裁決事例 裁決事例集 第53集

裁決事例 裁決事例集 第53集

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平成9年6月30日裁決

1. 借地権利金の全額を年内に受領している場合のその借地権利金を譲渡所得の収入金額にみなされるときにおける譲渡所得の収入すべき時期は、借地権利金の全額を受領した年分であるとした事例 2. 同族会社に支払った6億円の立退料は、譲渡費用に該当しないとした事例 3. 審査請求中に義務的修正申告書を提出しなかったことが国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」に該当するとした事例

裁決事例集 第53集 129頁

要旨

  1.  本件は、借地権利金が譲渡所得の収入金額にみなされる場合に該当するものであるところ、請求人は、A土地については、平成2年7月31日に賃貸借契約が成立しているが、B土地については、他社が使用収益中のため賃貸借契約が成立していないのであるから、同土地に係る借地権利金の収入すべき時期は、平成3年であると主張する。
     しかしながら、[1]請求人は、平成2年7月31日までに両土地の借地権利金の97.5パーセントに相当する金員を受領し、同年8月10日までにはその全額を受領していること、[2]請求人及び賃借人の双方において両土地を一体のものとして取り扱っていること、[3]B土地に係る賃貸借契約が別途取り交わされていないこと、[4]B土地を使用している他社も平成2年7月31日の時点において平成3年3月31日に立ち退くことが確定していたことなどから、B土地についても平成2年7月31日の時点で賃貸借契約が成立しており、資産の増加益の利得が確定的に発生しているものと認められるから、同土地に係る借地権利金の収入すべき時期は、平成2年であると認めるのが相当である。
  2.  請求人は、同族会社との土地の賃貸借契約の解除に際して支払った6億円の立退料は当該土地の譲渡費用に該当すると主張するが、[1]当該土地は、当該同族会社の転貸先が建物、構築物のない状態で駐車場として使用していたこと、[2]当該同族会社から当該転貸先への立退料の支払がないこと、[3]当該同族会社に対する賃貸料の額が固定資産税相当額に近い額であり、実質的には使用貸借に近いものと認められることから、請求人が当該同族会社に対して立退料を支払う必要性は認められず、当該6億円全額を譲渡費用として控除することはできない。
  3.  租税特別措置法第37条の2(特定の事業用資産の買換えの場合の更正の請求、修正申告等)に規定するいわゆる義務的修正申告書を提出する場合に該当する本件の場合、当該修正申告書を提出すれば、納付すべき税額は増額された部分を含む全額が即時確定し、その限りで先になされた更正処分(原処分)は、当該修正申告に吸収されて消滅し、その存在意義を失うと解されていることから、更正処分について審査請求等の不服申立てをしている場合において、当該義務的修正申告書の提出を予定することは、法が不服申立てを認めた趣旨を結果的に没却することとなる。
     したがって、このような場合において、当該義務的修正申告書を提出しなかったことについては、やむを得ない事由があったものと認められ、かかる理由は、国税通則法第65条(過少申告加算税)第4項に規定する正当な理由に該当するから、過少申告加算税の賦課決定処分はその一部を取り消すべきである。
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平成9年6月30日裁決

所得税法第216条の納期の特例の承認を受けた者(納期の特例適用者)の納税告知に係る不納付加算税の計算の基礎となる税額は、その法定納期限までに納付されなかった税額、つまり、1月から6月まで及び7月から12月までの各期間に支払われた給与等に係る未納の源泉所得税額の合計額となるとした事例

裁決事例集 第53集 106頁

要旨

 請求人は、納期の特例適用者であっても、各月の徴収税額を各期間の属する最終月の翌月10日ではなく、それぞれの月の翌月の10日に納付することもでき、各期間の属する最終月の翌月10日までに納付しない月があった場合には、各月ごとの未納源泉所得税額を基礎として不納付加算税額を計算すべきであるとし、請求人の不納付加算税額を各月の源泉所得税額を基礎として計算すると、各月の源泉所得税額は40,000円、不納付加算税の額は各月の源泉所得税額に不納付加算税の割合100分の10を乗じて計算した4,000円となり、同額は国税通則法第119条(国税の確定金額の端数計算等)第4項により全額が切り捨てられることになるので、本件不納付加算税の賦課決定処分は違法である旨主張する。
 しかしながら、納税告知に係る不納付加算税の額は納税告知処分によって納税を告知された税額に100分の10の割合を乗じて算出されるのであって、このことは納期の特例適用者であっても異なるところはなく、納期の特例適用者について不納付加算税の計算の基礎となる税額の算定について異なる扱いをする旨定めた規定はなく、所得税法第216条(源泉徴収に係る所得税の納期の特例)は、同法第183条(源泉徴収義務)第1項に規定する法定納期限である徴収月の翌月の10日に代えて、1月から6月まで及び7月から12月までの各期間の属する最終月の翌月10日をもって法定納期限と規定したものであり、法定納期限として各月の翌月の10日を選択できることを意味するものではないと解される。本件端数計算規定は、税負担の公平に反しない限度において計算等の簡易化を図り、税務行政の能率化及び経済化に資しようというものにすぎないから、納期の特例の承認を受けているか否かで本件端数計算規定の適用を受けられるか否かに違いが生じることがあっても、そのことをもって公平さを欠くとまでは言い難く、納税告知処分に係る不納付加算税の額は納税告知処分によって納税を告知された税額に100分の10の割合を乗じて算出すべきであるとした原処分は相当である。

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平成9年6月26日裁決

優良再開発建築物整備事業における譲渡契約の締結日は、当該事業の事業計画の同意書を作成、提出した日であるとして、居住用財産の譲渡所得の特別控除及び居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用を認めた事例

裁決事例集 第53集 253頁

要旨

 原処分庁は、居住用財産を譲渡した場合の課税の特例における居住用財産とは、居住の用に供している家屋及びその土地等をいい、敷地であった土地等のみを譲渡した場合は、土地等の譲渡に関する契約が家屋を取り壊した日から1年以内に締結されている場合に特例を適用できるとされているところ、本件は、平成5年12月20日作成の売買契約書により本件譲渡資産を譲渡する旨の契約を締結したものと認められるが、本件建物は平成4年3月31日に取り壊されているから、本件売買契約書により請求人が譲渡したのは本件借地権のみと認められ、かつ、本件売買契約は本件建物を取り壊した日から1年以内に締結されていないことから、特例の適用はできない旨主張する。
 しかしながら、本件再開発事業において、本件共同事業施行者が平成3年6月30日付で作成提出した事業計画の同意書には、本件共同事業施行者が保有する資産の価額等、同資産の価額等で取得可能な再開発ビルの区分所有建物等を取得する方法及び譲渡の相手方等が定められており、本件同意書は、本件共同事業施行者がその保有する資産を譲渡する旨の譲渡契約を締結したものと認めるのが相当である。また、平成5年12月20日付で作成された売買契約書は、その作成時点で本件再開発事業がほぼ完了している事実からすると、本件再開発事業の清算の過程を明らかにするために作成されたものと認めるのが相当である。
 そうすると、請求人は、平成3年6月30日に、本件建物及び借地権を譲渡する旨の譲渡契約を締結したものであり、本件建物及び借地権で請求人が居住の用に供していた部分は、居住の用に供さなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までにこれを引き渡したのであるから、居住用財産を譲渡した場合の各特例を適用することができる。

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平成9年6月24日裁決

退職手当金の一部を一時金で受領せず従前の勤務先が営む年金制度の原資に振り替えて受給する年金は公的年金等に該当し、振り替えた原資部分の金額については、雑所得の金額の計算上控除できないとした事例

裁決事例集 第53集 193頁

要旨

 退職手当金の一部を一時金で受給せず、従前の勤務先が営む年金制度の原資に振り替えて受給する本件年金のうち、原資部分の金額は退職時に一時に受給したものではないので、所得税法第30条(退職所得)に規定する退職手当等の収入金額に該当せず、本件年金は、退職手当金相当額の一部を原資として、請求人の従前の勤務先の退職積立金規程に基づいて支給されるものであるから、所得税法第35条(雑所得)第3項第2号に規定する「過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金」であり、同条第2項に規定する公的年金等に該当する。さらに、所得税基本通達35-5に、受給者が年金の原資をきょ出している場合の課税対象額は、当該きょ出額相当額を控除した後の金額とされているが、これは受給者が年金の原資をきょ出している場合の定めであるところ、退職手当金の年金原資への振替えは「きょ出」には該当しないことから、雑所得の金額の計算上原資部分の金額を控除することはできない。

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平成9年6月19日裁決

破産宣告後の更正処分により確定した本件消費税は、破産財団に関して生じたもので財団債権に該当し、したがって、破産管財人に対する本件消費税の滞納を理由とする交付要求処分の取消しを求める審査請求は、不適法なものであるとした事例

裁決事例集 第53集 522頁

要旨

  1.  消費税は、破産宣告後の原因に基づくものであっても「破産財団に関して生じたもの」として財団債権に当たるところ、本件消費税は破産宣告前の原因に基づくものであるから、いずれにしても、財団債権に該当する。
  2.  破産管財人に対する滞納国税の交付要求は、破産管財人に対し既に発生している納税義務について、その弁済を催告するものにすぎないというべきであり、交付要求によって新たに権利義務は発生せず、何ら国民の地位、権利義務に変動を生じさせるものではないことは明らかであるから、本件交付要求は、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に該当せず、したがって、その取消しを求める審査請求は不適法なものである。
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平成9年6月3日裁決

国税通則法第23条第2項第1号及び相続税法第32条第1号に定める更正の請求は、請求人にいずれか有利な規定を適用することはできないとした事例

裁決事例集 第53集 59頁

要旨

  1.  請求人は、本件更正の請求は、国税通則法第23条(更正の請求)第2項第1号及び相続税法第32条(更正の請求の特則)第1号の両規定に基づく請求であり、それらの請求ができることとなった日は本件和解の成立した日の翌日からであるから、その請求の期限は、国税通則法第23条第2項の規定によるのではなく、請求人の有利な相続税法第32条第1号の規定によるべきである旨主張する。
     しかしながら、国税通則法第23条第2項第1号に規定する更正の請求事由と相続税法第32条第1号に規定する更正の請求事由は、その請求事由を異にしていることが認められ、また、相続税法第32条第1号に規定する更正の請求の特則は、相続税法特有の事由であることから、国税通則法第23条に規定する更正の請求の期限後においても後発的事由に基づき更正の請求を認めるために特例的に設けられた特別規定であることからみても、これらの規定は、それぞれ異なった事実関係において適用されるべきものであり、両規定に基づく更正の請求ができると解するのは相当といえない。
  2.  請求人は、本件土地を相続財産から除外すべきであると主張するが、本件土地を相続により取得した財産であるとした当初申告を是正するための更正の請求は、国税通則法第23条第2項第1号の規定に基づくものであり、本件更正の請求は、請求期限を徒過してなされた不適法なものであるから、相続税の課税価格の計算に当たっては、本件土地が相続により取得した財産であることを争い得なくなったことになる。
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平成9年6月2日裁決

請求人がその子会社の債務超過などを理由として売掛金及び貸付金を放棄したことは、いずれも子会社に対する経済的な利益の無償の供与であり、寄付金の額に該当するとした事例

裁決事例集 第53集 293頁

要旨

 法人がその有する債権を放棄し又は他人の債務を負担したような場合には、それは一般的には経済的な利益の無償の供与に当たることとなるから、これらの行為により生じた損失の額は、寄付金の額に該当するというべきであるが、法人がこれらの行為をした場合でも、それが例えばその法人自体の経営危機を招くことを回避するためにやむを得ず行ったものであること等、そのことについて相当の理由があると認められるときは、その行為により生じた損失の額は、寄付金の額に該当しないものと解されるところ、請求人は本件売掛金及び貸付金を放棄したことについては、法人税基本通達9-4-1に定める相当の理由があるといえるから、これらの額は寄付金の額に該当しないと主張するが、請求人は100パーセントの株式を保有する同一商号の新子会社を設立し、対外的には表面上何ら変わらないようにして旧子会社に債務を負わせたまま営業を譲渡したものであるところから、本件売掛金の放棄は、旧子会社に実質的に負債のみを残す内容のものであること、当該譲渡が行われなければ回収も不可能ではなかったと認められることなど、両会社がいずれも請求人の支配する子会社であるためになしえたものと認められる。
 また、本件貸付金は、融資が行われた時点で既に旧子会社から融資金を回収することは困難であったと認められること、さらには、貸付けは旧子会社の解散後に行われており、請求人は当初から回収する意思はなかったと推認されることから、旧子会社の負担すべき損失を代わって負担することにより、旧子会社に対し経済的な利益の無償の供与をしたものであると認められることから、請求人が経済的な利益の無償の供与をしたことについては、同通達に定める相当な理由があるとはいえず、いずれも寄付金の額に該当するというべきである。

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平成9年5月30日裁決

ゴルフ会員権を譲渡した時点において、当該ゴルフ場施設が競売等により他の所有になったことによって当該ゴルフ場施設優先利用権が消滅した場合には、当該ゴルフ会員権の譲渡による損失を他の所得金額と損益通算することはできないとした事例

裁決事例集 第53集 205頁

要旨

 譲渡所得の基因となるゴルフ会員権は、ゴルフ場施設優先利用権と預託金返還請求権が一体となったものであるとされるところ、請求人が本件ゴルフ会員権を譲渡した時点において、本件ゴルフ場施設が経営会社から競売等により他の所有となるなどし、かつ、新所有者が本件ゴルフ会員権に係る債権債務を引き継いでいないことから、本件ゴルフ会員権に内包されていた施設優先利用権は消滅しており、その実質は、金銭債権である預託金返還請求権のみとなっていたものと認められるから、本件ゴルフ会員権の譲渡による損失は、譲渡所得の金額の計算上生じた損失には該当せず、他の所得金額と損益通算をすることはできない。

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平成9年5月30日裁決

請求人の行っている事業は、第三種事業に該当するものではなく、加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業であり、第四種事業に該当するとした事例

裁決事例集 第53集 491頁

要旨

 請求人は、消費税の簡易課税制度の適用についての事業区分において、得意先から表生地の無償支給を受け、自己調達した裏生地及び芯地材並びにその他の副資材を用いてプレタポルテを製造するものであるが、裏生地及び芯地材もプレタポルテの主要な原材料であるから、本件事業は、第三種事業に該当すると主張する。
 しかしながら、裏生地及び芯地材は、あくまでも表生地に付属するものであって、プレタポルテの主要な原材料である表生地の持っている特性を増補あるいは補完することにより衣服としての価値観、機能性を高めるものであるにすぎないから、プレタポルテの主要な原材料であるとは認められないので、本件事業は、加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行なう事業に該当し、第四種事業とするのが相当である。

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平成9年5月28日裁決

軽油引取税の特別徴収義務者に該当しない者が同税相当額を価格に上乗せしても、当該相当額は課税資産の譲渡等の対価の額に含まれるとした事例

裁決事例集 第53集 477頁

要旨

 請求人は、消費税法取扱通達10-1-10には軽油引取税は利用者等が納税義務者となっているので課税資産の譲渡等の対価の額に含まれないと定めているだけで、特約業者と一般の販売業者が軽油を販売する場合では、軽油引取税を課税資産の譲渡等の対価の額に含むか否かの取扱いが異なる旨を当該通達に明記すべきである旨主張するが、地方税法第700条の3第1項によれば、軽油引取税の納税義務者は特約業者から軽油を引き取る者とされており、また、特約業者は特別徴収義務者として軽油引取税を納税義務者から徴収して都道府県に納付すると規定されていることからすると、特約業者にあっては、軽油引取税の特別徴収義務者として納税義務者から軽油引取税に相当する額を預かったにすぎないのであるから、課税資産の譲渡等の対価の額に含まれないが、一般の販売業者にあっては、納税義務者として特別徴収義務者である特約業者に支払った軽油引取税に相当する額を軽油本体の価格に上乗せしたところで顧客に販売するものであり、軽油引取税に相当する額は販売価格の一部にすぎず、課税資産の譲渡等の対価の額に含まれると解される。
 なお、消費税法取扱通達に軽油引取税等個別消費税を限定列挙しているのは、これらの税がすべて特別徴収によって租税を徴収されることにかんがみれば、当該税目の定めは特別徴収義務者に対するものであるものと解するのが相当であり、当該通達に特約業者が販売した場合と一般の販売業者が販売した場合に区別して定める必要はないというべきである。
 また、請求人は消費者が特約業者と一般の販売業者から軽油を購入した場合には、同一商品について税法が「一物二価」を強いることになり、社会的に不公平を生じさせる結果となる旨主張するが、法令を適用することが社会的不公平を生むかどうかなど、法令自体の適否を判断することは当審判所の権限に属さない。
 さらに、請求人は、予備的に、特約業者と一般の販売業者間で軽油委託販売契約を締結し、また、帳票類の軽油の欄に委託販売であることを明らかにすれば、軽油引取税は課税資産の譲渡等の対価の額に含まれない旨主張するが、請求人の販売形態は委託販売によるものではなく、通常の買取りによるものであるから、請求人の主張は採用できない。

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平成9年5月27日裁決

消費税の仕入税額控除の計算を一括比例配分方式で申告したものについて、更正の請求において、個別対応方式に変更することはできないとした事例

裁決事例集 第53集 49頁

要旨

 請求人がいったん一括比例配分方式を選択適用して申告した場合には、仮に、その後において個別対応方式によって計算した仕入控除税額の方が一括比例配分方式によって計算した仕入控除税額を上回り、その結果、消費税の納付すべき税額が少なくなることが判明したとしても、請求人の本件申告書における仕入控除税額は、消費税法第30条(仕入れに係る消費税額の控除)の規定に従って誤りなく計算されたものである以上、国税通則法第23条(更正の請求)第1項第1号にいう「課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律に従っていなかったこと」又は「当該計算に誤りがあったこと」のいずれの要件にも該当せず、したがって、同条に定める更正の請求をすることはできない。

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平成9年5月15日裁決

期限内又は期限後申告にかかわらず、当初の申告書が提出された場合には、その後に帳簿書類が押収されたとしても、国税通則法施行令第6条第1項第3号に規定する「やむを得ない事情」に該当しないとした事例

裁決事例集 第53集 78頁

要旨

 一般的に、国税通則法第23条(更正の請求)第2項第3号及び同法施行令第6条(更正の請求)第1項第3号は納税申告書を提出した者又は同法第25条(決定)による決定を受けた者が、帳簿書類の押収等の事情により、課税標準等又は税額等を計算することができなかった場合において、その後(ただし、納税申告書を提出した者については、同法第23条第1項所定の期間経過後に限る。なお、上記の者による上記期間経過以前の更正の請求は、同項によりすることができる。)、帳簿書類の押収等の事情が消滅した時は、同項の規定にかかわらず、上記事情消滅の時から2か月以内に更正の請求をすることができると規定しているのであって、上記規定は、納税申告書を提出した者については、その提出前に帳簿書類の押収等の事情が生じていたことを前提としており、その後(同法第23条第1項所定の期間経過後)、押収されていた帳簿書類の還付等により上記事情が消滅して、帳簿書類等に基づいて課税標準等又は税額等を計算することによって、帳簿書類に基づく計算をすることができなかった当初の申告に係る納付すべき税額が過大であったこと等が初めて判明した場合に、帳簿書類等に基づき計算した課税標準等又は税額等に従った更正の請求をすることを認めたものであり、期限内又は期限後申告にかかわらず、当初の申告書が提出された場合には、その後に帳簿書類が押収されたとしても、国税通則法施行令第6条第1項第3号に規定する帳簿書類の押収その他やむを得ない事情に該当しない。

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平成9年5月14日裁決

借地権等の売買契約中に売主である被相続人に相続が開始した場合における相続財産は、当該借地権等ではなく、当該売買契約に係る残代金請求権であり、また、既に受領した手付金及び中間金は相続税の計算上債務には当たらないとした事例

裁決事例集 第53集 334頁

要旨

 請求人らは、本件売買契約において売買代金の全額を受領した時点において買主に引き渡す旨の約定があり、また、本件建物には当該建物の買主への所有権移転登記後も被相続人等が居住及び米穀販売業の会社に賃貸しており、さらに、相続開始後も相続人等が買主に地代を支払いながら居住していたのであるから、相続開始時点においては、本件借地権等は買主に引渡しを了していなかったので、売買契約締結後に売主である被相続人に相続が開始した場合の相続財産は、本件借地権等であると主張する。
 しかしながら、[1]本件建物の買主に対する所有権移転登記が本件相続開始前に行われていること、[2]その時点において、売主である被相続人は、本件売買契約代金の約7割を受領していること等の事実から判断すれば、本件相続開始時において、本件借地権等は既に買主に引き渡されたものと認めるのが相当であり、また、相続人らは当該売買契約に係る譲渡所得が被相続人に帰属するとして同人の所得税の修正申告を行い、かつ、当該譲渡所得に係る所得税相当額を本件相続税の計算上の債務として計上すべきとする更正の請求をしていることを総合するならば、請求人らが本件相続により取得した財産は、当該売買契約に係る残代金請求権であると認めるのが相当である。
 なお、請求人らが本件借地権等を明け渡すまでの間に買主に支払った金員は、借地権が買主に移転した以後は家賃に実質的に変化したものと認めるのが相当であるから、この点に関する請求人の主張には理由がない。

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平成9年5月8日裁決

相続税の期限内申告書の提出がなされなかったことについて、国税通則法第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由」がないとした事例

裁決事例集 第53集 96頁

要旨

 請求人は、本件相続税の法定申告期限の数か月前には、相続税の基礎控除額を超える財産を把握しており、しかも、本件相続財産のほぼ全容を知っていたのであるから、本件相続財産の内容を知ったのは法定申告期限の前日であったとの請求人の主張に理由がなく、請求人は相続財産の全容を把握していない以上、期限内申告書を提出できないと認識していたとも考えられるが、そうだとしても、請求人は法定申告期限の数か月前には、相続税の基礎控除額を超える財産を把握していたのであるから、少なくともこれらの財産を基に期限内申告書を提出することは十分可能であったといえるから、期限内申告書の提出がなされなかったことについて国税通則法第66条(無申告加算税)第1項ただし書に規定する「正当な理由」があるとはいえない。

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平成9年4月25日裁決

台帳価格のない土地の価額の算定に当たって、当該土地の売買価額を不動産の価額であるとした場合にも、当該価額に租税特別措置法第84条の3に規定する特例により100分の40を乗じた額によることができるとする法令上の規定はないから、当該土地の価額の算定に当たっては、分筆前の土地の価額の合計額に当該特例に基づき100分の40を乗じた額によるべきであるとした事例

裁決事例集 第53集 525頁

要旨

 請求人は、本件登記申請に係る登録免許税の課税標準の額は、本件土地の売買価額を基礎としてこれに100分の40を乗じて算定すべきであると主張するが、[1]登録免許税法第10条(不動産等の価額)第1項の課税標準たる不動産の価額は、当分の間、台帳価格を基礎として政令で定める価額によることができる旨規定しているものであり、租税特別措置法第84条の3(不動産登記に係る不動産価額の特例)の規定により、当該金額に100分の40を乗じた額が登録免許税の課税標準の額となること及び[2]同規定は、登録免許税法附則第7条(不動産登記に係る不動産価額の特例)の規定により、台帳価格を基礎として登録免許税の課税標準の額を算定する場合に限り適用されるものであって、請求人が主張するところの本件土地の売買価額が課税標準たる不動産の価額であるとした場合についてまでもこれらの規定を適用する旨の法令上の規定はないから、請求人の主張には理由がない。

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平成9年4月15日裁決

社会保険診療報酬に係る不正請求金を、事業廃止後に支払った場合の更正の請求は、国税通則法第23条に該当せず、所得税法第152条による更正の請求をすべきであるとした事例

裁決事例集 第53集 115頁

要旨

 請求人は、社会保険診療報酬に係る不正請求について、不正請求金の返還請求と納入通知を受けた段階で債務が確定したのであるから、国税通則法第23条(更正の請求)第2項及び同法施行令第6条(更正の請求)第1項第1号又は第2号に該当し、返還請求を受けた全額について平成3年分及び4年分の更正の請求を認めるべきである旨主張する。
 無効な行為により経済的成果が失われた場合には、所得税法第51条(資産損失の必要経費算入)第2項及び同法施行令第141条(必要経費に算入される損失の生ずる事由)第3号の規定により資産損失に該当し、当該損失の生じた日が事業廃止後である場合は所得税法第63条(事業を廃止した場合の必要経費の特例)及び同法施行令第179条(事業を廃止した場合の必要経費の特例)の規定により、これをまず事業を廃止した年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入し、なお控除しきれない金額については所得税法第152条(各種所得の金額に異動を生じた場合の更正の請求の特例)により前年分にさかのぼって更正の請求ができることとされている。
 請求人は、事業廃止後に不正請求金の一部を返還しており、現実に返還した金額については、まず平成5年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入し、なお控除しきれない金額については所得税法第152条の規定を適用して平成4年分について更正の請求をすべきである。

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平成9年4月9日裁決

物納申請土地は、いわゆる間口狭小のため単独には通常の用途に供することができない土地に該当するとして「管理又は処分をするのに不適当」と判断した事例

裁決事例集 第53集 456頁

要旨

 請求人は、本件物納申請土地について、売却可能と判断される価格として相続税法の規定に基づき課税を行う一方、これが売却できる見込みのない不動産であるとして物納を認めないのは不合理である旨主張するが、相続税の課税は、相続による財産の取得という事実につき担税力を認めて行われるものであり、一方、物納財産の適否は、国が物納された財産の管理又は処分により金銭納付があった場合と同等の経済的利益を将来現実に確保することができるかという観点から判断されるのであって、ある相続財産について、それが課税価格計算の基礎となった財産であるからといって、そのことから直ちに当該財産が物納財産として適するということにはならず、管理又は処分をするのに不適当とされることもあり得るというべきである。
 本件物納申請土地は、いわゆる間口狭小であって、建築基準法及び△△県建築安全条例によれば建築物の敷地として適していないことはもちろん、自動車の出入りも困難であることから駐車場への転活用も困難であること、そして、原処分庁は、物納財産の管理官庁である○○財務局との協議の結果、現状のままでは管理又は処分をするのに不適当と判断し、請求人に隣接地主との用地買取り交渉等所要の補完を求めたが、結局、補完できなかったことが認められる。
 したがって、本件物納申請土地は現状のままでは売却できる見込みのない不動産であり、管理又は処分をするのに不適当と判断せざるを得ない。

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平成9年4月2日裁決

住宅取得等特別控除の対象となる家屋の取得の対価の額には、不動産仲介手数料や不動産登記費用等は含まれないとした事例

裁決事例集 第53集 283頁

要旨

 請求人は、中古住宅の取得に際して支払った不動産仲介手数料や不動産登記費用等は、家屋の取得に伴う経済的負担を構成する以上、仲介手数料等を家屋の取得の対価の額に含めることは租税特別措置法第41条(住宅の取得等をした場合の所得税額の特別控除)の立法の趣旨に沿うというべきであると主張する。
 ところで、租税特別措置法第41条第1項は、居住用家屋を取得した場合にその取得に係る資金を一定の金融機関等から借り入れた場合には、住宅取得等特別控除の適用がある旨規定している。
 ある支出が「居住用の家屋の取得等に係る請負代金若しくは取得等の対価の額」とするためには、当該支出が居住用に係る構築物等の取得の対価の額に充てられることが一つの要件と解されているところ、仲介手数料等は、家屋と併せて同一の者から取得した対価の額に充てられたものでないこと、また、家屋と仲介手数料等とは実務的に区分計算が困難であるとも認められないから、仲介手数料等は家屋の取得の対価の額に含まれないと解するのが相当である。

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平成9年3月31日裁決

所得税の納税地とは、生活の本拠をいうと解されるところ、各地に住居を有していると認められる納税義務者の生活の本拠は、単に住民登録が異動していることやそこに住居があるといったことのみによることなく、納税義務者の資産の所有状況及びその所在、家族の居住状況、夫婦の同居の推認及び職業等の客観的な事実を総合して判定するのが相当であり、また、国税に関する税務署長の発する書類の送達の効力は、その書類が社会通念上送達を受けるべき者の支配下に入ったと認められる時、すなわち、書類の名あて人がその書類を了知し得る状態になった時にその効力が生ずるとした事例

裁決事例集 第53集 1頁

要旨

 所得税の納税地とは、所得税法第15条(納税地)第1項により、国内に住所を有する納税者にあってはその者の住所地とされており、さらに、その住所とは民法第21条に規定する住所の意義である生活の本拠をいうと解されるところ、所得税法の解釈上、各地に住居を有していると認められる納税義務者の生活の本拠がいずれの土地にあると認めるべきかは、単に住民登録が異動していることやそこに住居があるといったことのみによることなく、納税義務者の資産の所有状況及びその所在、家族の居住状況、夫婦の同居の推認並びに職業等の客観的な事実を総合して判定するのが相当であって、これらの事情を総合判断すれば、請求人が住民登録を異動したことは認められるが、納税地が異動したとはいえない。
 国税通則法第12条(書類の送達)第1項により、書類を交付送達すべき場所はその送達を受けるべき者の住所又は居所(事務所及び事業所を含む)とされ、原処分に係る通知書(本件通知書)の送達場所が請求人の妻の事業所であることが認められるから、本件通知書の交付送達は当該規定に抵触する意味で違法である。しかし、国税通則法において送達に関する規定を設けた趣旨は、国税に関する税務署長の発する書類が、名あて人のもとに確実に、かつ速やかに送達され、その送達によりじ後の手続が適正に進行することを確保することにあるものであって、その書類が社会通念上送達を受けるべき者の支配下に入ったと認められる時、すなわち、書類の名あて人がその書類を了知し得る状態になった時に、書類送達の効力が生ずるものと解されるところ、調査担当職員が請求人の次男に交付した本件通知書は請求人のもとに確実に、かつ速やかに送達されたこと、本件店舗は請求人の妻が請求人と同居している住所地と同じ町内のすぐ近くに所在し、その敷地は請求人の所有名義の土地であることが認められるから、送達に関する瑕疵は極めて軽微なものにとどまり、本件通知書の送達の効力に影響を及ぼすものではなく、原処分の取消事由にはならない。

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平成9年3月31日裁決

請求人は、資力を喪失していないので、相続税法第8条ただし書の適用ができないとした事例

裁決事例集 第53集 356頁

要旨

 請求人は、相続税法第8条(贈与又は遺贈により取得したものとみなす場合-債務免除等)ただし書に規定する資力喪失か否かの判定(所有財産の時価算定)に当たり、[1]株式は平成5年11月25日から30日までの終値の平均値、[2]本件宅地は平成6年分の路線価、[3]本件家屋は固定資産税評価額及び[4]母Kからの相続財産は遺留分によって計算すべきである旨主張する。
 ところで、相続税法第8条ただし書は、第1号に規定する債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合においてその全部又は一部の免除を受けたときには、その債務を弁済することが困難である部分の金額を限度として、贈与税の課税対象から除外する旨規定しており、債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合とは、その者の債務額が積極財産の額を超えるときのように社会通念上支払不能と認められる場合をいうものと解されている。
 そうすると、債務免除があった場合に、当該債務の免除が贈与に該当するか否かの判断は、債務者が債務免除を受けた時点において債務超過であったか否かによることが相当であると認められ、この場合、債務者の財産の価額又は債務額は、債務免除があった時の時価によるのが相当であると解される。
 本件の場合、[1]請求人所有の株式の価額は、平成5年11月25日の終値(1億6,459万円)によるのが相当であり、また、買建ての信用取引の含み損失額は、買建ての約定金額から同日の終値と金利相当額を控除した金額(1億2,492万円)によるのが相当であること、[2]本件宅地の価額は、接面道路、面積及び用途地域が同一である公示地の平成5年及び平成6年の公示価格から比凖し、更に時点修正した価格が相当であり、これに地積と持分(3/4)を乗じた1億4,892万円となること、[3]昭和62年11月に新築した本件家屋の価額は、取得価格1億4,392万円から減価償却費相当額を控除した1億3,096万円が相当であること、[4]請求人が母Kから相続した財産は1億2,682万円、債務等は225万円、税額は1,966万円であることから、請求人が被相続人からa株式会社ほか2銘柄の本件株式の返還義務の免除を受けた平成5年11月25日における請求人の積極財産の額は6億2,905万円、債務等の額は4億5,343万円であり、差引1億7,562万円の超過となり、3,149万円の債務超過という請求人の主張は採用できない。
 したがって、本件株式の返還義務免除7,848万円は、相続税法第8条ただし書に該当しないので、贈与により取得したとみなされるのが相当であり、同法第19条(相続開始前三年以内に贈与があった場合の相続税額)の規定により相続税の課税価格に加算されることとなり、請求人らの相続税の課税価格及び納付すべき税額は、いずれも異議決定を経た後の更正処分の金額と同額であるから、更正処分は適法である。

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平成9年3月28日裁決

本件土地は、請求人が第一次相続で相続したものではなく、当該相続で被相続人が相続したものであり、本件更正登記は請求人が仮装したものであるとした事例

裁決事例集 第53集 317頁

要旨

 請求人は、本件土地は昭和58年に死亡した父に係る第一次相続において請求人が相続したものの、誤って平成6年3月に死亡した被相続人である母が相続する旨の遺産分割協議及び相続登記をしたため、所有権更正登記をした旨主張するが、[1]第一次相続に係る遺産分割協議は、相続人の合意の下に行われていること、[2]当該相続に係る相続税の申告においては、被相続人は配偶者に対する相続税の軽減の規定を適用しており、また、当該申告は、上記遺産分割協議に基づいて行われていることなどからすると、当該遺産分割協議の内容に錯誤はないものと認められ、所有権更正登記は、請求人が、本件土地を本件相続に係る相続財産ではないかのように仮装するために行ったものと認めるのが相当である。

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平成9年3月27日裁決

納税申告書をその法定申告期限に郵便ポストに投函して郵送したが、郵便の取り集め時間後であったため納税申告書の通信日付が翌日となり、期限後申告となった場合は、国税通則法第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由」がないとした事例

裁決事例集 第53集 88頁

要旨

 本件納税申告書は、平成8年3月29日には作成されており、法定申告期限内に税務署に提出できる状況下にあったにもかかわらず、[1]請求人の代表者から本件納税申告書を提出するよう指示を受けた使用人が、職務多忙のため提出することを失念していたこと、[2]請求人は、従来どおり、郵便局から書留扱いで郵送するべきところを失念し、本件ポストに表示されていた郵便物の取り集め時間の確認もしなかったこと、[3]郵便局における郵便物の平日の窓口引受時間は午後7時、速達便に限り同8時であること、[4]本件納税申告書を事務所から距離的に本件ポストと変わらない郵便局から郵送することに何の支障もなかったにもかかわらず、本件ポストに投函して郵送したこと等の状況から判断すると、本件納税申告書が期限後申告書となった事情は、請求人が、本件納税申告書を提出するに当たり当然払うべき注意義務を怠ったことによって生じたものであり、真にやむを得ない事情は認められず、国税通則法第66条(無申告加算税)第1項ただし書に規定する「正当な理由」があるとは認められない。

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平成9年3月10日裁決

本件土地の譲渡は、買取り等の申出日から6月経過後の収用であるから、租税特別措置法第33条の4第3項第1号の規定による5,000万円控除の特例が適用できないとした事例

裁決事例集 第53集 234頁

要旨

 請求人は、P市土地開発公社による譲渡土地の買取りの申出は、信義誠実に行われず、租税特別措置法第33条の4(収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除)第1項の立法趣旨に照らし著しく不当であるという特段の事情があるので、本件長期譲渡所得の金額の計算上、特別控除の特例を認めるべきである旨主張する。
 しかしながら、租税特別措置法第33条の4第3項第1号に規定する「買取り等の申出」は、買取物件の特定及びその対価が明示されておればよいと解されるところ、[1]M国道工事事務所及びP市は、昭和61年6月30日に譲渡土地を含む2.5キロメートル区間の標準地価格を決定したので、P市土地開発公社(代行買収者)は、同年7月から全地権者に用地買収の個別交渉に入り、請求人には、同月24日譲渡土地の買取価格を提示し、買取りの申出から6月以内に譲渡しないと特別控除の特例が適用できなくなるから協力して欲しい旨説得したが、請求人はこれに応じなかったので、昭和61年8月13日付で全地権者に買取申出証明書及び証明書等交付通知書を郵送したこと、[2]P市土地開発公社は、昭和61年8月22日から同62年2月12日の間に請求人に買取りに応ずるよう要請したが、請求人は買取りの申出は脅かしだとして応じなかったこと、[3]M国道工事事務所及びP市は、平成3年2月16日請求人に最終協議額である損失補償額を提示し説明したところ、これに応じなかったので、同事務所は、同月19日付で請求人に譲渡土地の取得に伴う最終損失補償協議書を送付したこと、[4]M県収用委員会は、平成3年12月21日付収用裁決(権利取得日は平成4年2月14日)で、譲渡土地の取得に伴う損失補償額を72,793千円としたことが認められる。
 したがって、土地の買取り等の申出のあった日は、買取申出証明書が送達された昭和61年8月14日、土地の収用の日は平成4年2月14日と認められるから、当該土地の譲渡は同号の要件を満たしていないので、特別控除の特例が適用できないとした本件更正処分は適法である。

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平成9年3月5日裁決

特例物納申請土地である本件貸地は、賃料が近傍類似の民間賃貸実例による平均的賃料と比較して低廉であることから、国において借地契約の円滑な継続が困難な土地に該当し、管理又は処分をするのに不適当な財産と認められるとして、本件特例物納申請土地につき、変更要求通知処分をしたことは相当であるとした事例

裁決事例集 第53集 465頁

要旨

  1.  本件特例物納申請土地の変更要求通知処分は、本件土地が「借地権者に対する賃貸料の低廉な財産に該当し、国において借地契約の円滑な継続が困難」として、変更を求める理由を具体的に明らかにしており、原処分庁は、その認定した事実に基づき管理又は処分をするのに不適当な財産であると認めて変更要求をしたのであるから、これを違法、不当ということはできない。
  2.  原処分庁が採用した算定基準は、物納財産の管理官庁である財務局が物納財産を引き受けた後、引き続き権利者に貸付けを行う場合の貸付料の算定基準であるから、原処分庁がこれを採用したことをもって行政指導の範囲の逸脱と認めることはできず、いわんや、その算定の過程においても本件土地の形状等の個別事情を考慮していることが認められるから、何ら違法、不当とはいえない。
     さらに、基準貸付料980,000円は、原処分庁が調査した近傍類似の民間賃貸実例に基づく年間賃貸料1平方メートル当たり3,424円に本件土地の面積289.07平方メートルを乗じて求めた金額989,775円と比較してみると、その差はきん差であることから、結果として算定された金額にも妥当性が認められるので、請求人の主張は採用できない。
  3.  本件土地の賃料相当損害金(年額600,000円)と上記近傍類似の賃貸料989,775円とを比較したところ40パーセントの開差が生じることから、本件賃料相当損害金は低廉であると言わざるを得ない。また、その増額の可能性についてみた場合においても、裁判所における調停で既に7割の増額が行われているなどの事情を勘案すると、適正額への値上げが容易に実現するとは考えられず、特例物納土地として管理又は処分をするのに不適当な財産と認めるのが相当である。
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平成9年2月18日裁決

1. 遺産の審判分割を原因とする本件各課税処分に重大かつ明白な瑕疵が存在するとは認められず、当然無効でない以上、課税処分とは別個独立の行政処分である本件差押処分の取消しを求めることはできない。 2. 相続財産である本件株券は適法、有効に発行されたものと認められるところ、原処分庁は、その交付請求権の差押権者として取立権を行使し、給付を受けて有価証券として差押処分をしたものであり、本件差押処分は適法、有効である。 3. 公売期日に公売が実施されず、その期日が経過しており、本件公売処分は不存在であるから、審査請求はその対象を欠く不適法なものとして却下すべきある。

裁決事例集 第53集 507頁

要旨

  1.  本件各課税処分は、家庭裁判所の審判により未分割の遺産に係る分割が確定し、共同相続人において修正申告書の提出又は更正の請求がされ、請求人に対し更正処分が行われたものであり、本件各課税処分に請求人の主張する重大かつ明白な瑕疵が存在するとは認められず、他に本件各課税処分を当然に無効とすべき特段の事由も認められない。
     課税処分と差押処分とは、それぞれ目的及び効果を異にする別個の手続による行政処分であって、本件各課税処分が当然無効でない以上、差押処分の取消しを求めることはできない。
  2.  本件株券は、商法第225条に規定する記載事項を具備していること、H株式会社はその定款に株券の発行に関し株主総会又は取締役会の決議を要する旨の定めをしていないこと等、その発行は適法、有効と認められ、また、原処分庁は、国税徴収法第67条(差し押えた債権の取立)第1項の規定に基づき、本件株券交付請求権の差押権者としてその取立権を行使し、H株式会社から株券の給付を受けたものであり、取り立てた本件株券を同条第2項の規定に基づき有価証券として同法第56条(差押の手続及び効力発生時期等)の規定に従い差し押さえたのであるから、請求人の主張する本件株券の無効、差押処分の取消しの請求には理由がない。
  3.  本件公売処分は、原処分庁の平成7年9月20日付の公売中止通知書をもって中止する旨が請求人に通知され、上記公売期日には公売は実施されず、その期日が経過したことが認められる。また、公売に関する各規定によれば、公売を中止した後、再びその財産を公売する場合には改めて公売期日を定め、公売広告以下の手続を踏まなければならないことは明らかである。
     公売期日に公売が実施されず、その期日が経過したことは、公売処分は不存在ということになるから、審査請求はその対象を欠く不適法なものとして却下すべきである。
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平成9年2月17日裁決

農業の主たる従事者の死亡により、市町村長に買取りの申出ができる生産緑地の価額は、生産緑地でないものとして評価した価額から、その価額に100分の5の割合を乗じて計算した金額を控除した価額で評価するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第53集 442頁

要旨

 請求人は、財産評価基本通達40-2(生産緑地の評価)の(2)に定める買取りの申出ができる生産緑地とは、課税時期において、被相続人が市町村長に対し生産緑地買取申出書の提出済み又は買取り申出の手続中のものに限る旨主張する。
 ところで、相続税法第22条(評価の原則)は、相続により取得した財産の価額について取得時の時価と規定しているところ、生産緑地に指定された場合は、指定告示日から30年間は建築物の新築、宅地造成等の行為制限が付され(生産緑地法第8条)、指定告示日から30年経過又は農業の主たる従事者の死亡により、市町村長に対して生産緑地を時価で買取りの申出ができる(同法第10条)こととされている。
 生産緑地の評価について、相続税法第22条の規定を受けて財産評価基本通達40-2の(1)は、行為制限の解除の前提となっている買取りの申出をすることができる日までの期間に応じて定めた一定の割合を減額して評価することとしており、また、主たる従事者が死亡したときは、同通達40-2の(2)により、生産緑地でないものとして評価した価額から、その価額に100分の5の割合を乗じて計算した金額を控除した価額で評価することとしているが、これは、農業の主たる従事者の死亡を前提とした買取り申出の手続を同従事者が行うことを予定したものとは考えられず、農業の主たる従事者が死亡したときは、当該生産緑地を相続により取得した相続人が買取りの申出をすることができる場合を予定したものと解されるから、請求人の主張には理由がない。
 したがって、財産評価基本通達40-2の(2)に定めに基づき本件生産緑地の価額を生産緑地でないものとして評価した価額から、その価額に100分の5の割合を乗じて計算した金額を控除した価額で評価した本件更正処分は適法である。

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平成9年2月6日裁決

A土地及びB土地の評価については、取引事例及び公示価格を基に土地価格比準表の地域格差及び個別格差の補正率を適用して算定し、また、X社の出資の評価については、評価差額に対する51パーセントの法人税等相当額が控除できないとした事例

裁決事例集 第53集 400頁

要旨

 請求人は、[1]A土地及びB土地の鑑定評価額をもって課税価格とすべきであり、[2]X社の出資の評価に当たり、評価差額に対する51パーセントの法人税等相当額を控除すべきである旨主張する。
 しかしながら、請求人の鑑定評価書には種々の問題があり、また、原処分庁の評価方法による価額は時価の証明にならないことから、審判所が、取引事例及び公示価格を基に土地価格比準表の地域格差及び個別格差の補正率を適用しA土地及びB土地の価額を算定すると、[1]A土地の標準的画地価格は、取引事例に基づく比準価格とA公示地を規準とした規準価格の平均額に街路条件等の個別格差率、地積及び持分を乗ずると3億6,349万円となり、[2]B土地の標準的画地価格は、取引事例に基づく比準価格とC公示地を規準とした規準価格の平均額に行政的条件等の個別格差率及び地積を乗ずると5億4,526万円となり、この額から借家人の権利21パーセントを控除すると4億3,075万円となることから、これらの価額は、更正処分の額を上回り、更正処分に違法は認められない。
 また、出資の評価については、[1]現物出資により被相続人が取得したX社の出資400口を財産評価基本通達の純資産価額方式により評価すると、その価額は時価26億円のものを400万円(5万円×80口)で法人が受け入れた結果、多額の評価差額が生ずることとなり、[2]X社の出資の評価に当たり、評価差額に対する51パーセントの法人税等相当額が控除されることに着目して行われたことが容易に推認でき、[3]具体的には、X社の出資400口を13億円と評価し、その取得資金である借入金26億円を債務に計上すると、差額の約13億円が他の相続財産の価額から控除される結果、これらの行動を取らなかった者と相続税額の負担に多額の差が生ずることとなることから、し意的に作りだされた評価差額に対して51パーセントの法人税等相当額が控除できないとした更正処分は適法である。

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平成9年1月29日裁決

公正証書による財産の贈与時期は、公正証書が作成された日ではなく、本件不動産に係る所有権の移転登記がされた日であるとした事例

裁決事例集 第53集 381頁

要旨

 請求人は、公正証書による財産の贈与時期は、本件不動産に係る所有権の移転登記がされた日ではなく、公正証書が作成された日である旨主張する。
 しかしながら、[1]贈与税課税の除斥期間が経過するまで所有権の移転登記がされていないこと、[2]公正証書の作成目的が租税回避以外の必要性がないこと及び[3]公正証書の記載内容と異なる行為が行われていることから、当該公正証書は実態を伴わない形式的な文書と認めるのが相当であり、これにより贈与が成立したとは認められない。
 したがって、本件不動産の贈与の成立した日は、第三者に対抗するための法律要件が成就した日(所有権移転登記が行われた日)と認めるのが相当であるから、本件決定処分は適法である。

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平成9年1月24日裁決

譲渡資産の所有期間が譲渡の年の1月1日において10年を超えているかどうかについて、譲渡資産の取得時期を引渡しを受けた時期により判定した事例

裁決事例集 第53集 220頁

要旨

 本件譲渡について、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例を適用するためには、本件譲渡資産の取得時期が昭和55年1月1日以前であることが必要であるところ、[1]本件譲渡者の住民票上における本件譲渡資産の所在地への異動の記載の事実のみをもって当該資産の取得の時期を証明したことにはならず、[2]本件建物の引渡時期及び建築代金の残金の支払状況に照らせば、本件建物の本件譲渡者への引渡しは、早くとも昭和55年2月14日以降になされたものと認められるから、本件譲渡について本件特例を適用することはできない。

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平成9年1月21日裁決

代償金を支払って取得した相続土地を譲渡した場合の取得費の額に加算する相続税額の計算に当たり、当該代償金の額を圧縮した原処分は相当であるとした事例

裁決事例集 第53集 275頁

要旨

 請求人は、租税特別措置法通達39-14(代償金を支払って取得した相続財産を譲渡した場合の取得費加算額の計算)は、納税者に不利になる取扱いをするものであり、租税法規の解釈に反するものであるから、更正処分は取り消されるべきである旨主張する。
 しかしながら、租税特別措置法第39条(相続財産に係る譲渡所得の課税の特例)は、相続により財産を取得した個人で納付すべき相続税額が算出された者が、相続税の課税対象となった財産を一定期間内に譲渡した場合には、相続税と所得税が課税され租税負担が重くなることから、譲渡所得の計算上、譲渡資産に対応する相続税相当額を取得費に準じて扱うことを目的として創設された制度の趣旨からすると、代償金を支払って取得した相続財産を譲渡した場合において、譲渡土地に対応する相続税相当額を上回る部分についてまで同条が認めたものではないと解するのが相当であるから、原処分庁の計算方法は、同条の規定の趣旨に即した合理的なものと認められる。
 したがって、原処分庁が譲渡土地の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上、取得費の額に加算される相続税額の算定において、これに相当する代償金を控除した更正処分は適法である。

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