裁決事例 裁決事例集 第26集
要旨
請求人は、譲渡物件を一括して譲渡したにもかかわらず、これを年を異にして譲渡した旨の契約書を作成し、さらに、受領した代金のうち2分の1を超える金額を譲受人からの借入金であるとする仮装の借用証書を作成するなど、真実の取引に基づかない契約書等を基に所得金額等を算定して申告していることは、国税通則法第68条第1項に規定する事実の隠ぺい又は仮装に該当する。
要旨
法人税法第57条によれば、確定申告書を提出する法人の各事業年度開始の日前5年以内に開始した青色申告事業年度に生じた欠損金額がある場合には、当該欠損金額に相当する金額は各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することとなっており、その際、損金の額に算入される欠損金額に相当する金額を法人税申告書に記載することは、その適用要件とされていないから、当該金額は法人税申告書の別表一(一)及び別表七の所定欄の記載の有無に関係なく、各事業年度の正当な欠損金額を基礎として算定されるものであり、法人税申告書への繰越欠損金の記載誤りによる過大控除は、繰越控除を行った事業年度で是正すれば足りるというべきである。
要旨
請求人の代表者は、外国に住所の登録をなし、同地を拠点として、市場調査、契約の確保等のため世界各地に出張していることから同人は所得税法上の居住者に該当しないと請求人は主張するが、所得税法第2条第1項第3号にいう国内に住所を有する個人とは国内の生活の本拠を有する個人をいい、生活の本拠については客観的事実によって判定されると解されるところ、同人は国内に、土地、建物を所有し、そこに妻子を居住させ、請求人の代表取締役としての職務に従事していること及び代表者が住所を登録している外国の滞在日数は年間を通じ10日程度にすぎないことから、同人は国内に住所を有するものであって、所得税法上の居住者に該当するというべきである。
要旨
青色申告者の帳簿書類の備付け等とは、単に帳簿書類が物理的に存在するというだけでなく、担当職員の求めに応じてそれを提示することを当然の前提としており、担当職員から帳簿書類の提示を求められたにもかかわらず正当な理由がなくしてこれを提示しない場合には、帳簿書類の備付け等がないものとみるべきであると解されているところ、原処分庁の担当職員が請求人の所得税の調査のため必要であるとして請求人に帳簿書類の提示を求めたことに対し、請求人が具体的な調査理由が開示されてないとの理由でその提示を拒否しているが、これは帳簿書類の不提示の正当な理由にはならないから、帳簿書類の備付け等がないものとして、所得税法第150条第1項第1号を適用して青色申告の承認の取消しをおこなったことは相当である。
要旨
請求人は、その有する本件家屋及び転借権を借地人に譲渡し、借地人から交換取得資産を取得したもので、直接建築業者との交換ではないから、租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前のもの)第37条の5の適用がないと原処分庁は主張するが、請求人の譲渡資産(本件家屋の敷地に係る土地の上に存する権利)と交換取得資産との交換は、借地人を経由した交換ではなく、交換取得資産を建築した業者との間で直接交換したものと認められるから、同条の適用がないとした原処分は相当でない。
要旨
滞納会社が土地の譲渡代金の一部を同社の役員である請求人の債務の弁済に充当したことは、請求人が同社から利益を受けたものであると原処分庁は主張するが、請求人は滞納会社が本件土地を取得した際、その取得代金を滞納会社に立替えていて、当該立替えによる債権を有していたことから、滞納会社は当該立替金を請求人に返済したものと認められる。
したがって、請求人は滞納会社から利益を受けていないのであるから、請求人に対する第二次納税義務の告知処分は違法である。
要旨
請求人は、差し押さえられた供託金の取戻請求権及び供託金利息の支払請求権が、当該供託金の出捐者及び実質上の供託者である請求人に帰属すると主張するが、供託法上は第三者供託の手続を経ない限り、供託名義人が本件請求権を有するものと解されるところ、供託書によれば供託名義人は滞納者であって、請求人による第三者供託はなされていないこと及び滞納者が本件請求権を原処分庁により差し押さえられる前に、請求人に対し譲渡した事実は認められないことなどから、本件請求権は滞納者に帰属するものと認定するのが相当である。
要旨
借室の明渡しの際にその賃貸人から収受した金員は、借入金並びに請求人が建築予定の自社ビルの一部を賃貸人が借りることとなる部分の保証金及び前受家賃であって、立退料ではないと請求人は主張するが、[1]金銭消費貸借契約書に記載されている返済期限後においても借入金を返済していないこと、[2]保証金及び前受家賃は、上記契約書上において賃貸人が請求人の自社ビル賃貸履行の有無にかかわらず返済義務を負わないこととされていること、[3]請求人は自社ビルの建築を具体化させていないこと、[4]受領した金員は他の賃借人の立退料の額と近似していることなどから、これらの金員は立退料と認められる。
要旨
国税通則法第72条第3項において準用されている民法上の時効の中断事由となる裁判上の請求には、債務者が提起した債務不存在確認訴訟において債権者が自己の債権を主張して応訴する行為も含まれるものと解されているところ、本件過少申告加算税の基因となった相続税の更正の取消訴訟においては、本件加算税も争われ、これについて原処分庁も応訴し、当該訴訟が現在裁判所において審理中であることは明らかであるから、本件加算税についての徴収権の消滅時効は中断すると解するのが相当である。
要旨
請求人が当事業年度の決算賞与として、決算期末に支給したとする従業員賞与(本件賞与という。)については、[1]その支給日、各人ごとの支給金額及びそれを定期預金として請求人が保管することを各従業員に周知させていないこと、[2]本件賞与から源泉所得税等を控除した残額が、経理担当職員名義あるいは各従業員名義の定期預金とされ、その定期預金証書は、各従業員に交付されず、使用印鑑と共に請求人が一括保管していたこと、[3]当該定期預金は翌事業年度において3回にわたって解約され各従業員に現金で支払われていること、[4]当該定期預金の利息は代表者が現金で受け取り、調査日現在なお、請求人の金庫で保管していたことなどの事実を総合勘案すると、当該定期預金は、解約されて各従業員に支払われるまでの間、各従業員が自由に処分し得る状態にあったものではなく、請求人に帰属していたと認めるのが相当であるから、本件賞与は、当事業年度において各従業員に支給されたものとは認められない。
要旨
被相続人が死亡したため相続人がその事業を承継した場合において、両者に継続雇用されている従業員に係る当該死亡時までの期間の退職金相当額は、その事業が継続し従業員について退職の事実もないところから、相続開始時に存在し、かつ、確定した債務に該当しないと認められ、死亡した事業主の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
要旨
租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前のもの)第63条は、破産宣告を受けた法人の破産管財人が換価のために行う土地の譲渡には適用がないと請求人は主張するが、同条の規定は、法人税の納税義務のあるすべての法人を適用対象としており、これら法人が昭和44年1月1日以後に取得した土地を譲渡した場合は、国、地方公共団体に対する譲渡等特別な場合を除いてすべて同条が適用されるところ、本件土地は破産会社が昭和45年10月31日に取得したものでその譲渡について上記の特別な場合に該当しないことから、本件土地の譲渡が同条の土地重課税の対象となることは明らかである。
要旨
請求人が長男に係る異常とすべき態様による債務の弁済を4年間にわたり繰り返し行い、かつ、その求償権を放棄することは、通常第三者では到底なし得ないところであり、これをあえて行ったのは、請求人が長男の更生を期待するためにした利益の供与(贈与)というほかはなく、長男に弁済能力がないことを知りながらあえてこれを行ったものであり、所得税法第64条第2項の規定を適用する余地はない。
要旨
請求人とバスガイドとの間で、[1]労務提供の期間と1か月の基準従事日数、[2]ガイド料としての契約金額、早朝・深夜手当の額、[3]契約金額を契約月数で除した月割額の支払日、[4]従業員と同程度の食事代、宿泊料の支給に関する約定があり、また、契約期間中は請求人以外の労務には従事していないこと及びガイドプランの失敗に伴い損害賠償の責任はないこと等の実情からみて、本件ガイドは、雇用契約に基づき、請求人の指揮命令に従い、非独立的に労務を提供しているものと認められ、その対価としての金員は所得税法第28条第1項に規定する給与等に該当する。
要旨
請求人が本件家屋の所在地に住民登録したのは、住宅公団の地元居住者優先分譲を受けるためであって、本件申告書に添付するために住民登録を異動させたものでないことが認められ、また、譲渡する前に本件家屋に一時的に仮住まいしていたので租税特別措置法第35条の規定に該当すると信じて、住民票の写しを添付したことがうかがわれることから、請求人に仮装の意図があったとは認められず、したがって、重加算税を賦課することは相当でない。
要旨
請求人は、相続財産の分割については現在係争中で所有権の帰すうは全体として不安定であるから、不動産所得の納税義務は発生していない旨主張するが、未分割の相続財産の賃貸から生ずる不動産所得は、年の経過とともに実現し、各共同相続人の法定相続分に応じて各相続人に帰属するものと解するのが相当である。
要旨
租税条約第7条第3項の規定については、同条第2項のいわゆる独立企業の原則の規定を受けて、「恒久的施設のために生じた費用は発生の場所のいかんを問わない」旨を明確にした確認規定と解されており、これは法人税法施行令第188条第1項第1号の国内源泉所得に係る費用は「合理的な基準を用いて国内において行う事業に配分されたものに限る」旨の規定と本質的には同趣旨のものとみるのが相当である。
したがって、請求人が係争年度において、日本支店に配賦した本店経費中に含まれている役員賞与については、法人税法第142条の規定によって同法第35条第1項の規定が適用されることは明らかであるから、国内源泉所得の金額の計算上、これを損金の額に算入することはできない。
要旨
請求人の所有に係る本件土地は、都市計画法の規定による近隣商業地域内にあり建築基準法等の規定による中高層建築物の高さについての制限も受けていないことから、本件建物の建築により具体的な土地の利用価値が低下したとする因果関係の存在は、明確でなく、仮に若干の土地の利用価値の低下があったとしても社会通念上、この程度のものは受忍すべき範囲内であると考えられ、また、建築業者と請求人との間に当該金員の授受の合意が行われるに際して日照阻害に基因する具体的な損害の予測やその額の見積りを行っていない事実から、隣接地のマンション建築工事に伴い授受した補償料の金員は本件建物の建設に反対を受けた建築業者が請求人の同意を受けるために支払った一種の紛争解決金とみるのが相当であり所得税法第34条に規定する一時所得に該当する。
要旨
請求人と関連会社である外国法人との間の債権債務の相殺残高について、[1]当該残高は、いずれの取引に係わる債権と債務を相殺するのかを特定しないまま相殺した後の残高であること、[2]当該残高に対しては、外国法人が本国で資金調達をする際の通常利率により計算した利息が毎月付されていること、[3]当該残高の大部分は、外国法人からの資金援助によって占められていることなどから、当該残高は、実質的には外国法人の請求人に対する貸付金であり、本件利息はこの貸付金について計算されたもので、当該外国法人の国内源泉所得に該当する。
要旨
差押えに係る本件債権の譲渡については、譲渡人たる請求人と債務者との間で民法第467条の規定による確定日付のある証書による通知又は承諾が行われておらず、請求人は本件債権の譲渡を理由として第三者たる原処分庁に対抗できないものであるから、差押えに係る債権が第三者に帰属するとの請求人の主張には理由がない。
要旨
所有不動産について負担する固定資産税等が、不動産所得を生ずべき業務について生じた費用となるためには、一般的には、当該不動産が貸し付けられ、不動産所得を生ずべき業務の用に供されていることを要するものというべきであるところ、本件土地は、貸付けに係る業務のために保有されているものとは認められず、新たに貸し付けるための準備等がされているにすぎないから、本件土地に係る固定資産税は不動産所得を生ずべき業務について生じた費用とはいえない。
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