裁決事例 平成15年(2003年)

裁決事例 平成15年(2003年)

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平成15年12月19日裁決

延滞税は適法に確定し、かつ、完納されていないから、督促処分は適法であるとした事例

裁決事例集 第66集 31頁

要旨

 請求人は、原処分庁が確定申告の早期審査の責任を果たさず、請求人の確定申告の審査及び修正申告のしょうようを遅延したもので、これは国税通則法施行令第26条の2に規定するいわゆる「人為による災害又は事故」に該当するから、修正申告をするまでの期間に対応する延滞税を免除すべきである旨主張し、延滞税に係る督促処分の取消しを求めている。
 しかしながら、本件延滞税は、適法に確定し、かつ、完納されていないから、本件督促処分は適法であって、違法、不当な点はない。
 仮に、請求人の主張どおり、延滞税を免除することができる場合に該当し、免除しないことが違法であるとしても、当然に免除の効果が発生するわけではないから、現実に免除がされておらず本件各延滞税が存在する以上、原処分の適法性に何ら影響はない。
 なお、確定申告の審査事務の処理の時期及び方法は税務署長の裁量にゆだねられており、少なくとも法定の更正の期間制限内の是正処理は法が当然予定しているところと解され、審査等を遅延したという請求人の主張には理由がない。また、国税通則法施行令第26条の2の「人為による異常な災害又は事故」は、当該災害又は事故が納税者の責に帰すべき事由により生じたものである場合は除かれるところ、本件では、請求人自身が誤った確定申告書を作成して提出したことから、原処分庁による指摘が必要となったものであり、そもそも請求人の責に帰すべき事由により生じた事態であるから、請求人の主張することは「人為による災害又は事故」に該当しない。

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平成15年12月17日裁決

約40年に1度行われた立木の譲渡であっても、山林の反復、継続的な育成、管理が行われていた場合には、事業として対価を得て行われる資産の譲渡に該当するとした事例

裁決事例集 第66集 309頁

要旨

 請求人は、「事業として行う資産の譲渡」というには、反復、継続が必須であるところ、約40年間立木の譲渡はなく今回初めて譲渡したものであって反復、継続していないこと、今回譲渡した立木は、当初3年程下草刈りをした後、10年後くらいに1回間伐しただけであり、以後27年間程度は何の手入れもしていないなど十分な育成、管理を行っていないことから、反復、継続の蓋然性があるともいえないこと、森林施業計画に係る森林の伐採の届出書は、育成、管理したことを証明するものではなく、森林施業計画の認定を受けたカラマツを伐採、譲渡したことをもって、反復、継続的に育成、管理していたとはいえないことから、本件立木の譲渡は課税資産の譲渡に該当しない旨主張する。
 しかしながら、山林の育成には長期間を要するのが通例であることから、山林の伐採又は譲渡が消費税法第2条第1項第8号の「事業として」に該当するかどうかは、伐採又は譲渡の反復性、継続性のみにより判断するのではなく、伐採又は譲渡の準備行為ともいえる山林の育成、管理の度合いも加味して総合的に判断すべきものと解されるところ、請求人は、森林法第11条第1項に規定する森林施業計画を定期的に作成し市町村の長にその認定を求めていること、P市長に対し「立木の伐採(譲渡)証明申請書」を提出し、本件譲渡が森林施業計画に基づくものであるとの証明を受けていること及びT広域森林組合のJ総務部長の「請求人が今回譲渡した立木は成長も悪くなく、手入れをしていたということは、はっきり分かった」との申述からすれば、本件立木の譲渡は、森林施業計画に基づき反復、継続的な育成、管理が行われていたと認めるのが相当である。
 以上のとおり、本件立木の譲渡は消費税法第2条第1項第8号に規定する「事業として対価を得て行われる資産の譲渡」に該当するとした本件更正処分は適法である。

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平成15年12月16日裁決

請求人の申告行為に重要な関係のある相当な権限を有する地位に就いている従業員の行った売上除外について、請求人の行為と同一視すべきであるとして、重加算税の賦課決定処分を認容した事例

裁決事例集 第66集 49頁

要旨

 重加算税制度の趣旨からすれば、隠ぺい又は仮装行為については、その行為者は納税者たる法人の代表者に限定されるものではなく、法人の代表者がその事実を知らなかったとしても、役員や従業員等で経営に参画していると認められる者及び納税者の申告行為に重要な関係のある相当な権限を有する地位に就いている者が事実を隠ぺいし又は仮装し、かつ、代表者がそれに基づき過少申告した場合は、当該法人の代表者が納税申告をするに当たり、隠ぺい又は仮装行為を知っていたか否かに左右されることなく、当該法人の行為と同一視されると解される。
 本件について判断すると、請求人の経理業務を任され、広範な経理業務に従事していた従業員Nは、売上げ及び売掛金については、「売掛残高一覧表」に真実の売上げを記載していたにもかかわらず、売上代金として受け取った手形の一部をNが開設した請求人名義の預金口座で取り立て着服する一方で、取引先に係る売上げ及び売掛金の入金の各金額を過少に記載し、経理帳簿を仮装していたことが認められる。
 そして、Nは、請求人の印鑑、通帳だけでなく、請求人の代表者の私印についても預けられるなど、その信頼は厚かったのであり、請求人の経理業務全般について任された上、決算や確定申告に関わる経理帳簿等の作成等に従事するとともに、請求人の確定申告書の「経理責任者自署押印」欄に自分の氏名を記名、押印し、これを提出していることからすると、請求人の申告行為に重要な関係のある相当な権限を有する地位に就いている従業員であると認められる。
 そうすると、Nは、請求人の申告行為に重要な関係のある相当な権限を有する地位に就いている従業員であり、同人の行為は請求人の行為と同一視すべきであるといわざるを得ない。

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平成15年12月12日裁決

簡易課税制度を選択していた課税事業者が、免税事業者に該当する課税期間について課税事業者選択届出書を提出したとしても、当該課税期間において本則課税を適用して消費税の仕入れに係る消費税額を算出することは認められないとした事例

裁決事例集 第66集 341頁

要旨

 請求人は、課税事業者に該当することから簡易課税制度を選択したものであり、免税事業者であれば簡易課税制度を選択することもないし、消費税法第37条は法的効力も有しないところ、請求人の本件課税期間に係る基準期間の課税売上高は3000万円以下であり、免税事業者であるにもかかわらず、本件課税期間について課税事業者選択届出書を提出することにより、消費税法第9条第1項本文の特例規定の適用を放棄して課税事業者となったのであるから、本件課税期間の仕入れに係る消費税額の計算においては、消費税法第37条の規定の適用はなく、原則計算である同法第30条の規定により行うこととなる旨主張する。
 しかしながら、[1]請求人は平成7年3月23日に簡易課税選択届出書を提出した後、平成14年12月24日に簡易課税制度選択不適用届出書を提出しているが、それ以前に簡易課税制度選択不適用届出書を提出した事実は認めらないこと、[2]平成14年6月24日に適用開始日を本件課税期間の開始日とする課税期間特例選択届出書を提出した上で、本件課税期間について課税事業者選択届出書を提出していること及び[3]本件課税期間に係る基準期間における課税売上高は2億円以下であることから、期間において簡易課税制度の適用を受ける事業者であることは明らかである。
 消費税法第9条第4項に規定する課税事業者選択届出書を提出した事業者は、同条第1項本文の規定の適用はないのであるから同法第37条第1項のかっこ書きにある「同法第9条第1項本文の規定により消費税を納める義務を免除される事業者を除く」の規定により同法第37条の規定が適用されないと解する余地はないといわざるを得ず、請求人の主張は独自の見解に基づくものであるから、採用することはできない。
 以上のとおり、原処分庁が、請求人の本件課税期間の消費税等について簡易課税制度を適用して仕入れに係る消費税額を算出したことは相当と認められる。

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平成15年12月9日裁決

年の中途で死亡した被相続人の所得税の確定申告書を、相続人がその法定申告期限までに提出しなかったことについて、国税通則法第66条第1項に規定する「正当な理由」があるとは認められないとした事例

裁決事例集 第66集 40頁

要旨

 請求人らは、所得税法第125条の規定により所得税の確定申告書を提出すべき被相続人が年の中途で死亡した場合の申告期限が相続開始を知った日の翌日から4か月以内であることを知らなかったことは税務官庁の広報不足によるものであることから、無申告加算税を賦課しない場合の「正当な理由」に該当する旨主張する。
 しかしながら、請求人らの主張は、税法の不知を理由とするものであるから、国税通則法第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由」があると認められる場合には該当せず、また、申告は、本来、納税義務のある者が自らの判断と責任においてなすべきものであるから、無申告加算税を賦課しない場合の正当な理由があると認められるか否かが税務官庁の広報活動の有無により左右されるものではない。
 そして、本件申告書が法定申告期限後に提出されるに至ったのは、相続人の一人が法定申告期限を誤解していたことによるものと推認されるから、「正当な理由」があると認められないことは明らかである。しかも、原処分庁には、確定申告の期限が掲載された各種の広報資料なども常備されており、請求人らにおいて申告等に疑問な点があれば,最寄りの税務官庁に問い合わせることもできたものである。
 以上のことからすると、請求人らの主張する当該事情は、「正当な理由」があると認められる場合に該当しない。

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平成15年12月5日裁決

合併に際して被合併法人の株主に交付されたいわゆる合併交付金が、被合併法人の利益の配当であるかの判定に当たり、合併契約書等にその旨の記載がない場合には、合併交付金が支払われた経緯、支払いを受けた株主の認識等を総合的に検討して判断するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第66集 245頁

要旨

 原処分庁は、合併交付金が配当に代わる金銭である場合には、その旨が合併契約書等において明らかにされていなければならないと主張する。
 しかしながら、合併に際して被合併法人の株主に交付されたいわゆる合併交付金が、被合併法人の利益の配当であるかの判定に当たり、合併契約書等にその旨の明示又は記載がない場合には、当該合併交付金が支払われる経緯、支払いを受けた株主の認識等を総合的に検討し、実質的に、合併交付金のうちに利益の配当相当額があるかどうかを判断するのが相当である。
 そこで、合併契約書等において最終期の利益の配当として交付する旨の記載がない本件合併交付金について調査したところ、本件合併交付金は合併比率調整のための交付金とは認められず、最終期の利益の配当を行なう実情及び動機はあったことが認められ、被合併法人の法人株主のうち調査した4社及び個人株主であった全員が本件合併交付金を配当としてそれぞれ申告していることが確認できる。また、請求人は本件合併交付金の支払い時に利益の配当として所得税を源泉徴収しており、株主には配当金である旨を通知している。
 したがって、本件合併交付金の実質は、被合併法人の株主に対する最終期の利益の配当として交付された金銭であると認めるのが相当であるから、本件合併は、被合併法人の株主に対して請求人の株式以外の資産を交付していない適格合併となり、所得税法第25条第1項は適用されず、みなし配当の額は発生しない。

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平成15年11月25日裁決

帳簿の記帳を委託されていた者の仮装行為について、請求人の指示又は依頼に基づき架空計上を行ったものと認めることができると判断した事例

裁決事例集 第66集 69頁

要旨

 請求人は、請求人から帳簿の記帳を委託されていた者(以下「記帳担当者」という。)に仮装行為を指示した事実はなく、仮装行為を容易に発見できる専門的知識もないから、請求人の行為と同一視すべきではない旨主張するが、記帳担当者は、実際の現金及び預貯金の出し入れには一切関与しておらず、仕入等の架空計上による利益はもっぱら請求人が受けるものであって、記帳担当者には何らのメリットもないこと、請求人の収入金額は、年々減少していたが、平成11年分は一転して増額に転じていること、記帳担当者の申述は、具体的内容を持つものであり、他の事実から検証しても真実性の高いものであるといえることからすると、記帳担当者は、請求人の指示又は依頼に基づき本件架空計上を行ったものと認めることができる。
 したがって、請求人が国税通則法第68条第1項に規定する「事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装した」ということができる。

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平成15年11月21日裁決

適法な競売手続により落札された競落代金は、裁判所が評価した最低競売価額より相当高額になったとしても、課税資産の譲渡等の対価の額として相当であるとした事例

裁決事例集 第66集 322頁

要旨

 請求人は、裁判所の競売による建物の売却価額は創出された特異な価額であるから、裁判所評価額を税務計算における譲渡対価の額にすべきである旨主張する。
 しかしながら、競売手続は、裁判所により適法に行なわれており、また、民事執行法60条1項及び同法63条3項からみれば、裁判所評価額は落札可能な最低限度額を示したものであり、実際に売却された価額、すなわち、競売価額でないことは明らかである。
 さらに、譲渡とは、権利を他に移転することをいい、競売、公売、収用、物納又は現物出資等も含まれると解されるところ、抵当権を実行するための競売は、担保権の内容を実現する換価行為であり、競落人は、目的不動産の所有権を承継取得するものであるから、「資産の譲渡」に該当し、競落代金が譲渡対価の額となる。
 なお、請求人は、落札価額が特異な価額である旨主張するが、不動産の売買に当たっては、買主にとってその取得の必要性が大きければ大きいほど通常の取引価額を超えた売買が行なわれ、売買価額が高額になることは一般に見られるところであり、高額であるからといって、その売買価額が当該不動産の売買価額に当たらないという理由にはならない。

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平成15年11月20日裁決

取引相場のない株式について、純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)を参酌した価額と取引価額の差額に相当する金額を経済的利益として一時所得と認定した事例

裁決事例集 第66集 155頁

要旨

 請求人は、請求人が代表取締役となっているE社の株式をF社から取得した本件取引は、利害関係のない第三者間の自由な経済取引であり、このような取引において成立した価額は客観的交換価値である時価そのものといえるから、請求人には経済的利益は発生しない旨主張する。
 ところで、所得税法第36条第1項に規定する経済的利益には、資産を低い対価で譲り受けた場合におけるその資産のその時における価額、すなわち時価とその対価の額との差額に相当する利益が含まれると解される。また、時価とは、その時点における客観的交換価値を指すものと解すべきであり、この交換価値とは、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間において自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額であって、いわゆる市場価格をいうものと解される。
 ところが、E社の株式は、取引相場のない株式であり、かつ、適正と認められる売買実例及び類似法人で株式等の価額がある株式とは認められないので、所得税基本通達23~35共-9により純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額を算定するのが相当であり、その価額の具体的な算定に当たっては、財産評価基本通達178以下の例によるのが相当である。
 そして、財産評価基本通達により算定したE社株式の時価と本件取引価額との差額に相当する金額については、経済的利益として享受したものと認められ、この経済的利益に係る所得は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得のいずれにも該当せず、かつ、営利を目的とする継続的な行為から生じた所得以外の一時の所得であって、労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものであるから、所得税法第34条第1項に規定する一時所得に該当する。

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平成15年11月19日裁決

ソフトウエアに係る著作権を侵害したとして外国法人に対し支払った金員は、所得税法第161条《国内源泉所得》第7号ロに規定する著作権の使用料に当たるとした事例

裁決事例集 第66集 200頁

要旨

 所得税法161条7号ロに規定する「著作権」とは、著作権法上の著作権と同義に解することが相当であるところ、「著作権の使用料」とは、所得税基本通達161-23のとおり、著作物の複製その他著作物の利用につき支払を受ける対価の一切をいうものと解され、その対価には、所得税基本通達161-7のとおり、当該対価等として支払われるものばかりでなく、当該対価等に代わる性質を有する損害賠償金その他これに類するもの(その支払が遅延したことに基づく遅延利息等に相当する金額も含む。)も含むと解することが相当である。
 これを本件についてみると、[1]本件和解金は、請求人が過去に本件ソフトウエアの著作権を侵害したことに対して支払われたものであること、[2]和解金には、ソフトウエアの新規購入分が含まれていないこと、[3]本件和解金は、本件ソフトウエアの単価×使用数の1.3倍で算出され、使用料を基礎としていることなどから判断すると、本件和解金は、著作権者に対して著作権の侵害により生じた著作権の使用料(本来、本件著作権者が得ていたであろう利益の喪失分)として支払われたものと解することが相当である。
 したがって、本件和解金は、実質的には、著作権の対価等に代わる性質を有するものと認められ、所得税法161条7号ロに規定する著作権の使用料に該当し、国内源泉所得となるから、所得税法212条1項の規定により所得税の源泉徴収の対象となる。

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平成15年11月7日裁決

納税申告書を運送事業者の行う宅配便を利用して発送した場合、国税通則法第22条に規定する郵便により提出された場合には該当しないとした事例

裁決事例集 第66集 1頁

要旨

 国税通則法第22条で規定する「郵便」とは、信書及びその他の物をあて先に送達する事業であり、郵便法第2条において国の行う事業とされていることから、運送事業者の行う宅配便が郵便でないことは明らかである。
 そうすると、本件確定申告書の提出について国税通則法第22条の規定の適用はなく、本件確定申告書は期限後申告書となる。

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平成15年11月5日裁決

請求人が譲渡した土地に所在していた建物は、請求人が生活の本拠として使用していたとは認められないとした事例

裁決事例集 第66集 224頁

要旨

 請求人は、譲渡した本件土地に所在していた本件家屋は居住を目的とした財産であり、租税特別措置法第36条の6及び同法第36条の2の適用要件を満たしている旨主張する。
 しかしながら、本件家屋の電気及び水道の各使用料が僅少であること、請求人の通勤届けが本件家屋以外の家屋(家族の居住家屋)の所在地からであること、本件土地に係る境界確認書等の書類には、本件家屋以外の家屋(家族の居住家屋)の所在地を記載してあること、本件家屋の近隣住民が請求人は本件家屋には住んでいなかった旨答述していること、から、本件家屋は、請求人が生活の本拠として居住の用に供していたものとは認められず、租税特別措置法第36条の6及び同法第36条の2の規定を適用することはできないとした。

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平成15年10月27日裁決

修士及び博士課程の授業料等並びに米国の大学への寄付金は弁護士業に係る事業所得の必要経費とすることはできないとした事例

裁決事例集 第66集 120頁

要旨

 弁護士業を営む請求人は、大学院の修士及び博士課程の授業料等並びに米国K大学への寄付金は業務遂行上必要な支出であるから事業所得の金額の計算上必要経費に算入される旨主張する。
 しかしながら、修士及び博士課程の専攻は、請求人の営む弁護士業と関連性を有していることは認められるものの、むしろ請求人の自己研鑽のため進学したものと認めるのが相当で、また、当該寄付金の支出は、請求人の善意的心情からのものと認められ、いずれも業務遂行上直接かつ通常必要なものとは認められず、事業所得を生ずべき業務について生じた費用ではないから、所得税法第37条第1項に規定する必要経費とすることはできない。

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平成15年10月24日裁決

厚生年金基金の解散に伴う残余財産の分配金について、当該分配金には将来支給を受ける加算年金の額が含まれているが、当該加算年金の額は、退職に基因して支払われたものでないとして一時所得であるとした事例

裁決事例集 第66集 134頁

要旨

 年金受給者である請求人は、本件基金の解散に伴う本件分配金には、請求人が本件基金から受給する加算年金のうち、既に受給した加算年金を除き、将来支給をうける加算年金の額(以下「本件加算年金受給残額」という)が含まれ、本件加算年金受給残額は、退職に基因して支払われた一時金に当たり、退職所得である旨及び退職所得として本件分配金の額から控除すべきである旨主張する。
 しかしながら、本件分配金は、本件基金の解散に基因して支払われるものであること及び既に退職した者でなく、引き続き勤務している者であっても支払われるものであることからすれば、退職に基因して支払われたものでないというべきである。また、本件分配金が本件基金の解散に伴う残余財産を分配したものであるのに対し、請求人の主張する本件加算年金受給残額は、請求人の最終基本給を基に算定されており、その計算の算定方法が全く異なる上、関連性のないことが認められる。
 したがって、本件分配金は、本件基金の解散という偶発的事由を発生原因とする一時金であり、請求人の退職に基因して支払われたものでなく、将来の年金給付の総額との関連性を有していないものであることからすれば、所得税法第30条第1項に規定する退職手当等とみなすことはできない。
 また、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものであることからその全額が一時所得に当たることとなる。

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平成15年10月22日裁決

地方公共団体への土地の寄付が、所得税法第78条第2項第1号に規定する「その寄付をした者がその寄付によって設けられた設備を専属的に利用することその他特別な利益がその寄付をした者に及ぶと認められるもの」に該当するとした事例

裁決事例集 第66集 170頁

要旨

 特定寄付金とされる所得税法第78条第2項第1号の「国又は地方公共団体に対する寄付金」のうち、「その寄付をした者がその寄付によって設けられた設備を専属的に利用することその他特別な利益がその寄付をした者に及ぶと認められるもの」を除く旨の規定は、その寄付をした者が形式的には寄付したものであっても、それにより特別の利益を受ける場合には、実質的にみて寄付とはいえないので、かかるものを除く趣旨であると解される。
 請求人は、側溝をまっすぐに改修してもらうよう本件土地を買い上げ、P市に寄付したものであり、所得税法第78条に規定する寄付金控除に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件寄付があり市道が拡幅されることとなったため、請求人の要望どおり、側溝の設置工事が行われており、また、旧市道が拡幅及び舗装されたことにより、主として当該市道を日常的に利用する請求人及び近隣住民の通行等の利便性が従来に比べ向上し、特に、自宅への進入路が狭くなっていた請求人は、市道として拡幅、舗装された部分に接する自宅玄関側敷地に新たに出入り口を設けるなど、本件寄付前に比べ利便性が向上したことが他の利用者以上に顕著であり、本件寄付の利益を最も享受しているといえることから、所得税法第78条第2項第1号に規定する「その寄付をした者がその寄付によって設けられた設備を専属的に利用することその他特別な利益がその寄付をした者に及ぶと認められるもの」に該当し、特定寄付金には該当しない。

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平成15年10月9日裁決

同一日に宅地と居住用家屋を異なる業者から取得した請求人が、宅地の取得に係る債務のみを有している場合には、住宅借入金等特別控除の適用はないとした事例

裁決事例集 第66集 182頁

要旨

 請求人は、本件家屋及び本件土地を、同一日にそれぞれ異なる業者から取得しているが、これは土地・建物の一括購入で、租税特別措置法施行令第26条第18項ではなく、同条第10項の同時取得に該当し、同時取得・一体借入れとして住宅借入金等特別控除の適用がある旨主張する。
 しかしながら、請求人は、住宅借入金等特別控除の適用の前提となる居住用家屋の取得に要する資金に充てるための借入金を有しておらず、また、請求人の場合、適用対象となる住宅借入金等を土地等の取得又は借入金等の形態による4つに分類されたグループ(同時取得・一体借入れ型、先行取得・一体借入れ型、先行取得・分離借入れ型、建築条件付以外の先行取得・分離借入れ型)のいずれにも該当しないので、住宅借入金等特別控除の適用をすることはできない。

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平成15年10月9日裁決

自動車共済契約に係る対人賠償共済金支払請求権の差押えが適法であるとした事例

裁決事例集 第66集 382頁

要旨

  1.  請求人は、原処分庁が原処分を行うにつき何ら催告等をせず、請求人の財産調査もしない旨主張するが、差押処分を行うに当たって事前連絡や財産調査をしなければならない旨定めた法令の規定はなく、事前連絡や財産状況の調査をしなかったことをもって、原処分が違法、不当となるということはできない。
  2.  請求人は、原処分庁が差し押さえた共済金支払請求権以外にも求償債権を有していることから当該債権を差し押さえるべきであると主張するが、原処分は、国税徴収法第47条《差押の要件》第1項第1号の規定に基づき適法に行われており、また、滞納者の所有する財産のうち、いかなる財産を差し押さえるかは、徴収職員の合理的な裁量にゆだねられていると解されるところ、原処分が合理的な裁量の範囲を逸脱したものと認めるに足りる証拠はないから、本件差押処分を不当とすることはできない。
  3.  請求人は、原処分庁が差し押さえた自動車共済に係る対人賠償共済金支払請求権が差押禁止財産に当たる旨主張するが、当該請求権は、自動車損害賠償保障法第18条に定めるところの差押禁止財産である直接請求権には該当せず、また、国税徴収法第75条の一般の差押禁止財産ないし同法第78条の条件付差押禁止財産及び差押禁止財産を定めた他の法律のいずれにも該当しないことから、原処分は適法である。
  4.  請求人は、請求人の家族は生活保護を受けているから国税徴収法第153条第1項第2号に該当するので、滞納処分の執行を停止し、差押えを解除すべきである旨主張するが、請求人は、[1]相当程度の稼動能力を有していること、[2]取立てには困難性がうかがわれるものの約4,100万円の求償債権を有していること等を考慮すると、原処分庁が国税徴収法第1項第2号に基づく滞納処分の執行停止をしなかったことには裁量権の逸脱はないと認められるので、原処分が違法であるとはいえない。
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平成15年9月25日裁決

すべての使用人に対して、雇用されている限り毎年誕生月に支給している誕生日祝金について、その支給形態等が、広く一般に社会的な慣習として行われているとは認められないとして所得税法第28条第1項に規定する給与等に当たるとした事例

裁決事例集 第66集 212頁

要旨

 請求人は、本件誕生日祝金を請求人の誕生祝実施要領に基づき、各使用人の誕生月に独身者は10,000円、既婚者は15,000円を現金で支給しており、誕生日祝金の支給は、使用者と使用人との間に限らず広く一般に社会的な慣習として行われているので、本件誕生日祝金は、所得税基本通達28-5のただし書きに定める給与等として課税しなくて差し支えない結婚祝金品等に該当する旨主張する。
 しかしながら、ある金品の交付が、所得税基本通達28-5による例外的取扱いが認められるためには、少なくとも、その金品の交付が広く一般に社会的な慣習として行われていることを要するところ、本件誕生日祝金は、すべての使用人が、請求人に雇用されている限り、毎年誕生月に支給されるものであって、その支給形態等において、広く一般に社会的な慣習として行われているとは認められない。
 したがって、請求人の主張は採用できない。

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平成15年9月5日裁決

株式の売買代金が時価相当額より低額であるとして類似業種比準価額方式により評価し、売主に対して所得税更正処分等、買主に対して法人税更正処分等がそれぞれなされた場合において、売主側が提起した所得税更正処分等取消訴訟において当該処分等の取消判決が確定しても、買主側は国税通則法第23条第2項第1号に基づく更正の請求をすることはできないとした事例

裁決事例集 第66集 9頁

要旨

 請求人は、株式の売主側が提起した所得税更正処分等取消訴訟において株式の評価方法が否定されて取消判決(以下「本件判決」という。)が確定したことから、本件判決が国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決に該当するとして本件更正の請求をしたものであるが、同項に規定する判決とは、申告等に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実の得喪変更に関する訴訟に係る判決を意味するところ、本件判決は、株式の売主側が提起した所得税更正処分等取消訴訟についてなされた判決であり、本件判決によって、株式の買主である請求人に対する法人税更正処分等に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実そのものを左右するものではないから、同項の規定による更正の請求をすることはできない。

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平成15年9月2日裁決

貸宅地の評価においては、一般に借地権価額控除方式には合理性があり、また、請求人らが採用した収益還元方式の「純収益」や「還元率」は標準化されたものとは認められないとして、請求人らの主張する評価方式を排斥した事例

裁決事例集 第66集 265頁

要旨

 財産評価基本通達では、貸宅地の価額は、借地権価額控除方式により評価するとしているが、この評価方法は、借地権の取引慣行のある地域では、底地価額は、単なる地代徴収権の価額にとどまらず、むしろ将来、借地権を併合して完全所有権とする潜在的価値に着目して価額形成されているのが一般的であると認められ、このような場合には、底地価額を借地権価額控除方式により評価するのが相当であると考えられることなどによるものであると解される。この評価方法は、相続税法第22条の趣旨及び財産評価基本通達の考え方に照らし、当審判所においても合理性を有するものと認められるから、請求人らの「宅地上の借地権の価額と貸宅地(底地)の価額との総和は自用地としての価額よりも低い水準にとどまるものであるから、評価基本通達が定める借地権価額控除方式により算定した価額を時価とするのは相当ではない」との主張は相当ではない。
 また、請求人らは、本件鑑定評価が収益還元方式による収益価格と底地取引事例から決定した底地権割合により求めた試算価格を加重平均する評価方法が合理的な評価方法であると主張する。
 しかしながら、収益還元方式は、標準化された適正な「純収益」を用いて、これを適正な「還元利率」で還元する必要があるところ、一般に、収益還元方式による土地の価額の測定においては、「純収益」の標準化や、「資本還元率」の設定に当たり、その客観的、理論的な算定方法も見いだし難い状況にあるものと認められ、本件鑑定評価においても、その根拠は示されていない。
 さらに、借地権割合については、原処分庁において、長年にわたり、借地権の売買実例価額、精通者意見価額等を基として評定され、公開されているものであるから、一定の地域における借地権の実勢価額を反映しているものと考えられるが、本件鑑定評価において収集した取引事例には底地割合にかなりのばらつきがあるということから、取引事例から求められた底地割合が、その地域の底地の実勢価額を反映し得るほどの指標性をもつものとは認め難いと言わざるを得ない。
 以上のことから、請求人らの主張する評価方法には、相続税法第22条の趣旨及び財産評価基本通達の考え方に照らして、いずれも合理性を有するものとは認めがたい。

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平成15年8月8日裁決

告知処分時において譲渡担保権の実行は完了しておらず、被担保債権は消滅していないから、譲渡担保権者の物的納税責任に関する告知処分は適法であるとした事例

裁決事例集 第66集 363頁

要旨

 請求人は、本件債権につき、第三債務者に対し、債権譲渡通知及び担保権の実行を通知するとともに、登記事項証明書を送付していることから、本件債権は、告知処分の時点において、既に請求人に移転し、滞納会社に復帰する可能性はなく、担保の目的たる財産でなかった旨主張するが、本件債権は、告知処分の時点において、いまだ第三債務者から請求人への支払いがなされておらず、請求人の滞納会社に対する被担保債権が消滅していないことから、譲渡担保権財産であると認められる。
 請求人は、譲渡担保契約について、請求人と滞納会社Gの破産管財人との間で破産法の否認権行使の対象となるか否かの訴訟が係属中にもかかわらず、その判決の出る前に請求人に対してなされた告知処分は不当である旨主張するが、当該告知処分は、国税徴収法に基づき適法になされたものであり、また、否認権行使の効果は、否認の対象となった債権譲渡行為が破産管財人と請求人との間でさかのぼって無効となるにすぎず、そうすると、否認権訴訟の裁判の結果が原処分庁の行った告知処分の適法性に影響を及ぼすものではない。
 請求人は、滞納会社Gの破産管財人が裁判所に提出した財産報告書によれば、告知処分の時点において、滞納会社Gには相当の財産があると思われることから、当該告知処分は国税徴収法第24条第1項に規定する要件を満たしていない旨主張するが、当審判所の調査によると、仮に請求人の主張する財産の価額を滞納会社Gから徴収できる価額とみても、告知処分時の同社の滞納国税の総額はそれを上回ることが認められる。したがって、滞納会社Gの財産につき滞納処分により徴収できるものの価額が滞納国税の総額に満たない(いわゆる徴収不足)と認められることから、請求人の主張には理由がない。

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平成15年7月29日裁決

土地改良区内の農地を宅地に転用して譲渡する場合に支払った土地改良法に規定するいわゆる農地転用決済金は譲渡費用には当たらないとした事例

裁決事例集 第66集 97頁

要旨

 農地転用決済金は土地改良法第42条第2項の規定に基づき土地改良区の土地の全部又は一部について組合員たる資格の喪失に際して、土地改良区の事業に関する権利義務の移転がない場合に、当該権利義務を清算するために徴収されるものであって、組合員たる資格に係る権利の目的である土地の譲渡とは直接関係がないことは明らかである。したがって、農地転用決済金は土地を譲渡するために直接かつ通常必要な費用とは認められず、かつその支払をしたことが土地の譲渡価額を増加させることになるとも認められないから、譲渡費用には該当しない。
 農地転用決済金として農地転用により農業を廃止又は縮小する組合員が将来の維持管理費に相当する費用を一括して支払うこととされていることは、組合員の減少により残存する組合員の負担が増加しないように措置する必要があるためであることが認められる。一般に土地改良区に参加した組合員は、維持管理費を毎年負担するのであるが、農地転用により農地を利用しなくなったときには、その後に支払うべき維持管理費を一括して支払わなければならないことになっているのであるから、農地転用決済金の本質は、農地という農業用資産について生じた費用とみることができるのであり、農業という業務について生じた費用として、必要経費に算入することが相当である。
 また、農地転用決済金は農地転用のときに一括して債務が確定する業務上の費用といえ、当該土地が農業用資産でなくなる時に生じた清算費用たる性質を有する支出であると解するのが相当であるから、必要経費への算入時期については、平成12年分の農業に係る事業所得の必要経費に算入するのが相当である。

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平成15年7月18日裁決

社会福祉法人の理事が県等から不正受給した補助金の一部を当該法人からの賞与とした所得税の申告について、当該不正受給に係る刑事事件の判決の確定を理由として更正の請求をすることはできないとした事例

裁決事例集 第66集 19頁

要旨

 A会の理事であった請求人は、請求人を被告とする刑事事件の判決が、請求人がA会の施設建設工事費を水増し請求し、県等から補助金を不正に受給した疑いについての審理を訴因とするものであり、原処分庁が当該補助金の一部を請求人が受領したことについて、賞与と認定したことと繋がるものであるから、当然に国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決に該当するので、更正の請求を認めるべきである旨主張する。
 また、請求人が補助金を不正に受給したことは、刑事事件の判決により公序良俗に反するもので無効であるとされ、それにより、請求人は、私的に受領した補助金の返還をA会から請求されているのであるから、正に請求人に行った本件不正受給等の経済的成果がその行為の無効であることに基因して失われたものであり、このことは、取り消すことのできる行為が取り消されたものでもあるから、所得税法施行令第274条第1号及び第2号に規定する事由が生じ、所得税法第152条に規定する更正の請求の特例に該当するので、更正の請求を認めるべきであると主張する。
 しかしながら、国税通則法第23条第2項第1号にいう判決とは、申告等に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実についての私法行為又は行政行為上の紛争を解決することを目的とする民事事件の判決を意味し、犯罪事実の存否範囲を確定するに過ぎない刑事事件の判決はこれに含まれないと解するのが相当であるところ、本件判決は請求人を被告人とする刑事事件の判決であるから、同号に規定する判決には該当しないことは明らかである。
 また、本件判決は、請求人の不正受給についての犯罪事実の存否範囲を判断したに過ぎず、認定賞与として課税した処分の計算の基礎となった事実である請求人の本件金員の受領について、民事上無効な行為であるか又は取り消すことができる行為であるかを判断したものではない。また、請求人は、A会から本件金員の返還を請求されているが、当審判所の調査の結果によっても、請求人が本件金員を返還した事実は認められないことから、請求人の本件金員の受領による経済的成果は未だ失われていないというべきである。しかも、同様に、請求人の本件金員の受領が取り消された事実も認められない。
 したがって、所得税法施行令第274条第1号及び第2号に規定する事由が生じたとは認められないので、この点に関する請求人の主張には理由がない。

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平成15年7月9日裁決

偽りその他不正の行為を行なった者には、納税者本人のみならず、納税者の委任を受けた者も含まれるとした事例

裁決事例集 第66集 77頁

要旨

 請求人は、国税通則法第70条第5項は、不正行為の場合における期間制限の延長であり、仮に本件立退き料が譲渡費用に当たらないとしても、本件立退き料は悪意をもって申告したわけではないから、本件立退き料に係る更正処分は既に時効が成立しており、不適法な処分である旨主張する。
 しかしながら、偽りその他不正の行為を行なった者には、納税者本人のみならず、納税者の委任等を受けた者も含まれると解されているところ、請求人の委任を受けたGは偽った契約書に基づいて譲渡所得の申告を行なっており、申告の効果及び責任は請求人に帰属するから、国税通則法第70条第5項に該当するというべきである。
 また、国税通則法第70条第5項は、偽りその他不正の行為によって国税の全部又は一部を免れた納税者がある場合、これに対して適正な課税を行うことができるよう、更正の除斥期間を7年と定めたものであり、偽りその他不正の行為により免れた税額に相当する部分のみに限らず、当該年分の所得の全部を更正の対象として同条第5項を適用することができると解するのが相当である。

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平成15年7月3日裁決

相続税法第34条の連帯納付責任に基づく督促処分が適法であるとした事例

裁決事例集 第66集 289頁

要旨

  1.  請求人は、本来の納税義務者Aに対する延納許可から延納許可取消しまでの間に、原処分庁が適切な徴収手続をとらず、連帯納付義務者である請求人に多大な本税、利子税及び延滞税の負担を課していることは徴収権の濫用に当たる旨主張する。
     しかしながら、連帯納付義務は、相続税の徴収の確保を図るために課された特別の責任なのであるから、本来の納税義務者が現に十分な財産を有し、同人から固有の相続税の徴収を図ることが極めて容易であるにもかかわらず、原処分庁が同人又は第三者の利益を図り、あるいは、連帯納付義務者に損害を与える目的をもって、恣意的に、本来の納税義務者からの徴収を行わず、連帯納付義務者に対してその義務の履行を求めたという事情の存する場合には、徴収権の濫用があると評価できる余地もあると解されるが、延納の制度は、法が納税者の自発的な納税を本来の姿と考え、これを容易にするため当該措置を認めているものであり、延納等の措置を講ずることによって任意の納付の履行が期待できる限り原処分庁がこれを認めようとするのは当然のことである。
     したがって、延納を認めたことで結果的に本来の納税義務者の財産によって相続税の全てを納付することが不能になったとしても、そのことをもって原処分庁が故意に恣意的な徴収手続を行なったとまではいえず、原処分庁が請求人に対し連帯納付義務の履行を求めたとしても、徴収権の濫用に当たるとはいえない。
  2.  請求人は、原処分庁が連帯納付義務に係る賦課決定通知書を送付していないから、請求人の連帯納付義務は確定していない旨主張する。
     しかしながら、相続税法第34条第1項に規定される連帯納付義務は、相続税徴収の確保を図るため相互に各相続人等に課した特別の責任であり、各相続人等の固有の相続税の納税義務の確定という事実に照応して、法律上当然に生ずると解されているから、本件相続の共同相続人であるAの相続税の納税義務が有効に確定している以上、請求人の連帯納付義務は、格別の手続を要することなくAの納付義務の確定に照応して確定している。
  3.  請求人は、原処分庁が行ったAに対する延納の許可から延納許可の取消しまでの徴収手続に違法があるとして、請求人の連帯納付義務は消滅している旨主張する。
     しかしながら、延納の許可と連帯納付義務は異なる租税法規を根拠とするものである上、相続税法、国税通則法及び国税徴収法のいずれにも、請求人が主張するような延納の許可に関する違法等の存在によって連帯納付義務が消滅する旨を規定した条文は存在しない。
     むしろ、連帯納付義務は、法が相続税の徴収を確保するために各相続人等に課した特別の責任であること、延納の許可に当たって十分な担保を徴していても、担保価値の変動によって担保物を処分しても相続税が徴収できなくなる可能性があることを鑑みれば、原処分庁は、延納の許可の際に徴した担保を処分して徴収を確保する方法と、連帯納付義務者にその履行を求めて徴収を確保する方法を併存的に有していると解するのが相当である。
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平成15年7月3日裁決

自動車が盗難に遭い抹消登録されたことは、納付済みの自動車重量税の還付請求の理由にならないとした事例

裁決事例集 第66集 353頁

要旨

 請求人は、自動車重量税の立法趣旨は、自動車の走行によって道路が傷むことから道路の改修費用等に充てるため、自動車の使用者が、自動車の重量に応じて、自動車検査証の有効期間分の自動車重量税を前払い負担するというものである旨主張する。
 しかしながら、自動車重量税法の性格は、当該自動車が車両法による検査を受け、走行可能となるという法的地位あるいは利益を受ける権利を取得することに着目して課税される一種の権利創設税であると解されるのであり、自動車を走行させた期間に応じて負担すべきものといえないから、この点に関する請求人の主張は採用できない。
 また、請求人は、所有する本件自動車が盗難に遭った場合にも、災免法第8条第1項の規定の適用を認めるべきであり、納付済みの自動車重量税に対する本件自動車の自動車検査証の有効期間のうち未経過期間分に相当する金額は還付されるべきである旨主張する。
 しかしながら、盗難は、災免法第1条の規定する「震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する災害」には含まれないと解されるから、本件自動車は、登録された後、盗難に遭ったことが認められるとしても、災免法第8条の被災自動車に該当しないので、この点に関する請求人の主張は採用できない。

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平成15年6月26日裁決

原処分調査中に請求人が提示した資料は、消費税法第30条第7項の要件を充たさないので、他の証拠資料によって課税仕入れに係る支払対価の額を合理的に推認できる場合であっても、仕入税額控除は認められないとした事例

裁決事例集 第65集 937頁

要旨

 請求人は、仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等の保存がない場合であっても、請求人が提出した資料によって、原処分庁は仕入税額を把握できたのであるから、仕入税額控除をすべきである旨主張する。
 しかしながら、消費税法第30条第7項の規定は、仕入税額の証明手段を法定の帳簿及び請求書等に限定していると解され、他の証拠資料によって課税仕入れに係る支払対価を合理的に推認できる場合であっても認められないこと、また、帳簿及び請求書等の保存は、法所定の保存期間の始期から全期間にわたって所持・保管を継続することを意味し、帳簿及び請求書等を保存の始期の後に取得しても、その保存の要件を欠き、仕入税額控除が認められないところ、請求人が提出した資料は、その大半が調査の開始後に取引先から取り寄せた元帳のコピーであるなど、いずれも同項に規定する帳簿及び請求書等に該当しないから、仕入税額控除の適用はできない。

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平成15年6月26日裁決

相続税法第34条の連帯納付義務者から金銭の贈与を受けた者に対する国税徴収法第39条の第二次納税義務の告知処分が適法であるとした事例

裁決事例集 第65集 1024頁

要旨

  1.  国税徴収法第39条と詐害行為取消しとの関係
     国税徴収法第39条の第二次納税義務は、滞納者の悪意を要件としていないものと解されていることに加えて、無償譲渡等の処分のみを対象としていること、無償譲渡等の処分が国税の法定納期限の1年前の日以後にされたものであること、特殊関係者を除き、利益が現に存する限度に限られること、訴訟手続は要しないことなどの点において詐害行為取消しとは法律的構成を異にしている。また、国税通則法第42条は民法第424条の準用規定であるにもかかわらず、それとは別に国税徴収法第39条が設けられていることなどを考えれば、この制度の目的は、徴税手続の合理化及び効率化を図ることにあると解すべきである。
     そうすると、国税徴収法第39条の適用においては、無償譲渡等の行為が詐害行為等に該当するか否かの判断まで求められるものではなく、同条が明文で規定するすべての要件を充足すれば当然に適用が可能であると解するのが相当である。
  2.  合理的理由に基づく贈与と国税徴収法第39条との関係
     請求人は、無償譲渡等の処分に関し、東京地裁昭和45年11月30日判決を引用して、贈与が合理的な理由に基づく場合には国税徴収法第39条を適用すべきでない旨主張する。
     しかしながら、請求人が引用する同判決は、金銭の授受に対価性があると認定された事例であって、本件とは前提を異にするし、本件贈与が請求人のいう「子あるいは血縁の者や親交の深い者に対して贈与税を支払った上でなされた一般的な形態」のものであるならば、正に国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等の処分に該当することとなるのであるから、この点についての請求人の主張は採用できない。
  3.  「法定納期限の1年前の日」の解釈
     国税徴収法第39条の「法定納期限の1年前の日」については、請求人が主張するように解すべき法令上の規定はなく、本件の場合、A(第二次納税義務の主たる納税義務者、相続税の連帯納付義務者)の法定納期限は、B(相続税の本来の納税義務者)の法定納期限である平成4年1月20日と同一と解されるところ、その1年前の日の平成3年1月20日が「法定納期限の1年前の日」に当たると解するのが相当である。
     なお、請求人のいう不合理は、徴収不足と無償譲渡等との基因関係の問題で処理されるべきものであって、本件の場合とは前提を異にし、また、お知らせ文書や督促状を受けてから8年以上も遡って第二次納税義務を負うという異常な結果を招来するという指摘については、第二次納税義務に除斥期間はなく、無償譲渡等後8年経過していたとしても、それをもって第二次納税義務の対象としないということはできない。
     おって、請求人は、相続税法第34条第1項の連帯納付義務についても告知が必要である旨主張するが、国税通則法第36条第1項が納税の告知を要する場合として列挙する各号は限定的なものと解されており、また、相続税法第34条第1項について告知を要する旨を定めた法令上の規定はないことから、採用できない。
  4.  第二次納税義務の補充性
     国税徴収法第39条に規定する「徴収すべき額に不足すると認められる場合」とは、納付通知書を発する時の現況において、納税者に帰属する財産で滞納処分により徴収できるものの価額が、滞納国税の総額に満たないと認められることをいうと解されるところ、補充性の判断においては、納税者に帰属する財産の減価理由までも要求するものではないことは明らかであるし、また、第二次納税義務者に対し、主たる納税義務者である相続税法第34条第1項に基づく連帯納付義務者のその本来の納税義務者に係る延納の担保の内容等を明らかにすべき旨を定めた法令上の規定はなく、この点についての請求人の主張は採用できない。
     なお、請求人は、Aが「相続により受けた利益の価額」は、取得した財産の価額から相続税法第19条の2規定の適用前の相続税額を控除した額であると主張するが、取得した財産の価額から控除するのは現に納付すべき相続税であると解するのが相当である。
  5.  Aの連帯納付義務
     第二次納税義務の納付告知を受けた者は、主たる納税義務が不存在又は無効でない限り、当該納付告知の取消しを求める訴えにおいて、主たる納税義務の存否又は数額を争うことはできないと解されており、また、相続税法第34条第1項の連帯納付義務は、相続税の徴収を確保するため、相互に各相続人等に課した特別の責任であって、その義務履行の前提条件をなす連帯納付義務の確定は、各相続人等の固有の相続税の納税義務の確定という事実に照応して、法律上当然に生ずるものであると解されている。
     これを本件についてみると、主たる納税義務の不存在又は無効とは、主たる納税義務が相続税法第34条第1項の連帯納付義務の場合、連帯納付義務の不存在又は無効の判断は、本来の納税義務が不存在又は無効であるかにより判断すべきところ、Bの申告手続に無効となるべき重大かつ明白な瑕疵は認められないことから、Aの連帯納付義務の違法等を理由に本件告知処分は違法であるとする請求人の主張は採用できない。
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平成15年6月25日裁決

勤務先から、専務取締役であった勤続期間に係る役員退職慰労金として支給された一時金について、請求人が所得税基本通達30-2の(3)に定めるその職務の内容又はその地位が激変した者に該当するとして、退職所得に該当するとした事例

裁決事例集 第65集 181頁

要旨

 原処分庁は、請求人が合併による役員改選により、存続会社の専務取締役から、合併後の法人の代表取締役に就任したことは、役員に再任されただけであって、実質的に退職したと同様の事情にあると認められないことから、合併時に役員退職慰労金として支給された一時金は、退職に基因して一時に受ける給与に該当せず、役員としての地位に基づき一時に受ける給与に該当する旨主張する。
 しかしながら、請求人の場合、代表取締役ではあるが、社長や専務等の役職はなく、会長や社長には他の取締役が就任し、社内の決裁権限もなく実質的に一時的かつ形式的な代表取締役就任と認められ、勤務の性質、内容に重大な変動があり、単なる従前の勤務関係の延長とは認められないと判断されることから、所得税基本通達30-2の(3)に定めるその職務の内容又はその地位が激変した者に該当し、専務取締役であった勤続期間に係る役員退職慰労金として支払われた一時金は退職所得に該当すると判断される。

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平成15年6月24日裁決

法人成りにより個人事業を廃業した年分に、繰延資産(医師会の入会金等)の未償却残額を資産損失として必要経費に算入することはできないとした事例

裁決事例集 第65集 140頁

要旨

 請求人は、繰延資産として償却していた医師会への入会金及び開業時負担金について、償却期間が終了する前に個人事業を廃業(法人成り)した場合の未償却残額は資産損失に該当する旨主張する。
 しかしながら、繰延資産の未償却残額に資産損失が生じたか否かは、その繰延資産に係る支出の効果に予定外の減少又は消滅があったかどうかにより判断するのが相当であると解される。
 そうすると、請求人は、個人事業を廃業した後も引き続き医師会の会員であり、医師会から従前と同様の各種の教育・サービスを受けていると認められるので、請求人が医師会から受ける便益は変わらないのであるから、個人事業の廃業により入会金及び開業時負担金に係る支出の効果には予定外の消滅や減少があったとは認められず、資産損失が生じたとは認められない。
 したがって、入会金及び開業時負担金のうち個人事業の廃業時における未償却残額については、所得税法第51条第1項に規定する「その他の事由により生じた損失の金額には該当せず、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。

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平成15年6月20日裁決

出資口の譲渡について、売買契約の要素に錯誤があるとして契約解除したことが、国税通則法第23条第2項に規定する「やむを得ない理由」に該当しないとした事例

裁決事例集 第65集 9頁

要旨

 請求人は、保有していた同族会社の出資口の譲渡について、本件売買契約に当たっては、譲受人に新たな課税関係が生じないことが重要な要素となっていたのであるから、重要な要素に錯誤があり、当該契約を解除したことが国税通則法第23条第2項に規定する後発的な理由に該当し、更正の請求ができる旨主張する。
 しかしながら、当該契約の要素の錯誤は、[1]当該契約は口頭で行なわれ、請求人の主張する事情が売買契約の条件として表示されていたものとは認められないこと、[2]当該契約の背景には次世代への事業承継及び経営基盤の安定があったものと認められること、[3]出資口の時価の算定方法は財産評価基本通達に明示されていることから、当該契約を成すに当たっての動機が民法第95条の規定により、当該契約の重要な要素として保護しなければならないものとまで解することはできない。そして、当事者の無効確認は、[1]価額があまりにも低いと贈与税等の問題が起きると認識しながらも財産評価基本通達によって評価をしていないのであるから、近隣の法人及び同業種の法人の株価などを参考にして実際の評価の7分の1の価格にしたことは評価方法の不知による個人的判断に基づく計算方法の誤りであって、[2]譲受人に新たな課税関係が発生しないことが本件売買契約の最重要な関心事であったとするならば不正確であることを自認しながら著しく低い価格で当該契約を成したのは法の不知であり、[3]原処分庁からの指摘後に当該契約無効の主張をしていることから、譲受人の贈与税の負担を免れるために行なわれた親族間における当事者の合意による契約解除であると認めるのが相当である。
 そうすると、この合意解除は請求人の個人的、主観的な事由によるものであって、国税通則法施行令第6条第1項第2号に規定する「当該契約成立後生じたやむを得ない事情」に当たらない。したがって、国税通則法第23条第2項第3号に規定する「やむを得ない理由」には該当せず、更正の請求ができる場合には当たらない。

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平成15年6月19日裁決

土地建物の譲受価額が相続税法第7条に規定する「著しく低い価額の対価」に当たるとしてなされた原処分は違法であるとした事例

裁決事例集 第65集 576頁

要旨

 原処分庁は、本件土地の譲受けは、相続税法第7条にいう「著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合」に該当すると主張するが、譲渡人(請求人の祖母)は高齢となり、借入金を弁済するために譲渡したものであり、一方、請求人は自身の将来のことを考えて金融機関から取得資金を借り入れて本件土地を取得したものであること、売買価額は固定資産税評価額を参考に、利用形態を考慮して決定したこと、譲渡人は本件土地を相続により取得し、長期間保有していたものであること、[4]建物の譲受対価の額と本件土地の譲受対価の合計額は、これらの不動産の相続税評価額の合計額を上回っていることを総合勘案すると、本件土地の譲受は相続税法第7条に規定する「著しく低い価額の対価」による譲受けには該当しないとするのが相当である。

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平成15年6月19日裁決

生命保険契約に基づく解約返戻金支払請求権が差し押さえられた後、約10年6か月後になされた取立権の行使及び配当処分の手続は適法であるとした事例

裁決事例集 第65集 1115頁

要旨

 請求人は、会社倒産後は生命保険料の支払もできない状態になり、生命保険会社が未払いの保険料を立て替えていたにもかかわらず、差押えた本件債権を10年余りも解約執行せず放置したことから、解約返戻金が減少することとなったものであり、差押え直後に解約返戻金を滞納税額に充当しておれば、これほどの滞納税額にならなかったことから、本件配当処分を取り消し、差押え時点に遡って解約権を行使し配当処分をすべきである旨主張する。
 しかしながら、本件生命保険契約は、65歳の保険料払込満了後になっても、請求人が死亡した場合には、死亡保険金受取人からの普通死亡保険金支払請求ができる契約となっており、原処分庁は、解約権を行使して取立てを行う行為は、将来発生すると予測される受取人の普通死亡保険金支払請求の権利を奪うこととなり、受取人に影響を及ぼすおそれがあったことから慎重に行うこととし、請求人自らが円満に納付できるよう努力を行っていたにもかかわらず、請求人が原処分庁に連絡した事実はない。
 また、本件生命保険契約の解約返戻金が減少した理由は、請求人が保険料の支払いを怠ったためであり、その責任は請求人にあると言わざるを得ない。
 さらに、原処分庁が行った一連の徴収手続に違法性はなく、差し押さえた債権の取立てをしなければならない期間について規定した法律はないことから、請求人の主張には理由はない。

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平成15年6月19日裁決

請求人がしたビール券の引渡しは、相手方の氏名等を帳簿書類に記載していないことに相当の理由があるから、使途秘匿金の支出には当たらないとした事例

裁決事例集 第65集 436頁

要旨

 原処分庁は、請求人が本件ビール券を贈答したとする相手方の氏名等が、相当の理由がなく、請求人の帳簿書類に記載されていないので、本件ビール券の引渡しは、使途秘匿金の支出に該当する旨主張する。
 しかしながら、[1]本件ビール券は、購入先を通じて通常の中元又は歳暮時期に配送されたと認められること、[2]本件ビール券の配送先は、請求人が当審判所に提出した購入先保管の最も古い配送申込票の写し及び請求人保管の最新の配送申込票の控に記載されたビール券の送付先がいずれも請求人の取引先の関係者であることから、請求人の取引先の関係者であったと推認されること及び[3]本件ビール券は、配送先1件当たりの配送枚数からみて、中元又は歳暮用品として金額的に相当であると認められることに照らしてみれば、本件ビール券の配送先については、これを帳簿書類に記載しないのが通例であると認められる。
 したがって、請求人が本件ビール券の引渡しの相手方の氏名等を帳簿書類に記載していないことに相当の理由があるから、その引渡しは使途秘匿金の支出には当たらないというべきである。

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平成15年6月13日裁決

横断地下道の便益は、請求人のように負担金を支払った者のみが支払っていない者に比して有利な条件で利用できるものとなっていないので、課税仕入れに該当しないとした事例

裁決事例集 第65集 920頁

要旨

 請求人は、賃貸用大規模小売店舗を建設するに当たり、進入道路について国道直下を横断する地下道を設置する必要が生じたことから、F市及びM工事事務所と協議し、請求人が事業費の全額を負担したものであるから、F市に対して納入した工事負担金については、その名目が何であれ実質は工事代金で、工事負担金と地下道の設置とは明白な対価関係があり、また、F市からは課税仕入れに係る支払対価に該当する旨指導されたと主張する。
 しかしながら、請求人は本件地下道工事の工事主体とも工事委託者ともなり得ないことから、やむなく「事業費の全額負担」を条件にF市及びM工事事務所に同工事の施工を要請した者であり、また、本件地下道は完成後にF市道として認定されており請求人だけが便益を受けるものとは認められない。
 さらに消費税法基本通達5-5-6《公共施設の負担金等》注2に定める取扱い通知は必須条件ではないから請求人の主張には理由がない。

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平成15年6月12日裁決

外国市場で売却した株式代金の売却約定時の邦貨換算は同日の対顧客電信買相場(TTBレート)により、代金決済時の邦貨換算は先物為替予約レートによるのが相当であるとした事例

裁決事例集 第65集 206頁

要旨

 L証券が本件株式を外国証券会社に保護預かりしていないこと等から判断すると、L証券は本件株式の売却について委託の取次ぎ、委託の媒介及び代理を行ったとは認められない。同証券は本件株式に係る売却代金の受渡日の為替予約と売却代金の国内受入れから請求人の銀行口座への振込み並びに源泉分離課税の手続及び実行の国内事務を行っていたに過ぎない。
 したがって、本件株式の売却に係る譲渡所得については、源泉分離課税の適用はできない。
 外貨で表示されている上場株式等の譲渡の対価の額を邦貨換算するには、外貨の所有者にとってその外貨によって取得しえる邦貨の額であるとするのが妥当であるから、売却約定日時点におけるTTBレートによるのが相当である。一方、代金決済においては、請求人は実際に先物為替予約レートによって換金し、邦貨を得ているのであるから当該レートにより換算するのが相当である。

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平成15年6月6日裁決

勤務する内国法人と資本関係がない外国法人から請求人に対し付与された株式購入選択権の行使に係る経済的利益が、所得税法第35条に規定する雑所得に該当するとした事例

裁決事例集 第65集 238頁

要旨

 請求人は、同人の勤務する内国法人L社の業務委託先である米国K社から付与されたストック・オプションの行使に係る経済的利益は、[1]米国K社と雇用関係がなく、また、L社と米国K社は資本関係がないこと、[2]提供した労務の質及び量と相関関係がない偶発的所得であること等から、一時所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、当該経済的利益は、請求人が、L社の代表取締役としての地位に基づき、それとともに、個人の責任において本件個人保証を行うことにより、米国K社に対して役務の提供をすることを前提に、米国K社の株式を購入することができる権利を米国K社から付与され、米国K社に対して一定期間役務の提供をすること(本件個人保証を継続すること)により、これを行使して得たもの、換言すれば、請求人の役務の提供の対価としての性質をもった所得ということができることから、一時所得に該当せず、雑所得に該当すると解するのが相当である。
 したがって、請求人の主張は採用できない。

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平成15年5月21日裁決

相続により取得した土地が無道路地であるとの請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第65集 703頁

要旨

 道路とは広く一般公衆の通行の用に供されている物的施設をいうものと解されるところ、それには法律上公物としての性質を認めて特殊の法的規制を加えた公道と、その開設、維持、管理等について若干の保護、助成等のための規制を設けられた私道、あるいは何らの規制を設けられていない私道が存在する。
 建築基準法に規定する位置指定道路は道路交通法第2条に規定する「一般交通の用に供するその他の場所」に該当し、他の道路と等しく同法の適用を受け各種の規制を受けるとともに、敷地である土地について所有権の移転、抵当権の設定・移転のほかは、一般の交通を阻害するような方法で私権を行使することはできない。
 本件土地は位置指定道路に間口距離4.2メートルで接しているから、財産評価基本通達に定める無道路地に該当しない。

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平成15年5月20日裁決

外国関係会社から送金されるロイヤリティの額が、マレーシア国の源泉所得税を差し引いた後の額であることを知らされていなかったとしても、経理上通常求められる程度の検証作業を行えば容易に判明したといえるから、法人税法第69条第15項が規定する「やむを得ない事情」は存しないとした事例

裁決事例集 第65集 486頁

要旨

 請求人は、やむを得ない事情の判断は、外国税額控除の趣旨や納税者救済のゆうじょ規定の趣旨から、できるだけ二重課税を排除するという解釈、運用がなされるべきであり、外国関係会社からロイヤリティに関する送金内訳書及び公式領収書の送付を受けていなかったため、送金額がマレーシア外国税額を差し引いた後の金額であることを知らなかったこともやむ得ない事情があるものとして取り扱うべきであると主張する。
 しかしながら、法人税法第69条第15項に規定するやむを得ない事情とは、本人の責めに帰すことのできない事由により生じた客観的な事情をいうものと解されるところ、外国関係会社とロイヤリティ契約を締結したのは請求人の代表者であり、同者は当該契約書の記載内容は承知していたと認められるから、これらのことを関係部課に周知し又は伝達し、所要の措置を講ずるよう指示するなど、その職責上通常要求される事務を行っていれば、請求人において、ロイヤリティの送金額がマレーシア外国税の額を差し引いた後のものであることが容易に判明したといえる。
 また、確定申告書を提出するまでに、代表者からの契約書内容の伝達及び外国関係会社からの送金資料の送付がなかったとしても、外国関係会社に対してロイヤリティの送金額の算定根拠を確認するなど、経理実務において通常要求される程度の確認作業をしていれば、ロイヤリティの送金額がマレーシア外国税の額を差し引いた後のものであることが容易に判明したはずであり、本件のように、本人の責めに帰すべき事情が認められる場合にまで、同項の規定を拡大して解釈、運用することはできないというべきである。

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平成15年5月20日裁決

物納申請財産が、管理又は処分をするのに不適当な財産であるとした事例

裁決事例集 第65集 833頁

要旨

  1.  相続税の物納制度は、国税を金銭で納付するという原則に対して、相続税が財産課税であるという特殊性を考慮して設けられた特例的な制度であるということができ、物納申請財産を国に帰属させることは真の目的ではなく、相続税の単なる納付手段であり、国がこれを換価し、その代金をもって財政収入に充てることが真の目的であるといえる。そこで、物納申請財産は、その収納が金銭納付に代わるものである以上、国が物納された財産の管理・処分を通じて金銭の納付があった場合と同等の経済的利益を確保し得るものでなければならない。
  2.  請求人は、原処分庁が本件物納申請土地について物納財産として不適当であると認定したことに対し、この理由は相続税法基本通達42-2に例示がないもので、相続税法第42条2項ただし書の解釈適用を誤ったものであり違法である旨主張する。
     しかしながら、本件物納申請土地内には、現に農業用水の取水の用に供されている流水路があり、その実質において地役権等の用益権が設定されている土地と同様の状況にあると認められ、また、当該流水路は、一部についてはヒューム管が埋設されているが、他の部分についてはなんら整備がされておらず、農業用水路として利用する上で、維持・整備のための新たな費用を要すると認められる。
     そうすると、本件物納申請土地は、その管理又は処分をするために費用を要し、このことは、国税の納付の趣旨に反することになり、管理又は処分をするのに不適当な財産であると認めるのが相当であり、この点に関する請求人の主張には理由がない。
  3.  請求人は、本件物納申請土地の評価額については、その立地、利便性、利用性及び換価性等の諸条件を織り込んだものとなっており、原処分庁が、金銭で納付があった場合と同等の経済的利益を確保できないとして、一つの課税とその納付手続において一物二価を主張することは、相続税法の予定する解釈に沿っておらず、また、本件物納申請土地は、その周辺の土地の売買実例もあることから、売却可能な土地である旨主張する。
     しかしながら、物納は、金銭による納付の例外として特に認められているものであるから、物納申請に係る財産が管理又は処分をするのに不適当であるか否かの判断に当たっては、当該財産の物納を受け、国がこれを管理又は処分をすることにより、金銭で国税の納付があった場合と同等の経済的利益を将来現実に確保することができるか否かという観点から判断されることになる。
     本件物納申請土地は、市街化調整区域内に所在し、また、土地のほぼ中央部に高圧線が架設されていることから、その開発及び利用におのずと制限を受けることとなり、国がその管理又は処分を通じて金銭で納付があった場合と同等の経済的利益を確保することは困難であると認められる。
     また、ある相続財産について、それが課税計算の基礎となった財産であっても、そのことから直ちに当該財産が物納財産として管理又は処分に適するということを意味するものではなく、管理又は処分をするのに不適当であるとされる場合もあり得るというべきである。
  4.  請求人は、原処分庁が本件物納申請土地について、有効活用するためには整地が必要であること及び現状においてはその用途は極めて限定されると主張することに対し、原処分庁が本件物納申請土地の活用等についてまで判断すべきではなく、原処分庁の主張は、独断に基づくものである旨主張する。
     しかしながら、物納制度は、国が物納された財産の管理・処分を通じて、金銭による国税の納付があった場合と同等の経済的利益を確保し得るものでなければならないと解されるところ、本件物納申請土地が、将来、国が予定する管理又は処分に耐える財産に当たるか否かについて、管理官庁との協議を行うことには理由がある。そして、管理官庁との協議結果を踏まえ、本件物納申請土地は、管理又は処分をするのに不適当なものに該当するとしたことは相当と認められる。
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平成15年5月19日裁決

被相続人と請求人との間の土地の使用貸借契約は、宅地転用される前に解除されており、その後の土地の賃貸借契約における賃貸人は被相続人であるから、相続開始時には建物の所有を目的とする賃借権が存するものと認められるとして、借地権相当額を控除して評価するのが相当とした事例

裁決事例集 第65集 721頁

要旨

 原処分庁は、P町宅地について、賃貸借契約に請求人が使用借権を有する立場で参加していること及び賃料を請求人が収受している実態があることをもって、利用関係は、請求人が被相続人から使用貸借により借地したものを他の者に転貸したものである旨、またK社使用宅地については被相続人が農業者年金を受給するため被相続人と請求人との間で使用貸借契約を締結していたことを主たる理由として、請求人が被相続人から使用貸借により借地し、それを賃借人に転貸していたものと主張する。
 しかしながら、P町宅地の利用関係は、昭和56年2月20日に「農地法第3条による使用貸借解約による通知書」を提出した日までの間は、請求人を相手方として使用借権が設定されていたものと推認されるが、同日以後は、被相続人が農地法の手続を経た上で、これらの土地を宅地に転用し、被相続人が賃貸人となって、順次、賃借人に対して賃貸し、賃借人が建物を建築して利用していることが認められる。そして、P町宅地に係る本件土地賃貸借契約書には、賃貸人の承継人として請求人名が記載されているだけで、どのような権限を有することになるのかは明らかではないが、[1]賃貸人は被相続人と明記されていること及び[2]農地に関しての被相続人と請求人との間の使用貸借は宅地転用される前にすでに解除されていることから、当該記載をもって、原処分庁主張のとおりに解することはできないし、また、賃料を現実に享受している者が誰であるかのみによって同宅地の利用関係が決せられることにもならないので、原処分庁の主張には理由がない。
 K社使用宅地については、請求人と被相続人との間の使用貸借契約が解除された経緯は、P町宅地と同様であると認められ、また、借地人である同族会社から無償返還届出書は提出されておらず、また、過去に借地権の認定課税が行われていないとしても、そのことが利用関係に影響して借地権の目的となっているか否かを左右するものでないことは明らかであるから、本件相続開始時において、同宅地は借地権設定の目的となっている宅地と認めるのが相当である。
 以上から、いずれの宅地についても相続開始時において建物の所有を目的とする賃借権が存するものと認めるのが相当であり、自用地としての価額から借地権の価額を控除した金額によって評価するのが相当であるので、原処分庁の主張は採用できない。

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平成15年5月15日裁決

請求人の有する所得税法第2条第1項第29号に規定する特別障害者である扶養親族は、当該請求人と「同居を常況としている者」に当たらないので、租税特別措置法第41条の16第1項に規定する同居の特別障害者に係る扶養控除の特例の適用は認められないとした事例

裁決事例集 第65集 274頁

要旨

 請求人は、本件特例の適用に関し、毎年、数日間とはいえ、妹(特別障害者)の介護を行い、生活を共にしているのであるから、年に5日以上の同居の実態があれば、それは本件特例に定める「同居を常況にしている」に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件特例は、特別障害者が家庭において家族と一緒に生活できるように配慮し、在宅において特別障害者が介護されることを税制面でも促進し、福祉対策にも資する等の趣旨で設けられたものであり、その意味で、本件特例に定める「同居を常況としている」とは、特別障害者が介護施設などに入居せず、在宅により介護等を受けている場合をいうものと解されることから、請求人の妹が、本件施設に入居後、そのほとんどの期間を本件施設で過ごしており、その間の同人に対する介護は、本件施設の職員が行っていると認められ、仮に、平成13年中において請求人が主張する期間、請求人の妹と起居を共にしていたとしても、それは一時的なものというべきであって、そのことをもって請求人の妹が請求人と「同居を常況としている者」に該当するとは認められない。
 したがって、請求人の主張に理由がなく、原処分は相当である。

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平成15年5月12日裁決

遺産分割協議により自己の相続分を超える不動産の持分を取得したことが国税徴収法第39条の第二次納税義務の規定に該当するとした事例

裁決事例集 第65集 1047頁

要旨

 遺産分割協議が国税徴収法第39条に規定する処分に該当するかどうかについては、遺産分割協議が、相続の開始によって共同相続人の共有となった相続財産の全部又は一部を各相続人の単独所有とし、又は新たな共有関係に移行させることによって、相続財産の帰属を確定させるものであることから、その法的性質は、財産権を目的とする法律行為であり、処分に該当すると解するのが相当である。
 請求人らは、Kに対する立替金の返還を求めないことを対価として本件持分譲渡を受けたものであるから、国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等の処分に該当せず、本件告知処分は違法である旨主張し、それを証明するものとして本件覚書を提出している。
 しかしながら、請求人らが覚書を証拠として主張する立替金については、[1]その立て替えたとする金額が確定できないこと、[2]親子間に特有の資金交流と認められること、[3]金銭消費貸借契約書等の作成もないこと、[4]覚書は、審査請求の段階で初めてその存在が主張されたこと、及び、[5]請求人らは、審査請求前は上記主張とは別の説明をしていたことが認められる。そうすると、覚書は、その内容が実態を伴っておらず、滞納者と請求人らとの間で覚書記載のとおりの合意がされたものとは認められない。
 したがって、本件持分譲渡は、国税徴収法第39条の規定する第二次納税義務の無償による譲渡等の処分に該当する。

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平成15年4月24日裁決

分譲マンションの建設用地について、本件土地を含む地域が地すべり防止区域に指定されたこと及びおよそ300 離れた同様の傾斜地で土砂崩れがあったことは、評価損が損金に算入される法人税法施行令第68条第1号ニの「準ずる特別の事実」に該当しないとした事例

裁決事例集 第65集 387頁

要旨

 請求人は、本件土地の取得前後に本件土地を含む地域が地すべり防止区域に指定されたことにより、許可を受けたものの、その際に付された許可条件を満たすための工事が工法上困難なものであるため分譲マンションを建設することができない土地となったと主張する。しかしながら、分譲マンション建設のために都市計画法許可及び地すべり等防止法許可を受けており、本件土地に分譲マンションを建設し、それを販売することは可能である。したがって、地すべり防止区域の指定を受けたことによって、通常の方法により販売することができなくなったものとは認められない。
 また、地すべり等防止法許可の際に付された条件は通常許可を受ける際に付される一般的な条件にすぎず、加えて工法上の問題と事業の遂行に多額の費用を要することは、本件土地が急傾斜の斜面であることから生じるものであって、本件土地が地すべり防止区域の指定を受けたことによって生じたものではない。
 請求人は、平成10年の近隣地区の土砂崩れにより、同様の状況にある本件土地は極めて危険な土地と判断され、本件土地の価値が著しく低下したと主張する。しかしながら、平成10年の土砂崩れは本件土地からおよそ300メートル離れた場所で発生したもので、それによって本件土地に物質的な欠陥が生じたものでもなければ、そのことから本件土地が土砂崩れを起こす可能性が増大したと認めることもできない。
 したがって、請求人の主張は、いずれも法人税法施行例第68条条第1号ニの「準ずる特別の事実」に該当しない。

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平成15年4月24日裁決

相続開始後3年以内に遺産分割された土地について、租税特別措置法第69条の3(平成11年法律第9号改正前)の適用を受ける場合の更正の請求の期限は、当該土地の遺産分割の日から4か月以内であるとした事例

裁決事例集 第65集 788頁

要旨

 更正の請求による租税特別措置法第69条の3(平成11年法律第9号改正前)の適用は相続税法第32条の規定により、本件土地の遺産分割が行われた日の翌日から4か月以内になされる必要があるところ、本件の更正の請求はこの期限を経過した後になされたものであるから、不適法である。
 請求人は本件土地についての遺産分割の日から4か月以内に行った修正申告において同条の適用を失念したことは同条第6項に規定する「やむを得ない事情」に該当するものと解するべきである旨主張するが、この「やむを得ない事情」とは、例えば、災害、交通や通信の途絶等、納税者の責めに帰すことのできない客観的事情によるものをいい、本件のように請求人が同条の適用を失念したことはこれに当たらない。

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平成15年4月24日裁決

非居住者である外国法人の従業員を対象に国内で行う現場改善等のセミナーは、消費税法施行令第17条第2項第7号ハに規定する国内における飲食又は宿泊に準ずるもので、国内において直接便益を享受するものに該当することから、輸出免税等には当たらないとした事例

裁決事例集 第65集 864頁

要旨

 請求人は、本件セミナーは、その内容が主として講義及び現場実習等であり、日常生活の中で行われるサービスとは全く異なるものであるから国内飲食等に準ずるものとはいえず、また、その目的が現場改善、生産性向上であるから、その効果は国外に所在する本件外国法人の工場等の現場において完結し、本件外国法人は、国内において直接便益を享受しているとはいえないことから、消費税の輸出免税取引に該当するので、その代金は消費税の課税標準から減算すべきであると主張する。
 しかしながら、本件セミナーは本件外国法人の従業員に対して国内で行われる講義、現場実習、国内観光等であり、その代金には開催期間中の国内における食事代金、宿泊代金及び交通費が含まれ、いずれも国内で本件セミナーの参加者に対して行われる役務の提供であるから、日常生活において居住者、非居住者の区別なく同じサービスをするものか否かにかかわらず、国内飲食等に準ずるものに該当するものと認められ、また、本件セミナーは国内において実施され、かつ、国内において終了しているから、非居住者に対する国内における役務の提供であり、その便益を本件セミナーの参加者である従業員が国内で享受することにより本件外国法人が国内において直接享受するものとなり、役務の提供を享受した後の効果が国内で発現するものか否かを考慮する必要はなく、ともに国内において完結していると認められる。
 以上のことから、本件セミナーは、消費税法施行令第17条第2項第7号ハに該当し、輸出免税取引には該当しないから請求人の主張には理由がない。

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平成15年4月23日裁決

単純承認により相続した土地(買換資産)を譲渡した場合の譲渡所得の金額の計算において、控除できる土地の取得費は、租税特別措置法第37条の3《買換えに係る特定の事業用資産の譲渡の場合の取得価額の計算等》の規定に基づき算定した取得価額によることが相当であるとした事例

裁決事例集 第65集 228頁

要旨

 請求人は、請求人の母(被相続人)が租税特別措置法第37条第1項の規定を適用して取得した買換資産について、母から相続した後に譲渡したものであるから、所得税法第60第1項の規定が適用され、母の購入金額等が取得価額となると主張する。また、租税特別措置法第37条の3に規定する「適用を受けた者」とは、買換資産を取得した被相続人であることから、請求人に適用されるものではない旨主張する。
 所得税法第60条第1項は、相続等により取得した資産の取得費等の計算においては、その相続した者が引き続きこれを所有していたものとみなすと規定し、取得時期及び取得価額を引き継ぐこととしており、取得価額は、別段の定めがあるものを除き、被相続人が取得に要した同法38条に規定する「資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額」となる。
 ところで、請求人が譲渡した資産は、被相続人が生前において租税特別措置法第37条第1項を適用して取得した買換資産であり、これを単純相続により取得した後に請求人が譲渡したものであるから、この場合の取得価額についても、所得税法第60条第1項の規定が適用され、被相続人の取得価額が引き継がれることとなるところ、買換資産の取得価額にかかる租税特別措置法37条の3の規定は、所得税法38条に規定する「別段の定め」に該当するものであるから、被相続人の取得価額は、租税特別措置法37条の3の規定により計算された価額となり、請求人は、この価額を所得税法60条1項の規定により、被相続人の取得価額として引き継ぐこととなる。
 したがって、この点に関する請求人の主張には理由がない。

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平成15年4月23日裁決

相続税の延納担保財産の差押えが適法であるとした事例

裁決事例集 第65集 1089頁

要旨

 請求人らは、滞納者Jは延納担保として提供していた本件不動産より容易に換価可能な財産を所有しており、請求人らが、このことを指摘しているのであるから、このような場合には、本件不動産について差押えをする前に、まず、J所有の財産を差し押さえるべきであり、原処分庁が本件不動産の換価を急ぐのは合理性を欠く旨主張する。
 しかしながら、請求人らは、本件不動産をJの滞納国税の担保として提供しているいわゆる物上保証人であるところ、物上保証人は、民法第453条に規定するいわゆる検索の抗弁権を有しない。
 また、国税通則法第52条第1項は、延納を取り消したときは、その担保として提供された財産を滞納処分の例により処分して、その国税及び当該財産の処分費に充てる旨を、同条第4項は、同条第1項の場合において、担保として提供された財産の処分の代金を同項の国税及び処分費に充ててなお不足があると認めるときは、税務署長は、滞納者の他の財産について滞納処分を執行する旨規定している。したがって、仮に、滞納者Jが本件不動産より容易に換価可能な財産を所有しているとしても、まず、担保として提供された財産である本件不動産を処分しなければならないのであり、原処分は、上記法令の規定に従った合理的な処分であるから、請求人らの主張には理由がない。

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平成15年4月18日裁決

住宅用家屋を取得した請求人が、登記時には住宅用家屋証明書の交付を受けられず、登記完了後に交付を受けた同証明書を添付して行った還付通知すべき請求に対してなされた、還付通知をすべき理由がない旨の通知処分は適法とした事例

裁決事例集 第65集 973頁

要旨

 請求人は、本件建物は租税特別措置法施行令第42条第1項に規定する家屋に該当するところ、本件登記申請書提出時には住宅用家屋証明書の交付をしてもらえなかったから本件登記申請書に住宅用家屋証明書を添付できなかったのであり、本件登記完了後ではあるが、本件証明書の交付を受けこれを添付して本件還付請求をしたのであるから、本件登記は本件軽減措置に該当し、本件還付通知請求は認められるべきである旨主張する。
 しかしながら、登録免許税は、登記の時に納税義務が成立し、それと同時に特別の手続きを要しないで納付すべき税額が確定するものであるから、本件軽減措置の適用がある場合とは、登記の申請時において、その登記の申請書に当該家屋についての住宅用家屋証明書の添付がある場合に限られるものと解され、本件登記については、本件軽減措置の適用はないこととなる。
 また、請求人が主張するような事情があったとしても、租税特別措置法第73条には登記申請時に住宅用家屋証明書の添付がない場合でも本件軽減措置の適用を受けることができるとするゆうじょ規定は存在しないから、請求人の主張には理由がない。

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平成15年4月18日裁決

請求人の増改築等の工事は、家屋を居住の用に供する前に行われていることから、住宅取得等特別控除の対象とならないとした事例

裁決事例集 第65集 312頁

要旨

 請求人は、増改築等の工事前に、本件借家から家財等の搬入を開始したこと及び本件家屋のガス、水道等が本件家屋の取得時点において使用可能であったこと等を理由に、本件家屋を居住の用に供したのは増改築等の工事前である旨主張する。
 しかしながら、請求人が届け出た住民票には、増改築等工事後に転居した旨記載されていること、ガス、水道の両方が開栓されたのは増改築等工事終了後であること、大型家具類等は、増改築等工事後に運送業者によって本件家屋に搬入されていること、増改築等工事は、増築した場所に風呂及び洗面所を移設する工事であること、及び増改築等工事の期間中に請求人の実家において寝泊りしていたことを考え併せると、請求人が増改築等工事の開始前に真に居住の意思をもって客観的にもある程度の期間継続し、本件家屋を生活の拠点として利用していたと認めることはできず、この点に関する請求人の主張は採用できない。

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平成15年4月16日裁決

連帯納付義務者Lから不動産の贈与を受けた者に対して行われた国税徴収法第39条の規定に基づく第二次納税義務の告知処分が適法であるとした事例

裁決事例集 第65集 1068頁

要旨

  1.  相続税法第34条の連帯納付義務については補充性がないことから、連帯納付義務は、第二次納税義務のように本来の納税義務者に対する滞納処分を執行しても徴収すべき額に不足すると認められる場合に限って、納税義務を負担するものではない。すなわち、本来の納税義務者に対する徴収手続と連帯納付義務者に対する徴収手続は本来的には別個の手続である。
     そうすると、仮に、税務署長が、本来の納税義務者に対する滞納処分等の徴収手続を適正に行っておれば、本来の納税義務者から滞納に係る相続税を徴収することが可能であったにもかかわらず、税務署長が徴収手続を怠った結果、本来の納税義務者から相続税を徴収することができなくなったという事実があったとしても、その事実は、相続税法第34条第1項の規定によって、各相続人に課されている連帯納付義務の存否又はその範囲に影響を及ぼすものではなく、また、税務署長が、各相続人に対して、連帯納付義務の履行を求めて徴収手続を進めたとしても、これをもって違法ということはできない。
  2.  請求人らは、国税の徴収について、民法第504条の規定を準用又は類推適用すべきであると主張するが、相続税法、国税通則法、国税徴収法のいずれにおいても、民法第504条を準用すべきものであるとする規定もなく、類推適用を根拠付ける規定もない。
  3.  相続税の連帯納付義務の性格については、その性格を民法上の連帯保証債務に類似するものと解し、本来の納税義務についての時効中断の効力は附従性により連帯納付義務にも及ぶと解するのが相当である。これを本件について見ると、本来の納税義務者Kの国税の徴収権の消滅時効はいまだ完成していないから、連帯納付義務者Lの国税の徴収権の消滅時効も完成しておらず、請求人らの主張には理由がない。
  4.  Kは、Lの連帯納付義務を承継した納税義務者でもあり、連帯納付義務と本来の納付義務が同一人に帰することになる。しかしながら、本来の納付義務と重複することとなった連帯納付義務が当然に消滅すると解すべき実定法上の根拠はない。また、本来の納付義務と連帯納付義務が同一人に帰した場合に、連帯納付義務が消滅する場合があり得るとしても、Lの連帯納付義務は、第二次納税義務の基因となる納付義務であり、Lの連帯納付義務を存続させる実益があることからすると、当該連帯納付義務が消滅すると解するのは相当ではない。
  5.  国税徴収法第39条の徴収不足が無償譲渡等の処分に「基因する」とは、広く、その処分がなかったならば、徴収不足を生じなかったであろうことをいい、損害賠償請求の場合における「直接の因果関係」よりも広い概念として、当該基因関係を認めるのが相当と解され、また、徴収不足の判定は、第二次納税義務の告知処分をするときの現況によるべきものと解される。
     これを本件について見ると、本件贈与がなければ、本件贈与により受けた利益の金額の総額を承継後の滞納国税に充てることが可能であったといえる。そうすると、本件贈与と徴収不足との間に基因関係を認めることができるから、請求人のこの点に関する主張は採用できない。
  6.  本件納付通知書の納税者欄には、第二次納税義務の基因となった納付義務を負う者の氏名が記載されるところ、Lは既に死亡しており、Lの連帯納付義務はKに承継されていることから、納付通知書の納税者欄にKの氏名を記載したことは、国税徴収法第32条第1項に照らして適法であり、無効とする重大な瑕疵があるとはいえない。
  7.  国税徴収法第39条の規定は、主たる納税者の租税の納期限が経過したこと及び滞納処分を執行しても徴収不足を生じると認められることを第二次納税義務の要件としているものの、主たる納税者に対して実際に徴収手続に着手することを要件とするものではないと解される。
     したがって、第二次納税義務の基因となった連帯納付義務について、国税徴収法第39条に規定する要件を満たせば、督促の有無にかかわらず、第二次納税義務者である請求人らに対して、本件告知処分を行うことができることとなる。
  8.  登記は、制度上その手続において、真正な、すなわち有効に存立する実質的な関係に基づくものであることが前提とされ、かつ、公の機関によって管理されているから、登記上の所有名義人は反証がない限り当該不動産の所有者と推定することが相当である。本件居宅は、[1]相続により贈与者へ所有権移転登記がされていること、[2]請求人らへ贈与により所有権移転登記がされていることから、被相続人から相続した上で、請求人らに贈与したと認めるのが相当である。
     これに対して、請求人は、自らが本件居宅を建築したと主張するが、遺産分割協議書及び本件相続に係る相続税の申告書において、本件居宅は妻が相続する旨の記載があること、請求人らは、本件贈与について贈与税の申告をしていること、並びに請求人が建築したとする請負契約書や新築及び改築費用の資金出所を明らかにする領収書等の証拠書類を提出しないことからすると、本件居宅が請求人に帰属すると認めることはできない。
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平成15年4月15日裁決

直近5年分の売上除外割合等に基づき推計の方法で算定された各年分の売上除外額について、隠ぺいの事実を認め、重加算税賦課決定処分を適法とした事例

裁決事例集 第65集 35頁

要旨

 請求人は、原処分庁が仮装、隠ぺいについて故意の存在を立証することなく重加算税を賦課していること、本件修正申告書が本件調査において推計の方法により算定された売上除外金額に基づいて提出されたものであることから、本件賦課決定処分は違法である旨主張する。
 しかしながら、請求人の妻は、売上金、売上伝票等からほぼ正確な売上金額を把握していたにもかかわらず、従業員に仮にレジを締めさせその後の売上を除外するなどの方法により、売上金額を過少に記載した日計表を作成していた旨申述しており、当該申述は従業員の申述とも符合し信ぴょう性が認められる上、請求人は、平成2年以降継続して公表外給料を支払っていたこと及び直近5年分の売上除外割合等により推計の方法で算定された本件各年分の売上除外額について、その事実を認めて修正申告書を提出していることを併せ考えると、直近5年分と同様に、従業員に仮にレジを締めさせ、その後の売上を除外した日計表を作成し、それに基づき過少申告していたと認めるのが相当である。そうすると、請求人は、売上を除外する意図の下に事実を隠ぺいし、これに基づき納付すべき税額を過少に記載して、内容虚偽の確定申告書を提出したものと認められ、請求人のこれらの行為は、国税通則法第68条第1項に該当する。
 また、同項には、その適用に当たって推計による課税標準等を除くことが規定されていない以上、課税標準等が実額計算によるものか推計計算によるものかを問わないものと解するのが相当である。

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平成15年4月9日裁決

売買代金の回収不能という事実の存否についての認定に基づき、資産の譲渡代金が回収不能になった場合等の所得計算の特例の適用が認められないとした事例

裁決事例集 第65集 257頁

要旨

 請求人は、請求人が本件土地の売買代金を受領していないから所得税法第64条第1項に規定する特例を認めるべきである旨主張するが、本件売買契約の買主を本件訴訟の被告に加えていないこと、また、買主に対して、本件土地の売買代金の支払を求めて訴訟提起をしていないだけでなく、本件土地の売買代金の請求を一切していないことからすると請求人と買主との間において本件土地の売買代金の決済を終わっているものと認めざるをえない。
 そうすると、請求人の買主に対する土地の売買代金の全部若しくは一部が回収することができない場合に当たらないことは明らかである。
 さらに、請求人は請求人の代理人には売買代金を受領する権限がないのであるから、売買代金の授受行為が民法第478条に規定する債権の準占有者に対する弁済として有効であるとしても、あるいは無効であるとしても請求人が売買代金を受領したことにはならない旨主張する。
 しかしながら、買主から請求人の代理人への支払が有効になるのであれば、請求人の買主に対する売買代金債権は民法第478条の規定により消滅しているのであるから、当該売買代金の回収不能という問題が生じないことは明らかであり、また、代理人への支払が無効になるのであれば、請求人は買主に対する本件売買代金を請求することができるのであるから、いまだ回収不能となっているわけではないことになる。
 結局、本件は請求人と買主との間における本件売買契約の代金決済が終わった後の売買代金の使途に関することであり、所得税法第64条第1項に規定する譲渡代金の回収不能とは異なる問題であるというべきであるから、これらの点に関する請求人の主張には理由がない。

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平成15年4月9日裁決

外国法人の株主として受けた当該法人の子会社の株式の分配は、同法人が同法人の株主に対して同法人の利益剰余金を原資に、株主の所有株数に応じて分配したものと認められることから、所得税法第24条第1項に規定する利益の配当に該当するとした事例

裁決事例集 第65集 84頁

要旨

 請求人は、外国法人であるH社の株主として、H社から受けたH社の子会社であるJ社株の分配(以下、「本件株式分配」という。)は、親会社を通じて間接的に所有していた子会社の株式を直接所有することに変わったものにすぎないことから、配当にも所得にも当たらないこと、また、本件株式分配は、企業分割に伴う株式分配であるから、所得税法第24条に規定する配当にも、同法第25条に規定するみなし配当にも該当しない旨主張する。
 しかしながら、本件株式分配は、親会社が同社の株主に対して同社の利益剰余金を原資に、株主の所有株数に応じて子会社の株式を分配したものと認められることから、請求人が本件株式分配によって取得した子会社の株式は、所得税法第24条第1項に規定する「利益の配当」に該当するものと認められるので、請求人の主張には理由がない。

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平成15年4月7日裁決

差押不動産は一筆の土地で分割できないものであり、滞納国税の額に比較して差押不動産の処分予定価額が合理的な裁量の範囲を超え著しく高額であるとは認められないから、超過差押えに当たらないとした事例

裁決事例集 第65集 1095頁

要旨

 請求人は、差押処分の対象となった自宅底地以外に不動産を所有していたので当該不動産を差し押さえるべきであったと主張する。しかしながら、差押財産の選択については、徴収職員の合理的判断にゆだねられているところ、請求人が差し押さえるべきであったと主張する不動産は換価に不適又は不便な財産であるから、本件自宅底地の差押えには合理性を欠いた点はなく、違法ではない。
 国税徴収法第48条第1項が規定する超過差押えとなるか否かを判断する場合、一般的には、差押財産の処分予定価額と徴収すべき滞納国税(延滞税等の附帯税も含む。)の額とを比較して判定すべきものであるとしても、差押財産の処分予定価額が滞納国税の額を超過した場合に、直ちに当該差押えが超過差押えとして違法となるものではなく、他に滞納国税を満足できる換価に見合う財産があるにもかかわらず、滞納国税の額に比較して差押財産の処分予定価額が合理的な裁量の範囲を超え著しく高額であると認められるような財産を差し押さえたというような特段の事情がある場合に、初めて当該差押えが違法となるものと解される。
 また、複数の財産を差し押さえた場合において、そのうちの一部の差押えによって国税徴収の目的が十分達成できるにもかかわらず、あえて他の財産も差し押さえたときは、超過差押えとなる余地もあり得るが、差押えに係る財産が法律上分割できない場合、あるいは分割することはできるが、分割することにより物の経済的価値を著しく害する場合には、たとえその財産の価額の合計額が滞納国税の額を超過したとしても違法とはならないと解される。
 原処分時の本件差押自宅敷地の処分予定価額は、処分予定価額が上回っているが、本件差押自宅敷地は一筆の土地で分割できないものであり、本件滞納国税の額に比較して本件差押自宅敷地の処分予定価額が合理的な裁量の範囲を超え著しく高額であるとは認められない。

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平成15年3月25日裁決

1. 書面による贈与契約であってもその契約の効果が真実生じているか否かを実質的に判断するべきであるとした事例 2. 複数の連帯保証人と物上保証人がある場合の負担割合は平等であるとした事例

裁決事例集 第65集 533頁

要旨

  1.  請求人は、本件不動産について、本件相続開始前に本件公正証書に基づいて請求人の子らが被相続人から生前贈与を受けたものであり、本件相続財産ではない旨主張する。
     しかしながら、本件不動産の所有権移転登記手続および使用収益の状況などに照らすと、被相続人は、本件公正証書に基づいて、孫らに対し本件不動産を真に贈与する意思を有していたとは認め難く、孫らも、本件不動産を取得したとする認識があったとは認められない。
     また、公正証書を作成した目的が、請求人が主張するように、孫らに対する相続税の節税のための生前贈与にあるとするならば、孫らの親権者である請求人を含めた当事者は、本件不動産についての贈与税の申告が必要であるとの認識を有していたとみるのが自然であるところ、本件不動産に係る贈与税の申告はされていない。
     そうすると、本件公正証書は将来の相続税の負担を回避するなど、何らかの意図を持って作成された、実体を伴わない形式的な文書であるとみるのが自然かつ合理的であり、本件公正証書によって被相続人と孫らの間に贈与の合意が成立していたものとは到底認められず、請求人の主張には理由がない。
  2.  請求人は、本件連帯保証債務について、銀行取引約定書における連帯保証人としての署名・押印は請求人の承諾なく被相続人が無断で行ったものであり、請求人の保証人としての責任はもとより発生しておらず、本件借入金に係る保証人は被相続人一人であるから本件連帯保証債務の全額を債務控除すべきである旨主張する。
     しかしながら、銀行取引約定書には請求人の実印が押印されていること、主たる債務者である関係法人の当時の代表者が請求人自身であること、また、請求人は銀行から請求人あてに発せられた催告書に対して異議を述べた形跡がないことなどからみて、請求人は保証人であることを十分に認識していたと認めるのが相当であり、請求人の主張は採用できない。
     また、本件借入金については、連帯保証人以外に物上保証人がいることから保証人は3名となり、その負担額は均等であると認められることから、本件相続について債務控除すべき被相続人の保証債務の額は、本件連帯保証債務の額の3分の1とするのが相当である。
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平成15年3月25日裁決

医療法人の出資持分の評価は財産評価基本通達に定める方法により算定した価額が相当であるとした事例

裁決事例集 第65集 743頁

要旨

 請求人らは、医療法人は非営利法人であり株式会社とは性格を異にすること及び相続税法9条は同族会社のみに適用すべきと解されることから本件増資に贈与税を課税することは誤っており、また、医療法人の場合、増資持分の権利は、増資後の期間に及ぶ(東京高裁平7.6.14判決)のであるから、増資により取得した持分の価額は出資額と同額となり経済的利益は生じないので、同条は適用されない旨主張する。
 しかしながら、本件医療法人は、持分の定めのある社団医療法人であり、同法人の新定款全体の定めや定款の変更の可能性の有無などを総合的に判断すると、本件増資により取得した財産権たる持分の価額と本件増資に係る出資額との差額を本件増資により取得したものと認められ、相続税法9条の規定は医療法人を除く旨定めたものでもないから、同条の規定の適用があるものと解される。また、請求人の主張する判決は、事件の個別事情を考慮した判決であって、医療法の解釈として請求人の主張するような趣旨を判示したものとは認められない。

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平成15年3月25日裁決

死後認知裁判により相続人となった者であっても相続により財産を取得した時及びその財産の評価の時点は相続の開始の時であるとした事例

裁決事例集 第65集 601頁

要旨

 請求人は、認知裁判の確定により初めて相続人の地位を取得したものであるから、本件株式の取得の時期は認知裁判の確定した日と解すべきであり、また、遺産分割請求権の行使や相続財産の換価処分等も認知された日以降でないとでき得ない状況であったことから、その評価時点も、早くても認知裁判が確定した日と解すべきである旨主張する。
 しかしながら、相続は、被相続人の死亡によって開始し、相続人は、被相続人の一切の権利義務を承継し、遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものであることから、相続による財産取得の時期は、相続開始の時であると認められ、また、相続により取得した財産の価額は、当該取得の時における時価による旨の相続税法第22条の規定からすると、相続等により取得した財産の評価時点も相続開始時と解するのが相当である。
 このことは、[1]認知は出生の時にさかのぼってその効力を生ずること、[2]相続税法第2条第15条第2項第16条第17条の各規定からすると、相続税法は民法上の法定相続人が法定相続分に従って遺産を分割取得したものと仮定して相続税の総額を計算し、この相続税額を、実際に遺産を取得した者がその取得分に応じて納付するといういわゆる法定相続分課税方式による遺産取得課税方式を採用しており、また、すべての相続税の納税義務者について、相続開始時を基準とした課税を行うことを予定していること、[3]相続税法第22条において、相続により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価による旨規定していること及び[4]被相続人の死亡後における認知裁判の確定により相続人となった者が、当該相続により財産を取得した場合におけるその財産の価額について、相続税法第3条の2のような相続税法第22条の例外としての別段の定めがないことなどからすると、相続人が、被相続人の死亡後に認知裁判が確定したことにより相続人たる地位を取得した場合であっても、同様であると解される。
 以上のことから、これらの点に関する請求人の主張には理由がない。

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平成15年3月25日裁決

相続により取得した第一種市街地再開発事業に係る施設建築物の一部の給付を受ける権利の価額は、権利変換計画において決定された変換を受けることとなる施設建築物の一部の価額の70%に相当する金額と認めるのが相当とした事例

裁決事例集 第65集 772頁

要旨

 請求人らは、請求人らが相続により取得した第一種市街地再開発事業に係る施設建築物の給付を受ける権利の価額は、鑑定評価額を基に、財産評価基本通達に定める貸家として評価すべきである旨主張する。
 しかしながら、当該権利については、被相続人が生前に権利変換価額に同意していること、本件相続開始後において、請求人らは、この価額を基に清算金を受領している事実があり、権利変換価額の減少は認められないこと、また、貸家とは、相続開始時の現況において借家権の目的となっている家屋をいうところ、本件相続開始時点では建築中であり、賃貸の用に供している家屋ではないことから、請求人らの主張には理由がなく、施設建築物の一部の給付を受ける権利の価額は、建築中の家屋の評価との均衡を図り、権利変換計画において定められた権利変換価額から当該価額の30%に相当する金額を控除して算出した価額が相当であると認められる。

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平成15年3月25日裁決

親族の居住用家屋の敷地の用に供されていた宅地は使用借権の付着した宅地として、樹苗地として低い賃料で法人に賃貸されていた畑地は、賃借権の付着した雑種地として評価するのが相当とした事例

裁決事例集 第65集 671頁

要旨

 請求人らは、本件土地には隣接土地に係る判決の効果が及び、借地法人が営業を継続する限り返還されることのない土地であるところ、財産評価基本通達にはこのような土地の評価方法の定めがないことから、財産評価基本通達によることのできない特別の事情があり、その価額は、収益還元法によって時価を算定した鑑定評価額によるべきである旨主張する。
 しかしながら、本件土地と隣接土地とでは取得の経緯及びその占有者(借地法人)の使用権原を異にするものであるから、本件判決において判断された「遺産分割に当たって、家業の樹苗園が存続する限りは使用させるとの使用貸借契約が黙示的に成立した」との法律関係は本件土地には認められないので、財産評価基本通達により難い特別な事情があるとは認められない。
 また、請求人の鑑定評価額を検討するに、収益還元法による価額を基礎とするところ、収益還元法には収益、還元率など算定が困難と認められる諸要素があり、また、前提となる土地の利用関係に誤認が認められるところから、請求人の主張する鑑定評価額は採用し難い。

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平成15年3月25日裁決

請求人が債権譲渡により生じたとする貸倒損失は認められず、また、修正申告書を作成するに当たって支払ったとする決算事務手数料は、必要経費に算入されないとした事例

裁決事例集 第65集 118頁

要旨

  1.  請求人は、本件譲渡契約書に基づき、貸付債権を債権総額の3%でF社に譲渡したのは事実であるから、債権譲渡により生じた損失の金額は、譲渡日の属する年分の必要経費に算入すべきである旨主張する。しかしながら、F社は、本件譲渡契約書に係る貸付債権の回収額を請求人に報告し、請求人は、他の各店舗同様、F社が回収した金額について売上報告書を作成しているほか、F社が回収した金額の60%相当の額をF社に対する集金手数料として支払っていることから、本件譲渡契約書は形式的なもので、実質は債権の取立て委託とみるのが相当であり、請求人の主張は認められない。
  2.  請求人は、修正申告書を作成するに当たり、決算事務手数料として566,500,000円をK及びLに支払っており、これらの金額は、事業活動に直接関連する必要経費であるから、事業所得の必要経費に算入すべきである旨主張する。しかしながら、請求人は、既に関与税理士により修正申告書が作成されていたにもかかわらず、新たに修正申告書の作成をK及びLに依頼したことに対して支払われた支出であり、この支出は、請求人の営む事業の遂行上、通常かつ一般的に必要と認められる客観性を有しているとはいえないことから、事業所得の金額の計算上必要経費には算入されない。
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平成15年3月25日裁決

請求人の妻である医師は、請求人の事業に専ら従事していないとして、妻に対して支払った青色事業専従者給与の額は必要経費に算入されないとした事例

裁決事例集 第65集 152頁

要旨

 請求人は、所得税法施行令第165条第2項第2号かっこ書の規定は、他に職業を有していたとしても納税者の事業に専従者として貢献し、その職分を果たす限りは、その期間も当該事業に専ら従事する期間に含むとする趣旨であるから、請求人の妻が請求人の事業に専ら従事していた期間は、週1日だけではなく、他の病院に勤務していた週5日も含まれ、同人は青色事業専従者に該当する旨主張する。
 しかしながら、同号の規定の趣旨は、他の職業を有する場合、その職業に従事する期間は納税者の事業に専ら従事することが通常あり得ないためであり、この趣旨の下で、同号かっこ書の規定は、例外的に、他に職業を有するものであってもその職業に従事する期間が短い者やその他納税者の事業に専ら従事することが妨げられないと認められる者を除くとしているものと解するのが相当であるところ、本件については、同人が他の病院に勤務している期間は、請求人の事業に従事することができなかったと認められるから、同人が請求人の事業に専ら従事していた期間は週1日のみであり、同人は青色事業専従者に該当しない。

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平成15年3月24日裁決

共同相続人の相続税の申告は錯誤に基づく無効な申告であるとは認められないから、相続税法第34条に基づく差押処分は適法であるとした事例

裁決事例集 第65集 993頁

要旨

 相続税について、その申告書の記載内容について錯誤があるときには、錯誤による無効を主張できる場合があり得るが、それは、相続税法の定める申告及び修正申告、更正の請求等の制限の趣旨を考慮すると、当該錯誤が客観的に明白かつ重大であって、国税通則法等に定める是正方法以外にその是正を許さないとすると、納税義務者の利益を著しく害すると認められる特段の事情がある場合に限り許されるものと解すべきである。
 請求人は、Bが提出した本件申告書は、Bの錯誤に基づく無効なものであるから、本件申告に基づき確定した本件相続税額は不存在というべきであり、本件差押処分は違法である旨主張する。
 しかしながら、[1]Bは法定相続分である7分の1の割合で遺産を取得した旨を本件申告書に記載していること、[2]被相続人の遺産のほとんどをKに取得させる旨記載された遺言書と題する書面があること、[3]Bは本件申告書に係る相続税の納付をしていないことが認められるものの、他方で、Bは当該書面の内容を争い、遺産の一部の帰属についての訴訟が係属中であることに照らすと、これら[1]ないし[3]の事情が認められるからといって、直ちにBの申告について客観的に明白かつ重大な錯誤がある場合に該当するとはいえず、また、他に納税義務者の利益を著しく害すると認められる特段の事情があるとは認められないから、請求人の主張には理由がない。

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平成15年3月24日裁決

登記嘱託書に記載されていた類似地と本件土地の形状等に比較検討を加え、課税標準額を認定した事例

裁決事例集 第65集 961頁

要旨

 原処分庁は、固定資産課税台帳に登録された価格(台帳価格)のない土地に係る登録免許税の課税標準の額の算定について、本件土地近傍の宅地(本件類似地)の台帳価格の1平方メートル当たりの価額に本件土地の地積を乗じた金額を基としているが、本件土地と本件類似地の形状は大きく異なることから、たとえ本件類似地の台帳価格を基に固定資産税評価額を算定するとしても、本件土地が有する特殊事情について所要の調整を行った上、本件土地の登録免許税の課税標準の額及び登録免許税の額を認定するのが相当である。
 したがって、還付の通知をすべき理由がないとした本件通知処分は、その限りにおいて違法であるから、その一部を取り消すべきである。

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平成15年3月20日裁決

「その事実の発生について特別な事情があり、かつ、再発防止のための監査体制を強化する等今後の適正な記帳及び申告が期待できる」(「法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」)とは認められないとして、青色申告の承認の取消処分は適法であるとした事例

裁決事例集 第65集 500頁

要旨

 請求人は、本件青色申告承認取消処分につき、平成12年7月3日付課法2-10「法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」の5「相当の事情がある場合の個別的な取扱い」の[1](「その事実の発生について特別な事情があり、かつ、再発防止のための監査体制を強化する等今後の適正な記帳及び申告が期待できる」)の判断を誤ったものであり、違法である旨主張する。
 しかしながら、本件売上除外(法人税法第127条第1項第3号該当)の実行者は、当時の請求人の代表取締役(父)から指示を受けて、請求人の仕入れ及び在庫管理に係る業務を担当していた者であることからすると、請求人に、「その事実の発生について特別な事情がある」ということはできず、また、当該実行者が請求人の代表取締役に就任した以後においても、不正な申告については是正(修正申告)を行わず、引き続き売上金の一部を除外し、それに基づいて確定申告書を提出していたものであるから、請求人が再発防止のために強化したとする監査体制は、適正な申告を行うという観点からは、十分に機能していると認められない。
 したがって、この点に関する請求人の主張は採用できない。

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平成15年3月20日裁決

相続税の延納許可取消処分は、相続税法第40条第2項に定められた弁明を聞く手続を経ずになされたもので違法であるとした事例

裁決事例集 第65集 818頁

要旨

 本件の事実関係において、相続税法第40条第2項に規定するあらかじめ弁明を聞く手続を適法に行ったといえるか否かについて判断すると、同項の趣旨に照らせば、原処分庁が弁明の聴取に当たり、聴取を受ける者において、それが延納許可取消しの判断のための弁明の機会であるとの認識を持ち得るような仕方をせず、その結果として、聴取を受ける者が同項の弁明であるとの認識を持たないまま、原処分庁において事情聴取をしたとしても、そのような事情聴取をもって同項に規定するあらかじめ弁明を聞く手続を行ったということはできないと解されるから、原処分庁が原処分に当たって適法に弁明を聞く手続を行ったと認めることはできない。
 したがって、原処分は、相続税法第40条第2項に定められた弁明を聞く手続を経ずになされたものであるから、同項に違反し違法である。

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平成15年3月12日裁決

請求人が自らの判断で簡易課税制度選択の届出をした限りは、任意に本則課税によって申告することはできないとした事例

裁決事例集 第65集 952頁

要旨

 請求人は、送付されてきた消費税の届出書に関する案内チラシは簡易課税の選択を誘導する内容のものであったので、消費税簡易課税制度の仕組みをよくわからないまま消費税簡易課税制度選択届出書を提出したのであり、また、同届出書の「事業内容等」欄の「事業区分」の記載漏れは重要事項であるのに、原処分庁はその連絡をせず同届出書を撤回する機会を失ったのであるから、本則課税によって課税仕入れに係る消費税額を計算し、納付すべき消費税額を算出した申告は認められるべきであると主張する。
 しかしながら、本件案内チラシは、簡易課税の選択を誘導するような内容ではなく、また、撤回するかどうかは、事業者本人の判断と責任においてなされるべきであり、記載漏れがあったことについて原処分庁からの連絡があったかどうかによって左右されるものでないことは明らかである。
 また、いったん消費税簡易課税制度選択届出書を提出し、簡易課税を選択した以上、簡易課税の適用をやめようとする旨の届出書を提出しない限り本則課税が適用されることはないので、請求人の主張には理由がない。

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平成15年3月11日裁決

簿外のたな卸資産に係る評価損については、所定の評価換え及び損金経理がなされていないから、その損金算入は認められないとした事例

裁決事例集 第65集 376頁

要旨

 請求人は、帳簿から除外したたな卸資産につき、翌事業年度において仕入価格を下回る価格で販売したこともあるから、販売可能な価額で評価すべきである旨主張する。
 しかしながら、除外したたな卸資産については、法人税法第33条第2項に規定する評価換え及び損金経理による帳簿価額の減額をしておらず、その評価損を損金に算入するための要件を満たしていないから、請求人の主張は採用できない。

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平成15年3月11日裁決

著書の出版に係る印税収入は弁護士業に係る事業所得の総収入金額に含まれるとした事例

裁決事例集 第65集 103頁

要旨

 原処分庁は、請求人は執筆を業としていないこと、請求人の執筆行為は事業所得を生ずべき事業に該当しないこと及び本件印税収入が事業所得の付随収入に該当しないことから、本件印税収入は、雑所得に係る総収入金額に含まれる旨主張する。
 しかしながら、弁護士としての所得の稼得形態は、弁護士法第3条第1項に規定する弁護士の職務(以下「本来の弁護士の職務」という。)を行うことによるものだけに限られているものではないから、弁護士業に係る事業所得の総収入金額には、本来の弁護士の職務を行ったことに伴い支払われる報酬のほか、講演料、出演料、印税、原稿料等の収入であっても、その講演等が弁護士の立場で行われたもの、あるいは、その内容が弁護士としての知識や経験等に基づくものであって、本来の弁護士の職務と直接の結び付きが認められるものは、所得税法上、事業所得以外の各種所得に係る収入金額又は総収入金額として特に明示されているものを除き、これに含まれると解するのが相当である。
 本件印税収入に係る本件著書の内容は、現に弁護士業を営む請求人の弁護士としての知識と経験に基づくものであり、本来の弁護士の職務との直接の結び付きがあると認められ、また、本件印税収入は、所得税法上事業所得以外の各種所得に係る収入金額又は総収入金額として特に明示されているものとも認められない。
 そうすると、本件印税収入は、請求人の事業所得に係る総収入金額に含まれると解するのが相当である。

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平成15年3月10日裁決

外国税額控除は、確定申告書に記載され、書類の添付がされたことにより具体的に確認できる金額の範囲に限られるとした事例

裁決事例集 第65集 472頁

要旨

 請求人は、添付書類の内容から、確定申告書に記載された金額の記載が正当でないと合理的に推認される場合には、それらの内容から正当に計算された金額をもって法人税法(平成13年法律第6号による改正前のもの)第69条第1項に規定する控除されるべき金額の限度と解すべきであるから、確定申告書に所定の記載及び書類の添付がない部分に係る控除も認められるべきである旨主張する。
 しかしながら、同条第10項は、内国法人が確定申告書に外国税額控除を受けるべき金額として記載し、確定申告書に添付した書類が証する限りの金額を控除されるべき金額とする旨明確に規定し、同条第12号は、確定申告書に記載又は書類の添付がない金額について外国税額控除の適用を受けるためには、やむを得ない事情を要求していることからすると、本件においては外国税額控除の適用を受け得るのは、確定申告書に記載され、書類の添付がされたことにより具体的に確認することのできる金額の範囲に限られると解すべきあるから、請求人の主張は採用できない。

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平成15年3月5日裁決

租税特別措置法第66条の6に規定する特定外国子会社等の各事業年度の課税対象留保金額の計算上、特定外国子会社等が翌事業年度に行った中間配当の額を、当該各事業年度の未処分所得の金額から控除することはできないとした事例

裁決事例集 第65集 520頁

要旨

 特定外国子会社等の各事業年度の課税対象留保金額の計算上、未処分所得の金額から控除される利益の配当等の額に当たるか否かは、当該各事業年度に係る利益の配当等の額であるか否かによるのであり、特定外国子会社等が行う利益の配当等の額が、どの事業年度の繰越利益から構成されるかによるのではない。
 したがって、特定外国子会社等が翌事業年度に行った中間配当の額を、当該各事業年度の未処分所得の金額から控除することはできない。

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平成15年2月28日裁決

社会福祉法人に土地を贈与し、国税庁長官に租税特別措置法第40条の規定に基づく承認申請をした場合において、これに対する不承認通知が所得税の法定申告期限までになかったことが国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由に該当しないと判断した事例

裁決事例集 第65集 26頁

要旨

 請求人は、法定申告期限内に適正な確定申告ができなかったのは、本件承認申請に対する国税庁長官からの不承認通知が法定申告期限までになかったからであり、また、通知が法定申告期限までにない場合は、原処分庁が請求人に対し、譲渡所得の申告が必要であることの指導をすべきであるが、その指導もなかったのであるから、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由があると認められるものがある場合に該当する旨主張する。
 しかしながら、法人に対する資産の贈与は、所得税法第59条の規定により譲渡所得の課税対象であることが認められ、譲渡所得の申告が必要なことは明らかである。そして、請求人が租税特別措置法第40条の規定に基づく承認申請書を国税庁長官に提出したからといって、譲渡所得が非課税となるものではなく、国税庁長官の承認を受けたものについて非課税となるにもかかわらず、請求人は、譲渡所得の申告をしなかったことが認められる。請求人が法定申告期限までに譲渡所得の申告を行わなかったのは、不承認の通知があるまで譲渡所得の申告は必要がないとの請求人の誤った税法解釈に基づくものであり、また、当初の申告に誤りがあったとしても、それは納税者自身の責任においてされたものであり、これについて原処分庁が請求人に申告内容を正すという指導をしなかったからといって、請求人の納税義務に影響を及ぼすものではなく、正当な理由には該当しない。

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平成15年2月28日裁決

親会社から付与されたファントム・ストック・アプリシエイション・ライトに係る経済的利益は、給与所得に該当するとした事例

裁決事例集 第65集 168頁

要旨

 請求人は、自己が勤務している内国法人の親会社である外国法人から付与されたファントム・ストック・アプリシエイション・ライト(現実に株式の支給をしないが、付与時の時価を基に定められた当初価格と権利行使時の株価の差額を現金で受け取る権利)の行使に係る経済的利益は、同社と雇用関係がないこと等から、一時所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、当該経済的利益は、当該内国法人の役員たる地位に基づき、当該外国法人からファントム・ストック・アプリシエイション・ライトを付与され、当該内国法人に勤務する期間において、これを行使して得た利益、すなわち、請求人の非独立的ないし従属的な人的役務の提供の対価としての性質をもった所得であるから、給与所得に該当する。したがって、請求人の主張は採用できない。

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平成15年2月27日裁決

等価交換でも譲渡所得が生じるとした上で、総収入金額に算入すべき金額を認定した事例

裁決事例集 第65集 190頁

要旨

 資産の譲渡とは、有償無償を問わず資産を移転させる一切の行為をいうものであり、売買のほか交換や代物弁済などによる資産の移転が含まれると解されるから、資産の交換は、譲渡所得の課税の対象となる。
 資産の交換の場合、交換により取得した資産の額、すなわち交換に係る対価の額と交換により譲渡した資産の取得の時の価額との差額が、当該譲渡資産を所有していた間に生じた値上がり益となるから、当該譲渡資産が所有者の支配を離れて他に移転するのを機会にその値上がり益について譲渡所得課税が行われるものであって、交換に係る対価が金銭であるかそれ以外のものであるかによってその結論が異なるものではない。
 本件土地改良区の換地設計基準により土地評価処理要領に定める本件評定価格は、近傍類似の取引価格及び地域における農業収益価格を調査・検討し、農家への意向調査などをした上で算定されており、さらに、土地改良区によって一筆ごとに現地確認などの調査をした上で各土地の等位格付が定められたものであることが認められるから、その価格算定要素及び土地の個別事情が考慮された客観的かつ具体的なものということができる。
 したがって、本件交換に係る譲渡所得の金額の計算上、総収入金額に算入すべき金額は、本件評定価格を基に算定するのが合理的である。

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平成15年2月26日裁決

芸能人の人的役務の提供に係る対価には、国内において当該事業を行う者が当該人的役務の提供に関して支払を受けるすべての対価が含まれるとした事例

裁決事例集 第65集 283頁

要旨

 請求人は、韓国の芸能人を日本国内へ招へいし、芸能人の役務提供に係る対価として芸能報酬等を韓国芸能法人に支払っているが、その芸能報酬等には、衣装代、制作費、コミッション代、航空チケット代等の経費が含まれており、源泉徴収義務があるのは、芸能人の報酬に関してのみであるから、芸能人に支払われていない実費であるところの衣装代等の経費は韓国芸能法人を経由した支払であっても、源泉所得税の対象とならない旨主張する。
 しかしながら、芸能人の人的役務の提供に係る対価には、国内において当該事業を行う者が当該人的役務の提供に関して支払を受けるすべての対価が含まれ、また、源泉徴収をしなくてもよいことに取り扱われている非居住者等のために負担する旅費等にも該当しないことから、原処分は相当である。

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平成15年2月20日裁決

国税通則法第70条第5項を適用して行われた更正処分が国会附帯決議に反し違法である旨の請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第65集 46頁

要旨

 請求人は、国税通則法第70条5項の規定については、更正決定等の期間制限が5年から7年に改正された昭和56年の衆参両議院大蔵委員会において「今回の改正により延長された更正、決定等の制限期間における調査に当たっては、高額かつ悪質な脱税者に重点を置き、中小企業者を苦しめることのないよう特段の配慮をすること」との附帯決議がなされているところ、原処分庁は、本件調査において中小企業者に対し過度の調査を行い、また、僅少な金額についてまで課税しており、本件更正処分は附帯決議に反している旨主張する。
 しかしながら、本件附帯決議は、調査に当たって尊重する趣旨のものであるところ、本件において、原処分庁は、請求人の取引先から本件公表外銀行預金口座に振込みが行われている事実等から、大口又は悪質な不正計算が想定されたので、本件各事業年度についての調査が必要であると判断したというものであり、その判断は相当と認められる。また、本件更正処分は、請求人の行為が国税通則法第70条第5項の規定における偽りその他不正の行為に該当するからなされたものであることが明らかであるから、本件更正処分に違法な点はなく請求人の主張は理由がない。

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平成15年2月20日裁決

当該事業年度末に約束手形で支給された翌事業年度の年俸制に係る役員報酬及び従業員給与については、当該事業年度内に具体的な役務提供がされておらず、また、会計上重要性の乏しい費用とは認められないから、当該事業年度の損金の額に算入できないとした事例

裁決事例集 第65集 343頁

要旨

 請求人は、臨時株主総会又は従業員との間の合意による役員報酬又は従業員給与の年俸額(以下「本件役員報酬等」という。)に係る損金算入につき、本件役員報酬等を12で除した月割額から社会保険料等を控除した金額を券面額とする12枚の約束手形を振り出し、当該各事業年度内に支払っているから、その債務は当該事業年度の終了の日までに確定しており、仮にそうでないとしても、本件役員報酬等は支払いの日から1年以内に役務提供を受ける短期前払費用であり、法人税法基本通達2-2-14の後段の取扱い(以下「本件取扱い」という。)が適用されるから、たとえそれがその翌事業年度の業務執行等の役務に対応するものであっても、それは当該事業年度の損金の額に算入される旨主張する。
 しかしながら、本件役員報酬等については、その具体的な給付をなすべき原因である役員の職務執行又は従業員の役務提供が当該事業年度の終了の日までになされていないから、その債務が確定しているとは認められず、また、本件役員報酬等は、請求人の財務内容に占める割合などからして、重要性の乏しい費用とは認められないため、本件役員報酬等には本件取扱いの適用がなく、したがって、それを当該事業年度の損金の額に算入することはできない。

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平成15年2月20日裁決

本件修正申告書は、原処分庁があらかじめ用意した修正申告書に押印を強要され、わずか30分程度の間に提出したもので、任意の意思に基づくものではない旨の請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第65集 1頁

要旨

 請求人は、本件各修正申告書は、原処分庁があらかじめ用意していた請求人の住所・氏名が記入された修正申告書に押印を強要され、わずか30分程度の間に提出したもので、請求人の任意の意思に基づくものではないことから、当該修正申告は無効である旨主張する。
 しかしながら、調査担当職員の答述は、各認定事実から見ても、十分信ぴょう性が認められるから、請求人が調査担当職員の強要により本件各修正申告書を提出したという事実は認められず、請求人自らが当該修正申告書に署名、押印して、それを提出したと認めるのが相当である。また、これに反する証拠も認められないことから、請求人の主張は採用できない。したがって、請求人の本件各修正申告に係る納付すべき税額は、税法上有効に確定していることが認められる。

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平成15年2月20日裁決

輸出証明書はあるものの、請求人が輸出したのはダミーであり、実物は輸出されずに国内において引渡しが行われていたことから輸出免税は適用できないとした事例

裁決事例集 第65集 851頁

要旨

 請求人が輸出したとする本件部品は、国内において相手方に引き渡されており、実際に輸出されたのは本件部品のダミーであったことが明らかであるので、消費税法第7条第2項に規定する輸出証明書類が形式的に整っているとしても同条第1項の規定を適用して消費税等を免除することはできない。
 また、課税事業者は、実際に消費者等から消費税相当額を預かったか否かに関係なく、課税標準等を基礎にして算出された消費税等の額を納付することが義務付けられているので、請求人が本件部品の取引において消費税等に相当する金員を相手方から預かっていなかったとしても当該取引に係る納税義務を免れることはできない。

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平成15年2月19日裁決

本件各貸付金に係る貸倒損失については、貸倒れの事実が認められず、あるいは当該事業年度以前に貸倒れの事実が生じていたと認められるとして、それを当該各事業年度の損金の額に算入することはできないとした事例

裁決事例集 第65集 450頁

要旨

 請求人は、[1]本件甲債権については、平成9年3月期において、事実上回収不能にある債権(法人税基本通達9-6-2)に該当することが確認されたから、同期の損金の額に算入すべきである、[2]本件乙債権及び本件丙債権については、同期又は平成10年3月期において、債務者の死亡及び相続人等の不存在が確認されて法律的に消滅した債権(同通達9-6-1)に該当することとなったから、各期の損金の額に算入すべきである旨主張する。
 しかしながら、[1]本件甲債権については、平成9年3月期において、請求人が債務者所有の山林に根抵当権を設定したままであること、当該債権に係る連帯債務者及び連帯保証人が土地等を有していることから、同期において、同債権が回収不能となっていた(貸倒れ)とは認められない、[2]本件乙債権については、死亡した債務者には兄弟姉妹が存在しており、また、債務者の死亡、相続人の不存在は債権の消滅原因でないから、この点に関する請求人の主張には理由がなく、そして、平成9年3月期において、請求人が同債権の債務者の所有地に抵当権を設定したままであり、また、その連帯保証人にその履行を全く求めたことがないことから、同債権が回収不能となっていたとは認められない、[3]本件丙債権については、上記と同様の理由から、法律的に債権が消滅したとする請求人の主張には理由がなく、そして、請求人は、昭和62年に提起した別件民事訴訟に係る請求の趣旨において、本件丙債権の債務者が支払不能の状態にあるとしていたこと、当該債務者は昭和61年5月に自己破産を申立て、それが昭和63年11月に完結していることから、同債権が遅くとも平成元年3月期には回収不能になっていたと認められ、それを平成10年3月期の損金の額に算入することはできないので、請求人の主張には理由がない。

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平成15年2月17日裁決

請求人が主張する参考文献に漁業補償に係る租税特別措置法第65条の2所定の特別控除の記載がなかったこと、申告時期までに証明書が請求人に届かなかったことは、同条第5項に規定する「やむを得ない事情」に該当しないとした事例

裁決事例集 第65集 511頁

要旨

 請求人は、租税特別措置法第65条の2に規定する所得の特別控除(以下「本件特別控除」という。)の適用ができる漁業補償金について、[1]請求人の関与税理士が参考とした文献に本件特別控除の記載がなかったこと、[2]申告期限までにその適用を受けるための証明書が届かなかったことから、その適用をせずに確定申告を行ったものであり、これらの事情は同条第5項に規定する「やむを得ない事情」に該当する旨主張する。
 しかしながら、同条第5項に規定する「やむを得ない事情」とは、自然災害、人為的災害、交通途絶等の客観的に見て本人の責めに帰すことのできない事情をいい、個人的な事情はこれに該当しないと解されているところ、本件特別控除の申告記載などのない本件確定申告書を提出したのは、要するに、関与税理士が確認した文献に漁業補償に関する本件特別控除が記載されていなかったことをもって、漁業補償には本件特別控除の適用がないと軽信したことによるのであるから、このことは単に個人的な事情に過ぎず、また、請求人は、申告期限までに本件特別控除の適用を受けるための証明書の発行を請求すれば取得できる状態にあったものであり、それをしなかったのは請求人の責めに帰すべき事情である。
 したがって、「やむを得ない事情」はないとして、本件特別控除の適用を認めなかった原処分は適法である。

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平成15年2月13日裁決

代表者が同人の長男を伴って海外出張した場合のその長男の海外渡航費は、法人の業務の遂行上必要な費用であるとは認められないとした事例

裁決事例集 第65集 414頁

要旨

 代表者Gの本件海外出張は請求人の業務であるが、これに同伴した長男は、出張時は7歳から9歳であり、代表者Gの扶養親族となっている。そして、当然ながら請求人の役員でもなく使用人でもないので、長男を同伴したことは、法人業務の遂行のために必要な同伴とは認められない。
 なお、長男の同伴が出張先の代表者からの求めに応じてされたものであるとしても、また、出張先の経営陣及びその家族との次世代交流が図られたというメリットがあったとしても、そのことが請求人の業務の遂行に明らかに関係するとは認められず、出張先がその一部を負担していたことをもって、請求人が負担した長男の海外渡航費を損金の額に算入すべき理由になるとも認められない。
 そうすると、長男の海外渡航費は、長男を扶養親族とする代表者Gが個人的に負担すべき費用であるから、代表者Gに対する臨時的な給与すなわち賞与とするのが相当である。

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平成15年2月13日裁決

原処分庁が、弁明を聴取した上、滞納状況、弁明の内容、納付事績等を基に検討した結果、延納許可に係る税額を完納する見込みがないと判断し、相続税の延納許可を取り消したことは適法であるとした事例

裁決事例集 第65集 800頁

要旨

 請求人らは、本件各延納許可に係る分納期限までに分納税額を納付できないことには、相続財産のほとんどが底地であり売却が進まなく、納付資金がないなど、やむを得ない事情があるにもかかわらず、請求人らが本件土地の売却によって本件相続税を納付しようと努力しているときになされた原処分は違法であり、かつ、請求人らの納税姿勢をそぐ不当なものである旨主張する。
 しかしながら、請求人らは本件各延納許可に係る分納税額を滞納しており、原処分庁は、弁明を聴取した上、滞納状況、弁明の内容及び請求人らの納付事績等を基に本件各延納許可の取消しの適否について検討した結果、滞納となっている本件各延納許可に係る税額を完納する見込みはなく、延納の条件に違反していると認めて、原処分を行ったものであり、原処分庁の判断は相当で、原処分は適法であり、違法又は不当な点はない。

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平成15年2月12日裁決

建物建築工事の代金の一部について、裁判上の和解に基づき、工事施工業者から支払を免除された金額は、当該建築工事の瑕疵を理由とする工事代金の値引きではなく、債務免除益であるとした事例

裁決事例集 第65集 329頁

要旨

 請求人は、工事施工業者から支払を免除された本件金員は、実質的に、本件工事の瑕疵を理由とする本件工事代金の値引額として合意されたものであり、本件工事の瑕疵について、将来発生すると見込まれる補修費用を含めて、一切異議を申し立てないことを本件和解において確約したものである旨主張する。
 しかしながら、[1]和解金額は、請求人が本件工事に瑕疵があることを指摘するよりも前に提案されたものであり、その後、和解金額の支払方法について協議されたものの、和解金額自体は変更されることなく、本件和解条項に盛り込まれていることから、この和解金額は、本件工事の瑕疵による損害を見積もって計算されたものでないことは明らかであること、また、和解協議における各上申書の内容から、請求人がその支払能力を考慮して算定したものであり、工事施工業者も代物弁済よりも請求人が支払うことができる範囲で債権を回収することを選択して和解に応じたものと認められること、[2]本件和解条項において、本件工事の瑕疵及び将来発生すると見込まれる補修費用について何ら具体的な記載がないこと等から、本件工事の瑕疵により将来発生すると見込まれる費用が和解協議で問題とされたとは認められないこと、[3]仮に、請求人から、将来発生すると見込まれる補修費用について何らかの指摘がなされたとしても、当該補修費用についての具体的な金額及び資料は工事施工業者に提示されていないというのであり、工事施工業者が何らの資料の提示も受けないで、発生するかどうか不確実な補修を理由に本件工事代金の値引きに応じたとは到底考えられないことから、請求人の主張には理由がなく、本件金員が、本件工事の瑕疵を理由とする値引額として合意されたものとは認められない。

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平成15年2月6日裁決

付保されている車両の盗難に係る損失は、その保険金が確定するまでの間、仮勘定(未決算勘定)として処理すべきであるとした事例

裁決事例集 第65集 366頁

要旨

 請求人は、車両価額協定保険特約が付されていた本件車両の盗難に係る損失(本件盗難損失)及びそれに係る本件保険金収入の計上時期につき、本件盗難損失は盗難が発生した日の属する本件事業年度の損金の額に算入し、他方、本件保険金収入はその通知を保険会社から受けた日の属する翌事業年度の益金の額に算入すべきである旨主張する。
 しかしながら、損失の発生に備えて保険が付されている場合にあっては、損失の発生と同時に保険金等の支払請求権が発生して当該損失額が補填されることになるから、費用収益の原則に準じて、当該損失と当該保険金との間に対応関係を求めることが法人税法第22条第4項にいう「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」によった処理と認められるため、当該損失の額については、当該保険金の額が確定するまで仮勘定(未決算勘定)として処理しておき、当該保険金の額が確定した日の属する事業年度において、それを益金の額に算入するとともに、当該損失の額を損金の額に算入することが妥当である。
 したがって、本件保険金収入が本件事業年度に確定していると認められる本件にあっては、それを本件事業年度の益金の額に算入するとともに、本件盗難損失の額を同事業年度の損金の額に算入すべきことになるから、請求人の主張には理由がない。

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平成15年1月28日裁決

固定資産である本件土地は1年以上遊休状態にあったが、そのことにより価額が低下した事実は認められないため、本件評価損の損金算入は認められないとした事例

裁決事例集 第65集 401頁

要旨

 請求人は、本件評価損につき、同土地が法人税法施行令第68条第3号ロに規定する「1年以上にわたり遊休状態であること」に該当し、その価額も帳簿価額を下ることとなっているから、同法第33条第2項の規定により、本件事業年度の損金の額に算入すべきであると主張する。
 しかしながら、同項は、「内国法人の有する資産につき災害による著しい損失その他の政令で定める事実が生じたことにより、当該資産の価額がその帳簿価額を下ることとなった場合において」と規定しているところ、本件土地については、1年以上にわたり遊休状態であるものの、そのことにより本件土地の価額が帳簿価額を下ることになったとの事実は認められないため、本件評価損について法人税法第33条第2項の規定を適用することはできない。

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平成15年1月28日裁決

請求人が請求人の青色事業専従者を共済契約者とする小規模企業共済掛金を支払っていたとしても、請求人の小規模企業共済等掛金控除の対象とはならないとした事例

裁決事例集 第65集 268頁

要旨

 請求人は、所得税法第75条《小規模企業共済等掛金控除》第1項の規定は「居住者が、各年において、小規模企業共済等掛金を支払った場合には、その支払った金額を、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。」としていることから、請求人が支払っている以上、請求人の青色事業専従者の小規模企業共済掛金も同法の規定に該当し、請求人の所得控除の対象とすることができる旨主張する。
 しかしながら、同法の規定は、居住者が、各年において、自己が契約した小規模企業共済法の共済契約に基づく掛金を支払った場合に、その支払った金額について所得控除を認めるものであり、請求人が請求人の青色事業専従者を共済契約者とする小規模企業共済掛金を支払っていたとしても請求人の小規模企業共済等掛金控除の対象とはならない。

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平成15年1月28日裁決

請求人の課税売上げは受託販売の手数料収入ではなく卸売販売による売上であり、各課税期間の基準期間の課税売上高が3,000万円を超えているので消費税を納める義務は免除されないとした事例

裁決事例集 第65集 878頁

要旨

 請求人は、同人が営む青果物の集荷業の業態は受託販売であり、基準期間における受託販売に係る仲介手数料の課税売上高は3,000万円以下であるので、消費税の納税義務はない旨主張する。
 しかしながら、請求人は農家から青果物を仕入れ、その青果物を漬物会社へ卸しているものと認められ、受託販売に係る仲介手数料のみを収受していたとは認められず、各課税期間の基準期間の課税売上高は、いずれも3,000万円を超えることとなるから、請求人には消費税の納税義務があるので、請求人の主張には理由がない。

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平成15年1月27日裁決

請求人が共同相続人と共に相続により取得した建物を単独所有とした登記は共有物の現物分割ではないとして、租税特別措置法第84条の4第4項の適用はないとした事例

裁決事例集 第65集 982頁

要旨

 請求人は、判決により持分移転の登記をしたものであり、登録免許税を不当に免れようとしているものではなく、租税特別措置法第84条の4の立法趣旨に反するものではないから、同条第4項の特例の適用を認めるべきである旨主張するが、同条第4項の特例が適用されるためには、共有物分割による持分移転の登記申請に係る建物すべてが、もともと共有の1棟の建物であって、同一の分割登記又は区分登記によって生じたものであること、及び共有物分割による持分移転の登記が、分割又は区分によって生じた他の建物の共有物分割による持分移転の登記と同時に申請されていることが必要であるところ、本件建物は、上記の要件が備わっていないのであるから、同条第4項の特例の適用がないことは明らかである。
 また、本件特例の解釈・適用に当たっては、その要件をたやすく拡張することはできないというべきであるので、立法の不備を運用によって補うべきであるとの請求人の主張には理由がない。

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平成15年1月24日裁決

農地の売主死亡に係る相続税の課税財産につき、同売買に係る売買残代金請求権(債権)ではなく、農地と認めるのが相当であるとした事例

裁決事例集 第65集 566頁

要旨

 原処分庁は、土地の売買契約締結後、同契約完了までの間に売主に相続が発生した場合、その相続税の課税財産は売買残代金請求権であり、その価額は債権として評価すべきである旨主張する。確かに、当該売買契約に係る、売主及び買主双方の義務が、各々誠実に履行され、同債権が確定的に被相続人に帰属していることを肯定できる場合であれば、そのように解釈すべきである。
 しかしながら、本件の場合、本件農地に係る不動産売買契約については、売主である被相続人側の責めに帰すべき理由が何等ないにもかかわらず、もっぱら買主側の事情により履行が遅延し、契約締結後2年8か月経過した相続発生の日においても遅延状態にあり、最終的にも、契約締結後約4年4か月、予定された契約履行の日から約3年4か月、相続開始から約1年7か月経過後に解除されたことからすれば、本件相続開始時点において、同契約に係る売買残代金請求権が確定的に被相続人に帰属していたことを肯定できないため、その課税財産は本件農地と認めるのが相当である。

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平成15年1月15日裁決

譲渡物件は名義人(請求人の子)の所有と認められることから、その譲渡損失は請求人に帰属しないとした事例

裁決事例集 第65集 67頁

要旨

 申告納税制度においては、自ら計上記載した申告書をいったん提出した以上、その申告書に記載された所得金額が真実に反するものであるとの立証責任は、更正の請求をする者にあると解される。
 資産から生ずる収益を享受する者がだれであるかは、その収益の基因となる資産の真実の権利者がだれであるかにより判定し、それが明らかでない場合には、その資産の名義者が真実の権利者であるものと推定するのが相当である。
 本件物件については、その登記、本件売買契約書、本件消費貸借契約書の名義がいずれも請求人の子であるGとなっている上、本件売買契約書にはGの実印が押印されていること、本件消費貸借契約書は、E市に居住していたGがわざわざJ銀行K支店に赴いて作成したこと、Gが送付した源泉徴収票に基づいて本件物件から生じる不動産所得が確定申告されていることからすると、Gが本件物件の実質所有者であることが基本的に推認できる。

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