裁決事例 裁決事例集 第14集
要旨
請求人は、同業のグループ数社と新仕入先の共同開発を目的として、一定の方法により請求人等グループ各社が拠出した金額を新仕入先からの販売金額に応じて還元することを内容とする規約を締結し、拠出金額のうち還元金額を超過する部分の金額を仕入拡張費として損金に計上した。
しかしながら、請求人等同業グループ数社はいずれも請求人の代表者一族等が株式の大半を所有している同族会社であり、拠出金は請求人等グループ各社以外に流出するおそれは全くないことが認められる。これらの事実によれば、本件規約は新仕入先を開拓した請求人等グループ各社に対する金銭の贈与を目的とした契約というべきである。また、新仕入先を開拓しなかったことによりペナルティとして拠出金を支出することは通常あり得ないことであり、その支出の効果も間接的反射的なものでその支出の対価となるほどの財産上の利益も認められないこと等からすれば本件仕入拡張費は、事業遂行上通常必要な費用とは認められない。したがって、これを寄付金に当たるとした原処分は相当である。
要旨
請求人は、当事業年度において役員報酬を2回にわたり増額し、2回目の増額に際しては3か月そ及して支給することとし、その増額分は各受給者に支給することなく請求人に貸し付けたこととしている。また、同増額分については、その後継続して支給されておらず後に大幅に減額していること、本件2回にわたる増額がいずれも適式な株主総会等の決議によるものでないこと等の事実が認められる。これらの事実を併せ考えると、請求人は当事業年度がたまたま好況であり、予想を上回る収益が確実視されるに至ったところから、当事業年度の利益調整を意図してこれらの報酬を支給したものと思われ、特にそ及して支給したことについて、他に合理的な理由を見出すことができない。したがって、そ及して支給した当該増額差金はあらかじめ支給基準の定めのない臨時的な給与に当たるものというほかはなく、これを役員に対する賞与であると認定した原処分は相当である。
要旨
国家公務員共済組合法(以下「共済組合法」という。)による年金の受給権は、同法第41条第1項によりその権利を有する者が、年金受給権の確認を求める請求をし、その決定を経ることによって確定され、給与法の改訂がなされた場合の新給与法による年金増額改訂は、同法第73条第3項により当初決定額について所要の改定を行うことにより確定されるものである。
また、年金の支給時期は、同法第73条第4項によれば、毎年3月、6月、9月、12月にそれぞれ前月までの分を支給するものと定められている。そして、年金の収入金額の「収入すべき時期」は、所得税法第36条第1項の規定により収入すべき権利が確定した時と解すべきであって、本件においては、その年金の支給の基礎となる共済組合法により定められた支給日がそれに当たると解するのが相当である。したがって、たとえ増額改訂通知及び年金振込通知が翌年になされたとしても、請求人の退職年金について、支給対象月分の支給額が共済組合法に定める支給日に給与所得の収入すべき金額として確定するとした原処分は相当である。
要旨
清算中の法人が継続した場合において、清算第1期を還付所得事業年度とし、清算第2期を欠損事業年度とする欠損金の繰戻しによる還付請求は法人税法第119条“継続等の場合の法人税額の特例”第1号の規定により請求人の納付した清算第1期の清算事業年度予納申告書に係る法人税の額に相当する金額をもって清算第1期に係る各事業年度の所得に対する法人税額とされることとなるにしても、このことによって請求人が、清算期間の各事業年度について同法第81条“欠損金の繰戻しによる還付”に規定する青色申告書である確定申告書を提出したことにはならない。したがって、法人税法上、明文の規定がない限り、欠損金の繰戻しによる還付請求は認められないとした原処分は相当である。
要旨
請求人の所有していた土地及び建物(以下「本件物件」という。)の所有権名義は、不法行為により転々と移転し、最終的に請求人と登記名義人との間で、和解が成立した。これによると、請求人は本件物件の真実の所有者であるにもかかわらず、無効又は不正な登記を経て登記名義人となった者に対して真正な登記名義の回復を請求しないまま、示談金の名目で対価の支払を得て所有権を移転し、本件物件を引き渡したことが認められる。
このことは売買とは何ら異なるところはないものであるから和解に基づく示談金は、所得税法第33条第1項の規定による資産の譲渡に係る収入金額とするのが相当であり、租税特別措置法第31条を適用した原処分は相当である。
要旨
請求人は、売掛金をその年内に回収するための事務的な事情により、売上に関する決算締切日を定款所定の12月20日によらず12月15日とすることを社内的に定めたが、実際の決算締切日は各事業年度とも12月15日によらず、同日前後の適宜の日によって売上金額を計算しているものであり、かつ、その決算締切日を一定の日としなかったことについて特段の事情があるものとは認められないから、決算締切日に係る期間損益通達の適用はなく、決算締切日の翌日から事業年度終了の日までの売上金額をそれぞれ売上計上漏れの額として所得金額に加算した原処分は相当である。
要旨
青色申告法人である請求人が翌期に計上していた決算締切日の翌日から事業年度終了の日までの期間に係る売上金額を、売上漏れとして当期の売上金額に加算して更正を行う場合に、その売上金額に対応する売上原価について、請求人の備付け帳簿書類によってこれを個別的に計算することが不可能である場合には、その事業年度の全期間に係る売上金額及び売上原価の額を基として当該期間に係る売上金額に対応する売上原価の額を算出することは、法人税法第131条“推計による更正又は決定”の規定に抵触するものではないから、原処分は相当である。
要旨
法人の解散に伴い残余財産の分配として請求人が取得した土地は、出資の金額が残余財産の分配によって単に他の資産に化体したものと解するのが相当であり、また、租税特別措置法(昭和43年法律第23号による改正後のもの)第38条の6“事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の金額の計算”の規定によれば、買換資産は個人が事業用の特定資産を譲渡し、その譲渡対価により取得したものに限ると解されるところから、請求人の取得した上記の土地は事業用買換資産に当たらないとした原処分は相当である。
要旨
相続財産に含まれる本件土地は、土地区画整理事業区域内に所在しており、換地に係る平均減歩率は25パーセントが見込まれている。
しかしながら、土地区画整理法第89条第1項によれば、「換地計画において換地を定める場合においては、換地及び従前の宅地の位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等は照応するように定めなけばならない。」と規定されており、従前の宅地の上に存したすべての権利義務が原則として同一の内容をもって換地の上に存続することとされているから、換地処分により減歩される面積に相当する金額が負債性を有するものとは解されない。また、本件相続開始時においては、換地計画の決定もなされていないことから、減歩面積の確定ができる段階ではないことが認められる。
したがって、本件相続開始時において、土地区画整理事業に関連して本件土地について負債性を有する要因の発生する余地はなく、また、現に発生していないことが認められるとした原処分は相当である。
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