裁決事例 昭和55年(1980年)
要旨
役員に対して管理職給という名目で支払った本件金員は、役員に対する給与ではなく、役員個人に対し別途委任したゴルフ会員権の販売代理権の獲得等の業務の対価であると主張するが、これらの業務を別途委任したことを証するに足りる証拠がなく、また、これらの業務に直接携わっていない管理職的地位にある使用人にも支給している事実があることから、これらの業務の対価として支払われたものとは認められず、仮に本件金員が業務の対価の名目で支払われたとしても、請求人の事業目的がゴルフ会員権の売買であることから、これらの業務そのものは、役員の業務執行の範囲に含まれ、これらの役員業務を含む役員業務一般に対する対価として支給されたとみるのが相当であり、かつ、その支給金額は売上金額を基とし、定期、定額のものでなく、臨時的なものと認められるので、本件金員は役員賞与とするのが相当である。
要旨
定期預金は、一般の貸付金債権のように契約期間を通ずる約定利率が定められているのであるが、預入者が預入期間中に払戻しを受ける場合には、その預入期間に応じた所定の期限前解約利率による利子が付されることになっている。このような定期預金契約を全体としてみると、預入期間に応じて預入期間を通ずる利率が段階的に漸増していき一定期間経過時に一定利率に達する定額郵便貯金契約と、経済的実質的に同質のものと認めるのが相当である。
したがって、定期預金の既経過利子の額については、相続人が定期預金を期限前に解約したか契約期間満了の時まで契約を継続したかにかかわりなく、相続開始の時における期限前解約利率によりこれを計算すべきである。
また、法定果実である利子を実際に取得する際に、その取得者が当該既経過利子を含む利子の全額を対象とする源泉徴収に係る所得税を徴収されるという現行税制を踏まえて、一般的に、当該既経過利子の額に対応する源泉徴収に係る所得税の額に相当する額が取引価額に係る価格形成要因として認識され、当事者間の所得税の負担が調整されていることが認められる。
定期預金に係る既経過利子の額においても、この理は妥当すると認められるから、相続税における定期預金の評価に当たっては、その既経過利子の額に対応する源泉徴収に係る所得税の額に相当する額を価格形成要因として考慮すべきである。
したがって、定期預金の評価上、その預入金額に加えるべき既経過利子の額の評価については、期限前解約利率により算出し、これに対する源泉徴収所得税の額に相当する金額を控除すべきである。
遺産の代償分割に当たり他の相続人に支払った金額は、当該代償分割によって取得した資産の譲渡所得の金額の計算上、譲渡資産の取得費の額に算入できないとした事例
裁決事例集 第21集 72頁
要旨
いわゆる代償分割の方法により遺産分割を了して相続した資産を譲渡した場合、その代償分割に際して負担することとなる債務は、相続人相互における各取得財産の価額を調整する目的で負担するものであって、その相続により取得した資産の取得代価として負担したものではないから、その債務の額を譲渡所得の金額の計算上取得費の額に算入することはできない。
要旨
請求人が、その役員に対して譲渡した本件土地等の価額については、請求人が本件土地等に隣接する土地等をその直前に第三者に譲渡しており、その間、土地の価額の変動がほとんどないこと、本件土地等と隣接する土地等のいずれもその利用状況がおおむね同一であることから、隣接土地等の第三者への譲渡価額を基に本件土地等の価額を算定したところ、当該譲渡価額が著しく低額と認められるので、当該算定した価額と当該譲渡価額との差額に相当する金額を役員に対する臨時的な給与、すなわち、役員賞与として損金の額に算入しないこととした原処分は相当である。
所有資産が主として土地である子会社の株式の価額の算定に当たり、土地を時価で評価して、純資産価額方式に準じて算定した価額を時価相当額と認定した原処分は相当であるとした事例
裁決事例集 第21集 89頁
要旨
所有資産が主として土地である子会社の株式を特殊関係法人に譲渡した場合における譲渡価額の算定の基となった本件株式の評価額について、請求人における評価は、相続税財産評価に関する基本通達(186)に定める純資産価額方式により行われていることが認められるところ、その評価の基礎となる土地の価額をいわゆる路線価方式による評価額によることとしたのは適当ではなく、原処分庁が当該土地の通常の取引価額を基礎として純資産価額方式により算定した評価額をもって本件株式の時価と認定した原処分は適法である。
要旨
請求人の取引先Aが事業不振に陥り、大口債権者に銀行取引用の印鑑等を管理されることとなったため、B銀行にAの妻名義の当座取引口座を設け、請求人から買い受けた商品代金支払のため当該名義を冒用して約束手形を振り出し、請求人に交付したことなどの事実からみて、請求人が取引先Aから受け取った振出人をAの妻名義とする約束手形は、実質的にはAが振り出した手形であり、法人税基本通達9-6-4(現行9-6-5)の(2)のハに定める「他の第三者の振り出した手形」に当たるとして債権償却特別勘定の繰入れを否認した原処分は相当でない。
要旨
株式の取引が事業に当たるか否かは、一般社会通念に照らして判断するほかはないが、そのためには事業としての社会的客観性が問われるべきであり、この観点からすれば、その取引の種類、取引におけるその者の役割、取引のための人的、物的設備の有無、資金の調達方法その他諸般の状況等を総合勘案して判断すべきものであり、単に所得税法施行令第26条第2項各号に規定する株式の売買回数及び売買株数を充足しているだけでは足りず、株式のために投下若しくは動員された資金の額及び人的物的設備等が相当程度の規模によっていることを要すると解されるところ、請求人の株式取引のために費やした精神的、肉体的労力の程度、取引のための資金調達の方法、その人的、物的設備の組織的な利用状況、請求人の社会的地位等から判断して、本件の株式取引は事業に当たるとする社会的客観性を有しているものとは認められないので、当該株式取引から生じた損失の額を、雑所得を生ずべき営利を目的とした継続的行為から生じた損失の額と認定した原処分は適法である。
要旨
自己の営む事業を遂行するため加入したA管工事協同組合に出資と合わせて納付した加入金は、[1]組合が加入金を資本準備金に繰り入れていること、[2]脱退組合員に持分の払戻しをするほか退会慰労金の名目で金員を支払っていること、[3]加入金の額は組合の正味財産額を基礎として算出した旨の説明があることなどの事実を総合して判断すると、本件加入金は組合員の地位を取得するに当たり、既組合員の持分とを調整するために徴収されたものと認められ、権利金としての性格を有するものとは認められないから、本件加入金は、事業所得計算上の必要経費ではなく、持分の取得費として有価証券の取得価額に含めるのが相当である。
要旨
農地を2筆に分筆して同一人に対し昭和52年8月と昭和53年2月に売買契約を締結し、それぞれの売買契約が成立した日に譲渡があったかどうかについて、原処分庁は、農地の所有権の移転に係る農地転用届出の効力は他の財産上の手続に対し特別の地位にあることを理由に、その届出の効力が生じた昭和52年8月に本件農地が一の取引に基づいて一括して譲渡されたものと認定しているが、農地転用届出の受理は農地の所有権を移転する私法上の行為を補充してその法律上の効力を完成させるにすぎない行政行為であり、私法上の行為そのものの効力を確定させるものではないところ、本件土地及び隣接地の各売買契約は、[1]売買約書の内容、[2]譲渡代金の授受の状況、[3]不動産業者、司法書士等に対する仲介手数料、報酬の支払状況等の事実に照らし、昭和52年8月と昭和53年2月にそれぞれ時期を異にして別個独立に締結されたものと認められるから、原処分の一部を取り消すのが相当である。
要旨
当初申告に係る物納申請を延納申請に変更させ、かつ、更正の請求をなさしめたのは、相続税の減額を条件とした原処分庁の職員の指導によるものであるから、その減額が認められない以上、本件延納申請及び本件延納許可処分は無効であって、修正申告の際に再度申請した本件物納申請は、法定申告期限内に申請したものとみなすべきである旨の主張について、原処分庁の職員が請求人に対し、物納、延納の各申請並びに修正申告及び更正の請求について行った指導は、納税者が法の不知により不利益を受けないことなど一般的な指導の域を出ておらず、他に本件延納申請及び本件延納許可処分を無効ならしめるような事実があったとは認められず、これらはいずれも法令等の規定に基づく適法なものというべきであり、本件物納申請について法定期限内になされたものと認めるべき理由がないからこれを却下した原処分は相当である。
被相続人の雇用主である会社が契約した生命保険契約による支払を受けた保険金について、相続税法第3条第1項第1号に規定する保険金に該当するものとした事例
裁決事例集 第21集 180頁
要旨
被相続人を被保険者とする団体定期生命保険契約に基づき保険金受取人である請求人が受け取った保険金につき、これを弔慰金と解し退職手当金等とすべきであるとする旨の請求人の主張について、被相続人の雇用主が当該契約を締結し、かつ、保険料を負担していたとしても、社内規程、就業規則、労働協約等において当該保険金を退職手当金等として支給する旨の関係者の意思が明白に表示されている場合に限り、退職手当金等に該当すると解すべきであること、また、雇用主は従業員の生存中に保険契約を締結し、保険料を負担するのみで、本件保険金の受取りについては何らの権利がなく、被相続人の死亡により請求人は当然に本件保険金を取得したものであることから、本件保険金は相続税法第3条第1項第1号に規定する生命保険金に該当するとした原処分は相当である。
譲渡した土地の共有者である兄が売買契約書を仮装し、他の共有者である弟の譲渡所得について過少に申告したことは、弟にも仮装行為があったことになるとした事例
裁決事例集 第21集 13頁
要旨
請求人は、譲渡した土地の共有者である兄に当該土地の売却先の決定、売買契約の締結及び売買代金の受領等の行為を依頼したこと、また、当該土地の譲渡所得に係る確定申告から納付行為までの一連の行為をすべて兄に行わせていたことが認められ、請求人としては兄が当該土地の譲渡に関して仮装行為をし、その所得を過少に申告した行為について否認できない関係にあったことが認められることから、請求人がこれを関知していなかったかどうかを判断するまでもなく、国税通則法第68条第1項の規定に該当するとして重加算税を賦課決定した原処分は相当である。
要旨
請求人がA卸商団地協同組合(以下「組合」という。)を脱退するに際して組合と請求人との間で交わした覚書に基づき、出資の持分、高度化事業団地の割当て等を含む一切の権利を引き渡すことに伴い補償金を受領した場合において、当該補償金は当該割当土地の時価をもって算定されているところからみれば、当該補償金の額から出資持分の払戻しに相当する額を控除した額は、当該割当て土地の上に存する権利を組合に譲渡したことによる対価と認められるから、租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改正前のもの)第63条第1項第1号に規定する「土地及び土地の上に存する権利」の譲渡に当たるとして同項の規定を適用した原処分は相当である。
要旨
請求人が本件土地の譲渡に伴い隣接地を道路用地としてA市に対して無償で提供することとしたのは、本件土地に道路の幅員拡張のため道路用地を付加することにより本件土地の利用価値を高めるものであり、その付加した道路用地の対価に相当する金額は、本件土地の譲渡価額に含めて請求人が収受したものとみるのが相当であり、請求人が道路設置の念書に基づいて道路用地として本件隣接地を市へ無償で提供すること自体は、本件隣接地を買主に引き渡すことに代えて市に提供したにすぎないと認められることから、道路用地とした隣接地の取得費に相当する金額は譲渡原価となるにとどまるものと解すべきであり、隣接地の売却可能価額に相当する金額を本件土地の譲渡に係る譲渡費用の額に算入すべきであるとの主張には理由がない。
要旨
本件契約は形式的には土地の譲渡契約(以下「原契約」という。)の解除契約であるが、その取引は実質的には当該土地を返還したのではなく譲渡したものであるから、当該土地の譲渡損失の額を他の土地の譲渡益と通算し、課税土地譲渡利益金額を算定すべきである旨の主張について、本件契約は、原契約に基づき当事者双方の合意による解除契約であること、その解除契約に基づき譲受人である請求人は原契約に定める違約金を支払って当該土地の所有権を譲渡人に復帰させたものであることが認められるから、実質的にも土地の譲渡には該当しないので、本件契約に係る損失の額が、租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改正前のもの)第63条第1項に規定する土地譲渡に係る譲渡損益の金額に該当しないとした原処分は適法である。
要旨
相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められる債務」とは、被相続人の債務については、相続人が債務を履行することになるものであり、それだけ相続により取得した経済的価値が失われることとなるので、それを控除する趣旨と解されることから、債務の存在及び履行の確実性を意味するものと解される。したがって、相続税の計算上控除できる債務としては、不当利得返還請求に基づく給付訴訟において存在が認められたにすぎない不当利得返還債務の全額ではなく、給付判決によって給付を命じられた額すなわち請求人が履行しなければならない額に限られる。
要旨
本件家屋に隣接する家屋が市に買収され、本件家屋だけでは手狭になったため、転勤による帰郷後、本件家屋に居住しなかったものであり、買収されなかったとすれば当然に本件家屋に居住したものであるから、本件家屋は居住用財産に該当すると主張するが、本件家屋を生活の本拠に利用することなく他に賃貸していた以上、本件家屋は居住用財産に当たらないとした原処分は相当である。
要旨
二つの物件について、譲受人から一括しての買申込みがあったことに対し、請求人としてはその代金を一時に入手する必要がなく、かつ、税負担の考慮から譲渡年分を変えることとして、一つの物件については売買契約を締結し、他の一つ物件については売買予約の覚書を作成し、同覚書に基づき売買予約の仮登記をした場合に、請求人と譲受人との間においては、当該覚書作成の時において、既に、他の一つの物件の売買代金の額について合意が成立していて、譲受人は請求人からの要求に基づき、当該覚書作成の日の翌日にその売買代金の全額を支払うことによって買主としての義務を完全に履行しているから、本件土地に関する所有権移転の登記手続を翌年1月以降に行ったとしても、請求人には、前記目的以外にその所有権移転を直ちにすることができないとする事情は認められず、したがって、売買当事者間においては、譲受人が実質的にその売買代金の全額を請求人に支払った日において、その譲渡があったものと認定するのが相当である。
要旨
相続財産について破産の宣告がなされても、相続人が承継した国税の納付義務は破産管財人に承継されるものでないから、請求人の承継した納付義務は消滅せず、また、請求人は単純承認による相続をしているので、請求人が承継した国税の納付義務は無限に納付する責任を負っている。したがって、請求人が相続によって承継した国税を滞納している以上、請求人の固有財産に対してなされた差押処分は相当である。
要旨
保証債務の履行に係る求償権の放棄について、主たる債務者は、[1]設立以来、現在まで事業を継続していること、[2]ここ数事業年度の決算では毎期純利益を計上し、繰越欠損金は減少しており、また、不良債権であるという売掛金も回収不能であると認めるに足る証拠はないこと、[3]請求人以外の者からの借入金は、返済、借入れを繰り返しながら全体に減少し、請求人が求償権を放棄した事業年度においても借入金を返済していること、[4]求償権を放棄した翌事業年度には、請求人に対し新たな貸付けを行っていること等を総合勘案すると、請求人の主たる債務者に対する求償権の放棄について、その行使ができないために行ったものと認めることは相当でない。
要旨
契約対象物件の全部の引渡しが完了していない場合における譲渡所得の課税に当たって、[1]契約対象物件の大部分の引渡しが行われていること、[2]引渡物件に見合う対価を収受し、請求人の事業資金等に使用されていること、[3]引渡未了物件は第三者所有の物件で、請求人がそれを取得して契約の相手方に引き渡すことは事実上不能であること、[4]契約対象物件の一部を引き渡さなかったことを原因とする当該契約の解除がなされた事実はないことからみると、本件売買契約は、黙示の合意による変更がなされ、当事者双方が履行をなしたところをもって契約の部分的完結がなされたものと認められるので、一部の引渡しを了していないので課税適状にはないという請求人の主張は相当でなく、また、引渡未了分を含めた売買契約書に基づき譲渡所得の金額を算定した原処分も相当でない。
要旨
借入金によって建築した賃貸用ビル(マンション)の一部が前年までに分譲され、この分譲代金収入と賃貸料収入とをもって借入金の一部が返済されている場合において、分譲代金収入と賃貸料収入との合計額に対する分譲代金収入の割合を返済された元本額に乗じて得た金額が、前記返済元本額のうち分譲した部分の建築資金に係る借入金の額を超えているところから、分譲代金収入によって前記分譲した部分の建築資金に係る借入金は返済済みであると解しても不相当ではないので、当年分に残存する借入金はすべて賃貸用部分の建築資金に係るものと解することができ、当年分の借入金利子のうち、たまたま請求人の個人の用とした一室の建築資金に係るものを除き、賃貸料収入による不動産所得の必要経費と認めるのが相当であって、原処分の全部を取り消すべきである。
要旨
請求人が、自己所有の土地を譲渡して得た代金により、B農協から自己名義で借り入れた債務を弁済した場合において、同債務の借入れについて、[1]請求人は、農業協同組合法の規定により農業協同組合が組合員以外のものに融資することはできないこととされているため、A法人の設備資金等に充てるための融資を受けるに当たり、自己がB農協の組合員であることから自己名義で借り入れるに至ったこと、[2]請求人は、当該借入金の担保のため本件土地に根抵当権を設定し、その後これを売却しその代金により本件借入金に係る債務を弁済していること、[3]請求人は、借入れ後直ちにこれをA法人に貸し付け、かつ、これに伴い利ざやその他の金利に相当する金銭等を収受していないこと、[4]A法人は、請求人からの借入れについて、B農協から直接借り入れた場合と同様の経理処理をしていることなどの事実が認められる場合には、請求人の前記債務は、請求人がA法人の債務を補償することに代えて自己名義で借り入れた債務というべきであるから、所得税法第64条第2項の規定の適用については、これを同条項にいう保証債務と同等のものと認めるのが相当である。
要旨
持分共有で取得した低湿地を2~3メートル盛土して譲渡した場合において、[1]本件土地は取得後放置されていたことからゴミ捨場のようになり、市当局等から所有者の管理責任を問われたため、通常の管理行為として埋立てをしたものと認められること、[2]埋立工事に要した金額が過少で、後日、本件土地の取得者が宅地造成するために多額の金額を要していること、[3]埋立工事は、2~3メートルの盛土をしているが表面をならしただけで、下水道工事はもとより、隣接地との境界に対する擁壁工事、石垣積み等の工事をしておらず、その境界は土盛りのまま傾斜地となっていたため雨水等によりくずれ落ちる危険性が高く、そのまま宅地として使用できる状態でなかったなどの事実が認められ、これらを併せ考えると、本件土地は、宅地ないし宅地に近い状態にまで区画形質の変更が加えられて譲渡したものとは認められないから、その譲渡による所得は譲渡所得に該当し、雑所得に該当するとした原処分は相当でない。
要旨
建売業者に土地を譲渡するに当たり、当該業者と建物の工事請負契約書及び新築建物と土地を一括譲渡する売買契約書を取り交わし、これに基づいて租税特別措置法関係通達63(2)-4“新築した建物を土地等とともに一括譲渡した場合の対価の区分の特例”に定める142パーセント基準を適用して土地重課税の申告をした場合において、請求人が契約に係る建物を新築した事実は認められず、実際は土地だけの取引であること、請求人の代表取締役は土地重課制度の知識を有することから、本件建物に関する各契約書は、同通達に定める特例の適用を受けることによって土地重課税の一部を免れるため故意に作成されたものであると認めざるを得ず、本件建物に関する取引及び請求人の経理は、いずれも国税通則法第68条第1項に規定する事実の隠ぺい又は仮装に該当するものであり、重加算税を賦課決定したことは相当である。
要旨
純損失の繰越控除は、所得税法第70条第1項、第22条第2項及び同法施行令第201条第1項第2号イの規定から明らかなように、純損失の生じた年の翌年以降3年内の各年において発生する総所得金額から順次控除するものであり、その純損失の生じた年以降3年内であれば、金額的処理方法には任意選択性があるとしてなした請求人の純損失の繰越控除は相当でない。
要旨
仮住居補償金及び移転補償金は、仮住居及び建物の移転雑費として一般的に要するものと認められる費用を積算して、あらかじめ契約によりその額を決定したものであるから、補償金の交付を受けた者が営業中であったかどうか並びに実際にこれらのために要した費用の有無及びその多寡によって、その実質が対価補償金になるものではなく、また、一般に、収益補償金名義で交付を受けた補償金のうち、当該収用等をされた建物の対価補償金として交付を受けた金額が当該建物の再取得価額に達するまでの金額については、譲渡所得の金額の計算上、当該建物の対価補償金への流用を認めているが、対価補償金と対価補償金以外の補償金とは、それぞれの補償目的を有する別個なものであるから、それぞれの補償金の性格に応じた課税上の取扱いをするのが原則であるところ、前記取扱いは収益補償金名義の補償金に限られたものであり、仮住居補償金及び移転補償金について、これと同様に取り扱うことは相当でない。
要旨
税理士の使用人が、独断で、事業所得の計算の基礎となる収入金額を圧縮したところにより決算書及び確定申告書を作成、提出したものであり、請求人本人は当該使用人からその内容説明を受けず、また、収入金額を記帳した帳簿との対査等も行っておらず、当該申告が所得金額を過少に申告したものであることを知らなかったから、請求人には仮装又は隠ぺいの意図がなかった上、そのような行為もしていない旨主張するが、その主張が信用できない状況では、請求人と申告書作成等の受任者との間にいかなる事情が存したにせよ、また、このことについて受任者がどこまで関与したかにかかわらず、請求人本人が記帳し、保存している帳簿に基づく収入金額を不正に操作し、これによって所得金額を過少に表示した決算書及び確定申告書を作成し、請求人が押印して最終的に完成させた上、提出したことは、国税の課税標準の計算の基礎となる事実の一部を隠ぺい又は仮装したところに基づいて納税申告書を提出したことに該当する。
要旨
一般に相続財産は、相続人が数人いる場合には相続開始と共にその共有に属し、かつ、その共有持分は法定相続分によるものとされており、また、分割前の相続財産の処分については、他の相続人の同意が必要とされ、かつ、その同意を得て特定物を処分したときは、当該物件に対するそれぞれの法定相続分につきこれがなされたものと解されるところ、請求人は、本件処分の対象となった山林所得及び譲渡所得は未分割の相続財産の売却によるものであるから、その売却時においては請求人のこれらの所得に係る収入金額は確定していないと主張するが、請求人ら共同相続人が本件未分割財産を第三者に対して適法に売り渡している以上、請求人の法定相続分により、その売却時の年分において、これらの所得金額計算上の収入金額が確定しているものといわざるを得ない。
要旨
所得税の申告等の期限の延長は、国税通則法第11条及び同法施行令第3条により、災害その他やむを得ない理由が生じた場合に認められるものであり、ここでいう災害その他やむを得ない理由とは、自然的災害、人為的災害、交通途絶等客観的にみてその申告ができないような状態をいうものと解されるところ、請求人の主張する、未分割の相続財産を売却したため売却年分の所得税の法定申告期限までに請求人に帰属すべき収入金額が確定しなかったというような、いわば主観的な理由はこれに当たらない。
要旨
請求人名義の土地の譲渡を、たとえ、同人の子が無断で行ったものであるとしても、その後、当該土地の面積及び売買価額を改める変更契約書を請求人、買主及び当該子が協議して作成していることから、請求人は本件譲渡を追認していると認められること、請求人が無断譲渡に関して法的手段に出ていないこと、譲渡代金は当該子が受領済みであることなどから、請求人が本件土地を譲渡したものとして行った原処分は適法である。
要旨
請求人が市街化区域内の農地を譲渡し、その譲渡代金をもって市街化調整区域内にある土地を取得した場合において、当該土地について、請求人は売主に地目を畑から雑種地に変えさせており、また、売主は駐車場の用に供するために工事を施工していること、請求人は取得後農業の用に供することなく、駐車場として賃貸していることが認められるので、当該取得土地は、租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改正前のもの)第37条第1項の表第5号に掲げる農業の用に供される土地等には該当しないとして、本件土地の譲渡所得については、同項の規定は適用されないとした原処分は相当である。
要旨
固定資産の交換は資産の譲渡に該当し、その譲渡益は譲渡所得の課税対象となり、この場合の収入金額は、交換により取得した資産の価額によるべきところ、その価額は所得税法第36条第2項の規定においてその資産の交換の時における価額とされており、その交換における価額とは、通常の売買価額、言い換えれば客観的交換価額をいうものと解される。本件の場合、交換先における交換取得土地の取得価額については、通常の取引価額よりある程度の買進みがあったと認められるので、本件譲渡収入金額は、交換先における交換取得土地の取得価額によるのは相当でなく、当該土地と価格事情がおおむね同一と認められる状況類似地域における当該年中の売買実例7件の売買価額の平均値に、本件交換の条件として交換先に負担させた土地埋立費用を交換差金と認めてこれを加算した価額とするのが相当である。
要旨
営業権とはその企業の長年にわたる伝統と社会的信用、立地条件、特殊の製造技術及び特殊の取引関係の存在並びに、それらの独占性等企業がこれを持つことにより、同種の事業を営む他の企業の稼得している通常の収益(いわゆる平均的収益)より大きな収益、つまり、超過収益を稼得できる無形の財産的価値を有している相対的な事実関係を指称するものと解されるところ、特殊飲食物販売業を営む請求人が喫茶、ラーメン等を営む前賃借人から店舗及びその造作備品等の譲受けに際して支払った対価について、[1]前賃借人が営んでいた事業に係る客層と請求人が前賃借人から譲り受けた各店舗において営むことを予定していた事業に係る客層とは、同一であるとはいえないことから、前賃借人の有していた取引関係が請求人にとって超過収益力を稼得できる無形の財産的価値を有しているものとは認められないこと、[2]請求人と前賃借人との間においてされた当該対価の支払に係る契約は、店舗賃貸借契約の付随的契約と認められることから、当該対価の額は、営業権の取得価額に算入することなく、法人税法施行令第14条第1項第9号ロに規定する繰延資産の対価であると認定するのが相当である。
要旨
賃貸料の額に関する係争に起因する供託金の不動産所得の総収入金額の収入すべき時期に関して、当該供託金は、不法供託の上賃借人を被告とする貸料増額要求訴訟が解決するまで還付を受けることができない未確定債権であるから原処分の認定した収入時期には誤りがあるとの請求人の主張について、当該供託金は、請求人と貸借人との間においては、本件土地の賃貸借契約についての争いはなく、その賃貸料の増額について当事者間に協議が整わないことから、貸借人が供託したものであることが認められ、手続的には適法になされていることが認められること、また、請求人は当該供託金を当該訴訟係属中に還付を受けており、その際、供託所に対し供託金額を超える部分の賃料について留保の意思表示をしていることが認められること、しかし、土地等の賃貸借契約の存否については争わず、賃料の額の多寡についてのみ争われている場合の供託金については、その供託された賃貸料相当額に係る不動産所得の総収入金額の収入すべき時期は、[1]賃貸料の額として確定している部分の金額については契約等により支払日として定められている日、[2]不確定な部分の金額については賃借人が賃貸料の弁済のため供託した日と解されるから、原処分庁の認定した収入時期については誤りはない。
要旨
ストリップショウは、通常出演者が観客の前で音楽に合わせて踊りながら、次々に衣裳を脱いでいく演芸であるから、所得税法施行令第320条第4項に規定する舞踊に含まれる。したがって、当該ストリツプショウの出演者の役務に対して支払われる出演料は、所得税法第204条第1項第5号に規定する報酬又は料金に該当する。
要旨
源泉徴収に係る所得税の不納付について、請求人は、ストリップショウの出演料について源泉徴収の必要はないとの税理士の説明をいったん信じたが、その後、同税理士独自の法解釈について疑義が生じたので、「ストリップショウの出演者に対する支払報酬、料金が所得税法第204条第1項第5号に規定する報酬、料金に該当するかどうかの取扱いが所轄税務署により異なることについて」なる上申書を原処分庁に提出していること等から、国税通則法第67条第1項に規定する正当な理由があると認められるので、本件不納付加算税の賦課決定は、これを取り消すのが相当である。
要旨
請求人(不動産仲介を業とする法人)が売主から受領した土地売買の仲介に係る手数料が高額になったのは、買主の支払うべき手数料を含んでいるためで、実質的には、宅地建物取引業法に定める報酬の限度を超えていないと主張するが、買主は、評価先例地の価格を基準とし、本件土地の地形、地積、道路の状況、用途地域区分等を考慮して本件土地の買受価額を決定したもので、当該価額に仲介手数料の額を含めていたとは認められず、また、売主は請求人の要求どおりの手数料を支払っても、手取額が納得できる金額であったので、その要求どおり支払ったものであることなどの事実を総合勘案すれば、当該手数料は売主から支払を受けたものであり、かつ、当該金額は宅地建物取引業法第46条第1項に規定する報酬の額を超えているから、請求人の当該手数料の受領は租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改正前のもの)第63条第1項に掲げる行為に該当することになるので、同条項の規定を適用して当該手数料の額に係る土地譲渡利益金額を課税土地譲渡利益金額とした原処分は適法である。
要旨
配偶者出産費は、地方公務員共済組合法第63条第3項の規定に基づき給付されるものであり、また、配偶者出産費の付加金は、同法第54条及び同法施行令第23条の規定を受けて定められたA共済組合定款の規定に基づいて、組合員が配偶者出産費を受けることができるときにこれに付加して支給されるものであるから、その給付の原因及び目的は配偶者出産費と同様であって、出産費の支出の事由を給付原因とし、出産に伴う支出を補てんする目的をもって支給されるものであると認められ、所得税法第73条第1項かっこ書に規定する「保険金、損害賠償金、その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額」は、法定給付である配偶者出産費の額に限られ、同付加金の額は該当しないという請求人の主張は相当でない。
要旨
商業登記簿上の役員でない者であっても、自己の名義によって金融機関から事業用資金を借り入れることを決定するなど請求人の資金計画を行い、また、商品の仕入れ及び販売の計画並びに従業員の採用の諾否及び給与の決定を行うなど専ら自己の責任において請求人の業務を運営していることが認められるので、当該者は法人税法施行令第7条第1項第1号に規定する使用人以外の者で請求人の経営に従事している者に該当し、同法第2条第15号に規定する役員に当たるから、同人に支給された賞与の額を役員賞与として損金の額に算入しなかった原処分は適法である。
要旨
租税特別措置法(昭和53年法律第11号による改正前のもの)第37条第1項に規定する特定の事業用資産については、現実に事業の用に供されているもののほか、事業への現実の供用を了した後においても、相当の期間内はいまだ事業用資産としての性質を失うものではないと解するのが相当であって、どの程度の期間が相当であるかは、個々の事実関係について当該資産の種類、構造等の特性、事業の用に供さなくなった理由、その後における当該資産の現状及び使用目的等を総合判断すべきところ、本件土地は長期間賃貸していたもので賃借人の都合により賃貸借契約が解約されたものであり、請求人は当該契約の解除後も当該土地を継続して貸し付ける意思を保有し、貸付先を探索していたが、貸付先の探索ができなかったことから売却する意思を固め不動産仲介業者に、仲介を依頼して売却したものであること、そして、当該契約が解除された後における貸付先の探索時期、売却する意思を固めた時期及び実際に売却した時期についてみると、それぞれの期間はいずれも比較的短期間であること、なお、この間において当該土地につき事業用資産としての性格を失わせるような格別の事情も見受けられないことから、当該土地は、少なくともその売却時においては事業用資産としての性格を失っていたものとみるのは相当ではないと解する。
したがって、当該土地は事業用資産に該当しないとしてなされた原処分は、事実を誤認したものであり相当ではない。
要旨
譲渡した家屋は、請求人が永住する目的で新築し、昭和42年10月から昭和48年3月まで居住していたものであること、請求人が昭和48年4月から昭和51年9月ころまで自己所有の別件家屋に居住した経緯について相当の事情が認められること、当該別件の家屋に居住していた間譲渡した家屋における電話が存置されたままであったこと、譲渡した家屋については改造工事を行い、その後は空家にしていたこと等から請求人の当該別件家屋における居住は、家庭的事情が解消するまでの一時的なものであったと認められ、他方、請求人の昭和51年9月ころから昭和52年4月までの間の譲渡した家屋における居住は、生活に通常必要な電気、水道、ガス及び電話の使用状況並びに請求人の次女及び三女が、譲渡した家屋の所在地を校区とする学校にそれぞれ通学していたこと等から一時的なものでなく、恒久的な居住の状態であったと認められるから、本件譲渡した家屋及びその敷地の譲渡所得については、租税特別措置法(昭和53年法律第11号による改正前のもの)第35条第1項の規定を適用するのが相当である。
要旨
貸室を賃貸するに当たり、賃借人から受領した敷金のうち、貸室契約書第18条に定める金額は、同契約書同条によれば、「本契約が終了、解約又は解除された場合は、各賃借人は償却費として敷金の1割相当額を請求人に支払うものとする。更新される場合は、各賃借人は前項償却費の支払を要しない。」と定められており、権利金の一種と認めるのが相当であるから、その賃貸借契約が締結され、貸室の引渡しがあった時点において収益の額に計上すべきものと認められる。
要旨
請求人は、確定申告書につき関与税理士が無断で作成し、提出したものであると主張するが、[1]当該関与税理士は、請求人から法人設立以来引き続き各事業年度の決算書及び法人税申告書の作成等を委任されている者であること、[2]当該関与税理士は、代表者に対し、当該確定申告書及びその申告書に係る決算書について説明し、一応納得させた上で、当該確定申告書を提出していること、[3]当該関与税理士は、当該確定申告書を提出した月の顧問料及び決算報酬を受領していること、[4]当該確定申告書に係る税額の全部を納付していること及び[5]更正の請求に際し、当該確定申告書について、特に虚偽の申告である旨の主張をしていないこと等の事実から、当該確定申告書は、請求人の意思に基づいて提出したものと認めるのが相当である。
相続税の申告期限の翌日から2年を通過した日以後に譲渡された相続により取得した土地の譲渡所得について、租税特別措置法第39条の規定の適用は認められないとした事例
裁決事例集 第19集 139頁
要旨
相続により取得した土地を相続税の申告期限の翌日から2年を経過した日以後に譲渡した場合において、その譲渡日がその2年を経過した日以後になったことが、仮に当該譲渡の譲受者の資金事情によるものであるとしても、租税特別措置法(昭和51年法律第5号による改正前のもの)第39条の規定の適用について、かかる特別の事情を参酌して同条の規定の適用を認めるべき旨を定めた法令上の規定は存しないので、当該土地の譲渡所得について同条の規定の適用は認められない。
【 税務法規集に掲載する法令等の情報に関する注意事項 】
- 本サービスは、デジタル庁が管理するe-Gov法令検索のデータ、国税庁がホームページを通じて提供する通達等の情報および国税不服審判所の公表裁決事例・裁決要旨を利用しています。
- 法律の専門家が分類・整理した情報を元に、プログラムで自動的に法令等を解析し、関連する情報を統合的に閲覧できるように再編集していますが法令等の内容については、明白な誤りや文字種の統一などの形式的な点を除き、変更しておりません。
- 各法令等の施行日等の情報は法令等の名称の横にある マークのボタンからご覧いただけます。また、当該法令の元データにもその情報表示部分からアクセスすることができます。
- 本サービスの提供者は、デジタル庁および国税庁とは関係がなく、またこれらの機関を代表するものでもありません。
- 本サービスの提供者は、表示される情報に誤りがないように努めていますが、利用者による本サービスの利用に関する結果に対して一切の責任を負いません。