裁決事例 昭和63年(1988年)
要旨
未払金として当期に損金の額に算入した従業員に対する総額5,000万円の賞与(本件従業員賞与)について、請求人は、当期末までに、[1]支給総額及び[2]各人別支給額を決定し、かつ、[3]各人別支給額を口頭で各人に通知していたから、当期末までに債務が確定していたと主張するが、未払金内訳書、未払賞与額算定基準書及び関与税理士あて連絡票は、その作成日付のころに経理担当者が作成したものと認められるところ、未払金内訳書には本件従業員賞与の記載がなく、また、同連絡票には支払賞与額5,000万円との記載があるだけであること及び同算定基準書の記載内容からすると、本件従業員賞与の支給総額は翌期以降に決定されたと推認するのが相当であるから、当期末までに債務が確定していたとすることはできず、したがって、本件従業員賞与の損金算入は認められない。
要旨
請求人が更正の請求の根拠とする確定判決は、請求人の納税義務に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となる共有持分の範囲、譲渡の有効性、代金等について何ら判断していないことが明らかであり、国税通則法第23条第2項第2号に定める「判決」には当たらないから、更正の請求には理由がない旨の通知処分に違法はない。
譲渡所得の帰属年分は、甲契約を締結した日の属する年分ではなく、甲契約を締結して代金全額を受領するとともに、所有権移転登記を了した日の属する年分であるとした事例
裁決事例集 第36集 11頁
要旨
請求人は、昭和54年に譲渡契約を締結し、手付金を受領しているので、本件譲渡所得は昭和54年分であると主張するが、[1]昭和54年の作成日付の契約書は信用できず、昭和60年の日付の契約書が真正なものと認められること、[2]昭和60年に譲渡代金を受領し、所有権移転の登記を了していること、[3]昭和54年以降も本件土地をF社に賃貸して、不動産所得の申告をしていること、[4]昭和54年分所得税の確定申告に当たり、本件譲渡所得について総収入金額に算入していないことなどから、本件譲渡所得は昭和60年分に帰属するとした原処分は相当である。
支払手数料及びロイヤリティについて、その支払義務がないにもかかわらず支払の事実を仮装したものとして重加算税を賦課した原処分は相当であるとした事例
裁決事例集 第36集 120頁
要旨
請求人が支払手数料として計上した金額は、請求人の代表者の個人的投資行為に関連するものであって、請求人の業務に関連しないものであるから損金の額に算入することは認められず、また、コンサルティングフィ及びロイヤリティについても、それぞれ親会社の負担すべき費用及び支払義務のないものを損金の額に計上したものであり、損金の額に算入することは認められない。
支払手数料及びロイヤリティについては、その支払義務のないものを支払義務があるかのようにその事実を仮装して損金の額に計上したものであるから、重加算税の賦課の対象としたことは相当である。
請求人の主張する借入金は存在しないから、支払手数料勘定に計上した支払金(支払利息)は損金に算入できず、コンサルティングフィ、ロイヤリティについても、損金算入を認めなかった事例
裁決事例集 第36集 120頁
要旨
請求人が支払手数料として計上した金額は、請求人の代表者の個人的投資行為に関連するものであって、請求人の業務に関連しないものであるから損金の額に算入することは認められず、また、コンサルティングフィ及びロイヤリティについても、それぞれ親会社の負担すべき費用及び支払義務のないものを損金の額に計上したものであり、損金の額に算入することは認められない。
なお、支払手数料及びロイヤリティについては、その支払義務のないものを支払義務があるかのようにその事実を仮装して損金の額に計上したものであって、重加算税の賦課の対象としたことは相当である。
国内事業に関して発生した為替差益の付替え相当額は、親会社との契約に基づき同社に帰属すべきものであるから、国内事業の所得の計算上損金の額に算入されるべきであるとの請求人の主張を排斥した事例
裁決事例集 第36集 113頁
要旨
国内事業に関して生じた為替差損益部分に相当する額を収益金又は負担金として親会社に帰属させることを内容とする契約は、請求人の事業の特殊性からみて経済的合理性のあるものであり、この契約に基づき負担した金員は、国内事業の所得の計算上損金の額に算入されるべきであると請求人は主張するが、請求人の日本支店が親会社へ邦貨又は外貨で支払ったとする事実も認められず、単に会計帳簿上の振替処理であることなどからみて、本件為替決済差益等の額について請求人の日本支店から親会社に至るまでの付替え経理は、当事者間における単なる資金移転取引であると解されるから、当該資金の移転に関連して請求人及び親会社の双方に損失又は利益は生じないと認めるのが相当である。
要旨
請求人及び請求人の代表取締役であるA(以下「請求人ら」という。)は、持分2分の1で共有する本件土地の譲渡先はE社であり、このことは、本件甲契約書(譲渡人を請求人ら、譲受人をE社、譲渡価額を148,247,190円とする昭和60年3月16日付の売買契約書)から明らかである旨主張するが、E社その他本件土地の売買取引に関係のある多数の者を調査したところによれば、E社は本件土地に係る売買の仲介人に依頼され、本件甲契約書及び本件乙契約書(譲渡人をE社、譲受人をD社、譲渡価額を207,744,390円とする昭和60年3月20日付の売買契約書)に譲受人及び譲渡人として押印したものであり、いわゆる名義貸しをしたにすぎず、本件甲契約書及び本件乙契約書は、Aが本件土地の譲渡利益を圧縮するために当該仲介人等に形式的な中間譲渡人を入れるように要求し、E社を形式的な中間譲渡人として作成されたものであって、本件土地は、請求人らが本件土地を直接D社に譲渡したものと認めるのが相当である。
要旨
請求人は、不動産の貸付先であり、請求人の弟が代表取締役である会社に対して有していた貸付金の貸倒れによる損失について、本件貸付金は、請求人が同社に対して賃貸している不動産を同社の仕入先に対する担保として提供していたところ、同社が倒産するおそれがあったため、賃貸不動産の維持確保を図るために同社に貸し付けたもので、不動産所得を生ずべき業務の遂行上貸し付けた貸付金であるから、その貸倒れによる損失は不動産所得の必要経費になると主張するが、同社に対する担保提供の経緯等からみて、当該担保提供は弟を援助する目的のものと認められ、また、賃貸料と貸付金の額との関係をみても、金銭の貸付けが不動産貸付業の遂行上必要であったとは認められないから、本件貸倒損失は不動産所得を生ずべき事業の遂行上生じたものとは認められず、したがって、本件貸倒損失は不動産所得に係る必要経費とは認められない。
要旨
請求人の妻である専従者は、他に勤務していた期間中も請求人から専従者給与の支給を受けているところ、[1]専従者が他に勤務すれば、その業務に従事した期間及び労務の提供の程度は減少するのであるから、給与の額も従事の減少分に対応して減額するのが相当であること、[2]同業者の年間を通して従事している専従者の平均給与額と当該専従者の給与額はほぼ同額であることから、少なくとも同人が他に勤務していた期間に対応する給与は、労務の対価として不相当に高額であると認められ、また、請求人が専従者であると主張する請求人の父及び母は、事業に従事していたとは認められないから、前記高額と認められる部分及び父、母に支給した給与額は必要経費に算入されない。
ゴルフクラブを経営する請求人が新会員になることを希望する者から受領する本件金員は会員権の名義変更の日の属する事業年度の益金の額に算入すべきであるとした事例
裁決事例集 第36集 71頁
要旨
請求人が経営する本件ゴルフクラブのゴルフ会員権の名義変更に当たって、新たに会員になることを希望する者から、従来徴収していた名義書換料に代え、名義変更預り金(以下「本件金員」という。)を受領することとし、これを預り金として負債勘定に経理したことについて、請求人は、本件金員は、請求人と新会員との間で締結された本件ゴルフクラブの入会金の預託契約に基づいて請求人が預かり、5年間据置後に返還する義務のある債務であるから、収益の額に算入すべきものではないと主張するが、[1]本件金員は、新会員が旧会員から本件ゴルフクラブの会員たる地位及び本件ゴルフクラブを利用できる権利である本件会員権を譲り受けるため、本件ゴルフクラブがこれを審査し、かつ、入会を承認するという役務を新会員に提供したことの対価として請求人が受領したものと認められ、その実質は従来の名義書換料と変わらないものであること、また、[2]会員への返還義務の確定は会員の退会という事実及び返還請求の意思表示を停止条件とするものであるところ、本件会員権は譲渡が可能であり、その取得価額が高額であるところから事実上返還の蓋然性がほとんどないことからすれば、本件金員は、会員権の名義変更の日の属する事業年度において益金の額に算入すべきものと認められる。
買換資産の取得価額の変更に伴って生じた圧縮限度超過額は翌期以降における買換資産の取得に充てるための特別勘定として経理したものとすることはできないとした事例
裁決事例集 第36集 187頁
要旨
損金経理をした買換資産の圧縮記帳額のうち、買換資産の取得価額の変更に伴って、圧縮限度額を超えることとなった金額については、その超える金額を特別勘定への繰入額として経理したものとして、所得金額の計算上損金の額に算入し、その課税を翌事業年度以降に繰り延べるとする法令の規定はないから、その繰入限度超過額を特別勘定に経理したものとして取り扱うことはできない。
要旨
所得税所定の「生活に通常必要な動産」とは、家具、じゅう器、衣服及びこれらに類似する生活用動産で、通常の社会生活を営むのに必要とされる資産をいうものと解するのが相当であるところ、請求人のオートバイの使用状況をみると、1週間に1回程度しか使用されておらず、また、購入後盗難に遭うまでの間に、放送大学への通学に使用したのはわずか5日にすぎないことが認められ、この程度の使用頻度では、本件オートバイは請求人の日常生活に通常必要な動産とは認められず、さらに、本件オートバイがいわゆる大型オートバイ(400c.c.)であることからして、通常の社会生活を営むのに必要なものであるとはいえないことから、本件オートバイは、「生活に通常必要な動産」ということはできず、所得税法第72条は適用できない。
要旨
本件贈与財産は、相続により取得した退職手当金で購入した中期国債ファンドの解約金から支出されていると認められるところ、租税特別措置法第70条“国等に対して相続財産を贈与した場合の相続税の非課税”に規定する相続等により取得した財産とは、原則的には取得した財産そのものをいうが、相続等により取得した財産のうち、現金・預貯金は、その表示された金額が、経済的価値そのものであるから、その他の財産と異なり、個別性・特定性が極めて薄く、取得した後に運用されても最終的にその代替物が現金・預貯金であれば相続財産としての変質を招来するものではないので、相続により取得した財産から贈与されたものと認めるのが相当である。
要旨
原処分庁保管の文書発送に関する簿書等の記載は、国税通則法第12条第3項所定の要件を満たしており、同条第2項の規定に基づく到達の推定を履す特別な事情も存しなかったと認められるから、本件更正通知書は、請求人の住所に通常到達すべきであった時に送達があったものと推定され、その時において本件更正の効力が生じたものというべきである。
要旨
物納申請財産である本件貸地は、当事者間に賃貸借契約書が作成されていないため、賃借人を特定することができないなど、その契約内容が不明確であること、また、本件貸地の一部を不特定多数の者が生活用の道路として使用しており、現に公共の用に供されていると認められることなどから、相続税法第42条第2項に規定する「管理又は処分をするのに不適当な財産」に該当すると認められるので、物納財産変更要求をした原処分は相当である。
要旨
原処分庁は、営業譲渡後も実質的に営業が継続していると認められる場合には法人税法第81条第4項の規定の適用はない旨主張するが、営業の譲渡の相手方が譲渡者の完全に支配する会社であるからといって、その営業譲渡の効力が当然に無効であると解する根拠はなく、請求人と営業の譲受者とは、別個の法人格を有し、法律上はこの営業の継続性はないと認められるのみならず、請求人の営業活動の実態からみて、本件営業譲渡が営業の重要な部分の譲渡に当たることが明らかであり、かつ、請求人の状態は、欠損金の繰越控除の規定の適用を受けることが困難となると認められるものでるから、本件欠損金繰戻しによる還付請求には、租税特別措置法(昭和63年法律第4号による改正前のもの)第66条の16ただし書の規定により、法人税法第81条第4項の規定の適用があり、同条第1項の規定の準用があるというべきであって、これに反する原処分は違法である。
請求人がその子会社に対する売上値引及び売買損失として損金経理した金額は、いずれも子会社に対する経済的利益の無償の供与であり、寄付金の額に該当するとした事例
裁決事例集 第36集 145頁
要旨
法人がその有する債権を放棄し又は他人の債務を負担したような場合には、それは一般的には経済的な利益の無償の供与に当たることとなるから、これらの行為により生じた損失の額は、寄付金の額に該当するというべきであるが、法人がこれらの行為をした場合でも、それが例えばその法人自体の経営危機を回避するためにやむを得ず行ったものであること等、そのことについて相当な理由があると認められるときは、その行為により生じた損失の額は、寄付金の額に該当しないものと解されるところ、請求人は、本件売上値引及び本件売買損失については、法人税基本通達9-4-1に定める相当な理由があるといえるから、これらの額は寄付金の額に該当しないと主張するが、本件売上値引は、通常の売上値引とは認められず、かえって、売上値引の名義をもってした子会社に対する欠損金補てんのための援助であると認められ、また、本件売買損失は、通常の取引の結果生じたものとは認められず、かえって、子会社の負担すべき損失を代わって負担することにより、子会社に対し経済的な利益の無償供与をしたものであると認められることから、請求人がその援助をしたこと又は経済的な利益の無償の供与をしたことについては、同通達に定める相当な理由があるとはいえず、いずれも寄付金の額に該当するというべきである。
要旨
請求人は、譲渡担保契約は、処分清算型から流質型に変更されたから、譲渡担保財産は請求人に帰属していると主張するが、変更に関する合意書の内容、その後の担保財産の管理方法からみて、引き続き処分清算型であると認められ、また、担保財産の評価額が合意書作成日現在における被担保債権残額を上回らないとはいえず、本件担保財産の所有権が確定的に請求人に帰属したとは認められないから、請求人が担保財産を換価する前に行った差押処分は正当である。
要旨
請求人は、本件商品先物取引に係る所得は、[1]営利性、有償性、[2]継続性、反復性、[3]自己の危険と計算による企画遂行性、[4]精神的、肉体的労力の程度、[5]人的、物的設備、[6]資金調達方法及び[7]職業、経歴及び社会的地位からみて事業所得であると主張するが、請求人の社会的地位(商品先物取引が禁止されている登録外務員であり、かつ、商品先物取引業を営む会社の役職ある地位にある)及び商品先物取引が一般的に極めて投機性の強い射こう的な取引であって、元来、事業としてなじみ難い取引であること等から総合的に判断すれば、本件商品先物取引は所得税法にいう対価を得て継続的に行う事業とは認められず、本件商品先物取引に係る損失は、雑所得に属する。
請求人が建設業者との間においてテレビ共同聴視受信設備の維持管理業務を長期にわたって受託する旨の契約を締結し、その保守管理料を一括収受した場合の収益計上は、その一括収受額を契約期間で除して得た金額によることが相当であるとした事例
裁決事例集 第35集 93頁
要旨
請求人は、本件金員(一括収受額)は建設業者からの預り金であるから、現実に保守及び事故等による工事をする都度、これに要した費用等相当額を費用及び収益に計上するとともに、本件委託契約が終了した時点において、本件金員と現実に要した維持管理費との間で過不足を生じた場合には、その時点で当該過不足分を収益又は損失として計上すべきであると主張するが、本件金員は、請求人に帰属する収益に該当するものであり、その収益として計上すべき時期については、本件金員は本件委託契約に基づき請求人の共聴設備の維持管理業務という役務提供の対価として支払われたものであり、かつ、当初から返還を要しないものであると認められるから、本件金員を収受した日の属する事業年度の益金の額に算入するのが相当であると考えられないではないが、本件のように、[1]長期にわたる維持管理収入を当初に一括して前受けするという契約で、[2]本件金員を収受した時点においては、契約上の義務である役務提供を何ら履行しておらず、将来請求人の役務提供が不可能となったときは本件金員の一部の返還義務を負うこともあり得るもので、[3]契約期間中に発生すべき原価等の額を当初において合理的に見積ることが事実上不可能と思われるものについては、本件金員を契約期間で除して得た金額を1年当たりの収益として各事業年度の益金の額に算入するという計上方法は、法人税法第22条第4項にいう一般に公正妥当な会計処理の基準に合致するものということができる。
店舗を開設するに当たり、前の賃借人に支払った本件金員は、繰延資産たる「資産を賃借するために支出する費用」に該当するものであり、その償却期間は、店舗が設置されている建造物の耐用年数を基に見積もるべきであるとした事例
裁決事例集 第35集 115頁
要旨
請求人が店舗の開設に当たり、当該店舗の前の賃借人に支払った金員は、店舗を賃借して使用するために支出する権利金に類似する必須の費用であるということができ、法人税法施行令第14条第1項第9号ロに規定する繰延資産に該当する。また、当該店舗の設置されている建造物は、鉄筋コンクリート造りの高架線路(構築物で鉄道業用の橋りょう)であるところから、その存廃が高架線路と同じくすると認められるので、その償却期間は、高架線路の耐用年数から計算される見積残存耐用年数を基として算定することが相当である。
居住の用に供している一構えの家屋の一部を譲渡した場合において、譲渡した部分以外の部分が機能的にみて独立した居住用家屋と認められる場合には、居住用家屋の譲渡には該当しないとした事例
裁決事例集 第35集 175頁
要旨
譲渡建物と隣接建物とが一構えの家屋を構成している場合において、当該隣接建物において請求人とその家族の日常生活の大部分が何ら支障なく営まれている場合には、隣接建物は機能的にみて独立した家屋と認められる。したがって、本件譲渡は、居住の用に供している一構えの家屋の一部を譲渡したにすぎないから、その譲渡をもって居住用家屋の譲渡に該当するとはいえない。
要旨
請求人は、本件養老生命共済契約の締結及び共済掛金の支払は、いずれも長男の親権者としての監護行為として行ったものであり、共済掛金の負担者は、長男であるから、本件共済金は長男の相続財産であると主張するが、[1]共済証書の契約者名は、請求人名義であること、[2]契約申込書に、請求人が長男の法定代理人として契約に同意する旨の表示はなく、一方、商法第674条第1項の被共済者の同意について、請求人が法定代理人として記名押印していること、[3]共済掛金を、長男の普通預金口座から支払ったとする事実は認められないこと、[4]その他共済契約及び共済掛金の支払について親権者としての監護行為であるとする事実は認められないことから、共済掛金の負担者は請求人であり、請求人が受領した本件共済金は、請求人の一時所得の収入金額であるとした原処分は相当である。
要旨
本件借地権の設定された土地は、路線価の付されていない私道に面しているところ、その評価に当たっては、本件私道と状況が類似する付近の路線に付された路線価に比準して仮路線価を評定し、その仮路線価に基づいて評価するのが相当であるから、原処分庁が本件私道の面する公道に付された路線価によって評価したことは相当とは認められない。
要旨
請求人の専務理事らが横領、流用した金額を請求人からの貸付金であると認定するには、[1]専務理事らが請求人の資金を使用したことにつき、請求人から借り受ける趣旨の意思を表示したかどうか、[2]金利ないし利率、返済期限、担保などについて専務理事らがどのように認識していたか、また、[3]請求人の側においても、専務理事らに対する貸付けの認識があるかどうか、更にその債権管理方法をどのようにしているかなどの事実に照らして請求人と専務理事らとの間に金銭消費貸借契約(ないし準消費貸借契約)が成立し、請求人が貸付金債権を取得したかどうかを判定すべきであるところ、本件において、専務理事らが上記[1]の借受けの意思を表示したことを認め得る証拠はなく、また、金銭貸借において通常定められる上記[2]のような借入れの条件が定められたものと認識していたことを示す証拠もなく、金銭消費貸借契約が成立したことは認められないから、請求人が専務理事らに対し貸付けをなしていたとはいえず、したがって、貸付金に係る利息は発生しない。
請求人が業務の用に供するために取得した土地建物に係る借入金の利子について、当該土地建物は放置したまま何ら業務の用に供されていないから必要経費に算入されないとした事例
裁決事例集 第35集 52頁
要旨
請求人(税理士)は、事務所付併用住宅の建設用地として取得した本件不動産は、業務の用に供するために取得したことが明らかであるから、その取得に要した借入金の利子等は必要経費に算入されると主張するが、利用目的が多岐にわたる土地が業務用資産であるかどうかは、当該土地の取得目的や取得者の主観的意思において業務の用に供される資産であるというだけでは足りず、その土地の具体的利用計画及び使用状況等から客観的に業務の用に供することが明らかであるかどうかで判断するのが相当であり、係争年分中に本件不動産を放置したまま何ら業務の用に供していた事実が認められない本件の場合には、少なくとも建物(事業所)の建設工事の着手日前は業務用資産とはならないと解されるから、本件借入金の利子は、請求人の業務に係る所得の計算上、必要経費とは認められない。
不動産賃貸借契約締結に当たって、差入保証金の一部を返還しないこととしていた契約を、後日、中途解約の場合にのみ当該一部を返還しない契約に改めた場合、既往において課税された差入保証金の返還不要部分は取り消されるべきであるとする請求人の主張を排斥した事例
裁決事例集 第35集 87頁
要旨
不動産賃貸借契約の締結に当たって、「差入保証金のうち、10パーセント相当額を解約手数料として賃借人に返還しない。」旨の条項を含んだ契約をしておき、税務当局から指摘を受け、課税された後に、契約当初にさかのぼって当該条項を「中途解約の場合にのみ、解約手数料として、差入保証金の10パーセント相当額を返還しない。」と改めたから、既往各事業年度分の所得金額の計算上、差入保証金のうち、返還不要部分として益金の額に算入され、課税された部分は取り消されるべきであるとする請求人の主張について、法人の各事業年度の所得金額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算するものとされているが、この会計処理の基準によれば、所得の金額の計算の基礎となった事実について、その事業年度経過後にその事実を変更する事由が生じた場合には、その事由が生じた事業年度の損益として認識し、既往の事業年度にさかのぼって所得の金額を修正すべきでないとされている。
したがって、本件契約変更前の定めに従い、解約手数料相当額を契約締結時の益金の額に算入した更正は相当であり、請求人の主張には理由がない。
要旨
被相続人の債務は、団体信用生命保険契約に基づき被相続人の死亡により支払われる保険金によって補てんされることが確実であって、相続人が支払う必要のない債務であるから、相続税法第14条に規定する「確実な債務」に当たらず、相続税の課税価格の計算上債務として控除することはできない。
要旨
建物等の存する土地をその建物等と共に取得した場合において、その取得後おおむね1年以内に当該建物の取壊しに着手するなど、その取得が当初からその建物等を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかであると認められるときは、当該建物等の取得に要した金額及び取壊しに要した費用の額の合計額は、当該土地の取得費に算入するものと解されているところ、請求人は昭和56年8月18日に本件土地建物を取得し、昭和57年6月21日付で9階建のビルの建築確認申請書を提出し、昭和57年9月27日に本件建物の賃貸借契約の解除を行って立退料を支払っており、建築確認申請書及び同付属書類によれば、本件土地の敷地を含めた土地全部が同ビルの建設予定敷地とされていること等からみて、請求人の本件土地建物の取得は、当初から本件建物を取り壊した上、本件土地をビルの敷地に供する目的であったといわざるを得ないから、本件立退料相当額は、不動産所得の必要経費ではなく、本件土地の取得費に算入すべきである。
土地(私道)が不特定多数の者の通行の用に供されていたとは認められないからその土地の価額は自用宅地の価額の60パーセントに相当する金額により評価することが相当であるとした事例
裁決事例集 第35集 165頁
要旨
通り抜けできない道路のように、専らその道路に面する敷地の利用者のための通行の用に供される私道は、その私道又はそれに面する土地が同一人の所有に帰属することとなった場合には、その用途を変更してその隣接する土地に包含され、道路でなくなる可能性を有しており、私有物として所有者の意思に基づき処分の可能性を留保しているところから課税対象財産となるのであるが、その使用収益にある程度の制約を受けているという事情を考慮すると、その私道に面する土地の利用状況等に応じて計算した価額の100分の60に相当する金額により評価することが相当と認められる。
要旨
請求人と共同保証人の地位にある長男は、継続して会社の取締役の職にあるほか、他の会社にも勤務して相当の収入を得ており、これに同人の妻が得ている給与収入を加えると、生活費を賄う資力もないほど困窮していたとは認められず、また、長男の財産関係をみると債務超過の状況にあり、その債務の返済も相当長期にわたることが認められるものの、その債務の内容及び返済の状況などを個別にみると、結果として財産が皆無になるなどの特別の事情が生ずるとは認められず、将来においても長男が請求人の求償に応じる見通しが立たないとまでいうことはできないから、当時求償権を行使しても回収できる見込みがないことが確実な状況に至っていたとは認めることはできない。
要旨
請求人が他の相続人との間で共有持分確認請求訴訟の維持に追われていたために申告書の提出が期限内にできなかったこと及び原処分庁が申告期限までの間に申告手続についての連絡をしなかったことは、国税通則法第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由がある場合」には当たらない。
要旨
所得税法第73条第2項に規定する医療費とは、医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるものをいうと規定され、これを受けて所得税法施行令第207条第1号ないし第6号において、医療費たる費用が限定列挙されているところであるが、糖尿病の治療のために入院していた者が通院治療に切り替わった後も入院中と同じ食事を摂るため、医師の指導を受けて給食センターに依頼した病人食に係る食事代は、上記規定中に食事代について何ら定めがなく、また、本件食事代が医薬品の購入の対価でないことは明らかであるから、本件食事代は医療費控除の対象とならない。
要旨
督促についての異議申立ては、当該処分後に納税地の異動があった場合においても、当該督促をした税務署長に対してしなければならず、当該税務署長に対してなされていない本件異議申立ては不適法であるから、本件審査請求も不適法である。
海外の顧客との商取引は請求人の売買取引ではないから、海外から送金を受けた金額は請求人の収入になるものではなく、コミッション相当額のみが収入金額であるとの請求人の主張が排斥された事例
裁決事例集 第35集 31頁
要旨
認定事実によれば、A社と請求人との間の仕入取引は通常の売買取引にほかならず、したがって、当該取引に係る商品(タイプライター)の所有権はA社から請求人に移転するものであり、次いで、請求人は、その所有権を取得した商品をD社等(外国法人)に送付するとともに、その対価として、D社等から、請求人において自由に設定した金額を記載したインボイス記載額の送金を受け、これにより多額の差益を得ていたものであり、しかも、請求人は、過大送金額を請求人個人の用途に費消したり、過大送金額の一部を請求人名義の定期預金にしたりするなど通常請求人の収入金額でなければできないようなことをしてきたものであって、請求人とD社等との間の取引も売買取引にほかならないということができ、したがって、請求人がインボイスに基づきD社等から送金された金額はすべて商品の輸出売上代金であって、その全部が請求人に帰属する収入金額であるというべきである。
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