裁決事例 平成4年(1992年)

裁決事例 平成4年(1992年)

原文を表示
平成4年12月25日裁決

本件土地の取得に要した借入金の支払利子は、不動産所得あるいは事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができないとした事例

裁決事例集 第44集 108頁

要旨

 新規に土地を取得した場合において、当該土地が、事業ないしは業務の用に供する資産であるか否かは、土地の取得目的や主観的意図だけでは足りず、その土地の具体的使用状況等から、その土地が事業所得あるいは不動産所得の基因となる事業ないしは業務の用に供される場合であるか、他に明らかに事業ないしは業務の用に供されるものと推認し得る特段の事情があるかどうかにより判断するのが相当と解されるところ、本件土地については、[1]請求人が建設を予定していたとする病院の分院の建築工事が実際に行われた事実は認められず、[2]同様に請求人が貸付けを予定していたとする駐車場等の貸付けが実際に行われた事実も認められず、[3]他に明らかに事業ないしは業務の用に供されるものと推認し得る特段の事情も認められないので、本件土地の取得のための借入金利子は、事業所得あるいは不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできない。

原文を表示
平成4年12月22日裁決

現況が山林であり、宅建業法で定める報酬基準では採算が取れないという特殊状況にある仲介手数料については、土地譲渡益重課税の対象とすべきではないとの請求人の主張に対して、当該基準を適用した原処分は相当であるとした事例

裁決事例集 第44集 348頁

要旨

 土地譲渡益重課税制度は、土地又は土地の上に存する権利(以下「土地等」という。)の譲渡等により短期間に得た利益に対して重ねて課税することにより土地等の価額の高騰を抑制するために設けられた制度であって、租税特別措置法(以下「措置法」という。)施行令第38条の4第2項は、土地等の売買又は交換に係る仲介手数料を受ける行為についても、その額が宅建業法の報酬の上限の額を超えた場合には土地等の譲渡に準ずるものとして土地譲渡益重課税制度の適用がある旨規定している。また、土地譲渡益重課税制度においては、宅建業法第46条第1項に規定する報酬の上限の額を基準とするのみであって、同法がもっぱら対象とする宅地及び建物に係る仲介行為のみを対象とするものではなく、山林原野等宅地以外の土地等の仲介も含まれるものと解される。
 これを本件についてみると、本件各土地の取引が特殊な状況にあるとしても、請求人が受領した本件各仲介手数料の額は、宅建業法の報酬の上限の額を超えており、土地譲渡益重課税制度の適用を免れるべき理由はないから、この点に関する請求人の主張は採用できない。

原文を表示
平成4年12月18日裁決

請求人が支出した金員は、契約金の支払ではなく、請求人自身の債務を弁済しているにすぎないので、源泉徴収義務はないとして納税告知を取り消した事例

裁決事例集 第44集 249頁

要旨

 請求人がA社の代表者B男を招へいするに際し、対価の支払に代えて、本件借入金を肩代わりしたのであるから、B男に対する対価の支払も同時に履行されたというべきであり、よって、請求人が毎月支出している強化費は、請求人自身の債務を弁済しているにすぎず、原処分庁が主張するB男に対する契約金の分割払には当たらない。
 したがって、所得税法第204条に規定する所得税の源泉徴収義務はない。

原文を表示
平成4年12月16日裁決

本件二つの譲渡に関して、それぞれ、中間譲受人を介在させて事実を仮装し、その譲渡所得金額を隠ぺいしたと判断した事例

裁決事例集 第44集 72頁

要旨

 請求人は、本件譲渡物件は契約書に記載された金額で中間譲受人に譲渡した旨主張するが、[1]中間譲受人のうちの一人は、脳出血の後遺症で自宅療養を続けており、不動産取引に従事できる状況にはなかったこと及び言語障害があり、また、度々、喘息の発作を起こして、死亡する直前の1年間は特に激しく、そのため同人の妻が常時介護していたが、その間、不動産取引を行った事実は認められないこと、並びに[2]他の中間譲受人は、譲渡人である被相続人から連帯保証債務の免除を条件に、中間譲受人となることを依頼され、不正取引に加担していることを申述していること等からすると、中間譲受人を介在させて、取引の事実を仮装し、その譲渡所得金額を隠ぺいしたものである。

原文を表示
平成4年12月15日裁決

本件株式は、すべて被相続人固有の資金によって取得され、かつ、すべて同人名義で保護預かり又は登録されていることから、被相続人に帰属するものと認められるとした事例

裁決事例集 第44集 271頁

要旨

 本件株式は、被相続人名義ではあるが請求人に帰属する金員を被相続人に預託し、被相続人が運用した結果形成された請求人固有の財産であり相続財産ではない旨主張するが、本件株式の取得資金は、被相続人が所有していた土地及び建物の売却代金を原資としており、また、請求人が預託したとする金員の一部は、請求人名義の貸付信託に充てられていることから、当該株式は相続財産であると認められる。

原文を表示
平成4年12月9日裁決

請求人が貸倒れとなったと主張する債務者3名に対する貸付金は、いずれも請求人の営む事業に関して生じた貸付金ではないとした事例

裁決事例集 第44集 126頁

要旨

 請求人が貸倒れとなったと主張する債務者3名に対する貸付金は、いずれも請求人の営む不動産仲介業に関して生じた貸付金ではなく、かつ、請求人は貸金業を営んでいないこと等の理由から、請求人の事業遂行上生じた貸付金と認めることはできず、当該貸付金に係る貸倒損失を事業所得の金額の計算上必要経費の額に算入することはできない。

原文を表示
平成4年12月9日裁決

請求人は貸金業の登録はしているものの、請求人の金銭の貸付行為は、営利を目的とした社会通念上の事業として行われているとは認め難いとした事例

裁決事例集 第44集 41頁

要旨

 金銭の貸付行為が所得税法上の事業に該当するか否かは、その貸付先との関係、貸付けの目的、貸付金額、貸付利息の収入状況、担保権設定の有無、貸付資金の調達方法、貸付けのための広告宣伝の状況その他諸般の事情を総合して判断すべきであると解されるところ、請求人は貸金業の登録はしているものの、[1]貸付先は、請求人が大株主で代表取締役をしている同族法人2社のみであり、担保権の設定等貸付金の保全措置を講じていないこと、[2]貸付金に係る受取利子の金額よりも当該貸付資金調達のための借入金に対する支払利子の金額が多額であること、[3]事業所と称する程度の店舗を有していないこと及び[4]金融業の看板の掲示及び広く一般に顧客を求めるための広告宣伝を行ったことを証明するに足る証拠がないことから、請求人の金銭の貸付行為は、所得税法上の事業には該当しない。

  •  
  •  
  •  
  •  
平成4年12月9日裁決

貸家を建替中の敷地について相続が開始した場合、旧建物の賃借人との賃貸借契約が解除された部分に相当する宅地については、貸家建付地に当たらないとした事例

裁決事例集 第44集 284頁

要旨

 相続開始の時に貸家を建替中であっても、旧建物の賃借人に立退料の支払がないなど引き続いて新建物に入居することが明らかな場合又は新築中の建物について権利金の授受が完了し賃貸契約が成立している場合には、新建物のうち当該賃借人に賃貸する部分に対応する部分の宅地は、当該賃借人の支配権が及んでいるといえる。しかし、本件宅地上の新建物はA社に賃貸する部分以外は貸付けの用に供されていないから、新建物が当初から賃貸の用に供する目的で建築されたものであっても、本件宅地のうち賃貸予定部分は貸家建付地とは認めない。

原文を表示
平成4年12月9日裁決

賃貸借契約の解除後に取得した土地の譲渡は、租税特別措置法第37条第1項に規定する事業用資産の譲渡に当たらないとした事例

裁決事例集 第44集 337頁

要旨

 本件土地は、相続開始当時、被相続人の三女の夫名義であったところ、[1]相続開始後に三女の夫によって賃貸借契約を解除された後は事業の用に供することを停止し、[2]請求人らは、被相続人に登記名義が回復された後も、新たに賃貸することもなく空閑地として放置したままで、事業を行う意図が近い将来において実現されることが客観的に明白であったという状況になく、[3]調停後直ちに作成した合意書に従って譲渡していることから、駐車場としての事業への共用は賃貸借契約を解除した時点をもって終了し、その時点での事業用資産としての性格を失ったと解するのが相当である。

原文を表示
平成4年12月9日裁決

適正な申告を行えなかったことが、申告書の作成を依頼した税理士の過失に起因するとしても、国税通則法第65条第4項の「正当な理由」には該当しないとした事例

裁決事例集 第44集 36頁

要旨

 請求人は、自らの意思と責任において本件相続に係る相続税の申告をB男に任せ、B男は、請求人の代理人としてA税理士に本件当初申告書を作成させ、これを提出したものである以上、たとえA税理士の過誤によって本件当初申告が過少申告となったとしても、本件当初申告書は請求人の責任において提出されたものであり、かつ、過少申告となったことについて正当な理由があるとは認められない。

原文を表示
平成4年12月8日裁決

法定相続人である請求人が、自己のために相続の開始があったことを知った日は、遺留分減殺請求をした日ではなく、被相続人の死亡を知った日であるとした事例

裁決事例集 第44集 296頁

要旨

 請求人の場合、相続の開始があったことを知った日は平成2年7月8日の被相続人が死亡した日であり、また、同年10月29日に遺留分減殺請求権を行使し、同年11月28日には遺産分割の協議が成立するなどしており、遺産分割協議の成立後、法定申告期限までの期間は、一般的な相続税の申告に必要な準備期間に比し著しく短いとは認められず、法定申告期限である平成3年1月8日までに相続税の申告をすることが不可能であるとはいえない。

原文を表示
平成4年12月2日裁決

少額配当等に係る更正の請求は認められないとした事例

裁決事例集 第44集 23頁

要旨

 いわゆる少額配当等を有する者が、少額配当等に係る配当所得の金額を除外したところにより総所得金額を計算して所得税の確定申告書を提出している以上、租税特別措置法第8条の5“確定申告を要しない配当所得”第1項の規定を適用したものとして取り扱われることとなるから、請求人が確定申告において、少額配当等に係る配当所得の金額を失念して申告額に含めなかったことは、国税通則法第23条第1項に規定する「申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったこと」という場合には該当しないこととなる。
 したがって、原処分庁が本件少額配当等に係る部分の配当について請求人からの更正の請求を認めなかったことは相当である。

原文を表示
平成4年12月1日裁決

請求人は、本件宅地を売買により取得した旨主張するが、売買ではなく贈与により取得したと認めるのが相当であるから、分離長期譲渡所得の金額の計算上、収入金額から控除する取得費を当該収入金額の100分の5に相当する金額で算定して原処分は相当であるとした事例

裁決事例集 第44集 174頁

要旨

 請求人は、本件土地の譲渡に係る分離長期譲渡所得の金額の計算上控除される取得費について、本件土地の取得時の登記原因が売買となっていること等を理由に、売買による取得価額2,524,000円とすべきであると主張するが、売買契約書もなく代金の授受もないこと及び取得時に贈与税の申告をしていることから、贈与により取得したと認めるのが相当である。
 請求人の主張する取得費は、贈与税の課税価格を取得費としたものであって、本件取得費には当たらず、所得税法第60条第1項及び措置法(平成3年法律第16号による改正前のもの)第31条の5第1項を適用して取得費を算定した原処分は相当である。

原文を表示
平成4年11月25日裁決

請求人が調停離婚により前配偶者に分与した不動産は、請求人の特有財産と認められるから、共有財産(持分各2分の1)の譲渡には当たらないとした事例

裁決事例集 第44集 61頁

要旨

 請求人が調停離婚により前配偶者に分与した不動産は、その取得に関して前配偶者の協力があったとしても、当該不動産は名実ともに請求人の名で取得した財産であるから、同人の特有財産であったというほかなく、したがって、共有財産の譲渡には当たらないので、その資金の全部について請求人が譲渡したこととなる。

原文を表示
平成4年11月19日裁決

過大な不動産管理料につき、所得税法第157条を適用して否認した更正は適法であるとした事例

裁決事例集 第44集 198頁

要旨

 所得税法第157条に規定する同族会社の行為又は計算の否認は、同族会社たる法人の選択した行為又は計算が実在し、それが私法上有効なものであっても、その私法上許された形式を濫用し、異常な取引形式を選択した場合において、それが所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合には、実質課税の原則及び租税負担公平の原則の見地から税務計算上これを否認し、通常あるべき行為又は計算に引き直して税法を適用するものである。
 ところで、原処分庁が算定した同業者の不動産管理料割合は適正と認められ、これを基に算出された適正管理料の額に基づいて計算した請求人の所得税額は請求人の申告所得税の額に比べて著しくかい離していることが明らかであり、本件不動産管理委託契約に基づく行為又は計算は、請求人の所得税の負担を不当に減少させる結果となっていると認められるから、請求人の不動産所得の金額を所得税法第157条を適用して算定した原処分は相当である。

原文を表示
平成4年11月18日裁決

大学に在学中の従業員(代表取締役の長男)に対する給料等の金員は代表取締役に支給された報酬、賞与であると認定した事例

裁決事例集 第44集 234頁

要旨

 請求人は、大学に在学中の代表取締役の長男に対する給料名義の金員は従業員である長男本人に対し支給した給与である旨主張するが、[1]請求人は同人に対して従業員としての管理等をしておらず、同人が請求人に勤務した事実も認められないこと、[2]請求人は代表取締役がその株式の過半数を所有する同族会社であり、代表取締役がその事業を主宰していること、[3]また、長男に対する給料名義の金員は、代表取締役の妻が受け取り、管理し、代表取締役の報酬等と併せて同人の生活費等に充てられていることなどから、本件金員は、代表取締役に対して支給された役員報酬、賞与と認めるのが相当であり、当該役員賞与については損金の額に算入されない。

原文を表示
平成4年11月10日裁決

本件の訴訟上の和解は、国税通則法第23条第2項第1号の更正の請求の事由には該当しないとした事例

裁決事例集 第44集 12頁

要旨

 本件和解は、申告に係る課税標準等又は税額等の基礎となる事実に異動が生じたといえる内容ではないから、国税通則法第23条第2項第1号に掲げる「和解」には該当しない。

原文を表示
平成4年10月28日裁決

代償分割の支払代償金とその借入利息は譲渡所得の金額の計算上の取得費に当たらないとした事例

裁決事例集 第44集 166頁

要旨

 請求人が支払った代償金は遺産分割調整金債務であって、被相続人の他の債務が相続税の課税価格の計算上控除されるので相続財産の取得費を構成しないのと同様、消極財産(遺産債務)として調整済みであるから、譲渡所得の計算上取得費の額に算入できない。
 また、代償金の原資となった借入金に係る支払利息も同様である。

原文を表示
平成4年10月15日裁決

非常勤医師である従兄弟に支給した報酬のうち、他の非常勤医師に支給していた日給相当額を超える部分は過大であり、また、親族及び親族の家政婦に支給した給与等の額は、請求人の業務に従事した事実が認められないから、いずれも必要経費の額に算入できないとした事例

裁決事例集 第44集 152頁

要旨

  1.  請求人は、従兄弟には他の非常勤医師の勤務のほか、緊急時における指導、助言及び当直医を依頼した大学病院の医師への連絡等の援助を受けていたと主張するものの、その報酬は、勤務内容からみて不相応に高額と認められ、請求人が、このような高額な報酬を支給していたのは、従兄弟が請求人の親族であったことによるものと認められる。
     近隣の医療機関の常勤医師で年齢及び医師としての経験が従兄弟と類似していると認められる者の給与の一日当たりの平均額は、他の非常勤医師に支給する日給を上回るものではないから、原処分庁が、従兄弟が勤務した日数に他の非常勤医師の日給額を乗じて算出された額を超える額を必要経費の額に算入しなかったことは相当である。
  2.  請求人は、親族(従兄弟である事務長の妻)及び親族の家政婦は事務の補助及び掃除婦として請求人の業務に従事していたと主張するが、事務長及び関係者の答述並びに事務長の自宅及び同人の母の自宅に出入りしている者を調査したところによれば、親族は事務長の自宅の家事に、親族の家政婦は事務長の母の自宅の家政婦としての仕事に専念していることが認められ、請求人の業務に従事していた事実は認められない。
     したがって、原処分庁が当該報酬を必要経費の額に算入しなかったことは相当である。
原文を表示
平成4年9月30日裁決

夫婦が隣接して各自所有していた不動産の一方は居住用財産に当たらないとした事例

裁決事例集 第44集 327頁

要旨

 請求人は、自己の所有家屋と妻の所有家屋を一体として居住の用に供していたから、自己の所有不動産についても措置法第35条の適用があると主張するが、[1]両家屋は各々独立しており、[2]両家屋を一体として利用しなければ居住の用に供せない事情もなく、[3]電気量も大半が妻の所有家屋で消費されていることから、請求人の所有不動産は居住の用に供していたものとは認められない。

原文を表示
平成4年9月30日裁決

請求人は、乙農地についてはB女の所有する丁農地と等価交換したものであると主張するが、実際は、交換取引が存在しないから、所得税法第58条の規定を適用することはできないとした事例

裁決事例集 第44集 181頁

要旨

 請求人は、請求人所有の甲農地を乙農地と丙農地に分筆して、丙農地についてはC男に譲渡し、乙農地についてはB女の所有する丁農地と等価交換し、その後、B女が交換により取得した乙農地をC男に譲渡したものであると主張するが、[1]各譲渡代金の決済状況、[2]各関係人の答述、[3]仲介人D男の所有する各契約書等のメモ書、[4]農地法及び登記簿上の関係書類等を総合すると、実際は、請求人が甲農地をC男に譲渡し、B女から丁農地を譲り受けたものと認められ乙農地と丁農地の交換取引は存在しない虚偽の取引であるから、所得税法第58条の規定を適用することはできない。

原文を表示
平成4年9月21日裁決

店舗を立ち退く際に受領した立退料について、その支払者に精神的損害を補償する意思は認められず、また、資産損失を補償するものとは認められないことから、その全額が一時所得に係る収入金額に該当するとした事例

裁決事例集 第44集 97頁

要旨

 請求人は、店舗を立ち退くに当たって受領した立退料の一部について、[1]所得税法施行令第30条第3号に規定する精神的慰謝料に該当するから非課税所得である、[2]顧客に係る営業権の滅失に伴い受け取ったものであり、所得税法第51条第1項の資産損失を補償するものであるから所得は生じない旨主張するが、当該立退料は総額で合意したものであり、[1]については、家主が請求人に対し精神的な損害を補償する意思を有していたものとは認められず、[2]については、有償で取得した営業権の存在は認められず資産損失の対象となる資産はないことになるので、請求人の受領した立退料の全部が一時所得に係る収入金額に該当する。

原文を表示
平成4年9月16日裁決

匿名組合契約に係る出資者が営業者より受ける利益又は損失の分配は、営業者の各事業年度末でなければ確定しないとした事例

裁決事例集 第44集 217頁

要旨

 請求人は、航空機のレバレッジド・リース事業に係る出資者の損益の課税の時期については、法人税基本通達14-1-3において匿名組合の計算期間の末日の属する事業年度と定められていることから、覚書計算期間の末日の属する事業年度である旨主張するが、出資者が営業者より受ける利益の分配は、営業者の各事業年度の確定決算により算定された匿名組合契約に係る事業の利益又は損失の額に基づき計算すべきと認められ、法人税基本通達14-1-3に定める計算期間は、匿名組合契約に規定される事業期間と解するのが相当であり、営業者の各事業年度の決算が確定しなければ、匿名組合の事業に係る減価償却費も確定しないと認められるから、覚書による計算期間を基礎とする減価償却費の算定方法は、単に、減価償却費を見積計上したものであり、合理的な算定方法とは認められない。したがって、本件匿名組合投資損失は、匿名組合事業の確定した損失の負担額とは認められないので、本件事業年度の損金とすることはできない。

原文を表示
平成4年9月7日裁決

取引先から受領した約束手形については、債務者が和議の取下げをした時点において債権の回収が不能になったと認められることから、貸倒損失として必要経費の額に算入すべきであるとした事例

裁決事例集 第44集 118頁

要旨

 請求人が取引先から受領した約束手形に係る貸倒損失については、当該手形の債務者は、[1]後に取り下げてはいるものの和議の申立てを行っていること、[2]主要な営業種目である宅地建物取引業者の免許を取り消されていること、[3]残余財産もなく債務の弁済ができないような状況にあること等から、遅くとも債務者が和議の取下げをした時点において債権の回収が不能になったと認めるのが相当である。

原文を表示
平成4年8月31日裁決

贈与があったことを前提としてなされた第二次納税義務告知は、受領した金員の性質を誤認したものであり、取り消しするのが相当であるとした事例

裁決事例集 第44集 305頁

要旨

 原処分庁は、滞納者から請求人に支払われた本件金員は相続分の前渡しないし将来の生計の資本とした贈与に当たると主張するが、滞納者には請求人との間に締結した農地使用の契約違反があり、したがって、請求人に損害賠償請求訴訟等の取下げを義務付ける合意に基づいて支払われたという必要かつ合理的な理由が存在することから、本件金員は和解による示談金と認められる。
 よって、本件金員の授受は贈与によるものであると認定した原処分は相当ではなく、国税徴収法第39条の規定を適用した第二次納税義務の告知は取り消されるべきである。

原文を表示
平成4年8月20日裁決

相続開始前3年以内に取得した貸家には借家権の控除はなく、返還不要の礼金の合計額を控除した金額であるとした事例

裁決事例集 第44集 362頁

要旨

 請求人は、相続開始前3年以内に取得した貸家についても相続税財産評価基本通達の93を適用すべきであると主張するが、租税特別措置法第69条の4の規定により採用できない。ただし、返還不要の礼金の額が一戸当たり130,000円(原処分庁の主張は一戸当たり100,000円)であり原処分庁の認定した価額は過大であるとの予備的主張については、理由があるから認容する。

原文を表示
平成4年8月6日裁決

過少申告加算税の対象となる相続税の税額は、申告期限までに納付すべき税額と納税猶予税額との合計額であるとした事例

裁決事例集 第44集 30頁

要旨

 租税特別措置法(平成3年法律第16号の改正前のものをいい、以下「措置法」という。)第70条の6第1項の特例の規定の適用を受ける農業相続人の納付すべき税額は、措置法第70条の6第2項第2号の規定により、[1]農業相続人の納税猶予税額及び[2]農業相続人の申告期限までに納付すべき税額の合計額とされている。
 そうすると、本件の場合の過少申告加算税を課する税額は、上記[1]、[2]の税額の合計額となる。

原文を表示
平成4年8月4日裁決

現物出資により取得した出資の価額を純資産価額方式で算定する場合、法人税等の税額に相当する金額を控除すべきでないとした事例

裁決事例集 第44集 84頁

要旨

 譲渡所得の基因となる資産の現物出資により取得した株式等の評価は、現物出資が会社の事業活動の継続を前提としている以上、相続という包括的、かつ、無償な財産の承継を課税対象とするという相続税法における評価ではなく、現物出資した資産の評価額から、当該価額と会社の受入価額(帳簿価額)との評価差益に対する法人税等相当額を控除しない純資産価額によるのが相当である。

原文を表示
平成4年7月23日裁決

特定遺贈を受けた財産を遺産分割協議書に記載したことが遺贈の放棄に当たるとした事例

裁決事例集 第44集 261頁

要旨

 請求人らは、被相続人(母)名義の宅地について、請求人A男が遺贈によって父から相続したものであり、居宅改築資金ねん出のために一時的に被相続人名義としたものであるから、請求人A男固有の財産であると主張するが、父の相続に関する遺産分割協議書作成前には遺贈の放棄権の放棄を行ったと認めるに足る証拠がないから、当該遺産分割協議書自体が無効でない限り、被相続人(母)の財産とするのが相当である。

原文を表示
平成4年7月9日裁決

租税特別措置法第31条の4で規定する所有期間は、あくまでも譲渡した家屋そのものを取得等した日の翌日から引き続き所有していた期間をもって判断すべきであるとした事例

裁決事例集 第44集 315頁

要旨

 請求人は、租税特別措置法第31条の4で規定する所有期間の判断に当たっては、譲渡家屋の所有期間のみでなく、実質上は請求人の所有であり白蟻被害のためやむを得ず取り壊した旧家屋の所有期間と通算すべきであると主張するが、旧家屋の所有者は請求人の妻であると認められ、また、同法の所有期間はあくまでも譲渡をした家屋そのものを取得又は建設した日の翌日から引き続き所有した期間をもって判断すべきであることは明らかであり、何らかの事情があって家屋を建替えたとしても、その故をもって、建替前の家屋の所有期間と通算すべき理由はない。

原文を表示
平成4年6月25日裁決

本件譲渡価額には、組合の事業地を安価で取得する権利(本件譲受権)の対価の額が含まれ、当該権利は譲受けの場所及び買受価額は予定されているものの、あくまでも譲受けの予約であって、まだ売買契約の締結もなされていないこと等から、土地又は土地の上に存する権利には当たらないとした事例

裁決事例集 第43集 507頁

要旨

 請求人が和解に応じた理由は、本件土地の競売により事業継続が困難になり、寄託者との約定の履行ができなくなるためであり、請求人の債権者にとっても本件土地の競売代金のみでは債権の回収が図れないことから、本件土地のほかに、本件譲受権も譲渡の対象としたものと認めるのが相当である。
 本件譲受権は、組合から取得した債権であり、譲受けの場所及び買受価額は予定されているものの、あくまでも譲受けの予約であって、まだ売買契約の締結もなされていないこと等から、土地又は土地の上に存する権利には当たらないと解される。
 なお、本件譲受権の対価の額は、譲受予定地に係るP組合の坪当たり処分予定価額と請求人と組合との覚書による請求人の購入予定価額との差額によって予想される販売粗利益の額とみれるから、それを下回る寄託金返済債務額を本件譲受権の対価の額とした請求人の主張は認めるべきである。

  •  
  •  
  •  
  •  
平成4年6月22日裁決

相続の開始後に認知によって相続人となった者が価額弁償により取得した本件価額弁償金について相続税の課税価格に算入すべき価額は、価額弁償の対象になった財産の価額弁償時における通常取引される価額と相続開始時の価額(相続税評価額)の比により圧縮するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第43集 336頁

要旨

 民法第910条“分割後の被認知者の請求”に基づく価額弁償の請求の調停により価額弁償金が交付された場合、当該弁償金の交付を受けた者及び交付をした者の相続税の課税価格の計算に当たっては、[1]相続開始時と価額弁償時との間の遺産の価額が著しく変動しており、[2]その価額弁償が裁判所における判決、和解、調停等により行われ、かつ、[3]価額弁償の対象となった財産及びその財産の通常取引価額が既に明らかになっており、その価額弁償時の価額を明確に把握することができる場合は、次の算式により、価額弁償金の額を圧縮計算するのが相当と認められる。

価額弁償金の額 × 価額弁償金の交付者が遺産分割により取得した財産で代価額弁
償の対象となったものの相続開始時の価格(相続税評価額) 
価額弁償金の交付者が遺産分割により取得した財産で代価額弁
償の対象となったものの価額弁償時の通常取引価額
原文を表示
平成4年6月8日裁決

競走馬の売買に係る収益の計上の時期は、業界の取引慣行に照らし、売買代金の全額を受領した時とするのが相当であるとした事例

裁決事例集 第43集 191頁

要旨

 たな卸資産である競走馬の売買後も引き続き売主の管理の下に飼育、調教等が行われる場合において、売主が売買代金の全額を受領した時を当該競走馬の引渡しの時期とし、この時をもって収益を計上するものとして、継続してこれに基づく会計処理が行われる限り、その収益計上基準は業界の取引慣行に照らし公正妥当なものと認めるのが相当である。

原文を表示
平成4年6月2日裁決

土地の贈与契約を解除するために支払った和解金は、その後に譲渡した当該土地の譲渡費用には該当しないとした事例

裁決事例集 第43集 166頁

要旨

 請求人は、本件和解金が、本件譲渡を実現するために既に締結していた贈与契約を解除するために支払ったものであり、その譲渡価額を増加させるために支出した費用であるから、本件譲渡に係る譲渡費用に該当する旨主張するが、本件和解金は、二重譲渡による贈与契約の履行不能を原因とする損害賠償金である以上、本来の債務と同一性を有することになり、土地による贈与を金銭による贈与に変更したにすぎず、その支払の有無によって、実現した当該譲渡及びその譲渡価額から左右されるものではないことから、本件和解金は、本件譲渡との関係において何ら費用性はないとするのが相当である。

原文を表示
平成4年6月1日裁決

競走馬賞金の「課税資産の譲渡等の対価の額」(消費税法第28条“課税標準”第1項)は、競走馬賞金全額と解するのが相当とした事例

裁決事例集 第43集 390頁

要旨

 競走馬賞金の「課税資産の譲渡等の対価の額」(消費税法第28条第1項)は、[1]請求人と調教師との預託契約によれば、調教師への進上金は請求人から調教師に対する報償金と認められること、[2]賞金等の支払調書によれば、進上金が競馬主催者から調教師に対する分配金とは認められないこと及び[3]本件進上金は、消費税法第30条第1項の仕入税額控除の対象となるが、請求人は同条の申告もしており二重課税の問題も起らないことから、競走馬主催者から請求人に交付される競走馬賞金全額(調教師に支払う進上金を差し引く前の金額)と解すべきである。

原文を表示
平成4年5月29日裁決

不動産に係る建築資金の負担割合により滞納者の共有持分を認定した上、その認定に基づいてした差押えは相当であるとした事例

裁決事例集 第43集 427頁

要旨

 請求人は、原処分庁が差し押さえた不動産には滞納者の共有持分はない旨主張するが、[1]滞納者は請負契約の注文者及び建築申請の建築主であり、かつ、不動産の引渡しを受けていると認められることから、不動産に係る法律上の一切の権利義務は滞納者に帰属すること、[2]滞納者が請求人の建築資金を立て替えた事実が認められないこと、[3]請求書及び領収書が滞納者あてになっていること及び[4]滞納者に対し固定資産税及び不動産取得税が課税されていることを総合すると、不動産の建築資金100,000,000円の負担額を滞納者分は5,000万円と認定した上、不動産に係る滞納者の共有持分を10分の5と認定したことは相当である。

原文を表示
平成4年5月29日裁決

妻名義で購入した不動産は、自己資金により購入した固有財産であると認定することにより無償譲渡に該当しないとした事例

裁決事例集 第43集 399頁

要旨

 原処分庁は、本件不動産を滞納者が前所有者から購入し請求人に無償譲渡したとして、請求人に対し国税徴収法第39条の規定に基づいて第二次納税義務の告知をしたが、①滞納者は、本件不動産を購入する資金を有していたとは認められないこと及び②本件不動産は、請求人が自己資金により購入したものと認められることから、本件不動産の取得者は請求人とみるのが相当であり、原処分は取り消すべきである。

原文を表示
平成4年5月18日裁決

被相続人の株式売却代金を原資として設定された相続人名義預金の一部を相続人固有の財産と認定した事例

裁決事例集 第43集 313頁

要旨

 金銭貸借に関する書類の作成はないものの、[1]相続人には現に譲渡等の収入があって税金等を差し引いても貸付けの額はあったと認められ、[2]被相続人には開業医として相当の収入があって、現に借入金の一部を返済している事実からみて返済の意思があったと認められるから、被相続人の株式売却代金を原資として設定された相続人名義預金のうち、相続人が保険医年金制度に加入した際に被相続人に立て替えてもらった掛金相当額等は相続人固有の財産であり、贈与されたものはその残額とするのが相当である

原文を表示
平成4年5月14日裁決

債務返済に信ぴょう性がなく現有の家屋に借家人の地位しか有しない場合は、譲渡担保に当たらないとした事例

裁決事例集 第43集 70頁

要旨

 請求人は、形式上は売買であるが現にその物件に居住しており、かつ、その後に債務を弁済しているから譲渡担保であると主張するが、[1]債務の弁済を証する領収証に信ぴょう性がなく、相手方に入金経理の事実もないこと、[2]譲渡家屋の取壊しを前提として売買したと認められ、現に相手方が自己資金で家屋を新築しており、請求人は借家人にすぎないこと及び[3]月額地代の実質は借入金利息であると主張するが、その年利率は通常の利息に比し極めて低率であることから、譲渡担保としての要件に該当しない。

原文を表示
平成4年5月13日裁決

業務用の固定資産の取得に伴い納付することとなる租税公課等は、当該固定資産の取得価額に算入されず、業務上の必要経費に算入されるとした事例

裁決事例集 第43集 154頁

要旨

 請求人は、本件租税公課等は買換資産の取得価額に算入すべきである旨主張するが、個人の場合、その意思によりこれらの租税公課等の会計処理の選択を許すことは相当ではなく、これを業務上の必要経費とする所得税基本通達は合理的なものであるから、請求人の主張は採用できない。

原文を表示
平成4年5月13日裁決

租税特別措置法第45条に規定する「新設又は増設に係る減価償却資産の取得」とは、その法人の生産量等が具体的な増加に結びつく工業用機械等の取得であるとした事例

裁決事例集 第43集 488頁

要旨

 租税特別措置法第45条の立法趣旨は、同条第1項の表に規定する地域内で一定規模以上の設備投資をした場合には、税制上、租税の一部を軽減することにより設備投資の導入あるいは振興開発を行い、低開発地域工業開発促進法等の政策目的である工業の開発、導入あるいは振興開発を行い、もって、雇用の増大、雇用構造の高度化、住民福祉の向上等に寄与し、地域経済の発展に資することにあるから、同条の「新設又は増設に係る減価償却資産の取得」とは、その法人の生産量等が具体的な増加に結びつく工業用機械等の取得であると解するのが相当である。
 請求人は、既に賃借により事業の用に供していた本件工業用機械等を取得したもので、その後工場の増築等に伴うレイアウトの変更及び機械等の据付位置の移動が認められるにしても、本件工業用機械等の取得により生産量等に実質的な増加があったとは認められない。したがって、本件工業用機械等は、租税特別措置法第45条に規定する資産の取得には該当しない。

原文を表示
平成4年5月12日裁決

相談担当者が知り得なかった申告漏れ等は、国税通則法第65条“過少申告加算税”第4項にいう「正当な理由」には当たらないとした事例

裁決事例集 第43集 10頁

要旨

 請求人は、当初申告が税務署の相談担当職員の指導に基づいて作成されたものであるから正当な理由があり、過少申告加算税を賦課すべきでないと主張するが、相談時点では修正申告の原因となった事実を担当職員が知り得る状況になく、その後の調査によって明らかになったものであるから、「正当な理由」には当たらない。

原文を表示
平成4年5月6日裁決

簡易課税選択後2年間は、本則課税の適用はできないとした事例

裁決事例集 第43集 383頁

要旨

 請求人は、課税事業者が簡易課税制度を選択している場合であっても、本則課税により申告したときは本則課税による申告を認めるべきであると主張するが、いったん簡易課税制度を選択した場合は2年間はこれを継続しなければならないこととされており、請求人は、簡易課税制度選択後2年目であり、基準期間の課税売上高が5億円以下であるから、簡易課税制度を適用して確定申告をすべきである。

原文を表示
平成4年4月23日裁決

居住用家屋を取り壊した日から1年以内にその敷地の譲渡契約が締結されていないとした事例

裁決事例集 第43集 459頁

要旨

 請求人は、居住用家屋を取り壊した日から1年6か月後にその敷地を譲渡する売買契約を締結して譲渡しているものの、当該契約に先立ってその取り壊した日から1年以内に他の者と売買契約を締結し、請求人の責めに帰さない理由により先発契約が解除された事情があるのであるから、両契約を一体のものとみれば租税特別措置法第35条の居住用財産の譲渡所得の特別控除等が適用されるべきであると主張するが、両契約はそれぞれ別個の契約であり、居住用家屋を取り壊した日から1年以内に締結した契約は解除されているものであるから、同特別控除等の適用はない。

原文を表示
平成4年4月22日裁決

一括して支払った本件土地の取得費のうち、その内容が明らかでない部分についても、本件土地の当時の状況等を総合的に判断すると、取得のために支出したものと推認されるとした事例

裁決事例集 第43集 142頁

要旨

 本件譲渡に係る取得費は、①本件土地の当時の状況が、建物の撤去及び埋土等の造成工事が必要であったこと並びに②仲介業者が介入しており、その費用に充てる必要があったことなどから、複数の契約により総額を一括して支払い、これを青色申告の帳簿に計上していたものと認められ、本件取得費のうちその内容が明らかでない部分は、取得費として認められないとした原処分は、その全部を取り消すべきである。

原文を表示
平成4年4月20日裁決

存続期間が100年を超える地上権の設定であっても、建物の所有を目的とする場合には借地法の法的保護の下にあるから、相続税法第23条“地上権及び永小作権の評価”の適用はないとした事例

裁決事例集 第43集 356頁

要旨

 請求人は、[1]本件地上権の存続期間が通常の場合の3ないし6倍で、かつ、堅固な建物が建築されており、[2]登記された地上権は使用権利の中で最も強く、しかも本件宅地の固定資産税の負担者は地上権者であるから、相続税財産評価基準に定める借地権割合(70パーセント)でなく相続税法第23条に規定する場合(90パーセント)によるべきである旨主張するが、[1]建物所有を目的とする場合には、地上権と賃貸借は法的性格を異にするとしても経済的価値及び法的機能面で実体を同じくし、また、借地法による法的保護は期間の長短による差異はなく、[2]相続税財産評価基準で定めた借地権割合は状況類似地域ごとに売買実例等を基に実態に即して評価しているので合理性があるから、借地権割合は70パーセントとするのが相当である。

原文を表示
平成4年4月17日裁決

マネキン報酬について、日額表乙欄、丙欄のいずれを適用するかは、正社員の勤務状況に比較して当該マネキンが継続して2月を超えて就労していたかどうかにより判定すべきであるとした事例

裁決事例集 第43集 277頁

要旨

 請求人は、マネキンに支払った金員について、マネキンの雇用期間が継続して2月を超えないことから、税額表は日額表丙欄を適用すべきである旨主張するが、当該マネキンの雇用期間の延長又は再雇用により継続して2月を超えて雇用されているものと認められるか否かは、マネキンが一つの契約に係る就労を開始する日現在において、過去2月間に就労しない日が月当たりおおむね2週間以上ある場合は、雇用期間は継続していないものと判断して日額表丙欄を適用し、それ以外の場合には、それ以後明らかに雇用関係を打ち切ったものと客観的に認められる空白期間がない限り、依然として雇用は継続しているものと判断して日額表乙欄を適用するのが相当である。

原文を表示
平成4年4月8日裁決

滞納処分により債権差押えをする場合、全額差押えを原則としており、被差押債権の範囲を一部とするか否かは徴収職員の裁量に任されていて、その濫用が認められない限り、債権の全額差押えは違法とはいえないとした事例

裁決事例集 第43集 439頁

要旨

 請求人は、原処分庁が第三債務者に対して、請求人が有する株式全部についての株券交付請求権を差し押さえたことは、滞納国税の額をはるかに上回る差押えであり、このことは、国税徴収法第63条ただし書の規定を無視した違法、不当なものである旨主張するが、本件株式については、請求人と第三債務者の間で株券が発行済みか否か訴訟系属中であり、同株券が原処分庁へいつ交付可能となるのか、その時期が特定できない状況からすると、原処分庁が国税徴収の確実を期するため、徴収すべき滞納国税の額にかかわらず株券交付請求権の全部を差し押さえたとしても、違法とはいえない。

原文を表示
平成4年4月2日裁決

相続人間において相続財産の帰属について係争中である場合でも、国税通則法第65条“過少申告加算税”第4項の「正当な理由」があるとはいえないとした事例

裁決事例集 第43集 4頁

要旨

 国税通則法第65条“過少申告加算税”第4項の「正当な理由」とは、過少申告が真にやむを得ない理由によるものであって、納税者に過少申告加算税を賦課することが不当若しくは酷になる場合をいうものと解され、それが納税者の税法の不知や誤解に基づく場合は、これに当たらない。
 相続人間において相続財産の帰属について係争中であっても、[1]本件各株式が相続財産に含まれることが明らかであること、[2]請求人がこれを認識していること、[3]相続人の一人であるB女は本件各株式を相続財産に含めて申告していることなどからすれば、請求人に過少申告加算税を賦課することが不当若しくは酷になるとは到底いえず「正当な理由」はない。

原文を表示
平成4年3月31日裁決

不動産の譲渡所得が譲渡に関する契約の効力発生の日の属する年に帰属するとした事例

裁決事例集 第43集 96頁

要旨

 請求人は、本件不動産を譲渡契約の相手方A女に引き渡したのは平成2年3月末日であるから、本件譲渡所得は平成2年分に帰属する旨主張し、本件譲渡所得を平成元年分の所得としていた確定申告について更正の請求をしたのであるが、本件においては、[1]本件売買契約は平成元年6月16日に締結され、本件土地建物の所有権移転登記の手続は、同年6月29日に完了していること、[2]請求人は、平成元年中に本件譲渡代金のうち約77パーセントに相当する32,300,000円を受領していること、[3]譲渡の相手方であるA女は、本件不動産を平成元年6月29日に保証委託取引による債権の担保として提供していること及び[4]請求人は、本件不動産に係る平成元年7月から12月までの家賃相当額を事業所得の必要経費に算入していることを併せ考えると、本件不動産の所有権は平成元年中にA女に移転し、また、本件売買契約に基づく経済的利益も、同年中に発生しているというべきであって、このような場合に、請求人自身が譲渡に関する契約の効力発生の日を本件譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期と認識し、本件譲渡所得を平成元年分の所得として申告している以上、これを認めるのが相当であり、譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期が資産の引渡しの日であるという理由に基づく本件更正の請求は認められない。

原文を表示
平成4年3月31日裁決

納付すべき消費税が決算期末において課税売上高及び課税仕入高を集計し算出されることをもって、直ちに消費税に係る経理処理が期末一括税抜経理方式を採用したことにはならないとした事例

裁決事例集 第43集 232頁

要旨

 請求人は、納付すべき消費税は決算期末において課税期間分の課税売上高及び課税仕入高を集計し算出するのであるから、消費税の経理処理は自動的に期末一括税抜経理方式を採用したことになる旨主張するが、期末一括税抜経理方式とは、法人税の課税所得を計算する際、事業年度末に期中において税込処理した消費税を一括して税抜処理する方式であるところ、納付すべき消費税額を算出したからといって直ちに消費税の経理処理が税抜経理方式となるものではない。
 したがって、請求人が消費税の経理処理について税抜経理方式を適用していたとは認められず、また、収益に係る取引につき税込経理している以上、他の科目について税抜経理を行うことは認められないから、固定資産の取得価額が200,000円未満かどうかは税込価額により判断する。

原文を表示
平成4年3月31日裁決

自動車教習所のコースとして貸し付けられている土地に係る賃借権の残存期間は、更新されることが明らかである場合には、更新によって延長されると見込まれる期間をも考慮すべきであるとした事例

裁決事例集 第43集 369頁

要旨

 賃借権の存続期間については、原則として当事者の定めた賃貸借契約に基づく賃貸借期間によるが、[1]本件賃貸借契約は昭和36年2月に契約され、当事者のいずれからも契約解除の申出のない場合には自動的に賃貸借期間を更新することとされ、これに従って過去30年近くにわたって契約が継続されてきたこと、[2]本件土地は、県公安委員会指定の自動車教習所のコースの敷地としてコンクリート舗装され、コースのほぼ中央に位置し、その利用価値は極めて高いと認められることから、契約上の賃貸借期間は3年であるが、将来にわたり更新されることが予想され、長期間にわたるものと認められるので、本件賃借権は事実上残存期間の定めのないものと認められるのが相当である。

原文を表示
平成4年3月31日裁決

請求人が本件退職金を支出したのは、新出資者が支払うべき本件出資持分の譲受代金の一部を負担した行為に当たるから、本件退職金は新出資者に対する寄付金と認めるのが相当であるとした事例

裁決事例集 第43集 260頁

要旨

 総会議事録及び覚書によれば、旧出資者は本件退職金の額を含めたところで出資持分を新出資者に譲渡する旨記載されている。更に、本件退職金は、旧出資者の家庭単位の出資口数に比例して支出されており、それ以外の算定根拠が明らかでないから、請求人の損金の額に算入されるべき退職金とは認められない。
 そうすると、本件退職金は、新出資者が旧出資者に支払うべき本件出資持分の譲受代金の一部を退職金名目で旧出資者に支払ったものとなるから、本件退職金は、請求人から新出資者に対して経済的利益の供与をしたことになり、寄付金と認めるのが相当である。

原文を表示
平成4年3月25日裁決

更正の違法を理由として参加差押えの取消しを求めることはできないとした事例

裁決事例集 第43集 434頁

要旨

 請求人は、本件更正等には、請求人に不動産所得があるとされている相続財産の持分割合等及び受贈財産の貸借関係について訴訟中であるから収入すべき金額が未確定であるのに、原処分庁がその訴訟の一方当事者の申立てだけを採用してこれを確定したものとしている違法があり、したがって、このような違法な課税処分に基づく本件参加差押えは違法である旨主張するが、課税処分と滞納処分とは、それぞれその目的及び効果を異にする別個の独立した行政処分であるから、これらが先行処分と後行処分の関係にある場合においても、課税処分にこれを無効といい得るかしが存するか、又はそれが権限ある機関によって取り消された場合でない限り、当該課税処分のかしは滞納処分の効力には影響を及ぼさないというべきである。また、課税処分が無効となるのは、その処分に重大かつ明白なかしが存する場合に限られるが、当審判所の調査の結果及びその他の全資料によっても、本件更正等に重大かつ明白なかしがあるとは認められず、また、本件更正等が取り消された事実も認められないので、請求人の主張は採用できない。

原文を表示
平成4年3月19日裁決

分割払の示談金は支払期日の到来する都度その債務が確定するとした事例

裁決事例集 第43集 219頁

要旨

 請求人は、本件分割払の示談金に係る債務は本件和解の成立により、支払期日未到来の分割払額を含む総額について確定している旨主張するが、本件和解により明渡し猶予期間の中途において明け渡した場合には、本件分割払の示談金のうち明渡し時点における残額の支払を免除する旨の合意がされていることから、その明渡しが完了するまでは明渡し猶予期間の経過に応じてその支払期日ごとにその支払義務が確定するものであり、したがって、支払期日未到来の示談金については、当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実(乙土地の明渡し)が当期末において発生しておらず、当期の債務として確定していることにはならない。

原文を表示
平成4年3月11日裁決

請求人と請求人の夫が2分の1ずつ共有する店舗をゲーム場とし、請求人の夫がB会社とゲーム場の運営に関する契約を締結してそのゲーム場から生じた所得は、請求人の夫に帰属する事業所得であるとした事例

裁決事例集 第43集 33頁

要旨

 請求人と請求人の夫A男が2分の1ずつ共有する店舗をゲーム場とし、A男がB社と本件ゲーム場の運営に関する契約を締結して本件ゲーム場から生じた所得について、[1]本件契約によれば、A男は本件ゲーム場経営に対する危険負担及び責任負担のあることが認められること、[2]A男は、本件ゲーム場に係る収益享受の権利及び費用負担の責任のあることが認められること等から、本件ゲーム場はA男とB社とが共同経営していたものと認めるのが相当であるから、本件ゲーム場に係る所得は、不動産所得ではなく、事業所得に該当するというべきである。更に、A男は、本件ゲーム場設置のゲーム機の選定、変更につき承認を与えるなど本件ゲーム場の経営に実質的に関与している等の事実からすると、A男については、本件ゲーム場の事業主と認めるのが相当であるのに対し、請求人は、本件契約に基づき分配を受けた収入金及び経費の支出等の記録並びに本件ゲーム場内に設置されている公衆電話に係る収入金の回収を行っているにすぎず、本件ゲーム場の経営方針の決定に支配的影響力を有しているとは認められないから本件ゲーム場の事業主ではなく、A男の経営する事業の従事者とみるのが相当であり、したがって、本件ゲーム場に係る所得は、A男に帰属するものというべきである。

原文を表示
平成4年3月9日裁決

社会保険診療に係る患者の一部負担金のうち、医師が請求しなかった部分も、租税特別措置法第26条“社会保険診療報酬の所得計算の特例”に規定する社会保険診療に係る収入金額に該当するとした事例

裁決事例集 第43集 445頁

要旨

 請求人は、支払基金等に対して基金等負担金を請求するに当たり、一診療行為の総点数である厚生省告示額による歯科診療報酬点数表に基づいて、患者が来院した都度の社会保険診療収入を計算しており、自ら行った社会保険診療行為の対価の総額が、厚生省告示額によって計算した金額で確定していることを認識していると認められること及び請求人はこの計算による基金等負担金を受領していることから、請求人が患者に請求すべき金額は患者の一部負担金と同額となり、当該一部負担金と実際に窓口で患者から受領した保険収入との差額は、本来値引きに相当する金額であり、収入すべき金額となる。

原文を表示
平成4年3月4日裁決

1. 本件贈与土地を評価するに当たり、過去3年分の路線価の平均額に基づいて算定することは相当ではないとした事例 2. 本件土地の使用関係は、使用貸借であると認められるから、更地と同様に評価すべきであるとした事例

裁決事例集 第43集 346頁

要旨

  1.  請求人は、平成元年3月30日付直資2-205、直評6の「改正相当地代通達」(例規)においては、借地権課税における相当地代の額の計算の基礎となる土地の価額は、当該土地に係る相続税評価額の過去3年間の平均額とすることを認めているのであるから、本件贈与土地についても認められるべきだと主張するが、この「改正相当地代通達」は、借地権の設定された土地について、権利金の支払に代え、相当の地代を支払うなどの特殊な場合の「相当の地代」の額を算定するためのものであり、土地自体を評価するためのものではない。
     したがって、3年間の平均額ではなく、贈与年分の路線価に基づいて本件贈与土地の課税価格を算定したことには違法性はない。
  2.  本件土地上には贈与者の所有する建物があるが、本件土地の使用関係は使用貸借であると認められるから、原処分庁が本件贈与土地について更地と同様に評価したことは相当である。
原文を表示
平成4年2月26日裁決

無記名の本件貸付信託及び本件割引債は被相続人に帰属し、相続財産に当たると認定した事例

裁決事例集 第43集 301頁

要旨

 本件有価証券の証書の支配管理の状況並びに本件有価証券の運用の状況及び設定又は取得資金の状況等、いずれの点からみても本件有価証券は被相続人に帰属する財産と認められ、したがって、本件有価証券は相続財産となる。

原文を表示
平成4年2月25日裁決

支払仲介手数料の額は原価の額に含め、販売費及び一般管理費の額は法定割合で計算して課税土地譲渡利益金額を算出している場合には、実額配賦法を採用したとは認められないとした事例

裁決事例集 第43集 495頁

要旨

 請求人は、法人税の確定申告書別表の記載方法の知識不足のこともあって、譲渡経費主要額たる支払仲介手数料の額を原価の額に含めて課税土地譲渡利益金額を計算したが、このことは、販売費及び一般管理費(以下「販管費」という。)の額を実額配賦法により経費に算入する意思を明らかにしているとみるべきである旨主張する。しかしながら、確定申告書の添付資料である実額配賦計算書には、支払仲介手数料の額以外の販管費の額についても何ら記載がなく、また、短期所有土地等の譲渡等に係る譲渡利益金額に対する税額の計算に関する明細書には概算法の計算をして「法定の販売費及び一般管理費」欄に記載があるのみで、「実績による販売費及び一般管理費」欄には何ら記載がないことからも、請求人が実額配賦法を選択したものと認められないから、概算法に基づいて販管費の額を計算し課税土地譲渡利益金額を算定するのが相当である。

原文を表示
平成4年2月24日裁決

既に差押えをして滞納国税を確保しているにもかかわらず、更に充当をすることは重複処分とはならないとした事例

裁決事例集 第43集 1頁

要旨

 請求人は、原処分庁は既に差押えをして滞納国税を確保しているのであるから、更に充当をすることは重複処分となって違法であると主張するが、請求人には平成3年5月15日現在本件滞納国税が存在しており、たとえ本件差押えによって、原処分庁が既に本件滞納国税の徴収を確保していたものであるとしても、それにより本件滞納国税が完納されたというわけではない。また、充当は滞納国税につき差押えがなされているかどうかにはかかわりなく行われるものであり、かつ、差押えとは別個の規定に基づく内容を異にしたものであるから、本件充当を重複処分で違法であるということはできない。

原文を表示
平成4年2月20日裁決

更正の後、租税特別措置法第37条の2“特定の事業用資産の買換えの場合の更正の請求、修正申告等”第2項に基づき、いわゆる義務的修正申告をした場合、当該更正に対する不服申立ての利益は失われるとした事例

裁決事例集 第43集 15頁

要旨

 更正の後にその処分に係る課税標準等又は税額等を上回る修正申告がなされた場合、更正により一応確定していた税額はこれに吸収されて一体のものとなり当該更正は独立の存在を失い、当該修正申告書に記載された額に修正され確定する。
 したがって、当該更正に異議申立て等の不服申立てがなされていても、その後に修正申告書の提出があった場合には、当該更正の取消しを求める利益は失われる。このことは、租税特別措置法第37条の2第2項の規定による修正申告の場合も同様に解すべきである。

原文を表示
平成4年2月18日裁決

宗教法人の墨跡収入は、法人税法施行令第5条第1項第10号に規定する請負業に係る収入であるとした事例

裁決事例集 第43集 175頁

要旨

 宗教法人である請求人の墨跡収入は、請求人と卸売業者である取引先との間で合意した墨跡の揮ごうに関する請負契約に基づいて得られたものと認められるから、法人税法施行令第5条第1項第10号に規定する請負業に係る収入である。

原文を表示
平成4年2月13日裁決

法人の成立は、その本店の所在地において設立登記を行うことにより初めて法人としての権利能力を取得し法人として存在することとなる。したがって、法人設立期間中の損益は、請求人に帰属するとした事例

裁決事例集 第43集 45頁

要旨

 請求人は、法人の設立を決議した設立発起人会の決議の日の翌日をもって事業を法人に継承したものであるから、同日以後法人設立登記の日までの期間に生じた損益についても法人に帰属すると主張するが、法人の設立期間中に生じた損益については、[1]当該法人は、請求人が営んでいた建築設計業を引き継いだものであること、[2]当該法人は、その本店の所在地において設立登記をすることにより初めて法人としての権利能力を取得したものであること、[3]請求人備付けの現金出納帳には、請求人に対する事業主報酬及び青色事業専従者給与の支払いの事実が認められることから、請求人に帰属するとするのが相当である。
 なお、原処分庁が認定した総収入金額には、建築主から依頼された近隣住民の同意を得るための交渉費用が含まれており、これは、将来における実費精算を予定した仮払金であることが認められ、請求人の預り金であるとするのが相当である。

原文を表示
平成4年2月12日裁決

特定外国子会社が納付する我が国の事業税は、税額控除の対象となる外国法人税に該当しないとした事例

裁決事例集 第43集 528頁

要旨

 請求人は、法人税法第69条の規定は所得に対する国際間の二重課税を排除するためのものであり、その立法趣旨から、所得を課税標準として課された我が国の事業税を外国法人税に該当しないとすれば、二重課税となる旨主張するが、本件事業税は、事業そのものの収益収得力に着目して課せられる税であり、所得に課せられる所得税及び法人税とはその性格を異にするものであって、所得計算上必要経費又は損金として認められることとなっており、所得計算上必要経費又は損金とは認められない我が国の所得税、法人税又は地方税とは異なり二重課税のおそれがないから、我が国の事業税は立法趣旨等からみても外国法人税に該当しない。
 なお、我が国の事業税は、その性格上、売上金額、資本金額、固定資産の価額及び従業員数等のいわゆる外形標準を課税標準とすることが適当と認められるところ、実務において、特定の業種以外の業種について所得を課税標準としているのは、所得税、法人税と共通する数値を採用することによる行政の簡素化、課税技術上の問題等の見地から売上金額や資本金額等に代えて採用しているものと認められるから、所得税、法人税が所得を課税標準としているのとは意味合いが異なる。

原文を表示
平成4年1月31日裁決

取引実例、買取実例等を基に総合的に判断して決めた取引相場のない株式の譲渡価格は適正と認められた事例

裁決事例集 第43集 206頁

要旨

 本件株式は、公開市場においては取引相場のない株式であるが、[1]本件株式会社の従業員持株会が一般株主から買い取った取引実例価格、[2]本件株式会社が単位未満株式の買取請求に基づいた買取実例価格及び[3]日刊新聞に掲載されている店頭気配値は、それぞれ客観的交換価値を反映しているものであるから、それらの価格を総合判断して決められた価格は、適正価格と認められる。

原文を表示
平成4年1月28日裁決

請求人の青色申告の特典控除前の所得金額に、同業者の青色申告の特典控除前の所得金額に占める妻の青色事業専従者給与の額の割合の平均値を乗じて算定した金額を必要経費に算入できる額としたことは、合理的な認定方法であるとした事例

裁決事例集 第43集 127頁

要旨

 所得税法第57条第1項及び所得税法施行令第164条第1項は、必要経費に算入できる青色事業専従者給与額は、[1]事業の種類、規模及び収益の状況、[2]他の使用人に係る給与の支給状況及び[3]同業者の従業員に係る給与の支給状況に照らして判断すべき旨を規定しているところ、原処分庁が、請求人の青色申告の特典控除前の所得金額に同業者の青色申告の特典控除前の所得金額に占める妻の青色事業専従者給与の額の割合の平均値を乗じて算定した金額をもって、必要経費に算入できる青色事業専従者給与額としたことは、請求人の事業の収益状況をより反映させるものであり、合理的な認定方法として容認できる。

原文を表示
平成4年1月20日裁決

区分所有登記のできない本件買換建物の取得価額は、事業の用に供されている部分の額のうち、請求人の所有持分に相当する額によるとした事例

裁決事例集 第43集 479頁

要旨

 請求人は、本件買換建物の3分の2を持分としており、当該建物の全延面積に占める事業の用に供している割合は30.36パーセントであるから、本件買換建物の事業の用に供している部分の額は全額取得価額として認めるべきであると主張するが、本件買換建物は、区分所有のできない建物である以上、請求人は事業用部分の全部を取得したものとはいえず、事業用部分のうち請求人の持分である3分の2相当を取得したものとなるから、本件買換建物の取得価額のうち事業用部分に相当する額の3分の2に相当する額が、請求人の事業用部分に係る取得価額となる。

原文を表示
平成4年1月20日裁決

本件家屋は同一世帯に属する長男及び義母等の居住の用に供されていたが、請求人は、本件家屋を相続により取得してから一度も居住しないまま譲渡しているので、本件譲渡は居住用財産の譲渡に当たらないとした事例

裁決事例集 第43集 468頁

要旨

 請求人の本件譲渡時における生活の本拠は、請求人が日常実際に起居し、住民登録もしていた勤務先の社宅であり、請求人が所有者として本件家屋を居住の用に供していたとは認められず、また、請求人と社会通念上同居を通常とする妻及び次男も長期間居住していない本件家屋については、永続的な利用を目的として請求人及び妻等の日常生活に利用されていたとは到底いえず、請求人らの生活の本拠が本件家屋にあったとは認められない。

原文を表示
平成4年1月17日裁決

住宅取得等特別控除に係る借入金債務の成立時期について、金銭消費貸借契約が成立したのは居住開始の翌年であるとした事例

裁決事例集 第43集 452頁

要旨

 租税特別措置法第41条第1項に規定する借入金とは、その年12月31日における現実の借入金の残高と解するのが相当であるところ、請求人の場合、本件金銭消費貸借契約が成立したのは、本件家屋に居住することとなった年の翌年であるから、当該居住することとなった年分中には借入金債務は成立していないというべきである。
 なお、本件家屋に居住することとなった年の12月31日までに、公庫からの融資予約通知の受領、公庫への融資基本約定書の差し入れ及び融資予約金に係る保証料の支払があったとしても、これらはいずれも本件金銭消費貸借契約を締結するための準備手続とみるのが相当であるから、当該事実があることをもって本件金銭消費貸借契約が成立したものとみることはできない。

原文を表示
平成4年1月6日裁決

本件土地は伯父の相続人から請求人に贈与されたものではなく、父からの相続により取得したものと認めるのが相当であるとした事例

裁決事例集 第43集 325頁

要旨

 本件土地は、[1]祖父の死亡後に伯父、父及びその姉妹が集まって開いた親族会議において、伯父は独立して生計を立てており、父が祖父と生計を一にして家業(農家)を行っているので、父に家業を継がせることが確認された旨父の姉妹が証言していること、[2]父は祖父より家業を引き継ぎ、祭祀を行い、引き継いだ土地を支配管理し、使用収益及び一部を処分していること、[3]昭和44年12月23日に農地法第3条の規定に基づいて、伯父から父への農地の所有権移転の許可を受けていること及び[4]伯父の相続人らは、請求人に本件土地を贈与したとの認識はない旨答述していることから、祖父の死亡後その家督相続人たる伯父から父に贈与され、その後、父からの相続により請求人が取得したものと認めるのが相当である。

【 税務法規集に掲載する法令等の情報に関する注意事項 】

  • 本サービスは、デジタル庁が管理するe-Gov法令検索のデータ、国税庁がホームページを通じて提供する通達等の情報および国税不服審判所の公表裁決事例・裁決要旨を利用しています。
  • 法律の専門家が分類・整理した情報を元に、プログラムで自動的に法令等を解析し、関連する情報を統合的に閲覧できるように再編集していますが法令等の内容については、明白な誤りや文字種の統一などの形式的な点を除き、変更しておりません。
  • 各法令等の施行日等の情報は法令等の名称の横にある マークのボタンからご覧いただけます。また、当該法令の元データにもその情報表示部分からアクセスすることができます。
  • 本サービスの提供者は、デジタル庁および国税庁とは関係がなく、またこれらの機関を代表するものでもありません。
  • 本サービスの提供者は、表示される情報に誤りがないように努めていますが、利用者による本サービスの利用に関する結果に対して一切の責任を負いません。