裁決事例 裁決事例集 第121集

裁決事例 裁決事例集 第121集

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令和2年12月22日裁決

公売処分の取消請求において、国税徴収法上、土地の差押手続は土地の地番ごとに行うより他なく、差押処分の効力も当該地番の土地にしか及ばないから、公売不動産の隣接地所有者である請求人は、当該隣接地の所有権を主張する者にとどまり、差押えに係る財産について所有権を主張していないこととなり、したがって、請求人適格は認められないとした事例

裁決事例集 第121集

ポイント

 本事例は、公売不動産の隣接地所有者が公売不動産の一部について所有権を有していると主張する審査請求において、請求人は、「差押えに係る財産について所有権を主張する者」には該当せず、したがって、請求人適格はないと判断したものである。

要旨

 請求人は、公売不動産の隣接地の実質所有者は請求人であり、当該隣接地の一部が公売不動産に含まれているため、請求人の権利が侵害されていると主張する。
 しかしながら、国税通則法第75条《国税に関する処分についての不服申立て》第1項は、国税に関する法律に基づく処分に不服がある者は、不服申立てをすることができる旨規定しており、この者とは、その処分によって直接自己の権利又は法律上の利益を侵害された者であることを要すると解される。また、国税徴収法第89条《換価する財産の範囲等》第1項の規定では、公売処分は、差し押さえた財産について行うものであるところ、差押処分の効力は、嘱託登記により差押登記が付された地番以外の土地に及ぶと解することはできず、当該地番の土地にしか発生しないことから、公売処分もまた、公法上の一筆の土地を対象として行われることとなる。そうすると、差押処分で特定された地番の土地に、請求人が所有する公売不動産の隣接地の地番の土地が含まれることは法律上あり得ないことから、請求人は、公売処分によって直接自己の権利又は法律上の利益が侵害された者とは認められず、国税に関する法律に基づく処分に不服がある者に該当しない。

参照条文等

国税通則法第75条第1項 国税徴収法第68条第3項第89条第1項 不動産登記法第16条第1項、第34条第1項第2号

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令和2年12月21日裁決

原処分庁に所属する職員が原処分に係る各通知書を歯科医院を営む請求人の自宅兼事業所に持参した際に、請求人が診療中であり対応することができないとして各通知書を受け取らなかった事情は、国税通則法第12条《書類の送達》第5項第2号に規定する「正当な理由」には該当しないとした事例

裁決事例集 第121集

ポイント

 本事例は、国税通則法の送達に関する規定の趣旨を紐解き、その趣旨に照らせば、受送達者が診療中であったとしても、送達場所におり、原処分庁職員が交付送達のため来訪したことを現に認識していた場合には、(法が、その診療終了を待って出会送達をすることや、再度の送達を行うことまでを求めていると解することは困難であるとして)差置送達を行うことができると判断したものである。

要旨

 請求人は、原処分庁に所属する職員が原処分に係る各通知書を自宅兼事業所に持参した際、歯科医師として診療中であり対応することができなかったから、国税通則法第12条《書類の送達》第5項第2号に規定する「正当な理由」に該当するため、原処分庁が差置送達を行ったことは同条に規定する差置送達の要件に該当しないから、原処分を取り消すべき違法がある旨主張する。
 しかしながら、差置送達は、書類の送達を受けるべき者等が送達すべき場所にいない場合、又はこれらの者が正当な理由がなく書類の受領を拒んだ場合に行うことができる送達方法であり、差置送達の制度が認められた趣旨に照らせば、請求人の診療中であるという事情は、国税通則法第12条第5項第2号に規定する「正当な理由」には該当しないと解すべきであるから、原処分庁による差置送達は法令上の要件を満たしたものであるから、原処分庁が差置送達を行ったことにつき、原処分を取り消すべき違法はない。

参照条文等

国税通則法第12条第5項第2号

参考判決・裁決

東京地裁平成23年10月25日判決(税資261号順号11796)

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令和2年12月17日裁決

請求人の取締役が使用人兼務役員に該当しないとした事例

裁決事例集 第121集

ポイント

 本事例は、請求人の取締役が、職務分掌の変更により使用人としての職制上の地位を有しないこととなったと認められることから、当該職務分掌以後は使用人兼務役員に該当しないとしたものである。

要旨

 請求人は、同族会社である請求人の取締役(本件取締役)について、取締役に就任した後も、請求人の営業部の部長職である職制上の地位を有していること、営業部長として代表取締役の指揮命令系統に属する職務を行っていること、請求人の代表取締役の親族でもなくまた株主でもないこと、及び請求人の実質的な意思決定の場である月例会議にも参加していないことから、使用人兼務役員に該当し、当該取締役に対して支払った賞与は使用人としての職務に対する賞与であるから、損金の額に算入できる旨主張する。
 しかしながら、請求人では、機構上、使用人としての職制上の地位が明確に定められているところ、本件取締役は、請求人及び請求人のグループ法人内での職務分掌の変更(分掌変更)により請求人の営業部の部長職の地位を失っていることから、請求人における使用人としての職制上の地位を有していないと認められるので、分掌変更以後、本件取締役は使用人兼務役員には該当せず、分掌変更以後に支給された賞与の額は損金の額に算入されない。
 なお、分掌変更前の使用人兼務役員に該当する期間において支給された賞与の額については、他の使用人と同様に給与規程に基づく方法で決定されているものではないものの、他の使用人に対する賞与の支給時期に支給され、使用人としての職務の対価であったことを否定するに足りる証拠はないことから、損金の額に算入される。

参照条文等

法人税法第34条第1項第6項 法人税法施行令第71条第1項

参考判決・裁決

東京地裁平29年1月18日判決(税資267号順号12956)

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令和2年12月15日裁決

不動産売買契約に基づく土地等の譲渡に係る収益が請求人に帰属しないとした事例

裁決事例集 第121集

ポイント

 本事例は、土地等の譲渡に係る事業において、その主体は、請求人以外の法人であるから、その収益も当該法人に帰属するとしたものである。

要旨

 原処分庁は、売主を請求人又は請求人以外の法人(本件法人)とする土地及び地上権(本件土地等)並びに施設等(本件施設等)の売買契約(本件不動産等売買契約)に係る収益について、①所得の帰属主体は、諸要素を総合的に判断し、実質的に決定すべきであるから、そうすると、本件法人が本件不動産等売買契約に係る経費を支払っていなかったり、本件不動産等売買契約に係る代金が請求人名義の預金口座等に入金されていたなどのことから、本件不動産等売買契約に係る収益全てが請求人に帰属し、また、②本件不動産等売買契約は、本件土地等及び本件施設等の譲渡が一体となった一つの契約であるから、その収益は、その全てが引き渡された当該事業年度に計上すべきである旨主張する。
 しかしながら、①請求人及び本件法人は、本件不動産等売買契約において、それぞれの意思に従い、それぞれ別の債務を負う内容の契約を締結し、他にも本件法人の従業員が本件土地等の買収に係る業務を行っていたなどの諸事情があることからすれば、本件不動産等売買契約に係る収益の全てが請求人に帰属するわけではなく、また、②本件不動産等売買契約がそれぞれ別個の契約であると認められるところ、請求人が譲渡した土地等は、当該事業年度以前に買主へ移転登記がされ、さらに、当該事業年度中にその代金の相当部分も支払われていたなどからすると、当該移転登記の日をもって「引渡しがあった日」であると判断するのが相当である。したがって、本件不動産等売買契約に係る収益は、当該事業年度には計上されない。

参照条文等

法人税法第11条第22条第2項第4項

参考判決・裁決

東京地裁平成26年1月27日判決(税資264号順号12397) 平成30年6月28日裁決(裁決事例集No.111)

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令和2年12月15日裁決

請求人が請求人の元代表者に退職金として支払った金員は、当該元代表者に退職の事実があるから、損金の額に算入されるとした事例

裁決事例集 第121集

ポイント

 本事例は、請求人の代表取締役及び取締役を辞任した元代表者が、辞任後も継続して請求人の事業運営上の重要事項に参画していたとは認められず、請求人を実質的に退職していなかったとは認められないとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の元代表取締役(本件元代表者)が、退職後においても、引き続き請求人の経営に従事しており、みなし役員に該当するから、実質的に退職したとは認められないとして、請求人が本件元代表者に支払った退職金の金額(本件各金員)は、法人税法第34条《役員給与の損金不算入》第1項括弧書き所定の退職給与に該当しない旨主張する。
 しかしながら、原処分庁がその認定の根拠として摘示する各事実には、いずれもその裏付けとなる退職当時の客観的な証拠がなく、各関係者の各申述においても、本件元代表者の請求人への具体的な関与状況が明らかではない。そして、本件元代表者は、退職後に請求人から報酬等を受領していないと認められ、本件元代表者の退職後に請求人の代表取締役となった者が、その代表取締役としての職務を全く行っていなかったと認めるに足りる証拠もないことからすると、本件元代表者が退職後も継続して、本件各法人の経営に従事していたと認めることはできないから、本件各金員は、退職給与として、本件各法人の損金の額に算入される。

参照条文等

法人税法第34条第1項

参考判決・裁決

東京地裁平成29年1月12日判決(税資267号順号12952)

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令和2年12月14日裁決

死因贈与契約に基づき権利を取得した請求人らが、自己のために相続の開始があったことを知った日は、「相続債権者・受遺者に対する債権申出催告の公告に係る請求申出期間満了日」ではなく、「被相続人の死亡を知った日」であるとした事例

裁決事例集 第121集

ポイント

 本事例は、請求人らが被相続人と生前締結した死因贈与契約について、被相続人の相続開始日に、請求人らが死因贈与契約に基づく権利を取得することが確定していたので、請求人らが自己のために相続の開始があったことを知った日は、「(相続人が不存在であったために行われた相続財産管理人による)相続債権者及び受遺者への請求申出の催告に係る公告の請求申出期間満了日」ではなく、「被相続人の死亡を知った日」であるから、請求人らが提出した相続税の申告書は期限後申告書であるとしたものである。

要旨

 請求人らは、被相続人と生前締結した死因贈与契約について、相続人不存在の場合、相続債権者・受遺者に対する債権申出催告の公告に係る請求申出期間満了日以前は、当該契約に基づく権利は未確定であり、相続税法第27条《相続税の申告書》第1項に規定する「その相続の開始があったことを知った日」は当該催告期間満了日となるから、その翌日から10月を経過する日までに提出した相続税の申告書は期限内申告書である旨主張する。
 しかしながら、請求人らは、被相続人に係る相続開始日に、死因贈与契約に基づく権利を取得することが確定し、自己のために相続開始があったことを知ったのであるから、被相続人の死亡を知った日の翌日から10月を経過する日までに相続税の申告書を提出しなければならなかったところ、当該経過する日までに相続税の申告書を提出しなかったのであるから、請求人らが提出した相続税の申告書は期限後申告書である。

参照条文等

相続税法第27条

参考判決・裁決

大阪高裁平成5年11月19日判決(訟務月報41巻3号449頁) 平成25年6月4日裁決(裁決事例集 No.91)

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