないから給与等に係る所得税を徴収する義務を負わない旨主張するが、上記のとおり本件外注費は給与等に該当すると認められ、請求人は、所得税を徴収する義務を負うことになる。
なお、本件源泉所得税納税告知処分等には税額計算誤りがあるのでその一部を取り消す。
要旨
地方税法附則第9条の10第3項及び同条第4項の規定によれば、還付金等の還付及び延滞税の納付の効果は、同条第3項の規定に該当する要件を充足することにより、法律上当然に生ずるものであって、税務署長が委託納付することにより生ずるものではない。換言すれば、委託納付は既に法律効果の生じている納付の事実を事務手続上明確にするための内部的処理にすぎないのであるから、所轄庁のなした本件委託納付を、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定する処分とみることはできない。
したがって、本件委託納付に対する審査請求は、国税通則法第75条1項に規定する国税に関する法律に基づく処分についての不服申立てということはできない。
要旨
- 登記については判例において公信力を認めないと解されているところ、登記は、制度上その手続において、真正な、すなわち有効に存立する実質的な関係に基づくものであることが保障され、かつ、公の機関によって管理されており、登記がなされているとこれに対応する実質的関係の存在が推定されることから、登記上の所有名義人は反証がない限り当該不動産の所有者と推定することが相当である。
- 本件土地の帰属について上記1を踏まえて検討すれば、本件土地については、Hの相続において、E以外の相続人が家庭裁判所に相続を放棄する旨の申述を行ったとする証拠の提出がないこと、当該相続において遺産分割協議を行ったことを直接証明する証拠書類の提出がないため、E以外の相続人が本件土地の相続権を放棄した事実を確認することができないこと、登記に要する時間の長短を理由として真実の所有者でない者の名義とすることは不合理であり、Eの単独登記としなかった理由としては、相当ではないこと、本件土地についての所有権移転登記は、昭和35年から平成10年に至るまでに、数回にわたって行われているのであり、この間において請求人らが主張する実体に合致した登記をする機会が十分にあったと思われるのに、それがされていないこと等から、Hの共同相続人が登記簿の記載どおり法定相続分に従い共有持分権を取得したとの事実を覆すに足りる資料はなく、この点に関する請求人の主張を採用することはできないから、Gは、Hの相続によって登記簿の記載どおりの共有持分権を取得したものと認められる。
- 本件建物の帰属について、建築資金を負担していない者が新築された建物の所有者となることができないという法律上の規定はなく、当該資金を負担していない者に贈与税の課税問題が生じることはあっても、それのみで当該登記は無効なものとなるものではない。
株式に根質権を設定した後、質権者がその株券を質権設定者に返還し、改めて預金債権に質権を設定した場合に、その預金の差押えに係る配当において、株券の質権設定日と法定納期限等とで優劣を決すべきであるとの請求人の主張が排斥された事例
裁決事例集 第59集 427頁
要旨
債権に質権が設定されたのは、滞納国税の法定納期限等の後となり、この質権については国税徴収法第15条1項は適用されず、本件取立金は、同法8条の規定により、質権により担保される請求人の債権に優先して、滞納国税に配当されることになり、配当処分は適法である。
また、民法第350条において準用する同法第304条1項は、質権はその目的財産の売却、賃貸、滅失又は毀損によって質権設定者が受けるべき金銭その他の物に対しても行うことができる旨規定し、質権の効力は、質権の目的財産だけでなく、異体化した当該財産の交換価値にも及ぶとしている。そして、この規定の趣旨からすれば、「売却、賃貸、滅失又は毀損」は例示で、交換も含まれると解される。
しかし、請求人は、株式を根質権の目的財産から除外し根質権を解除した上で、滞納会社が第三債務者に金銭を預け入れることにより生じた預金債権に質権を設定したのであり、預金債権は、株式との交換によって根質権の設定者である滞納会社が受けるべき金残その他の物に該当しないことは明らかである。
したがって、根質権の効力は預金債権に及ばないというべきであり、請求人の主張には理由がない。
請求人が木材の輸入取引において仕入に計上した取引額の一部に、本事業年度以外の事業年度の損金の額に算入すべきものがあるが、当該金額については、架空、金額の水増し又は重複計上などによって過大に計上したものとは認められず、損金算入時期の誤りによるものと認められるから、重加算税の賦課要件たる事実を隠ぺい仮装したことには当たらないとした事例
裁決事例集 第59集 47頁
要旨
原処分庁は、請求人の木材輸入取引について[1]請求人の輸入先会社に対する送金は、木材の輸入時期、数量、金額のいずれとも密接に関係しておらず、その実質は「貸付金」と認められるが、請求人はこの貸付金を公表帳簿に計上していない。[2]請求人は輸入先会社から、「貸付金」の一部を「調整金」の名目で返金させこれを簿外預金に預け入れているが、これを公表帳簿に計上していない。これらの取引はいずれも請求人の公表帳簿に計上することなく行われた取引であり、請求人は、これにより真実の所得金額を隠ぺいしたことが認められる旨主張する。
しかしながら、本件輸入取引については、[1]輸入先会社に対する送金は、いずれは請求人の公表帳簿に「仕入」として計上されるものであり仕入代金の前渡金と見るのが相当であること[2]本件事業年度の仕入計上額は過大となっている事実は認められるが、これは、架空、水増し又は重複計上などによって過大となったものとは認められず、かつ、意図的な計上時期の操作及び原始記録の改ざん等の不正が行われているとは認められないこと[3]請求人が輸入先会社から、「調整金」の名目で返金させこれを簿外預金に預け入れている事実は認められるが、この簿外預金なるものも結果において、その資金の出所たる借入金の返済に当てられており、また、当該預金の果実たる受取利息も本件事業年度の収益に計上済であること、などから、請求人が所得金額の計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺい又は仮装したところに基づいて申告書を提出したとは認め難い。
請求人の同族会社からの建物賃貸料収入が当該同族会社の又貸し賃貸料収入に比して余りに低額であるとしてなされた所得税法第157条による更正処分が適法であるとされた事例
裁決事例集 第59集 112頁
要旨
請求人は、その同族会社からの建物賃貸料収入が当該同族会社の又貸し賃貸料収入に比して余りに低額であるとしてなされた所得税法第157条による更正処分に対し、同族会社は賃借人に対して経営指導等経済的付加価値を有する役務を提供しており、その又貸し賃貸料収入には同役務に係るコンサルタント料が含まれているから、更正処分を取り消すべきである旨主張する。
しかしながら、同族会社が賃借人に対して経営指導等をしている事実は認められず、請求人の主張には理由がない。
また、請求人の確定申告の管理料相当額割合が比準同業者の平均管理料割合をはるかに超える異常なものと認められるところ、請求人と同族会社との賃貸借契約は、請求人が当該同族会社の株主・代表取締役であるがゆえに可能な行為又は計算であり、純経済人として、不合理、不自然といわざるを得ないから、請求人の主張には理由がない。
ただ、原処分庁が認定した比準同業者の平均管理料割合の計算において、比準同業者として適当でない者が含まれており、また、その収入(又貸し料)に含めるべきでない臨時的一時的収入が含まれているので、審判所において再計算したところ、平成6年分はその一部を取り消すべきである。
印紙税の過誤納の事実を確認すべきである旨の請求人の主張が、請求人が署名押印し銀行に差し入れた時に本件契約書に係る印紙税の納税義務は成立しているから、印紙税の過誤納の事実を確認しないとした原処分庁の通知処分は相当であるとして排斥された事例
裁決事例集 第59集 407頁
要旨
請求人は、日付等が未記入で記載された借入れがその実行前に中止になり契約として成立しておらず、未完成の金銭消費貸借契約証書を作成交付したのであるから、課税文書には該当せず印紙税の納税義務は生ぜず、仮に課税文書に該当するとしても、契約内容が実行されなかったのであるから、印紙税法基本通達第115条[確認及び充当の請求ができる過誤納金の範囲等]第2号に定める「使用する見込みのなくなった場合」に該当するとして印紙税法第14条第1項の規定に基づき過誤納の事実を確認すべきである旨主張する。しかしながら、銀行との取引実態を勘案した上で本件契約書上の記載文言等を総合的に判断すれば、本件契約を成立させることについてはあらかじめ当事者間に意思表示の合致があり、これを証明する目的で本件契約書が作成されたことは客観的に明らかであり、請求人がこれに署名押印し銀行に差し入れた時にその納税義務は成立しており、また、印紙税法基本通達第115条第2号の「損傷、汚染、書損その他の理由により使用する見込みのなくなった場合」に該当する事実も認められないから、印紙税の過誤納の事実を確認しないとした原処分庁の通知処分は相当である。
請求人(眼科医院)の妻はコンタクトレンズ等の販売に係る事業の収益を事業所得として所得税の確定申告をしているが、その収益は請求人に帰属すると認定された事例
裁決事例集 第59集 67頁
要旨
請求人は、医療法及び薬事法の規制により、請求人の営む眼科医院とコンタクトレンズ等の販売事業とを分離し、その経営者及び申告名義を請求人の妻としたのであるから、租税回避を目的として制定された所得税法12条の適用はなく、本件販売事業の収益は請求人の妻に帰属する旨主張する。
しかしながら、本件販売事業は、眼科医院と明確に分離されているとは認められず、請求人がその経営方針の決定等について支配的影響力を有していること、また、所得税法第12条は、その基礎となる所得の帰属について表見的な他の法律上の形式又は効果にかかわらず、実質的な経済効果に着目し、その効果を現実に享受する者を税法上の所得の帰属者として課税しようとするものであり、他の法律上無効又は取り消し得べき行為であっても、その行為に伴って経済効果が発生している場合には、その効果を現実に享受する者について課税することは何ら妨げられないと解すべきであるから、本件販売事業の収益は、請求人に帰属する。
要旨
請求人は、免税事業者と課税事業者の区分は、基準を課税売上高によるものとしたため、原則として、その課税期間から2年間さかのぼって基準期間を設定したものであり、消費税法の基本構成は、基準期間の存在を前提とした課税期間であるから、基準期間のない法人に対して消費税法等の納税義務を生じさせることはあり得ない旨主張するが、その課税期間に係る基準期間がない法人であっても、課税資産の譲渡等を行っている限り、消費税法第5条第1項の規定により本来消費税等の納税義務が生じるのであり、同法第9条第1項本文の規定により例外的にその納税義務が免除されることになるとしても、同法第12条の2の規定により、基準期間のない法人のうち、当該事業年度開始の日における資本又は出資の金額が千万円以上である法人(新設法人)については、消費税の納税義務が免除されないことになる。
要旨
請求人が還付通知請求書を提出したのは、登録免許税法第31条第2項に規定する還付通知請求をすることができる期間を途過した後であるから、仮に、請求人の主張に理由があるとしても、本件還付通知請求には理由がないといわざるを得ない。
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