裁決事例 裁決事例集 第59集

裁決事例 裁決事例集 第59集

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平成12年6月30日裁決

請求人が米国の子会社から、株式の償還による金員の支払いを受ける際に、米国において源泉徴収された税について、当該償還金は資本の払戻しであり、米国において源泉徴収された税は法人税法第69条及び同施行令第141条にいう「法人の所得を課税標準として課された外国法人税」に該当しないので外国税額控除は受けられないとされた事例

裁決事例集 第59集 178頁

要旨

 請求人は、本件償還金に課された源泉徴収税は、米国歳入法の規定により本件償還金が配当金とされたことにより源泉課税されたものであり、この源泉徴収税は、法人税法施行令第141条に規定する「外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税」に該当し法人税法第69条に規定する外国法人税として外国税額控除の対象となる旨主張する。
 しかしながら、本件償還金は我が国においても米国においても減資による払戻しであり、払込金額と同額である本件償還金額は、およそ所得とは認められない。したがって、米国において本件償還金に課された源泉徴収税は、法人税法施行令第141条に規定する「外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税」に該当せず、法人税法第69条に規定する外国税額控除の対象とはならない。

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平成12年6月30日裁決

遺産に係る基礎控除額を計算する場合の相続人の数は、実際の相続人について該当する相続人の資格の数によるのではなく、実際の相続人の数そのものによるとされた事例

裁決事例集 第59集 272頁

要旨

 民法第5編第2章の各条は、相続人となり得る者の範囲及び要件を規定したものであるが、これを本件相続に当てはめてみると、請求人の場合、いずれにせよ本件被相続人の相続人の一人になるという結論が導かれるにすぎない。
 そうすると、相続税法第15条第2項に規定する「相続人の数」とは、民法第5編第2章の規定による相続人に該当する者(人)の数とするのが相当であるから、請求人のように資格重複する相続人であったとしても、相続人の実数が増加するわけではないので、1人として数えることになる。

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平成12年6月30日裁決

遺産分割がなされていない場合であっても、配偶者が金融機関から払戻しを受けた法定相続分相当の預金は、配偶者にかかる相続額の軽減の適用上、「分割された財産」として更正の請求の対象となるとされた事例

裁決事例集 第59集 282頁

要旨

 相続税法第19条の2第2項は、「分割されていない財産」は配偶者の税額軽減の対象に含めない旨規定しており、また、同法第32条6号は、この「分割されていない財産」が「分割された場合」には、更正の請求ができる旨規定している。「分割されていない財産」を税額軽減の対象としていないのは、配偶者が実際に取得した財産に限りその対象とする趣旨と解され、このことから、この「分割されていない財産」には、配偶者が特定遺贈を受けた財産等、既に配偶者が実際に取得しており、分割の対象とならない財産は含まれない(軽減の対象となる)ものと解されている。
 ところで、最高裁判決(昭和29年4月8日第1小法廷判決、昭和30年5月31日第3小法廷判決)によれば、相続財産中に可分債権があるときは、その債権は法律上当然に分割され(分割の対象とならない)、各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するとされているが、他方、家庭裁判所における遺産分割審判においては、遺産全体の分割を円滑に行う等の事情から相続人全員が合意した場合には、可分債権であっても、遺産分割の対象としている取扱いが定着しているものと認められる。そうすると、可分債権であることをもって分割の対象とならないとみることは相当でなく、配偶者が現実に取得していない段階では、相続税法第19条の2第2項に規定する「分割されていない財産」に含まれ、税額軽減の対象とはならないと解するのが相当である。
 しかし、預金債権についてみた場合、分割がなされない場合であっても、配偶者がその法定相続分相当について金融機関に払戻請求を行い、実際に払戻しを受けたときには、配偶者はその金員を実効支配をするに至っていることから、その払戻しを受けた預金は、「分割されていない財産」から除外され、税額軽減の対象になると解するのが相当である。
 同様に、更正の請求においても、払戻しを受けた法定相続分相当については、「分割された財産」に該当するものとして、更正の請求の対象になると解するのが相当である。

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平成12年6月29日裁決

調停調書に基づき解決金の支払により土地を取得した場合であっても解決金の金額がその土地の時価より著しく低いときには低額譲受に当たるとした事例

裁決事例集 第59集 226頁

要旨

  1.  相続税法第7条の規定は、法律的には贈与契約によって財産を取得したものではないが、経済的には時価より著しく低い価額で財産を取得すれば、その対価と時価との差額について、実質的に贈与があったとみることができるので、この経済的実質に着目して、税負担の公平の見地から課税上は、これを贈与とみなす趣旨のものと解される
  2.  このような規定の内容及び趣旨からすれば、被相続人の相続財産を不当に減少させることとはならないとしても、財産の取得が著しく低い対価によって行われた場合に、その対価と時価との差額については、実質的に贈与があったとみなして本規定が適用されることとなる。
  3.  本件取得日における本件土地の時価は、13,284千円であると認められ、請求人は本件解決金の額4,000千円を支払って本件土地を取得しているのであるから、請求人の土地の取得は「著しく低い価額で財産の譲渡を受けた場合」に該当し、請求人は、時価と本件解決金との差額9,284千円を本件相続人から贈与により取得したものとみなされることとなる。
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平成12年6月27日裁決

バッティングセンターの待合フロアー等の建築物が借地上にあったとしても、その敷地は借地権の目的となっている土地に当たらないとされた事例

裁決事例集 第59集 332頁

要旨

 評価通達にいう借地権とは借地借家法第2条第1項に規定する建物の所有を目的とする地上権又は賃借権をいい、この「建物の所有を目的とする」とは、借地使用の主たる目的がその地上に建物を建築し、これを所有することにある場合をいうのであるから、借地人がその地上に建物を建築し、所有使用とする場合であっても、それが借地使用の主たる目的ではなく、その従たる目的にすぎないときは、「建物の所有を目的とする」に当たらないと解される。
 これを本件についてみると、賃借人は本件敷地を含む本件土地を昭和53年ころから本件相続開始日まで引き続いてバッティングセンター経営の事業用地として利用し、本件待合フロアー等はバッティングセンターと構造上一体となっており、本件建築物はいずれもバッティングセンターの経営に必要な付属建築物として建築されたものと認められるから、本件土地の賃貸借の主たる目的は、バッティングセンターとして使用することにあると言える。
 そうすると、賃借人が本件建築物を建築所有していたとしても、それは本件土地をバッティングセンターとして使用するための従たる目的にすぎないというべきであるから、本件賃貸借は、借地借家法第2条第1項に規定する建物の所有を目的とする賃借権に該当せず、したがって、本件敷地には、借地権は存在しない。

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平成12年6月26日裁決

遺贈の効力は認められるものの、請求人がその効力の有無について疑問を抱いたとしてもやむを得ない客観的な事情が認められるとして、遺贈に関する調停の成立により国税通則法第23条第2項第1号の規定による更正の請求を認めた事例

裁決事例集 第59集 14頁

要旨

  1.  本件遺言は、その文言からみる限りでは、[1]財産を与える旨の具体的な記載がないこと、[2]相続財産に属する特定の財産の処分でないこと、[3]本件遺言書の文言からみると継続的に金銭を給付する金銭債権の遺贈ともみられるが、必ずしも十分な記載がないこと、[4]仮に、継続的に金銭を給付する金銭債権の遺贈だとしても、いつまで金銭を交付すればよいのか、何ら給付期間に関する記載がないこと等遺贈としての効力を巡って、判断の分かれる余地が大きいものであると認めざるを得ない。
     ところで、遺言の解釈に当たっての基本的な考え方(最判昭和58年3月18日)を踏まえて本件遺言に係る遺言者である被相続人の真意を推認すると、被相続人は、本件受遺者に恩義を感じ、感謝の気持ちから、本件受遺者に相当額の財産を遺贈する意思を有していたことは確実であり、本件遺言は、本件受遺者を信頼し、屋敷、墓等の管理を依頼するため、将来にわたり受遺者の生活を安定させ得る程度の金銭を取得させる意図の下に記載されたものと認めるのが相当である。
     したがって、このような被相続人の真意を踏まえれば、本件遺言は、単なる被相続人の希望の表明と解するのは相当でなく、毎年金銭を継続的に給付することを内容とする金銭債権の遺贈と解するのが相当である
  2.  請求人は、相続税の期限内申告の時点で既に承知していた本件遺言書の内容に基づき、本件受遺者に対して実現すべき金銭債権の相続開始時の価額を評価し、それを相続財産の価額から控除して課税価格を計算すべきであったにもかかわらず、これをしなかったにすぎないのであるから、本件調停の成立によりその具体的な内容が確定したことを理由として、当然に国税通則法第23条第2項第1号の規定による更正の請求ができると解するのは相当ではない。
     しかしながら、遺言の解釈において、結果的には遺贈の効力を認めるべきではあるものの、納税者がその効力の有無につき疑問を抱いたとしてもやむを得ないと認められる客観的な事情が認められることにより、申告等の時点において、遺贈の実現義務の負担を確実には予想し得ず、相続財産の価額からその義務の金額を控除しないところにより課税価格を計算したことにつき納税者に責めを負わせることが酷と認められる事情が存する場合には、国税通則法第23条第2項第1号の規定による更正の請求を認めるのが相当である。
     本件遺言については、文言からみる限りでは、遺贈としての効力を巡って、判断の分かれる余地の大きいものであると認められ、原処分庁も、不確実なもので、そもそも遺言としての効力はないとの判断にたっていることを踏まえれば、請求人が、期限内申告の時点において、遺贈の実現義務の負担を確実には予想し得なかったとしてもやむを得なかったものと認められる。
     したがって、本件更正の請求は、国税通則法第23条第2項第1号に該当し、適法なものと解するのが相当である。
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平成12年6月23日裁決

遺贈に対して遺留分による減殺請求がなされている場合であっても、各共同相続人の取得財産の範囲が具体的に確定するまでは、受遺者の課税価格はそれがないものとして計算した金額によるとされた事例

裁決事例集 第59集 262頁

要旨

  1.  [1]請求人は、平成9年8月20日、家庭裁判所の遺言の検認の際、「遺言書の筆跡は、遺言者のものだと思います。名下等の印影も、遺言者が使用していた印章によるものに間違いありません。」と陳述していること、[2]請求人は、本件遺言に係る遺贈の放棄をしておらず、他の相続人からされている遺言無効及び相続欠格の主張を争っていること、[3]本件遺言の効力及び相続欠格事由の有無については、他の相続人から裁判外において主張されているにすぎず、訴え等の提起はされていないことを考慮すれば現時点においては本件遺言は有効であり請求人は相続欠格者でないことを前提として、その課税関係を判断するのが相当である。
  2.  遺留分減殺請求がなされていても、各共同相続人の取得財産の範囲が具体的に確定するまでは、その遺留分減殺請求がなかったものとして課税価格を計算するのが相当であると解され、そのように解しても、取得財産の範囲が具体的に確定した際には、相続税法第32条の更正の請求、同法第30条又は第31条の期限後申告又は修正申告、同法第35条の更正等による是正手段がある以上、不都合はない。
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平成12年6月21日裁決

合併存続法人に生じた欠損金額を被合併法人の所得金額を対象として欠損金の繰戻請求を認めるべきであるとの請求人の主張に対して、合併存続人と被合併法人では法人格が異なることから還付請求は認められないとして、これを排斥した事例

裁決事例集 第59集 191頁

要旨

 商法第103条[合併の効果]は、吸収合併の場合、合併存続法人が被合併法人の権利義務を承継する旨規定しているところ、この合併により合併存続法人が承継する権利義務は、被合併法人の私法上の実質的な積極的、消極的財産であって、計算上の数額である資本や各準備金、あるいは単なる経理計算関係などはこれに該当するものではなく、また、被合併法人の公法上の権利義務が合併存続法人に承継されるかどうかは、当該公法上の権利義務の性質によって個別に検討されるべきものである。
 そして、法人税法第81条第1項の規定は、法人税は各事業年度ごとに所得金額を算定し、これによって課税する原則の例外として青色申告法人に限り欠損金の繰戻しの制度を認めているものであるが、前述のとおり計算関係にすぎない合併存続法人の欠損金が合併の効果として合併前の被合併法人に当然に及ぶと解することはできず、その繰戻しが認められるためには法人税法上、別段の根拠が必要であると解される。しかしながら、同条の欠損金の繰戻し制度について、合併後の合併存続法人の欠損金につき、合併前の被合併法人の所得についてまで及ぶことを認めた規定はない。
 また、この制度は各事業年度ごとの所得によって課税する原則を貫くと各事業年度を通じて所得計算をする場合に比して、税負担が加重となる場合が生ずるので、これを緩和して当該法人の企業活動の健全を期待保障しようとするものであるから、この趣旨からして欠損金の繰戻しが許されるには当該法人が人格の同一性を保っていることを前提とするものと解されるところ、合併存続法人と被合併法人は人格の同一性を保っているということはできないことから、請求人の主張を認めることはできない。

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平成12年6月21日裁決

土地がいわゆる公図混乱地区に所在し、その地積の確定は測量が完了するまではできなかったとしても、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由に当たらないとした事例

裁決事例集 第59集 37頁

要旨

 請求人らは、本件更正処分による納付すべき税額の計算の基礎となった事実が当該更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったのは、やむを得ない事情によるものであり、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由がある旨主張するところ、本件土地が公図混乱地区にあったため、その地積の確定には相当の時間を要し、現に原処分庁が本件更正処分をした時点において、本件土地の測量が完了していなかったことは認めることができる。
 しかしながら、過少申告加算税が、過少な申告という事実のみをもって賦課されるものであることに照らすと、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由があると認められる場合とは、税法の解釈に関して申告当時に公表されていた見解がその後改変されたことに伴い修正申告をした場合など、申告当時に適法とみられていた申告が、その後の事情の変化により、納税者の故意過失に基づかないで過少申告となった場合のように、過少申告をしたことが真にやむを得ない理由によるもので、かかる納税者に過少申告加算税を課すことが不当又は酷になる場合を意味するものと解するのが相当である。
 本件において、請求人らは、当初、本件土地の一部について、その登記名義が被相続人であるにもかかわらず、これを相続財産として申告しなかったばかりか、本件土地の地積は不動産登記簿上の地積とも、本件貸付台帳上のそれとも異なることを認識しながら、あえて当該貸付台帳上の地積等に基づいて本件申告をしたのであり、本件土地が公図混乱地区にあり、また、その地積を確定した上で修正申告をする予定である旨を調査担当職員に告げていたとしても、請求人らは、本件申告時において、本件土地の地積が本件申告に係る地積の範囲内であり、これを超えるものではないことを客観的に裏付ける事実を認識していたものということはできないのであるから、正当な理由があるとは認められない。

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平成12年5月31日裁決

請求人が納税者から不動産を譲り受けたことが、国税徴収法第39条に規定する「著しく低い額の対価による譲渡」に当たらないとした事例

裁決事例集 第59集 435頁

要旨

 国税徴収法第39条に規定する「著しく低い額の対価」と認められるか否かは、結局、その財産の種類、数量の多寡、時価と対価との差額の大小、その他諸般の事情を総合的に考慮して、時価(通常の取引価格)に比較して社会通念上著しく低い額と認められるか否かにより判断するほかなく、不動産のように、時価が必ずしも明確でなく、人により評価を異にする値幅のある財産については、国税徴収法基本通達第39条関係6の注書の1に定めるように、時価のおおむね2分の1に満たない額をもって、著しく低い額による対価と解するのが相当である。
 これを本件についてみると、本件不動産の譲渡時における時価は、当審判所の依頼した不動産鑑定士の鑑定の結果によれば165,000,000円と評価されており、その手法及び過程において特に不合理な点は認められないから、これと同額と認められ、他方その対価は100,000,000円であり、当該対価は時価の約61%とその2分の1を相当上回っている。その上、当審判所の調査によれば、請求人は、納税者から、このままでは税金の納付や借入金の支払ができないと懇請されて、やむを得ず、需要の低い転売の見込みもない本件不動産を譲り受けることとし、実際、現在にいたるまで転売もしていないのであって、このような状況を考えると、本件対価とその時価との差額が65,000,000円に及ぶからといって、請求人に補充的を負わせなければ公平の理念に反するとはいえない。また、原処分庁の主張するように当該譲渡につき詐害行為に該当する行為があるとしても、第二次納税義務は、詐害行為取消権と制度の趣旨及びその要件、効果を異にしているので、そうであるからといって当然に第二次納税義務を負うことにはならない。したがって、本件譲渡は「著しく低い額の対価による譲渡」に該当せず、請求人に対してなされた第二次納税義務告知処分は違法であるから、その全部を取り消す。

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平成12年5月30日裁決

株式方式によるゴルフ会員権が取引市場において下落した場合であっても、発行法人の資産状態が著しく悪化したものではないとして損金算入を認めなかった事例

裁決事例集 第59集 172頁

要旨

 請求人は、本件株式のゴルフ会員権売買市場における取引価額が下落したことは、当該株式の発行法人の土地及び借地権の価額等の下落が主たる要因でその資産状態が著しく悪化したことは明白であり、本件評価損は施行令第68条第2号ロの規定に該当すると主張するが、本件株式はGゴルフクラブの会員権としての地位を表章しているものであるところ、そのゴルフ会員権売買市場における取引価額は、ゴルフ場の施設利用権としての価値の上下を含む需要と供給の関係で成立するものであるから、その取引価額が下落したことをもって直ちに、発行会社の資産状態が著しく悪化したことを意味するものではないし、また、当審判所の調査によっても、発行会社の資産状態が著しく悪化したとの事実を認めることができず、施行令第68条第2号ロに規定する「有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化した」ことには該当しないから、請求人の主張は採用できない。

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平成12年5月24日裁決

過誤納金全額を請求人に還付しながら、その2年後に延滞税の督促処分をしたことは信義則に反するとの請求人の主張に対して、請求人が特段の不利益を受けたわけではないとして、これを排斥した事例

裁決事例集 第59集 56頁

要旨

 国税通則法第37条第1項は、納税者がその国税を納期限までに完納しない場合には、税務署長は、その納税者に対し、督促状によりその納付を督促しなければならない旨規定する。
 ところで、本件延滞税の額は、本件相続税の法定納期限の翌日である平成8年2月20日から、本件修正申告に係る相続税の納期限である同年11月6日までの期間の日数261日に応じ、当該修正申告により納付すべき本税の額380,000円(ただし、国税通則法第118条第3項の規定により10,000円未満の端数を切り捨てた後の金額)に年7.3%の割合を乗じて計算した19,800円(ただし、同法第119条第4項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後の金額)であること、そして、上記納期限を経過した後の平成11年6月25日現在、この19,800円の全額が未納であったことが認められるから、当該金額について同日付でなされた本件督促処分は適法ということになる。
 もっとも、請求人は、国税通則法第57条第1項の規定によれば、原処分庁は本件過誤納金を本件延滞税に充当すべきところ、これに反して当該過誤納金の全額を請求人に還付しながら、それから2年も経過した後に本件督促処分をしたのであって、このことは信義則に反する旨主張する。
 確かに、国税通則法第57条第1項は、税務署長は、還付金又は国税に係る過誤納金(以下、「還付金等」という。)がある場合において、その還付を受けるべき者につき納付すべきこととなっている国税があるときは、還付に代えて、還付金等をその国税に充当しなければならない旨規定するところ、請求人には、上記のとおり、平成9年9月18日現在、納付すべきこととなっている本件延滞税があったのであるから、原処分庁としては、本件誤納金を本件延滞税に充当すべきであり、にもかかわらず、当該過誤納金を請求人に還付したことは上記規定に反すると言わざるを得ないのであるが、過誤納金の還付と督促処分とは別個のものであるから、当該還付が違法に行われたからといって、本件督促処分が当然に違法、不当となるわけではない。
 また、信義則が租税法律関係にも適用される法原則であるとしても、本件過誤納金を本件延滞税に充当することなく、これを請求人に還付したからといって、これをもって、原処分庁が、当該延滞税の納付を督促しない旨を公的に表明し確約したものということはできないし、請求人も、本件督促処分によって、本来納付すべき本件延滞税を納付しなければならないというにすぎず、当該延滞税の納付の督促はないと信頼し、これに基づいて何らかの行為をしたために特段の不利益を受けたわけでもないのであるから、本件においては、租税法律主義の原則や納税者の平等、公平の要請をおいてまで、請求人の利益を保護すべき特段の事情はないというべきである。
 したがって、請求人の主張には理由がない。

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平成12年5月22日裁決

ワラントの権利行使期間が徒過したことによる損失について取得費又は譲渡費用として控除することを認めなかった事例

裁決事例集 第59集 137頁

要旨

 請求人は、ワラントの権利行使期間が徒過し失効したことによる損失(以下「失効損失」という。)について、ワラントを著しく低い価額で譲渡した場合の取扱い及び法人税法における損金算入との取扱いとの課税の公平から、他の株式等に係る譲渡所得の金額の計算上、取得費又は譲渡費用として控除すべきである旨主張する。
 しかしながら、ワラントの失効とは、権利行使期間の徒過により、発行会社の株式を一定の条件で購入することのできる権利が消滅することであって、資産の譲渡には該当しないものであるから、ワラントの取得価額を他の株式等に係る譲渡所得の金額の計算上、取得費又は譲渡費用として控除することはできない。
 また、所得税法には、法人税法の取扱いを準用する旨の規定はないことから、請求人の主張には理由がない。

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平成12年5月15日裁決

請求人(弁護士)が妻(税理士)に支払った税理士報酬の額は必要経費に算入されず、請求人の必要経費の額は、妻がその税理士報酬を得るために要した費用の額となると判断された事例

裁決事例集 第59集 75頁

要旨

 所得税法第56条の規定により、請求人が営む弁護士業から請求人と生計を一にする親族である税理士業を営む妻に支払われた税理士報酬の額は請求人の事業所得の計算上必要経費に算入されず、請求人の事業所得の計算上必要経費に算入される金額は、妻が請求人から本件税理士報酬を得るために要した費用の額となる。
 なお、本件の場合、その費用の額が明らかでないが、その金額は、妻の事業所得の必要経費の額に、その総収入金額に対する本件税理士報酬の額の占める割合を乗じて算出した金額を請求人の弁護士業に係る必要経費と認定することが相当である。

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平成12年5月9日裁決

登録免許税法第28条1項の規定に照らせば、登記を了したからといって、登録免許税の課税標準等が正当と認定されたことにはならず、登記後に税務署長に納付不足の通知を行うことは課税の公平等に反するとはいえないとした事例

裁決事例集 第59集 391頁

要旨

  1.  登録免許税が自動確定方式の国税であることと、登記機関が、この方式により確定した税額の全部又は一部が納付されていないとして税務署長にその旨を通知することとは相反するものではないし、これが課税の公平等に反するともいえない。
  2.  登録免許税法第28条第1項及び第29条第1項の規定に照らせば、登記官が、本件登記の申請に対し、同法第26条第1項の通知をせず、納付不足を理由に登記申請を却下することもしないで本件登記を了したからといって、登記申請書に記載された登録免許税の課税標準の金額及び税額が正当と認定されたことにはならない。
  3.  なお、本件土地については、登記申請日現在、台帳価格がなかったのであるから、その価額は、本件土地に類似する土地の台帳価格を基礎として本件登記官が認定した価額となる。
     本件登記官は、「旧5番4の土地」を本件土地に類似する土地とし、その平成10年度の台帳価格を基礎として本件土地の価額を認定しているが、これらの土地は、その形状に若干の違いはあるものの、ともに宅地で、面積もほぼ等しく、かつ、道路との位置関係や地理的条件も同一であることが認められるから、本件登記官の認定は相当である。
  4.  国税通則法第75条第1項の規定によれば、不服申立てができるのは、国税に関する法律に基づく処分に限られるところ、延滞税は、同法第60条1項各号に規定する所要の要件を充足することによって、法律上当然にその納税義務が成立し、成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税であって、上記の国税に関する法律に基づく処分により確定するものではないから、本件延滞税に関する審査請求は、対象となる処分が存在しないにもかかわらず、なされた不適法なものである。
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平成12年4月28日裁決

合併無効の判決が確定しても遡及効はないから当該合併により発生したみなし配当には何ら影響がなく、更正の請求の要件を充足していないとして、請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第59集 28頁

要旨

 商法第110条は、「合併を無効とする判決は合併後存続する会社又は合併に因りて設立したる会社、其の社員及第三者の間に生じたる権利義務に影響を及ぼさず」としており、合併無効の判決が将来に向かって合併を無効とする効力を有するに止まり、合併のときにさかのぼって合併を無効とするものではないことを規定している。
 そして、当該判決によって、合併後存続する会社又は合併によって設立した会社は、無効判決確定のときに将来に向かって合併前の数社に分けられ、同時に合併により消滅した会社は、将来に向かって復活することになる。
 また、上記規定は、商法第415条第3項において、株式会社に準用する旨規定しているから、ここにいう社員には株式会社における株主が含まれると解されている。
 これを本件についてみると、本件合併は、本件判決により無効とされ、そのことが確定したのであるが、本件判決の確定日の前日である平成11年4月3日までは有効であったのと同様にその効力を保持していたものであり、当該確定日以後において、合併前の状態に回復され、解散会社も当該確定日から将来に向かって復活するにすぎないのである。
 そうすると、本件合併は、合併の日にさかのぼって無効となるのではないから、当該合併に基づき行われた株式の割り当て交付及びそれによって発生した本件みなし配当には何ら影響がないといえる。
 したがって、本件判決の確定は、国税通則法第23条第2項第1号にいう「その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定した」ことには該当せず、更正の請求の要件を充足していないというべきである。

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平成12年4月26日裁決

後発的事由(判決)に基づく更正の請求に対して、請求人が申告当時、課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に変更を来すことを予想し得たとして、重加算税の賦課決定処分を認容した事例

裁決事例集 第59集 1頁

要旨

 国税通則法第23条第1項に規定する期限徒過後に、課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えに対する判決により当該事実が申告と異なることとなった場合、納税者において、申告当時に、課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に変更を来すことを予測し得た場合においては、同条第2項第1号に規定する判決には当たらないと解すべきである。
 これを本件についてみると、請求人は、相続財産である宅地及び建物を単独相続するに当たり、未分割の相続財産である本件小作権を将来解約する場合には、これに係る本件補償金を相続人全員に分配することを他の相続人らに約束し、さらに本件補償金を受領した当時においては、これを他の相続人らに分配する意思があったにもかかわらず、それを誠実に履行しなかったために、他の相続人らから本件小作権に係る遺産分割の調停の申立て及び不当利得返還請求等各訴訟が順次提起され、本件判決が確定して、本件補償金のうちの他の相続人らの相続持分に相当する金員を支払ったものであると認められる。
 そうすると、本件補償金に係る譲渡所得の確定申告時である平成3年3月の時点において、請求人は、本件補償金は他の相続人らにも分配しなければならないことをすでに認識していたこと及び本件小作権に係る訴訟が係争中であったことなどからみると、請求人は、本件補償金のうち、自己の相続持分に相当する金額のみが自己に帰属するものであることを十分に認識していた上、仮に、本件補償金の全額が自己に帰属するものとしてこれに係る譲渡所得の確定申告をすれば、後日、当該申告に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に変更を来すことを確定申告時には十分に予測し得たものと認められるから、本件判決は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決には当たらないといわざるを得ない。
 したがって、本件判決を理由として本件更正の請求はできないから、本件通知処分は適法である。

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平成12年4月26日裁決

本店ビルの新築工事に際し、その共同事業者に支払った竣工時までの建中金利相当額は本店ビルの取得価額に算入すべきものとされた事例

裁決事例集 第59集 154頁

要旨

  1.  請求人は、本店ビルの新築工事に際し、財団法人H機構(以下「H機構」という。)が共同事業者として参加したのは、H機構の成立経緯等から共同事業という法律的形式をとらざるを得なかっためであり、H機構が負担した共同事業に係る分担金の経済的実質は資金融資であるから、本店ビルの建築中にH機構に対して支払った建中金利相当額は、支払利息である旨主張する。法律的形式と経済的実質とが異なるような場合には、単に当事者によって選択された法律的形式だけでなく、その経済的実質をも検討すべきことは当然であるが、当事者によって選択された法律的形式が経済的実質からみて通常採られるべき法律的形式と明らかに一致しないものであるなどの特段の事情がない限り、当事者によって選択された法律的形式は、原則として経済的実質をも表現しているものと解される。
     そこで、H機構との取引についてみると、法律的形式は、H機構が本店ビルの建築費の一部を負担して共同事業者として参加し、本店ビルの竣工後に共有持分を請求人に譲渡したものであるが、この法律的形式が経済的実質からみて通常採られるべき法律的形式と明らかに一致しないものとは認められない。そうすると、請求人には特段の事情は認められず、H機構との共同事業の法律的形式は経済的実質をも表現していると認められる。
  2.  請求人は、本店ビルの新築工事に際し、その共同事業者であるH機構が負担した共同事業に係る分担金の実質は資金融資であるから、本店ビルの建築中にH機構に対して支払った建中金利相当額は、支払利息である旨主張するが、H機構との共同事業協定書、建物延払条件付譲渡契約書等の各契約内容及びH機構の答述等を勘案するとH機構は本店ビルの建築費の一部を負担して共同事業者として事業に参加し、本店ビルの竣工後にH機構の本店ビルの共有持分を請求人に譲渡したものと認められること及び共同事業協定書等には、建中金利相当額はH機構の本店ビルの共有持分の譲渡代金の前払金であることが明記されていることから、共同事業に係る分担金は本店ビルの建築費であり、建中金利相当額は本店ビルの取得代金であると認めるのが相当である。
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平成12年4月19日裁決

相続税法第34条第1項の連帯納付義務は、各相続人の固有の相続税の納付義務の確定に伴い法律上当然に確定し、直ちに連帯納付義務者に対し徴収手続を行うことができ、また、補充性が認められないから、本来の納税者に対する徴収手続を尽くさないでされた連帯納付義務についての督促は不当であるとの請求人の主張には理由がないとした事例

裁決事例集 第59集 344頁

要旨

 請求人は、原処分庁が滞納者に対する滞納処分を十分に行っておらず、誠実な職務を遂行しているとはいえないこと及び本件滞納国税の負担を請求人に一方的に求め、租税負担の公平性を阻害していることから、本件督促処分は不当である旨主張する。
 しかしながら、相続税法第34条第1項に定める連帯納付義務は、相続税の徴収の確保を図るために相互に各相続人に課した特別な責任であり、その確定は各相続人の固有の相続税の納付義務の確定という事実に照応して法律上当然に生じるものであるから、各相続人の固有の納税義務が確定すれば、直ちに連帯納付義務者に対して徴収手続を行うことができ、また、国税徴収法第32条以下に規定されている第二次納税義務のような、本来の納税義務者に対する滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合に限って滞納国税の納税義務を負担するという補充的な性格を持つものではない。
 したがって、原処分庁が請求人に対し本件滞納国税に係る連帯納付義務の履行を求め徴収手続を進めたとしても、これが本来の納税者である滞納者に徴収手続を尽くした後でなければできないというものではないことから、請求人の主張には理由がない。

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平成12年4月14日裁決

いわゆるエスクロー契約により、株式及び新株引受権の売買契約によって生ずる売主の補償責任の履行を担保するため売買代金の一部を第三者に1年間預託する方法で取引がされた場合、当該預託された売買代金相当額は、株券等の引き渡し時の総収入金額に計上すべきこととされた事例

裁決事例集 第59集 99頁

要旨

 請求人らは、本件エスクロー資金は売主の補償責任を担保するため第三者に預託されたものであり、エスクロー期間が終了する平成10年3月14日まで受け取ることができる金額が確定しないから、平成9年分の譲渡所得に係る総収入金額に該当しない旨主張するが、所得税法第36条第1項による総収入金額の計算上、資産の譲渡に基づく収入金額は、当該資産の所有権その他の権利が相手方に移転した日の属する年分の総収入金額に算入すべきものと解するのが相当とするところ、請求人らが認めるように、本件株券は、買収契約書により平成9年3月14日に買主に引き渡されているのであるから、本件エスクロー資金を含む譲渡価額の総額は、平成9年分の譲渡所得に係る総収入金額に該当する。

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平成12年4月11日裁決

滞納会社に対する滞納処分として差し押さえられた請求人名義の定期預金の払戻請求権について、預金の原資となっている滞納会社から振り込まれた金員は請求人に対する役員報酬ということはできないこと等から、滞納会社に帰属すると認めるのが相当であるとした事例

裁決事例集 第59集 450頁

要旨

 請求人は、同人名義の本件定期預金口座に係る払戻請求権は請求人に帰属しており、これが滞納会社に帰属するものとしてなされた本件差押処分は違法である旨主張する。
 本件定期預金口座は、滞納会社から請求人名義の普通預金口座(以下「本件普通預金口座」という。)に振り込まれた金員(以下「本件金員」という。)により開設されたものであることから、まず、本件普通預金口座の預金者について検討すると、[1]請求人は、本件金員は請求人が滞納会社から支給を受けた役員報酬である旨主張するが、請求人が滞納会社に対し役員としての役務を提供した事実は認められず、本件金員が役員報酬であると認められないから、本件普通預金口座は、滞納会社の出捐によって開設されたものというべきであり、また、[2]本件普通預金口座の開設手続等は、滞納会社の実質的経営者の指示でその社員が行っていたこと及び本件普通預金口座の届出印は滞納会社によって管理保管していたことが認められることから、本件普通預金口座は、滞納会社が自らの預金とする意思で開設したものというべきであり、したがって、本件普通預金口座の預金者は請求人ではなく滞納会社というべきである。
 次に、本件定期預金口座の預金者について検討すると、本件定期預金口座の届出印には請求人の印章が用いられており、このことからは、本件定期預金口座は請求人が自らの預金とする意思で開設したとみる余地もある。しかしながら、その原資となった本件普通預金口座の預金者は元々請求人ではないし、本件定期預金口座の開設に当たり、滞納会社が請求人に対し本件普通預金口座に係る払戻請求権を譲渡した事実も、請求人が本件普通預金口座から払戻を受けた金員を自己のものとした上、自らの預金とする意思で本件定期預金口座に入金したなどの特段の事情も認められないことから、本件定期預金口座の預金者は、やはり滞納会社というべきである。
 したがって、本件定期預金の払戻請求権は、請求人ではなく、滞納会社に帰属するものであり、請求人の主張には理由がない。

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平成12年3月31日裁決

公売手続の取消しを求める本件審査請求は、国税徴収法第171条第1項第3号に規定する不服申立期間を徒過しているが、公売通知書に不服申立期間の教示を欠いたため瑕疵があり救済されるべきであるとの主張が排斥された事例

裁決事例集 第59集 461頁

要旨

 請求人らは、公売通知書及び最高価申込者決定通知書に不服申立ての期間等の教示をしなかったから、国税徴収法第171条1項第3号の期限を徒過しても本件審査請求は適法である旨主張する。
 しかしながら、[1]公売通知はそれ自体として納税者の権利義務その他法律上の地位に影響を及ぼすものではないから、行政処分には当たらないと認められること。[2]最高価申込者の決定処分自体は公売の場所で終了し、かつ出席している関係人に口頭で告知されているのであって、滞納者等に対する通知は、納税者に対し、原処分庁が買受け適格のある申込者に最高価申込者の決定をしたという事実行為を通知したものにすぎないこと。したがって、これらは、行政不服審査法第57条第1項に規定する行政処分を書面ですることが要求されている場合に当たらないから、教示の必要はない。

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平成12年3月29日裁決

複数の商品を顧客に対して一括して引渡し、その代金を顧客から一括して受領する場合の、消費税法施行規則第22条第1項に規定する「決済上受領すべき金額」とは、その受領するときに顧客に交付する領収書(レシート)ごとの金額であると解するのが相当であるとされた事例

裁決事例集 第59集 360頁

要旨

 消費税法施行規則第22条第1項は、事業者が、課税資産の譲渡等に係る決済上受領すべき金額を当該課税資産の譲渡等の対価の額と消費税に相当する額とに区分して領収する場合において、消費税に相当する金額の1円未満の端数を処理したときは、当該端数を処理した後の消費税に相当する額を基礎として、課税標準額に対する消費税額の計算を行うことができる旨規定(以下「本件規定」という。)している。
 請求人は、食料品については個々の商品ごとに端数処理を行ない、また、食料品以外の商品についてはレシートごとに端数処理を行った上で、これらの事実を記録したレシートの控えを保存しているから本件規定が適用されるべきである旨、及び基本通達で示されている消費税法施行規則第22条第1項に規定する「決済上受領すべき金額」の解釈は、本件課税期間においては公表されておらず、この解釈に沿って申告することは不可能であった旨主張するが、食料品については本件規定の適用要件を満たしているとは認められないが、食料品以外の商品については、本件規定の適用要件を満たしていと認められる。
 なお、消費税法施行規則第22条第1項に規定する「決済上受領すべき金額」の解釈に関する基本通達は、消費税法の施行当初から課税庁が有していた解釈を念のため明らかにしたものと認められる。

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平成12年3月28日裁決

無利息の敷金に係る債務控除額は、敷金の金額から、通常の利率による返還期までの間に享受する経済的利益の額を控除した金額によるのが相当とした事例

裁決事例集 第59集 242頁

要旨

  1.  本件敷金が無利息債務に当たるのは明らかであり、これを承継した請求人らは、当然に通常の利率による利息相当額の経済的利益を本件敷金の返還期までの期間享受するのであるから、その債務控除すべき金額については、敷金の金額から、請求人らが返還期までの間に享受するこの経済的利益の相続開始時の額を控除した金額によるのが相当である。
  2.  相続税法第22条が債務の評価について相続開始時の現況による旨規定していることからすれば、債務の評価に当たっては、相続開始時において客観的かつ具体的に確認されない事柄を影響させることは妥当ではないのであるから、相続開始日において、賃貸借期間の満了日前に本件契約の終了することが確実と認められる事情が存しない限り、賃貸借期間のうちの残存期間をもってこの経済的利益を算出するのが合理的である。
  3.  本件敷金のような長期無利息債務の評価に用いる通常の利率は、統一的な指標となり得る長期金利等を基準とし、相続開始時に弁済期までの金利の動向等を考慮して求めるのが相当であるから、他の財産の評価方法とのバランスをも考慮すれば、相続開始月以前10年間の長期国債(10年)の応募者利回りと長期プライムレートの平均値を基礎とし、年5%とするのが相当である。
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平成12年3月14日裁決

揮発油税法第14条第12項に規定する未納税移出の適用を否定した事例

裁決事例集 第59集 415頁

要旨

 揮発油税法第14条第1項第1号及び同法施行令第5条第1号にいう「揮発油の製造者」とは、現実に揮発油の製造を行っている者であり、「揮発油の製造場」とは、現実に揮発油の製造を行っている場所であると解するのが相当である。
 すなわち、揮発油税法第23条に規定する揮発油税営業等開始申告書を提出している者に対して揮発油を移出しても、その者が移入した場所において現実に揮発油の製造を行っていなければ、当該移出に同法第14条第1項に規定する未納税移出を適用することはできない。
 請求人は、揮発油を移出した者が揮発油を移入した者における揮発油の製造の有無を確認する義務を負うとする法令の規定がないので、揮発油を移入した者が製油所を揮発油の製造場とする揮発油税営業等開始申告書を提出していることのみをもって、当該製油所は「揮発油の製造場」に該当する旨主張するが、揮発油を移出した者が揮発油を移入した者の揮発油の製造の有無を確認する義務を負う旨の法令の規定が存しないとしても、揮発油の製造場からの移出が揮発油税法第14条第1項に規定する要件に該当するかどうかの判断は、揮発油を未納税移出しようとする者の責任において行われるべきものであるから、この点に関する請求人の主張は採用することができない。
 また、請求人は、揮発油税法第14条第2項に規定する手続要件さえ具備していれば、いかなる場合でも、未納税移出に係る揮発油税の免除が受けられる旨主張するが、同項では、同条第1項に規定する未納税移出の適用要件を充足して移出した揮発油について、揮発油税の免除を受けるための申告手続が規定されているものであり、同項に規定する未納税移出を適用するためには、同項各号に規定する未納税移出の適用要件を充足する必要があるというべきであるから、この点に関する請求人の主張には理由がない。
 したがって、本件各月分の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分はいずれも適法である。

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平成12年3月14日裁決

減額更正処分により発生した過誤納金を収納未済額に充当した結果、物納許可を受けた相続税額を超える価額の財産により物納されたこととなり、物納財産の収納許可額と物納許可を受けた相続税額との差額が金銭で還付され、その差額に対して譲渡所得が課税された事例

裁決事例集 第59集 129頁

要旨

 請求人は、本件過誤納金について、原処分庁が請求人の納付すべき税額を減少させる更正処分をしたことから、金銭で納付していた税額が還付されたものであり、相続税の物納許可による過誤納金が還付されたものではないことから、譲渡所得の課税対象とはならない旨主張するが、当該更正処分により生じた過納金は、国税通則法第57条第1項の規定に従って適法に請求人の納付すべき税額に充当されているところ、本件過誤納金は、物納許可を受けた相続税額を超える価額の財産により物納されたことから、物納財産の収納価額と物納許可された相続税額との差額が請求人に金銭をもって還付されたものであり、租税特別措置法第40条の3に規定されている物納許可を受けて物納した財産に当たらないから、同条の規定の適用はなく、通常の資産の譲渡と同様に、譲渡所得の課税対象になる。

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平成12年3月7日裁決

みなし寄付金の支出は単なる振替処理では認められず、収益事業から公益事業への区分経理をする必要があるとされた事例

裁決事例集 第59集 143頁

要旨

 法人税法第37条第4項に規定するいわゆるみなし寄付金の場合、収益事業から公益事業への資産の支出とは、現に収益事業に属する資産を公益事業に支出してこれにつき明確に区分経理をし、かつ、その資産がその公益法人等の本来の事業のための資金として使用されることをいうものと解されるから、収益事業から公益事業へ資産を支出したとしても、直ちにその支出した資産の額に相当する金額を元入金として公益事業から収益事業に受け入れた場合には、法人税法第37条第4項にいう支出には当たらず、また、これにつき明確に区分したことにはならないから、本件における当該収益事業から公益事業への支出額(公益事業から収益事業への元入金)は、みなし寄付金には該当しない。

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平成12年2月29日裁決

マッサージ師に支払った外注費は、所得税法第28条に規定する給与等に該当するので、消費税法第2条第1項第12号に規定する課税仕入には該当しないとされた事例

裁決事例集 第59集 372頁

要旨

 請求人は、請求人がマッサージ師に支払った外注費は、所得税法第28条に規定する給与等を対価とする役務の提供に係るものではないので、消費税法第2条第1項第12号に規定する課税仕入には該当する旨主張する。
 しかしながら、請求人と各マッサージ師との契約書等によれば、各マッサージ師はマッサージ業務を遂行するに当たって[1]営業時間、施術コース及び施術料金、業務時間、服装、休憩等の各項目にわたって定められた規則に従って業務に従事していること、[2]顧客に対する事故の責任は請求人にあることなどから、請求人と各マッサージ師との間には雇用関係があるということができ、本件外注費は給与等を対価とする役務の提供に係るものに該当し消費税法第2条第1項第12号に規定する課税仕入には該当しないと認められる。
 また、請求人は、請求人がマッサージ師に支払った外注費は、給与ではないから給与等に係る所得税を徴収する義務を負わない旨主張するが、上記のとおり本件外注費は給与等に該当すると認められ、請求人は、所得税を徴収する義務を負うことになる。
 なお、本件源泉所得税納税告知処分等には税額計算誤りがあるのでその一部を取り消す。

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平成12年2月29日裁決

地方税法附則9条の10第5項の規定に基づく委託納付は、通則法75条1項に規定する国税に関する法律に基づく処分に当たらないとされた事例

裁決事例集 第59集 62頁

要旨

 地方税法附則第9条の10第3項及び同条第4項の規定によれば、還付金等の還付及び延滞税の納付の効果は、同条第3項の規定に該当する要件を充足することにより、法律上当然に生ずるものであって、税務署長が委託納付することにより生ずるものではない。換言すれば、委託納付は既に法律効果の生じている納付の事実を事務手続上明確にするための内部的処理にすぎないのであるから、所轄庁のなした本件委託納付を、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定する処分とみることはできない。
 したがって、本件委託納付に対する審査請求は、国税通則法第75条1項に規定する国税に関する法律に基づく処分についての不服申立てということはできない。

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平成12年2月17日裁決

土地及び建物に対する被相続人の共有持分は単なる名義上のものにすぎないとする請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第59集 203頁

要旨

  1.  登記については判例において公信力を認めないと解されているところ、登記は、制度上その手続において、真正な、すなわち有効に存立する実質的な関係に基づくものであることが保障され、かつ、公の機関によって管理されており、登記がなされているとこれに対応する実質的関係の存在が推定されることから、登記上の所有名義人は反証がない限り当該不動産の所有者と推定することが相当である。
  2.  本件土地の帰属について上記1を踏まえて検討すれば、本件土地については、Hの相続において、E以外の相続人が家庭裁判所に相続を放棄する旨の申述を行ったとする証拠の提出がないこと、当該相続において遺産分割協議を行ったことを直接証明する証拠書類の提出がないため、E以外の相続人が本件土地の相続権を放棄した事実を確認することができないこと、登記に要する時間の長短を理由として真実の所有者でない者の名義とすることは不合理であり、Eの単独登記としなかった理由としては、相当ではないこと、本件土地についての所有権移転登記は、昭和35年から平成10年に至るまでに、数回にわたって行われているのであり、この間において請求人らが主張する実体に合致した登記をする機会が十分にあったと思われるのに、それがされていないこと等から、Hの共同相続人が登記簿の記載どおり法定相続分に従い共有持分権を取得したとの事実を覆すに足りる資料はなく、この点に関する請求人の主張を採用することはできないから、Gは、Hの相続によって登記簿の記載どおりの共有持分権を取得したものと認められる。
  3.  本件建物の帰属について、建築資金を負担していない者が新築された建物の所有者となることができないという法律上の規定はなく、当該資金を負担していない者に贈与税の課税問題が生じることはあっても、それのみで当該登記は無効なものとなるものではない。
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平成12年2月9日裁決

株式に根質権を設定した後、質権者がその株券を質権設定者に返還し、改めて預金債権に質権を設定した場合に、その預金の差押えに係る配当において、株券の質権設定日と法定納期限等とで優劣を決すべきであるとの請求人の主張が排斥された事例

裁決事例集 第59集 427頁

要旨

 債権に質権が設定されたのは、滞納国税の法定納期限等の後となり、この質権については国税徴収法第15条1項は適用されず、本件取立金は、同法8条の規定により、質権により担保される請求人の債権に優先して、滞納国税に配当されることになり、配当処分は適法である。
 また、民法第350条において準用する同法第304条1項は、質権はその目的財産の売却、賃貸、滅失又は毀損によって質権設定者が受けるべき金銭その他の物に対しても行うことができる旨規定し、質権の効力は、質権の目的財産だけでなく、異体化した当該財産の交換価値にも及ぶとしている。そして、この規定の趣旨からすれば、「売却、賃貸、滅失又は毀損」は例示で、交換も含まれると解される。
 しかし、請求人は、株式を根質権の目的財産から除外し根質権を解除した上で、滞納会社が第三債務者に金銭を預け入れることにより生じた預金債権に質権を設定したのであり、預金債権は、株式との交換によって根質権の設定者である滞納会社が受けるべき金残その他の物に該当しないことは明らかである。
 したがって、根質権の効力は預金債権に及ばないというべきであり、請求人の主張には理由がない。

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平成12年1月31日裁決

請求人が木材の輸入取引において仕入に計上した取引額の一部に、本事業年度以外の事業年度の損金の額に算入すべきものがあるが、当該金額については、架空、金額の水増し又は重複計上などによって過大に計上したものとは認められず、損金算入時期の誤りによるものと認められるから、重加算税の賦課要件たる事実を隠ぺい仮装したことには当たらないとした事例

裁決事例集 第59集 47頁

要旨

 原処分庁は、請求人の木材輸入取引について[1]請求人の輸入先会社に対する送金は、木材の輸入時期、数量、金額のいずれとも密接に関係しておらず、その実質は「貸付金」と認められるが、請求人はこの貸付金を公表帳簿に計上していない。[2]請求人は輸入先会社から、「貸付金」の一部を「調整金」の名目で返金させこれを簿外預金に預け入れているが、これを公表帳簿に計上していない。これらの取引はいずれも請求人の公表帳簿に計上することなく行われた取引であり、請求人は、これにより真実の所得金額を隠ぺいしたことが認められる旨主張する。
 しかしながら、本件輸入取引については、[1]輸入先会社に対する送金は、いずれは請求人の公表帳簿に「仕入」として計上されるものであり仕入代金の前渡金と見るのが相当であること[2]本件事業年度の仕入計上額は過大となっている事実は認められるが、これは、架空、水増し又は重複計上などによって過大となったものとは認められず、かつ、意図的な計上時期の操作及び原始記録の改ざん等の不正が行われているとは認められないこと[3]請求人が輸入先会社から、「調整金」の名目で返金させこれを簿外預金に預け入れている事実は認められるが、この簿外預金なるものも結果において、その資金の出所たる借入金の返済に当てられており、また、当該預金の果実たる受取利息も本件事業年度の収益に計上済であること、などから、請求人が所得金額の計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺい又は仮装したところに基づいて申告書を提出したとは認め難い。

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平成12年1月31日裁決

請求人の同族会社からの建物賃貸料収入が当該同族会社の又貸し賃貸料収入に比して余りに低額であるとしてなされた所得税法第157条による更正処分が適法であるとされた事例

裁決事例集 第59集 112頁

要旨

 請求人は、その同族会社からの建物賃貸料収入が当該同族会社の又貸し賃貸料収入に比して余りに低額であるとしてなされた所得税法第157条による更正処分に対し、同族会社は賃借人に対して経営指導等経済的付加価値を有する役務を提供しており、その又貸し賃貸料収入には同役務に係るコンサルタント料が含まれているから、更正処分を取り消すべきである旨主張する。
 しかしながら、同族会社が賃借人に対して経営指導等をしている事実は認められず、請求人の主張には理由がない。
 また、請求人の確定申告の管理料相当額割合が比準同業者の平均管理料割合をはるかに超える異常なものと認められるところ、請求人と同族会社との賃貸借契約は、請求人が当該同族会社の株主・代表取締役であるがゆえに可能な行為又は計算であり、純経済人として、不合理、不自然といわざるを得ないから、請求人の主張には理由がない。
 ただ、原処分庁が認定した比準同業者の平均管理料割合の計算において、比準同業者として適当でない者が含まれており、また、その収入(又貸し料)に含めるべきでない臨時的一時的収入が含まれているので、審判所において再計算したところ、平成6年分はその一部を取り消すべきである。

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平成12年1月26日裁決

印紙税の過誤納の事実を確認すべきである旨の請求人の主張が、請求人が署名押印し銀行に差し入れた時に本件契約書に係る印紙税の納税義務は成立しているから、印紙税の過誤納の事実を確認しないとした原処分庁の通知処分は相当であるとして排斥された事例

裁決事例集 第59集 407頁

要旨

 請求人は、日付等が未記入で記載された借入れがその実行前に中止になり契約として成立しておらず、未完成の金銭消費貸借契約証書を作成交付したのであるから、課税文書には該当せず印紙税の納税義務は生ぜず、仮に課税文書に該当するとしても、契約内容が実行されなかったのであるから、印紙税法基本通達第115条[確認及び充当の請求ができる過誤納金の範囲等]第2号に定める「使用する見込みのなくなった場合」に該当するとして印紙税法第14条第1項の規定に基づき過誤納の事実を確認すべきである旨主張する。しかしながら、銀行との取引実態を勘案した上で本件契約書上の記載文言等を総合的に判断すれば、本件契約を成立させることについてはあらかじめ当事者間に意思表示の合致があり、これを証明する目的で本件契約書が作成されたことは客観的に明らかであり、請求人がこれに署名押印し銀行に差し入れた時にその納税義務は成立しており、また、印紙税法基本通達第115条第2号の「損傷、汚染、書損その他の理由により使用する見込みのなくなった場合」に該当する事実も認められないから、印紙税の過誤納の事実を確認しないとした原処分庁の通知処分は相当である。

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平成12年1月25日裁決

請求人(眼科医院)の妻はコンタクトレンズ等の販売に係る事業の収益を事業所得として所得税の確定申告をしているが、その収益は請求人に帰属すると認定された事例

裁決事例集 第59集 67頁

要旨

 請求人は、医療法及び薬事法の規制により、請求人の営む眼科医院とコンタクトレンズ等の販売事業とを分離し、その経営者及び申告名義を請求人の妻としたのであるから、租税回避を目的として制定された所得税法12条の適用はなく、本件販売事業の収益は請求人の妻に帰属する旨主張する。
 しかしながら、本件販売事業は、眼科医院と明確に分離されているとは認められず、請求人がその経営方針の決定等について支配的影響力を有していること、また、所得税法第12条は、その基礎となる所得の帰属について表見的な他の法律上の形式又は効果にかかわらず、実質的な経済効果に着目し、その効果を現実に享受する者を税法上の所得の帰属者として課税しようとするものであり、他の法律上無効又は取り消し得べき行為であっても、その行為に伴って経済効果が発生している場合には、その効果を現実に享受する者について課税することは何ら妨げられないと解すべきであるから、本件販売事業の収益は、請求人に帰属する。

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平成12年1月21日裁決

事業年度開始の日における資本又は出資の金額が千万円以上である法人は、消費税の納税義務が免除されないとした事例

裁決事例集 第59集 351頁

要旨

 請求人は、免税事業者と課税事業者の区分は、基準を課税売上高によるものとしたため、原則として、その課税期間から2年間さかのぼって基準期間を設定したものであり、消費税法の基本構成は、基準期間の存在を前提とした課税期間であるから、基準期間のない法人に対して消費税法等の納税義務を生じさせることはあり得ない旨主張するが、その課税期間に係る基準期間がない法人であっても、課税資産の譲渡等を行っている限り、消費税法第5条第1項の規定により本来消費税等の納税義務が生じるのであり、同法第9条第1項本文の規定により例外的にその納税義務が免除されることになるとしても、同法第12条の2の規定により、基準期間のない法人のうち、当該事業年度開始の日における資本又は出資の金額が千万円以上である法人(新設法人)については、消費税の納税義務が免除されないことになる。

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平成12年1月20日裁決

登録免許税法第31条第2項に規定する請求期限を徒過してなされた還付通知請求は適法な請求ではないとした事例

裁決事例集 第59集 401頁

要旨

 請求人が還付通知請求書を提出したのは、登録免許税法第31条第2項に規定する還付通知請求をすることができる期間を途過した後であるから、仮に、請求人の主張に理由があるとしても、本件還付通知請求には理由がないといわざるを得ない。

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