裁決事例 平成10年(1998年)

裁決事例 平成10年(1998年)

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平成10年12月25日裁決

請求人の異議申立ては、不服申立期間の経過後になされた不適法なものであるから、国税通則法第75条第3項の規定により、本件審査請求も不適法であるとした事例

裁決事例集 第56集 92頁

要旨

 請求人は、原処分庁に提出した異議申立ては、国税通則法第77条第1項に定める不服申立期間を経過しているが、同条第4項ただし書で定める正当な理由に該当する旨主張する。
 しかしながら、請求人は、平成6年10月16日に原処分に係る通知を受けていることが認められ、当該処分に係る通知を受けた日の翌日から起算して2月を経過する日(平成6年12月16日)が、処分のあった日の翌日から起算して1年を経過する日(平成7年10月16日)以前に到来していることからすると、国税通則法第77条第4項の規定が適用される余地はなく、本件の異議申立てが適法なものと認められる不服申立期間は、「天災その他やむを得ない理由」がない限り、同条第1項の定めにより、当該処分に係る通知を受けた日の翌日から起算して2月を経過する日である平成6年12月16日までとなる。
 国税通則法第77条第3項に規定する「天災その他やむを得ない理由」とは、不服申立人が不服申立てをしようとしても、その責に帰することができない事由により不服申立てをすることが不可能であると客観的に認められるような事情が存する場合をいうと解されているところ、請求人の主張する事情は、それに当たらない。

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平成10年12月22日裁決

請求人が相続により取得した甲建物及び本件宅地は、同人が取得後一度も居住しないままに譲渡しており、また、乙建物等は買主が取得後すぐに取り壊していることに加え、本件土地の売買価額の清算条項の土地清算単価に宅地の面積を乗じた価額は売買代金に一致していること等から、譲渡対価はすべて宅地の対価と認められ、居住用財産の課税の特例は適用されないとした事例

裁決事例集 第56集 235頁

要旨

 請求人は、本件譲渡資産については、[1]昭和48年に父F所有の甲建物を増築し、当該増築部分を請求人所有の乙建物として登記して、以後これらの建物を一体として居住の用に供しており、また、事実上父母の生活費を負担していたこと、[2]その後、請求人は転勤のため昭和50年以降本件建物に居住できなくなったが、生計を一にしていた父Fは死亡時まで、母Gは本件譲渡時まで本件建物に引き続き居住しており、請求人とその親族は本件譲渡資産を一体として居住の用に供していたのであるから、措置法第31条の3第1項及び第35条第1項の規定による課税の特例を適用すべきである旨主張する。
 ところで、居住の用に供していた家屋の敷地である土地については、家屋の所有者と土地の所有者は同一人であることを前提として、居住用財産の課税の特例は規定されているものと解され、また、「居住の用に供されていた家屋等」であっても、居住しなくなった後の一定期間内の譲渡であれば、本件の特例が適用されるのであるが、その要件の解釈に当たっては、いずれも所有者として家屋等を所有している期間において居住の用に供していたことを要するものと解されており、かつて居住の用に供していた家屋等を居住の用に供しなくなった後、当該家屋等を相続により取得して譲渡した場合には、本件の特例の対象となる居住用財産には当たらないと解すべきである。
 また、乙建物は、請求人が居住の用に供しなくなった後も、請求人が生活費を負担していたGが譲渡時まで引き続き居住していたことから、居住用財産に該当すると認められるとしても、[1]本件譲渡に係る売買契約書には、本件宅地の公簿面積と建築確認対象面積とに差があった場合には、売買代金の額を本件宅地の面積で除した金額に相当する金額の割合により売買代金を清算する旨の特約が付されていること及び[2]本件建物は買主において取得後すぐに取り壊されていること等からみて、本件譲渡資産の譲渡対価は、すべて居住用財産には該当しない本件宅地の対価であると認めることが相当である。
 したがって、本件譲渡資産の譲渡所得金額について本件特例を適用することはできない。

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平成10年12月18日裁決

本件旧家屋と新家屋の水道と電気の使用量の状況、ガス会社との供給契約の終了時期や電話の移設の状況等から判断すると、本件の課税の特例が適用される期限を徒過した以後に本件譲渡が行われているものと認められるとして、居住用財産の課税の特例は適用されないとした事例

裁決事例集 第56集 220頁

要旨

 請求人は、旧家屋から新家屋に家財道具等を搬出したのは、祖母が死亡した日(平成6年9月14日)以降であり、平成6年に生活の本拠が新家屋に移っているので、本件の旧家屋について租税特別措置法第35条第1項で規定する「居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日」は、平成9年12月31日となるところ、本件旧家屋の譲渡はこれ以前に行われているから、居住用財産の特別控除の適用が認められるべきである旨主張する。
 しかしながら、[1]旧家屋と新家屋の水道と電気の使用状況をみると、平成3年3月以降は旧家屋での使用実績はなく、同年1月以降の新家屋の使用量は、新家屋に生活の本拠を移したことに争いのない時期である平成7年の使用量と同程度であると認められること、[2]旧家屋におけるガス会社との間の取引は平成3年2月28日で終了していること、[3]旧家屋の電話は、平成2年11月20日に他の場所に移されていることの各事実を総合すれば、請求人が平成3年3月以降旧家屋に居住していた事実はなく、生活の本拠は、遅くとも同月までに新家屋に移っていたと認めるのが相当である。
 したがって、旧家屋が請求人の「居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日」は、平成6年12月31日となり、甲土地はこの日以前(同月2日)に譲渡契約がなされ、乙土地はこの日以後(平成7年1月10日)に譲渡契約がなされているが、これらの土地の引渡しは、いずれも平成7年1月になされており、また、本件土地の譲渡所得についての確定申告も平成7年分の所得として申告されていることからみて、本件譲渡は、平成6年12月31日までに行われた取引とは認められず、本件土地等の譲渡所得に居住用財産の課税の特例は適用できない。

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平成10年12月18日裁決

被相続人名義の普通預金等の存在を承知した上で、税理士にこれらに相当する金額を含めて納付すべき税額を計算させ、その後、同税理士から資料の提示を求められると、残高証明書等を所持していたにもかかわらず、ない旨の回答をし、本件預金等の存在を明らかにしないで本件確定申告書を作成、提出させた行為は、事実の隠ぺいに当たるとした事例

裁決事例集 第56集 34頁

要旨

 請求人は、本件各預金が被相続人の相続開始日現在において存在し、それが被相続人名義であることを承知した上で、M税理士事務所に勤務するT税理士に指示して、いったんは本件各預金とも思われる金額を含めて納付すべき税額を算定させ、その後、同税理士から当該金額に係る資料の提示を求められると、本件残高証明書及び本件各預金のうち定期預金証書を所持していたにもかかわらず、当該資料がない旨の回答をして、同税理士に本件各預金の存在を明らかにせずに本件申告書の作成を依頼し、同申告書をE税務署長に提出したことが認められる。
 請求人の上記行為は、国税通則法第68条第1項に規定する「隠ぺい」に該当するから、本件重加算税の賦課決定処分は相当であり、請求人の主張には理由がない。

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平成10年12月17日裁決

本件機械装置は、租税特別措置法第42条の7第2項に規定する事業基盤強化設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除の対象となる事業の用に供していると認められないとした事例

裁決事例集 第56集 281頁

要旨

 請求人は、化粧品容器の卸売業を主として営む同族会社であるが、化粧品容器を製造する中空成形機及び原材料を乾燥させる除湿乾燥機を取得し、租税特別措置法第42条の7に規定する法人税額の特別控除を適用して申告をしている。請求人は、本件機械装置を生産手段として、純然たる卸売商品と全く同種類の製品を製造販売しているのであるから、小規模かつ部分的に製造部門を有しているとしても、これも卸売業の一環としての、企業活動としてとらえるべきであり、単に製造部門の存在のみをもって、税額控除の適用を認めないのは誤りであると主張する。
 しかしながら、本件機械装置は、特定事業者の営む事業すなわち請求人の営む卸売業の用に供されていないのであるから、請求人は各事業年度において税額控除を適用することはできない。
 なお、本件機械装置は、専ら製造業の用に供されているものであって、製造された製品が卸売業のために購入した商品と同様に卸売りされているからといって、卸売業を遂行するための方法や手段として使用されているとはいえないから、このような関係をもって、卸売業の用に供されているとは認められない。

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平成10年12月14日裁決

生命保険代理店契約における請求人の名義は形式上のものにすぎず、本件代理店手数料収入は請求人に帰属しないとした事例

裁決事例集 第56集 97頁

要旨

 本件手数料収入は、保険募集の取締に関する法律に準拠して請求人とT生命保険との間で締結された「募集代理店委託契約」に基づく代理店手数料収入であるが、[1]請求人は、本件代理店契約をした当時L社に勤務していたところ、本件代理店契約は、H社が複数の生命保険会社と代理店契約を締結することが法律上できなかったため、請求人とT生命保険との間で締結されたものであること、[2]請求人は、本件代理店契約締結後、H社との間で締結された本件労働契約書では、本件代理店契約に係る報酬はすべてH社に帰属する旨記載されていること、[3]請求人は、代理店であれば当然に行うべき保険募集業務のすべてをH社に委任し、代理店業務に係る帳簿も作成していないこと、[4]本件手数料収入の振込先である本件口座についての預金通帳やその印鑑は、H社が管理していたこと、[5]H社は、所轄税務署から指摘を受けるまで、本件手数料収入及び本件源泉所得税額を同社の益金として経理し、法人税の申告において本件源泉所得税額に係る税額控除を受けていたこと、[6]請求人の平成4年分ないし平成6年分の確定申告書には、本件手数料収入はH社に帰属すべきもので請求人の所得にならない旨記載されていることが認められる。
 所得税法第12条は、資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であって、その収益を享受せず、その者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益はこれを享受する者に帰属するものとして、所得税法の規定を適用する旨規定しているところ、本件代理店契約における請求人の名義は形式上のものにすぎず、実質的には当該契約に係る業務はすべてH社が行い、その収益を享受していたのはH社であったというべきである。

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平成10年12月8日裁決

香港に所在する財産について、相続税の課税財産と認定するとともに、その時価を香港政庁に提出された遺産宣誓書に記載されている各財産の価額の邦貨換算額により評価した原処分を相当と認めた事例

裁決事例集 第56集 291頁

要旨

 請求人は、香港に所在するとされている財産について全く承知しておらず、また、その確認もできない旨主張するが、以下の理由により原処分庁の処分は相当であると認められる。

  1.  共同相続人が香港政庁に提出した遺産宣誓書には本件財産が記載されていることから、相続開始日において少なくとも本件財産が被相続人の遺産として香港に存在していたと認めるのが相当である。
  2.  被相続人は、日本から香港に10億円を超える送金をしていること、その送金理由として不動産の取得目的がうかがわれること及び請求人自身が香港政庁に申告された財産は過少であると申述していることからすれば、遺産宣誓書に記載された内容及び遺産税の納付額を基に相続税の課税価格及び納付税額を算定することには相当の合理性があると認められる。
  3.  香港の遺産税法は、財産評価の一般原則として、遺産税が課税される財産の価額は公開市場で死亡日に売却される価額であると定めている。

 そうすると、相続税法第22条に規定する「時価」及び香港の遺産税法に定める「公開市場で売却される価額」は、共に自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額を指向しているものと解することができるから、公開市場で死亡日に売却される価額をもって相続税の課税価格に算入する価額とすることを不相当とする理由は認められない。

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平成10年12月2日裁決

請求人の取引先8社との16の取引について、本件事業年度中に納品あるいは役務の提供がなされておらず、また、請求人の各担当者は、その事実を承知した上で、経費等の根拠となる納品書、請求書等の発行を取引先に依頼し、これを提出させ、あたかも本件事業年度中に納品等を行ったごとく装ったものであり、当該担当者の積極的な行為によって故意に事実を仮装したものであるとした事例

裁決事例集 第56集 1頁

要旨

  1.  重加算税を課すには、課税標準又は税額等の計算の基礎となる事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺい、仮装を原因として過少申告の結果が発生したものであれば足り、それ以上に申告に際し、納税者において過少申告を行うことの認識を有していることまでを必要とするものではないと解するのが相当である。
     本件各取引において、請求人の購買手続、納品書及び請求書の発行手続についての商慣行等に照らせば、当該担当者が行為の意味を認識していなかったとは到底認められず、むしろ、当該担当者の積極的な行為によって故意に事実を仮装したものと認めるのが相当である。
  2.  隠ぺい又は仮装の行為者については、納税者本人の行為に限定すべき理由はないから、広くその関係者の行為を含むとしても違法ではなく、従業員の自らの利得を目的として行われた隠ぺい又は仮装による過少申告のような場合はともかくとして、納税者の簿外資産等を蓄積するために売上金額を除外して仮名預金を設けたり、納税者の利益調整のために棚卸資産を仮装して簿外棚卸資産を作出するような従業員の行為については、納税者本人の行為と同視すべきであると解するのが相当である。
     本件各取引に係る隠ぺい、仮装行為は、納品書等を取引先に作成させる等の方法により、所得金額の計算上、架空の損金を作出して請求人の利益を調整する結果となっていることからすれば、各担当者の行為は請求人の行為と同視すべきであり、本件取引から生じた過少申告の責任は請求人が負うべきである。
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平成10年11月9日裁決

相続税法第34条第1項の連帯納付義務には、補充性がなく、告知は不要であり、本件連帯納付義務は徴収権の消滅時効等により消滅していないとされた事例

裁決事例集 第56集 396頁

要旨

 相続税法第34条第1項の連帯納付義務は、[1]格別の確定手続を要せず、納税の告知がないからといって、連帯納付義務が発生しないということにはならないこと、[2]本来の納税者と連帯納付義務者との間に生ずる求償関係が不可能であるか否かを考慮すべきものではないこと、[3]連帯の免除、更改により連帯納付義務が消滅したとの主張には理由がなく、また、[4]延納により徴収権の消滅時効は停止しているので、時効は完成していないこと等、請求人の主張がすべて排斥されたほか、[5]連帯納付義務の性質は民法の連帯債務と異なり、通則法第5条第3項の納付責任に類似すると解され、民法の連帯債務の規定をそのまま適用するのは妥当でない。

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平成10年11月6日裁決

原処分庁の公売財産の見積価額を適正であると認定した上、見積価額が低廉であるとする請求人の主張がすべて排斥された事例

裁決事例集 第56集 443頁

要旨

 原処分庁の見積価格の決定に当たって基礎とした鑑定評価額は、[1]不動産鑑定基準により、本件土地の地域要因及び指定容積率から、中層ビルが標準的使用であること、[2]近隣地域における中層ビル敷地としての標準画地に、本件土地の間口、奥行、地積の個別格差率の相乗積を採用して算定していること、[3]地下鉄敷設による地上権阻害率を適用して算定していること、[4]借地権の付着する土地として、収益方式及び借地権相応分控除方式により算出した底地価格の平均値で底地価格を算定しており、それぞれ減価要因を考慮したものである。
 そして、本件鑑定評価額は、近隣地域4件の売買実例に基づく比準価格を算出し、市場動向や収益性の調整率を乗じて計算した標準画地価格から、上記減価要因となる金額を控除して算出されており、また、公売の特殊性を控除した見積価額であり、適正であると認められる。
 なお、[1]適正価格は2億4千万円であること、[2]隣接地の平方メートル当たりの単価は1千万円であること、及び[3]過去の鑑定評価等から見て安価である、とする請求人の主張はすべて認められない。

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平成10年11月5日裁決

[1]同族会社に対する貸付金、[2]仮名預金及び[3]土地の各財産の帰属について判断を示し、原処分の一部を取り消した事例

裁決事例集 第56集 328頁

要旨

  1.  被相続人のJ社に対する貸付金が存在するか否かについて判断するに、[1]同社の平成2年5月期の決算報告書には、被相続人からの長期借入金及び短期借入金が計上されていたこと、[2]請求人らは、被相続人の同社に対する貸付金が存在することを前提として、Yや遺言執行者と遺産の分配に係る協議をしていたこと、[3]被相続人の同社に対する貸付金についての合意事項を定めた覚書はそのような協議を経て作成されたものであること、[4]同社は、相続開始後に同社の財産をもって被相続人からの借入金を返済する旨の取締役会決議をしていること、[5]当該取締役会決議に則した「仕訳」が同社の関与税理士によって作成されていること、[6]請求人らは、相続開始後に行われた税務調査で被相続人の同社に対する貸付金が申告漏れになっているとの指摘を受けた際、Yに対し、当該貸付金は合意書及び覚書によりYに帰属させたものであるから、Yが申告するべきである旨要求していることなどを総合すると被相続人の同社に対する貸付金は存在していたものと解するのが相当である。
  2.  仮名預金については、[1]仮名預金は、被相続人が生前架空名義で設定していた5億円の定期預金の一部であるところ、これは相続開始後に解約されているが、これら一連の手続はYにより行われていること、[2]P地裁の判決は、仮名預金について、その時期や目的はともかくとして遅くとも被相続人の死亡前に同人からYに対し、生前贈与ないし死因贈与がされたものと認められる旨判断していることから、被相続人の生前にYに贈与されたものと解するのが相当である。
  3.  土地については、J社の帳簿には計上されていないものの、登記簿上は同社名義となっていること、固定資産税は同社が負担していることなどが認められ、これらの事実によれば、特段の事情がない限り、土地の所有権は同社に帰属すると推認するのが相当である。
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平成10年10月30日裁決

ゴルフ会員権の平日会員権から正会員権に転換するための資金の借入金利子は、本件転換に必要な準備費用に該当するものとして、使用開始の日までの期間に対応する部分について取得費に該当するとした事例

裁決事例集 第56集 121頁

要旨

 ゴルフクラブの会員資格が平日会員から正会員に転換することは、従前の平日会員のゴルフ場の施設を利用する権利の範囲が拡大することである。
 そうすると、本件転換を行うための本件追加金は、当該拡大した部分を取得するために要した費用であり、客観的価格を構成すべき取得代金として認められ、本件譲渡所得の金額の計算上控除される取得費に算入することは相当である。
 したがって、本件借入れは本件追加金を支払うために行ったものであり、これに伴う本件借入金利子は、本件転換に必要な準備費用に該当するものとして、使用開始の日までの期間に対応する部分について、本件平日会員権のゴルフ場の施設を利用する権利の拡大した部分の取得費に該当するものと認められる。
 本件の使用開始の日は、本件正会員権の本件追加金の払込日の翌日とみるのが相当である。
 なお、本件抵当権設定費用は、本件借入れの担保提供に係るものであり、取得費に算入するのが相当であり、本件抵当権抹消費用は、本件借入れに伴う借入金を返済したことに基づく抵当権抹消登記の手続費用であるから、借入金返済後の担保資産の管理費用であると認められ、取得費に該当するとは認められない。

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平成10年10月22日裁決

請求人の建物建築工事を請け負った建築工事会社から、請求人の施設長(理事)の預金口座に振り込まれた金員は、請求人が水増工事代金の返金として受領すべきであるところ、施設長の寄付金の原資として調達された資金であると認められるから、請求人の理事である施設長に対する経済的利益の供与であるとされた事例

裁決事例集 第56集 184頁

要旨

 請求人は、請求人の建物建築工事を請け負った建築会社J社から、請求人の施設長Hの預金口座に振り込まれた本件金員については、Hが建築工事会社の代表者から借り入れたものであり、本件金員をHからの寄付金として受け入れた後、工事代金の残金として支払っており、工事契約には水増契約は存在しないことから、請求人が建築工事会社から水増工事代金の返金を受け、Hに経済的利益を供与する理由及び事実もないと主張する。
 しかしながら、[1]Hが借り入れたとする事実が認められないこと、[2]工事契約に係る正式な指名競争入札が実施されていないこと、[3]Hは、原処分庁の調査担当者に、「本件金員相当額を水増しした工事契約を締結し、水増工事代金は建物工事費の減額として返納された。」旨を申し立てていたことから、工事契約は本件金員相当額が水増しされたと認められ、また、[4]請求人は本件金員をHからの寄付金として受け入れ、同額を建築工事会社に支払った旨の経理処理を行っていること、[5]本件金員の資金の流れから、本件金員はHの請求人に対する寄付金の資金ねん出のため工事契約金額の水増しが当初から計画されたスキームであると推認される。
 したがって、本件金員は、請求人が水増工事代金の返金として受領すべきであるところ、Hの寄付金の原資として調達された資金であると認められるから、請求人の理事であるHに対する経済的利益を供与したことに当たる。
 そうすると、Hは理事の職務にあり、法人税法上役員に当たり、請求人が本件金員相当額をHに交付していると認められることから、Hに対して賞与を支給したとみるのが相当である。

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平成10年10月21日裁決

相続税法第34条第2項の連帯納付義務には補充性は認められず、また、連帯納付義務者に対する差押処分は、財産の選択を誤った国税徴収法第49条に反するものとはいえないとされた事例

裁決事例集 第56集 435頁

要旨

 請求人は、本来の納税義務者に対して強制的な徴税の執行を行うことなく、自己の相続税を完納した請求人に対して本件差押処分を行ったことは、違法、不当である旨主張する。
 しかしながら、連帯納付義務は、相続税の徴収の確保を図るために相互に各相続人に課した特別の責任であり、その義務履行の前提条件をなす連帯納付義務の確定という事実に照応して法律上当然に生ずるものであるから、連帯納付義務につき格別の確定手続を要するものではなく、各相続人の固有の相続税の納税義務が確定すれば、国税の徴収に当たる所轄庁は直ちに連帯納付義務者に対して徴収手続を行うことができると解され、本来の納税義務についての履行責任を連帯納付義務者に補充的に負わせるものではない。
 また、請求人は、差押物件として未分割の相続財産を選択するよう要望していたが、原処分庁が事業用の貸駐車場を差し押さえたのは、裁量権の著しい濫用である旨主張する。
 しかしながら、原処分庁が本件差押物件の方が換価が容易であるとして行った原処分には合理性があり、事業用の貸駐車場を選択しなかった本件差押処分は、裁量権の著しい濫用とはいえない。

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平成10年10月8日裁決

自走式立体駐車場設備に適用すべき耐用年数は45年であるとされた事例

裁決事例集 第56集 251頁

要旨

 請求人は、[1]自走式立体駐車場設備に適用すべき耐用年数は、耐用年数省令別表一に掲げる「構築物」に本来特掲すべきであること、また、[2]本件立体駐車場設備は、屋外露天式であること等から劣化が進み、その使用可能期間が耐用年数に比べ著しく短くなるため、法人税法施行令第57条の規定に基づき、平成9年1月22日付で耐用年数を15年とする耐用年数の短縮承認申請を所轄国税局長に対して行い、同年1月22日付の本件承認通知書を受け取り承認されているところであるが、本来、自走式立体駐車場設備は、当該制度を経由することなく耐用年数を15年として認めるべき資産である旨等主張する。
 しかしながら、[1]当審判所は、原処分庁が行った処分が違法又は不当なものであるか否かを判断する機関であって、その処分の基となった法令等自体の適否又は合理性を判断することはその権限に属さないこと、また、[2]本件立体駐車場設備の耐用年数は、耐用年数省令別表一の「構築物」の「金属造のもの(前掲のものを除く。)」、細目の「その他のもの」に該当し45年となるものであるから、請求人は、本件立体駐車場設備について、法人税法施行令第57条の規定に基づく耐用年数の短縮承認申請を、本件更正処分のあった後の平成9年1月22日に所轄国税局長に対して行っている事実が認められるものの、本件更正処分の対象とされた事業年度末の平成8年2月29日までに、当該耐用年数の短縮承認申請をした事実が認められないため、原処分庁が本件立体駐車場設備に係る耐用年数を45年と認定したことは相当であると認められる。

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平成10年10月2日裁決

受領済の役員報酬につきそ及して減額する旨取締役会で決議したことにより、給与所得の収入金額が過大であるとしてされた更正の請求は、同決議に基づき受領済の報酬の一部を返還しても、請求人の既に確定した給与所得の収入金額には影響を及ぼさないから、更正をすべき理由がない旨の原処分は適法であるとした事例

裁決事例集 第56集 111頁

要旨

 請求人は、[1]本件減額決議は、多額の累積欠損金を抱えたE社の再建を目的として、取締役全員の合意に基づいて行ったもので、同社は、平成8年9月に開催した定時株主総会において財務諸表の承認を得ていること、[2]役員と法人との間の委任契約は、当該委任契約の存する決算期間内であれば、そ及して変更することは可能であることから本件役員報酬の減額を認めるべきである旨主張する。
 しかしながら、E社は請求人の役員報酬の金額(月額)及びその支給日を毎月20日と定めていたと認められ、請求人は平成7年においてその定めどおりに役員報酬を受領していたと認められるから、請求人の平成7年分の給与所得の収入すべき金額は請求人が確定申告をした金額になる。
 また、本件減額決議をした本件取締役会及び株主総会を開催した日は、いずれも平成8年7月期の事業年度終了の日以後の請求人が現実に報酬を受領した後であり、その支払時点では経営委任の業務執行の対価として正当に支払われたものであり、請求人の平成7年分の給与所得の収入金額は、収入すべき時期である支給日において既に具体的に確定していたと認められるから、本件減額決議をした日に収入すべき金額が確定したとみることはできず、請求人が本件決議に基づいて受領済の役員報酬の一部を返還しても、請求人の給与所得の収入金額に何ら影響を及ぼすものではないと解するのが相当である。
 したがって、更正すべき理由がないとした本件通知処分は適法である。

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平成10年9月30日裁決

市街化調整区域内に所在する山林については、高圧線下にあることの影響は皆無であるとはいえないとしても、なおこれをしんしゃくすべき特段の理由があるとは認められないとした事例

裁決事例集 第56集 369頁

要旨

 請求人は、山林については租税特別措置法第70条の6(農地等についての相続税の納税猶予)の規定のような相続税の納税を猶予して租税負担を軽減する制度がない以上、本件高圧線下の土地の価額については、同土地が高圧線下であることにかんがみて50パーセント減額すべきである旨主張する。
 しかしながら、本件各契約の内容、利用状況等から本件高圧線下土地の価額について検討すると、被相続人が本件高圧線下土地を山林として使用する上では制約がないこと及び本件土地は市街化調整区域内に所在するから、本来建物の建築自体が制約されており、仮に本件高圧線下土地に建物の建築が認められた場合は、高さ10.9メートル又は12.2メートルの建物が建築できるのであるから、この高さ制限は著しい制限とは認められないことから、本件高圧線下土地を評価するに当たり、高圧線下にあることの影響は皆無であるとはいえないとしてもなおこれをしんしゃくすべき特段の理由があるとは認められない。

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平成10年9月30日裁決

建物の使用状況が記載された売買契約書に基づき確定申告書を提出したことのみをもって、重加算税の賦課要件(隠ぺい又は仮装)に当たるということはできないとした事例

裁決事例集 第56集 78頁

要旨

 原処分庁は、請求人が本件2階建部分を請求人の居住の用に供されていたかのごとく装ったものと認定した。
 しかしながら、本件2階建部分が措置法の特例の適用対象となる居住用家屋の範囲に含まれないとしても、賃借人が実際に本件2階建部分をほとんど使用せず、請求人が賃借人ヘの賃貸前と同じように本件2階建部分を使用していたことからすれば、請求人が本件2階建部分を居住用部分として認識していたとしても無理もないと認められ、まして、その認識に基づき本件売買契約書に本件2階建部分を居宅及び応接室として使用している旨の記載をしたことのみをもって、仮装行為とまでいうことはできないから、過少申告加算税相当額を超える部分の重加算税の金額を取り消すべきである。

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平成10年9月30日裁決

本件家屋の近隣住民の答述、家屋の電気の使用量や通勤手当の受給状況等からみて、譲渡した土地等は、租税特別措置法第35条等で規定する居住用財産に当たらないとした事例

裁決事例集 第56集 207頁

要旨

 請求人は、生まれたときから居住していた本件家屋から、昭和49年にR地の家屋へ妻子と共に転居したが、平成3年に母Mの病気が悪化したので、請求人のみが同年4月から看病のため本件家屋に再度転居して生活の本拠地としていたのであるから、租税特別措置法第31条の3及び同法第35条の各特例が適用されるべきある旨主張する。
 しかしながら、請求人の母Mが日常生活に必要な買物等を通常一人で行っていたとの近隣住民の答述、本件家屋の電気の使用量、勤務先からの通勤手当の受給状況及び給与振込口座からの出勤状況等からして、請求人が本件家屋を居住の用に供した事実は認められないから、本件譲渡には租税特別措置法第31条の3及び同法第35条の規定の適用はない。

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平成10年9月30日裁決

請求人は、調査担当者から指摘されて提出した被相続人名義の有価証券等について、相続開始後にその利息及び償還金をすべて受領し、現金化して費消していることなどからすると、本件有価証券等の存在を知りながらこれを除外し、過少な相続税の申告書を作成・提出したものと認められ、当該行為は、事実を隠ぺいした場合に当たるとした事例

裁決事例集 第56集 45頁

要旨

 請求人は、調査担当者から申告漏れの株式が存在する旨の指摘を受けて、家の中を捜してみた結果、初めて被相続人が使用していたたんすの中にあったアタッシュケースの中から有価証券等を把握したのであるから、隠ぺい又は仮装の事実はない旨主張する。
 しかしながら、請求人は、[1]株式の知識をもっていること、[2]相続開始後、被相続人の遺産を一括管理・運営していたこと、[3]本件株式・抵当証券の利息及び償還金をすべて受領し、現金化して費消していること、[4]定期貯金の満期を迎えたものについて、孫の名義に変えていること、[5]本件申告書提出後の所得税の確定申告において、配当金の支払通知書の写しをすべて保存していたにもかかわらず、申告済み株式に係る配当金のみを申告したことが認められ、以上によれば、請求人は、本件有価証券等の存在を知りながらこれを隠ぺいし、過少な本件申告書を作成・提出したもので、その行為は、相続税法第19条の2第5項及び国税通則法第68条第1項に規定する事実の隠ぺいに該当する。

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平成10年9月28日裁決

相続税対策スキームの一環として行った出資の売買は、課税庁からその売買価額が著しく低額と認定され買主に対し贈与税の課税処分がされたことから、相続税対策として意味をなさないものとなるので錯誤により無効となるとの請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第56集 351頁

要旨

 請求人は、本件決定処分の基となった出資の売買契約は、税理士等の勧める相続税対策スキームの一環として行われたものであるところ、買主に対して贈与税の課税処分がなされたことにより、本件スキームは相続税対策としては意味をなさないものとなるから、本件スキームに基づいて行われたすべての行為は錯誤により無効となるので本件贈与税の課税処分を取り消すべきである旨主張する。
 しかしながら、請求人は、[1]本件出資を取得する目的で売買契約に係る売買代金を銀行から借り入れたこと、[2]その借入金を基に売買代金を支払って本件出資を取得したこと、[3]原処分庁に対して本件出資の売買等の認識がある旨申述していることからすると、本件売買契約によって生じた経済的成果を享受していることは明らかであるから、本件売買契約に基づいて課税することは当然である。また、仮に、本件売買契約が厳密な法令適用の面からは無効とみられるような場合であっても、本件決定処分がなされた時点において本件売買契約に基づく経済的成果が発生し、かつ、存続している以上、本件売買契約を基因としてされた本件決定処分を違法ということはできない。
 そうすると、本件売買契約の無効を理由に本件決定処分の取消しを求める請求人の主張には理由がない。

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平成10年9月3日裁決

被合併法人の解散事業年度が、更正処分により欠損事業年度になった場合における法人税の欠損金の繰戻しによる還付請求書についても、合併による解散の事実が生じた日以後1年以内に提出しなければならないとされた事例

裁決事例集 第56集 274頁

要旨

 請求人は、法人税の欠損金の繰戻しによる還付請求書(法人税法第81条)が合併による解散の事実が生じた日以後1年以内に提出できなかったのは、更正処分が当該期限を既に徒過していたのが原因であること、また、請求人は当該更正処分により本件事業年度が欠損事業年度になったため本件還付請求を提出したのであるから、更正処分の時期によって欠損金の繰戻しによる還付請求ができないのは不公平な取扱いであり法の趣旨に反する旨主張する。
 しかしながら、内国法人につき合併による解散の事実が生じた場合における欠損金の繰戻しによる還付請求書は、合併による解散の事実が生じた日以後1年以内であればいつでも提出できることであって更正処分がなければできないものではないこと、一件記録を精査してみても請求人がその責に帰すべからざる事由を見いだすことはできないこと、欠損金の還付請求が期限を徒過した場合のゆうじょ規定も存しないこと及び更正処分は国税通則法第70条“国税の更正、決定等の期間制限の特例”に規定する期限内であればこれをなし得るものであり、合併による解散の事実が生じた日から1年以内にこれをしなければならないとする規定も存しないことから、請求人の主張には理由がない。

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平成10年9月2日裁決

生命保険契約に係る保険料の負担者は被相続人であり、死亡保険金は相続税の課税対象とすべき旨の請求人の主張は認められず、請求人が保険料の負担者であるとして一時所得に該当するとした事例

裁決事例集 第56集 144頁

要旨

 請求人は、本件保険契約に係る保険料の負担者は死亡した妻であり、また、保険契約者が請求人となっていたことは知らなかったので、本件死亡保険金は相続財産として相続税の課税対象とすべきである旨主張する。
 しかしながら、[1]死亡した妻は無収入であること、[2]請求人は妻に対する労務の対価を支払ったことの事実を証する帳簿書類を提出しないこと、[3]妻名義預金には、労務の対価としての定期・定額の入金はなく、請求人の営む事業に係る収入金が入金されており、かつ、当該預金からの出金には、本件保険料のほか、請求人に係る国民年金の掛金や家電製品の支払があること等を勘案すると、当該預金は請求人の家事費等の支払の一部に充てるために、請求人の営む事業に係る収入金の一部を入金していたものと推認され、妻に対する労務の対価を入金していたものとは認められないから、当該預金は、名義は妻であったとしても請求人に帰属する預金であると認められる。また、請求人は本件保険契約に係る保険会社から自ら保険契約者であることを証明の上、借入れを行っていることから本件保険契約の保険契約者が請求人であることを認識していたことが認められる。
 したがって、請求人の主張にはいずれも理由がなく、妻名義預金から支払われていた本件保険料の実質負担者は請求人と解するのが相当であり、原処分庁が本件保険金を請求人の一時所得として所得税の課税対象としたことは相当と認められる。

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平成10年8月25日裁決

債権譲渡は民法第467条第2項に規定する第三者対抗要件を具備しておらず、債権譲渡の効力を差押債権者である国に対して主張できないとされた事例

裁決事例集 第56集 427頁

要旨

 差押えに係る賃料請求権は、請求人の滞納者に対する貸金を回収するため、合意契約により譲渡したものと認められるが、本件合意契約書には確定日付が附されていないから、本件債権譲渡は第三者対抗要件を具備していないものであり、第三者である国に対抗することができないので、本件差押処分時における本件賃料請求権は、滞納者に帰属するとしてされた本件差押処分は適法である。

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平成10年8月6日裁決

遺産分割に係る訴訟上の和解が成立した場合において、相続税法第32条に規定する「事由が生じたことを知った日」は、当事者が合意して和解が成立した日と解するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第56集 389頁

要旨

 請求人は、遺産分割に係る訴訟上の和解が成立した場合において、相続税法第32条に規定する「事由が生じたことを知った日」は、各当事者に対する和解調書の送達日であるから、その翌日から4月以内にした本件更正の請求は適法である旨主張する。
 しかしながら、訴訟上の和解とは、民事訴訟の継続中に裁判所で当事者が訴訟物である権利関係の主張について相互に譲歩することにより、訴訟を終了させることを約する民事訴訟法上の合意をいい、当事者双方が裁判官の面前で和解条項を確認し、これを双方が受け入れて、初めて成立するものである。そして、訴訟上の和解が成立すれば、これを調書に記載しなければならず、調書が作成されたときには確定判決と同一の効力が発生し、調書作成前に当事者が未だ調書が作成されていないことを理由に和解の効力発生前であるとして和解内容を変更することは許されていない。また、当事者に対する調書の正本の送達が意味をもつのは、具体的給付義務等が記載されているときに和解調書に基づき債権者が強制執行する場合であって、送達の有無は、和解の成立又は効力発生とは無関係といわざるを得ない。
 以上から、相続税法第32条に規定する「事由が生じたことを知った日」は、当事者が合意して和解が成立した日と解すべきであり、本件更正の請求は期限後になされた不適法なものである。

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平成10年7月9日裁決

保証債務の履行に伴う他の連帯保証人に対する求償権については、当該他の連帯保証人は債務超過の状態にあり、求償権の行使は不可能であると認定して、所得税法第64条第2項の適用を認容した事例

裁決事例集 第56集 156頁

要旨

 原処分庁は、請求人が本件土地を譲渡したことによる収入金額から主たる債務者に係る保証債務を履行するためにM信用金庫に支払った1,000万円は、Wと共同で保証人となっていることから、Wが負担すべき500万円を請求人が保証債務として履行したとしても、所得税法第64条第2項の規定は適用されない旨主張する。
 しかしながら、本件債務の連帯保証人であるWが所有する不動産には、他の債権者により競売開始決定に基づく差押えがされており、他の不動産も相続税評価額を大幅に上回る金額の抵当権が設定されていること等から、Wは債務超過の状況が著しいものと認められ、同人に対する求償権の行使が不可能であると認めるのが相当である。
 したがって、請求人が、本件譲渡代金からM信用金庫に保証債務を履行するために支払った1,000万円については、その全額について所得税法第64条第2項の規定の特例を認めるべきである。

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平成10年7月7日裁決

パチンコ景品交換業務は課税取引に当たるとした事例

裁決事例集 第56集 411頁

要旨

 請求人は、パチンコ景品交換所において遊技客から提示を受けた本件景品は、初めから消費を目的としたものではなく、単に金銭の請求権の存在を証明するためのものにすぎず、消費税法別表第1に掲げる消費税が非課税とされるもののうち、例えば、有価証券に類するもの、支払指図、金銭債権の譲渡又は物品切手に類するものなどとその経済的効用は全く同一であるから、請求人とS景品回収業者との本件景品の取引(以下「本件取引」という。)については、消費税法第6条(非課税)第1項の規定を類推適用して非課税とすべきである旨主張する。
 しかしながら、S景品回収業者は本件景品を請求人からの買取りとして経理処理していること及び本件景品の取引価格は請求人を含めた当事者間で取り決めていたものであること等から、請求人が行っている本件取引は本件景品の販売行為であり、本件景品は販売を目的とした商品そのものと認められるので、本件取引は非課税取引には該当しない。
 そして、本件取引は、消費税法別表第1に規定されている課税の対象とすることになじまない性質の資産の譲渡等とはその性質が異なるのであって、これらに該当しないことは明らかであるから、本件取引について消費税法第6条第1項を類推適用する余地はないというべきである。

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平成10年6月30日裁決

アメリカ合衆国の運送業者との契約に基づく引越貨物に係るキャリアー取引は、請求人が米軍又は米軍の公認調達機関に対して米軍の用に供するための役務の提供をなすものとは認められないため、消費税が免除されないとされた事例

裁決事例集 第55集 695頁

要旨

  1.  請求人は、アメリカ合衆国の運送業者とのキャリアー取引について、キャリアーが米軍に対して行っている取引の一環をなしている取引で、明らかに米軍の用に供する取引であることなどを理由に、所得税等臨特法第7条第1項が適用され、消費税が免除される旨主張するが、同項は、[1]事業者が、[2]米軍及び米軍の公認調達機関に対し、[3]米軍の用に供するため購入する課税資産の譲渡等を行った場合には、消費税を免除する旨規定しているところ、キャリアー取引は、請求人がキャリアーに対して役務の提供を行うものであり、請求人が米軍又は米軍の公認調達機関に対して米軍の用に供するための役務の提供をなすものとは認められず、上記[1]ないし[3]の要件を満たすものとはいえないから、同項の規定は適用されない。
  2.  また、請求人は、アメリカ合衆国の運送業者とのキャリアー取引について、所得税等臨特法第7条第1項の規定は適用されないとしても、キャリアー取引のうち日本国から日本国外への引越しについては、キャリアーとの契約上、日本国外にある目的地の港に到着するまで責任があることから、引越荷物の受渡場所は当該目的港であると考えられるので、消費税法第7条第1項第3号に掲げられている国内及び国内以外の地域にわたって行われる旅客若しくは貨物の輸送又は通信(以下「国際輸送等」という。)に該当するから消費税は免除されるべきである旨主張するが、キャリアー取引は、請求人が事業者として、キャリアーに対して軍人等の国際引越しに係るこん包、運送、保管、通関手続及び船積等の一環作業を行うという役務の提供を対価を得て行う取引であり、当該一環作業は、すべて日本国内において行われているものであるから、国際輸送等に該当するとは認められないこと等から、キャリアー取引のうちの日本国内から日本国外への引越しについて同号の規定は適用されない。
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平成10年6月30日裁決

請求人が負担した本件慰安旅行の参加従事員1人当たりの費用の額は、平成5年分192,003円、平成6年分449,918円及び平成7年分260,332円と、社会通念上一般的に行われている福利厚生行事としてはあまりにも多額であるから、当該従事員が受ける経済的利益は、給与所得として課税するのが相当とした事例

裁決事例集 第55集 248頁

要旨

 福利厚生行事が社会通念上一般的に行われているものと認められる範囲内のものである場合には、当該福利厚生行事の経済的利益については課税しないこととするのが相当と解されるところ、請求人の負担した本件慰安旅行に参加した役員及び従業員各人の1人当たりの費用(各人の家族等分を含む。)の平均額は、平成5年5月分が192,003円、平成6年5月分が449,918円及び平成7年5月分が260,332円であることから、社会通念上一般的に行われていると認められる範囲内の福利厚生行事としては、あまりにも多額であり、また、従業員等の家族等が参加し、その旅行費用までほとんど全額負担していることを考慮すると、本件慰安旅行が社会通念上一般的に行われていると認められる範囲内の福利厚生行事と同程度のものとは認められない。
 したがって、請求人は本件慰安旅行の実施によって、本件旅行参加者に対して経済的利益を供与したものと認められるので、本件旅行費用は、本件旅行参加者に支給した所得税法第28条に規定する給与等と認めるのが相当である。

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平成10年6月26日裁決

小作権を消滅させ、新たに建物の所有を目的とする借地権を設定したことによる権利金については、旧小作権部分と旧底地部分に係る収入金額とに区分して、長期・短期のそれぞれの譲渡所得金額を計算することが相当であるとした事例

裁決事例集 第55集 155頁

要旨

 請求人は、A土地の小作権を消滅させるための離作料を支払い、その直後に、A土地に隣接するB土地を含めた土地に建物の所有を目的とする新たな借地権を設定したことの対価として受領した権利金に係る譲渡所得の金額の計算に当たっては、離作料の額と同額の権利金を受け取って新借地人との間で本件借地権を設定したものであり、その経済的実質は、旧借地権者から新借地権者への借地権の移転とみることができ、借地権の内容に何らの変更がないのであるから、本件借地権取引によって所得は発生していない旨主張する。
 しかしながら、本件土地の賃貸借契約においては、A及びB土地の全体が新たな借地権の目的とされ、実際に建築された建物も本件土地全体を利用する状況にあることが認められ、A土地とB土地を格別区分して借地権が設定されたものではないことは明らかであるから、本件権利金を収入金額として区分するに当たっては、A土地とB土地の面積の比率により按分するのが相当である。
 また、請求人が主張するように、本件権利金のうちに占める離作料の額の割合が明らかであるとしても、それは本件権利金の使途の問題にすぎず、本件権利金が本件土地全体に借地権を設定することの対価として授受されたものであると解される以上、その割合が直ちにA及びB土地の収入金額に区分する際の割合にならないことは当然である。

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平成10年6月25日裁決

米国内国歳入法401kの掛金の拠出金は給与等の収入金額に当たるとした事例

裁決事例集 第55集 76頁

要旨

 請求人は、H社の企業年金プランのうち、米国内国歳入法第401条k項に規定する年金プランに加入し、掛金を拠出しているが、[1]当該掛金は、内国歳入法においては拠出時の給与の減額とされ、将来の年金受給時に課税されるものであること、[2]当該掛金は、請求人に現金等で支給されず、請求人が管理、支配できない給付に該当するものであること及び[3]請求人が将来米国の居住者として受給する年金の一部である掛金に課税することは、日米租税条約第23条(1)及び同条約の目的である「反二重課税」に反することから、我が国においては拠出時の給与として課税すべきではない旨主張する。
 しかしながら、401kプランの掛金として拠出するか又は給与として現金で受け取るかは請求人の任意であること、更に401kプランの掛金とする場合であっても、拠出割合及び投資対象については請求人の判断と責任において選択することとされていることなどから判断すると、本件掛金は、請求人がH社の使用人としての地位に基づいて役務の提供の対価として受け取った給与を請求人の意思と判断により、401kプランの掛金として拠出したものと認めるのが相当であり、本件掛金相当額は、所得税法第36条の規定により、各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額に該当し、同法第28条第1項の規定により、給与所得に該当するものと認められる。

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平成10年6月25日裁決

請求人の絵画の売買に係る業務については、人的、物的設備が備わっておらず、請求人が本件絵画業務に費やす精神的、肉体的労力は低く、自己の危険と計算における企画遂行性にも乏しいことが認められ、また、その営利性も極めて乏しいことから、本件絵画業務は事業所得を生ずべき事業としての社会的客観性を備えたものには該当しないとした事例

裁決事例集 第55集 53頁

要旨

 請求人は、請求人の絵画の売買に係る業務が開業以来赤字であるのは、事業戦略上の判断を誤ったため損失を招いただけであり、特定の画廊を通じて業務を行っているのはその方が効率的であったからであること等から、本件絵画業務は事業所得を生ずべき事業に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件絵画業務についてみると、[1]絵画を販売、展示するための店舗を有していないこと、[2]購入した絵画は美術品ロッカーに保管されたままになっていること、[3]絵画業務の事務について専任の従業員を置かず、請求人の経営する法人の役員に行わせ、しかもその対価も支払っていないことから、本件絵画業務には、人的、物的設備が備わっているとは認められず、本件絵画業務に関する広告宣伝活動を一切していないことや画廊業者の同業者団体に加入していないこと及び古物営業法の営業許可を得ていないことから、外形的にも事業としての実態が認められない。
 また、絵画の購入から売却まですべて特定の画廊に任せて取引をしており、請求人が本件絵画業務において、精神的、肉体的労力をほとんど費やしていないものと認められ、自己の危険と計算において企画遂行しているとは認められない。
 さらに、本件絵画業務は、業務の開始当初の高額な絵画の購入に伴う借入金の利息等の負担が大きいにもかかわらず、[1]絵画の売買回数が極めて少なく、その売買点数も少ないこと、[2]平成4年以降の絵画の購入価額は少額のものがほとんどで、その売買差益もきん少なものであること、[3]業務を開始してから毎年損失となっていることなどから、相当期間継続して安定した収益を得ているとは認められず、その営利性も極めて乏しい。
 以上のことから、本件絵画業務は事業所得を生ずべき事業として社会的客観性を備えたものには該当しないと判断するのが相当である。

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平成10年6月24日裁決

収用交換等による譲渡が二以上の年にわたって行われた場合に当たるとして、収用交換等の譲渡所得の5,000万円特別控除の適用は受けられないとした事例

裁決事例集 第55集 292頁

要旨

 請求人は、請求人がR市に対して平成6年11月4日の契約により譲渡した乙土地に係る譲渡所得については、収用交換等の場合の譲渡所得等の5,000万円特別控除の特例が認められるべきである旨主張する。
 しかしながら、請求人は、本件収用事業のためにR市に対して平成5年3月2日に丙土地を、平成6年11月4日に乙土地をそれぞれ譲渡しているところであるが、乙土地及び丙土地は本件収用事業の事業地に含まれており、これらの譲渡は、一の収用事業に基づくものであると認められることから、租税特別措置法第33条の4第3項第2号に規定する「一の収用交換等に係る事業につき第1項に規定する資産の収用交換等による譲渡が二以上あった場合において、これらの譲渡が二以上の年にわたってされたとき」に該当すると認められる。
 そして、請求人は上記のとおり、丙土地を平成5年中に、乙土地を平成6年中に譲渡していることから、乙土地は、同号に規定する「当該資産のうち、最初に当該譲渡があった年において譲渡された資産以外の資産」に該当するので、同条第3項の規定により、本件譲渡に係る長期分離譲渡所得の計算に当たり、収用交換等の譲渡所得の5,000万円特別控除の特例を適用することはできないと認められる。

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平成10年6月23日裁決

被相続人の先代の相続財産の遺産分割について、家裁の調停が成立し、代償分割による代償金を請求人らが受領したことは、被相続人が先代から相続により取得した代償債権を請求人らが本件相続により取得したと解するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第55集 452頁

要旨

 請求人らは、被相続人の先代の相続財産の遺産分割について、家庭裁判所の調停が成立し、代償分割による代償金を受領したことは、既に本件相続に係る相続税の申告に含め課税された不動産に係る持分権の一部を失う代わりに、先代の共同相続人の一人から代償金を受領したものであるから、代償金は持分権の譲渡代金であって相続財産ではなく、また、これにより生じた所得は、所得税法第9条第1項第15号により非課税となる旨主張する。
 しかしながら、請求人らは、本件調停によって被相続人に代位して代償金を取得したのであり、このことは、被相続人が先代から相続により取得した代償債権を、被相続人の死亡を原因として、請求人らが被相続人から取得したと解するのが相当であるので、本件相続開始日における代償債権の価額を評価して、当該価額を本件相続税の課税価格とすることが相当である。

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平成10年6月23日裁決

請求人所有の本件土地上に赤字法人である同族会社に対して地上権を無償で設定した後に本件土地と地上権を第三者に譲渡した行為は、所得税法第157条に該当するとした事例

裁決事例集 第55集 175頁

要旨

 請求人は、本件契約を同族会社が赤字法人であることを奇貨として譲渡代金の分散を図る目的でしたものではなく、また、原処分庁が所得税法第157条を適用したことは、借地権等の設定について、同法第59条第1項の規定の適用がないということについての納税者の予見可能性を無視したものであり、所得税基本通達59-5の趣旨に反し、著しく信頼を損なうものである旨主張する。
 しかしながら、請求人及び同族会社が本件底地及び本件地上権を譲渡するに至った一連の行為の事情からして、本件地上権を同族会社に無償贈与する合理的な理由を見いだすことはできず、また、無償贈与した行為は、請求人を同族関係者とする同族会社であるがゆえになし得た行為であり、経済的合理性を欠く行為と認められ、この行為が請求人の所得税の負担を不当に減少させていることが認められる。
 また、所得税法第59条第1項は、借地権等の設定について、みなし譲渡課税をする旨規定していないが、そのことをもって同法第157条の規定が適用できないとするものではない。

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平成10年6月23日裁決

貸し付けている宅地の評価に当たって、借地権者が3棟の建物を建築しそれぞれ別の事業の用に供していたとしても、その土地全体が一人の借地権者に貸し付けられており、かつ分割されることなく相続されていることから、その土地全体を1画地の宅地として評価することが相当であるとした事例

裁決事例集 第55集 479頁

要旨

 請求人は、本件土地は借地権者の所有するガソリンスタンド、パチンコ店及びボウリング場に係る建物の敷地として最有効使用されているものであるから、建物の事業の用に供されている状況ごとに区分し、それぞれを1画地として評価すべきである旨主張する。
 しかしながら、本件土地はその全体が借地権者の事業に係る建物の敷地として一体として貸し付けられ、現実に借地権者の事業の用に供されていることが明らかであり、また、本件土地は分割されることなく、その全部を相続人が相続していることから、貸し付けられている土地全体を1利用単位、すなわち1画地の宅地と判断するのが相当である。

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平成10年6月10日裁決

非上場株式が「管理又は処分するのに不適当」と判断された事例

裁決事例集 第55集 615頁

要旨

 取引相場のない株式は、通常、売却できる見込がない場合が多いので、たとえ相続により取得した財産のほとんどが当該株式であり、かつ、当該株式以外に物納に充てるべき財産がないと認められるときであっても、物納制度の趣旨が相続税の納付の単なる手段であり、国がこれを換価し、その代金をもって財政収入に充てることにある以上、売却できる見込がない株式については、相続税法第42条第2項に規定する「管理又は処分をするのに不適当であると認める場合」に該当し、具体的に買受け希望者が見込まれる場合など一定の条件を満たすものについてのみ例外的に物納が許可されるものと解するのが相当である。
 相続税の課税は、相続による財産の取得という事実についてその財産的価値に担税力を認めて行われるものであり、一方、物納財産の管理又は処分の適否は、国が当該財産の管理又は処分により、金銭による納付があった場合と同等の経済的利益を将来現実に確保することができるか否かという観点から判断されるのであって、ある相続財産について、それが課税価格計算の基礎となった財産であっても、そのことから直ちに当該財産が物納財産として管理又は処分に適するということにはならず、管理又は処分をするのに不適当であるとされることもあり得ると解される。

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平成10年6月5日裁決

財産評価基本通達185のかっこ書に定める「通常の取引価額」は、評価会社の帳簿価額よりも鑑定評価書の鑑定評価額によることが相当であるとした事例

裁決事例集 第55集 581頁

要旨

 財産評価基本通達185のかっこ書に定める「通常の取引価額」について、原処分庁は、本件建物は相続開始日の約2年前に取得され取得価額が明らかであることから、この取得価額を基に減価償却費相当額を控除した金額、すなわち評価会社の帳簿価額により評価するのが相当である旨主張し、請求人は、請求人が求めた鑑定評価書の鑑定評価額によるべきである旨主張する。
 しかしながら、本件鑑定評価額は、その価格時点を本件相続開始日とし本件建物の再調達原価を求めた上、これを減価修正し、更に借家権の割合を控除して貸家の用に供されているものとして算出されているところ、その鑑定根拠については当審判所が調査した結果、特に不相当と認められる要素はない。
 そうすると、本件鑑定評価額は帳簿価額よりも時価を反映したものとして、これをもって財産評価基本通達185のかっこ書にいう「通常の取引価額」と認めるのが相当である。

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平成10年5月29日裁決

本件リフトは、租税特別措置法第45条の2に規定する中小企業者の機械等の特別償却の対象となる事業の用に供しているとは認められないとした事例

裁決事例集 第55集 370頁

要旨

 租税特別措置法第45条の2に規定する中小企業者の機械等の特別償却が適用されるためには、取得した機械等を適用対象事業の用に供していなければならないところ、リフトについては、[1]ロッヂに来場するにはリフトに搭乗しない限り困難であったとしても、リフトを利用するスキー客はロッヂを利用するか否かを問わずリフト料金を支払っていること、[2]リフトの操業なくしてロッヂ内事業が成り立たない関係にあるとしても、このことは、リフト事業を営業基盤としてロッヂ内事業が成り立っている関係を明らかにしているにすぎず、これらのことをもって、リフトをロッヂ内事業の用に供しているとはいえない。さらに、ロッヂ内事業に必要な資材等の運搬にも本件リフトを使用していないことから、本件リフトについて特別償却を適用することはできない。
 なお、クローラーキャリアについては、雪や土砂等の運搬を主目的とするもので車両運搬具に該当するので、特別償却を適用することはできない。

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平成10年5月28日裁決

取引及び登記等に事実の隠ぺい又は仮装が認められず、調査時にも事実の把握を困難にさせるような特段の行為が認められないなどとして、重加算税の賦課要件は満たしていないとした事例

裁決事例集 第55集 25頁

要旨

 原処分庁は、請求人が3区画の土地を譲渡したにもかかわらず、1区画分のみを確定申告し、調査時の指摘により修正申告したのは、その譲渡代金の使途目的があって計画的に行われたこと及び3区画分の譲渡所得に係る所得税の納付資金不足に起因したものと認められ、意図的に行われた過少申告であるとして重加算税の賦課決定処分をした。
 しかしながら、請求人に当該土地の譲渡に関する売買契約書の作成、所有権移転登記、譲渡代金の授受及び使途等について、何ら隠ぺい又は仮装の行為は認められず、また、確定申告後においても調査による事実の把握を困難にさせるような特段の行為は一切認められない上、請求人には資金ねん出方法として、原処分庁が指摘する方法以外にも多種多様の方法が可能であり、本件物件の譲渡に係る所得税の納付資金が不足しているとはいえず、さらに、請求人が本件申告等を任せていた次男において、譲渡の事実を隠ぺいする意図の下に1区画分のみを申告したものと認めるに足りる証拠はなく、本件においては、請求人に国税通則法第68条第1項に規定する仮装・隠ぺいの具体的事実が認められないことから、重加算税の賦課決定処分は、過少申告加算税の額を超える部分を取り消すべきである。

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平成10年5月28日裁決

本件土地は、土地区画整理法に基づく換地処分ではなく、換地処分前に当事者間で任意に交換したものであるから、従前の土地に存していた借地権は存せず、課税時期における現況、すなわち駐車場の敷地として賃貸している土地として評価すべきであるとした事例

裁決事例集 第55集 511頁

要旨

 請求人らは、本件土地は、土地区画整理法に基づき甲土地との交換により取得したものであり、甲土地に存していた借地権は、同法の規定により本件土地に移行存続することから、本件土地の価額を財産評価基本通達25(貸宅地の評価)の(1)の定めにより評価すべきである旨主張するが、本件土地と甲土地の交換は土地区画整理法に基づく換地処分としてされたものではなく、土地区画整理事業における換地処分前に当事者間で任意にされたものである。
 したがって、本件土地と甲土地の交換が土地区画整理法に規定する換地処分でない以上、甲土地に存していた借地権が本件土地に移行存続することはないから、本件土地の価額は、その土地の課税時期における使用の現況、すなわち駐車場の敷地として賃貸していることに基づき財産評価基本通達86(貸し付けられている雑種地の評価)の(1)の定めにより評価するのが相当である。

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平成10年5月27日裁決

共有土地の持分の一部である財産の物納は、「管理又は処分をするのに不適当」と判断した事例

裁決事例集 第55集 623頁

要旨

 本件物納申請財産は、共有持分の一部であり、国において管理又は処分をするのに不適当な財産である。また、原処分庁は、請求人からの却下処分の猶予の要請に基づき、遺産分割の推移を相当期間見守っていたが、なお協議分割が整わない状態が続いたことから、本件却下処分を行ったものであり、請求人が主張するような違法・不当な点はない。
 また、本件却下処分に伴い、請求人の相続税は滞納となったことから、国税通則法第37条第1項の規定に基づき行われた督促処分は適法である。
 なお、物納申請却下処分及び督促処分に対する異議決定の内容を不服とする審査請求は、国税通則法第76条第1号の規定により認められないから、これら審査請求は不適法である。

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平成10年5月15日裁決

土地建物の譲渡に際し、架空の中間譲渡人を介在させて譲渡収入金額の圧縮を計ったとして、最終買受人の購入価額を譲渡収入金額と認定した原処分を相当と認めた事例

裁決事例集 第55集 108頁

要旨

 請求人は、本件土地建物を14,000,000円でG社に譲渡したものであり、さらに、G社がSに33,000,000円で譲渡したものである旨主張するが、[1]G社に譲渡したとする売買契約書は、後日、契約日付をさかのぼって作成されたものと認められること、[2]請求人がSから33,000,000円を受領した事実は明らかであり、その受領した金銭の全額を新たに取得した土地建物の取得資金に充てていることが認められることから、請求人は、G社を本件土地建物の中間譲渡人として介在させて、実体のない取引を仮装したものであり、実質は請求人が本件土地建物を33,000,000円でSに譲渡したものと認められる。

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平成10年4月30日裁決

被相続人が所有していた建物が火災で焼失した後に当該建物の敷地を相続により取得し、当該敷地をその後に譲渡した場合、相続人は、当該建物の所有者として居住の用に供していた事実は認められず、3,000万円特別控除の対象となる居住用財産の譲渡には該当しないとした事例

裁決事例集 第55集 341頁

要旨

 請求人は、本件建物が焼失するまでの間、当該建物で被相続人と生計を一にしており、被相続人が生存中に本件土地を所定の期限内に譲渡すれば特例の適用が受けられるところであり、被相続人の死亡により本件土地の現実の占有を承継し、また、財産的地位を包括的に承継しているから、相続により被相続人に属していた特例の適用を受けられる地位を承継しているので居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用が認められるべきである旨主張する。
 しかしながら、本件特例は、譲渡所得者の帰属者の立場において適用されるべきものであるところ、請求人において本件建物を居住の用に供していたというためには、単に請求人が本件建物に居住していたあるいは被相続人と生計を一にしていたというだけでは足りず、請求人が本件建物の所有者として居住の用に供していたことを要件として判断すべきである。
 本件建物の所有者は被相続人であり、請求人は本件建物の所有者として居住の用に供していたとは認められないから、本件特例の適用は認められないと解するのが相当である。

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平成10年4月24日裁決

取引相場のない株式を純資産価額によって評価する場合に、租税負担の公平の観点から特別な理由があると認められるときは、法人税額等相当額を控除せずに評価することが妥当であるとした事例

裁決事例集 第55集 556頁

要旨

 被相続人が本件出資の取得に際し、著しく低額な価額で現物出資を行ったことは、多額の評価差額を創り出し、これを形式的に財産評価基本通達185を適用して法人税額等相当額を控除して計算することにより、相続税の負担の軽減を図るためのものであると推認されるところ、この場合に法人税額等相当額を控除して評価することは、他の納税者との間の実質的な租税負担の公平という観点からして看過ごし難いといわざるを得ず、加えて、税負担の累進性を補完するとともに富の再配分機能を通じて経済的平等を実現するという相続税法の立法趣旨からしても著しく不相当というべきであるから、本件には、財産評価基本通達に定める原則的な評価方法によらないことの特別な理由があると認められる。
 したがって、本件出資は、法人税額等相当額を控除せずに評価することが妥当である。

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平成10年4月24日裁決

土地譲渡益重課制度の適用除外に該当する旨の申告をしなかった場合には、同制度を適用して法人税額を減額することを求める旨の更正の請求は認められないとした事例

裁決事例集 第55集 16頁

要旨

 国税通則法第23条第1項第1号に規定する更正の請求は、納税申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと等により過大であるときになしうるものであるから、所得計算の特例等で、一定事項の申告等を条件に所得金額、税額の減免をすべきものとされているものについて、その申告等をしなかった者は、後日その特例の適用を求めるために更正の請求をすることはできないと解すべきである。
 したがって、確定申告に際し、租税特別措置法第62条の3第4項又は第5項に規定する優良住宅地等のための譲渡等に対する土地譲渡益重課制度の適用除外に該当する旨の申告等をしなかった場合には、後日それらの規定を適用し、法人税額を減額すべきであるとする旨の更正の請求は認められない。

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平成10年4月24日裁決

請求人が同族会社に支払った月額賃料と原処分庁が算定した類似建物月額賃料との差額が1.4倍ときん少であっても、所得税の負担を不当に減少させる結果となっているとして所得税法第157条の規定の適用をした課税処分は正当であるとした事例

裁決事例集 第55集 196頁

要旨

 請求人は、仮に類似建物月額賃料を一応の基準としても、本件月額賃料は類似建物月額賃料の1.4倍程度のものであり、類似建物月額賃料との比率の開差は極めて合理的な偏差の範囲にあり、著しく過大なものではないから、本件賃料の決定行為に不当なものはない旨主張する。
 しかしながら、所得税の負担を不当に減少させる結果となったか否かについては、単に基準となるべき適正な賃料との比率の開差の大小のみによって一律に判断すべきものではなく、その基準となるべき適正な賃料に基づいて算出した納付すべき税額と請求人が決定した賃料に基づいて算出した納付すべき税額とを比較し、その税額のかい離がどの程度であるかを考慮した上で判断すべきものと解するのが相当である。
 請求人の場合、本件病院用建物に係る本件月額賃料の決定は、同族会社とその関係人である請求人であるがゆえになしえた行為又は計算であることが認められ、請求人のこのような行為は、純経済人の行為として不自然・不合理な行為又は計算によるものであり、その結果本件月額賃料が不当に高額なものとなっており、請求人の所得税の負担を不当に減少させているものと認められる。

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平成10年4月15日裁決

預託金会員制ゴルフクラブの会員権証書の担保権者に対する引渡命令が適法であるとされた事例

裁決事例集 第55集 798頁

要旨

 預託金会員制ゴルフクラブの会員権証書は、商法第519条の有価証券には当たらないことから、本件ゴルフ会員権に対する質権設定を第三者に対抗するためには、民法第364条第1項に規定する指名債権質の対抗要件に基づき、質権設定者が確定日付ある証書によりこれをゴルフ場経営会社に通知し又は同社が確定日付ある証書によりこれを承諾することを要する。
 しかしながら、請求人及び滞納者は、これらの手続を経ていないことから、差押債権者たる原処分庁に対抗できず、原処分庁が請求人に対して行った本件会員証書の引渡命令は適法である。

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平成10年4月13日裁決

先の差押調書謄本が送達されたと認定し、これにより滞納国税の徴収権の消滅時効が中断され、その後に行われた差押処分が適法であるとされた事例

裁決事例集 第55集 787頁

要旨

 請求人は、土地権利証と白紙委任状を友人に渡したため、本件土地を譲渡されてしまったが、当該友人を刑事告発はしておらず、かつ、その代償の一部として金銭を受領しており、本件譲渡を事後において容認したものと認められ、課税処分は適法である。したがって、課税処分の違法を理由として本件差押処分の取消しを求めることはできない。
 なお、電話加入権の差押調書謄本は請求人の住所地に適法に送達されたと認められ、滞納国税の徴収権は消滅時効により消滅しておらず、また、請求人が滞納国税を納付しなかったため、原処分庁が本件差押処分を行ったものであり、原処分は適法である。

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平成10年4月2日裁決

相続税法第34条第1項の連帯納付義務は、相続税徴収の確保を図るため、相互に各相続人に課した特別の責任であって、各相続人の固有の納税義務が確定すれば、他の共同相続人に徴収手続を行うことができ、滞納者に徴収手続を尽くした後でなければ、共同相続人に徴収手続を行えないというものではないとされた事例

裁決事例集 第55集 608頁

要旨

 相続税法第34条第1項の相続税の連帯納付義務は、相続税徴収の確保を図るため、相互に各相続人に課した特別の責任であって、各相続人の納税義務の確定という事実が発生していれば法律上当然に生ずるものであり、格別の確定手続を要するものではない。
 また、連帯納付義務は、民法上の連帯保証債務に類似するものと解するのが相当であり、滞納者に徴収手続を尽くした後でなければ、共同相続人に徴収手続を行うことができないというものではない。
 したがって、各相続人の一部にその相続税額を滞納した者がある場合には、国税徴収に当たる所轄庁は、その他の相続人に対して、その相続により受けた利益の価額に相当する金額を限度として連帯納付義務の履行を求めることができる

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平成10年3月31日裁決

株式は祖母から死因贈与により請求人が既に取得したものであり、被相続人の相続財産を構成しないとした事例

裁決事例集 第55集 425頁

要旨

 原処分庁は、請求人名義の株式は請求人の父である被相続人が亡母(請求人の祖母)の相続により取得したものであることから、被相続人の相続財産である旨主張する。
 しかしながら、本件株式は、祖母が被相続人らのために相続財産として残す意図はなかったものとうかがえるところ、請求人の陳述及びxの答述によれば、祖母は請求人に対して本件株式の購入目的を告げており、死期の近づいた祖母は、購入していた本件株式等を4つに分け、請求人ら自分の孫にあててxに預けたこと、そして、xは祖母の死亡後1か月を経過したころ、請求人に引き渡したことが認められたことからすると、遅くともその時までに、祖母と請求人との間において、祖母が死亡したら本件株式を贈与する旨の死因贈与契約が成立していたと認めるのが相当であり、本件株式は、請求人の固有財産となる。
 したがって、本件株式が被相続人の相続財産に当たるとした原処分庁の認定には事実誤認があることから、本件株式の価額を相続財産の課税価格から差し引くべきである。

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平成10年3月31日裁決

請求人が取得した新規取得土地等の基準取得価額は、本件土地と造成工事とは一体として取引されたものであるから、本件土地と造成工事代金との合計額であり、また、本件土地の取得日は、造成工事が完了し宅地に地目変更された日であると認められるから、負債利子損金不算入期間の起算日は当該日の翌日であるとした事例

裁決事例集 第55集 391頁

要旨

 請求人は、本件土地を取得し、その後、当該土地の造成工事を別の業者に依頼したものであるから、租税特別措置法第62条の2第3項第3号に規定する新規取得土地等の基準取得価額は、土地の代金のみである旨主張するが、[1]当該土地の譲渡法人及び造成業者等との契約内容等から判断すると、当該土地の開発・造成工事等の内容は、当該土地の売買契約時に既に具体化していたこと及び[2]本件土地代金を支払うとともに造成工事代金を造成工事を施工する前に支払ったのは、譲渡法人の事情及び譲渡法人からの指示により行われたことなどから、当該土地と造成工事とは一体として取引されたものと認められるため、基準取得価額は土地代金と造成工事代金との合計額である。
 また、請求人及び原処分庁は、本件土地は平成4年3月31日受付で同日の売買を原因として所有権移転登記を経由していることなどから、同日を新規取得土地等の取得日とし、平成4年4月1日から平成5年3月31日までの事業年度について負債利子の損金不算入期間を平成4年4月1日から平成5年3月31日までの12月としているが、新規取得土地等を取得した日とは、当該土地等の引渡しを受けた日であると解されているところ、上記[1]及び[2]の事実並びに造成工事期間は、開発行為の許可を受けた平成4年8月27日から検査を受けた同年12月21日までの期間と認められること及び同年12月21日に宅地に地目変更されていることなどから、請求人は造成工事が完了し宅地に地目変更された平成4年12月21日に本件土地の引渡しを受けたものと認められるため、負債利子の損金不算入期間は、平成4年12月22日から平成5年3月31日までの3月となり、原処分はその全部を取り消すべきである。

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平成10年3月30日裁決

債権譲渡の通知がされた債権を差し押さえた後、譲渡担保財産であるとして譲渡担保権者に対してした告知処分が適法とされた事例

裁決事例集 第55集 742頁

要旨

 請求人と滞納会社の間で締結された運賃等売掛債権の譲渡契約に基づく債権譲渡の通知は、これを第三債務者に通知することによって、担保のため譲渡された債権が特定され、対抗要件が具備されることになるものの、これをもって譲渡担保権の実行が完了したということにはならず、差押処分の時点において本件債権は譲渡担保財産として存在していたと認められる。
 そこで、滞納国税の法定納期限等と本件契約による譲渡担保設定の時期について、その先後を検討すると、譲渡担保設定の日はいずれも滞納国税の法定納期限等の日に後れており、本件差押処分の時点において本件債権が譲渡担保財産として存在する限り、国税が優先することとなる。
 国税徴収法第24条第1項に規定する「国税に不足するとき」とは、同条第2項の通知を発するときの現況において納税者に帰属する財産で滞納処分により徴収できるものの価額が納税者の国税の総額に満たないと認められることをいい、その判定は、滞納処分を現実に執行した結果に基づいてする必要はないと解するのを相当とする。
 滞納会社が、平成8年11月11日に2回目の手形不渡事故を起こして事実上倒産したことは当事者双方に争いのないところであり、その事実からすれば、国税徴収法第24条第1項に規定する要件を満たすから、本件差押処分は同条第5項に規定する「前項の規定の適用を受ける差押」に該当する。

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平成10年3月20日裁決

本件譲渡家屋における電気・ガス・水道の使用状況等から判断すると、本件譲渡家屋に居住したとしても一時的な目的で入居したものと認められるので、居住用財産の課税の特例の適用はできないとした事例

裁決事例集 第55集 316頁

要旨

 請求人は本件土地を売却する契約をしたが、市街化調整区域に存する畑であった本件土地上に建物を建築できないことから、本件建物を請求人名義で建築した後、本件資産として売買の形式を採るとともに、本件特例を適用することにより租税負担の軽減を企図したものであり、本件工事請負契約書及び本件資産売買約定書に係る売買は真実の売買ではないとする請求人の主張は採用することがきない。
 請求人は、電気の使用開始が平成6年6月3日になったのは、請求人が入居したとする同年4月25日から6月3日までの間工事用配線を使用していたためであると主張しているが、建物が完成して入居した後1か月以上も工事用配線が存在することは通常考えにくく、むしろ、生活に必要な電気及び水道に加え、ガスの使用が可能となった同年7月2日以降が入居日と考えるのが自然であること及び同年4月25日には、電気、水道及びガスがすべて使える状態であったとする請求人の答述は信用できず、この点からも請求人の主張を採用することはできない。
 請求人は、生まれた時から本件資産の所在地と同じ町内に居住する両親及び弟と同居していたところ、結婚後の生活を営むために本件建物に入居した旨主張するが、通常、結婚が決まったとはいえ結婚前に、しかも建物完成前で、なおかつ電気及びガスが調う前に、それまで同居していた親元を離れ、急きょ独り住まいをしなければならない必要性はないものと認められ、仮に、住民登録の異動のとおり請求人が本件建物へ入居していたとしても、本件借入れの申込みは、請求人が本件特例の適用を受ける目的で行われていることから、請求人は本件建物へは本件特例の適用を受けるためのみの一時的な目的で入居したものと認められる。
 本件借入れを行った以前の段階で、すでに本件資産は売却する予定であり、購入者も決まっていたのであるから、請求人の婚約解消後は継続して生活することに堪え難い事情が生じたことから本件資産を売却したとの主張は採用できない。
 請求人の主張はいずれも理由がなく、本件建物は本件特例の対象となる居住用家屋とは認められないから、本件譲渡について本件特例を適用することはできない。

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平成10年3月13日裁決

企業会計上ファイナンスリースは資産の取得を原則としていることから、機械設備に係る減価償却費の損金算入を認めるべきとする請求人の主張に対し、リース契約の内容及び取引の実態から判断すると通常の賃貸借取引に該当するとした事例

裁決事例集 第55集 353頁

要旨

 請求人は、Q公社とリース契約を締結して使用することとなった大型精密機械について、企業会計上ファイナンスリースは資産の取得を原則としていることから、本件機械設備を自己所有資産とすることにより特別償却を含めた減価償却費の損金算入を認めるべきである旨主張する。
 しかしながら、リース取引の取扱いについては、税法上具体的な規定はないので、基本的には法人税法第22条第4項の規定にのっとり、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って会計処理されるべきであり、税務上リース取引について、これを法形式どおり一般の賃貸借と同様に取り扱うことに課税上の弊害があるものは別として原則的にはその法形式に従って会計処理を行うべきである。
 また、ファイナンスリースに係る法人税の取扱いについては、その経済的実質において一般の賃貸借と同様に取り扱うことに課税上の弊害があると認められるものについては売買取引等として取り扱うこととし、昭和53年通達でその処理の統一を図ることとしたものである。
 そうすると、本件リース取引について、リース契約の内容及び取引の実態から判断すると、本件機械設備は請求人がQ公社から取得したものではなく通常の賃貸借取引であることが認められ、また、昭和53年通達に定める売買として取り扱うリース取引にも該当しない。

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平成10年3月11日裁決

相続開始前3年以内に贈与があった場合の当該贈与財産の価額を相続税の課税価格に加算したとしても、贈与税の課税関係が消滅するものではないとした事例

裁決事例集 第55集 466頁

要旨

 請求人は、本件定期預金については、相続税法第19条の規定により相続税の課税価格とみなして本件相続税の課税価格に加算しているから、贈与税の課税対象とはならない旨主張するが、同条の規定の趣旨は、相続税法が採用している相続税の累進税率の適用による税負担が、財産を生前贈与することによって軽減されて公平を欠く結果となることを考慮し、相続開始前3年以内の贈与財産の価額を相続税額の計算上、相続財産の価額に加算することにより所要の調整をすることにあると解されるところ、同条第1項の規定により相続税の課税価格とみなされた贈与財産については、贈与税が課税されることが前提とされたものであって、贈与財産の価額を相続税の課税価格に加算したからといって贈与税の課税関係が消滅するものではない。
 本件においては、贈与税の課税が相続税の課税関係より後になされているが、それをもって贈与税の課税の当否に何ら影響を及ぼすものではない。

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平成10年2月27日裁決

一括支払システム契約における代物弁済条項の国税債権者に対する効力が否定され、譲渡担保権者である銀行が国税徴収法第24条の物的納税責任を負うとされた事例

裁決事例集 第55集 719頁

要旨

 請求人は、本件代金債権が一括支払システムに基づく譲渡担保財産であることを知りながら滞納者の財産として差し押さえた本件差押えは違法・無効であり、したがって本件告知処分も無効である旨主張するが、本件代金債権は請求人等から提示を受けた書類等から滞納者の財産と認定して差し押さえたものであり、譲渡担保財産と知りながら差し押さえたものとは認められないことから、本件差押処分は適法である。
 また、請求人は、[1]原処分庁が国税徴収法第55条に基づく通知をした日現在、滞納会社に本件代金債権を担保として同額の貸付金を有していたところ、本件通知が発せられた時に請求人の滞納会社に対する貸金債権は何らの手続を要せずに弁済期が到来し、同時に担保のため譲渡した代金債権は貸金債権に充当される旨の一括支払システム契約の特約の効力により、本件代金債権は貸金債権の弁済に充当されたこと及び[2]仮にそうでないとしても、本件告知がされた時に本件特約の効力により本件代金債権は消滅している旨主張する。
 しかしながら、本件特約によると、請求人に告知等が到達した時には常にその譲渡担保権の実行が完了していることになり、常に告知等の要件である譲渡担保財産の存在が欠けることになるから、譲渡担保が国税の法定納期限等の後に設定され、国税に劣後している場合であっても、徴収職員が国税徴収法第24条に基づき、当該譲渡担保財産から国税を徴収する機会を事実上全く奪ってしまうことになる。このことは、法の規定にかかわらず、私人間の合意により、滞納処分の対象とならない譲渡担保財産を作り出すことにほかならず、国税徴収法第24条第5項及び第6項の規定の趣旨を完全に没却するものであるから、本件特約について、当事者間においてその効力を認めることはともかくとして、原処分庁に対しては、請求人は本件代金債権が譲渡担保財産でなくなったことを理由に、同条に基づく物的納税責任の追及を免れることはできないと解するのが相当である。

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平成10年2月27日裁決

地価税の評価に適用される路線価は、その年の1月1日の時価を表していないとして、近隣の土地の取引情報を基に評価した価額により地価税の申告がされたが、路線価は適正に評定されているとして、路線価に基づく更正処分を相当と認めた事例

裁決事例集 第55集 633頁

要旨

  1.  請求人は、路線価は半年以上も前の地価を調査して求められたものであり、その年の1月1日の時価を表しておらず、時価を上回っているのは明白であるから、路線価を採用して評価した更正処分は違法である旨主張する。
     しかしながら、路線価の評定の基となる売買実例価額等については、地価下落の状況を的確に反映したものとなるよう時点修正を行うなどしており、路線価は適正に評定されていると認められ、さらに、当審判所が、本件土地の価額を試算したところ、いずれの土地についても審判所の試算価額が原処分庁が評価した価額を上回っていることが認められた。
     よって、原処分庁が本件土地の価額を路線価に基づいて評価したことは相当と認められる。
  2.  請求人は、本件D土地は居住用として賃貸していた居住用の非課税の土地であり、原処分庁が課税時期に貸し付けていなかったことを理由として、自用地として評価したことは不当である旨主張する。
     しかしながら、地価税法第7条第2項に規定する他人の居住の用に供されている土地等に該当するかどうかは、その年の課税時期における状況により判定するものと解されているところ、本件D土地上に存する建物は、平成3年10月14日まで個人に居住用として貸し付けられていたが、その後平成4年1月28日に事務所として貸し付けられるまでの間は空室となっていたことが認められる。
     よって、原処分庁が平成4年分につきD土地は他人の居住の用に供されていなかったものとして、自用地として評価したことは相当と認められる。
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平成10年2月26日裁決

同族会社に対する本件委託業務は、不動産賃貸業の遂行上必要な業務とは認められず、かつ、同族会社が当該業務を履行したとする客観的な資料も認められないことから、請求人が本件契約に基づき不動産管理料を支払ったとしても、必要経費には算入されないとした事例

裁決事例集 第55集 43頁

要旨

 本件契約業務の具体的内容を検討すると、[1]当初から不動産管理業務を委託している不動産管理会社との交渉業務等を含む経営全般に関する知的判断業務は、請求人個人の責任と判断において行うべき性質のものであり、同族会社であるH社が当該業務を履行したとする客観的な資料がないこと、[2]その他の業務については、不動産管理会社への委託業務において十分可能であり、当該業務をH社に委託する必要性があるとは認められず、また、H社においてこれらの業務を行ったと認めるに足りる証拠がなく、当該業務を履行するために要した費用の計上も認められないことから判断すると、H社との本件契約業務は本件不動産賃貸業の遂行上必要な業務とは認められず、かつ、履行したとする客観的な資料も認められないことから、請求人が本件契約に基づき本件管理料を支払ったとしても所得税法第37条第1項に規定する必要経費には算入されない。

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平成10年2月26日裁決

請求人と滞納会社が共同して売却した本件不動産(土地は各別に所有、建物は共有)の売却代金について、不動産の持分に応じて配分を受けるのが相当であるから、請求人は受けた利益を限度として滞納国税につき第二次納税義務を負うとした事例

裁決事例集 第55集 757頁

要旨

 請求人は、[1]請求人所有の土地(以下「本件土地」という。)は滞納会社からの要請により購入したものであるが、通常の価額より高価で購入せざるを得なかったこと及び[2]共有建物(以下「本件建物」という。)にあった請求人の工場を閉鎖したことによる各損失の補てんを受けることを条件に滞納会社と共同での売却を承諾したものであり、当該損失補てんの額を売却代金の配分額に含めて受領したのであるから、合理的な理由があり、第二次納税義務を負うものではない旨主張する。
 しかしながら、上記[1]については、本件土地を通常の価額より高額で購入せざるを得なかった理由が証拠上明らかでなく、また、仮に通常の価額より高額で取得した土地が売却時の通常の価額より高額で売却できなかったとしても、損失を被ったということはできないこと及び上記[2]については、利益が生じている工場を直ちに閉鎖することは通常の経済人の選ぶところではなく、また、売却前の年間利益の5年分の損失補てんを相当とする理由についての主張・立証もないことから、請求人の主張は採用することができない。さらに、請求人の代表者親子が請求人及び滞納会社の発行済株式又は出資金額の過半を占め、双方の役員を兼ね、滞納会社の代表者も請求人の役員を兼ねていたこと及び本件建物の増築が請求人の計算によりなされてきたことからみて、請求人と滞納会社とは独立の経済人として相対する状況にあったとは認められず、また、請求人が明確な根拠をもって上記損失の額を滞納会社に要求していたとは認められない。
 したがって、請求人が配分を受けるべき金額は、本件土地の評価額及び本件建物の持分に応じた金額とするのが相当であり、それを超える金額について、請求人は滞納会社から無償による利益を受けたものと認められる。

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平成10年2月19日裁決

請求人に相続による納付義務の承継があったことを前提として行われた本件差押処分について、請求人が相続放棄をしているから違法である旨の主張が認められなかった事例

裁決事例集 第55集 1頁

要旨

 請求人は、被相続人の死亡当時被相続人と住所を同じくしており、また、請求人が被相続人の死亡当日に死亡届出を行っているのであるから、被相続人の死亡の日にその事実を知ったものと認めるのが相当である。
 また、請求人らがJセンターへ売却した不動産は、被相続人の死亡により相続財産となり、平成7年3月31日受付で相続を原因として請求人の法定相続分とは異なる持分による所有権移転登記がなされているから、請求人は、遅くとも当該登記受付の日までに、遺産分割協議書に署名捺印することにより被相続人が死亡した事実を知ったことになる。
 以上のとおり、請求人は民法第921条第2号に規定する同法第915条第1項の期間内に相続の放棄をしなかったときに該当するから、請求人がW家裁に相続放棄申述書を提出してなした相続の放棄は、同家裁の受理審判にかかわらず、それが効力を有するための実体的要件を欠いて無効であり、同法第921条の規定により単純承認したものとみなされる。
 したがって、請求人は、民法第920条の規定により、無限に被相続人の権利義務を承継し、相続人として国税通則法第5条第1項及び第2項の規定に基づき、法律上当然に被相続人の滞納国税のうち請求人の法定相続分である4分の1の額725,825円を承継し、この納付義務を負う。
 また、本件差押処分の手続に違法な点はない。

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平成10年1月30日裁決

買取りの申出のあった日から6か月を経過した後に譲渡した場合は、収用交換等の場合の特別控除を適用することはできないとした事例

裁決事例集 第55集 304頁

要旨

 請求人は、収用による譲渡が買取りの申出があった日から6か月を経過した日後にされたことについては争わず、[1]確定申告書に本件事業施行者が発行した本件収用証明書を添付したこと、[2]R県収用委員会が収用裁決の審理のために6か月以上を要したこと、[3]収用による譲渡が買取りの申出があった日から6か月を経過した日後にされた場合であっても、特別控除の適用が認められるとする通達の定めがあること及び[4]本件譲渡については本件特例の適用がある旨の税務相談室職員の指導を受けたことから、本件譲渡については本件特例を適用すべきである旨主張する。
 しかしながら、請求人は、[1]最初に買取りの申出があった日から6か月を経過した日後に本件土地を収用により譲渡したこと及び[2]本件事業施行者に対して補償金の支払請求をしていないことが認められるから、請求人の主張にはいずれも理由がなく、本件譲渡について本件特例を適用することはできない。

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平成10年1月29日裁決

単身赴任者に支給した帰郷交通費は、職務を遂行するための旅行でなく、帰郷に要する交通費の負担を軽減するために支給されたものであるとして、当該単身赴任者に対する給与所得に該当するとした事例

裁決事例集 第55集 273頁

要旨

 請求人は、単身赴任者に支給した帰郷交通費は、所得税法第9条第1項第4号に規定されている非課税とされる旅費である旨主張するが、当該帰郷交通費は、請求人が受給者の帰郷に要する交通費の負担を軽減するため、その費用の一部を補助する目的で給与関係内規の別居手当の一部として支給したものと認められることから、職務を遂行するための旅費には当たらず、同号に規定する非課税とされる旅費には当たらない。

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平成10年1月29日裁決

財産評価基本通達の定めにより配当還元方式で評価されることを利用して贈与税の負担の軽減を図る目的で取得した本件株式については、時価純資産価額を基に評価するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第55集 533頁

要旨

 贈与者が取引相場のない株式である本件株式を取得した目的は、事業から生じる配当を期待したものではなく、本件株式が財産評価基本通達の定めにより配当還元方式で評価されることを利用して贈与税の負担の軽減を図るものと解されるところ、かかる目的のために取得した本件株式については、単に配当を期待するにとどまる少数株主を対象とした特例的な評価方法である配当還元方式を適用すると実質的な租税負担の公平を著しく害することとなるから、本件株式の評価に当たっては、当事者等が客観的な交換価値と認識し、それが不特定多数の当事者間でも通常成立すると認められる価額である時価純資産価額を基に評価するのが相当である。

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