裁決事例 平成24年(2012年)

裁決事例 平成24年(2012年)

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平成24年12月20日裁決

裁判上の和解により取り消された配当に係る源泉所得税について、申告等の手続により還付を求めることはできないとした事例

裁決事例集 第89集

要旨

 請求人は、裁判上の和解(本件和解)により取り消された配当(本件配当)について源泉徴収された所得税の額(本件源泉所得税)は、所得税法第181条《源泉徴収義務》の規定に基づいて適法に徴収・納税されたものであるから、適法に源泉徴収された年金について受給者が申告等の手続で精算することを認めた最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決(本件最高裁判決)を準用し、申告等の手続によって精算できる旨主張する。
 しかしながら、本件和解により本件配当が取り消された後は、本件配当はその支払の時点まで遡って無効となるのであるから、所得税法第181条の源泉徴収義務の適用対象とならず、本件源泉所得税は、同法第120条《確定所得申告》第1項第5号の「源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額」には該当しない。また、本件最高裁判決は、生命保険契約等に基づく年金に係る源泉徴収義務について判断したものであり、源泉徴収義務についての法令の根拠がなくなった源泉所得税についてまでも申告等の手続においてその精算を認めたものではない。

参照条文等

所得税法第120条第1項第5号第181条第1項第207条

参考判決・裁決

最高裁平成4年2月18日第三小法廷判決(民集46巻2号77頁) 最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決(民集64巻5号1277頁)

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平成24年12月14日裁決

更正処分をする場合の相続税法第17条のあん分割合は、原則として端数調整することなく各共同相続人の相続税額を計算するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、相続税の更正処分をする場合に、相続税法第17条のあん分割合について、共同相続人が当初申告において選択した端数調整方法を用いることができるのは、当該更正処分の前後において各共同相続人全員の相続税の課税価格に増減がない場合等、極めて限定的な場合であり、それ以外の場合には、端数調整することなく相続税額を計算するのが相当としたものである。

要旨

 原処分庁は、相続税の本件各更正処分において、相続税法第17条《各相続人等の相続税額》のあん分割合について、請求人らが当初申告において選択した端数調整方法により相続税額を計算している。
 しかしながら、相続税法基本通達17-1《あん分割合》は、更正処分をする場合において、相続又は遺贈により財産を取得した者(財産取得者)全員が選択した端数調整方法によって相続税額を計算することができる旨定めているものの、この定めは任意とするものであり、これは、各財産取得者が当初申告した取得財産及びその評価額につき、更正においては異なる判断がされることが多く、各財産取得者が当初申告において選択した端数調整方法を用いると、各財産取得者全員又は一部の者の意に反する結果となるおそれがあるからであると解される。したがって、更正する場合において、各財産取得者が当初申告において選択した端数調整方法を用いることができるのは、例えば、更正の前後において各財産取得者全員の相続税の課税価格に増減がない場合等、極めて限定的に解するのが相当である。本件においては、請求人らの各課税価格は、本件各更正処分の前後おいて異なることから、本件各更正処分におけるあん分割合は、請求人らが選択した端数調整方法に依拠せずに、端数調整することなく、相続税額を計算するのが相当である。

参照条文等

相続税法第17条 相続税法基本通達17-1

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平成24年12月13日裁決

相続人の一人が遺産分割により取得し同族会社に一括貸ししていた単独所有地及び共有地の評価単位は、全体を一画地として評価するのが相当とした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、相続人の一人が遺産分割により取得した単独所有地及び共有地(いずれも立体駐車場の敷地)について、当該共有地が、遺産分割の前後を通じて当該単独所有地と同一の用途に供される蓋然性が高いと認められる場合には、共有地であることによる使用等の制約は実質的には認められないから、当該単独所有地と区分して評価する必要はないとしたものである。

要旨

 ①原処分庁は、請求人らが相続により取得した一団の雑種地(本件各雑種地)は、その一部について、共有者の有無及び共有持分の割合が異なるため、5区画に区分した評価単位により評価すべきとし、開発許可を要する面積の基準を上回る1区画のみを財産評価基本通達24-4《広大地の評価》に定める広大地として評価すべきである旨主張し、他方②請求人らは、本件各雑種地については、一部の雑種地が共有となっているものの、全体が同族法人に賃貸され、当該法人が立体駐車場の敷地として利用していた土地であることから、全体を一つの評価単位により評価すべきであり、広大地として評価すべきである旨主張する。
 しかしながら、①本件各雑種地は、堅固な立体駐車場の敷地として一括で貸し付けられ、一括して貸付けの用に供されていたことなどから、当該相続に係る遺産分割後も同一の用途に供される蓋然性が高いと認められる状況にあり、一部が共有地であることによる使用、収益及び処分の制約が実質的にないものと認められ、その利用状況、権利関係等から、全体を一つの評価単位により評価すべきであるが、②本件各雑種地の属する幹線道路沿いの地域における標準的使用は、商業施設等の敷地であり、本件各雑種地を当該地域の標準的使用に係る敷地の地積に区分したとしても、開発行為を行うに際して公共公益的施設用地の負担が必要であるとは認められないことから、本件各雑種地は、広大地には該当しないものとして評価すべきである。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達77-2

参考判決・裁決

静岡地裁平成19年7月12日判決(税資257号順号10752) 平成22年7月22日裁決(裁決事例集No.80)

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平成24年12月6日裁決

債権の差押処分について、その財産の帰属を誤ったとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、会社分割(新設分割)の対象とされた敷金返還請求権の帰属を、新設会社である請求人にあるとしたものである。

要旨

 原処分庁は、会社分割(新設分割)の対象とされた敷金返還請求権(本件債権)には、賃貸借契約において譲渡禁止の特約が定められている上、第三債務者は本件債権の承継について承諾していないことからすれば、本件債権は滞納法人に帰属する財産である旨主張する。
 しかしながら、譲渡禁止特約のある指名債権を譲受人が特約の存在を知って譲り受けた場合でも、債務者がその譲渡について承諾を与えたときは、当該債権譲渡は譲渡の時に遡って有効となると解されるところ、滞納法人は、第三債務者に対し本件債権を請求人に承継した旨の通知を行い、第三債務者は原処分庁の行った債権差押え(本件差押処分)より前に、本件債権が滞納法人から請求人に承継されたことについて書面による承諾をしたものと認めるのが相当である。したがって、本件差押処分は本件債権の移転に劣後しているので、本件差押処分は請求人に帰属する財産に対してなされた違法な処分である。

参照条文等

国税徴収法第62条

参考判決・裁決

最高裁昭和52年3月17日第一小法廷判決(民集31巻2号308頁)

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平成24年12月5日裁決

住宅借入金等特別控除の対象となる「居住用家屋」とは、個人が当該家屋を2以上有する場合には、「その者が主としてその居住の用に供すると認められる一の家屋」をいうとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本件は、「居住用家屋」を複数有している場合には、①「主たる居住用家屋」をその取得の日から6月以内に居住の用に供し、かつ、②①の居住日以後その年の12月31日まで引き続き当該「主たる居住用家屋」を居住の用に供している場合にのみ、住宅借入金等特別控除の適用があるとした事例である。

要旨

 請求人は、住所地であるⅰ県所在の家屋(本件D家屋)のほかに、平成20年にa市所在の家屋(本件E家屋)を取得し、かつ、本件E家屋をその取得の日から6月以内に居住の用に供しているから、住所地をⅰ県からa市に異動した日の属する平成22年分の所得税について、本件E家屋を対象として住宅借入金等特別控除の適用を認めるべきである旨主張する。
 しかしながら、租税特別措置法第41条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第1項に規定する住宅借入金等特別控除の対象となる「居住用家屋」とは、租税特別措置法施行令第26条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第1項に規定する「個人がその居住の用に供する家屋」を指し、個人が当該家屋を2以上有する場合には、「その者が主としてその居住の用に供すると認められる一の家屋」(主たる居住用家屋)をいうものと解されるところ、請求人は、本件E家屋の取得後6月以内に居住の用に供したときまでの間に、同家屋の生活環境を整え、その後、定期的にa市へ赴いた際に、日常生活の拠点として同家屋を利用していたものの、毎月の大半の日を本件D家屋で起居していたのであるから、上記期間中、請求人は、各家屋相互間の比較において、本件D家屋を中心として日常生活を送っていたものであり、同家屋が請求人の主たる生活の拠点として利用されていた家屋、すなわち「主たる居住用家屋」であったと認められる。他方で、上記期間中、本件E家屋は、請求人の「主たる居住用家屋」ではなく、住宅借入金等特別控除の対象となる「居住用家屋」には当たらないから、請求人は、本件E家屋を対象として住宅借入金等特別控除の適用を受けることができない。

参照条文等

租税特別措置法(平成21年法律第13号による改正前のもの)第41条第1項 租税特別措置法施行令第26条第1項

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平成24年12月5日裁決

台帳価格に土地の現況が反映されておらず、当該台帳価格が登録免許税法第10条第1項に規定する価額(時価)を超えていることから、当該時価を公示価格を基に算定した事例

裁決事例集 第89集

要旨

 原処分庁は、請求人が取得した本件土地の登録免許税の課税標準たる価額について、登記を行った年度の固定資産課税台帳に登録された価額(台帳価格)となる旨主張する。
 しかしながら、登録免許税法第10条《不動産等の価額》第1項に規定する不動産の価額と同法附則第7条《不動産登記に係る不動産価額の特例》に規定する台帳価格の関係については、台帳価格が何らかの理由により不動産の時価を表していない場合には、他の方法により求めた不動産の価額(時価)を課税標準として採用することができると解するのが相当であるところ、本件土地は、登記を行った年度の台帳価格の基準日において無道路地であったと認められるのに対し、当該台帳価格は無道路地としての評価がなされていなかったと認められることから、当該台帳価格が時価を表していない場合も想定される。そこで、当審判所が土地価格比準表に準拠して公示価格を基に本件土地の時価を求めたところ、登記を行った年度の台帳価格を下回るものとなり、本件土地については他に時価を求める合理的な手法が見当たらないことからすれば、本件土地の登録免許税の課税標準たる価額は、当審判所が求めた価額とするのが相当である。

参照条文等

登録免許税法第10条、附則第7条

参考判決・裁決

平成24年1月24日裁決(裁決事例集No.86)

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平成24年12月4日裁決

請求人を代表取締役とする同族会社の収入として計上された不動産の賃貸料は請求人に帰属するとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、請求人を代表取締役とする同族会社の収入として計上された不動産の賃貸料について、当該不動産の真実の所有者及び賃貸借契約における真実の賃貸人はいずれも請求人であると認められるから、請求人に帰属するとしたものである。

要旨

 請求人は、賃貸物件である各建物(本件各建物)の登記名義人及び賃貸借契約(本件各賃貸借契約)の賃貸名義人は請求人となっているが、本件各建物は請求人から請求人を代表取締役とする同族会社(本件法人)に譲渡したものであり、本件各建物の実質的な所有者は本件法人であるから、本件各賃貸借契約に基づく賃貸料収入(本件賃貸料収入)は本件法人に帰属する旨主張する。
 しかしながら、本件各建物の所有権の登記名義人を本件法人とすることができない特段の事情はなく、本件各建物の真実の所有者は請求人であるとの推定を覆す合理的な根拠も見当たらない上、本件各建物の本件法人への譲渡もその取引としての実態が存在しない。また、本件各賃貸借契約の賃貸名義人を本件法人とせず、請求人として締結しており、本件各賃貸借契約の賃貸人を本件法人に変更できない特段の事情も見当たらないことから、本件各賃貸借契約の真実の賃貸人は請求人であると認められる。したがって、本件各建物の真実の所有者及び本件各賃貸借契約における真実の賃貸人は、いずれも請求人であると認められるから、本件賃貸料収入は請求人に帰属する。

参照条文等

所得税法第12条

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平成24年12月3日裁決

贈与を受けた債券に係る償還額のうち、当該債券(元本)に対する利息部分の額は、運用益に相当するものであり、非課税所得には該当しないとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、贈与を受けた債券(元利均等償還が行われる社債)の利子に係る所得は、年金受給権に関する相続税と所得税の二重課税についての最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決の射程等が及ばないと判断したものである。

要旨

 請求人は、父から贈与を受けた本件債券(元利均等償還が行われる社債)に係る第1回目の償還額(本件償還額)のうち、当該債券に係る償還予定表において利息相当額とされる部分(本件金員)について、本件債券に係る贈与税及び所得税の課税関係は、年金受給権に関する相続税と所得税の二重課税についての最高裁判所判決(平成22年7月6日第三小法廷判決・民集64巻5号1277頁。(本件最高裁判決))の射程に含まれるものであり、同判決の内容に沿った課税処理がなされるべきであるから、本件金員は、その一部が所得税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第9条《非課税所得》第1項第15号に規定する非課税所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件債券は、本件最高裁判決における年金受給権とは、ある期間定期的に金銭の給付を受けるという形態は類似するものの、①当該年金受給権は相続税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第24条《定期金に関する権利の評価》に規定する「定期金給付契約に関する権利」に該当するものであるのに対し、本件債券は「社債」に該当するものであり「定期金給付契約に関する権利」に該当しないものであること、②当該年金受給権は元本部分と運用益部分とが区分されていないものであるのに対し、本件債券の各償還額は元本部分と利息(運用益)部分とが約定において明確に区分されているものであることからすれば、その権利の性質・内容が明らかに異なるものというべきである。そうすると、本件債券及び本件償還額について、本件最高裁判決の解釈をそのまま当てはめて、本件最高裁判決の示した課税関係と同様の課税処理をするのは相当ではない。そして、本件債券は、第1回目の償還日から最終回の償還日まで各元本の償還額及び各利息額等があらかじめ元利均等償還となるように組成され、発行時に償還予定表によってそれらの各金額を明示した金融商品であるから、本件金員は、本件債券(元本)に対する利息であり、運用益に相当するものであるから、非課税所得に該当しない。

参照条文等

所得税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第9条第1項第15号 相続税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第24条 財産評価基本通達197-4

参考判決・裁決

最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決(民集64巻5号1277頁)

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平成24年11月29日裁決

区分所有者たる請求人の建物管理組合に対する管理費の支払は、当該管理組合の構成員たる地位に基づいて負担するものであるから、資産の譲渡等の対価には該当しないとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、区分所有者として請求人が支払ったと認められる管理費の額の算定については、当該管理費の額が建物の区画(部屋番号)に応じて計算されていることから、共有持分割合によらず、区分所有する部分に対応するものとして算定するのが合理的として、処分の一部を取り消したものである。

要旨

 請求人は、請求人が区分所有する建物(本件建物)の管理組合(本件管理組合)に対して負担すべき管理費(本件管理費)は、本件管理費の額が本件建物の店舗、事務所等の使用形態による受益に応じて算定されていること及び本件管理組合は本件建物の維持管理が業務(本件管理業務)であることから、本件管理業務という役務の提供の対価として支払ったものであり、消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第1項に規定する課税仕入れに該当する旨主張する。
 しかしながら、本件管理費の支払は、本件管理業務に要する費用を、請求人が本件管理組合の構成員たる地位に基づき負担するにすぎず、本件管理組合が本件管理業務を行う上において、請求人は、何らかの資産の譲渡等の反対給付として対価を支払っているものではないから、本件管理組合にとって本件管理費の収受は、資産の譲渡等の対価には該当せず、消費税法上はいわゆる不課税取引となり、請求人がこれを課税仕入れにすることはできない。

参照条文等

消費税法第2条第1項第12号

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平成24年11月29日裁決

請求人は売買契約の当事者ではないし、売買代金を享受した事実も認められないことから、譲渡所得が発生したとは認められないとした事例

裁決事例集 第89集

要旨

 原処分庁は、①請求人が平成17年にした本件不動産による代物弁済はねつ造された金銭消費貸借契約証書に基づく債権債務を前提とするものであり、②平成20年にされた本件不動産の売買契約(本件売買契約)の当事者は、形式的には請求人の長男が主催する法人(本件法人)となっているとしても、実質的には本件不動産の真実の所有者である請求人であるから、③本件売買契約に係る売買代金(本件売買代金)は、請求人に帰属するものであり、請求人には、本件売買代金を収入金額とする平成20年分の譲渡所得が発生した旨主張する。
 しかしながら、本件売買契約を締結するに至った経緯等によれば、実際買主と交渉を行っていたのは請求人の長男であり、請求人が本件売買契約に関与した事実を認めることはできないし、原処分庁の上記①の主張は、民法上他人物売買が有効とされていることを正解しないものなどであって、採用することはできない。また、本件法人における本件売買代金の使途などからすると、請求人が本件売買代金を享受したと認めることはできない。したがって、請求人は、本件売買契約において本件不動産を譲渡した実質的な当事者ではなく、また、本件売買契約において本件法人を単なる名義人として利用し、その収益を享受した事実も認められないから、請求人には平成20年分の譲渡所得が発生したとは認められない。

参照条文等

所得税法第12条第33条

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平成24年11月14日裁決

相続によって取得した株式の発行会社から交付を受けた残余財産分配金のうち、剰余金の配当とみなされる金銭は、非課税所得には該当しないとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、破産手続中であった株式会社の株式を相続により取得し、当該株式に係る分配見込額を時価として相続税の課税対象とされたものについて、その後、当該株式の発行会社から交付を受けた残余財産分配金のうち剰余金の配当とみなされる金銭は、所得税法第9条《非課税所得》第1項第16号の非課税所得には該当しないとしたものである。

要旨

 請求人らは、各みなし配当金(請求人らが相続によって取得した株式の発行会社から交付を受けた残余財産分配金のうち、剰余金の配当とみなされる金銭)は、所得税法第9条《非課税所得》第1項第16号の非課税所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、①上記規定にいう「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの」とは、相続を直接の原因として相続人の下で実現した所得に限られ、相続後に相続とは別の原因で相続人の下で実現した所得は該当しないと解するのが相当であるところ、本件において、各みなし配当金を取得したことによって請求人らに帰属した所得は、相続後3年以上の期間が経過してから、相続とは別の事由、すなわち、上記会社の清算手続において、債務を完済し、残余財産が最終的に確定したことによって、初めて請求人らの下で実現したものであり、また、相続の開始時には各みなし配当金の支払原因となる具体的な残余財産分配請求権は確定的に発生していなかったから、相続を直接の原因として実現があったものとできないことや、②上記各みなし配当金が「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの」に該当するためには、各みなし配当金の額に相当する経済的価値が、相続開始時における上記株式の価値に相当する経済的価値と同一のものと評価できることが必要となるところ、上記会社については、相続の開始後に収支及び資産の状況に種々の変動があり、当該変動後の最終的な清算価値を具現化した残余財産分配金の額に相当する経済的価値は、当該変動前の清算価値に基づいて評価された上記株式の価額に相当する経済的価値と同一と評価できないことからすれば、上記各みなし配当金が「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの」に該当すると認めることはできない。

参考判決・裁決

最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決(民集64巻5号1277頁)

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平成24年11月13日裁決

特定路線価の評定方法に不合理と認められる特段の事情がない限り特定路線価を正面路線価として評価するのが相当とした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、路線価の設定されてない道路のみに接する宅地を評価する場合において、当該道路に特定路線価が設定されているときは、当該特定路線価の評定方法に不合理と認められる特段の事情がない限り、当該道路と接続する路線に設定されている路線価を正面路線価として評価する方法よりも、当該特定路線価を正面路線価として評価する方法が合理的であることを初めて明らかにしたものである。

要旨

 請求人らは、相続により取得した各土地(本件各土地)は、路線価の設定されていない位置指定道路(本件位置指定道路)のみに接面しており、本件位置指定道路は、路線価の付された市道(本件市道)に接続しているところ、本件各土地の評価に当たっては、本件位置指定道路に設定された特定路線価(本件特定路線価)ではなく、本件市道に付された路線価を正面路線価とすべきである旨主張する。
 しかしながら、特定路線価を設定して評価する趣旨は、評価対象地が路線価の設定されていない道路のみに接している場合であっても、評価対象地の価額をその道路と状況が類似する付近の路線価の付された路線に接する宅地とのバランスを失することのないように評価しようとするものであって、このような趣旨からすると、特定路線価は、路線価の設定されていない道路に接続する路線及び当該道路の付近の路線に設定されている路線価を基にその道路の状況、評価しようとする宅地の所在する地区の別等を考慮して評定されるものであるから、その評定において不合理と認められる特段の事情がない限り、当該特定路線価に基づく評価方法は、路線価の設定されていない道路のみに接続する路線に設定された路線価を基に画地調整を行って評価する方法より合理的であると認められる。本件特定路線価の評定についてみると、不合理とみられる特段の事情は見当たらないから、本件各土地の価額は、本件特定路線価を正面路線価として評価するのが相当である。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達1414-3

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平成24年11月7日裁決

請求人らの母親の預金口座から出金された金員が請求人らの債務の返済に充てられているが、両当事者はその事実を知らなかったのであるから、請求人らが対価を支払わないで経済的利益を受けたとは認められないとした事例

裁決事例集 第89集

要旨

 原処分庁は、請求人らの借入金の返済(本件返済)について、請求人らの兄が原処分庁にした申述に基づき、請求人らの資金援助の求めに応じて同兄が母親の預金口座から出金(本件出金)し、本件出金による金員により上記返済がされたとの事実を認定し、当該事実に基づいて、請求人らが本件返済により母親から相続税法第9条に規定する「対価を支払わないで・・・利益を受けた」と認められる旨主張する。
 しかしながら、本件返済の経緯についての請求人らの兄の供述(原処分庁にした申述及び当審判所にした答述)は、曖昧であり、供述内容自体が客観的事実と矛盾し、あるいは客観的事実に基づいて通常人がとると考えられる行動に反する不合理なものであるから、これを信用することはできない。そして、本件においては、本件返済がされた当時、請求人らの母親が軽度の認知症の状態にあったと認められる上、当審判所の調査の結果によっても、他に請求人らが本件返済を認識し、事前事後に本件出金を承諾していたと認めるに足りる証拠も見当たらないから、結局、請求人らが本件返済により母親から実質的に贈与と同様の経済的利益を受けた事実を認めることはできない。したがって、本件においては、請求人らが本件返済により母親から「対価を支払わないで・・・利益を受けた」とは認められない。

参照条文等

相続税法第9条

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平成24年11月5日裁決

請求人の費用計上に取引先との通謀や水増しがなく、過大に計上していないとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、運搬費が過大な金額であることを請求人が認識していたと認めるべき客観証拠は存在しない上、請求人の取締役業務部長が取引先の担当者と通謀して運搬費を過大な金額としていたことを認定した根拠となる申述の全てが信用できず、裏付け証拠も一切存在しないから、当該申述に基づき、請求人が、運搬費が過大な金額であることを認識して計上したと認めることはできないとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の取締役業務部長が、取引先の担当者と通謀した上で、請求人の海上輸送等に係る各運搬費(本件各運搬費)を水増しして請求人に請求させ、その水増しした金額の一部を取引先担当者から返金させていた旨主張する。
 しかしながら、本件各運搬費が過大に計上されたものであるというためには、請求人が故意に過大な金額としたこと、また、過大な金額を支払うことについて通常の取引と認めるべき合理的な理由がないことが必要であるところ、請求人が本件各運搬費が過大な金額であることを認識していたと認めるべき客観証拠は存在しない上、請求人の取締役業務部長と取引先の担当者が通謀して、本件各運搬費を水増しして支払い、その水増しした金額の一部を返金させていた証拠はないから、請求人が本件各運搬費を過大に計上したとは認められない。

参照条文等

法人税法第22条第3項

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平成24年11月1日裁決

請求人名義の車両を代表者に対し贈与等をした事実はなく給与を支給したのと同様の経済的効果をもたらしたとは認められないとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、代表者の妻が個人的に使用している請求人名義の車両は、代表者の妻が無償で専属的に使用していると認められるから、当該車両の使用につき通常支払うべき使用料の額に相当する経済的な利益を享受していると認められるものの、当該車両を代表者に贈与したとまでは認められないとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の実質経営者(実質経営者)の妻が個人使用するために請求人名義で取得した車両(本件車両)について、請求人が実質経営者の指示により本件車両の取得費等を費用に計上していること、実質経営者の妻は請求人の役員又は従業員ではなく、実質経営者が請求人の100%株主であることからすれば、本件車両の取得費等は、実質経営者に対する役員給与に当たり、また、個人で使用する目的で取得した本件車両の取得費等を請求人の費用に計上したことは、法人税法第34条《役員給与の損金不算入》第3項に規定する隠ぺい又は仮装による役員給与に当たる旨主張する。
 しかしながら、請求人は、①本件車両の購入に関する注文の当事者であり、②信販会社を通じて本件車両の売買代金を支払い、③自動車車検証に使用者として記載されていることからすると、本件車両の所有者は請求人であると認めるのが相当であり、請求人から実質経営者に対して本件車両の贈与があった等、請求人が一定の行為をしたことにより実質的に実質経営者に対して給与を支給したのと同様の経済的効果をもたらしたとまでは認めることができず、仮装隠ぺいと認めるに足る証拠もない。ただし、実質経営者の妻は、実質経営者の権限を利用して、本件車両を専属的に利用していることが認められるから、実質経営者は、本件車両の使用につき通常支払うべき使用料の額に相当する経済的な利益を享受しているというべきであり、当該経済的な利益の額は、実質経営者に対する役員給与に当たる。

参照条文等

法人税法第34条

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平成24年10月29日裁決

滞納後に発生した猶予該当事実を、納税の猶予の猶予該当事実に当たるとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、滞納後に発生した請求人の猶予該当事実(請求人の母の入院加療に伴う支出)を、滞納国税を一時に納付することができなかった事実と認め、国税通則法第46条第2項第5号(第2号類似)に該当するとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人が請求人の母の入院加療に伴う支出を行う以前から税金を滞納しているのであるから、国税通則法第46条《納税の猶予の要件等》第2項第5号(第2号類似)の猶予該当事実に基づいて、滞納国税を一時に納付することができなくなったとは認められない旨主張する。
 しかしながら、納付困難税額がある一方で、猶予該当事実に基づく支出又は損失がある場合には、その支出又は損失の額が納付困難の原因となっているものとみるのが相当であるところ、請求人には納付困難税額と猶予該当事実(請求人と生計を一にしない母の病気)に基づく支出とが、それぞれ存在することから、請求人は猶予該当事実に基づき、滞納国税を一時に納付することができなかったと認められ、また、国税通則法第46条第2項に規定するその他の要件も充足していると認められるから、当該猶予該当事実と納付困難の原因との間の基因関係の不存在を理由とする原処分は違法というべきである。

参照条文等

国税通則法第46条第2項第5号

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平成24年10月24日裁決

外国法人に対して支払った航空機操縦士の派遣に係る報酬は所得税法第161条第2号に規定する人的役務の提供に係る対価に該当するとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、請求人が外国法人に支払った金員には、人的役務の提供に係る対価に該当しないものが含まれているとした一方、請求人が当該外国法人に代わって支払った住宅家賃等は人的役務の提供に係る対価に含めるべきであるとして、当該外国法人に対する国内源泉所得の対価の額を算定し直した結果、納付すべき税額が原処分の額を下回る月があるから、原処分はその一部を取り消すべきであるとしたものである。

要旨

 請求人は、外国法人から派遣を受けた航空機の操縦に従事する乗務員(派遣乗務員)は、派遣時において有する既存の免許及び経験だけでは請求人が運航する航空機の機長として操縦することができないから、所得税法施行令第282条《人的役務の提供を主たる内容とする事業の範囲》第3号に規定する「専門的知識又は特別の技能を有する者」(特別技能者等)には該当せず、また、仮に該当するとしても、当該外国法人は運航代行業を営んでいるものではないから、請求人が当該外国法人に支払った対価は所得税法第161条《国内源泉所得》第2号に規定する人的役務の提供に係る対価に該当しない旨主張する。
 しかしながら、派遣乗務員は、①派遣時においてICAO(国際民間航空機関)加盟国であり国際民間航空条約の締約国である外国の政府が授与した航空業務の技能に係る資格を有しており、我が国において航空業務に従事するために必要な知識又は技能を一定程度有している者として評価できること、②派遣乗務員の総飛行時間は、我が国における○○運送用操縦士の資格を取得する際に必要とされる飛行時間をはるかに上回るものであり、定期運送用操縦士として一定の経験を有していると認められることなどからすれば、派遣乗務員の派遣時における航空機の操縦に関する知識又は技能は、航空機の操縦の分野に関する一般的な知識又は技能のレベルを相当程度超える高度な知識又は技能であると認めるのが相当であるから、派遣乗務員は特別技能者等に該当するというべきである。また、航空機の乗務員を派遣する事業を行う当該外国法人は、特別技能者等の当該知識又は技能を活用して行う役務の提供を主たる内容とする事業を行う者に該当するといえることから、請求人が当該外国法人に支払った対価は、所得税法第161条第2号に規定する人的役務の提供に係る対価に該当する。

参照条文等

所得税法第161条第2号 所得税法施行令第282条第3号

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平成24年10月16日裁決

請求人が代表者に代わって送金した金員につき代表者に対してその返済を免除した事実は認められないとした事例

裁決事例集 第89集

要旨

 原処分庁は、請求人が代表者個人を貸主とする金銭消費貸借契約に基づく貸付けに係る送金を行ったことついて、①請求人は当該送金が代表者個人の貸金債権に係るものであることを認識していながら送金をしていること、②請求人と代表者との間で当該送金に係る金銭の返済に関する取決めが行われた事実は認められないことからすると、請求人は代表者に対して返済を求める意思を有さずに当該送金をしたものと認められることから、代表者に対して経済的な利益を供与したことになる旨主張する。
 しかしながら、請求人は当該送金した額について仮払金として経理していることからすると、請求人が代表者に代わって立て替えて送金をしたものと認めるのが相当であり、また、当該仮払金と経理した金額について貸倒処理を行うまでの間、請求人の帳簿上、依然として仮払金として計上していたことからすると、請求人において、代表者に対し当該送金の額の返済を免除するなどの明示的又は黙示的な行為を行った事実は認められないから、請求人が当該仮払金の額について、代表者に対して経済的な利益を供与したということはできない。

参照条文等

国税通則法第68条 所得税法第36条第183条 法人税法第127条第130条

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平成24年10月12日裁決

固定資産課税台帳に登録された価格のない不動産について類似する不動産が存在しない場合における登録免許税の課税標準の額は、固定資産評価基準を基礎として算定するのが相当とした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、固定資産課税台帳に登録された価格のない不動産について類似する不動産が存在しない場合又は類似する不動産が把握できない場合における登録免許税の課税標準の額のたる不動産の価額(時価)は、登録免許税における不動産の課税標準の額が、固定資産課税台帳に登録された価格を基礎としていることなどから、固定資産課税標準によってその価額を算定し、その算定した価額が時価を上回らない限り、その価額とするのが相当であると判断したものである。

要旨

 請求人は、固定資産課税台帳に登録された価格のない本件土地の登記に係る登録免許税の課税標準たる本件土地の価額について、本件土地の周辺に本件土地の時価と同水準の土地が見当たらない場合には、本件土地の売払いに際して売払人が依頼した民間精通者による評価額(本件精通者評価額)とすべきである旨主張する。
 しかしながら、登録免許税の課税標準の額たる土地の価額は、当該土地と類似する土地が存在しない場合にあっては、固定資産評価基準によって算定した価額が時価を上回らない限りにおいて、その価額は相当と認められるところ、本件の場合、本件土地と類似する土地は存在せず、また、固定資産評価基準によって算定した本件土地の価額(本件固定資産評価額)は、仮に本件精通者評価額が時価として相当と認められるとしても、本件精通者評価額を下回るものであること及び他に本件固定資産評価額が時価を上回ることを認めるに足る証拠もないことから、本件登記に係る登録免許税の課税標準の額たる本件土地の価額として相当なものと認められる。したがって、本件登記に係る登録免許税の課税標準たる本件土地の価額は、本件固定資産評価額とするのが相当である。

参照条文等

登録免許税法第10条、附則第7条 登録免許税法施行令附則第3項

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平成24年10月10日裁決

不整形地の評価をするに当たって原処分庁が採用した想定方法による整形地は財産評価基本通達20に定める想定整形地に当たらないとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、財産評価基本通達20の解釈等及び屈折路に内接する不整形地に係る想定整形地のとり方を、それぞれ初めて明らかにしたものである。

要旨

 原処分庁は、屈折路に内接する本件土地について、財産評価基本通達20《不整形地の評価》(本件通達)に定める評価をするに当たって、整形地の想定方法として、本件土地の全域を含むく形のうち最も面積の小さいものとすべきであり、原処分庁の採用した想定方法はこれに該当するものである旨主張する。
 本件通達の趣旨は、評価対象地が不整形の場合はその画地全部を宅地として十分に機能させることができず、整形地に比して利用価値が減少することを考慮して、利用価値が減少していると認められる範囲で補正するというものであり、この趣旨からすれば、整形地の想定方法が複数ある場合には、その想定方法自体が不合理なものでない限り、その想定されたもののうち、最も小さい面積のものを想定整形地として評価するのが合理的である。
 しかしながら、本件土地についてみると、本件通達に定める想定整形地とは、評価対象地の画地全域を囲む正面路線に面する最小面積のく形となっているものをいうことからすると、請求人らの主張する想定整形地のとり方に不合理な点は認められないが、原処分庁の主張する想定整形地は、正面路線に面したく形ではないことから、本件通達に定める想定整形地そのものには当たらない。したがって、本件土地の整形地の想定方法は、請求人らの主張する方法によるべきである。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達20

参考判決・裁決

仙台高裁平成19年1月26日判決(税資257号順号10617)

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平成24年10月9日裁決

「相当の地代を収受している貸宅地の評価について」通達により、被相続人から土地を借り受けている同族法人の株式の評価上、純資産価額に計上される当該土地の価額の20%に相当する金額は、土地保有特定会社を判定する際の「土地等の価額」に含まれるとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、「相当の地代を収受している貸宅地の評価について」通達に定める自用地としての価額の20%相当額が、土地保有特定会社の判定の際の「土地等の価額」に含まれることを初めて判断したものである。

要旨

 請求人らは、借地権が設定されている土地について、「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合には、「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて」通達(相当地代通達)の5《「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の借地権の価額》により、当該土地に係る借地権の価額は零として取り扱われることとなるから、同通達の8《「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の貸宅地の評価》及び「相当の地代を収受している貸宅地の評価について」通達により、当該土地を借り受けている同族法人の株式の評価上、当該土地の価額の20%に相当する金額は、同法人の純資産価額に含められるとしても、それは借地権の価額ではなく、財産評価基本通達189《特定の評価会社の株式》の(3)のイに定める土地保有割合を算定する際の「土地等の価額」には該当しない旨主張する。
 しかしながら、相当地代通達5及び8の取扱いは、借地権が設定されている土地を前提としており、設定された借地権の存在を否定することなく、課税の各場面における借地権の価額の多寡を定めているものであり、相当地代通達8により純資産価額に算入される自用地としての価額の20%に相当する金額を借地権以外の価額と解することはできず、また、当該20%に相当する金額を当該「土地等の価額」から除外するとの特段の定めもないことから、当該20%に相当する金額は、借地権の価額として当該「土地等の価額」に含まれるものと解するのが相当である。

参照条文等

「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて」5、8 「相当の地代を収受している貸宅地の評価について」

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平成24年10月5日裁決

都市再開発法に基づいて収受した土地に係る補償金及び土地の明渡し等に伴う損失の補償金等は、本件係争事業年度の収益の額に算入されないとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、都市再開発法に基づく第一種市街地再開発事業(権利変換方式)により収受した土地に係る補償金については権利変換期日に、土地の明渡し等に伴う損失の補償金等については土地及び当該土地にある物件の明渡しの期限(明渡しの義務が生じることとなる日)に、それぞれ収入すべき権利が確定したものと解するのが相当であるとして、原処分を取り消したものである。

要旨

 請求人が都市再開発法の規定に基づいて設立された市街地再開発組合から受領した権利変換処分に基づく土地補償金(本件土地補償金)及び移転補償金等(本件移転補償金等)を、本件係争事業年度(平成20年11月期)の益金の額に算入したことについては、原処分庁も是認するところであり、当事者間に争いはない。
 しかしながら、都市再開発法第87条《権利変換期日における権利の変換》第1項、第91条《補償金等》第1項、第96条《土地の明渡し》第1項、同条第3項、第97条《土地の明渡しに伴う損失補償》第1項及び同条第3項の各規定によれば、同法に定める権利変換処分(権利変換期日において権利を失い、かつ、当該権利に対応して、施設建築敷地等が与えられないものに限る。)が行われた場合には、施行者は、権利変換期日までに施行地区内の土地を有する者に対して補償金を支払う義務を負い、また、施行者が定めた明渡しの期限までに当該土地及び当該土地にある物件に関し権利を有する者に対して移転補償金等を支払う義務を負う一方で、当該土地は権利変換期日において新たに所有者となるべき者に帰属するとともに、当該土地又は当該土地にある物件を占有している者は、施行者が定めた明渡しの期限までに施行者に土地若しくは物件を引渡し又は物件を移転する義務を負うことになるから、権利変換処分を受けた施行地区内の土地及び当該土地にある物件を有する者においては、土地に対する補償金については権利変換期日に、移転補償金等については土地及び当該土地にある物件の明渡しの期限(明渡しの義務が生じることとなる日)に、それぞれ収入すべき権利が確定したものと解するのが相当である。
 そうすると、本件における権利変換処分に係る権利変換期日並びに土地及び建物の明渡しの期限はいずれも本件係争事業年度の前事業年度(平成19年11月期)に属するから、本件土地補償金及び本件移転補償金等はいずれも平成19年11月期の益金の額に算入すべきである。

参照条文等

法人税法第22条第2項第4項 都市再開発法第87条第1項、第91条第1項、第96条、第97条

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平成24年9月26日裁決

海外の法人を退職した請求人の退職前後の客観的諸事情を総合勘案し、非居住者に該当すると認定した事例

裁決事例集 第88集

ポイント

 本事例は、請求人が、日本国内の勤務先からシンガポールのグループ会社に赴任し、退職した後も引き続きシンガポールに滞在している間に、勤務先の親会社の株式を取得し、その後帰国して再就職した場合において、当該株式の取得日を含む退職後の期間の事情のみならず、退職前の事情をも含め、客観的諸事情を総合的に勘案し、当該株式を取得した日において、請求人の生活の本拠は、シンガポールにあったと認めるのが相当であると判断したものである。

要旨

 原処分庁は、請求人が勤務先の親会社から付与されたリストリクテッド・ストック・ユニットの権利確定により同親会社の株式を取得した日における請求人の居住形態について、請求人は日本国内の勤務先からシンガポールのグループ会社に赴任した後、その後の事情の変更により退職したが、引き続きシンガポールに滞在していたものの、当該滞在期間のうち、当該退職後の期間における日本及びシンガポールでの各滞在日数、両国での各住居、退職後の職業活動(就職活動等)、生計を一にする配偶者その他の親族の居所及び資産の所在等の客観的諸事情を総合的に判断すると、当該退職後の期間中である当該株式を取得した日においては、請求人は、所得税法第2条《定義》第1項第3号に規定する「居住者」に該当する旨主張する。
 しかしながら、請求人がシンガポールに赴任してから退職後を含め同国に滞在していた期間における上記の各客観的諸事情を総合的に勘案すると、請求人は、当該退職するまでの期間においては、シンガポールに赴任した当初から、シンガポールに生活の本拠を移し、同国において客観的に生活の本拠たる実体を具備していたものと認められるから、「非居住者」に該当し、当該退職後の期間においても、①日本とシンガポールでの各滞在日数に大差がないものの、日本に帰国するまで引き続きシンガポールの住居を生活及び職業活動の拠点とし、退職前後においてシンガポールでの生活状況に変わりがないこと、②就職活動等の結果、日本での就職が決まったものの、日本に帰国するまで無職のままであったこと、③日本国内に生計を一にする親族はいないこと、及び④両国での資産の保有及び管理等の状況を総合的に勘案すれば、当該退職後の期間における請求人の生活の本拠は、退職前と同じくシンガポールにあったと認めるのが相当である。したがって、請求人は、上記親会社の株式を取得した日において「居住者」には該当せず、「非居住者」に該当する。

参照条文等

所得税法第2条第1項第3号

参考判決・裁決

最高裁昭和29年10月20日大法廷判決(民集8巻10号1907頁) 最高裁昭和32年9月13日第二小法廷判決(集民27号801頁、裁Web) 最高裁昭和35年3月22日第三小法廷判決(民集14巻4号551頁) 最高裁平成23年2月18日第二小法廷判決(集民236号71頁、裁Web)

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平成24年9月25日裁決

上場株式が株式としての価値を失ったことによる損失は事業所得又は雑所得の必要経費に算入することができるとした事例

裁決事例集 第88集

ポイント

 本事例は、いわゆる一般口座で保管していた上場株式が株式としての価値を失ったことによる損失の金額は、当該上場株式を含む株式の譲渡による所得が事業所得又は雑所得に該当する場合には、当該事業所得又は雑所得の計算上、必要経費に算入できるとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の所有していた民事再生法の規定による再生計画に基づき平成21年中に無償で消滅した株式(本件株式)の取得金額は、譲渡所得の金額の計算上、取得費として控除できない旨主張する。
 しかしながら、所得税法においては、株式が株式としての価値を失ったことにより損失が生じた場合、①その株式が事業所得の基因となるものであるときは、所得税法第37条《必要経費》第1項の規定に基づき、売上原価の計算を通じて自動的にその株式の取得価額相当額がその損失の発生した年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入され、また、②その株式が雑所得の基因となるものであるときは、所得税法第51条《資産損失の必要経費算入》第4項の規定に基づき雑所得の金額を限度として、その株式の取得価額相当額が資産損失としてその損失が発生した年分の雑所得の金額の計算上必要経費に算入され、③その株式が譲渡所得の基因となるものであるときは、その損失は所得金額の計算上考慮されないところ、請求人の上場株式等の譲渡による所得は、事業所得又は雑所得と認められることから、本件株式が株式としての価値を失ったことによる損失の金額は、平成21年分の株式等の譲渡による事業所得又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入できることになる。

参照条文等

所得税法第33条第2項第1号第37条第1項第51条第4項

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平成24年9月13日裁決

貸付金債権に係る債務者に返済能力等が認められないから、その貸付金債権の評価額は零円であるとした事例

裁決事例集 第88集

要旨

 原処分庁は、被相続人が有していたH(個人)に対する貸付金債権は相続開始日現在において存在しており、その評価額は貸付金元本とその遅延損害金の合計額となる旨主張する。
 しかしながら、財産評価基本通達205《貸付金債権等の元本価額の範囲》は、貸付金債権等の評価を行う場合において、その債権金額の全部又は一部が「回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるとき」には、それらの金額は元本の価額に算入しない旨定めており、債務者が個人である場合には、債務超過の状況が著しく、その者の信用、才能等を活用しても、現にその債務を弁済するための資金を調達することができないだけでなく、近い将来においても調達することができる見込みがない場合がこれに該当すると解されるところ、本件においては、確かに、被相続人はHに対する貸付債権を有していた、つまり、Hは当該貸付金債権に対応する借入金を負っていたと認められるものの、Hの課税実績、不動産や預金の保有状況からすると、Hは著しい債務超過の状態にあり、当該借入金を返済するための資金を調達することは極めて困難であったと認められることなどに加え、当審判所における調査によっても、Hの具体的資力、返済能力を認めるに足りる証拠は見出せない。これらのことによれば、被相続人のHに対する貸付金債権は、「回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるとき」に該当するというべきであり、その評価額は零円となる。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達204205

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平成24年9月7日裁決

遺産分割協議は有効に成立しており、当該遺産分割協議に基づく決定処分は違法とは認められないとした事例

裁決事例集 第88集

要旨

 請求人は、請求人以外の相続人が相続財産を隠蔽したことにより、相続財産はほとんどないものという誤った認識に陥った上、当該認識に基づき、遺産分割協議に合意(本件遺産分割協議)したものであるから、本件遺産分割協議は無効である旨主張する。
 しかしながら、請求人の主張は、本件遺産分割協議において表示された法的効果を発生させようとする意思(効果意思)を形成する前段階の理由(動機)の錯誤をいうものと解されるところ、請求人が、遺産分割協議書の原案を作成し、遺産分割協議の成立後に判明した相続財産については一定の分割割合で各相続人が取得する旨の条項を加えるよう申し出たことから、本件遺産分割協議に係る遺産分割協議書にその旨の記載がなされたのであり、後に判明した相続財産の価額によっては、当該分割割合や本件遺産分割協議そのものを見直すなどの本件遺産分割協議に係る合意を留保する旨の特段の定めも設けられていないことからすると、請求人は、本件遺産分割協議の成立後に相続財産が判明する事態があり得ることを想定していたと認められ、相続財産はほとんどないものという認識に陥っていたとはいえない。したがって、本件遺産分割協議の成立後に、相続財産が判明したとしても、本件遺産分割協議への合意に至る動機に錯誤はないので、本件遺産分割協議が無効とは認められない。

参照条文等

民法第95条

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平成24年8月31日裁決

譲り受けた土地建物の時価について請求人及び原処分庁が算定した価額は採用できないとして、審判所が依頼した鑑定価額等を基に土地建物の時価を算定した事例

裁決事例集 第88集

要旨

 請求人がその親族から本件土地及び本件建物を譲り受けたこと(本件譲受け)について、請求人は、本件譲受けの価額が時価であるから、本件譲受けは相続税法第7条《贈与又は遺贈により取得したものとみなす場合》に規定する「著しく低い対価」での譲受けに該当しない旨主張し、原処分庁は、本件土地及び本件建物の時価は、原処分庁の依頼に基づく鑑定評価額(原処分庁鑑定額)であり、原処分庁鑑定額と本件譲受けの価額を比較すると、本件譲受けは、同条に規定する「著しく低い対価」での譲受けに該当する旨主張する。
 しかしながら、原処分庁鑑定額は、合理的に鑑定されたものとは認められないから、これを本件土地及び本件建物の時価と認めることはできない。他方、当審判所の依頼に基づく本件土地の鑑定評価額は合理的に鑑定されたものと認められるからこれを時価と認めるのが相当であり、また、本件建物については、一般的に合理性が認められる固定資産評価基準に従って算定された固定資産税価格が適正な時価と認められる。したがって、本件土地及び本件建物の時価はこれらの合計額であると認められ、当該合計額は原処分庁鑑定額を下回るものの、当該合計額と本件譲受けの価額とを比較すると、本件譲受けは、相続税法第7条に規定する「著しく低い対価」での譲受けに該当すると認めるのが相当である。

参照条文等

相続税法第7条

参考判決・裁決

東京地裁平成19年8月23日判決(判タ1264号184頁)

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平成24年8月28日裁決

評価対象地が存する「その地域」の周辺地域の開発状況に照らし、同土地につき開発を行うとした場合は公共公益的施設用地の負担が必要となるから、広大地に該当するとした事例

裁決事例集 第88集

要旨

 原処分庁は、相続財産である本件土地の評価に当たり、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》(本件通達)に定める「その地域」は甲地域であり、甲地域の標準的な宅地の地積に基づき区画割すると路地状開発することが可能であること、また、甲地域内における路地状開発の事例は数多く存在し、一般的に行われていることなどから、本件土地については、路地状開発による開発が経済的に最も合理的な開発であり、公共公益的施設用地の負担の必要はなく、本件通達に定める広大地に該当しない旨主張する。
 しかしながら、本件通達に定める「その地域」は、本件土地と使用状況の連続性、地域の一体性が認められる丙地域と認めるのが相当であり、また、丙地域内においては、道路開設による開発事例と路地状開発事例とが存するものの、本件土地はいずれの事例の画地とも条件を異にするところ、丙地域は、将来、甲地域と同様な街並みになることが予想されることから甲地域における開発事例をみてみると、本件土地と類似する土地での路地状開発の事例はないことに加えて、本件土地において路地状開発を行うとする場合には原処分庁主張の開発想定図にある開発を行うことが想定されるが、その想定される路地の長さを有する開発事例もないことからすると、本件土地については、道路開設による開発を行うのが経済的に最も合理的な開発であると認められる。したがって、本件土地は、公共公益的施設用地の負担の必要があるものであり、本件通達に定める広大地として評価するのが相当である。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達24-4

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平成24年8月21日裁決

営業に関する各種届出書等の名義人である請求人には、営業に係る収益は帰属していないとした事例

裁決事例集 第88集

ポイント

 本事例は、風俗店の受付事務所の賃貸借契約、風営法に係る所定の届出書の提出並びに開廃業に関する届出書及び確定申告書の提出が請求人自身の名義により行われているものの、当該風俗店の経営者として営業を支配管理し、その収益を自己に帰属させている者は請求人ではないから、当該風俗店に係る所得は請求人には帰属しないとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人は風俗店の営業に当たり、請求人自身の名義で、当該風俗店の受付事務所を賃借するとともに風営法所定の届出書を提出している他、当該風俗店の開廃業に関する届出書及び確定申告書を原処分庁に提出していることを総合すれば、本件各年分の当該風俗店の収益は請求人に帰属する旨主張する。
 しかしながら、これらの届出名義や契約名義等にも関わらず、当該風俗店における事業の経営者として営業を支配管理し、その収益を自己に帰属させていたのは、請求人ではなくKであると認められ、所得税法第12条《実質所得者課税の原則》及び消費税法第13条《資産の譲渡等を行った者の実質判定》から、各年分の当該風俗店に係る所得はKに帰属し、また、各課税期間の当該風俗店に係る資産の譲渡等の対価を享受する者はKであると認めるのが相当である。

参照条文等

所得税法第12条 消費税法第13条

参考判決・裁決

名古屋地裁平成17年11月24日判決(判タ1204号114頁)

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平成24年8月16日裁決

請求人が主張する本件土地の売却価額及び鑑定評価額をもって、本件土地の価額について、財産評価基本通達の定めによらないことが正当と認められる特別の事情があるとは認められないとした事例

裁決事例集 第88集

要旨

 請求人は、相続財産である本件土地の価額について、①遺言(本件遺言)により換価による分割方法の指定及び遺言執行者の指定がされており、請求人が売却に参加できないという事情があり、また、本件土地の最有効使用が区画分譲地であって、購入者が不動産業者に限定されるという実情があり、当該換価による価額(本件換価価額)は、当該実情に合ったところで決定されたものであるから、相続税法第22条《時価》に規定する時価であること及び②本件換価価額が時価であることは、請求人の依頼に基づく不動産鑑定評価額(請求人鑑定額)からも明らかであることから、本件土地の価額は本件換価価額とすべきである旨主張する。
 しかしながら、①相続税法第22条に規定する時価とは、「取得の時」における「不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額」を示すものであるから、「特定の者の間で限定的に行われた取引」における価額は、時価としての前提を欠くものであり、また、本件相続開始日の後にされた本件遺言に基づく換価による分割などが本件土地の価額を減ずる要因となるものでもない。そして、②請求人鑑定額は、その算定過程に不合理な点が認められ、本件換価価額が時価であることを明らかにしたものであるとは認められない。さらに、③異議審理庁が財産評価基本通達に基づいて算出した価額は、当審判所が近隣の地価公示地の公示価格に基づいて算出した本件土地の時価を超えるものではない。したがって、本件土地の価額について、財産評価基本通達の定めによらないことが正当と認められる特別の事情はないから、本件相続税の課税価格に算入されるべき本件土地の価額は、同通達の定めによる価額を基礎とすべきである。

参照条文等

相続税法第22条

参考判決・裁決

東京高裁平成17年2月23日判決(税資255号順号9941) 東京高裁平成12年9月12日判決(税資248号711頁)

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平成24年8月15日裁決

請求人が子会社から受けた利益剰余金を配当原資とする剰余金の配当及び資本剰余金を配当原資とする剰余金の配当は、その全額が資本の払戻しによるものに該当するとした事例

裁決事例集 第88集

要旨

 請求人は、請求人の子会社からの利益剰余金を原資とする剰余金の配当及び資本剰余金を原資とする剰余金の配当について、会社法上別々の法律行為として成立しているのであるから、利益剰余金を原資とする剰余金の配当は法人税法第23条《受取配当等の益金不算入》第1項第1号の剰余金の配当に、資本剰余金を原資とする剰余金の配当は同法第24条《配当等の額とみなす金額》第1項第3号の資本の払戻しによるものにそれぞれ該当する旨、また、当該剰余金の配当の全額を同号に規定する資本の払戻しによるものとして取り扱うと、法人税法施行令第23条《所有株式に対応する資本金等の額又は連結個別資本金等の額の計算方法等》第1項第3号の「払戻し等に係る株式の総数」に、利益剰余金を原資とする剰余金の配当の対象となった種類株式数が含まれるため、種類株式ごとの対応が図れないこととなる点からも当該剰余金の配当の全額が資本の払戻しによるものに該当しない旨主張する。
 しかしながら、当該子会社は、剰余金の配当の原資となる利益剰余金及び資本剰余金を同一の効力発生日に同時に減少して剰余金の配当を行っているから、当該剰余金の配当は、その全額が資本剰余金の額の減少に伴うものに該当し、法人税法第24条第1項第3号に規定する資本の払戻しとして同条が適用されることとなる。また、上記「払戻し等に係る株式の総数」の「払戻し等」には同号の資本の払戻しが含まれ、当該剰余金の配当の全額が資本の払戻しによるものに該当するから、当該子会社から当該剰余金の配当の支払を受けた株主が所有する当該子会社発行済株式の総数が上記「払戻し等に係る株式の総数」となる。

参照条文等

法人税法(平成21年法律第13号による改正前のもの)第23条、第24条

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平成24年8月2日裁決

預託金会員制ゴルフ会員権であった旧会員権の譲渡が譲渡所得の基因となる資産の譲渡に当たるとした事例

裁決事例集 第88集

ポイント

 本事例は、ゴルフ場の事業譲渡後に請求人が譲渡した旧ゴルフ場経営会社が発行した旧ゴルフ会員権は、新・旧ゴルフ場経営会社の間の取り決めにより、その譲渡の時点までの間、旧ゴルフ会員権に基づくプレー権が維持されていたことから、請求人が譲渡したゴルフ会員権は旧ゴルフ会員権であると判断したものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の有していた旧運営会社に対する①旧ゴルフ場の優先的施設利用権(プレー権)及び②預託金返還請求権などから成る契約上の地位(旧会員権)については、旧運営会社から新運営会社への事業譲渡(本件事業譲渡)により、上記①のプレー権が消滅したものと認められ、また、旧会員権を有する会員(旧会員)に対しては、上記①のプレー権とは別の権利である暫定的プレー権が付与されたものと認められるから、本件事業譲渡後における旧ゴルフ場の会員権は、上記②のみを内容とするものであり、当該会員権の譲渡は、譲渡所得の基因となる資産の譲渡に該当しない旨主張する。
 しかしながら、本件事業譲渡に際しては、旧運営会社と旧会員との間の旧会員権に係る権利義務関係の処理について、(イ)旧会員のうち本件事業譲渡後も引き続き、新運営会社に対する新ゴルフ場のプレー権及び預託金返還請求権などから成る契約上の地位(新会員権)の保有を希望する者に対しては、旧会員権そのものを会員権管理会社に取得させるのと引き換えに、新会員権を付与させ、また、(ロ)新会員権の取得を希望しない旧会員についても、上記(イ)の旧会員権の取得及び新会員権の付与に係る手続が完了するまでの間、旧会員が新ゴルフ場を利用することができるよう、新運営会社の親会社であるスポンサー会社が旧会員の優先的施設利用を承認することを取り決めたものと認めるのが相当であるから、本件事業譲渡において、新会員権の取得を希望する旧会員から会員権管理会社に対する譲渡の対象とされたのは、上記①のプレー権及び上記②の預託金返還請求権から成る契約上の地位としての旧会員権そのものであって、旧会員権の譲渡時においてプレー権の存在が前提とされていたものといわざるを得ない。したがって、新会員権の取得を希望する請求人は、旧運営会社に対するプレー権を含む契約上の地位としての旧会員権を会員権管理会社に譲渡したものと認められるから、譲渡所得の基因となる資産を譲渡したものと認められる。

参照条文等

所得税法第33条第1項

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平成24年7月24日裁決

勤務先の株式報酬制度に基づいて支給された株式に係る給与所得の収入すべき日は、当該報酬制度による株式を無償で取得する権利(アワード)に係る株式が口座に入庫された日が相当と判断した事例

裁決事例集 第88集

ポイント

 所得税法第36条第1項は、現実の収入がなくても、その収入の原因となる権利が確定した場合には、その時点で所得の実現があったものとしてその権利確定の時期の属する年分の課税所得を計算するという建前(いわゆる権利確定主義)を採用したものと解される。
 本事例は、株式報酬制度による株式を無償で取得する権利(アワード)に係る株式が口座に入庫された日において、権利が確定し、当該株式に係る株主としての地位を取得したと認められるから、アワードに係る利益の収入すべき日は入庫日とするのが相当と判断したものである。

要旨

 原処分庁は、請求人が元勤務先の属する企業グループの株式報酬制度に基づき株式を無償で取得する権利(本件各アワード)を付与されたことによる利益の収入すべき日について、アワードステイトメントに本件各アワードのベスティング日が平成19年8月1日と記載され、元勤務先の税務の担当者の申述によれば、請求人が株式を受領する権利を得たのは同日であると認められることからすると、当該利益の収入すべき日は、同日である旨主張する。
 しかしながら、請求人が最終的に支払を受けるのは株式の現物及び端株に相当する金額の金員であるところ、ベスティング日においては、請求人に実際に支給される株式の株数及び後日支給を受ける金員等の額は具体的に確定していないことに加え、請求人が当該株式の発行会社の株主としての地位を取得したことを裏付ける証拠も見当たらず、かえって当該株式が請求人の口座に入庫された日(平成19年8月17日)に株主としての地位を取得したと認められることからすれば、ベストされた本件各アワードの最初の決済日である入庫日に、現物株式を無償で取得したことによる利益及び金員の支給等を受ける権利が確定し、担税力のある所得が実現したとするのが相当である。

参照条文等

所得税法第36条第1項

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平成24年7月24日裁決

船舶の価額は、売買実例価額が明らかでないとしても、精通者意見価格が明らかな場合は、精通者意見価格によって評価すべきであるとした事例

裁決事例集 第88集

要旨

 請求人は、本件船舶の価額については、売買実例価額、精通者意見価格が明らかでないことから、財産評価基本通達136《船舶の評価》(本件定め)のただし書に基づき、原価法により評価すべきである旨主張する。
 しかしながら、本件定めによれば、船舶の価額は、原則として売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価することとし、これらの価額等が明らかでない場合には、原価法により評価することを定めていることから、①売買実例価額及び精通者意見価格等が明らかな場合にはこれらを参酌して、②売買実例価額又は精通者意見価格等のいずれかが明らかな場合にはいずれか明らかな価額又は価格等を基として、③売買実例価額及び精通者意見価格等が明らかでない場合には本件定めのただし書による原価法により評価するのが相当であるところ、本件船舶については、売買実例価額は明らかでないが、合理性のある精通者意見価格が明らかであることから、当該精通者意見価格を基に評価するのが相当である。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達136

参考判決・裁決

高松高裁平成19年11月29日判決(税資257号順号10837)

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平成24年7月24日裁決

請求人が取得した賃貸用建物は課税期間内に引渡しを受けているから消費税の仕入税額控除を認めるべきであるとした事例

裁決事例集 第88集

要旨

 原処分庁は、請求人が注文者として締結した工事請負契約により取得した賃貸用建物(本件建物)は、本件課税期間内には共同住宅として使用できる状態にはなく、工事が完了していたとは認められないから、請求人が本件建物の引渡しを受けた日の属する課税期間は本件課税期間ではないこととなり、本件建物の取得費用に係る消費税額を本件課税期間の消費税の計算において課税仕入れに係る消費税額として控除することはできない旨主張する。
 しかしながら、本件課税期間内に本件建物の大部分は完成しており、請求人は、本件課税期間内に、①権利保全のために所有権保存登記をしていること、②金融機関との間で本件建物に抵当権を設定して自己の所有物として処分していること、③本件建物の工事請負業者に対し請負代金の全部の支払を終えたことなどを併せ考えれば、本件建物の工事に若干の工事が残存して未完成であったとしても、本件課税期間内に本件建物が完成し引渡しがあったものと同視できるから、請求人が本件建物の引渡しを受けた日の属する課税期間は、本件課税期間であると認めるのが相当である。

参照条文等

消費税法第30条第1項

参考判決・裁決

東京地裁昭和55年6月12日判決(判タ428号208頁)

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平成24年7月23日裁決

所有権のない者からの公売処分等に対する審査請求を不適法とした事例

裁決事例集 第88集

要旨

 請求人は、納税者(本件滞納者)の滞納国税を徴収するため行われた不動産(本件公売不動産)の公売公告処分及び最高価申込者の決定処分(本件各公売処分)について、本件公売不動産の所有権は本件滞納者ではなく請求人に帰属しているとして、本件各公売処分は違法である旨主張する。
 しかしながら、本件公売不動産の所有権は本件滞納者に認められ、請求人は本件各公売処分によって直接自己の権利又は法律上の利益を侵害された者でなく、本件各公売処分の取消しを求める法律上の利益を欠いているから、本件審査請求は、請求の利益を欠く不適法なものである。

参照条文等

国税通則法第75条第1項

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平成24年7月9日裁決

事業所得の金額の計算上、仮装した事実等により総収入金額及び必要経費を算出していたとした事例

裁決事例集 第88集

ポイント

 本事例は、不動産業等を営む請求人が、あたかも不動産の売買等があったかのように装い、収入金額、取得費及び関連費用等を、事業所得の金額の計算上、総収入金額及び必要経費に算入していたものである。

要旨

 請求人は、事業所得の金額の計算上、総収入金額及び必要経費に、①妻に対する自宅の売却による収入金額並びに自宅の取得費及び取得に要した費用、②競売により取得した土地及び建物の前所有者に対する引越費用、③土地を売却したことによる収入金額及び当該土地の取得費及び取得に要した費用、④建物に係る修繕工事費用等を事実に基づき算入した旨主張する。
 しかしながら、①及び④については、金銭の授受がないこと、②については、領収証記載の金銭の授受がないこと、③については、所有権移転の登記の事実がないこと等から、いずれも事実とは異なり、これらの金額については、総収入金額及び必要経費への算入は認められない。

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平成24年7月5日裁決

不動産の取得に際して売主へ支払った固定資産税等相当額は、取得した当該不動産の取得価額に算入すべきであるとした事例

裁決事例集 第88集

ポイント

 本事例は、請求人が取得した不動産には、土地、建物のほか建物付属設備が含まれていたことから、それぞれの取得価額を基に本件事業年度における各資産の償却限度額等を再計算して、原処分の一部を取り消したものである。

要旨

 請求人は、不動産の取得に際して請求人が売主へ支払った固定資産税等相当額は、地方税法上の納税義務者として支払う固定資産税等そのものではないものの、請求人と売主との間で、それぞれの当該不動産を所有する期間に対応する固定資産税等を負担したものであり、損金の額に算入すべきものである旨主張する。
 しかしながら、地方税法上、固定資産税等の納税義務者は、その賦課期日である毎年1月1日現在における固定資産の所有者であると解されるところ、賦課期日後に所有者に異動が生じたからといって課税関係に変動が生じるものではなく、同日後に固定資産の所有者となった者が納税義務を負うことはないから、固定資産の売買の当事者間において売買後の期間に対応する、いわゆる未経過分の固定資産税等相当額が授受されたとしても、買主において地方税法上の固定資産税等の納税義務に伴う負担とみることはできない。そうすると、請求人が売主へ支払った固定資産税等相当額は、当該不動産に係る売買契約書の定めにより請求人と売主との間に生じる債権債務関係に基づいて授受されたものであって、また、当該不動産の売買に伴って授受されたものであり事後費用とはいえないことからすれば、当該固定資産税等相当額は、当該不動産の購入の代価の一部であると認めるのが相当である。したがって、当該固定資産税等相当額は取得した不動産の取得価額に算入すべきである。

参照条文等

法人税法施行令第54条 法人税基本通達7-3-16の2 地方税法第343条

参考判決・裁決

平成24年3月13日裁決(裁決事例集No.86)

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平成24年7月5日裁決

純資産価額の計算上、評価会社の資産・負債には、期限未到来のデリバティブ取引に係る債権・債務は計上できないとした事例

裁決事例集 第88集

ポイント

 本事例は、評価会社が保有する期限未到来のデリバティブ取引に係る債権・債務の性質を明らかにした上で、同社の1株当たりの純資産価額の計算上、当該債権・債務を考慮することはできないと、初めて判断したものである。

要旨

 請求人は、贈与を受けた本件株式の評価に当たって、財産評価基本通達185《純資産価額》に定める純資産価額方式の計算上、本件株式の発行会社である本件評価会社が行っている、いわゆるスワップ取引及びオプション取引(本件各取引)のうち、直前期末現在において金利支払日又は権利行使期日が未到来の取引(本件未到来取引)に係る各取引額相当額を、本件評価会社の資産及び負債に計上すべきである旨主張する。
 しかしながら、純資産価額方式の計算上、「評価会社の各資産」とは、課税時期において現実に評価会社に帰属していると認められる金銭に見積もることができる具体的な経済的価値を認識できる全てのものをいうと解され、また、「評価会社の各負債」とは、課税時期までに債務が成立し、その債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生しているものをいうと解されるところ、本件各取引は、各金利支払日が到来して、又は権利行使期日にオプションが行使されて初めて、取得する財物の価格より支払う対価の額が少なければ利益又は純資産として、その逆であれば損失又は負債として、個々の取引の経済的価値が認識されるものであることからすると、本件各取引は、本件評価会社が取得する資産が米ドルであることから、金利支払日又は権利行使期日が未到来の各取引についてその価値を認識しようとしても、その価値は、認識しようとした時点の為替レートに基づいて仮に決済又は取引が成立した結果の理論値(予測値)としていわば抽象的に認識されるにとどまるほかなく、具体的な経済的価値を認識した、あるいは、確実な債務であるということはできないから、本件株式の純資産価額の計算上、本件未到来取引に係る各取引額相当額を「評価会社の各資産」又は「評価会社の各負債」に計上することはできない。

参照条文等

相続税法第13条第1項第14条第1項第22条

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平成24年7月4日裁決

相続により取得した土地は、いわゆるマンション適地等に該当するので、財産評価基本通達24-4に定める広大地に該当しないとした事例

裁決事例集 第88集

ポイント

 本事例は、相続により取得した土地は、いわゆるマンション適地等に該当するので、財産評価基本通達24-4に定める広大地に該当しない旨判断したが、財産評価基本通達15に定める奥行価格補正について、財産評価基本通達20の(2)ではなく(4)に基づき計算すべきであると判断して原処分の一部を取り消したものである。

要旨

 請求人は、本件土地が財産評価基本通達24-4《広大地の評価》(本件通達)の適用がないとされる、いわゆるマンション適地等に当たるか否かについて、①本件土地の周辺地域の状況は戸建住宅とマンションが混在している地域であること、②専門家が本件土地は、マンションの敷地よりも戸建住宅の敷地に適しているとの意見を述べていることなどからすると、本件土地はマンション適地等に該当しない旨主張する。
 しかしながら、マンション適地等であると認められる場合とは、本件通達に定める「その地域」におけるマンション等の建築の状況、用途地域・建ぺい率・容積率や地方公共団体の開発規制、また、交通、教育、医療等の公的施設や商業地への接近性等から判断して、評価対象地をマンション等の敷地とすることが経済的に最も合理的であると認められる場合を指すと解するのが相当であるところ、①本件土地の存する「その地域」は、マンション等の建築に係る規制が厳しくない地域であること、②本件土地は公共施設及び商業施設との接近性に優れていること、③「その地域」には複数のマンションが存すること、④「その地域」において、本件相続開始前10年間における500平方メートル以上の土地に係る建物の建築事例は2件あり、いずれもマンションの建築事例であること、⑤本件相続開始日後、現に本件土地上にマンションが建築されていることからすると、本件土地は明らかにマンション適地等に該当するものと認められる。

参照条文等

財産評価基本通達152024-4

参考判決・裁決

平成23年9月5日裁決(裁決事例集No.84) 平成21年12月15日裁決(裁決事例集No.78・432頁)

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平成24年7月3日裁決

自動車の差押処分について、その財産の帰属を誤ったとした事例

裁決事例集 第88集

要旨

 原処分庁は、原処分庁が行った第三者名義で登録されていた自動車(本件自動車)に対する差押処分(本件差押処分)は、その所有権が滞納法人にあるのだから適法である旨主張する。
 しかしながら、本件自動車は、本件差押処分の前に、請求人が滞納法人に対する貸付金の代物弁済として、滞納法人からその所有権を取得したものである。また、請求人は審査請求中に自己の所有権に基づき本件自動車の登録を行っており、それに対して原処分庁は本件自動車について差押えの登録を行っていないから、請求人は、登録を行うことにより本件自動車の所有権を確定的に取得したことになり、その反面で滞納法人はその所有権を確定的に喪失したことに帰着するので、本件差押処分は違法な処分として取り消されるべきである。

参照条文等

国税徴収法第47条第1項第71条

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平成24年7月2日裁決

LPSから分配される収益金について、配当所得、不動産所得のいずれにも該当せず、雑所得に該当するとした事例

裁決事例集 第88集

ポイント

 本事例は、LPSから分配される収益金(LPS収益金)に係る所得について、LPSが、我が国の租税法上の法人に該当し、出資者の地位に基づいて分配を受ける剰余金であって、配当所得に該当するのか、又は我が国の民法上の組合と同様のものであって、不動産所得に該当するのかが争われ、その法律的経済実質的関係を個別具体的にみて、雑所得に該当するとしたものである。

要旨

 原処分庁は、米国においてリミテッド・パートナーシップ契約(LPS契約)によって組成されるLPSは我が国の租税法上の法人に該当するから、請求人は出資者としての地位にあり、また、請求人がこの地位に基づいて分配を受けるLPS収益金は、本件各LPSの剰余金であるから、配当所得に該当する旨主張する。一方、請求人は、LPS収益金は、本件各LPSに帰属せず、民法上の組合と同様、損益分配割合に応じて配分され、請求人に直接帰属するから、不動産所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、配当所得とは、法人から受ける剰余金の配当、利益の配当及び剰余金の分配等に係る所得で、剰余金又は利益の処分として配当又は分配したものだけでなく、出資者に対しその出資者である地位に基づいて供与した経済的な利益も含まれると解され、法人に帰属する利益の処分としての性質を有するものである。これを本件についてみると、本件各LPS契約における収益金定義条項及び分配額保証条項によれば、その分配額は毎年所定の額となることを保証されており、計算上の分配可能な額が保証された金額に満たない場合にも、毎年所定の額の分配を受けられるものとされているところ、現に、請求人は、この分配額保証条項に基づいて毎年所定の額のLPS収益金の分配を受けているのであるから、LPS収益金に係る所得は、本件各LPSに帰属する利益の処分としての性質を有するものでないことが明らかであり、配当所得には該当しない。また、LPS収益金は、請求人が、本件各LPS契約における分配額保証条項に基づいて毎年所定の額の分配を受けているものであり、請求人が、自ら、又は本件各LPSないしオーナーLPSを自らの代理人として、主体的に本件各物件を賃借人に対して賃貸し、それによる収益の稼得や費用の負担を行っているということはできず、LPS収益金に係る所得は、請求人が、不動産所得を生ずべき業務(不動産等の貸付業務)の遂行により、あるいはそれに伴い得た所得とはいえないから、不動産所得には該当しない。したがって、LPS収益金は、本件各LPS契約における分配額保証条項に基づいて分配を受けているものであるから、LPS収益金に係る所得は、利子所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当せず、雑所得に該当する。

参照条文等

所得税法第2条第1項第6号第7号第24条第26条第35条 民法(平成18年法律第50号による改正前のもの)第33条、第43条

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平成24年6月29日裁決

原処分庁が用いた効率法による推計方法には合理性が認められるとした事例

裁決事例集 第87集

要旨

 請求人は、本件J店に係る客単価を16,000円と認定してされた原処分の推計課税は事実誤認に基づく違法なものである旨主張する。
 しかしながら、基本的な料金設定について本件J店より低額であった本件L店における平均客単価が16,116円であることなどからすれば、本件J店の客単価は少なくとも基本料金のうちの最低料金相当額である16,000円を上回ることが容易に推認されるのであり、そうであるとすれば、本件J店の客単価を16,000円であるとしてされた原処分の推計方法は合理性を有すると認められる。

参照条文等

所得税法第156条

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平成24年6月28日裁決

請求人に支払われた協力金名目の金員は、請求人を介して請求人の関係会社に支払われたものであり、請求人に帰属しないとした事例

裁決事例集 第87集

要旨

 原処分庁は、借地人(P社)から請求人に支払われた協力金名目の金員については、P社から請求人に対する貸付金とする契約を締結しているが、実質は、P社に返還を要しない金員であり、請求人の不動産所得に係る総収入金額に算入すべきであるとし、また、貸付金に仮装したものであると主張する。
 しかしながら、本件は、請求人が請求人の土地をP社に賃貸するに際し、当該土地の上に存する請求人の関係会社(M社)が所有する建物の取壊費用等をP社が負担することとしたものであり、当該費用等は協力金として請求人を介してM社に支払われたものと認められ、当該協力金は、M社に帰属し請求人には帰属しない。

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平成24年6月26日裁決

共同相続人間等で争われた株主権確認請求訴訟に係る控訴審判決の理由中の判断で示された事実等に基づき被相続人が相続開始日現在において有していた出資口数を認定した事例

裁決事例集 第87集

ポイント

 本事例は、報告文書の中でも実質的証拠力が高いとされている領収書等について、それに記載されたとおりの事実が存在しない理由を説示した上で、当該領収書等の実質的証拠力を否定したものである。

要旨

 本件有限会社の出資(本件出資)のうち被相続人が有していた口数につき、請求人らは、被相続人は当初500口を有しており、その後、被相続人の先妻の有していた300口のうち150口を法定相続し、さらに、二女に50口を譲渡した結果、被相続人が相続開始時に有していたのは600口であった旨主張し、他方、原処分庁は、本件有限会社の定款及び家庭裁判所に提出された後見事務報告書等によれば、被相続人が相続開始時に有していたのは900口である旨主張する。
 しかしながら、真正に成立したと認められる被相続人の先妻の遺産に係る遺産分割協議書によれば、被相続人の先妻が有していた本件出資は330口であり、この全部を被相続人が相続したものと認められること、また、旧有限会社法第19条《持分の譲渡、社員の先買権》第2項によれば、社員がその持分の全部又は一部を社員以外の者に譲渡する場合には社員総会の承認が必要であって、この手続を欠く譲渡は無効であるところ、請求人らの主張する上記譲渡の当時、二女は当該会社の社員ではなく、また、同社において社員総会の承認がなされたと認めるに足りる証拠は見当たらないことからすれば、被相続人が二女から50口分の金員を受領した旨の記載のある領収証の存在をもって、被相続人が二女に50口を譲渡したと認めることはできない。他方、原処分庁が主張する定款及び後見事務報告書等に記載されている900口には、被相続人が請求人らから70口を譲り受けたとする口数が含まれていると認められるところ、当該譲受けを認めるに足りる証拠はない。以上によれば、相続開始時において被相続人が有していた本件出資の口数は、当初有していた500口と先妻から相続した330口の合計830口と認められる。

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平成24年6月26日裁決

関連法人が支払った請求人の事業所得に係る経費に相当する額については、請求人が役員として経済的な利益を享受したと認めることはできないとした事例

裁決事例集 第87集

要旨

 原処分庁は、請求人が役員を務める各関連法人(本件各関連法人)が支払った請求人の経営するコンビニエンスストアに係る経費(本件経費)は、役員である請求人が個人で支払うべき費用を本件各関連法人が負担したものであるから、所得税法第36条《収入金額》第1項の経済的な利益に該当する旨主張する。
 しかしながら、上記コンビニエンスストア事業に係る損益は、本件各関連法人に帰属するものではなく、その全てが請求人に帰属するものと認められること及び当該コンビニエンスストア事業に係る入出金が本件各関連法人において仮受金等として処理されていた状況などを踏まえると、本件各関連法人が支払った当該コンビニエンスストア事業に係る経費は請求人が行う当該コンビニエンスストア事業に対する本件各関連法人の立替金とみるのが相当であり、当該コンビニエンスストア事業に係る損益のうち本件経費についてのみ、請求人が役員として経済的な利益を享受したと認めることはできない。

参照条文等

所得税法第36条第1項 所得税基本通達36-15

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平成24年6月21日裁決

事業を遂行するために必要な準備行為を行った日の属する課税期間が「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」の属する課税期間に該当するとした事例

裁決事例集 第87集

要旨

 請求人は、消費税法施行令第20条《事業を開始した日の属する課税期間等の範囲》第1号に規定する「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」は、請求人が医院(本件医院)を開業する意思決定後の全ての準備行為を行った日が含まれるのではなく、課税資産の譲渡等を行うために必要な資材や商品に係る仕入れなど、それ自体が課税仕入れに当たる一定の準備行為を行った日のみが該当するとし、本件医院の建物に係る建築設計・監理業務委託契約(本件契約)に係る課税仕入れが発生した日は設計の完了日又は監理業務の完了日であることから、これらの日の属する課税期間(本件課税期間)が「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」の属する課税期間である旨主張する。
 しかしながら、事業者が新たに事業を行うに当たっては、当該事業を遂行するために必要な準備行為を行うのが通常であるところ、消費税法第9条《小規模事業者に係る納税義務の免除》第4項の趣旨に照らせば、事業を遂行するために必要な準備行為を行った日の属する課税期間も「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」の属する課税期間に該当すると解するのが相当である。そして、事業を遂行するために必要な準備行為であるか否かは、必ずしも個々の行為だけではなく、一連の行為を全体として判断すべき場合もあるところ、請求人は、本件課税期間開始前から、事業に使用するための材料及び器具の購入を繰り返し行うとともに、本件医院を建築するための本件契約を締結しており、このことは請求人の事業開始に向けた一連の行為の一部であって、これら一連の行為が全体として事業に係る準備行為であると認められるから、「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」の属する課税期間は、事業に使用するための材料及び器具の購入の開始日の属する課税期間(本件課税期間の前課税期間)とするのが相当である。

参照条文等

消費税法第9条第4項 消費税法施行令第20条

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平成24年6月19日裁決

請求人が取得した減価償却資産について、租税特別措置法第67条の5の規定は適用できないとしても、償却限度額に達するまでの金額が損金の額に算入されるとした事例

裁決事例集 第87集

ポイント

 本事例は、請求人の青色申告の承認が取り消されたことに伴い、青色申告を要件とする租税特別措置法第67条の5《中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例》は適用できないとしても、償却費として損金経理した金額のうち、取得した減価償却資産の償却限度額に達するまでの金額は減価償却費として損金の額に算入されるとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人が取得価額の全額を償却費として損金の額に算入した減価償却資産(本件減価償却資産)について、請求人から資料の提出がなく、償却限度額の計算をすることが不可能であったから、その全額の損金算入を認めないとする更正処分をした。
 しかしながら、法人税法第31条《減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法》第1項は、所得の金額の計算上減価償却費として損金の額に算入できる金額は、当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額のうち、償却限度額に達するまでの金額とする旨規定し、同条第4項は、損金経理をした金額には、償却費として損金経理をした事業年度前の各事業年度における当該減価償却資産に係る損金経理額のうち当該償却事業年度前の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかった金額を含むものとする旨規定するところ、審判所の調査によれば、請求人は本件減価償却資産を取得し、事業の用に供していると認められるから、本件減価償却資産につき、各事業年度における償却限度額に達するまでの金額は減価償却費として損金の額に算入される。

参照条文等

法人税法第31条 租税特別措置法第67条の5

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平成24年6月7日裁決

請求人が経営するガソリンスタンドにおける灯油の混和されたガソリンの移出数量を各タンクの荷卸前後の在庫数量等を基に算出した原処分庁の算定方法には合理性があるとした事例

裁決事例集 第87集

ポイント

 本事例は、原処分庁がデータ管理会社からの資料情報収集により把握したデータ上の販売数量が移出数量であるとして原処分を行ったが、審査請求において、当該データを証拠として提出せず、原処分における算定移出数量に替え、各タンクの荷卸前後の在庫数量等を基に算出した移出数量が正当であると主張をしたのに対し、その算定方法には合理性があるとしたものである。

要旨

 請求人は、原処分庁が算出した移出数量は、請求人の販売記録等に基づくものではなく、灯油成分が検出されたガソリンの検体購入時前後の荷卸間の在庫数量の開差数量を基に算出したものであり、請求人が経営する各給油所(本件各給油所)の間で行われたガソリンの融通の事情が反映されていないこと、及び荷卸前後の在庫数量の記録は信頼できるものでないことなどを理由に、原処分庁が算出した当該移出数量は信頼できるものではないので課税の根拠を欠く旨主張する。
 しかしながら、本件各給油所間でのガソリンの融通の事実は認められず、原処分庁が主張する移出数量を算出する上で基礎とした荷卸前後の在庫数量及び荷卸間の経過時間はいずれも信頼できるもので正確であると認められることから、原処分庁が主張する算定方法は合理的であり、これによって算出された移出数量をもって揮発油税等の課税標準の基となる移出数量と推認することができる。

参照条文等

揮発油税法(平23法律第114号による改正前のもの)第3条第1項、第8条第1項、第26条

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平成24年6月1日裁決

レコーダーを作動させることに固執し帳簿書類を提示しなかったことは青色申告の承認の取消事由に該当するとした事例

裁決事例集 第87集

要旨

 請求人は、調査担当職員の求めに応じて帳簿書類を提示したのであるから、青色申告の承認の取消処分は違法である旨主張する。
 しかしながら、請求人が主張する帳簿書類の提示は代理人である税理士がレコーダーを作動又は作動させる準備がされた状況下でのことであるところ、本件調査においてレコーダーによる会話の録音が必要であったとは認められず、調査担当職員が当該録音され得る状態での帳簿書類の検査を実施しなかった措置は相当である。そして、調査担当職員が、当該税理士に対してレコーダーによる会話の録音がない状態で帳簿書類を提示するよう求めたにも関わらず、当該税理士は、レコーダーを作動させることに固執し帳簿書類を提示せず、また、請求人も、当該税理士に任せているとして帳簿書類を提示しなかったのであるから、請求人は、正当な理由がないまま帳簿書類を提示しなかったことになるのであり、このことは、所得税法第150条《青色申告の承認の取消し》第1項第1号に規定する青色申告の承認の取消事由に該当する。

参照条文等

所得税法第148条第1項第150条第1項第1号

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平成24年6月1日裁決

特定外国子会社等の適用対象留保金額の計算について、請求人が作成した損益計算書を基に計算することはできないとした事例

裁決事例集 第87集

要旨

 請求人は、特定外国子会社等の未処分所得の金額は、本店所在地国の会計制度に基づき行われた決算により作成された損益計算書ではなく、請求人が作成した特定外国子会社等の損益計算書に基づき計算するべきである旨主張する。
 しかしながら、租税特別措置法(平成18年法律第10号による改正前のもの)第40条の4《居住者に係る特定外国子会社等の留保金額の総収入金額算入》第2項第2号に規定する特定外国子会社等の未処分所得の金額の計算の基となる特定外国子会社等の各事業年度の決算とは、特定外国子会社等が利害関係者に対して財政状態及び経営成績を明らかにするために行った決算を意味すると解するのが相当であるから、請求人の主張を採用することはできない。

参照条文等

租税特別措置法(平成18年法律第10号による改正前のもの)第40条の4 租税特別措置法関係通達66の6-10

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平成24年5月29日裁決

報酬金額が事業所得の総収入金額と給与所得の収入金額とに二重計上されているとして更正の請求を認めた事例

裁決事例集 第87集

要旨

 原処分庁は、請求人が提示した書類等だけでは、社会保険労務士報酬(本件金員)が事業所得の総収入金額と給与所得の収入金額とに二重計上されていること、及び請求人の事業所得の金額がいくらであるかを認定することができないから、更正の請求は認められない旨主張する。
 しかしながら、当審判所の調査の結果によれば、本件金員が事業所得の総収入金額と給与所得の収入金額とに二重計上されていること、及び本件金員が事業所得に係る収入金額であることが認められ、当審判所において請求人の総所得金額及び還付金の額に相当する税額を算定すると、総所得金額は更正の請求の額と同額となり、還付金の額に相当する税額は更正の請求の額を上回るから、本件通知処分はその全部を取り消すべきである。

参照条文等

国税通則法第23条第1項

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平成24年5月25日裁決

単発的で少数の売上伝票の欠落があることのみでは、売上除外があったとまではいえず、国税通則法(平成23年法律第114号による改正前のもの)第70条第5項に規定する「偽りその他不正の行為」に当たらないとした事例

裁決事例集 第87集

要旨

 原処分庁は、①従業員等が店舗で使用していた一綴りの売上伝票は、品名及び単価等を記載すると筆圧痕として次の伝票に当該記載内容が残る場合があるところ、当該筆圧痕に対応する売上伝票のうち数枚が存在しないこと、②従業員等が売上伝票を集計し、売上伝票を入れる封筒の表にその日の売上金の合計額等を記載すると、封筒内の売上伝票等に筆圧痕として当該合計額が残ることがあるところ、当該筆圧痕の金額が売上げとして請求人が記帳した金額を上回ることなどから、請求人は、売上伝票を破棄する方法により売上除外している旨主張する。
 しかしながら、売上伝票の欠落が単発的で少数である場合には、売上伝票の破棄による売上金額の一部除外があったと認定することはできず、国税通則法(平成23年法律第114号による改正前のもの)第70条《国税の更正、決定等の期間制限》第5項に規定する偽りその他不正の行為があったとすることはできない。

参照条文等

国税通則法(平成23年法律第114号による改正前のもの)第68条第1項、第70条第5項

参考判決・裁決

最高裁平成18年4月25日第三小法廷判決(民集60巻4号1728頁) 東京高裁平成16年11月30日判決(税資254号順号9841)

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平成24年5月22日裁決

登録免許税の過誤納を求める還付通知請求は、還付通知請求期限を徒過して提出されたものであるから、その請求は不適法であるとした事例

裁決事例集 第87集

ポイント

 本事例は、原処分庁の「登録免許税の過誤納金の還付請求権は、時効(消滅時効5年)により消滅している」旨の不適当な主張にとらわれることなく、還付通知請求自体の適法性を検討して判断したものである。

要旨

 請求人は、土地及び工場財団について、平成18年6月に抵当権設定登記申請を行った際に納付した登録免許税額が過誤納となったことについて、①原処分庁職員の指導に基づき登録免許税額を算出したことに起因して過誤納となったものであること、②原処分庁は、登記機関として登録免許税法第26条《課税標準及び税額の認定》第1項に基づき申請書に記載された課税標準の金額等の調査をすべきであったにも関わらずこれをしなかったことから、平成23年12月にした本件還付通知請求に対しては、過誤納の事実に基づき還付通知をすべきである旨主張する。
 しかしながら、登録免許税法第31条《過誤納金の還付等》第2項の規定は、登記等を受けた者に対し、簡易迅速に還付を受ける手続を利用することができる地位を保証しているものと解されることからすれば、同項の規定に基づく還付通知をすべき旨の請求に対する拒否通知の適否を判断するに当たっては、登記等を受けた者が、登記等を受けた日から1年を経過する日までに簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用していることが前提となるものと解するのが相当であるところ、本件還付通知請求は、同項に規定する還付通知をすべき旨の請求ができる期間(1年)を経過した後に行われた不適法なものであるから、その他の点を判断するまでもなく、原処分は、適法なものである。

参照条文等

登録免許税法第31条第2項

参考判決・裁決

最高裁平成17年4月14日第一小法廷判決(民集59巻3号491頁)

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平成24年5月22日裁決

第三者に貸し付けられている被相続人と他の共同相続人との共有建物の敷地の評価に当たり、当該敷地には当該他の共同相続人の当該建物に係る地上権は存在しないとした事例

裁決事例集 第87集

ポイント

 本事例は、親族間で土地の無償使用を許す関係を地上権の設定と認めるためには、当事者が何らかの理由で特に強固な権利を設定することを意図したと認めるべき特段の事情が存在することを必要とすべき旨示した最高裁判決に即して、建物の所有に係る共同相続人の評価対象地上の権利は、せいぜい使用貸借によるものとみざるを得ないと判断したものである。

要旨

 請求人らは、相続した本件土地の上に、本件被相続人及び他の共同相続人ら(本件被相続人ら)が所有する本件建物が存しているところ、本件土地の使用料は無償であるものの、本件建物が存する権原は、本件建物の所有を目的とする地上権である旨主張する。
 しかしながら、親族間で土地の無償使用を許す関係を地上権の設定と認めるためには、当事者が何らかの理由で特に強固な権利を設定することを意図したと認めるべき特段の事情が存在することを必要と解すべきであるところ、①本件建物を本件被相続人らの共有とした理由からすれば、わざわざ本件被相続人にとって著しい負担となる無償の地上権を設定する必要もないこと、②本件被相続人と当該他の共同相続人らとの間で、地上権を設定する場合に通常取るであろう行動が、取れたにもかかわらず、これを取っていないこと及び③本件においては上記特段の事情も見当たらないことからすると、本件建物の所有に係る当該他の共同相続人らの本件土地上の権利は、せいぜい使用貸借によるものとみざるを得ない。そして、本件建物の建築後、本件相続開始に至るまで、権利関係に変動があったことを認めるに足る証拠はないから、本件相続開始時点で、本件土地上に、当該他の共同相続人の地上権が存在していたとは認められない。

参照条文等

民法第265条、第593条 借地借家法第2条第1号、第10条第1項 財産評価基本通達25(1)

参考判決・裁決

最高裁昭和47年7月18日第三小法廷判決(集民106号475頁)

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平成24年5月15日裁決

実際に負担する金額が確定していない葬式費用は、民法第900条から902条までの規定による相続分又は包括遺贈の割合で計算すべきとした事例

裁決事例集 第87集

ポイント

 本事例は、遺産の全部を特定の相続人に「相続させる」旨の遺言が相続分の指定としての性質を有するとの解釈を前提に、請求人に指定された相続分は全部であるとの認定の下、葬式費用の負担額について認定したものである。

要旨

 原処分庁は、本件相続における葬式費用(本件葬式費用)は、請求人以外の相続人により支払われていることから、当該相続人の課税価格の計算上控除すべきである旨主張する。
 しかしながら、相続税法第13条第1項《債務控除》は、相続又は遺贈により取得した財産について課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から被相続人に係る葬式費用等のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による旨規定し、相続税法基本通達13-3《その者の負担に属する部分の金額》は、その者の実際に負担する金額が確定していないときは、民法第900条《法定相続分》から902条《遺言による相続分の指定》までの規定による相続分又は包括遺贈の割合に応じて負担する金額とする旨定めているところ、本件葬式費用については、請求人と当該相続人との間で負担額が確定しておらず、遺言により請求人の相続分が指定されていることから、当該指定された相続分に応じ、その全額を請求人の課税価格の計算上控除するのが相当である。

参照条文等

相続税法基本通達13-3

参考判決・裁決

最高裁平成21年3月24日第三小法廷判決(民集63巻3号427頁)

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平成24年5月10日裁決

国外で勤務する請求人の役員は常時使用人として勤務しているとは認められないから当該役員に対する報酬は国内源泉所得に該当するとした事例

裁決事例集 第87集

要旨

 請求人は、請求人の取締役の役員報酬について、当該取締役は、海外において請求人の使用人としての職務である海外営業本部長等として勤務しており、所得税法施行令第285条《国内に源泉がある給与、報酬又は年金の範囲》第1項第1号に規定する「使用人として常時勤務する場合」に該当するから、当該役員報酬は国内源泉所得には該当しない旨主張する。
 しかしながら、①当該役員報酬のうち、国内における取締役会や経営執行会議への出席など、当該取締役の国内業務に基因する部分は、所得税法第161条《国内源泉所得》第8号イに規定する国内源泉所得に該当することは明らかであること、②当該取締役は請求人の海外子会社の社長として勤務していたところ、当該子会社の社長としての勤務は、請求人の使用人として勤務することに当たらないことは明らかであること、③当該取締役の国外における勤務は、国外における請求人の実態、当該取締役の請求人における実質上の地位、役割、職務の内容等を併せ考えると、経営判断による企業経営といった職務に関するものであり、請求人の使用人としてではなく、役員としての勤務であったと認めるのが相当であることから、当該取締役の勤務は「使用人として常時勤務する場合」に該当しないというべきであり、当該取締役に対する役員報酬は、国内源泉所得に該当する。

参照条文等

所得税法第161条第8号イ 所得税法施行令第285条第1項第1号 所得税基本通達161-29161-30

参考判決・裁決

平成6年5月25日裁決(裁決事例集No.47・353頁)

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平成24年5月9日裁決

1通の申請書により、1つの資格に係る登録事項の変更の登録を受ける場合の登録免許税の課税標準である登録件数は、当該登録を受ける登録事項の数に関わらず1件となるとした事例

裁決事例集 第87集

要旨

 原処分庁は、薬剤師名簿の登録事項である氏名及び本籍地都道府県名を、1通の名簿訂正申請書により変更登録する場合、登録免許税法第9条《課税標準及び税率》及び同法第18条《2以上の登記等を受ける場合の税額》の規定からすると、登録免許税の課税標準たる登録件数は2件である旨主張する。
 しかしながら、登録免許税法第9条は、登録免許税の課税標準及び税率は、同法に別段の定めがある場合を除くほか、登記等の区分に応じ、同法別表第一の課税標準欄に掲げる金額又は数量及び同表の税率欄に掲げる割合又は金額による旨規定しているところ、同一の申請書により同表に掲げる同一の「登記等の区分」内の登記を受ける場合の登録免許税の額は、登記事項又は登録事項の数に関わらず、その一つの「登記等の区分」の税率を適用して計算した金額になるものと解するのが相当である。本件の場合、1通の名簿訂正申請書により、登録免許税法別表第一の三十二の(九)のロのうち「(2)に掲げる者に係る登録事項の変更の登録」という一つ「登記等の区分」内において、氏名及び本籍地都道府県名という登録事項の変更の登録を受けるものであるから、当該区分に応ずる登録件数は1件となる。

参照条文等

薬剤師法第6条 薬剤師法施行令第4条、第5条 登録免許税法第2条第9条第18条、別表第一の三十二の(九)

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平成24年5月8日裁決

請求人が、原処分庁が認定した必要経費を超える費用について、具体的内容を明らかにしないことから、当該費用を必要経費に算入することはできないとした事例

裁決事例集 第87集

要旨

 請求人は、領収証等をもらえなかったなどの現金仕入れがあり、当該現金仕入れがあることは、請求人と同規模、同業者の利益率よりも請求人の利益率が高いことからして明らかであるから、原処分庁が必要経費として認めなかった現金仕入れ等の金額は、必要経費に算入される旨主張する。
 しかしながら、納税者が、税務署長が合理的と認められる方法により把握した必要経費以外の必要経費が帳簿外に存在すると主張する場合には、当該納税者においてその存在及び価額を具体的に立証する必要があると解するのが相当であるところ、本件においては、原処分庁が認定した必要経費の内容及び金額は合理的であると認められる一方、請求人が原処分調査担当者及び当審判所に対し提示又は提出した資料からは、請求人の主張する上記現金仕入れ等を確認することができず、当該現金仕入れ等の有無それ自体明らかでないなど、請求人は、原処分庁が認定した必要経費を超える必要経費が帳簿外に存在することについて、何ら具体的内容を明らかにしていないから、請求人が主張する上記現金仕入れ等の金額を必要経費に算入することはできない。

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平成24年4月24日裁決

一人の扶養親族につき、重複して扶養控除を受けている事実を知ることができなかったとしても、それは請求人の単なる主観的な事情であるから、国税通則法第66条第1項の正当な理由があると認められる場合に当たらないとした事例

裁決事例集 第87集

要旨

 給与所得者である請求人は、同じく給与所得者である請求人の元妻と重複して、同人らの長女について扶養控除を受けていたことから、この重複を解消するための確定申告書を提出したところ、無申告加算税の賦課決定処分がなされたことについて、請求人の元妻と別居して完全に連絡が途絶えており、元妻と重複して扶養控除を受けていることを知ることができなかったのであるから、国税通則法第66条《無申告加算税》第1項ただし書に規定する「正当な理由があると認められる場合」に該当する旨主張する。
 しかしながら、請求人が元妻と別居して完全に連絡が途絶え、元妻と重複して扶養控除を受けていることを知ることができなかったとしても、それは、請求人の単なる主観的な事情に基づくものであり、請求人が長女を扶養控除の対象としない旨の確定申告書を提出するのであれば、その法定申告期限までに提出しなければならないのであって、真に請求人の責めに帰することのできない客観的な事情があるとはいえず、無申告加算税の趣旨に照らしても、なお、請求人に無申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合とはいえないから、「正当な理由があると認められる場合」に該当しない。

参照条文等

国税通則法第66条第1項 所得税法第84条第1項第2項 所得税法施行令第219条第1項第2項

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平成24年4月24日裁決

相続人である配偶者が、当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたとは認められず、相続税法第19条の2第5項に規定する隠ぺい仮装行為はなかったとした事例

裁決事例集 第87集

要旨

 原処分庁は、被相続人の配偶者である請求人が、被相続人の財産を原資とする多額の請求人名義の有価証券等が存在し、それが相続財産であることを熟知しながら、関与税理士にそれを伝えず、同税理士に過少な申告額を記載した申告書を作成させ提出していることから、当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたといえ、当該請求人の行為は相続税法第19条の2《配偶者に対する相続税額の軽減》第5項に規定する隠ぺい仮装行為に当たる旨主張する。
 しかしながら、相続税法第19条の2第5項が、適正な申告を確保し、課税の公平を図るため、納税義務者が過少申告をするについて隠ぺい仮装行為による事実に基づく金額までもが配偶者の税額軽減措置の適用を受けるのは不合理であるとの趣旨から設けられたものであることからすれば、相続又は遺贈により財産を取得した者が、当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行為をした上、その意図に基づく過少申告をした場合には、同項の適用要件が満たされるものと解される。本件の場合、請求人において、請求人名義の有価証券等が明らかに被相続人に帰属する相続財産であると認識していたとまで認めるに足りる証拠はない上、請求人は、関与税理士から相続人名義に係る残高証明書等の資料の提出依頼を受けておらず、また、調査時において調査担当職員に対し、請求人名義の有価証券等に関する資料の一部を自主的に提出していることからすれば、相続財産を過少に申告するという確定的な意図を有していたと認めることはできない。したがって、請求人が当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたということはできず、相続税法第19条の2第5項に規定する隠ぺい仮装行為があったとは認められない。

参照条文等

相続税法第19条の2第5項

参考判決・裁決

最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁) 平成23年5月11日裁決(裁決事例集No.83) 平成23年9月27日裁決(裁決事例集No.84)

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平成24年4月20日裁決

法人税法施行令(平成22年政令第51号による改正前のもの)第72条の5に規定する使用人に対する賞与の支給額の通知につき、国税通則法第68条第1項に規定する仮装は認められないとした事例

裁決事例集 第87集

要旨

 原処分庁は、請求人が本件事業年度の損金の額に算入した使用人に対する未払賞与の額に関し、法人税法施行令(平成22年政令第51号による改正前のもの)第72条の5《使用人賞与の損金算入時期》第2号の「各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して」なすべき通知を、翌事業年度の決算賞与支給明細書の交付により行ったにも関わらず、取締役会議事録及び人事総務部長から部下職員に対する電子メールの案内文に、これと異なる記載をするなどして、上記の通知を本件事業年度終了の日までにしたかのように事実を仮装したと認められるから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する事実の仮装に当たる旨主張する。
 しかしながら、上記の取締役会議事録及び案内文に記載された日付は、人事総務部長が従前からの事務処理手順を踏襲して年内最後の営業日としたことがうかがえる上、その記載内容は、従業員に決算賞与の支給を案内するにとどまり、各人別の通知の日を記載したものではないことなどからすれば、請求人が上記の通知の日を仮装したとは認められない。

参照条文等

国税通則法第68条第1項 法人税法施行令(平成22年政令第51号による改正前のもの)第72条の5

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平成24年4月9日裁決

更正通知書に付記した理由に不備があるとした事例

裁決事例集 第87集

要旨

 原処分庁は、更正通知書に付記した理由については、架空の資産(建物附属設備)に係る減価償却費は損金の額に算入されないという法的評価を行ったものであるから、更正の理由付記に求められる要件を満たしている旨主張する。
 しかしながら、本件更正処分の態様は、請求人の固定資産台帳の記載を認めず、建物附属設備を架空の資産であると判断したものであるから、帳簿の記載自体を認めないで更正処分を行う場合に該当するところ、当該更正通知書に付記された理由は、どのような根拠で架空の資産と判断したのかについて資料の摘示がなく、その判断過程も記載されていないことから、法人税法第130条《青色申告書等に係る更正》第2項に規定する要件を満たさない違法なものである。

参照条文等

法人税法第130条第2項

参考判決・裁決

最高裁昭和60年4月23日第三小法廷判決(民集39巻3号850頁)

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平成24年4月6日裁決

財団法人に対する寄附は、国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等に当たるとした事例

裁決事例集 第87集

要旨

 請求人は、財団法人に対する寄附については、国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》に規定する無償譲渡等の処分に該当しない旨主張する。
 しかしながら、国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等の処分は、国及び法人税法第2条《定義》第5号に規定する公共法人以外のものに対する処分に限られるところ、請求人は、国及び同号に規定する公共法人のいずれにも該当しない財団法人であることから、請求人に対する寄附は、国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等の処分に該当する。

参照条文等

法人税法第2条第5号 国税徴収法第39条 国税徴収法施行令第14条

参考判決・裁決

東京高裁昭和57年10月18日判決(行集33巻10号2065頁)

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平成24年3月28日裁決

原処分庁が事実の隠ぺい又は仮装の行為によって過大に計上したとする貸倒損失額は、更正処分をした事業年度において所得金額に加算することはできないから、当該事業年度には当該貸倒損失額に係る重加算税の計算の基礎となる税額が生じないとした事例

裁決事例集 第86集

要旨

 原処分庁は、M社に対する貸付金が架空であることを認識していながら当該貸付金の全額を貸倒損失とした請求人の行為は、事実の隠ぺい又は仮装に当たる旨主張する。
 しかしながら、請求人のM社に対する債権債務の推移からすれば、原処分庁が更正処分をした事業年度の前事業年度では、損金の額に算入されない貸倒損失の計上が認められるものの、当該更正処分をした事業年度においては、原処分庁が過大に計上したとする貸倒損失額について所得金額に加算できないのであるから、当該貸倒損失額に係る重加算税については、その計算の基礎となる納付すべき法人税額は生じない。

参照条文等

国税通則法第68条第1項

参考判決・裁決

最高裁昭和58年10月27日第一小法廷判決(民集37巻8号1196頁)

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平成24年3月28日裁決

各役員への給与に係る支払債務は実際に確定し、請求人においてその支給事務が行われたのであるから、当該役員給与は架空のものとは認められないとした事例

裁決事例集 第86集

要旨

 原処分庁は、請求人の役員であるJ、N及びP(本件各役員)に対する役員給与(本件各役員給与)について、役員給与を受け取っていない旨のJ及びNの申述などから、本件各役員給与は本件各役員に支給されておらず、架空の役員給与である旨主張する。
 しかしながら、本件各役員はいずれも役員として勤務実態がある上、本件各役員の役員給与の金額が、請求人の取締役会等において承認され、支給時期等は、請求人の従業員と同様に、毎月10日払いとされており、これらの事実に基づいて、請求人は、本件各事業年度において、本件各役員の役員給与の合計額を総勘定元帳の「役員報酬」勘定に計上したのであるから、毎月10日の時点で、請求人の本件各役員の役員給与の当月分の支払債務が実際に確定していたとみるのが相当である。そして、支払債務の確定した本件各役員の役員給与は、請求人において支給事務が行われたと認められるのであるから、本件各役員給与は架空のものとは認められない。

参照条文等

法人税法第127条第130条

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平成24年3月21日裁決

賃借した建物の明渡しに際して建物所有者から補償金として受領した金員は、その性質及び使途等について特定されていない金員であると認められることから、一時所得の収入金額に該当するとした事例

裁決事例集 第86集

ポイント

 この事例は、建物の一部を賃借し転貸を行っていた請求人が、当該賃借部分の明渡しに際して建物所有者から受領した金員について、その使途、賃貸借契約の解約合意に至る交渉の経緯等の事実により、所得区分を判断したものである。

要旨

 原処分庁は、建物の一部を賃借し転貸を行っていた請求人が、当該賃借部分の明渡しに際して建物所有者から受領した金員(本件受領金員)は、転借人に明渡し補償金として支払った金員(本件支払金員)を補償するための金員及びその他これに類するものであることから不動産所得の収入金額となる旨主張する。
 また、請求人は、本件受領金員は、請求人が退去するための単なる明渡し料等であることから一時所得になる旨主張する。
 しかしながら、本件受領金員のうち本件支払金員に相当する金員は、請求人の不動産所得の必要経費を補填する金員であるから、不動産所得の収入金額となる。他方、本件受領金員と本件支払金員に相当する金員との差額の金員(本件差額金員)は、請求人の不動産所得に係る業務の収益若しくは本件支払金員以外の必要経費の補償等ではなく、その性質及び使途等について特定されていない金員であると認められることから、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得であり、労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものに該当し、一時所得の収入金額に該当する 。

参照条文等

所得税法第26条第34条第1項

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平成24年3月15日裁決

発行法人がその役員に対して割り当てた新株予約権は、有利な発行価額により新株を取得する権利に該当するとした事例

裁決事例集 第86集

要旨

 請求人は、2名の役員に新株予約権を割り当てたことについて、当該新株予約権は、所得税法施行令(平成18年政令第124号による改正前のもの)第84条《株式等を取得する権利の価額》第4号に規定する有利な発行価額により新株を取得する権利には当たらない旨主張する。
 しかしながら、請求人の株式は、非上場株式で気配相場のない株式であり、売買事例及び類似する他の法人の株式の価額があるとは認められないから、所得税基本通達23-35共-9《株式等を取得する権利の価額》の(4)に定める権利行使日等又は権利行使日等に最も近い日におけるその株式の発行法人の1株当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額により評価すべきところ、その評価方法は、必要な修正をした上で財産評価基本通達178《取引相場のない株式の評価上の区分》から189-7《株式の割当てを受ける権利等の発生している特定の評価会社の株式の価額の修正》までの例によって評価することが相当と認められるので、これにより、請求人の新株の発行価額を決定した日における請求人株式の1株当たりの価額を算定すると、当該新株の1株当たりの発行価額を大きく上回るから、当該新株予約権は、所得税法施行令第84条第4号に規定する有利な発行価額により新株を取得する権利に該当する。

参照条文等

所得税法施行令第84条第4号(平成18年政令第124号による改正前のもの) 所得税基本通達23~35共-7(平成18年12月19日付課個2-18ほかによる改正前のもの)、23~35共-9(平成19年6月22日付課個2-11ほかによる改正前のもの)

参考判決・裁決

最高裁平成17年11月8日第三小法廷判決(判タ1198号121頁)

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平成24年3月13日裁決

建物の売買契約において、譲受人が負担することとした当該建物に係る譲渡日以降の期間に対応する未経過分の固定資産税に相当する金額は、譲受けに係る資産の購入の代価を構成するものとして建物の取得価額に算入すべきとした事例

裁決事例集 第86集

要旨

 請求人は、土地建物の譲渡契約における譲渡日以降の期間に対応する未経過分の固定資産税に相当する金額(未経過固定資産税相当額)を請求人が負担したことについて、未経過固定資産税相当額は、譲り受けた土地建物の取得価額に算入されるが、請求人が減価償却資産として計上している建物は、取得した建物のうち事業の用に供する本件建物のみであるから、本件建物以外の建物に係る未経過固定資産税相当額は、繰延資産である開業費に含まれる旨主張する。
 しかしながら、固定資産税は、その賦課期日である1月1日現在の所有者に課されるもので、賦課期日後に当該固定資産が譲渡された場合であってもその譲渡前の所有者が納税義務者とされていることから、売買当事者においてその譲渡時点における未経過固定資産税相当額を譲受人に負担させようとする取引慣行は、いわば売買の取引条件の一つとして行われるものであると考えられる。したがって、譲受人が未経過固定資産税相当額を負担することは、租税公課としての固定資産税の負担ではなく、飽くまでも売買の取引条件としての負担であることから、譲受人にとって未経過固定資産税相当額は、譲受けに係る資産の購入の代価を構成するものとして、当該資産の取得価額に含まれることとなる。
 そうすると、請求人が譲渡契約において取得の目的としている建物は、本件建物のみであることからすれば、請求人が支払った本件建物以外の建物に係る未経過固定資産税相当額は、本件建物の購入の代価の一部として支払ったものと認めるのが相当であるから、その全額を本件建物の取得価額に算入すべきである。

参照条文等

法人税法施行令第54条第1項第1号 法人税基本通達7-3-16の2

参考判決・裁決

平成20年3月24日裁決(裁決事例集No.75・342頁)

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平成24年3月13日裁決

相続税法第35条第3項の規定に基づいて行われた増額更正処分は、その処分の前提となる更正の請求が同法第32条第1号の要件を満たしていないから違法であるとした事例

裁決事例集 第86集

ポイント

 この事例は、共同相続人の総意により特定非営利活動法人に寄附された遺産中の財産は、共同相続人間で法定相続分の割合で分割されたとみるのが相当であり、その分割の前後で更正の請求をした者の課税価格は異ならないことなどから、当該更正の請求は相続税法第32条第1号の要件を満たしておらず、これを前提とした同法第35条第3項の規定に基づいて行われた増額更正処分は違法であると判断したものである。

要旨

 原処分庁は、本件相続財産の遺産分割に係る和解成立を内容とする民事調停法上の決定(本件民事調停決定)がなされたことを基因として請求人以外の共同相続人から提出された各更正の請求(本件各更正の請求)は、相続税法第32条《更正の請求の特則》第1号の事由に該当する適法なものであるから、請求人に対して同法第35条《更正及び決定の特則》第3項の規定に基づき行った本件更正処分は適法なものである旨主張する。
 しかしながら、相続税法第35条第3項の規定に基づく更正処分が適法になされるためには、前提として、他の共同相続人につき、同法第32条の規定による適法な更正の請求に基づく(減額)更正処分が行われなければならず、当該更正の請求が同条第1号に基づくものである場合には、①まず、同条第55条《未分割遺産に対する課税》の規定に基づいて、未分割財産について、民法の規定による相続分の割合に従って課税価格が計算されていること、②次に、当該未分割財産が分割されたこと、③そして、当該分割の結果に従って相続税の課税価格を計算すると上記①の課税価格と異なることとなったこと、という要件をいずれも充足する必要があるところ、本件各更正の請求についてみると、本件相続財産のうち、本件民事調停決定によりW会が取得することとなった財産(W会財産)以外の財産については、そもそも同法第55条が適用されていないから上記①の要件を満たさず、また、本件相続財産のうちW会財産については、同条の規定に基づいて法定相続分で課税価格が計算されており、本件民事調停決定をもって分割されたと認められるから、上記①及び②の各要件を満たすものの、本件民事調停決定によって法定相続分で分割されたとみるのが相当であるから、上記③の要件を満たさない。したがって、本件各更正の請求は、相続税法第32条第1号の事由に該当しない不適法なものであるから、本件更正処分は、同法第35条第3項の要件を満たさない違法なものである。

参照条文等

相続税法第32条第35条第3項

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平成24年3月8日裁決

相続税の連帯納付義務を免れるためになされた遺産分割協議の合意解除は、後発的な更正の請求事由の一つである「やむを得ない事情によって解除」された場合には当たらないとした事例

裁決事例集 第86集

ポイント

 この事例は、私法上、遺産分割協議の合意解除は認められているが、その目的が相続税の連帯納付義務を免れるためのものである場合には、後発的な更正の請求を認めた趣旨に照らして国税通則法施行令第6条第1項2号に規定する「やむを得ない事情」に当たるとは到底解することはできないと判断したものである。

要旨

 請求人らは、被相続人に係る遺産について、代償分割の方法による当初の遺産分割協議(本件当初分割)を行い、代償財産を取得することとなったものの、代償債務を負う者がその債務の履行をせず、更に請求人らに当該代償債務を負う者に係る相続税の連帯納付義務が課されたことから、債務不履行解除の意思表示をして本件当初分割を解除(本件解除)した上で、再度の遺産分割協議を行った結果、請求人らは何らの財産も取得しないこととなったことからすると、本件解除は、国税通則法施行令第6条《更正の請求》第1項第2項に規定する「解除権の行使によって解除され」た場合又は「契約の成立後生じたやむを得ない事情によって解除され」た場合に該当するから、本件各更正の請求は、国税通則法第23条《更正の請求》第2項第3号に規定する事由に基づくものである旨主張する。
 しかしながら、遺産分割協議は、債務不履行解除をすることができないから、本件解除は「解除権の行使によって解除され」た場合には該当しない。また、本件においては、本件当初分割を解除する合意と同時に再度の遺産分割協議を行ったということができるところ、本件解除は、請求人らにおいて、上記代償債務を負う者に係る相続税の連帯納付義務を免れることを目的としたものといわざるを得ず、このような合意をもって、国税通則法第23条第2項に規定する後発的な更正の請求が認められるならば、相続税の連帯納付制度そのものを否定するに等しいというべきであり、同項及び国税通則法施行令第6条が連帯納付義務を免れる目的でされた合意に基づく更正の請求を「やむを得ない事情によって解除」された場合として認めているとは到底解することはできないから、「契約の成立後生じたやむを得ない事情によって解除され」たものと認めることはできない。したがって、本件各更正の請求は、国税通則法第23条第2項第3号に規定する要件を満たさないものである 。

参照条文等

民法第541条 国税通則法第23条第2項第3号 国税通則法施行令第6条第1項第2号 相続税法第34条第1項

参考判決・裁決

最高裁平成元年2月9日第一小法廷判決(民集43巻2号1頁) 最高裁平成2年9月27日第一小法廷判決(民集44巻6号995頁) 東京地裁平成11年2月25日判決(税資240号902頁)

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平成24年3月7日裁決

税務署における資料の調査により請求人の給与所得の申告が漏れているものと判断した上で、尋ねたい事項や持参を求める書類を具体的に明記した文書を送付するなどの一連の過程から、国税通則法第65条第5項の「調査」があったと判断した事例

裁決事例集 第86集

要旨

 請求人は、税務署への来訪を案内する文書(本件文書)には「調査」である旨の記載がない上、税務相談であればよいと断った上で面接に応じたものであり本件修正申告書を提出する前に「調査があった」とはいえないから、本件文書を受け取った後、自ら申し出た上での本件修正申告書の提出は、「その提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当する旨主張する。
 しかしながら、原処分庁所属の調査担当職員は、税務署における資料の調査により、請求人の給与所得の申告が漏れているものと判断し、その判断に基づいて、尋ねたい事項及び持参を求める書類を具体的に明記した本件文書を請求人に送付し、その後の電話でも本件文書と同じ内容を告げており、これらの一連の過程は、証拠書類の収集、証拠の評価あるいは経験則を通じての課税要件事実の認定、租税法その他の法令の解釈適用を経て決定に至るまでの判断過程の一端であるから、「調査」があったと認められる。そして、請求人は、調査があったことを端緒として、給与所得についての修正申告をしなければ、調査が進行し、やがて原処分庁が請求人に対する更正処分を行うであろうことを予知し、その上で本件修正申告書を提出したものと認められるから、本件修正申告書の提出は、「その提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当しない 。

参照条文等

国税通則法第65条第5項

参考判決・裁決

東京高裁平成17年4月21日判決(訟月52巻4号1269頁) 平成14年2月25日裁決(裁決事例集№63・37頁)

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平成24年3月6日裁決

台帳価格の決定後に既存建物の一部を利用して増築された部分の登録免許税の課税標準たる価額は、固定資産評価基準を基礎として算定するのが相当とした事例

裁決事例集 第86集

ポイント

 この事例は、建物の台帳価格の決定後に既存建物の一部を利用した増築工事により当該建物の床面積が増加した場合の当該増築部分の登録免許税の課税標準たる価額は、①登記実務上、法務局長が定める認定基準表により算定することになるが、当該認定基準表は平均的な新築建物の価額を基準として定められていることから、当該認定基準表により難いときには、②当該増築部分の工事費用が通常の取引における客観的な価額であると認められれば、当該増築工事費用の額を基礎とするのが最適であるが、当該増築工事費用の額が不明であるときには、③固定資産税法上の固定資産評価基準を基礎として算定するのが相当であると判断したものである。

要旨

 原処分庁は、平成22年6月における所有権移転登記の目的となった建物(本件建物)は、既存建物(本件旧建物)に事務所部分(本件事務所部分)を増築したものであって、その増築は、固定資産課税台帳(課税台帳)に本件旧建物の同年1月1日現在における価額が登録された後になされているから、本件建物の登録免許税の課税標準たる価額は、本件旧建物については、課税台帳に登録された同年1月1日現在の本件旧建物の価格(本件旧建物台帳価格)を基礎として計算した金額とし、本件事務所部分については、法務局長が定めた「登録免許税課税標準額認定基準」(本件通達)の新築建物課税標準額認定基準表(本件認定基準表)により算定した価額として、これらを合計した価額とするのが相当である旨主張する。
 しかしながら、登記の目的となる建物について登録免許税法施行令附則第4項に規定する「特別の事情」が認められる場合には、本件通達が定めた本件認定基準表を一律に適用して登記官がその価額を認定することは、簡易迅速な税額の確定が求められる登録免許税において課税の公平を担保するという観点から相当であると認められるものの、本件認定基準表により難い場合には、これによらないことができるものと解するのが相当であり、本件認定基準表は法務局長が平均的な新築建物の価額の基準として定めたものであるのに対し、本件事務所部分は既存の物置の一部を使用するなどして増築されたものであることからすると、本件事務所部分については、本件認定基準表に定める方法により難い場合に該当すると認められるから、他の方法により求めた登記の時の価額を課税標準の額とするのが相当である。そして、その価額は、市役所の職員が本件事務所部分を実地調査して固定資産評価基準に基づき算定した増築時点の再建築費評点を基礎として算出した価額(本件事務所部分価額)とするのが相当である。したがって、本件建物の登録免許税の課税標準たる価額は、本件旧建物台帳価格を基礎として計算した金額と本件事務所部分価額とを合計した金額とするのが相当である。

参照条文等

登録免許税法第10条、附則第7条 登録免許税法施行令附則第3項、第4項

参考判決・裁決

最高裁平成15年7月18日第二小法廷判決(判タ1139号62頁) 平成23年6月30日裁決(裁決事例集No.83)

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平成24年3月6日裁決

工事は完了したが代金が未確定の場合、事業年度終了の日の現況によりその金額を適正に見積もるとした事例

裁決事例集 第86集

要旨

 請求人は、請け負った施設等の修繕工事(本件工事)については事業年度末にその一部が完了しておらず、引渡しもしていないこと、また、本件工事の契約も解除されたことから工事代金の確定もなく、収益計上できない旨主張する。
 しかしながら、当該事業年度末までには本件工事は完了して施設が稼働し相手先にて使用収益されていると認められる。そして、工事代金が未確定の場合には事業年度終了の日の現況により適正に見積もることが相当とされるところ、請求人は本件工事に係る原価明細書を相手先に提示しており、その提示額は代金の見積額として合理的と認められるから、当該金額を当該事業年度の益金の額に算入すべきである。

参照条文等

法人税法第22条第2項 法人税基本通達2-1-42-1-52-1-7

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平成24年3月6日裁決

請求人が前代表者に支給した金員は給与等の性質を有するから交際費等に該当しないとした事例

裁決事例集 第86集

要旨

 原処分庁は、請求人の前代表者に支給された給与等(本件各金額)について、同人は請求人に対して人的役務の提供を行っておらず、地元対策等を目的とする同人の影響力に対する謝礼であるから交際費等に該当する旨主張する。
 しかしながら、前代表者は、取締役を退任する際に現在の代表者から、請求人と事業所周辺の住民との協調関係を維持すること、同業者及び取引先との調整等に協力すること、及び、請求人の従業員から相談を受けることや指導をすることなどの業務の依頼を受けており、代表取締役を退任した後、請求人の事務所に毎日出勤してこれらの業務を行っていたと認められる。そうすると、請求人と前代表者との間には雇用契約又はこれに類する合意が成立していると認められ、前代表者は、請求人の事務所等において、請求人の指揮命令に服して、継続的又は断続的に労務の提供を行っていたと認められることから、本件各金額は、労務の対価として支給した給与等に該当し、謝礼金(交際費等)には該当しない。

参照条文等

租税特別措置法第61条の4 所得税法第28条 租税特別措置法関係通達61の4(1)-12

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平成24年3月1日裁決

相続により取得した賃貸用建物については、中古資産としての耐用年数を適用することができないとした事例

裁決事例集 第86集

ポイント

 この事例は、請求人の配偶者が所有し、賃貸の用に供していた建物等を同人の死亡により請求人が相続し、これを賃貸の用に供して不動産所得を得ていたところ、当該不動産所得の金額の計算上必要経費に算入する減価償却費に係る当該建物等の耐用年数につき、いわゆる中古資産に係る簡便法による耐用年数が適用できるか否か判断したものである。

要旨

 請求人は、所得税法第60条《贈与等により取得した資産の取得費等》等の取得には相続による取得が含まれることを当然の前提としている一方で、減価償却資産の耐用年数等に関する省令(耐用年数省令)第3条《中古資産の耐用年数等》に規定する取得には相続を除く旨の明文の規定はないので、文言解釈の統一性の要請から、同条における取得にも相続による取得が含まれる旨主張する。
 しかしながら、耐用年数省令第3条第1項は、所得税法施行令第126条《減価償却資産の取得価額》第1項の規定する取得時における当該減価償却資産の当該取得価額(購入対価等の額ないし時価相当額等)をその取得後における効用持続期間において費用化することを前提とする規定であるところ、減価償却資産を相続等により取得した場合については、所得税法第60条の規定を受けた所得税法施行令第126条第2項において、相続人等は、当該減価償却資産を被相続人等の前所有者からの取得価額により取得したものとし、相続人等と被相続人等との間でいわゆる取得価額の引継ぎを行うものとして償却費の額の計算をすることとされているのであるから、取得時における当該減価償却資産の当該取得価額をその取得後における効用持続期間において費用化することを前提とする耐用年数省令第3条第1項の規定を適用して相続等による取得後の当該減価償却資産に係る償却費の額の計算を行うことはできないというべきである。

参照条文等

所得税法第49条 所得税法施行令第126条第129条 減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項

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平成24年2月22日裁決

消費税法第12条第1項から第4項までに規定する「分割等」として、同条第7項第3号に規定するのは、一の法人により行われる事後設立であると解するのが相当とした事例

裁決事例集 第86集

要旨

 請求人は、請求人の被合併法人であるD社は、消費税の控除対象仕入税額の算定において、消費税法第37条《中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例》第1項に規定するいわゆる簡易課税方式を適用しているところ、D社の設立形態は、同法第12条《分割等があった場合の納税義務の免除の特例》第7項第3号に規定する分割等に該当するから、D社の本件課税期間の基準期間における課税売上高は、消費税法施行令第55条《仕入れに係る消費税額の控除の特例の適用がない分割等に係る課税期間》第1項第3号の規定に基づき、D社及び同社の親法人であるGホールディングスの課税売上高の合計額によるべきであり、そうすると、当該合計額は5,000万円を超え、かつ、同号に規定する特定要件も満たすから、本件課税期間は、同法第37条第1項に規定する分割等に係る課税期間に該当し、同法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第1項に規定するいわゆる本則課税方式を適用すべきである旨主張する。
 しかしながら、消費税法第12条第7項第3号に規定する分割等は、金銭を出資する法人と資産を譲渡する法人が同一であること、金銭を出資する法人の設立時の持分割合が100%であることを要件としているから、一の法人により行われる事後設立であると解するのが相当であるところ、D社の設立形態は、金銭を出資したのはGホールディングスである一方、D社に資産を譲渡したのはGホールディングスの子会社である合併前の請求人であり、同一の法人によるものではないから、同号に規定する分割等には該当しない。

参照条文等

消費税法第12条第7項第3号第37条第1項 消費税法施行令第23条第9項第55条

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平成24年2月22日裁決

積極的な隠ぺい、仮装行為も租税負担を免れる意図を外部からもうかがい得る特段の行動も認められないため、重加算税の賦課要件を満たさないとした事例

裁決事例集 第86集

要旨

 原処分庁は、請求人が、申告していないのに市役所の職員に青色申告していると話した事実、徴収職員から申告していないことを指摘されたにも関わらず申告していない事実などから、請求人は、所得税の確定申告をすべきこと及び所得金額を十分に認識していた上、消費税等についても、確定申告をすべきことを十分に認識していたにも関わらず、申告をしなかったものであり、重加算税の賦課要件を満たしている旨主張する。
 確かに、請求人は、確定申告の必要性を認識しており、調査年分の確定申告をしなかった理由の一つとして租税の負担を免れるという点があったことは認められるものの、原処分庁が指摘する事実などは、それらのいずれによっても、積極的な隠ぺい、仮装行為が存在し、これに合わせて納税申告書を提出しなかったものとはいえず、租税負担を免れる意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったともいえない。また、請求人は、本件調査において、保存されていた全ての書類を提示し、終始協力的であったこと、調査年分の事業所得の金額を算定する上で必要となる書類等のうち作成保存していないものについて、請求人が意図的にこれらを破棄したことなどをうかがわせる事実も認められないことからしても、所得税及び消費税等について、請求人が納税申告書を提出しなかったこととは別に、積極的な隠ぺい、仮装行為が存在し、これに合わせて納税申告書を提出しなかったものとは認められず、租税負担を免れる意図を外部からもうかがい得る特段の行動があるとも認められないので、重加算税の賦課要件が満たされているとはいえない。

参考判決・裁決

最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)

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平成24年2月14日裁決

請求人が、当初から所得を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められないとした事例

裁決事例集 第86集

要旨

 原処分庁は、請求人が平成19年分の所得税について無申告であったことにつき、eワラント取引に係る申告義務及び申告方法について熟知していたにもかかわらず、①請求人の夫において申告していない夫自身のeワラント取引による利益を原資として請求人個人のeワラント取引を開始し、②eワラント取引について、損失が生じた場合にのみ所得税の申告をし、利益が生じた場合には申告をしていないこと及び③eワラント取引に係る取引残高報告書等を保存せず散逸するに任せていたことは、当初から所得を申告しないことを意図し、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき法定申告期限までに申告書を提出しなかったものと認められるから、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する隠ぺい又は仮装の行為に当たる旨主張する。
 しかしながら、上記①については、請求人のeワラント取引に関する認識を直接に示す事情ではなく、上記②については、請求人は、平成20年分の所得税については、eワラント取引から生じた利益を法定申告期限までに申告しているのであるから、請求人がeワラント取引によって損失が生じた場合にのみ申告をしていたとはいえず、また、上記③については、証券会社に有価証券取引用の口座を開設し、インターネットを経由して当該証券会社を通じて当該取引をした場合には、当該取引のデータは、一定期間、インターネットを経由して当該証券会社から入手することができるのであるから、請求人が、eワラント取引に係る証拠書類を保存せず散逸するに任せていたと評価するのは相当でない。したがって、原処分庁が主張する請求人の行為は、いずれも上記にいう特段の行動と評価することはできない。

参考判決・裁決

最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)

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平成24年2月10日裁決

勤務先の株式報酬制度に基づいて支給された上場株式に係る給与所得の収入すべき日は、当該報酬制度による約束(ストック・ユニット)が株式にコンバートされた日であるとした事例

裁決事例集 第86集

要旨

 請求人は、勤務先が属するE社グループの株式報酬制度に基づいて支給されたE社の上場株式(E社株式)に係る給与所得の収入金額の収入すべき日は、E社グループの従業員等の金融取引に関する取引方針(従業員等取引方針)の定め(所定の期間以外はE社グループ各社の発行した株式の譲渡を制限する旨)によりE社株式の譲渡が制限されていたから、E社株式が請求人の証券等取引口座に振り替えられ、かつ、当該譲渡制限が解除され譲渡が可能となった日(従業員等取引方針により譲渡できる期間の初日)である旨主張する。
 しかしながら、当該株式報酬制度の内容等を総合すると、請求人は、同制度による約束(ストック・ユニット:将来の指定された日(コンバート日)に、ストック・ユニット1単位に対してE社の普通株式1株を支給する旨の無保証の約束)が株式にコンバートした日において、E社株式の支給を受けて、当該株式に係る株主としての地位を確定的に取得したものと認められるから、同日をもって、当該支給に係るE社株式に係る給与所得の収入すべき日とするのが相当である。また、従業員等取引方針は、従業員の不正行為等の防止を目的として、E社グループの全ての従業員等による証券等の各種取引を規制対象とするものであり、当該株式報酬制度とはその目的や対象等を異にする別の制度であることからすると、請求人に支給されたE社株式は、請求人の立場により自由に譲渡できる期間を限定されているとはいえ、市場に流通するE社株式と同じ経済的価値(客観的交換価値)を有するものであるから、請求人が、上記コンバート日において既に、上記のような価値のあるE社株式の支給を受けて、当該株式に係る株主としての地位を取得している以上、同日に当該株式に係る所得が実現したというべきである。

参照条文等

所得税法第36条第1項

参考判決・裁決

最高裁昭和53年2月24日第二小法廷判決(民集32巻1号43頁) 東京地裁平成17年12月16日判決(訟月53巻3号871頁) 大阪高裁平成20年12月19日判決(訟月56巻1号1頁)

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平成24年2月8日裁決

土地の時効取得に係る一時所得の金額の計算上、弁護士費用等は、総収入金額から控除することができないとした事例

裁決事例集 第86集

ポイント

 この事例は、請求人が同人の夫の父の後妻名義の土地を取得したことにつき、①請求人の夫から相続により取得したものか、時効により取得したものか、②仮に、時効により取得した場合には、訴訟追行のための弁護士費用等は、一時所得の金額の計算上、総収入金額から控除できるか否かが争われたものである。
 なお、①については、請求人の夫から相続により取得したものではなく、時効の援用により取得したものとして一時所得に該当すると判断している。

要旨

 請求人は、所有権移転登記請求訴訟(本件訴訟)により、時効取得が認められた土地の取得が一時所得に該当する場合、本件訴訟に係る弁護士費用等は、一時所得の金額の計算上収入を得るために支出した金額に当たる旨主張する。
 しかしながら、時効取得による一時所得の金額の計算上、総収入金額から控除できる金額は、取得時効の援用の意思表示を相手方へ明らかにするために直接要した費用のみであるところ、本件訴訟に係る弁護士費用等は、登記の変更を求めるためのもので取得時効を援用するために直接要した費用とは認められないから、一時所得の収入を得るために支出した金額には当たらない。

参照条文等

所得税法第34条第36条

参考判決・裁決

東京地裁平成4年3月10日判決(訟月39巻1号139頁) 静岡地裁平成8年7月18日判決(行集47巻7・8号632頁、裁Web)

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平成24年2月7日裁決

宗教法人の消費税の計算上、収益事業部門と非収益事業部門を区分して経理している場合の非収益事業部門の収入であっても、初穂料等の資産の譲渡等の対価以外の収入は、消費税法第60条第4項の適用上、特定収入に該当するとした事例

裁決事例集 第86集

要旨

 請求人は、収益事業部門(結婚式場等)と非収益事業部門(神社)における収支を厳密に区分経理しており、非収益事業部門における初穂料等の収入(本件収入)が収益事業部門における課税仕入れに使われることはないなどとして、本件収入が消費税法第60条《国、地方公共団体等に対する特例》第4項に規定する特定収入に該当しない旨主張する。
 しかしながら、消費税法施行令第75条《国、地方公共団体等の仕入れに係る消費税額の特例》第1項第6号イは、法令又は交付要綱等によって課税仕入れ等に係る支払対価以外の支出のみに使途が限定されている収入を特定収入から除く旨規定しているところ、本件収入は、法令の規定又は交付要綱等によって拘束されることなく請求人が自らその使途を選択できる収入であり、同号イに掲げる収入に該当しないことは明らかであるから、請求人が収益事業部門と非収益事業部門における収支を厳密に区分経理していたとしても、請求人が任意に本件収入の使途を定めているにすぎず、そのことをもって、本件収入が特定収入から除かれる収入に当たるということはできない。
 そうすると、本件収入は、特定収入から除かれる収入について規定する消費税法施行令第75条第1項第1号から第5号まで及び第6号ロに掲げる収入のいずれにも当たらず、同号イに規定する法令又は交付要綱等によって課税仕入れ等に係る支払対価以外の支出のために使用することとされている収入にも当たらないから、消費税法第60条第4項に規定する特定収入に該当する。

参照条文等

消費税法第60条第4項 消費税法施行令第75条第1項

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平成24年2月6日裁決

工事移転のために支出した費用のうち、既存設備の移転費用及び少額減価償却資産の取得費用は損金の額に算入されるとした事例

裁決事例集 第86集

要旨

 原処分庁は、新工場におけるエレベータ工事、電気設備工事、内装工事等の各工事費用(本件各工事費用)の金額が、機械及び装置、建物附属設備並びに建物として、減価償却資産の取得価額に該当し損金の額に算入できない旨主張する。
 しかしながら、本件各工事費用には、既存の機械設備の移設に要した移転費用として、また、法人税法施行令第133条《少額の減価償却資産の取得価額の損金算入》に規定する少額の減価償却資産の取得価額として、損金の額に算入することが相当と認められる金額があるから、これらについては、原処分庁の主張は採用できない。

参照条文等

法人税法第2条第23号第31条第1項及び第6項 法人税法施行令第13条第54条第1項第133条 法人税基本通達7-1-11 減価償却資産の耐用年数等に関する省令第1条 耐用年数の適用等に関する取扱通達1-1-3、2-2-2

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平成24年1月31日裁決

助産施設として利用されていた建物の譲渡は、消費税法上、課税資産の譲渡等に当たるとした事例

裁決事例集 第86集

ポイント

 この事例は、産科、婦人科等の診療の用に供されていた建物及び敷地を請求人が医療法人に譲渡したことにつき、当該建物の譲渡が消費税法第6条第1項及び同法別表第一第8号に規定する非課税取引に当たるか否かが争われたものである。

要旨

 請求人は、消費税法別表第一第8号の規定上、助産に係る資産の譲渡等は分娩と直接関連するものに限られるとはいえず、助産に関連する全ての資産の譲渡等をいうのであり、請求人が所有し、産科、婦人科等の診療の用に供されていた本件建物は助産施設であるから、その譲渡は、同号に規定する助産に係る資産の譲渡等に該当する旨主張する。
 しかしながら、消費税法別表第一第8号に規定する「助産に係る資産の譲渡等」とは、医師等の資格を有する者の医学的判断及び技術をもって行われる分娩の介助等ないしそれに付随する妊産婦等に対する必要な処置及び世話等をいうものと解されるのであり、助産の用に供されている施設建物の譲渡が「助産に係る資産の譲渡等」に該当すると解することはできない。

参照条文等

消費税法第6条第1項、別表第一第8号

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平成24年1月25日裁決

租税特別措置法第66条の6第1項の規定による課税の特例は租税回避行為がある場合に限定して適用されるべきであるということはできないとした事例

裁決事例集 第86集

要旨

 請求人は、租税特別措置法第66条の6《内国法人に係る特定外国子会社等の留保金額の益金算入》第1項の規定による課税の特例(外国子会社合算税制)は、内国法人に租税回避行為がある場合にのみ適用すべきであり、外国子会社合算税制の適用により我が国の国際競争力を弱めるような事態が生じる場合には適用されない旨主張する。
 しかしながら、外国子会社合算税制は、租税特別措置法第66条の6第1項において外国子会社合算税制が適用される特定外国子会社等を定義した上で、同条第4項において適用除外要件を定め、特定外国子会社等が独立企業としての実体を備え、かつ、その本店又は主たる事務所の所在する国又は地域で事業活動を行うことについて十分な経済的合理性がある場合には、同条第1項の規定を適用しないとして、課税要件を具体的かつ明確に定め、その適用範囲を国際的な租税回避行為の事案に限定するとともに、法の適正な執行が担保されるようにした規定であると解され、同条がそれ以上に、「租税回避行為がある場合」といった要件まで要求していないことは、条文の文言上、明らかであるから、外国子会社合算税制は、租税回避行為がある場合に限定して適用されるべきであるということはできない。

参照条文等

租税特別措置法第66条の6(平成21年法律第13号による改正前のもの(適用事業年度によっては、平成18年法律第10号、平成19年法律第6号、平成20年法律第23号による各改正前となる。))

参考判決・裁決

平成19年10月16日裁決(裁決事例集№74・226頁) 平成20年2月20日裁決(裁決事例集№75・415頁)

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平成24年1月24日裁決

「調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたものでない」ことの判断は、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、修正申告に至る経緯、修正申告と調査の内容との関連性等の事情を総合考慮して行うべきであるとした事例

裁決事例集 第86集

要旨

 請求人は、本件各修正申告書の提出が国税通則法第65条《過少申告加算税》第5項に規定する「調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に当たる旨主張する。この点、「調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたものでない」ことの判断は、国税通則法第65条第5項の文言及び趣旨からすると、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、修正申告に至る経緯、修正申告と調査の内容との関連性等の事情を総合考慮して行うべきであるところ、本件においては、請求人は、調査担当職員からの国外送金に係る確認依頼を発端として修正申告を決意したものであり、請求人の国外における所得に関する調査が進行するなかで、当該所得について更正される可能性が高まったことを認識し、その認識した調査の内容と関連性を有する修正申告を行っているから、本件各修正申告は調査を受けたことを原因として更正される可能性があるとの認識によってされたものと認めることができる。したがって、本件各修正申告書の提出は、「調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に当たらない。

参照条文等

国税通則法第65条第5項

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平成24年1月24日裁決

固定資産課税台帳に登録された土地の地積を基礎とした同台帳価格が、登録免許税法第10条第1項に規定する価額(時価)を超えていることから、合理的に算定した価額をもって課税標準とするのが相当であるとした事例

裁決事例集 第86集

ポイント

 この事例は、登録免許税の課税標準たる不動産の価額は、基本的には固定資産課税台帳(課税台帳)に登録された価格(課税台帳価格)によるべきであるとしつつ、本件においては、実測面積を上回る課税台帳に登録された地積(登録地積)に基づく土地の課税台帳価格が、登録免許税法第10条第1項に規定する価額(時価)を超えていること及び課税台帳価格を登録地積で除して算出した単価に実測面積を乗じて算出した価格がその土地の時価の範囲内にあることをそれぞれ検証した上で、同価格を課税標準とするのが相当と判断したものである。

要旨

 原処分庁は、登録免許税は、登記行為に対して画一的に課されるものであるから、移転登記後に、本件土地の地積が、過大であることが判明したとしても、適法に確定した登録免許税に何ら影響はない旨主張する。
 しかしながら、登録免許税の課税標準たる不動産の価額とは、登記の時における時価であると解されるところ、簡易迅速な税額確定が求められる登録免許税においては、基本的には固定資産課税台帳(課税台帳)に登録された価格(課税台帳価格)によるべきであるが、課税台帳価格が何らかの理由により不動産の時価を表していない場合には、他の方法により求めた不動産の価額(時価)を登録免許税の課税標準として採用することができると解するのが相当である。また、土地の時価とは、必ずしも一義的に確定され得るものではなく、一定の幅をもった概念であるから、時価の算定に当たり、合理性のある算定方法が複数ある場合には、それぞれの算定方法に従って算出された各価額の範囲をもって時価相当額と解すべきである。本件土地の場合、実際の地積は課税台帳に登録された地積を下回るところ、本件土地の課税台帳価格は、地価公示標準地の価格及び取引事例を基礎として合理的に算出された単価に本件土地の実際の地積を乗じて算定した本件土地の価額をいずれも上回るから、当該課税台帳価格は、時価を超えているものというべきであり、課税標準とすべきではない。他方、請求人が主張する本件土地の課税標準は、上記の本件土地の価額の範囲内にあり、合理的に算定されていると認められることから、これをもって課税標準とするのが相当である。

参照条文等

登録免許税法第10条、附則第7条

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平成24年1月24日裁決

請求人が行った肉用牛の売却取引が租税特別措置法第25条に規定する農業協同組合に委託して行う売却には当たらないと判断した事例

裁決事例集 第86集

ポイント

 租税特別措置法第25条第1項第2号に規定する農業協同組合に委託して行う売却とは、委託者(農家等)が受託者(指定農協等)に売買契約の成立過程に係る業務につき相当の裁量を与え、受託者が肉用子牛の売却代金の回収等のみならず、販売先の勧誘、承諾等に関与して行う売却であると解される。
 この事例は、請求人が行った肉用牛の売却取引が、同号に規定する農業協同組合に委託して行う売却に当たるか否か判断したものである。

要旨

 請求人は、請求人が行った肉用牛の売却取引が、租税特別措置法第25条《肉用牛の売却による農業所得の課税の特例》第1項第2号に規定する農業協同組合に委託して行う売却に該当することから、同条に規定する肉用牛の免税制度が適用される旨主張する。
 しかしながら、請求人がa市農業協同組合に売却を委託したとする取引について、a市農業協同組合が請求人から委託を受けたのは売却代金の回収業務のみであり、当該売却取引の主要部分である子牛購入の申込みの勧誘及び申込みに対する承諾など売買契約の成立過程における業務にa市農業協同組合は関与していなかったと認められることから、当該取引は農業協同組合に委託して行う売却には当たらない。

参照条文等

租税特別措置法第25条第1項4項(平成23年法律第82号による改正前のもの) 国税通則法第70条第5項(平成23年法律第114号による改正前のもの)

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平成24年1月19日裁決

住宅の貸付け等の用に供している建物を販売用として取得したとしても、課税仕入れの用途区分は、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに該当するとした事例

裁決事例集 第86集

ポイント

 個別対応方式により仕入れに係る消費税額を計算する場合において、課税仕入れを「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」、「その他の資産の譲渡等にのみ要するもの」及び「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」に区分する場合の当該区分(いわゆる用途区分)は、課税仕入れを行った日の状況により行うと解されている(消費税法基本通達11-2-20)ところ、この事例は、住宅の貸付け等の用に供している建物を販売用として取得した場合の用途区分について判断を示したものである。

要旨

 請求人は、販売する目的で本件各建物を取得したのであるから、その取得に伴い住宅貸付けによる収入が発生する場合であっても、その取得は、消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第2項第1号に規定する個別対応方式による課税仕入れ等に係る消費税の控除額の計算において、「課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ」に該当する旨主張する。
 しかしながら、課税仕入れ等の用途区分の判定は、課税仕入れ等を行った日の状況により、当該課税仕入れ等の目的及び当該課税仕入れ等に対応する資産の譲渡等の内容を勘案して行うのであるから、本件各建物の取得は、たとえその取得目的が販売用であったとしても、その取得の時点において本件各建物は住宅の貸付け等の用に供されていたのであるから、「課税資産の譲渡等と課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ」に該当する。

参照条文等

消費税法第30条第2項第1号 消費税法基本通達11-2-1211-2-20

参考判決・裁決

平成17年11月10日裁決(裁決事例集No.70・369頁)

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