裁決事例 平成27年(2015年)

裁決事例 平成27年(2015年)

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平成27年12月18日裁決

前年分の確定申告書に記載されていない退職所得に係る所得税の額を、純損失の繰戻しによる還付金の額の計算の対象とすることはできないとした事例(平成25年分の純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求の一部に理由がない旨の通知処分・棄却)

裁決事例集 第101集

要旨

 請求人は、所得税法第140条《純損失の繰戻しによる還付の請求》は、純損失の繰戻しによる還付金の額の計算の対象となる所得税の額について、純損失が生じた前年分の確定申告書に記載した所得に係るものであることを要件とはしていないことから、前年分の確定申告書に記載されていない退職所得に係る所得税の額も対象となる旨主張する。
 しかしながら、純損失が生じた前年分の確定申告について青色申告書の提出が要件とされていることからすると、当該青色申告書に記載されていない退職所得に係る所得税の額を純損失の繰戻しによる還付金の額の計算の対象とすることはできない。

参照条文等

所得税法第140条

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平成27年12月1日裁決

異議申立て時には存在していなかった処分が、異議決定までになされた場合には、その時点で異議申立ての対象とされた「処分」が存在するに至ったのであるから、それ以降、当該異議申立ては適法なものとなり、異議申立て固有の瑕疵は治癒されたものと解するのが相当であるとした事例(売却決定処分、公売公告・棄却、却下)

裁決事例集 第101集

要旨

 原処分庁は、不動産等の売却決定処分(本件売却決定処分)に対する異議申立ては、異議申立ての時点で存在しない「処分」を対象とするものであって、明らかに不適法である旨主張するが、異議申立ての対象とされた本件売却決定処分が、異議申立てについての決定がされるまでになされた場合には、その時点で異議申立ての対象とされた「処分」が存在するに至ったのであるから、それ以降、当該異議申立ては適法なものとなり、異議申立て固有の瑕疵は治癒されたものと解するのが相当である。

参照条文等

国税通則法第75条第3項第105条第1項

参考判決・裁決

最高裁昭和30年9月2日第二小法廷判決(民集9巻10号1197頁)

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平成27年11月30日裁決

建物附属設備の除却損について、当該建物附属設備に係る建物が売却された日の属する事業年度の損金の額に算入されるとした事例(平24.3.1~平25.2.28事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・全部取消し)

裁決事例集 第101集

要旨

原処分庁は、請求人が建物についてした造作(本件建物附属設備)を固定資産除却損(本件除却損)として損金の額に算入したことについて、本件建物附属設備は、本件除却損を計上した事業年度(本件事業年度)前の事業年度において、当該建物の売却とともに売却されていることから、本件除却損を本件事業年度に計上することはできない旨主張する。

しかしながら、本件建物附属設備は、当該建物とは別の建物(本件建物)の造作であり、本件事業年度において本件建物が売却された日に、請求人がその所有権を放棄し処分を委ねたものと認められることから、本件除却損は、本件事業年度の損金の額に算入することができる。

参照条文等

法人税法第22条第3項

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平成27年11月25日裁決

評価対象地は、道路等の公共公益的施設用地の負担が必要であるとは認められないから、財産評価基本通達24-4に定める広大地に該当しないとした事例(平成23年11月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し)

裁決事例集 第101集

ポイント

 本事例は、評価対象地について道路等の公共公益的施設用地の負担を必要としない開発想定図は接道状況を踏まえた経済的に合理的な開発想定図と認められ、道路の接続状況が評価対象地と明らかに異なる開発事例は評価に当たり比較すべき開発事例とは認められず、また、評価対象地の相続開始日後の開発形態のみにより経済的に最も合理的と認められる開発であるか否かを判断することは相当でないと判断したものである。

要旨

 請求人らは、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》(広大地通達)に定める開発行為を行うとした場合における公共公益的施設用地の負担が必要か否かの判断について、分譲が販売である以上、購入者側のニーズや需要という経済的合理性に応えた上でのものでなければならず、請求人らが相続により取得した土地(本件土地)は、請求人らの開発想定図又は分譲完了直前図のように道路を設置することにより、宅地としての財産価値が高まり、経済的に最も合理的な分譲ができることから、広大地通達に定める広大地に該当する旨主張する。

 しかしながら、①本件土地について道路等の公共公益的施設用地の負担を必要としない原処分庁の開発想定図は、本件土地の広大地通達に定めるその地域(本件地域)における標準的な宅地の地積に、本件土地がその四方を幅員約6mないし約8mの公道に面している接道状況を踏まえたものであり、同図の各区画には、間口距離、奥行距離及びその形状も特段不合理とする点は認められないこと、②本件土地の所在する地域及びその周辺地域において、相続開始日前おおむね10年以内に行われた戸建住宅用地としての開発は4事例が認められ、いずれも道路の設置を伴う開発であるところ、これら開発事例の土地は公道と面していないなど道路の接続状況が本件土地と明らかに異なるとして、いずれも本件土地の評価に当たり比較すべき開発事例とは認められないことからすると、本件土地は、戸建住宅の敷地として都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に道路等の公共公益的施設用地の負担が必要であるとは認められないから、広大地通達に定める広大地に該当しない。また、本件土地は、相続開始日から約1年5か月を経過した頃に実際に道路が設置された開発が行われているが、本件土地の相続開始日後の開発形態のみにより、本件土地について相続開始日において開発行為を行うとした場合に道路の設置を伴う開発が経済的に最も合理的と認められる開発であるか否かを判断することは相当でない。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達24-4

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平成27年11月4日裁決

請求人が敷金を返還した事実は認められないから、当該敷金相当額は請求人の不動産所得の金額の計算上、総収入金額に算入すべきである旨の原処分庁の主張を排斥した事例

裁決事例集 第101集

要旨

 原処分庁は、請求人が賃貸物件の賃借人から受け取った敷金(本件敷金)を返還した事実は認められないこと等から、本件敷金相当額は請求人の不動産所得の金額の計算上、総収入金額に算入すべきものである旨主張する。
 しかしながら、本件敷金について、賃借人は、賃貸物件の賃料を滞納して請求人からその明渡し等を求められ、①賃貸借契約を合意解除すること、②所定の期限までに物件を明け渡すこと、③明渡し後の残置動産の処分には異議を申し立てないこと等を主な内容とし、他に何らの債権債務がないことを相互に確認する旨のいわゆる清算条項が付された和解に応じ、これにより請求人の賃借人に対する敷金返還債務は存在しないことが確認されているところ、当該和解の内容を考慮すると、本件敷金は、実質的には全て賃借人が負担すべき賃料、賃料相当損害金その他賃借人が負担すべき費用に充てられたものと認めることができ、本件敷金について、請求人に経済的利益はないから、総収入金額に算入すべきとはいえない。

参照条文等

所得税法第26条第36条

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平成27年10月30日裁決

請求人の法定申告期限経過前の行為及び調査に対する虚偽答弁、虚偽証拠の提出を総合判断すると、本件では、隠ぺい仮装があったと認めることができ、無申告加算税に代わる重加算税の賦課要件を充足すると認定した事例( 平成18年分~平成24年分の所得税の各更正処分、 平成18年分、平成20年分及び平成22年分の所得税の重加算税の各賦課決定処分、 平成19年分、平成21年分、平成23年分及び平成24年分の所得税の重加算税の各賦課決定処分、 平20.1.1~平22.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分、 平23.1.1~平24.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに重加算税の各賦課決定処分・ 棄却、 一部取消し)

裁決事例集 第101集

要旨

  請求人は、法定申告期限までに所得税の確定申告書を提出しなかったのは請求人の税知識の不足により失念していたからであり、請求人は外国人研修・技能実習制度の送出し機関であるK社の従業員であるから、原処分庁の前回の調査結果に従って、K社から証明書の交付を受けた上で給与所得等に係る所得税の期限後申告書を提出しているなどとして、当該期限後申告書の提出並びに原処分庁の今回の調査に基づく更正について、重加算税の賦課要件を満たさない旨主張する。
 しかしながら、架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的な行為が存在しない場合であっても、納税者が当初から課税標準等及び税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかった場合には、重加算税の賦課要件が満たされると解するのが相当であるところ、請求人は、自身が事業主体であったにもかかわらず、①当該事業から生ずる収入を、K社の肩書が付された口座に振込入金させた上で毎月ほぼ全額を現金で出金し、金員の流れを容易に把握できないようにすることによって、K社に帰属するものであると装い、②多額の事業収入を得ていながら5年間にわたり無申告を続け、③原処分庁の前回調査を受けても、K社に内容虚偽の証明書を作成・提出させるなどの工作を行って、事業主体は飽くまでK社にあり自身は給与を得ていたと装うなどしていることからすると、請求人は、当初から課税標準等及び税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたといえるから、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかったことについては、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たすというべきである。

参照条文等

国税通則法第68条第2項

参考判決・裁決

最高裁平成6年11月22日第三小法廷判決(民集48巻7号1379頁)

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平成27年10月28日裁決

国税徴収法第39条が規定する「受けた利益」が取引相場のない株式である場合において、同条の第二次納税義務の限度額の算定に当たり、原処分庁がディスカウント・キャッシュ・フロー法と時価純資産法を併用して当該株式を評価したことに不合理な点は認められないとした事例

裁決事例集 第101集

要旨

 原処分庁は、滞納法人が同社の100%子会社の株主総会において第三者割当増資による新株の発行に係る議案について議決権を行使したことにより、滞納法人の代表者である請求人が著しく低い価額で当該子会社の新株(本件新株式)を取得したことは、国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》に規定する「その他第三者に利益を与える処分」に該当するとして、請求人に第二次納税義務の納付告知処分をした。
 これに対して、請求人は、原処分庁が本件株式の評価に当たって、一般に用いられる相続税の評価方法を準用せず、ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)を加味して評価したことには合理性がなく、そもそも、本件株式の取得価額は時価相当額であるから、本件株式を取得したことによって「受けた利益」(時価相当額と取得価額との差額)は生じていない旨主張する。
 しかしながら、国税徴収法第39条の第二次納税義務の限度額について、「受けた利益」が金銭以外のものであるときの財産の評価方法として、同法上、相続税の評価方法を適用又は準用する旨の規定はなく、取引相場のない株式の評価に当たり、DCF法と時価純資産法の併用を採用した原処分庁の評価方法に不合理な点は認められず、請求人には本件株式を取得したことによって「受けた利益」が生じている。

参考判決・裁決

最高裁平成18年1月24日第三小法廷判決(集民219号285頁)

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平成27年10月2日裁決

相続財産である家族名義預金を申告せず、税務調査においても根拠のない答弁を行った納税者について、国税通則法第68条に規定する重加算税の賦課要件を満たすとした事例(平成23年8月相続開始に係る相続税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分・一部取消し、棄却)

裁決事例集 第101集

要旨

  請求人らは、被相続人の子名義の定期預金11口(本件各定期預金)は被相続人が生前に被相続人の子供ら(本件子供ら)に贈与したものであり、これを申告しなかったことにつき、隠ぺい又は仮装行為は存しない旨主張する。
 しかしながら、被相続人の妻(本件妻)は、本件各定期預金を相続財産と認識しながら、これを関与税理士に告げず、本件各定期預金の記載がない遺産分割協議書を添付して相続税の過少申告を行い、その後の税務調査においても、本件各定期預金が、被相続人の生前既に贈与されたものであるなどとする根拠のない申述をして、真実の相続財産を隠ぺいする態度を貫こうとしたものである。このような行為は、当初から相続財産を過少に申告することを意図した上で、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告を行ったものと認められる。また、本件子供らは、相続財産の調査、申告を本件妻に委任していたが、本件各定期預金のうちそれぞれの名義の定期預金が相続財産であることを認識しながら、これを関与税理士に告げず、本件妻とともに相続税の過少申告を行っており、かつ、本件子供らに受任者である本件妻の選任及び監督に過失がないと認められる特段の事情はないから、本件子供らは、本件各定期預金の全部の隠ぺいがあったと認められる。

参照条文等

国税通則法第68条第1項

参考判決・裁決

神戸地裁平成14年1月10日判決(税資252号順号9046)

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平成27年10月1日裁決

原処分庁は、被相続人が各同族会社に対する債権を放棄していないのに、各同族会社の(実質的)経営者である請求人が債権放棄があったとする経理処理をした上で相続財産からこれら債権を除外して相続税の申告をしたとして重加算税を賦課したが、上記債権の一部は被相続人が実際に債権放棄をした可能性が認められるとして、原処分庁の事実認定を否定した事例(平成23年12月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分・一部取消し)

裁決事例集 第101集

要旨

 原処分庁は、請求人は各同族会社(本件各会社)の経理処理を自由にできる自身の立場を利用して、被相続人からの債務免除等の事実がないにもかかわらず、本件各会社の帳簿において事実に基づかない各仕訳を行い、被相続人からの借入金の帳簿上の残高を減少させたものと認められるから、請求人のこのような行為は、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し」たことに該当する旨主張する。
 しかしながら、請求人と被相続人との間で請求人が答述するような協議があった可能性を十分に認めることができることを前提にすると、当該各仕訳の一部は、当該借入金の額を減少させるという被相続人の意思に基づき行われた可能性が十分に認められることから、当該各仕訳に係る請求人の行為は、相続税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、故意に脱漏し、あるいは故意にわい曲したものであるとまでは認められない。

参照条文等

国税通則法第68条第1項

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平成27年9月30日裁決

請求人が賃貸の用に供していた共同住宅(本件建物)及びその敷地の売却に伴い、本件建物の事務室を賃借していた本件建物の管理会社に対し立退料名目で支払った金員は、本件建物の譲渡に要した費用に該当しないとした事例(平成24年分所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第100集

要旨

 請求人は、賃貸の用に供していた共同住宅(本件建物)及びその敷地の売却(本件譲渡)に伴い、本件建物の事務室(本件事務室)を賃借していた本件建物の管理会社(本件賃借人)に対し立退料名目で支払った金員(本件金員)は、本件譲渡に要した費用に該当する旨主張する。
 しかしながら、資産の譲渡に当たって支出された費用が所得税法第33条《譲渡所得》第3項に規定する譲渡費用に当たるどうかは、現実に行われた資産の譲渡を前提として、客観的に見てその譲渡を実現するために当該費用が必要であったかどうかによって判断すべきものである。これを本件についてみると、請求人と本件賃借人との間の賃貸借契約は、遅くとも本件譲渡の日までに合意解約されたものと認められるところ、当該合意解約がされるまでの間に、本件建物及びその敷地の買主が本件事務室からの本件賃借人の退去を求めた事実を認めることはできない。そして、請求人と本件賃借人との間で本件賃借人の本件事務室からの退去に伴う本件金員の支払についての合意が成立したとする請求人の主張は主観に基づくものであり、また、当該合意が成立したことを明らかにする書面が作成された事実もうかがわれないから、当該合意の成立を認めることも困難である。そうすると、本件賃借人の本件事務室からの退去は、客観的に見て本件譲渡の実現に必要であったとは認められないから、本件金員の支払が客観的に見て本件譲渡を実現するために必要な費用の支払いであったと認めることはできない。したがって、本件金員は、譲渡費用に該当しない。

参照条文等

所得税法第33条 所得税基本通達33-7

参考判決・裁決

最高裁平成18年4月20日第一小法廷判決(税資256号順号10373)

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平成27年9月28日裁決

処分理由の提示が争われた事例

裁決事例集 第100集

ポイント

 本事例は、処分通知書に記載すべき理由は、行政庁の恣意の抑制及び処分の名宛人の不服申立ての便宜という理由提示の制度趣旨を充足する程度に記載すれば不備はないとしたものである。

要旨

 請求人は、相続税の更正処分に係る通知書(本件通知書)に記載された処分理由には、課税価格に加算される本件他の相続人らの相続時精算課税適用財産及び歴年課税分の贈与財産(本件贈与財産)の価額のそれぞれの合計額が記載されているものの、その明細が記載されておらず、かかる記載内容では、処分の基礎となる具体的な事実を知りえず、不服申立ての便宜を図った行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》の理由提示の趣旨に反することから、原処分を取り消すべき違法がある旨主張する。
 しかしながら、本件贈与財産の課税価格の合計額への加算に係る提示理由には、本件贈与財産について、それぞれ合計額が記載されているところ、本件贈与財産の合計額が分かれば、課税価格の合計額を算出することができるのであるから、当該記載により、原処分庁が相続税額を算出した過程を示したものといえる上に、そもそも、課税庁は、相続時精算課税適用財産の価額及び暦年課税分の贈与財産の価額を課税価格の合計額に加算するに当たっては、他の共同相続人等から提出された申告書の記載又は同人等に対する更正処分の内容等を基に相続税額の計算をするのであるから、この点に課税庁の恣意が入り込む余地は乏しく、合計額のみの記載であっても、行政庁の恣意抑制という見地から欠けるところはない。さらに、相続時精算課税適用財産の価額及び暦年課税分の贈与財産の価額については、それぞれの合計額が記載されていれば、納税者は課税価格の合計額を算出することが可能であり、記載された合計額と納税者が認識しているこれらの合計額とを比較して、不服申立ての要否を判断することが可能といえるから、処分の名宛人の不服申立ての便宜という見地からも欠けるところはない。したがって、本件通知書に記載された処分理由は、理由提示の趣旨目的を充足する程度に処分の理由を具体的に明示したものと認めることができ、行政手続法第14条第1項本文の要求する理由提示として不備はないから、原処分を取り消すべき違法はない。

参照条文等

行政手続法第14条

参考判決・裁決

最高裁平成23年6月7日第三小法廷判決(民集65巻4号2081頁) 東京地裁昭和48年2月20日判決(税資69号461頁)

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平成27年9月1日裁決

請求人の名義で登録された車両は、請求人の父がその資金の全額を拠出しており、贈与に当たるとして行われた贈与税の決定処分について、請求人に対する贈与の事実はないとして、贈与税の決定処分の全部を取り消した事例(平成20年分贈与税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分・全部取消し)

裁決事例集 第100集

ポイント

 本事例は、取得資金の拠出者以外の名義で登録された財産について、相続税法基本通達9-9に基づく贈与税課税の課否を問題としたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の父(父)が請求人の名義で新たに購入した車両(本件車両)は、相続税法基本通達(相基通)9-9《財産の名義変更があった場合》により、原則として贈与として取り扱われるべきものである旨、及び本件車両の名義を請求人として登録したことが過誤に基づき、又は軽率にされたものであり、かつ、それが取得者等の年齢その他により当該事実を確認できるに足る証拠は認められないから、昭和39年5月23日付直審(資)22、直資68「名義変更等が行われた後にその取消し等があった場合の贈与税の取扱いについて」(本件通達)の5を適用することはできない旨主張する。
 しかしながら、相基通9-9は、反証があれば、贈与として取り扱わない場合があるところ、本件においては、父は購入特典の利用のために、請求人の名義を使用したことが認められ、これに加えて、①父が本件車両を請求人に贈与する動機はなかったと認められること、②請求人への贈与の事実を疑わせる事情が存在すること、③父は、本件車両の取得資金を出捐し、売却に際してはその売却代金を自ら受領・費消するとともに、その間本件車両に係る維持管理費用を全て負担していたことなどの諸事情を総合すると、本件車両の贈与の不存在について反証がされているといえる。したがって、請求人は本件車両の贈与を受けたとは認められない。なお、本件通達は、相基通9-9の要件を満たしているにも関わらず課税庁の立場から贈与として取り扱わない場合を類型化したものにすぎず、相手方による反証はこれに限定されるものではないところ、本件においてはその反証がされている。

参照条文等

相続税法基本通達9-9 昭和39年5月23日付直審(資)22、直資68「名義変更等が行われた後にその取消し等があつた場合の贈与税の取扱について」

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平成27年8月4日裁決

被相続人が米国f州にジョイント・テナンシーの形態で所有していた不動産について、生存合有者(ジョイント・テナンツ)が取得した被相続人の持分は、みなし贈与財産に該当し、相続税の課税価格に加算されるとした事例( 平成21年12月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の変更決定処分、 平成21年12月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、 平成21年12月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の各賦課決定処分・ 全部取消し、 一部取消し、 棄却)

裁決事例集 第100集

要旨

 請求人らは、ジョイント・テナンシーの形態により被相続人が米国f州に所在する不動産(本件不動産)について有する持分は、我が国における共有財産ではないから、相続税の課税価格に算入されるべきものではない旨主張する。
 しかしながら、被相続人及び請求人P2がジョイント・テナンシーの形態で所有している本件不動産については、ジョイント・テナンツ(合有者)の一人である被相続人が死亡したことにより、その権利は、相続されることなく、生存者への権利の帰属(サバイバー・シップ)の原則に基づいて、残りのジョイント・テナンツである請求人P2の権利に吸収されたものと認められる。そして、サバイバー・シップの原則により請求人P2の権利が増加した時に対価の授受があった事実は認められないから、生存者である請求人P2は相続税法第9条《贈与又は遺贈により取得したものとみなす場合―その他の利益の享受》に規定する「対価を支払わないで利益を受けた場合」に該当すると認められるところ、この権利の増加は、同条により、請求人P2が被相続人から贈与により取得したものとみなされる。さらに、この権利の増加につき、請求人P2には、相続税法第19条《相続開始前3年以内に贈与があった場合の相続税額》第1項が適用されることとなる。したがって、被相続人がジョイント・テナンシーの形態で所有する本件不動産の持分については、請求人P2が被相続人から贈与により取得したものとみなされ、本件不動産の価額の2分の1に相当する部分の金額については、相続税の課税価格に加算すべきものと認められる。

参照条文等

相続税法第9条第19条

参考判決・裁決

静岡地裁平成19年3月23日判決(税資257順号10665)

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平成27年7月28日裁決

請求人が行った株式の譲渡による所得は、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における資産の譲渡による所得には当たらないとした事例(平成22年分の所得税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第100集

要旨

 請求人は、資産を譲渡した時(本件譲渡時)において、資産を譲渡することとなった原因と密接に関連した請求人を被告とする損害賠償請求訴訟(本件訴訟)が係属中であり、敗訴の可能性が高かったことからすれば、本件譲渡時の現況において、当該資産の譲渡による所得は、所得税法第9条《非課税所得》第1項第10号に規定する資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合の資産の譲渡による所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件訴訟は、本件譲渡時において係属中であり、請求人の本件訴訟に係る債務については、その存否も額も明らかではなく、債務として確定していないから、かかる未確定の債務をもって債務超過の状態が著しいと認めることはできないし、また、課税しても結果的に徴収不能となることが明らかな場合に譲渡所得等を非課税とする上記規定の趣旨に照らしても、これを考慮することはできないというべきであるから、請求人の主張には理由がない。

参照条文等

所得税法第9条第1項第10号 所得税法施行令第26条 所得税基本通達9-12の2

参考判決・裁決

東京高裁平成23年2月23日判決(訟月58巻1号193頁、ジュリ1455号132頁)

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平成27年7月28日裁決

請求人の負担した代表者が青年会議所の会議等に出席するための交通費、宿泊費及び日当は、代表者に対する給与に該当するとした事例( 平成21年11月、平成22年10月、平成22年11月及び平成23年1月の各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分、平成24年5月、平成24年7月及び平成25年7月の各月分の源泉徴収に係る不納付加算税の各賦課決定処分・全部取消し、 平20.8.1~平22.7.31の各事業年度の法人税の各更正処分、平23.8.1~平24.7.31の事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、平成21年10月、平成22年6月、平成23年5月、平成23年7月、平成23年10月、平成23年11月、平成24年1月~7月及び平成24年12月の各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分、平成25年7月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の納税告知処分・一部取消し、 平22.8.1~平23.7.31の事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分ほか・棄却)

裁決事例集 第100集

要旨

 請求人は、代表者が青年会議所の会議等(本件各会議等)に出席するための交通費、宿泊費及び日当(本件旅費交通費)は、本件各会議等を含む青年会議所の活動が経営者に対する教育費用、請求人の受注活動費用及び新規事業開拓費用としての性質を有していることなどからすると、請求人の事業の遂行上必要な費用であり、代表者が負担すべきものではないことから、代表者に対する給与に該当しない旨主張する。
 しかしながら、本件会議等は、特定の個人又は法人の利益を目的として行われるものではなく、青年会議所の定款に掲げられた公益的な目的及び事業の内容に則した活動が行われ、代表者は、そのプログラムに沿った活動を行っており、代表者が本件会議等に出席したことが、取引先の確保や代表者の経営者としての能力の向上、新規事業の開拓に寄与することになったとしても、それは青年会議所の活動に付随する副次的な効果にすぎないことなどからすると、本件旅費交通費は、社会通念に照らし客観的にみて、請求人の事業遂行上必要な費用ではなく、代表者が個人的に負担すべきものであるから、代表者に対する給与に該当する。

参照条文等

法人税法第22条第3項第34条第1項

参考判決・裁決

平成15年2月13日裁決(裁決事例集No.65) 平成26年3月6日裁決(裁決事例集No.94)

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平成27年7月21日裁決

事前通知なし調査について争われた事例( 平成22年分~平成23年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、 平成24年分の所得税の更正処分、 平成24年分の所得税の過少申告加算税の賦課決定処分、 平20.1.1~平24.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分・ 一部取消し、 棄却)

裁決事例集 第100集

ポイント

 本事例は、質問検査権の行使を行っていなければ、事前通知なく納税者方に赴いても違法にはならないとしたものである。

要旨

 請求人は、原処分に係る調査の担当職員(本件調査担当者)が請求人の自宅兼事業所に臨場(本件臨場)する前に請求人に対し、国税通則法第74条の9《納税義務者に対する調査の事前通知等》第1項に規定する通知(事前通知)をしなかったことが、原処分を取り消すべき事由に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件調査担当者は、本件臨場において、事前連絡をしないで請求人の自宅兼事業所を訪れ、請求人であることを確認した上で、身分証明書と質問検査章を提示し、所属と氏名を述べ、税務調査のために来訪した旨を伝えているが、請求人の課税標準等を認定する目的で、請求人に質問し、又はその事業に関する帳簿、書類その他その調査事項に関連性を有する物件の検査をした事実は認められず、質問検査権の行使を行ってはいないから、本件臨場の前に請求人に対し事前通知をしなかったことは、原処分を取り消すべき事由には該当しない。

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平成27年7月1日裁決

収支内訳書に虚偽記載をしただけでは、隠ぺい仮装があったとは認められないと判断した事例( 平成20年分から平成23年分の所得税の重加算税の各賦課決定処分、 平21.1.1から平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の各賦課決定処分、 平成22年分の所得税の過少申告加算税の賦課決定処分、 平21.1.1から平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の無申告加算税の各賦課決定処分・ 一部取消し、 棄却)

裁決事例集 第100集

要旨

 原処分庁は、請求人が、過少申告の意図に基づき、①得意先に対する売上金額を記載したメモの一部を破棄したこと、②平成18年分の所得税額を試算した際のメモと同様の原処分に係る各年分のメモを破棄したこと、③正確な収入金額等を容易に確認できたにもかかわらず、収支内訳書に根拠のない額を記載したことという一連の行為は、当初から所得等を過少に申告する意図であったことを外部からもうかがい得る特段の行動に当たり、重加算税の賦課要件を充足する旨主張する。
 しかしながら、請求人に過少申告の意図があったことは認められるものの、上記①のメモについては、売上金は全て振り込まれ、しかもその入金のあった預金口座の通帳は保存されていたこと等からすると、請求人は当該メモ書を保存する必要がなくなったから廃棄した可能性が十分に考えられること、上記②のメモについては、そのようなメモを作成していた事実が認められないこと、上記③については、収支内訳書に根拠のない額を記載する行為は過少申告行為そのものであることから、原処分庁が主張する請求人の行為は、当初から所得等を過少に申告する意図であったことを外部からもうかがい得る特段の行動には当たらず、重加算税の賦課要件を充足しない。

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平成27年7月1日裁決

売上除外をして請求人の役員らの各預金口座に振り込まれた金員は、請求人からの役員給与に該当し、じ後に請求人に対し役員らの返還債務が発生した場合であっても、当該金員につき役員らが現実に取得している限り、当該各預金口座に振り込まれた時点で役員らの給与に該当するとした事例(平18.6.1~平25.5.31の各事業年度の法人税の各更正処分ほか・棄却)

裁決事例集 第100集

要旨

 請求人は、請求人の役員ら名義の各預金口座に振り込まれた金員(本件各金員)は、請求人の意思決定の下に役員らへ支給されたとはいえず、また、本件各金員については、役員らが請求人へ返金する旨株主総会において決議したのであるから、本件各金員を請求人から役員らに支給された給与であるとした納税告知処分は違法である旨主張する。
 しかしながら、法人の代表者等が法人経営の実権を掌握し、法人を実質的に支配している事情がある場合には、法人の代表者等が当該法人の事業活動を通じて得た利得は、給与支出の外形を有しない利得であっても、それが法人の資産から支出されたと認められる場合には、当該利得は法人の代表者等がその地位及び権限に対して受けた給与であると解されるところ、本件においては、役員らが請求人の株式の3分の1ずつを保有し、役員らの決議の下に請求人の経営方針が決定されていることから、請求人の業務においては、役員らが法人経営の実権を掌握し、法人を実質的に支配しているものと認められ、また、本件各金員は、役員らが請求人の事業活動を通じて得た利得であり、役員らが管理する各預金口座に振り込まれ任意に処分できる状態になったことからすれば、役員らの各預金口座に振り込まれた時点で役員らに帰属したといえる。そうすると、本件各金員は、役員らがその地位及び権限に対して請求人から受けた給与であると認められ、当該給与につき、じ後に返還債務が発生した場合であっても、本件役員らが現実に本件各金員を取得した限り、その時点で給与に該当するというべきである。

参照条文等

法人税法第34条所得税法第28条

参考判決・裁決

仙台高裁平成16年3月12日判決(税資254号順号9593)

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平成27年6月25日裁決

小規模宅地等の特例の適用に当たり、各相続人が、複数の利用区分が存する一の宅地を相続により共有で取得した場合、当該特例を適用できる部分は、当該宅地の面積に、当該各相続人(被相続人の一定の親族)が取得した宅地の持分を乗じた面積となるとした事例(平成22年7月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第99集

要旨

 請求人らは、租税特別措置法(平成23年法律第114号改正前のもの)(措置法)第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第1項の規定(本件特例)の適用につき、本件被相続人の所有する宅地(本件宅地)の上に存する一棟の建物が利用上及び構造上独立しており、本件被相続人及びその配偶者(本件配偶者)の居住の用並びに本件被相続人が主宰する法人(本件同族会社)の事業の用に供されていたという利用実態に応じて、本件宅地のうち、本件被相続人等の居住の用に供されていた部分に相当する宅地を本件配偶者が取得し、本件同族会社の事業の用に供されていた部分に相当する宅地を本件同族会社の役員である本件被相続人の子ら(本件子ら)が取得するとして、共有としたことから、本件配偶者が取得した本件宅地の持分の全てが特定居住用宅地等に該当し、本件子らが取得した各持分の全てが特定同族会社事業用宅地等に該当する旨主張する。
 しかしながら、被相続人が所有していた宅地を相続人が共有で取得した場合には、各共有者の権利は単独所有の権利、性質、及び内容と異ならず、共有物全体に及ぶと解されている。また、特定居住用宅地等又は特定同族会社事業用宅地等に該当する各部分は、租税特別措置法施行令(平成25年政令第169号改正前のもの)第40条の2《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第7項又は第11項において、措置法第69条の4第3項第2号又は同項第3号に定める要件に該当する者が相続により取得した持分に応ずる部分とする旨規定されている。そうすると、①特定居住用宅地等として本件特例を適用できる部分は、本件被相続人等の居住の用に供されていた部分に相当する本件宅地の面積に、本件配偶者が取得した本件宅地の持分を乗じた面積となり、②特定同族会社事業用宅地等として本件特例を適用できる部分は、本件同族会社の事業の用に供されていた部分に相当する本件宅地の面積に、本件子らが取得した本件宅地の各持分を乗じた面積となる。

参照条文等

租税特別措置法(平成23年法律第114号改正前のもの)第69条の4第1項、第3項第2号・第3号 租税特別措置法施行令(平成25年政令第169号改正前のもの)第40条の2第7項、第11項

参考判決・裁決

大審院判大正8年11月3日、民録25輯1944頁

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平成27年6月19日裁決

請求人ほか3名が相続した不動産の共有持分から生ずる賃料収入について、当該賃料収入の全額が請求人に帰属するものである旨の原処分庁の主張を排斥した事例( 平成18年分以後の所得税の青色申告の承認の取消処分、 平成18年分の所得税の更正処分、 平成19年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、 平成20年分~平成23年分の所得税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、 平成24年分の所得税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分、 平18.1.1~平24.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分・ 棄却、 全部取消し、 一部取消し、 一部取消し、棄却)

裁決事例集 第99集

要旨

 原処分庁は、請求人ほか3名の相続人らが相続した不動産の共有持分から生ずる賃料収入について、請求人が他の相続人ら3名に渡しておらず、また、その全額を請求人の不動産所得として申告していたことなどからすれば、当該賃料収入の全額が請求人に帰属するものである旨主張する。
 しかしながら、相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し、その帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けないものと解するのが相当であるから、当該賃料収入は、その全額が請求人に帰属するのではなく、法定相続分に応じて請求人ほか3名の相続人らにそれぞれの割合で帰属するものと認めるのが相当である。

参考判決・裁決

最高裁平成17年9月8日第一小法廷判決(民集59巻7号1931頁)

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平成27年6月15日裁決

請求人は、所得税法第58条第5項に規定する「第1項の規定の適用を受けた居住者」に該当することから、本件土地の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除すべき取得費の額は、所得税法第58条第5項及び所得税法施行令第168条第3号の規定を適用して計算した金額になるとした事例( 平成23年分の所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分、 平成23年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第99集

要旨

 請求人は、平成8年分の所得税の申告において、請求人の借地権(本件借地権)と相手方所有の土地(本件土地)の交換(本件交換)による本件借地権の譲渡に係る譲渡所得について、本件交換時の交換対象資産の各価額の差額を計算すると当該差額が多い方の価額の20%を超えることなどから、所得税法第58条《固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例》第1項に規定する特例(本件特例)の適用を受けていたとは認められないので、請求人は同条第5項に規定する「第1項の規定の適用を受けた居住者」に該当せず、したがって、原処分庁が、平成23年の本件土地の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除すべき取得費の額について、所得税法施行令第168条《交換による取得資産の取得価額等の計算》第3号の規定を適用して計算したことは誤りである旨主張する。
 しかしながら、所得税法が採用する申告納税方式の下では、居住者が固定資産を交換した日の属する年分の所得税につき確定申告書に本件特例の適用を受けようとする旨を記載するなどして申告をした場合には、その申告により本件特例の適用を前提として計算された税額は確定し、修正申告又は更正により本件特例の適用が否定されない限り、そのような居住者は所得税法第58条第5項に規定する「第1項の規定の適用を受けた居住者」に該当すると解される。本件においては、請求人は、本件交換による本件借地権の譲渡に係る譲渡所得について本件土地を交換取得資産として本件特例の適用を受けようとする旨の平成8年分の所得税の申告をしたものと認められ、その後は、請求人が修正申告をした事実、あるいは原処分庁が更正処分をした事実はいずれも認められない。したがって、請求人は、所得税法第58条第5項に規定する「第1項の規定の適用を受けた居住者」に該当することとなるから、本件土地の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除すべき取得費の額は、所得税法第58条第5項及び所得税法施行令第168条第3号の規定を適用して計算した金額によるべきである。

参照条文等

所得税法第58条第1項第5項 所得税法施行令第168条第3号

参考判決・裁決

東京地裁平成15年9月19日判決(税資253号順号9443)

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平成27年6月11日裁決

請求人が提出した消費税法第9条《小規模事業者に係る納税義務の免除》第4項に規定する消費税課税事業者選択届出書は、事業者ではない者が提出したものであり、同項の適用は認められないと認定した事例(平24.1.1~平24.12.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分・棄却)

裁決事例集 第99集

要旨

 請求人は、課税期間(本件課税期間)の開始の日の前日までに、消費税法第9条《小規模事業者に係る納税義務の免除》第4項に規定する同条第1項本文の適用を受けない旨の届出書(本件選択届出書)を提出しているから、本件課税期間において納税義務は免除されず、消費税及び地方消費税(消費税等)の還付を受けることができる旨主張する。
 しかしながら、請求人は、本件選択届出書を提出した日の属する課税期間において、消費税法上の事業者ではなく、本件選択届出書は、事業を行う個人以外の個人から提出されたものであって、その届出の実体的効果は、本件選択届出書が提出された時から生じていないというべきである。したがって、請求人は、本件課税期間において消費税を納める義務が免除される事業者であるから、本件課税期間における消費税等の還付を受けることはできない。

参照条文等

消費税法第9条第1項第4項

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平成27年6月9日裁決

仕入先との間の契約の解除に伴う解約料として支払った金員の額を損金の額に算入したことについて、隠ぺい又は仮装の行為があったとは認められないとした事例(平20.12.1から平21.11.30までの事業年度の法人税の重加算税の賦課決定処分・一部取消し)

裁決事例集 第99集

要旨

 原処分庁は、請求人が、仕入先からの棚卸資産の購入に係る取引に関し、当該仕入先との間の契約の解除に伴う解約料として支払った金員の額(本件解約料)を損金の額に算入したことについて、請求人と当該仕入先との間に解約の合意はなく、契約が存続したまま当該棚卸資産の購入が継続されているにもかかわらず、請求人は、当該仕入先と通謀して虚偽の解約契約書及び関係書類を作成し、本件解約料を当該棚卸資産の取得価額に含めず期末棚卸高を算定したことに隠ぺい又は仮装の行為が認められる旨主張する。
 しかしながら、請求人と当該仕入先との間では解約の合意は成立し、当該解約の合意に基づき当該金員が支払われたものと認められ、解約契約書は当該合意に基づき作成されたものと認められること、また、解約合意後に請求人と当該仕入先との間で行われた当該棚卸資産に係る取引に係る契約条件が当該解約の合意の時点では合意されておらず、その後に締結された新たな契約に基づき行われていることからすると、請求人が、本件解約料を当該製品の取得価額に含めず期末棚卸高を算定したことについて隠ぺい又は仮装の行為があったとは認められない。

参照条文等

国税通則法第68条第1項

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平成27年6月3日裁決

未分割遺産に係る相続税の課税価格の計算は、いわゆる穴埋方式によるべきであるとした事例(平成22年5月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第99集

要旨

 請求人らは、預貯金等の未分割財産(本件未分割財産)について、本件には請求人ら以外の相続人が本件未分割財産及びこれから発生する収益の全てを支配、独占しているなどの個別的事情があることから、相続税法(平成23年法律第82号による改正前のもの)第55条《未分割遺産に対する課税》に規定する課税価格の計算は、各共同相続人が未分割の財産に対する自己の相続分に応じた価額相当分を取得したものとして計算する方法、すなわち、積上方式によるべきである旨主張する。
 しかしながら、相続財産の一部が分割された場合、そのことによって、相続財産全体に対する各共同相続人の法定相続分の割合が変更されることはないから、各共同相続人は、他の共同相続人に対し、相続財産全体に対する自己の相続分に応じた価額相当分から既に分割を受けた財産の価額を控除した価額相当分についてその権利を主張することができる。そうすると、相続税法第55条に規定する「民法(第904条の2を除く。)の規定による相続分の割合に従って当該財産を取得したものとしてその課税価格を計算する」とは、各共同相続人が相続財産全体に対する自己の相続分に応じた価額相当分から既に分割を受けた財産の価額を控除した残りの価額相当分を取得したものとして計算する方法、すなわち、穴埋方式により課税価格を計算すると解するのが相当である。

参照条文等

相続税法(平成23年法律第82号による改正前のもの)第13条、14条、55条

参考判決・裁決

最高裁平成5年5月28日第三小法廷判決(裁web) 東京地裁平成17年11月4日判決(税資255号順号10194)

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平成27年6月1日裁決

差押処分の直後に自主納付により滞納国税が完納される可能性は著しく低く、請求人の財産を早期に保全する必要性があったと認められることからすると、差押処分に係る徴収職員の裁量権の行使は差押処分の趣旨及び目的に反して不合理なものであったとはいえず、差押処分は不当なものではないとされた事例(債権の差押処分・棄却)

裁決事例集 第99集

要旨

 原処分庁が、請求人の滞納国税(本件滞納国税)を徴収するために債権の差押処分(本件差押処分)をしたことに対し、請求人は、原処分庁との納付相談において請求人の申し出た分割納付が認められたと理解して分割納付をしていたにもかかわらず、また、分割納付を依頼する各種事情を説明したにもかかわらず、これらの事情を一切考慮せずに行った本件差押処分は不当である旨主張する。
 しかしながら、本件滞納国税の納付状況等からすると、本件差押処分の直後に自主納付により本件滞納国税が完納される可能性は著しく低かったといわざるを得ず、請求人の財産を早期に保全する必要性があったと認められるから、本件差押処分に係る裁量権の行使は、差押えの趣旨及び目的に反して不合理なものであったとはいえず、本件差押処分は不当なものではない。

参照条文等

国税徴収法第47条第1項第1号 行政事件訴訟法第30条 行政不服審査法第1条第1項

参考判決・裁決

平成21年5月11日裁決(裁決事例集No.77) 平成22年9月29日裁決(裁決事例集No.80)

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平成27年6月1日裁決

更正処分の理由の提示について不備がないと判断した事例(平成22年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第99集

ポイント

 本件は、納税義務者以外の者による納税申告について、納税義務者が明示又は黙示に当該納税申告をする権限を与えていたとは認められないものの、納税義務者が、当該納税申告について追認していると認められるとしたものである。

要旨

 請求人は、所得税の更正処分に係る通知書(本件更正通知書)には、請求人が匿名組合契約の出資者である外国法人(本件外国法人)との間で締結した参加利益契約(本件参加利益契約)は配当を受ける旨を約す契約であり、請求人と本件外国法人との間の本件買戻合意(本件参加利益契約に基づく匿名組合契約に係る利益の分配を受ける権利を本件外国法人が買い戻すことなどの合意)は本件参加利益契約を解除する契約であると認定した根拠となる具体的な事実が摘示されておらず、また、原処分庁においてその法的評価の判断に至った過程自体を明示したものではないから、本件更正通知書に附記された理由は、更正処分庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由附記制度の趣旨から著しく逸脱した違法なものである旨主張する。
 しかしながら、本件更正通知書には、更正処分の理由として、①本件参加利益契約は、請求人が本件外国法人に対して出資を行い、当該出資額に応じた配当を受ける契約であったと認められること、②本件買戻合意は、本件参加利益契約を解除するものであったと認められるとして、原処分庁において当該合意を権利の譲渡ではないと捉えていることが明らかであり、また、③請求人が本件参加利益契約に基づき支払った拠出金と本件買戻合意に基づき受領した金員との差額である損失額は、資産の譲渡により生じたものではないことが示されており、本件更正通知書には原処分庁の判断の過程が明示されており、同通知書に附記された更正処分の理由に不備はない。

参照条文等

国税通則法第74条の14第1項 行政手続法第14条

参考判決・裁決

最高裁平成23年6月7日第三小法廷判決(民集65巻4号2081頁)

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平成27年6月1日裁決

競売により一括で取得した土地及び建物等の取得価額の区分について、固定資産税評価額の比率によってあん分することが相当であるとした事例( 平22.12.1~平23.11.30の事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、 平22.12.1~平23.11.30の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・ 棄却、 一部取消し)

裁決事例集 第99集

要旨

 請求人は、請求人が競売により一括で取得した土地及び建物(本件建物)等の取得価額の区分について、原処分庁が用いた土地及び家屋の固定資産税評価額の比率によってあん分する方法ではなく、請求人が依頼した不動産鑑定士の鑑定評価における土地と建物等の評価額の比率によってあん分し、法人税に係る建物等の減価償却費の額を計算すべきである旨主張する。
 しかしながら、鑑定評価による価額を用いたあん分法も一応合理性が認められる方法であるところ、請求人が用いた不動産鑑定士の評価額の計算が本件建物と構造の異なる建物に基づく査定を行っているなど必ずしも合理性のある算出方法となっていない一方、原処分庁が用いた土地及び家屋の固定資産税評価額は、いずれも同一の評価機関により算定されたものであり、かつ、同一時期の時価を反映しているものであることから合理性があるというべきである。よって、固定資産税評価額の比率によってあん分することが相当である。
 なお、原処分庁の固定資産税評価額の比率によるあん分は、本件建物に設置されたディスプレイ設備に係る固定資産税評価額に相当する額が含まれていないことから、原処分庁の計算は誤りである。

参照条文等

法人税法第31条第1項

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平成27年5月26日裁決

調査結果の説明に瑕疵があったとしても、原処分の取消事由とはならないとした事例(平成22年9月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却、却下)

裁決事例集 第99集

ポイント

 本事例は、証拠収集手続に影響を及ぼさない手続の違法は課税処分の取消事由とはならないものと解されるから、国税通則法第74条の11《調査の終了の際の手続》の調査結果の説明に瑕疵があったとしても、原処分の取消事由とはならないことを明らかにしたものである。

要旨

 請求人らは、本件相続に係る相続税の調査(本件調査)には、国税通則法(通則法)第74条の9《納税義務者に対する調査の事前通知等》第1項に規定された事前通知及び通則法第74条の11《調査の終了の際の手続》第2項に規定された調査結果の説明がいずれもなされていない違法があるから、原処分は取り消されるべきである旨主張する。
 しかしながら、まず、本件において、通則法第74条の9第1項所定の事前通知は、本件調査の担当職員の答述及びこれを裏付ける原処分関係資料によれば、当該職員によって適法になされているものと認められることから、この点に関する請求人の主張には理由がない。次に、調査の手続の違法が課税処分の取消事由となるのは、課税処分の基礎となる調査を全く欠く場合のほか、課税処分の基礎となる証拠資料の収集手続(証拠収集手続)に重大な違法があって調査を全く欠くのに等しいとの評価を受ける場合に限られ、他方、証拠収集手続に影響を及ぼさない他の手続の違法は課税処分の取消事由とはならないものと解されるから、証拠収集手続に違法があるとは認められない本件においては、証拠収集手続に影響を及ぼさない手続である調査結果の説明に瑕疵があったとしても、原処分の取消事由とはなり得ないものというべきである。したがって、この点に関する請求人の主張にも理由がない。

参照条文等

国税通則法第74条の9 国税通則法第74条の11

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平成27年5月25日裁決

登記記録の地目が畑で現況が墓地の土地の登記につき、登録免許税法第5条《非課税登記等》第10号に規定する「墳墓地に関する登記」に該当するかどうかは、不動産の現況ではなく登記記録の地目によるべきであるとした事例(登録免許税に係る還付通知の請求に対してされた還付通知をすべき理由がない旨の通知処分・棄却)

裁決事例集 第99集

要旨

 請求人らは、請求人らが相続した登記記録の地目が畑で現況が墓地の土地の登記につき、登録免許税法第5条《非課税登記等》第10号に規定する「墳墓地に関する登記」に該当するかどうかは、登記記録の地目ではなく現況に従って判断すべきである旨主張する。
 しかしながら、同号は「墳墓地に関する登記」について非課税とするものであるところ、この規定を適用するについては、登記記録の地目が墓地と記録されている土地に限られる。これは、登録免許税が、納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が自動的に確定する国税で、相続税等の財産税とは異なり流通税としての性格を有し、このような性格を持つ登録免許税において、登記官は、不動産登記の際、登記記録や登記申請に基づき、当該不動産の地目を形式的に判断する必要があるためである。したがって、登録免許税法第5条第10号に該当するかどうかは、不動産の現況ではなく登記記録の地目によるべきであることから、現況地目が墓地であっても、登記記録の地目が墓地でなければ、同号の適用はない。

参照条文等

登録免許税法第2条第5条第10号

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平成27年5月20日裁決

請求人の子会社には、法人税法施行令第68条《資産の評価損の計上ができる事実》第1項第2号ハに規定する「ロに準ずる特別の事実」が生じているとは認められないとした事例( 平23.4.1~平24.3.31の事業年度の法人税の再更正処分、 平24.4.1~平25.3.31の事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、 平24.4.1~平25.3.31の課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第99集

要旨

 請求人は、請求人の子会社(本件子会社)において、法人税法施行令第68条《資産の評価損の計上ができる事実》第1項第2号ハに規定する「ロに準ずる特別の事実」が生じているので、本件子会社に対する請求人の出資持分に係る評価損を損金の額に算入することができる旨主張する。
 しかしながら、この「ロに準ずる特別の事実」とは、同号ロとは異なる原因、すなわち、その有価証券を発行する法人そのものの資産状態以外の当該有価証券の価額の変動を生じさせる客観的な要素について、災害に準ずるような何らかの「特別の事実」が生じたことにより、当該有価証券の価額が著しく低下し、かつ、その価額の回復の見込みがないような場合を指すものと考えられるところ、本件子会社において法人税法施行令第68条第1項第2号ハに規定する「ロに準ずる特別の事実」が生じているとは認められないことから、本件子会社に対する請求人の出資持分に係る評価損を損金の額に算入することはできない。

参照条文等

法人税法第33条第1項第2項 法人税法施行令第68条第1項第2号ロ、ハ

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平成27年5月8日裁決

本件金地金について、相続開始日に本件被相続人の相続財産として存在したと認めるには十分とはいえないことなどから、請求人が取得した相続財産であるとは認められないとした事例(平成23年9月相続開始に係る相続税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分・全部取消し)

裁決事例集 第99集

要旨

 原処分庁は、本件被相続人が金地金を取得した以後、①相続開始日の3年前頃には本件被相続人の下に多数の金地金が保有されていたこと、②調査した金地金取扱業者等に対する売却の事実がないこと、③相続人等への金地金の贈与の事実がないことから、相続開始日において、本件被相続人又は本件被相続人の委任を受けた請求人の管理下に同人の相続財産として申告された金地金以外の金地金(本件金地金)が存在したと主張する。
 しかしながら、上記①から③までの事情は、相続開始日に本件金地金が本件被相続人の相続財産として存在したと認めるには十分とはいえず、他に原処分庁の主張事実を認めるに足りる証拠はないから、本件金地金は、請求人が取得した相続財産であるとは認められない。

参照条文等

相続税法第2条

参考判決・裁決

名古屋高裁平成15年12月25日判決(税資253号順号9500)

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平成27年4月21日裁決

法人の代表取締役である請求人が、当該法人から契約上の地位を譲り受けた生命保険契約を解約したことにより受領した解約払戻金に係る一時所得の金額の計算上、当該法人が支払った保険料を一時所得の金額の計算上控除することはできないとした事例(平成22年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第99集

要旨

 法人の代表取締役である請求人は、同人が当該法人から契約上の地位を譲り受けた生命保険契約を解約したことにより受領した解約払戻金に係る一時所得の金額の計算上、当該法人が支払った保険料を含む当該生命保険契約に係る保険料の総額を控除すべきである旨主張する。
 しかしながら、一時所得に係る支出が所得税法第34条《一時所得》第2項にいう「その収入を得るために支出した金額」に該当するためには、それが当該収入を得た個人において自ら負担して支出したものといえる場合でなければならないと解するのが相当である。なお、所得税法施行令(平成23年6月改正前のもの)第183条《生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算上控除する保険料等》第2項第2号についても、以上の理解と整合的に解釈されるべきものであり、同号が一時所得の金額の計算において支出した金額に算入すると定める「保険料…の総額」とは、保険金の支払を受けた者が自ら負担して支出したものといえる金額をいうと解すべきであって、同号が、このようにいえない保険料まで上記金額に算入し得る旨を定めたものということはできない。したがって、当該解約払戻金に係る一時所得の金額の計算上、当該法人がその名義により支払った保険料は、これを控除することはできない。

参照条文等

所得税法第34条第2項 所得税法施行令第183条第2項第2号(平成23年6月政令第195号による改正前のもの) 所得税基本通達34-4(平成24年2月10日付課個2-11・課審4-8による改正前のもの)

参考判決・裁決

最高裁平成24年1月13日第二小法廷判決(民集66巻1号1頁)

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平成27年4月13日裁決

青色事業専従者給与の支払に充てられた資金の原資が請求人の給与収入から請求人の事業に振り替えられたもの(事業主借)であることを理由に、青色事業専従者給与の支払額全額が、請求人の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入できないとした原処分庁の主張を排斥した事例(平成22年分~平成24年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し)

裁決事例集 第99集

要旨

 原処分庁は、請求人には事業収入の約4倍の給与収入があり、当該給与収入が請求人の事業に資金流入され、青色事業専従者給与が支払われていることからすれば、青色事業専従者給与は事業から支払を受けていた場合には当たらず、その全額が事業所得の金額の計算上必要経費に算入できない旨主張する。
 しかしながら、請求人の場合、青色事業専従者給与は、事業主借勘定に振り替えられ事業用とされた現金から支払われており、事業から支払われていたものと認められるから、労務の対価として相当であると認められる金額は、青色事業専従者給与の金額として、請求人の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することが相当である。

参照条文等

所得税法第57条第1項(平成25年法律第28号による改正前のもの) 所得税法施行令第164条第1項

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平成27年4月8日裁決

委託売却による売却通知が処分に当たることを前提に、不服申立ての利益がないことを理由に審査請求を却下した事例(委託売却による売却通知処分・却下)

裁決事例集 第99集

要旨

 審査請求によって処分の取消しを求めるには、請求人に取消しを求める利益のあることが必要であるところ、請求人が取消しを求める委託売却による売却通知処分については、原処分庁が本審査請求がされたことを理由に当該委託売却を中止し、当該委託売却に係る売却実施期間が経過したため、当該売却通知処分に基づき請求人の財産が売却されることはなくなり、同処分の効力は消滅したので、本審査請求は不服申立ての利益を欠く不適法なものである。

参照条文等

国税徴収法第109条第1項、同条第4項 国税徴収法第171条第1項第3号

参考判決・裁決

神戸地裁昭和46年2月19日判決(裁web)

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平成27年4月1日裁決

押印が漏れている相続税の申告書について、納税申告書としての効力が認められるとした事例(平成25年1月相続開始に係る相続税の無申告加算税の賦課決定処分・全部取消し)

裁決事例集 第99集

ポイント

 本事例は、納税申告書としての他の要件を具備している限り、押印がないことのみをもって納税申告書としての効力がないものとはいえないとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人が法定申告期限内に提出した相続税の申告書(本件申告書)について、請求人の押印がなく国税通則法(通則法)第124条《書類提出者の氏名及び住所の記載等》第2項の規定を充足していないこと、加えて、本件申告書の書面等から請求人の申告の意思を認めることができず本件申告書が有効なものと認められないことから、通則法第17条《期限内申告》に規定する期限内申告書には該当しない旨主張する。
 しかしながら、納税申告書の効力については、押印がない場合であっても、単なる押印漏れであることも考えられるので、納税申告書として他の要件を具備している限り、押印がないことのみをもってその効力がないものとはいえず、このような場合には、当該納税申告書が押印のない者の申告の意思に基づいて提出されたものと認められるか否かによって、その効力を判断すべきである。そして、申告の意思に基づいて提出されたものかどうかの判断に当たっては、納税申告書の作成経緯や原処分庁への納税申告書の提出状況及び納税の状況等を総合考慮すべきと考える。これを本件についてみると、①本件申告書は遺産分割協議で成立した内容を基に共同相続人の総意により作成されたものであること、②請求人は共同相続人である長女に本件申告書の原処分庁への提出を任せ、長女が現に提出したものであること、③請求人が申告納税義務を認識し相続税を納期限内に全額納付したことなどがそれぞれ認められることから、本件申告書は、請求人の意思に基づいて提出されたものと認めるのが相当である。また、本件申告書は、押印箇所を除き納税申告書としての要件を具備しているものと認められる。したがって、本件申告書に請求人の押印のないことについては、単なる押印漏れにすぎず、本件申告書の納税申告書としての効力には影響しないというべきであるから、本件申告書は、通則法第17条に規定する請求人の期限内申告書に該当する。

参照条文等

国税通則法第124条 相続税法施行規則第13条第1項

参考判決・裁決

平成22年9月14日裁決(裁決事例集No.80)

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平成27年3月31日裁決

従業員名義で経営していた店舗に係る経営上の行為の状況、利益の享受状況及び出資の状況等から当該店舗の事業に係る所得の帰属先は請求人であると認定した事例( 平成18年分~平成21年分の所得税の各決定処分及び重加算税の各賦課決定処分、 平成22年分~平成24年分の所得税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分、 平20.1.1~平24.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに重加算税の各賦課決定処分、 平成22年12月~平成24年12月の各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分、 平成25年1月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の納税告知処分、 平成25年2月~平成25年6月の期間分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の納税告知処分並びに不納付加算税の賦課決定処分・ 、 ~ 棄却、 一部取消し)

裁決事例集 第98集

要旨

 請求人は、風俗店4店舗(本件各店舗)の経営者はP11であり、本件各店舗の事業に係る所得の帰属先は請求人ではない旨主張する。
 しかしながら、請求人が本件各店舗の法律行為等について自らの名義又は自ら決定した借名を用いて行い、従業員を雇用、監督し、収支を管理し、本件各店舗から生じた利益を享受していたこと、また、本件各店舗に係る開店及び移転の各費用並びに出資に係る資金の負担者が請求人であったことから、本件各店舗の経営者は請求人であったと認められ、本件各店舗の事業に係る所得の帰属先は請求人である。

参考判決・裁決

名古屋地裁平成17年11月24日判決(判タ1204号114頁)

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平成27年3月30日裁決

帳簿を作成していない青色申告事業者に対する更正処分の理由付記の程度について、帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正をする場合に該当することから、理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に記載すればよいとした事例( 平成17年分、平成19年分、平成22年分及び平成23年分の所得税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分、 平成18年分、平成20年分及び平成21年分の所得税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、 平20.1.1~平20.12.31、平22.1.1~平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに無申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第98集

要旨

 請求人は、青色申告者である請求人に対する所得税の更正処分(本件所得税更正処分)に係る通知書(本件更正通知書)には、調査による計数上の記載や処分の結果のみが記載されているだけで、原処分庁の判断根拠が全く記載されておらず、本件更正通知書の理由付記には、本件所得税更正処分を取り消すべき不備がある旨主張する。
 しかしながら、請求人は、請求人の事業所得を生ずべき業務について、集計表等を作成するだけで日々の取引を記録する帳簿を作成していないことから、本件所得税更正処分は、帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正をする場合に該当するところ、原処分庁は、本件更正通知書において、事業所得に係る総収入金額については取引先ごとに取引期間及び年間の売上金額を一覧表で明らかにしており、必要経費については計上漏れとして認定した仕入金額等の支払先及び年間の支払合計金額などを記載していることからすれば、本件更正通知書に記載された理由は、原処分庁の恣意抑制及び納税者の不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的な記載がされていると認められることから、本件所得税更正処分を取り消すべき不備はない。

参照条文等

所得税法第155条 国税通則法第24条

参考判決・裁決

最高裁昭和60年4月23日第三小法廷判決(民集39巻3号850頁) 最高裁昭和38年5月31日第二小法廷判決(民集17巻4号617頁) 最高裁平成23年6月7日第三小法廷判決(民集65巻4号2081頁) 平成26年9月1日裁決(裁決事例集No.96)

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平成27年3月26日裁決

調査手続の違法は修正申告の効果に影響を及ぼさないと判断した事例( 平成20年分、平成21年分及び平成24年分の所得税に係る重加算税並びに平成19年分の所得税に係る過少申告加算税並びに平21.1.1~平21.12.31の課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分、 平成18年分~平成21年分、平成23年分及び平成24年分の所得税の各修正申告並びに平18.1.1~平18.12.31及び平21.1.1~平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各期限後申告・ 棄却、 却下)

裁決事例集 第98集

要旨

 請求人は、原処分に係る調査担当職員(本件調査担当職員)が行った調査につき、①国税通則法第74条の9《納税義務者に対する調査の事前通知等》第1項に規定する調査対象期間の説明並びに同法第74条の11《調査の終了の際の手続》第2項及び第3項に規定する調査結果の内容の説明や法的効果の教示がなかったことから調査手続に違法があったこと及び②調査対象期間の説明及び調査結果の内容の説明がなかったため、どのような内容か分からない修正申告書及び期限後申告書(本件各修正申告書等)に署名押印して修正申告及び期限後申告(本件各修正申告等)をしたものであり錯誤があったことから、本件各修正申告等は調査手続の違法又は錯誤により無効である旨主張する。
 しかしながら、そもそも調査手続の違法は、それのみを理由として修正申告及び期限後申告の有効性に影響を及ぼすものではないと解されるから、たとえ調査手続に違法があったとしてもそのことのみで修正申告及び期限後申告が無効となることはない。また、本件各修正申告書等には、請求人の署名押印がされていることから、本件各修正申告等が請求人の意思に基づいて行われたとの推定ができるところ、①修正申告書及び期限後申告書は具体的な納税義務を発生させるものであるから、内容を確認しないで署名押印をすることは通常あり得ないこと、②本件調査担当職員は調査期間中に調査対象となる税目と年分を請求人に伝えていると認められるから、請求人は調査対象期間を認識していたこと並びに③本件調査担当職員は請求人に調査結果の内容の説明を行ったと認められるから、請求人は調査結果の内容を知っていたと認められ、これらを総合すると、請求人は、税目、年分を認識した上で本件各修正申告書等に署名押印し提出したと認められるのであって、錯誤があったとは認められず、本件各修正申告等は無効とならない。

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平成27年3月25日裁決

相当の地代を支払っている場合の借地権は、贈与財産である株式の純資産価額の計算上、株式の発行会社の資産の部に算入するとした事例(平成24年分贈与税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・一部取消し)

裁決事例集 第98集

ポイント

 本事例は、同族会社に土地を貸し付けている当該同族会社の同族関係者が、当該同族会社の株式を贈与した場合においても、相当地代通達6の注書の適用があるとしたものである。

要旨

 請求人は、実父(父H)から贈与により取得した同族会社(本件同族会社)の株式(本件株式)の評価に当たり、「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて」(昭和60直資2-58ほか)(60年通達)の6の注書及び「相当の地代を収受している貸宅地の評価について」(昭和43直資3-22ほか)は、いずれも相続税の課税上のみの取扱いであるから、20%の借地権相当額を本件同族会社の純資産価額に算入すべきではない旨主張する。
 しかしながら、60年通達の6の注書は、生前贈与の場合にも及ぼすべきであると考えられるところ、より一般的にいうなら、同族会社の株式を贈与する同族関係者からみて、相当程度年下の第1順位の推定相続人が受贈者である場合には、当該会社に借地権が設定されている土地の所有者との関係次第で、60年通達の注書の取扱いにより借地権相当額を当該会社の純資産価額に算入すべき場合があるということになる。本件においては、本件株式の贈与者である父Hが所有する土地を、相当の地代を収受して父Hが同族関係者となっている本件同族会社に貸し付けている状況において、本件株式を同人の実子である請求人に贈与していることから、本件株式の評価に当たり、借地権の価額を本件同族会社の純資産価額に算入することは相当である。

参照条文等

「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて」(昭和60直資2-58ほか) 「相当の地代を収受している貸宅地の評価について」(昭和43直資3-22ほか)

参考判決・裁決

福岡高裁宮崎支部平成19年2月2日判決(税資257号 順号10627) 平成26年4月22日裁決(裁決事例集№95)

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平成27年1月23日裁決

居住用土地建物及び非居住用土地建物と一体で利用されていた私道を譲渡した場合において、当該私道の面積のうち租税特別措置法第35条に規定する特例の適用がある部分は、居住用土地及び非居住用土地の各面積を基にあん分により求めた面積とすることが相当であるとした事例(平成24年分の所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・一部取消し)

裁決事例集 第98集

要旨

 請求人は、居住の用に供していた家屋(本件居住用家屋)の敷地(甲土地)のほか、甲土地に隣接する土地上にあった通路(本件通路)のうち4分の1に相当する部分にも、租税特別措置法第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第1項に規定する特例の適用がある旨主張する。
 しかしながら、同項に規定する「居住の用に供している家屋の敷地」であるかどうかは、当該土地等が当該家屋と一体として利用されている土地等であったかどうかにより判定することが相当である。これを本件についてみると、本件通路は、本件居住用家屋のほか、本件通路に面している6棟の建物(本件各空家)の出入りにも必要な土地であり、現に、その出入りに利用されてきた土地であることから、本件居住用家屋及び本件各空家と一体で利用されていた土地であると認められる。そうすると、本件通路のうち租税特別措置法第35条第1項に規定する居住の用に供している家屋の敷地に該当していた部分は、本件通路を本件居住用家屋と本件各空家に対応する部分であん分した本件居住用家屋に対応する部分とすることが合理的であると認められる。そして、そのあん分に当たっては、本件通路は甲土地及び本件各空家の敷地への出入りに利用されていた土地であるから、甲土地及び本件各空家の敷地面積を基にあん分することが合理的である。したがって、請求人の主張は採用できない。

参照条文等

租税特別措置法第35条 租税特別措置法通達(山林所得・譲渡所得関係)31の3-12

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平成27年1月19日裁決

滞納者の詐害の意思の有無は、国税徴収法第39条の第二次納税義務の成立要件ではないとした事例(第二次納税義務の納付告知処分・棄却)

裁決事例集 第98集

要旨

 請求人は、原処分庁が請求人に対して行った第二次納税義務の納付告知処分(本件告知処分)について、国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》の第二次納税義務を課すには詐害の意思が必要であるところ、滞納者が請求人に対して行った土地の持分の贈与(本件譲渡)には詐害の意思はないから、本件譲渡は無償譲渡等の処分に該当しない旨主張する。
 しかしながら、同条の規定によれば、滞納者に詐害の意思のあることは同条所定の第二次納税義務の成立要件ではないと解されるから、本件譲渡に詐害の意思がないことを理由に、本件告知処分が違法であるということはできない。

参照条文等

国税徴収法第39条

参考判決・裁決

最高裁平成21年12月10日第一小法廷判決(民集63巻10号2516頁)

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