裁決事例 昭和64年/平成元年(1989年)

裁決事例 昭和64年/平成元年(1989年)

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平成元年12月27日裁決

法人の取締役が個人的費消資金をねん出するために行った売上除外は、偽りその他不正の行為により税額を免れた場合に当たるとした事例

裁決事例集 第38集 15頁

要旨

 [1]本件簿外売上げを行った請求人の取締役は、木製建具部門の責任者であり、代表取締役の父であること、[2]本件簿外売上げに係る取引のすべてが請求人名義で行われていること、[3]取引先も請求人を取引の相手方と認識していることが認められ、これらを総合して判断すると、当該取締役の行為は請求人の行為と同視すべきものであり、本件簿外売上げに係る行為は、請求人の行為に当たるとみるのが相当であるところ、請求人が本件簿外売上げに係る収益の額を所得金額の計算上益金の額に算入しなかったことにより、法人税の税額の全部又は一部を免れたことは、国税通則法第70条第5項に規定する「偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れた場合」に該当する。

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平成元年12月27日裁決

租税特別措置法第58条の3第1項に規定する「新鉱床探鉱費の額」とは、現に支出した新鉱床探鉱費の額から新鉱床の探査のため受け入れた補助金の額に相当する金額を控除した額によるべきであるとした事例

裁決事例集 第38集 233頁

要旨

 租税特別措置法第58条の3第1項に規定する「新鉱床探鉱費の額」の算定に当たり、新鉱床の探査のために受け入れた補助金の額に相当する金額を控除すべきか否かについては、[1]新鉱床探鉱費の特別控除の制度が探鉱準備金の制度と連動していることから、その計算に当たっても採掘所得金額を計算する場合と同様、補助金の額を控除することが相当であること、[2]補助金交付の実質が国自ら新鉱床探鉱費を支出したことと変わらないことから、補助金によって補てんされた部分についてまで免税効果を与えることは不合理であること、[3]新鉱床探鉱費の額の算定に当たって補助金の額を控除する経理処理は、当該業界における公正妥当な会計処理の基準として定着していることから、新鉱床探鉱費の額は、補助金の額に相当する金額を控除して算定するのが相当である。

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平成元年12月27日裁決

遺言執行者に対する報酬(遺言執行費用)支払債務は、相続税法第13条に規定する債務に該当しないとした事例

裁決事例集 第38集 207頁

要旨

 遺言執行者の指定は、要式行為であって遺言によることを要し、生前において被相続人がA弁護士に遺言の執行を依頼し、かつ、一定の報酬を支払う旨の合意をしたとしても、かかる合意は、遺言執行者の指定を内容とする有償の委任契約としての効力を有しないところ、遺言は、遺言執行者を指定した部分を含め、遺言者の死亡の時に初めてその効力を生ずるのであるから、被相続人がA弁護士との間の合意によって、被相続人が生前において本件債務を負うことはあり得ないというべきである。むしろ、遺言執行者に関しては委任に関する規定が準用され、遺言執行者と相続人の関係は、委任に準じた法律関係により律せられるというべきであるから、本件債務を負担するのは請求人ら相続人であるというべきである。
 したがって、本件債務は、被相続人の債務とはいえず、本件債務を請求人が相続により取得した財産の価格から控除することはできない。

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平成元年12月26日裁決

遺留分権利者が遺留分減殺請求に基づく給付を遺産の譲渡代金から受領しても、譲渡所得は生じないとして原処分を取り消した事例

裁決事例集 第38集 27頁

要旨

 遺留分減殺請求に基づく遺留分権利者に対する価額弁償が遺産の譲渡代金でされた場合、受遺者は減殺の結果生じた現物の返還業務を免れ、遺留分の減殺請求の目的物に係る受遺者の所有権は遺留分権利者に移転しなかったことになると解されているから、譲渡所得があるとして遺留分権利者に対して所得税を課税した原処分は違法であり、取消しを免れない。

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平成元年12月25日裁決

有価証券の売買及び商品先物取引により生じた損失を雑所得を生ずべき業務から生じた損失の額と認定した原処分を適法とした事例

裁決事例集 第38集 36頁

要旨

 一定の具体的取引行為が「事業所得を生ずべき事業」に該当するか否かは、結局一般社会通念に照らし当該取引が事業として行われているか否かによって決せられるべきものであるが、有価証券の売買及び商品先物取引は投機性の強いものであるから、その判断においては、単に当該取引の営利性、有償性、継続性及び反復性の有無のみならず、事業としての客観性の有無が問題とされるべきであり、この観点からは、当然にその取引のための人的・物的設備の有無、資金調達方法、取引に費やした精神的、肉体的労力の程度、その者の職歴、社会的地位などのほか、当該取引によって相当期間継続して安定した収益を得られる可能性があるかどうかについて考察せざるを得ないものというべきである。
 本件において、請求人が、長期間にわたって有価証券の売買及び商品先物取引を大規模、かつ、継続的に反復して行っていたことが認められ、取引に費やした精神力、肉体的労力の程度も軽視し難いものがあったことは認められるものの、請求人は大規模な病院を経営し、その傍ら本件有価証券の売買及び商品先物取引を行っていたものであり、結局、請求人の趣味と実益を兼ねた投機により損失を被ったにすぎないから、本件有価証券の売買及び商品先物取引は、いまだ社会通念上事業と認められるに足りるものとはいえず、所得税法上の事業には該当しないものというべきであり、したがって、本件有価証券の売買及び商品先物取引から生じた損失を雑所得を生ずべき業務から生じた損失の額と認定した原処分は適法である。

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平成元年12月20日裁決

退職した役員に支払った役員退職給与の一部を親会社に対する寄付金であるとして否認した原処分を取り消した事例

裁決事例集 第38集 196頁

要旨

 本件役員退職給与99,000,000円については、税引後手取額が退職役員名義預金に預け入れられた後に、62,102,000円(振込手数料を含む)が外国関連会社に送金されているが、その送金額は、外国親会社及び外国関連会社が退職役員の出向期間中退職役員のために立て替えて支払ってきた年金掛金相当額を返済したものであって、これがためその送金額相当分を架空の退職給与とはいえない。

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平成元年12月15日裁決

外国法人からの仕入れ取引は円建てで行われたと認められるから、当該取引の決済により生じた為替差益相当額を過大仕入れによる寄付金と認定した原処分は相当でないとした事例

裁決事例集 第38集 156頁

要旨

 本件取引については、[1]請求人の仕入先である外国法人の委託を受け、商品代金の請求及び回収等の業務を行っている会社が実在していること、[2]甲期間(昭和58年9月30日以前)は、実質外貨建て取引を行っていたものであるが、乙期間(昭和58年10月1日以後)においてはこれを廃止し円建て取引となったと認められること、[3]外貨建て取引から円建て取引になっても関係帳票及びその表示方法を変える必要はなかったものと認められることから、たとえ原処分庁からみて不合理な結果(為替差益の流出)が生じたとしても、このことのゆえに当該契約が仮装による無効なものと判断することはできないので、当該取引が実質外貨建て取引であることを前提として為替差益相当額を過大仕入による寄付金であるとする原処分庁の主張は採用できない。

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平成元年12月5日裁決

地方公共団体に対する寄付金として支出した金員は、請求人が建設を予定しているゴルフ場の開発行為に伴う実質的な負担金であるから、繰延資産に該当するとした事例

裁決事例集 第38集 177頁

要旨

 請求人は、本件金員は地方公共団体に対する純然たる寄付金であって、負担金ではないから、法人税法第37条第3項第1号の規定により全額損金算入が認められるべきであると主張するが、本件金員の支出が本件ゴルフ場の開発行為の許可のための条件とされており、当該市長は本件金員を開発等指導要綱に基づく本件ゴルフ場の開発行為に係る水道布設工事の負担金として採納することとしていたことが認められるから、請求人は、本件ゴルフ場の開発行為に起因して本件金員を支出し、これによってその許可を得るという特別の利益を受けたことになるので、当該市長が本件金員を寄付金として採納したとしても、これを地方公共団体に対する純然たる寄付金とする余地はない。
 そして、上記水道布設工事は、本件ゴルフ場の開発行為に起因して着工されたものであること及び請求人が上記水道布設工事により布設された導水管を現に利用していること、また、本件金員を支出した効果が1年以上に及ぶことは明らかであるから、本件金員は、繰延資産に該当する。

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平成元年12月5日裁決

課税土地譲渡利益金額の計算上控除される譲渡経費の算定方法につき、確定申告において概算法を採用したときには、後日、実額配賦法を採用して更正の請求をすることはできないとした事例

裁決事例集 第38集 1頁

要旨

 請求人が、課税土地譲渡利益金額の計算上控除される譲渡経費の額の計算に当たって概算法又は実額配賦法のいずれの方法を用いて申告するかは、専ら請求人の自由な選択にゆだねられているところ、請求人は、確定申告時において概算法を選択しているのであるから、仮に、その後、実額配賦法の方が譲渡経費の額が多くなるとしても、概算法による計算に誤りがない以上、国税通則法第23条第1項第1号に規定する「課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと」又は「当該計算に誤りがあったこと」のいずれの要件にも該当せず、したがって、同条に定める更正の請求をすることはできない。

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平成元年11月29日裁決

使用貸借により長男の事業兼居住の用に供していた建物及びその敷地を譲渡する場合に支払った立退料等のうち、長男が建物に投下した建物改造費用の現存価額並びに閉店及び移転に要した費用は、譲渡費用に当たるとした事例

裁決事例集 第38集 72頁

要旨

 請求人は、使用貸借により長男が事業兼居住の用に供していた建物及びその敷地を譲渡する際、その建物から長男を立ち退かせるために立退料等の金員を支払ったが、使用貸借においては借主に借家権があるとは認められないので、本件立退料のうち借家権の消滅の対価の額に相当する金員については、これを支払う理由はなく、譲渡費用に該当しない。しかし、借主が借受物件に投下した有益費については、使用貸借においても借主が借受物件を返還する際に、貸主は償還業務を負うとされており、その有益費の額は現存価額とされているところ、本件においては、借主である長男は、建物改造費用を負担していることが認められるから、本件立退料のうちその残存価額に相当する部分の金額については譲渡費用とするのが相当である。また、営業補償名義の金員については、長男がチラシ、ポスター等の作成費用等閉店のために支出した費用の実費を補てんするため、請求人が長男に支払ったものと認められるから、これを譲渡費用とするのが相当である。

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平成元年10月30日裁決

譲渡した家屋は、主として居住の用に供していたものとはいえないから、租税特別措置法第35条第1項に規定する居住用財産に該当しないとした事例

裁決事例集 第38集 221頁

要旨

 請求人が居住用財産であると主張する本件家屋は、[1]請求人が本件家屋に転居した目的が、本件家屋内の古い家財道具を処分し、また、本件家屋に居住していた請求人の母らの転居準備を手伝うためであると認められること、[2]請求人と生計を一にする妻子は、請求人が本件家屋に転居した後も、本件家屋に転居するための何らの準備もせず、請求人が転居する以前に居住していた家屋に居住していたこと、[3]請求人は、本件家屋から会社へ通勤していたとはいえ、土曜日及び日曜日はほとんど毎週、それ以外の日も必要に応じて、妻子の居住する家屋に戻って生活していたことなどを総合すると、主として居住の用に供していた一の家屋ということはできないから、本件家屋は租税特別措置法第35条第1項に規定する居住用財産に該当しない。

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平成元年10月6日裁決

マンション建築用地の開発に当たり、市に対して土地を無償提供したことは、所得税法第78条第2項に規定する特定寄付金を支出した場合に当たらないとした事例

裁決事例集 第38集 85頁

要旨

 マンション建築用地の開発に当たり、都市計画法等の関係法令及び市の指導要綱に基づき、本件土地を無償提供しているが、土地の無償提供が本件開発行為における実質的な許可条件とされており、また、請求人が本件土地を提供したことにより開発行為の許可を受けられること自体、所得税法第78条第2項第1号かっこ書所定の「特別の利益がその寄付をしたものに及ぶ」と認められる場合に該当するから、本件土地の無償提供は、所得税法第78条第2項に規定する地方公共団体等に対して特定寄付金を支出した場合に当たらない。

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平成元年10月6日裁決

海外に送金した事業資金の一部をドル預金に設定し又は為替の売買等に運用し、その収益を会社益金に計上しなかったことは、事実の隠ぺい又は仮装に該当するとした事例

裁決事例集 第38集 7頁

要旨

 請求人が仮払金として海外に送金した多額の資金は事業資金等であって、代表者が管理・運用しており、請求人は、仮払金に係る運用収益が発生していることを十分に承知していたにもかかわらず、運用収益の発生事実を帳簿上明らかにせずに、これをあたかも代表者個人に帰属するものであるかのごとく処理して、当期の収益に計上していないのであるから、重加算税を賦課したことは相当である。

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平成元年10月6日裁決

鉄筋コンクリート造り店舗共同住宅の外壁等の補修工事に要した金員は修繕費に当たるとした事例

裁決事例集 第38集 46頁

要旨

 資本的支出と修繕費の区分は、支出金額の多寡によるのではなく、その実質によって判定するものと解されるところ、本件建物の外壁等の補修工事のうち、外壁等への樹脂の注入工事等は建物全体にされたものではなく、また、塗装工事等は建物の通常の維持又は管理に必要な修繕そのものか、その範ちゅうに属するものであるから、これらに要した費用は修繕費とするのが相当である。また、外壁天井防水美装工事は、補修工事に伴う補修面の美装工事であって、塗装材として特別に上質な材料を用いたものではないことが認められるから、これに要した費用も修繕費とするのが相当である。

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平成元年9月12日裁決

ビル内貸店舗の賃貸借に当たり収受される保証金のうち、賃貸借期間満了時に返還を要しない、いわゆる保証金償却額は、賃貸借契約の締結時の収益であるとした事例

裁決事例集 第38集 147頁

要旨

 ビル内貸店舗の賃貸借に当たり収受される保証金のうち、賃貸借期間満了時に返還を要しない、いわゆる保証金償却額については、本件各賃貸借契約によれば、請求人が各賃借人にこれを返還すべき事由は一切生じないから、その経済的実質は権利金であり、本件賃貸借契約が締結された時にその返還を要しないことが確定したものと認められる。したがって、本件保証金償却額の収益計上時期は、その返還を要しないことが確定した本件各賃貸借契約が締結された本件各事業年度となる。
 また、契約期間満了前に本件保証金償却額を権利金として認定した場合には、本件保証金が譲渡性を有する財産権(借家権)の性格を持つことになるから、各賃借人がそのような譲渡を自由にできなくするために、契約期間満了の日まで本件保証金を預かっている旨請求人は主張するが、借家権の譲渡性は、その権利を設定するに当たって権利金を支払うことにより当然に付与されるものではなく、賃借人が借家権の転貸又は譲渡をする場合には、権利金の支払とは別に賃貸人の承諾を要するものと解される。そうすると、本件保証金償却額を権利金と認定しても、借家権に譲渡性が付与されることにはならないと解すべきである。

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平成元年9月12日裁決

青色申告に係る年分の所得金額を更正する場合の理由付記の程度について適法とした事例

裁決事例集 第38集 93頁

要旨

 青色申告に係る年分の所得金額の更正を行う場合における、更正の理由付記の程度としては、納税者の申告のいかなる点にどのような誤りがあり、また、更正された数値がどのようにして算定されたものであるかが理解できる程度であれば足り、それ以上に事実関係の細部にわたり法的評価及び判断の根拠となった事実関係までも記載することは要しないものと解されるところ、本件においては、原処分庁は、請求人が同族会社に支払った本件建物の賃料の額及び医薬品の仕入れ金額の支払事実を否認して更正したものでなく、その支払金額が極めて高額であり、これらの行為又は計算に基づいて事業所得の金額を計算することは、請求人の所得税の負担を不当に減少させるものであると認定した上、所得税法第157条の規定を適用してその一部請求人のを事業所得の金額の計算上必要経費の額に算入することができないとしたものである旨を付記しており、処分の内容は特定され、その金額及びその金額の計算根拠も明示されているのであるから、請求人は、処分の理由を具体的に知ることができるものであって、本件更正通知書の理由付記の程度は、更正の理由付記として十分なものと認められる。

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平成元年8月28日裁決

宗教法人である請求人の営む不動産貸付業及び駐車場業は、法人税施行令第5条第2項の要件に該当しないから、非収益事業には当たらないとした事例

裁決事例集 第38集 135頁

要旨

 法人税法施行令第5条第2項第1号に規定する「その事業がこれらの者の生活の保護に寄与しているもの」とは、その事業が営利を目的とせず、従事する身体障害者等の生活の保護に寄与することを主目的として行われていると認められる場合がこれに該当すると解すべきであり、具体的には当該事業に係る収入金額又は収益金額の相当部分を身体障害者等に給与等として支給しているか否かによって判断すべきものと解される。
 しかるに、本件事業において従事する者の全員に支給した給与の額の収入金額又は利益金額に占める割合は、身体障害者等の生活の保護に寄与している事業と認めるには余りにも低率であるから、本件事業は、これらの者の生活の保護に寄与しているものとは認められず、したがって、法人税法第7条“内国公益法人等の非収益事業所得等の非課税”の規定は適用されない。

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平成元年8月9日裁決

相当の地代を収受して貸し付けていた土地を貸付先である請求人の役員に更地価額より低い価額で譲渡したことは、時価と譲渡価額との差額相当額の役員賞与を支給したことに当たるとした事例

裁決事例集 第38集 188頁

要旨

 本件土地の賃貸借契約に当たり、権利金に代えて相当の地代を収受することとし、それを地価の上昇に応じて増額しているから、借地権の経済的価値は零と評価されるところ、請求人は、請求人の役員である当該土地の賃借人に対し、時価を大きく下回る価額で本件土地を譲渡し、その下回ったことについて特段合理的な理由は認められず、むしろ、譲受人が請求人の取締役であるがゆえに、かかる価額で譲渡が行われたものであると認められるから、譲渡時における時価と請求人の譲渡価額との差額は、当該役員に対し実質的に贈与したものと認めるのが相当であり、役員賞与に該当する。

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平成元年7月5日裁決

過大な不動産管理料につき所得税法第157条を適用して否認した更正は適法であるとした事例

裁決事例集 第38集 117頁

要旨

 所得税法第157条にいう「所得税の負担を不当に減少させる結果となる」か否かは、同族会社の行為又は計算に基づいて算出された税額と通常あるべき行為又は計算に引き直して算定された税額とのかい離によって判断すべきであり、また、その判断に際しては、納税者が当該同族会社の役員として受領した報酬額及び当該同族会社の法人税の額を考慮すべきものではないと解されるところ、認定によれば、原処分庁の算定した同業者の不動産管理料割合は適正と認められ、これを基に算出された適正管理料の額に基づいて計算した請求人の所得税額は請求人の申告所得税の額に比べ著しくかい離していることが明らかであり、本件不動産管理委任契約に基づく行為又は計算は、請求人の所得税の負担を不当に減少させる結果となっていると認められるから、請求人の不動産所得の金額を所得税法第157条の規定を適用して算定した原処分は相当である。

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平成元年6月30日裁決

租税特別措置法第37条の課税の特例を適用して確定申告書を提出した者が、その後に当該特例の適用を取りやめる旨の修正申告書の提出をすることはできないとした事例

裁決事例集 第37集 295頁

要旨

 譲渡所得の金額の計算について、納税者が租税特別措置法第37条の特例の適用を受ける旨を記載した確定申告書を提出した以上、やむを得ない事情がある場合のほかは、修正申告書を提出することによってその適用を受けない旨の変更をすることはできないと解されるところ、請求人の当該特例を適用した昭和58年分の確定申告は、適法なものであり、請求人が提出した同年分の修正申告書が同法第37条の2第2項の修正申告書の提出要件にも該当しないことは条文上明らかである上、請求人は、原処分の調査時に、当該特例を適用した場合、昭和61年分の分離短期譲渡所得の金額が増加することを知って、昭和58年分の修正申告書を提出したものであり、当該特例を適用して確定申告書を提出したことについてやむを得ない事情がある場合にも該当するとは認められないから、請求人の主張には理由がない。

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平成元年6月23日裁決

請求人の本件不動産の譲渡による所得は、営利を目的として継続的に行ったものと認めるのが相当であるから、譲渡所得に該当せず、かつ、その売買は、社会通念上事業と認めるに足りないので、事業所得ではなく雑所得に該当するとした事例

裁決事例集 第37集 48頁

要旨

 請求人は、本件不動産は不動産賃貸業の用に供していたものであり、また、本件不動産を譲渡したのは、より条件の良い賃貸物件の取得及びローンの負担の軽減を図るためであり、その結果として売買回数が多くなり、所有期間が短くなったにすぎず、したがって、本件不動産の売買は、売買による営利を目的としたものではなく、賃貸経営を目的としたものであるから、本件不動産の譲渡による所得は譲渡所得とすべきであると主張するが、請求人は、[1]いわゆるワンルームマンションを主とする不動産の購入及び売却をして売買利益を得ており、また、受領した売却代金の大部分と多額の借入金で新規の不動産を購入するなどして、相当数の不動産の売買を繰り返していること、[2]売却した物件の所有期間は極めて短期間であること等から、営利を目的として継続的に本件不動産の譲渡を行ったものと認めるのが相当であるから、本件不動産の譲渡による所得は、所得税法第33条第2項第1号の規定により譲渡所得に該当せず、事業所得又は雑所得に該当するところ、請求人は、不動産の売買取引のあっせん及び仲介をしたことがなく、その取引の仲介を不動産業者に依頼していること、不動産取引のための雇人及び物的施設も有していないこと、別会社の代表取締役の地位にあることを総合勘案すると、請求人が行った不動産の売買は、社会通念上事業と認めるに足りないので、雑所得に該当すると解するのが相当である。

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平成元年6月22日裁決

請求人の家屋が建築されている宅地は、以前請求人が地上権を有していたが、その建築前に地上権は抹消登記されており、かつ、地代の支払もないから、その貸借は使用貸借と認められ、自用地としての価額により評価するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第37集 218頁

要旨

 請求人が相続により取得した宅地の上には、請求人の家屋が建築されているが、[1]請求人が本件宅地の上に有していた地上権は、本件家屋が建築される前に抹消登記されていること、[2]本件宅地の賃貸借としての地代の支払が行われていないこと、[3]相続開始数年前、請求人等が本件土地の持分を贈与により取得した際に、請求人等は、本件土地の持分を自用地としての価額により評価し、贈与税の申告書を提出していること等から、被相続人と相続人との本件宅地の貸借は、使用貸借によるものと認められるので、本件宅地の価額は、自用地としての価額により評価することが相当と認められる。

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平成元年6月21日裁決

役員退職慰労金の算定に当たり、みなす役員としての期間を算入すべきであるとの主張を退けた事例

裁決事例集 第37集 185頁

要旨

 請求人は、退職した専務取締役の在職期間の算定について、いわゆる「みなす役員」であった期間をも算入すべきであると主張するが、みなす役員として勤務していたとの事情が明らかではないこと、役員に就任した当時に退職金の支給を受けていたこと等からすれば、みなす役員に該当するとは認められず、役員の在職期間の算定においては、みなす役員であったと主張する期間を算入することは認められない。

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平成元年6月20日裁決

兄の経営する会社の従業員に固定資産税及び修繕費の負担をさせて居住させていた土地建物は事業用資産に該当しないとした事例

裁決事例集 第37集 282頁

要旨

 請求人が譲渡した土地は、その土地の上にあった建物と共に、請求人から管理を委任された兄がその経営する会社の従業員に固定資産税及び修繕費を負担させて居住させていたものであるところ、[1]賃貸借期間、賃貸料等についての取決めがないこと、[2]請求人は、本件土地を譲渡した後に兄から報告を受けるまで、その従業員への貸付けの事実を報告されていなかったこと等の事実を総合勘案すると、その貸付けは、維持・管理の目的で従業員に使用させていたと認めるのが相当であるから、相当の対価を得る目的で貸し付け、かつ、相当の対価を得ていたものとは認められない。
 また、その土地の上にあった建物を取り壊した後、その土地は建設会社に貸し付けられたが、それは、貸付期間が6か月間延長されたものの1年6か月であったこと及び使用目的が橋梁架換工事のための仮設道路用地であったこと等からすると、一時的に貸し付けていたにすぎないと認めるのが相当である。
 したがって、本件土地の貸付けは、事業に準ずるものとは認められず、原処分庁が本件土地が事業用資産には該当しないとして、その譲渡につき租税特別措置法第37条の規定を適用しなかったことは相当である。

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平成元年6月19日裁決

協議離婚無効確認請求訴訟に係る弁護士費用として支払った金員は、当該訴訟に関してなされた和解に基づいて、妻と共有する土地から分割して取得した土地の譲渡による所得金額の計算上控除すべき取得費に当たらないとした事例

裁決事例集 第37集 80頁

要旨

 請求人は、本件土地は請求人の提起した協議離婚無効確認請求訴訟に係る和解に基づいて妻との共有土地から分割し、請求人固有の財産となったものであるから、当該訴訟に係る弁護士費用として支払った金員は、本件土地の譲渡所得の金額の計算上控除すべき取得費に該当すると主張するが、当該訴訟の本来の目的は、協議離婚を前提とした上で妻の提起した財産分与請求に対抗して自己の財産を防御するにあったというべきであるところ、共有土地の請求人の持分も財産分与の請求の対象とされ、請求人の持分を妻に財産分与しなければならない可能性があったこと、また、当該訴訟において、財産分与の請求の対象となった財産をどのように分与するかといった紛争があったことは否定できないとしても共有土地の所有権等の帰属に関する紛争はなかったことが明らかであり、請求人は、当該和解に基づいて共有土地を分割し、請求人の持分に対応する本件土地を確保したにすぎないものというべきで、請求人は何ら資産を取得したものとはいえないので、本件弁護士費用は取得に関し争いのある資産につき所有権等を確保するために直接要した訴訟費用等とはいえず、したがって、本件弁護士費用は譲渡所得の金額の計算上控除すべき資産の取得費には該当しない。

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平成元年6月16日裁決

代替資産として取得した建物及び建物附属設備のうち、建物についてのみ圧縮記帳したために生じた圧縮限度超過額は、建物附属設備に係る圧縮損の計上額として取り扱うことはできないとした事例

裁決事例集 第37集 311頁

要旨

 租税特別措置法第64条第1項の規定は、法人がその決算を確定する際に、同項に定める方法により経理上の処理をすることを要件として、その処理をした金額に限り、しかも、圧縮限度額の範囲内で、所得の金額の計算上、損金の額に算入することを認めているものであるところ、請求人は、損金経理により帳簿価額を減額する方法により建物のみを圧縮経理しており、建物附属設備については、その経理をしていないことが認められるから、建物附属設備を圧縮限度額の計算の基礎になる代替資産に含めて圧縮限度額を算定することはできない。

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平成元年6月16日裁決

無利息の金銭借入れにおいて、利息相当額の経済的利益の額を贈与により取得したとみなして贈与税の課税をすることは所得税との二重課税とならず適法であるとした事例

裁決事例集 第37集 241頁

要旨

 請求人はその経営する自動車学校の運営資金に充てるため請求人の父から無利息の約定で昭和53年から昭和60年まで金銭を借り入れたが、当該利息相当額は、事業所得の計算上必要経費に算入しておらず、その額だけ事業所得の金額が多く算出された結果となっているから、利息相当額の経済的利益の額を贈与により取得したとみなして贈与税の課税をすることは所得税との二重課税となり違法である旨主張するが、贈与税は取得した財産を課税対象としており、資産の運用益等、すなわち、所得を課税対象とする所得税とはおのずからその課税対象を異にするものであり、また、本件経済的利益の額は事業所得の収入金額には加算されておらず、所得税は課税されていないのであるから、二重課税であるとの請求人の主張は採用できない。

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平成元年6月13日裁決

請求人が原処分庁に提出した上申書等は租税特別措置法施行令第39条の7第26項の買換資産の取得期間延長申請書としての法定記載事項を欠き、また、最終提出期限を経過した後に提出されたものであるから、適法な取得期間延長申請書とは認められないとした事例

裁決事例集 第37集 320頁

要旨

 請求人が原処分庁に提出した上申書及び嘆願書は、租税特別措置法施行令第39条の7第26項の買換資産の取得期間延長申請書としての法定記載事項を欠くものであり、また、仮に同項かっこ書に規定するやむを得ない事情があったとしても、これらの書類は取得期間延長申請書の最終提出期限を経過した後に提出されたものであるから、適法な取得期間延長申請書とは認められない。

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平成元年6月8日裁決

期限内申告書の提出がなかったことについて国税通則法第66条第1項ただし書に規定する正当な理由があるとした事例

裁決事例集 第37集 1頁

要旨

 受遺者の一人が遺贈の一部を放棄したことによって、相続人たる請求人が相続財産を取得し、相続税の申告書を提出した場合には、その申告書に記載された相続税の課税価格のうち、受遺者が遺贈の一部を放棄したことによって初めて取得したと認められる部分については、相続税法第30条に規定する期限後申告書の性格を有しているものと認めるのが相当であり、請求人には当該部分を申告期限内に申告すべき義務はなかったというべきであるから、期限内申告書の提出がなかったことについて国税通則法第66条第1項ただし書に規定する正当な理由があると認められる場合に該当する。

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平成元年6月7日裁決

役員給与の一部の金額を未払金に計上した上、従業員に対する賞与の支給時期に支払った場合、当該金員は役員賞与に該当するとした事例

裁決事例集 第37集 174頁

要旨

 役員に支給された給与が報酬となるか、賞与となるかは、実際に支給された給与が定期的な給与か、臨時的な給与かという支給形態ないし外形によって判断すべきところ、[1]本件役員報酬について、あらかじめ定められた支給基準に基づいて定時にその全額を支払うことができないとする特段の事情もないこと、[2]毎月の役員報酬の一部を未払金とし、その額をおおむね盆、暮れの従業員に対する賞与の支給期に支払っていること、[3]賞与の支給期に支払った金額は、未払金残高を超える金額であることから、未払金勘定に赤字が生じているが、当該赤字の金額を各事業年度の期末においては、その残高がちょうど零円となるように、その後の当該役員報酬の未払金で補てんしていること等から判断すると、当該未払金は、当初から役員賞与として支給すべきものを形式的に定期の給与にしたものにすぎない。

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平成元年5月26日裁決

請求人が前代表者から購入した土地の譲受価額は、その土地の時価に比し低廉であることから、時価と譲受価額との差額は受贈益として益金の額に算入されるとした事例

裁決事例集 第37集 153頁

要旨

 法人が資産を時価より低額で譲り受けた場合には、時価と譲受価額との差額について無償による財産の取得があったものとし、その譲受価額が時価より著しく低いか否かを問わず、益金の額に算入すべきものと解されるところ、本件土地の時価について、請求人の主張するホフマン式計算方法により算定することは、土地の評価方法として適当でなく、また、原処分庁の評価も、売買実例価額、精通者意見価格、公示評価を基に算定しているが、一部適当でない取引事例が含まれているなど適切でなく、審判所において算定したところ、70,982,700円と認められるから、この額と譲受価額30,000,000円との差額40,982,700円は請求人が実質的に贈与を受けたものとして益金の額に算入されるというべきである。

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平成元年5月23日裁決

不動産業を営む請求人が不動産の販売について、他の不動産業を介在させることによって、販売代金の一部を除外していたものと認定した事例

裁決事例集 第37集 128頁

要旨

 [1]本件土地の売買交渉は、不動産業を営む請求人と最終取得者との間で行われ、その売買交渉により売買代金額を合意したものであり、[2]最終取得者及び仲介人は、請求人を本件土地の売主と認識して取引に臨んだことが認められる。また、[3]最終取得者が支払った土地代金は、すべて請求人が受領したことが認められ、しかも、[4]請求人の主張に係る中間に介在する不動産業者は、請求人の依頼を受けて自己の名義を貸したにすぎず、請求人と右業者との売買は架空の取引と認められる。さらに、[5]請求人と右業者との間の金銭借用書なる書面は、本件売買日以後に請求人が無断で作成したものと認められる。これらの事実によれば、本件土地は、請求人が最終取得者に対しその合意された売買代金額をもって譲渡したものと認めるのが相当である。

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平成元年5月23日裁決

相続により取得した預託金制のゴルフ会員権の価額は、通常の取引価格の70パーセントに相当する金額によって評価するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第37集 213頁

要旨

 請求人は、相続により取得した預託金制のゴルフ会員権の価額は、本件会員権の実質が預託金返還請求権たる債権にすぎないから預託金相当額によって評価すべきであると主張するが、本件ゴルフ会員権に係る会員については、[1]当該ゴルフクラブに預託金を納入した者が会員になれること、[2]会員はゴルフ場施設を利用できること、[3]退会の際には預託金の返還を受けること、[4]会員資格は譲渡することができること、また、本件ゴルフ会員権については、会員権取引仲介業者間で取引の気配が常時把握されているところから、本件ゴルフ会員権の経済的価値は、預託金返還請求権と施設利用権とが不可分一体となってこれを構成し、かつ、それ自体が換価性のあるものとなっていると解される。したがって、その価額は、客観的交換価値と解される通常の取引価格によるのが相当であり、請求人の主張は採用できない。
 また、原処分庁は、ゴルフ会員権の評価通達に基づき本件会員権の価額を通常の取引価格の70パーセント相当額として評価しているが、個別の財産の客観的評価は、その価額に影響を与えているあらゆる事情を考慮して行われるべきであるから、その定めは相続財産評価の一方法というべく、原処分庁の評価額を何ら不相当とする理由はない。

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平成元年5月17日裁決

保証債務を履行したことにより生じた損失は事業遂行上生じたものではないから、必要経費に算入することはできないとした事例

裁決事例集 第37集 74頁

要旨

 保証債務を履行したことにより生じた本件損失は、現在経営する病院を設立する過程における事業活動の一環として生じたものである旨請求人は主張するが、本件損失は、請求人が連帯保証をし保証債務を履行した経緯、現在経営する病院の設立及び運営の状況に照らすと、現在経営する病院の設立及び運営に伴い生じたものと認めることはできず、事業の遂行上生じたものとはいえないから、必要経費に算入することはできない。

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平成元年4月28日裁決

確定した決算に基づき法人税の確定申告をした後に決算を変更する株主総会決議をしたとしても、確定決算において損金経理されていない減価償却費及び債権償却特別勘定繰入額は、損金の額に算入されないとした事例

裁決事例集 第37集 165頁

要旨

 請求人は、本件事業年度の決算は、定時株主総会ではなく、その後に開催された臨時株主総会において減価償却費及び債権償却特別勘定繰入額を計上した新決算書が承認されたことにより確定し、これに基づき修正申告をしたのであるから、本件償却費等の損金算入を認めるべきであると主張する。
 しかし、[1]請求人の代理人である税理士が請求人の依頼に基づき定時株主総会に報告するため本件償却費等の計上のない旧決算書を作成したこと、[2]請求人は、旧決算書が適法に確定したことを前提とする法人税の確定申告書を法定申告期限内に提出し、かつ、当該申告が有効であることを自認していること、[3]請求人が提出した臨時株主総会の議事録は、重大な誤りがあり信用できないことなどからすれば、旧決算書が、定時株主総会の承認を受けた決算、すなわち「確定した決算」であると認められ、このような確定した決算を変更することは、確定申告が無効となるような特別の事情がない限り認められないと解すべきであり、請求人には、そのような特別の事情はないのであるから、損金経理されていない本件償却費等は、損金の額に算入することはできない。

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平成元年4月25日裁決

個人で病院を営む請求人が同族会社に支払った管理委託料は、当該同族会社と類似同業者の収受する管理委託料に比準して算定した適正管理料に比して不当に高額であるとして所得税法第157条の規定を適用した原処分は相当であるとした事例

裁決事例集 第37集 100頁

要旨

 請求人は、各年分の所得税の負担を不当に減少させるために同族会社を設立し、管理委託料を支払ったものではなく、また、所得税第157条に規定する「不当に」の判断は、同法第59条第1項第2号の規定に基づく同法施行令第169条の規定を準用して2分の1の額に満たないかどうかによるべきであるから、管理委託料を支払ったことによって各年分の所得税の負担を不当に減少させたものとはならないと主張するが、同法第157条に規定する「所得税の負担を不当に減少させる結果となる」と認められるか否かは、同族会社の行為又は計算に基づいて算出された税額と通常あるべき行為又は計算に引き直して算定された税額とのかい離によって判断すべきであり、しかも、そのかい離は、画一的な線を引くことなく、具体的事案ごとに判断すべきものと解されるところ、請求人が同族会社に対して支払った管理委託料についてみると、類似同業者に比準して算定した適正管理料の額をはるかに超えた異常なものであり、殊更に高額な管理委託料を支払うべき合理的な理由も認められず、また、管理委託契約に基づく行為又は計算によって算出された請求人の所得税の負担は、適正管理費の額によって算出された請求人の各年分の所得税の負担に比し、各年分ともかい離していることが認められるから、その高額と認められる部分の金額は、必要経費の額に算入することはできない。

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平成元年4月13日裁決

物上保証人と連帯保証人とを兼ねる者が債務者のために自己の出えんをもって債務を弁済した場合には、当該弁済がいずれの地位に基づくものであるかにかかわらず、他の連帯保証人に対して求償権を取得するものであり、請求人が弁済した債務額のうち、当該他の保証人に対する求償権の行使可能額に対応する部分の金額については所得税法第64条第2項の規定の適用はないとした事例

裁決事例集 第37集 87頁

要旨

 請求人は、本件債務の弁済は、連帯保証人兼物上保証人である請求人が物上保証人としての地位に基づいてしたものであるから、他の2名の連帯保証人に対しては求償権は発生せず、また、仮に、請求人による本件債務の弁済が連帯保証人としての保証債務の履行に当たるとしても、両名の連帯保証は債権者の要請により単に名義を借用した形式的なものであるから求償権の生ずる余地はなく、したがって、請求人が弁済した債務額の全額について所得税法第64条第2項の規定の適用を認めるべきであると主張するが、一般に物上保証人と連帯保証人を兼務する者が債務者のために自己の出えんをもって債務を弁済した場合には、当該弁済がいずれの地位に基づくものであるかにかかわらず債権者に代位し、求償権を取得するものであり、また、債権者に差し入れている保証約定書に請求人のほか両名が連帯保証人として署名捺印し本件債務を保証している以上、両名が形式的な連帯保証人である旨の請求人の主張には理由がなく、そして、両名の負担部分について特約が存在したことを認めるに足りる証拠がないから両名の負担部分は平等であり、かつ、両名は相当の資産及び所得を有するため支払能力は十分であって、両名に対するその負担部分に係る求償権の行使は可能と認められ、したがって、請求人が弁済した債務額のうち、請求人の負担部分に対応する金額を超える部分の金額については、所得税法第64条第2項の規定の適用はない。

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平成元年3月31日裁決

譲渡土地は租税特別措置法第37条第1項に規定する事業の用に供していた資産に該当しないとした事例

裁決事例集 第37集 269頁

要旨

 譲渡された土地の利用状況は、特定の者の駐車場としての表示や施設が設置されることもなく、その近隣へ勤務する者や所用のあった者が随時、必要に応じて自動車を駐車していた程度であり、また、本件譲渡土地を事業の用に供する積極的な意図は認められず、近い将来貸付けの用に供されることが客観的に明白でないと認められるから、本件土地は租税特別措置法第37条第1項に規定する事業の用に供していた資産に該当しない。

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平成元年3月31日裁決

長男の死亡に伴い父親が受け取った保険金は、被保険者である長男が負担した保険料に係るものであるから、みなし相続財産に該当するとした事例

裁決事例集 第37集 65頁

要旨

 税法上、保険金受取人の取得した保険金が、一時所得として所得税の課税対象となるのか、相続財産とみなされて相続税の課税対象となるのかは、その保険金に対応する保険料の負担者が何人であるかによって判定されるべきものであり、その保険料負担者とは単に保険契約者をいうのではなく、実質上の負担者をいうものと解されるところ、長男の死亡に伴い父親(請求人)が受け取った本件生命保険金は、長男を被保険者とし、父親を保険契約者及び保険金受取人とする生命保険契約に基づくものではあるが、その保険料は、親せきなどから被保険者である長男に贈られた就職祝金をもって長男が全額負担したものと認めるのが相当であり、相続税法第3条第1項に規定する相続財産とみなされる場合に当該するというべきであるから、一時所得に当たるとした原処分はその全部を取り消すべきである。

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平成元年3月28日裁決

共同施行による土地区画整理事業の施行者は、いわゆる「人格なき社団」ではなくその構成員個人であるから、その事業に伴い保留地を処分した場合には、各構成員個人に譲渡所得の課税関係が生ずるとした事例

裁決事例集 第37集 31頁

要旨

 本件共同施行による土地区画整理事業は、その規約において構成員を事業の施行者とした上で、[1]規約の変更に関すること、[2]事業計画の変更に関すること、[3]仮換地の指定に関すること及び[4]換地計画に関することについては、施行者全員出席の上、全会一致で決する旨定めており、その根幹をなす重要な部分の運営につき、構成員たる施行者各人の個別の意思が色濃く作用する仕組みになっていて、多数決原理に基づく一個の団体意思の働く余地は全くないと認められるから、その事業主体が社会的にみて請求人ら構成員を超えて別個にその存在が認識される「人格なき社団」の域に達しているというのは困難であり、せいぜい個人どうしの事業を共同施行契約によって実行したものと認めるのが相当であるから、本件土地区画整理事業に伴って保留地を処分した場合には、当該構成員個人に譲渡所得の課税関係が生ずることとなる。

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平成元年3月16日裁決

売上除外等の不正行為は従業員が行ったものであり、請求人がその不正行為を知ったのは原処分調査時であるから、国税通則法第68条第1項に規定する「隠ぺい又は仮装」に該当しないとの主張を排斥した事例

裁決事例集 第37集 22頁

要旨

 請求人は、売上除外等の不正行為は従業員が請求人に無断で行ったものであり、請求人の代表者等は関与していなかったから、重加算税を賦課することは不当である旨主張するが、当該売上除外に係る簿外銀行預金の払戻しの状況、同預金の預金通帳や印鑑の保管状況、真正な売上げを記載した売上メモの保管状況等から、請求人の代表者等も売上除外行為を知っていたものと認められるから、重加算税を賦課したことは相当である。

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平成元年3月16日裁決

無申告を原因とする青色申告の承認の取消処分に手続の違法があり、裁量権の濫用にわたる部分が存在するとの主張を退けた事例

裁決事例集 第37集 207頁

要旨

 昭和62年12月期以後の青色申告の承認を取り消した原処分は、請求人の事情を考慮せず、形式的申告期限の徒過という一事をもって、告知・聴聞の機会を与えずに行われたものであり、裁量的取消権限を濫用してなされたものであると請求人は主張するが、昭和61年12月期及び昭和62年12月期はいずれも無申告であり、昭和58年12月期から昭和60年12月期までについてはいずれも期限後申告であるという事実を踏まえて、原処分庁は、昭和62年12月期以後の青色申告の承認を取り消したものであり、当該処分に当たって、告知・聴聞など事前の手続を要する旨の法令上の規定はなく、また、裁量権を濫用した事実も認められないから、請求人の主張には理由がない。

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平成元年3月15日裁決

昭和59年分の所得税の確定申告書には何ら無効原因となる錯誤の存在は認められず、当該確定申告において既に租税特別措置法第35条第1項の規定の適用を受けていることが明らかであるから、昭和61年分の所得税の確定申告において居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用を受けることはできないとした事例

裁決事例集 第37集 259頁

要旨

 請求人は、物件甲売買契約が停止条件付売買契約あるいは物件甲の売買予約に該当し、その効力が昭和59年中に発生していないにもかかわらず、重大かつ客観的に明白な錯誤に基づいて昭和59年分の所得税の確定申告書に譲渡所得の金額を記載したのであるから、当該申告は無効であり、昭和61年分の所得税の確定申告において租税特別措置法第35条第1項に定める特別控除の適用が認められる旨主張するが、物件甲売買契約においては、物件甲の引渡しの日を特定の日と定めてはいないが、売買代金等の完済日を引渡しの日としており、そして、物件甲の引渡しを物件甲売買契約の効力の発生に係らせるような約定はなされておらず、譲受人が期日までに転勤しなければ物件甲売買契約の効力は生じないとする約定もなく、また、その他の証拠を総合しても物件甲売買契約が停止条件付売買契約であるとは認められない。
 したがって、昭和59年分の所得税の確定申告書には、何ら請求人主張のような無効原因となる錯誤の存在は認められず、当該確定申告書において、既に租税特別措置法第35条第1項の規定の適用を受けたことが明らかであるから、昭和61年分の所得税の確定申告において居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用は認められないというべきである。

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平成元年3月6日裁決

交換により取引の相手方に譲渡した資産の価額は、交換契約において確定している交換取得資産の価額を基として算定すべきであるとした事例

裁決事例集 第37集 117頁

要旨

 請求人は、本件交換譲渡資産の譲渡の対価として、本件交換取得資産及び本件交換差金を取引の相手方から取得又は収受したものと認められるところ、本件交換譲渡資産の価額は、本件交換契約書の一部である付表に749,776,000円と記載されており、また、同額と評価した本件交換取得資産(受入れ交換差金を含む。)の価額も近隣類似土地の売買実例価額からみて相当であるから、本件交換譲渡資産は、その対価の額749,776,000円で譲渡としたものと認めるのが相当である。

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平成元年1月31日裁決

いわゆる「つまみ申告」が国税通則法第68条第1項に規定する隠ぺい仮装行為に該当するとした事例

裁決事例集 第37集 16頁

要旨

 自らの事業により多額の所得を得、その所得を十分かつ正確に認識しながら、その認識した真実の所得をあえて秘匿し、それが課税の対象となることを回避することを意図し、実際の所得を把握できる関係書類等に依拠した申告をすることなく、殊更に関係書類に基づかずに所得金額を低く記載した内容虚偽の確定申告書、修正申告書を提出して申告する行為は、所得税の税額計算の基礎となる所得の存在を隠ぺいし、その隠ぺいしたところに基づいて納税申告書を提出したことに該当する。

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平成元年1月25日裁決

請求人が医療法人の退社に伴い収受した金員は、出資金の払戻しであると認めらるから、配当所得の収入金額に当たるとした事例

裁決事例集 第37集 43頁

要旨

 請求人が医療法人の退社に伴い収受した金員について、請求人は、医療法人に対する出資金の譲渡、すなわち、有価証券に化体された資産の譲渡代金であるから、所得税法第9条第1項第11号に規定する有価証券の譲渡に当たると主張するが、払戻しを求める請求文書、医療法人の臨時社員総会における出資金の減資分についての出資の取決め等からすると、有価証券の譲渡ではなく、出資金の払戻しに該当すると認定すべきものであるから、その出資額を超える部分の金額が配当所得の収入金額とみなされるとして行った原処分は相当である。

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平成元年1月12日裁決

本件機械及び装置は、本件事業年度中に取得されていないから、租税特別措置法第45条の2に規定する特別償却を適用することはできないとした事例

裁決事例集 第37集 305頁

要旨

 租税特別措置法第45条の2が適用されるためには、本件事業年度中に当該機械及び装置を取得し、事業の用に供することが要件とされているところ、本件装置については、[1]請求人の立会いの下に検査及び性能試験を行い、これを確認することをもって引き渡されるものとする旨の取決めがあること、[2]記録上、昭和60年6月27日に行われた本件装置の性能試験の結果に基づき、請求人は昭和60年7月12日に保証性能を確認し、引渡しを受けていることが認められるので、本件装置の取得の日は、翌事業年度中の昭和60年7月12日となり、したがって、本件事業年度において租税特別措置法第45条の2の特別償却を適用することはできない。

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平成元年1月12日裁決

生計を一にする親族について、請求人と請求人の夫がいずれもその扶養親族として申告している場合には、所得税法施行令第219条第1号に規定するところにより、いずれの扶養親族に該当するかを判断すべきであるとした事例

裁決事例集 第37集 95頁

要旨

 請求人と請求人の夫がいずれも長男を扶養親族として申告している本件において、請求人の夫は、請求人及び長男と別居し、生活費の一部にすぎない月額20,000円を長男の養育費として送金しているのみであるのに対し、請求人は、長男と起居を共にし、生活費の大部分を負担しているのであるから、長男に係る請求人の扶養控除を認めるべきであると主張するが、[1]請求人と夫は離婚していないこと、[2]住民登録、国民健康保険の加入状況、国民健康保険料の負担及び当該保険証の利用状況などが別居以前と変わったところはないこと、[3]経済的にも、夫は、別居後も毎月定額の婚姻費用のほか、引き続き国民健康保険料を負担していることなどを総合すると、夫と長男は別居中とはいえ、同一の生活共同体に属して日常生活の資を共通にする、生計を一にする親族であると認めるのが相当であり、長男は、所得税法上、夫及び請求人のいずれの扶養親族にも該当するというべきであるから、請求人の夫が給与所得者の扶養控除等申告書において長男を扶養親族として申告し、請求人が確定申告書において長男を扶養親族として申告している本件の場合は、所得税法施行令第219条“二以上の居住者がある場合の扶養親族の所属”第2項第1号に規定するところにより、長男は請求人の夫の扶養親族とされ、請求人の扶養親族として扶養控除の適用を受けることはできない。

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