裁決事例 平成8年(1996年)

裁決事例 平成8年(1996年)

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平成8年12月11日裁決

相続開始時において、主たる債務者は返済不能の状況に至っていないので、被相続人の保証債務額は、債務控除の対象にならないとして請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第52集 113頁

要旨

 請求人は、被相続人の保証債務額5億2,259万円は主たる債務者M社及びN社の財産及び損益の状況からみて、相続税法第13条及び第14条に規定する債務控除の対象となる旨主張する。
 しかしながら、次のとおり被相続人の相続開始時において、M社及びN社は債務超過の状況と認められるものの、T銀行らに対する弁済遅延もなく、事業閉鎖等の事実も認められないので、当該保証債務額は、債務控除の対象とならないとした本件更正処分は適法である。

  1.  M社及びN社は、[1]被相続人の相続開始時まで債権者であるT銀行らに保証債務額を弁済していたので、催告を受けておらず、また、[2]事業活動を継続しており、事業閉鎖等、強制執行又は会社更生の申立等を受けたことがないこと。
  2.  ところで、相続税法第14条に規定する「確実と認められる」債務とは、債務の存在とその履行が確実と認められる債務と解すべきところ、保証債務は、保証人が当該債務を履行するか否か不確実であるから、原則として「確実と認められる債務」に該当しないが、主たる債務者が弁済不能にあるため保証人が当該債務を履行しなければならない場合で、かつ、当該債務者に求償しても弁済を受ける見込みがない場合には、例外的に「確実と認められる債務」に該当すると解するのが相当である。
  3.  そして、主たる債務者が弁済不能にあるか否かは、破産、和議、会社更生又は強制執行等の手続開始を受け、若しくは事業閉鎖、行方不明等により、債務超過の状態が相当期間継続しながら、他から融資を受ける見込みもなく、再起の目途が立たない等の事情により、事実上債権の回収ができない状況にあることが客観的に認められるか否かによると解するのが相当である。
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平成8年12月11日裁決

面積制限を超えて取得した二以上の買換土地の面積は、当該土地を平均的に取得したものとして計算するのが正当であるとして請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第52集 64頁

要旨

 買換土地の面積制限の計算に当たり、請求人は、原処分庁は租税特別措置法通達37-10に基づきQ市及びM市の土地を平均的に取得したとしているが、本件買換資産は同通達の発遣前に取得しているので、同通達は適用される余地がなく、法人の取扱いと同様に納税者に有利になるよう任意に買換土地を選択できる旨主張するが、次の理由から、買換土地を平均的に取得したとする本件更正処分は適法である。

  1.  租税特別措置法施行令第25条の2第2項は、租税特別措置法第37条の3第1項の規定を受けて、買換資産が二以上ある場合の各買換資産の取得価額は、各買換資産の買換資産の合計額のうちに占める割合を乗じた金額とする旨規定していることから、買換土地の面積制限の計算も平均的に取得したものと解するのが相当である。
  2.  租税法規の解釈として、通達が公開されているのは、課税庁内部の取扱いの統一と納税者の申告・納税の便に供していることが認められ、その内容が法律の正しい解釈に合致している以上、法律の根拠に基づくものと解するのが相当である。
  3.  租税特別措置法通達37-10は、請求人が買換資産を取得した後に発遣されているが、同通達の発遣前から租税特別措置法通達37-19及び37の3-2が存在し、従来から二以上の土地を平均的に買換資産とする取扱いがされていたと認められ、平成3年度の税制改正に伴い、租税特別措置法通達37-10によりそれまでの取扱いが明確にされたものといえる。
  4.  さらに、特定の事業用資産の買換特例に関して、[1]個人は租税特別措置法第37条第1項及び第37条の3第1項において、譲渡所得の金額及び引継価額の計算方法を規定しているが、[2]法人は租税特別措置法第65条の7第1項において、損金の額に算入する金額の計算方法を規定しているのみであり、同法第37条の3第1項及び租税特別措置法施行令第25条の2第2項と同様な規定がなく、その規定振りが異なる。
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平成8年12月10日裁決

パチンコ遊技場業を営んでいる会社の売買に関し、当該会社の正味財産を超える金員を支払ったとしても、当該会社が存続し自ら営業をしていること等から、買主が支払ったその全額が当該会社の社員持分権の対価であって営業権の対価ではないことから、その支払額について営業権の取得の対価として減価償却をすることはできないとした事例

裁決事例集 第52集 98頁

要旨

 請求人は、パチンコ遊技場を営む有限会社の社員持分の全部をパチンコ遊技場経営の権利と併せて1億5,800万円で譲り受け、当該会社の正味財産が1,030万円余りであったことから、1,100万円を当該会社への出資金として経理処理をするとともに、正味財産を超える1億4,700万円は、当該超過収益力に係る無形の財産的価値の見積額であり、将来の請求人の営業利益によって償却されるべき営業権の取得価額にほかならないとして、無形の減価償却資産である営業権の取得の対価として経理し、本件各事業年度において営業権の減価償却費735万円を損金の額に算入したことは正当な処理である旨主張する。
 しかしながら、当該会社は継続してパチンコ遊技場業の許可を有してその営業を営んでいること等からすると、請求人が将来の期待利益である超過収益力を得るために当該会社の営業権を取得し、自らの事業の用に供してパチンコ遊技場を営んでいる事実は認められないから、当該会社の正味財産を超える金員を営業権の取得の対価として経理処理し、営業権の減価償却費を損金の額に算入することはできない。

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平成8年12月9日裁決

関連会社の地上権の設定の有無について、本件は、当事者間の特殊な信頼関係に基づく土地の使用関係であって、地上権の設定の事実は認められないとした事例

裁決事例集 第52集 128頁

要旨

 請求人は、本件土地に関連会社の地上権が設定されているから、更地価格の10%の価額で評価すべきであると主張するが、被相続人と同社との間の本件土地の使用関係は、[1]貸借契約がないこと及び[2]権利金及び地代の授受の事実がないことから、当事者間における特殊な信頼関係に基づくものであって、本件土地について、同社が継続的に使用している事実は認められるものの、同社が当初から地上権行使の意思をもって使用していたと認めるに足る証拠はないので、結局、本件土地に同社の地上権の存在を認めることはできない。
 また、同社に地上権が存在する旨の地裁判決については、当該訴訟の被告である請求人らが全く争わずに確定したものであり、請求人らが同社の意思決定権を有するものであることからすれば、時効取得という法的手段を用いて本件地上権の存在を確定させようとして、本件訴訟を同社に提起させ、被告が争わなかったことに起因するものであり、その訴訟を提起したこと自体が、相続税の軽減という動機を経済的、実質的に行為化したものと判断するのが相当である。

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平成8年11月22日裁決

基準期間が免税事業者である場合の消費税法第9条第2項で規定する課税売上高の算出方法については、課税資産の譲渡等の対価の全額の合計額により算定することが相当であるとした事例

裁決事例集 第52集 145頁

要旨

 請求人は、消費税の基準期間の課税売上高の算出方法については、消費税法第9条(小規模事業者に係る納税義務の免除)第2項で引用する同法第28条(課税標準)第1項において「課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税に相当する額を含まないものとする。」と規定されていることから、基準期間における課税売上高が3,000万円以下であるか否かの判定に当たっては、同法第4条(課税の対象)第1項の規定により、すべての事業者には消費税が課されているので、基準期間において免税事業者に該当する場合であっても、当該課税売上高の算定は税抜き価額で算出すべきである旨主張する。
 しかしながら、消費税法第9条第1項で規定する「課税売上高が3,000万円以下である者」に該当するか否かの判定に当たっては、

  1.  消費税の納税義務を規定する消費税法第5条(納税義務者)第1項の規定は、一般的に納税義務について定めたものであり、この規定のみによって直ちに個々の取引に対する消費税の課税関係が律せられるわけではなく、課されるべき消費税の有無は、同法第4条及び第5条の規定のみならず、同法第7条、同法第9条等の規定を含め、すべての関係規定を適用した結果により決まるものであり、本件の課税売上高の算定方法の解釈に当たっても関係条文を総合的に解釈して判断することが相当であること
  2.  消費税法第9条第1項の規定の適用があるか否かは、当該課税期間の開始前に既に確定しているのであり、同項の規定の適用がある場合には、その事業者が当該課税期間内に行う「個々の」課税資産の譲渡等のすべてについて消費税を納める義務が免除されていることが当該課税期間の当初から予定されていることからすると、課税資産の譲渡をした時に同法第4条及び第5条の規定によって成立する抽象的な納税義務は、同法第9条第1項の規定により成立と同時に免除されるものと観念することができ、消費税の納税義務は存在しないことになること
  3.  また、消費税法第9条第2項第1号において、同法第28条第1項で規定する「対価の額」を引用しているが、これは、本来の「対価の額」の原則的な定義は「対価として収受する一切の金銭又は金銭以外のもの若しくは権利その他経済的な利益の額=取引の全額」であることを明確にすると同時に、基準期間において課税事業者であった者については、当該期間は消費税が課されているので、当該課されるべき消費税の額を除外したところにより売上高を算定すべきであるとの観点等から、課税標準の計算規定を借用して規定しているものであること

等から、基準期間において免税事業者であった者については、課税資産の譲渡等の対価の全額の合計額により課税売上高を算定して判定することが相当である。

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平成8年10月31日裁決

不動産賃貸借契約の合意解除は国税通則法施行令第6条第1項第2号に規定する「当該契約の成立後生じたやむを得ない事情によって解除されたこと」に該当せず、更正の請求をすることはできないとした事例

裁決事例集 第52集 1頁

要旨

 国税通則法第23条第2項第3号を受けた同法施行令第6条第1項第2号に規定する「当該契約の成立後生じたやむを得ない事情」とは、法定の解除事由がある場合、事情の変更により契約の効力を維持するのが不当な場合(契約内容に拘束力を認めるのが不当な場合)、その他これに類する客観的理由がある場合を指すものと解されるところ、本件においては契約の効力を維持したとしても不当とはいえず、他に契約を合意解除せざるを得ない客観的理由があったとは認められないから、請求人の主張する合意解除の事情は、「当該契約の成立後生じたやむを得ない事情」に該当せず、国税通則法第23条第2項に基づく更正の請求をすることはできない。

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平成8年10月2日裁決

遺産分割協議の無効確認を求めて訴訟中であることを理由に、当該遺産分割に基づく相続税の滞納のためにした請求人の固有財産に対する差押処分の取消しを求めることはできないとした事例

裁決事例集 第52集 163頁

要旨

  1.  請求人が、本件相続税申告の基礎となった遺産分割協議の無効確認を求めて訴訟を提起していることは認められるが、当該遺産分割に基づきされた相続税の申告と本件差押処分とは、それぞれ別個の法律効果の発生を目的とする独立した手続であり、結合して単一の法律効果を生ずるものではないから、本件申告に外形上客観的に一見して看取し得る程度の重大かつ明白な瑕疵があると認められない以上、差押処分の取消しを求めることはできない。
  2.  請求人は、本件訴訟の判決確定まで本件差押処分を看過すれば請求人の固有財産が公売に付されることとなり、本件訴訟の実益を確保できなくなるばかりか、回復不可能な損害を被ることになると主張する。
     しかしながら、差押処分は租税債権の強制履行を目的とする滞納処分の一環であるが、その執行に当たっては、超過差押え及び無益な差押えの禁止の規定(国税徴収法第48条)、相続があった場合の差押えに関する規定(国税徴収法第51条)、滞納処分による財産の換価の猶予の規定(国税徴収法第151条)等により、差押処分が滞納者に過酷にならないように措置されていることが認められる。
     一方、相続税の滞納により滞納者の固有財産に対する差押処分を禁止し又は猶予する旨の規定は存在しないから、原処分庁が本件差押処分をしたこと及びこれを維持していることに違法、不当な点があるとは認められない。
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平成8年9月30日裁決

申告もれの土地譲渡について具体的に指摘した来署依頼状の送付後になされた修正申告書の提出は、国税通則法第65条第5項に規定する調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたというべきであるとした事例

裁決事例集 第52集 31頁

要旨

 請求人は、本件修正申告書の提出が国税通則法第65条第5項に規定する調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたものではないと主張するが、同法第65条5項の「調査」とは課税庁が行う課税標準又は税額等を認定するに至る一連の判断過程の一切を意味するものであり、課税庁の証拠書類の収集、証拠の評価あるいは経験則を通じての課税要件事実の認定、租税法その他の法令の解釈適用を経て更正処分に至るまでの思考、判断を含む極めて包括的な概念であり、課税庁が確定申告書を検討して納税者の過少申告を把握し、これを当該納税者に連絡したような場合には「調査があったこと」に該当する。本件では申告もれの土地譲渡について具体的に指摘した来署依頼状の送付後に修正申告書が提出されているから、修正申告は調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたというべきである。

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平成8年9月20日裁決

破産法人がその取締役の滞納国税のために破産宣告前にした納税保証は、適法有効な担保提供手続(保証契約)によるものであり、破産手続の開始によって何らの影響も受けないとした事例

裁決事例集 第52集 18頁

要旨

  1.  請求人は、本件保証契約の存在を明らかにする書面の不存在を理由に、株式会社Fを保証人と認めることはできない、又は保証契約は無効と主張するが、その主張に係る担保提供書、納税保証書及び取締役会議事録写しは、いずれも所定の手続に従って作成され原処分庁に提出されていることが確認でき、また、担保提供手続に瑕疵は認められないので、本件保証契約は有効に成立していると認めることができる。
     また、取締役会の承認決議は、議事録写しの記録、内容及び印鑑証明書等の添付書類から適法有効になされていることが認められるから、請求人の主張はいずれも理由がない。
  2.  本件保証契約締結において、株式会社Fには破産手続が開始されたときの本件保証国税の優先配当権につき法律行為の要素の錯誤があるから保証契約は無効と主張するが(本件保証国税に破産手続における優先配当権を主張する効力はない。)、保証国税に優先配当権があるかどうかは、当然には本件保証契約の意思表示の内容の主要部分を成すものではないから、錯誤に基づく本件承認決議及び契約締結行為は無効であるとする主張は採用することができない。
  3.  請求人は、原処分庁に信義則義務違反がある旨主張するが、本件保証契約が締結された時点において、原処分庁はもとより、滞納者又は株式会社Fのいずれにおいても、株式会社Fが破産を宣告されるという事態に至ることを予測していたとは認められない。
     したがって、原処分庁は破産という特殊な事態を想定して、破産手続における保証国税の効力について株式会社Fに知らしめるべき信義則上の義務を負っていたとする主張は採用することができない。
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平成8年7月31日裁決

不動産の賃貸料収入が多額であったとしても、その賃貸は事業的規模に当たらないとされた事例

裁決事例集 第52集 41頁

要旨

 請求人は、本件建物の貸付けは、賃借人は一社のみであるが、1,500万円以上の収入があり、当該建物の二階部分も賃貸すれば、3,000万円を超える収入を得られる可能性があり、二階部分の修復、維持管理のため等に従事している専従者に支払った給与は必要経費に算入されるべきである旨主張する。
 しかしながら、[1]貸付物件は、本件建物のみで、当該建物の貸付けに係る請求人等の役務の提供は極めて僅少であると認められること、[2]本件建物の一階部分の修理等は賃借人が行っていること等を総合的に判断すると、賃貸料収入が1,500万円であったとしても、社会通念上事業と称するに至る程度のものとは認められないとみるのが相当である。
 したがって、本件建物の貸付けは、所得税法第57条第1項に規定する不動産所得を生ずべき「事業」に該当しないから、専従者給与の額を必要経費に算入することはできない。

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平成8年7月5日裁決

展示会場の出展小間を使用させる事業は、収益事業である席貸業に該当するとした事例

裁決事例集 第52集 79頁

要旨

  1.  請求人は、展示会場を賃借し、その賃借した展示会場を小間割りした小間を展示会に出展を希望する企業に使用させ対価を収入する事業について、収益事業である席貸業に該当しないと主張するが、本件事業は、出展小間代を受領して出展小間を展示会の開催期間の前後を通じて利用させるために賃貸するものであるから、席料ないし利用料を受領して座席、集会場等一定の場所を随時、時間や期間を区切って利用させるために賃貸する事業である席貸業に該当する。この場合の席貸業は、不動産の所有者が直接席貸しをしたものに限らない。
  2.  請求人は、展示会事業とは別の事業である席貸業を行っているわけではなく、本件事業は展示会事業に該当する旨主張するが、公益法人等の営む事業が収益事業に該当するかどうかは、その事業の内容、方法等の実質に応じて判定すべきであるから、仮に本件事業が請求人の主張するような意味での展示会事業であっても、税法の観点からみて本件事業が席貸業に該当すれば、収益事業となるのである。
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平成8年6月27日裁決

「消費税簡易課税制度選択届出書」の効力は、「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」の提出によっては失効しないとした事例

裁決事例集 第51集 731頁

要旨

 消費税法第57条(小規模事業者の納税義務の免除が適用されなくなった場合等の届出)第2項の規定に基づく「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」は、事業者が基準期間の課税売上高が3,000万円以下となった場合に当該基準期間に対応する課税期間において消費税の納税義務がなくなった旨を届けるもので、簡易課税の特例の適用を受けることをやめようとするとき又は事業を廃止したときは、その旨を記載した届出書を提出しなければならない旨規定されていることからすると、消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書が提出されたとしても、簡易課税制度選択届出書の効力は失効しないものと解するのが相当である。

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平成8年6月27日裁決

純資産価額の計算上、法人税額等相当額を控除しないとしても違法ではないとした事例

裁決事例集 第51集 638頁

要旨

 請求人らは、本件出資を純資産価額方式で評価するに当たっては、評価基本通達の定めに従って、法人税等相当額を控除して評価すべきであると主張するが、被相続人は全額借入金によりX社及びW社を設立し、W社を設立するに当たってX社の出資を著しく低額で現物出資することにより、相続税の課税価格を約9億円圧縮する結果を招いており、当該出資は、資産の運用により収益を得る目的でなされたものではなく、本件借入金と本件出資との差額に相当する課税価格を圧縮することにより、相続税の負担を不当に軽減する目的でなされたものと推認できるので、このような場合の出資の評価に当たっては、評価基本通達の定めによる法人税額等相当額を控除しないで行っても租税平等主義に反するものとはいえず、違法ではない。

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平成8年6月26日裁決

請求人がJ社から受領した金員は、請求人及びJ社を含む5社が各1,300万円を出資して構成した本件共同体(民法第667条の組合)が、土地等の譲渡をして得た譲渡益の分配金であるから、その構成員たる請求人が本件共同体から受領すべき金額は請求人の土地等の譲渡益であり、また、当該土地等の取得から譲渡までの期間は2年以下であるから、租税特別措置法第63条の2に規定する超短期所有に係る土地等の譲渡利益に該当するとした事例

裁決事例集 第51集 429頁

要旨

  1.  本件共同体は、本件土地等の取引のために5社が各1,300万円を出資していること、5社のうち請求人を除く4社は本件土地等の取引を共同事業として認識していたこと、請求人の代表者も出資目的が本件土地等のリゾート開発事業のためであることを認めていること等を併せ考えると、本件土地等の取引について共同事業を営む旨の合意があったと認められるから民法第667条に規定する組合に該当する。また、請求人は、その構成員であると認めるのが相当である。
  2.  本件金員は、本件共同体により行われた本件土地等の譲渡による譲渡代金30億3,676万円(内砂代金6億円)のうち、請求人が受け取るべき金額6億666万円(内砂代金1億2,000万円)に係る利益の分配金である。
  3.  本件土地等の取得の日については、本件取得契約書上、土地等の代金の決済期日を昭和62年5月末日とし、引渡しは所有権移転登記申請手続及び売買代金授受の完了後遅滞なく当事者立会いの上これを行う旨定めており、現実には平成元年2月15日に所有権移転登記又は所有権移転請求権仮登記がされていること、売買代金の支払が平成元年2月27日に完結していること、本件清算書上も同日が取得日と記載されていること、請求人を除4社はいずれも同日を取得日と認識していたこと等の事実から、平成元年2月27日に本件土地の取得等があったものと認められる。
     また、その譲渡の日については、本件共同体が本件売却契約書の日付である平成2年3月6日に買主との間で土地等の代金の授受が行われたものであるから同日が譲渡の日であると認められる。
     そうすると、本件共同体による本件土地等の所有期間は2年以下となるから、租税特別措置法第63条の2(超短期所有に係る土地の譲渡等がある場合の特別税率)に規定する超短期所有に係る土地等の譲渡に該当する。
  4.  本件土地等の譲渡代金のうち請求人が受け取るべき金額6億666万円のうち砂代金1億2,000万円については、本件共同体において、本件砂が現に採掘・精製されたものであり、本件土地から分離された別個の売買の対象とされていると認められること、また、砂利採取業者に周知されている取引価格に基づいて決定された陸砂の1立方メートル当たりの単価に本件砂の体積を乗じて算定された6億円のうちの請求人の収受すべき金額であることから本件土地等の譲渡代金6億666万円から控除するのが相当である。
     そうすると、4億8,666万円が土地の譲渡価額となる。
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平成8年6月25日裁決

請求人が損金の額に算入した上場有価証券の評価損について、当該有価証券の価額が著しく低下した事実はないとした事例

裁決事例集 第51集 324頁

要旨

  1.  法人税法施行令第68条(資産の評価損の計上ができる場合)第2項第2号イに定める「有価証券の価額が著しく低下したこと」の具体的判断基準として、法人税基本通達9-1-7が、当該有価証券の当該事業年度終了の時における価額がその時の帳簿価額の概ね50パーセント相当額を下回ることとなり、かつ、近い将来その価額の回復が見込まれないことをいうものとする旨定めていることは、有価証券の評価損の損金算入要件として合理性がある。
  2.  本件の場合、請求人の有するN銀行株式の本件事業年度終了の時における価額は、帳簿価額に比して約40.21パーセント下落しているが、その後、N銀行の株価は上昇していること、N銀行の経常収益、預金、貸出金、一株当たりの純資産価額、自己資本比率等は、いずれも増加又は上昇していること、前期及び当期において債務超過の事実もないことから、「有価証券の価額が著しく低下したこと」には該当しないものと認めるのが相当である。
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平成8年6月14日裁決

調停に基づく離婚慰謝料として譲渡することとなったマンションの譲渡時期は、所有権移転登記のときではなく、当該マンションから請求人の資産を搬出し、当該マンションを相手方に引き渡したときであるとした事例

裁決事例集 第51集 113頁

要旨

 昭和62年5月の調停に基づき離婚慰謝料として先妻にマンションを引き渡すこととなった請求人は、住所も1年以上前から他所に転出しており、翌6月中旬ころに同マンションの請求人の資産を搬出していたことが認められるので、そのころに同マンションを相手方に引き渡したものと認められるから、その時が同マンションの譲渡の時期であると解すべきである。
 当該マンションの所有権移転登記が平成5年になされたのは、子供の成人を待つなどの事情があったからと認められ、かつ、請求人が当該譲渡所得について、平成5年分として申告したのは、原処分庁からの申告しょうように単純に応じたものと認められるから、いずれも当該譲渡所得が平成5年分として生じたことの理由とはならない。

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平成8年6月13日裁決

本件宅地がいわゆる大規模画地(面大地)であるとしても、所在近隣地域の同程度の面積の宅地の売買実例価額と比較してもその評価額は時価を上回るものではないとした事例

裁決事例集 第51集 548頁

要旨

 請求人は、本件宅地が590平方メートルと近隣地域の標準的な宅地より広大であるから、評価基本通達の定めによらず、鑑定評価額により評価すべきであると主張するが、[1]本件宅地の周辺は、マンション敷地としての需要が定着しており、本件宅地のような地積の宅地の価額が低いとは認められず、[2]本件宅地の所在するP市内の地積が400平方メートル以上の土地の売買実例価額はその大部分が路線価を上回っていることが認められるから、請求人の主張する鑑定評価額が客観的交換価値を証明したものとはいえず、原処分の評価額が正当である。

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平成8年6月13日裁決

本件貸駐車場は、不整形地ではあるがその程度が比較的小さいので、不整形地補正は適用できず、また、本件賃貸マンションの敷地と一体利用とは認められないので、当該入居者の利用部分は貸家建付地の評価ができないとして請求人らの主張を排斥した事例

裁決事例集 第51集 575頁

要旨

 請求人らは、本件貸駐車場用地(607平方メートル)は、[1]不整形地部分の面積82平方メートルについて、不整形地補正を適用して7パーセントの評価減及び[2]本件賃貸マンションの入居者が利用している部分は、当該マンションと一体利用であるから、貸家建付地として評価すべきである旨主張する。
 しかし、不整形地の評価は、画地の形状が不整形であるため画地の全部が宅地としての機能を十分に発揮できない場合に、整形地と比較した場合の利用価値の低下を価額に取り込むのであるから、画地の形状が正方形等でないとしても、その画地の地積がおおむね適正規模以上で、かつ、不整形の程度が比較的小さい場合など、宅地としての利用に特に支障がないものは、不整形地補正を要しないと解するのが相当である。
 本件貸駐車場は、その面積が適正規模で、不整形の程度が13パーセントと比較的小さいことから、その機能、便益が現在の地形をもって特に支障があるとは認められないので、不整形地補正を要しないのが相当である。
 また、本件貸駐車場は、一画地全体がアスファルト舗装をした上で、隣接する本件賃貸マンションの敷地とフェンスにより区分され、33台の貸駐車場(15台はマンションの入居者が、残りの18台はそれ以外の者が利用)としており、更に、マンションの賃料と駐車場の利用料とが明確に区分されていることからみて、当該マンションの敷地と本件貸駐車場の利用が一体の状況にあるとは認められないので、当該貸駐車場を貸家建付地として評価することは相当でない。

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平成8年6月6日裁決

事業者が販売したことによる自己の商品代金債権を信販会社に譲渡等することに伴い支払う手数料は、消費税法上の非課税取引に該当するとした事例

裁決事例集 第51集 689頁

要旨

 請求人は、信販会社に支払った本件手数料は、業務の対価として支払われるものであり、また、商品の販売に伴い生じた債権は本来信販会社のものであって、請求人との間においては債権の譲渡は行われていないので、非課税取引には該当せず、仕入税額控除の対象とすべきである旨主張する。
 しかしながら、請求人と信販会社との間の本件手数料の支払いに関する契約によれば、請求人が商品を販売したことによる売買債権を当該信販会社に譲渡し、又は信販会社に引き継いだ後の商品の販売代金は当該会員に対して請求することはできないこととされていることからすると、当該信販各社は、請求人が有する商品販売債権を引き継いで、請求人に代わって当該債権を集金することの対価として本件手数料が授受されるものであると認められることから、本件手数料は非課税取引に当たることになる。

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平成8年5月23日裁決

リース業を営む者が、リースの用に供していた機械等の資産を譲渡したことによる所得の所得区分は、譲渡所得には該当せず、事業所得に該当するとした事例

裁決事例集 第51集 40頁

要旨

 請求人は、機械等のリース・販売等を営み、リースの用に供していた減価償却資産を譲渡したことによる所得は、[1]本件リース用機械の販売に関し、不特定多数の顧客に広告宣伝を行った事実はなく、当該機械を販売するための人的・物的設備は不要であること、[2]当該機械の販売は、臨時的・偶発的に行われたものであること等から、譲渡所得に該当する旨主張する。しかしながら、請求人のリース業の性格上、そのリース用機械を取得してリースの用に供した後に当該リース用機械を譲渡したとしても、その譲渡行為は、リース用機械に係る所有権の行使の一態様として、これを譲渡したにすぎないものと認めることが相当であり、リース業に付随して経常的に派生していることからしても、請求人は営利を目的として継続的にリース用機械の譲渡を行ったものと認められることから、本件リース用機械を譲渡したことによる所得は、譲渡所得には該当せず、事業所得に該当する。

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平成8年5月20日裁決

物納申請財産は、間口狭小、奥行長大の極端に不整形な土地であり、相続税法第42条第2項に規定する管理・処分不適当財産に該当するから、物納財産変更要求通知処分は適法であるとした事例

裁決事例集 第51集 658頁

要旨

 物納申請土地は、間口約2メートル、奥行約58メートルの東西方向に長く極端に不整形である上、隣地との高低差が約2メートルあり、単独で通常の用途に供することができない土地であることから、物納財産として管理又は処分をするのに不適当と認めるのが相当であり、したがって、物納財産の変更を求めてした原処分は適法である。

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平成8年5月20日裁決

譲渡土地上に建設された中高層の耐火共同住宅に係る検査済証の建築主は、Z社と当該土地の譲受人以外のH社であるから、当該土地の譲渡について租税特別措置法第31条の2第2項第9号(現行法は第11号)の規定が適用できないとして請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第51集 220頁

要旨

 請求人は、譲渡土地上に建設した中高層の耐火共同住宅に係る検査済証の建築主をZ社とH社の連名にしたのは、請求人が関知しないものであり、また、租税特別措置法第31条の2(優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例)の立法趣旨である優良住宅地の供給に寄与していることから、同条第2項第9号が適用されるべきである旨主張する。
 しかしながら、租税特別措置法第31条の2第2項第9号は、一団の住宅又は中高層の耐火共同住宅(特例建物)の建設を行う個人又は法人に対する土地の譲渡で、当該土地が特例建物の用に供されるもののうち、大蔵省令で定めるところにより証明がされたものをいう旨規定していることから、当該土地の譲受人以外の者が特例建物を建設した場合には、本件特例が適用できないと解される。
 また、租税特別措置法施行規則第13条の3第1項第9号ハは「当該一団の住宅又は中高層の耐火共同住宅に係る建築基準法第7条第3項に規定する検査済証の写し」と規定していることから、本件特例適用に係る証明書(適正な申請、届出に基づいて発行されたものに限る。)により、当該土地の譲渡が優良住宅地等の譲渡に該当することについて証明されなければ、本件特例が適用できないと解される。
 ところで、請求人が提出した特例建物に係る検査済証によれば、特例建物は、Z社とH社(本件土地の譲受法人でもなく、Z社との合併法人でもない。)の共同建設であることから、本件土地の譲渡は、租税特別措置法第31条の2第2項第9号の適用対象となる譲渡に該当しないこととなるので、同条第1項の規定の適用がないとして行った更正処分は適法である。

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平成8年4月26日裁決

負債利子損金不算入期間の適用上、長期間にわたって使用される建物又は構築物と一体的に事業の用に供される施設は、現に事業の用に供されていなければならないとした事例

裁決事例集 第51集 407頁

要旨

  1.  請求人は、新規取得土地等に係る負債の利子の課税の特例制度の趣旨は、法人企業本来の正常な営業活動を逸脱するような土地売買を抑制することにあり、本件土地は正常な営業活動として取得したもので、仮需要によるものではないから、適用除外になると主張するが、法律上の規定は、税負担回避目的等で取得したものでないことが客観的に明らかな場合等を類型化し、適用除外になる場合を個々に定めているから、その規定に該当しない限り、適用除外にはならない。
  2.  請求人は、負債利子損金不算入期間の適用上、「長期間にわたって使用される建物又は構築物と一体的に事業の用に供される施設の用に供される土地等」は、将来その用に供する目的であれば、現にその用に供されていなくてもよいと主張するが、建物又は構築物の直接的な敷地でさえ事業の用に供されていることが要件とされていることからすれば、それらと一体的に使用される土地等について条件が緩和されているとは解されないから、現にその用に供されていることが必要である。
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平成8年4月26日裁決

顧客から印刷物の注文を受けて、これを外注先に印刷させ、その印刷物を顧客に納品する事業は、製造業(第三種事業)に該当するとした事例

裁決事例集 第51集 719頁

要旨

 請求人は、請求人自らは印刷そのものを行っておらず、単に他の者から購入した商品をその性質及び形状を変更しないで顧客に販売しているだけであるから、卸売業に当たる旨主張するが、請求人の事業形態は、顧客の注文に応じて自己の計算と危険において外注先に印刷加工を行わせることにより、印刷物の性質及び形状を変更して付加価値を高め、完成された印刷物を顧客に納品することにより対価を受領していることから、請求人の事業内容は、印刷業(製造業)に該当すると認めるのが相当である。

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平成8年4月25日裁決

請求人が本件農地に係る特定転用の申請書を提出したのは、特定共同住宅の建築着工後と認められるので、当該転用申請書は不適法なものであるとして請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第51集 664頁

要旨

 請求人は、本件農地に係る特定転用の申請書の提出が平成6年2月22日となったのは、再三の相談に対応した原処分庁の職員が提出期限について指導をしなかったためであり、また、提出期限の遅延を除き、平成5年6月18日に完成した共同住宅は、平成3年法律第16号改正租税特別措置法第70条の6(農地等についての相続税の納税猶予等)改正附則第19条第6項に規定する他の要件を満たしているので、当該申請は認められるべきである旨主張する。
 ところで、同法附則第19条第6項は、特例適用農地のうち、平成3年1月1日において特定市街化区域農地等に該当するもの(昭和60年1月1日前に開始した相続に係るもの)については、特定市街化区域農地等の全部又は一部を特定転用の見込みであることにつき、所轄税務署長の同法施行令附則第10条第4項に規定する申請書を提出して承認を受けたときは、特例適用農地については、相続税の納税猶予が継続適用されると規定されていることから、納税猶予が継続適用を受けるためには、特例適用農地の転用前に当該申請書を提出して税務署長の承認を受けなければならないと解される。
 しかしながら、G社の担当者であるHは、審判所に[1]原処分庁を訪れたのは本件特例農地に係る担保変更の相談であり、[2]同法附則第19条第6項に規定する特定転用について何も話さなかった旨答述している。
 以上のことから、本件特例適用農地上に建築された共同住宅は、同法附則第19条第6項に規定する要件を満たしているが、請求人が原処分庁に特定転用に係る承認申請書を提出したのは、当該共同住宅の建築に着手(平成4年11月30日)した後と認められるので、当該承認申請書は同項に規定する要件を満たさない不適法な申請書といわざるを得ないから、同項の適用ができないとした本件却下処分は適法である。

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平成8年4月24日裁決

当該和解は、当事者間に権利関係の争いがあったことを起因としてなされたものではないから、国税通則法第23条第2項第1号に規定する「判決と同一の効力を有する和解」には当たらないとした事例

裁決事例集 第51集 489頁

要旨

 請求人は、当初遺産分割協議に法律行為の要素に重要な錯誤があったので、本件起訴前の和解をしたのであるから、当該和解は、国税通則法第23条(更正の請求)第2項第1号に規定する「判決と同一の効力を有する和解」に該当するものであり、したがって、本件更正の請求は認められるべきであると主張するが、当初遺産分割協議は、請求人を含む相続人らの自由意思に基づき適正に行われたものと認められ、また、本件起訴前の和解は、もっぱら当初遺産分割協議後の当事者の事情によってなされたものであって、当事者間に権利関係の争いがあったことを起因としてなされたものではないことが認められるから、上記の条項に規定する「和解」には当たらない。

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平成8年4月22日裁決

分筆前の土地の平成7年度の台帳価格と登記土地の同年度の台帳価格は、約2倍以上の開差があるから、分筆前の土地を類似地とすることができないとして原処分の全部を取り消した事例

裁決事例集 第51集 743頁

要旨

 請求人は、原処分庁は登記土地に類似する土地の固定資産課税台帳価格を分筆前の土地としているが、[1]分筆前の土地と登記土地は、道路状況等から効用価値に著しい差があること、[2]登記土地に付された台帳価格に基づき計算した登録免許税の課税標準の額と原処分庁が認定した同税の課税標準の額には2倍以上の差があることから、通知処分が全部取り消されるべきである旨主張する。
 ところで、登録免許税法第10条(不動産等の価額)によれば、課税標準たる不動産の価額は、登記時の不動産の価額とされているが、同法附則第7条(不動産登記に係る不動産価額の特例)によれば、当分の間は台帳価格によることができるとし、同法施行令附則第3項は、台帳価格のない不動産については、課税台帳に登録された当該不動産に類似する不動産の価格として、登記官が認定した価額とする旨定められている。
 審判所の現地及びP県税事務所の調査によれば、[1]登記土地は国道○号線から入り込んだ幅員6メートルの道路(正面道路)に面する画地であること、[2]分筆前の土地は国道○号線と正面道路に面する画地であること、[3]正面道路に面し登記土地の北側の甲土地の平成6年度及び平成7年度並びに登記土地の平成7年度の1平方メートル当たりの台帳価格は、いずれも507千円であること、[4]分筆前の土地の平成7年度の1平方メートル当たりの台帳価格は1,095千円であること、[5]登記土地は住宅地区、分筆前の土地は商業地区であることが認められる。
 以上のことを総合すると、登記土地の類似土地を分筆前の土地とするのは相当でなく、登記土地と同じ正面道路に面している甲土地を類似土地と認定するのが合理的かつ相当であるから、原処分の全部を取り消し、2,364千円を請求人に還付するのが相当である。

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平成8年4月19日裁決

紳士服等の製造販売に係るフランチャイズチェーンに加盟して行う販売事業は、製造業(第三種事業)に該当するとした事例

裁決事例集 第51集 709頁

要旨

 請求人は、フランチャイズチェーン本部に紳士服等の縫製加工を委託しているとはいえず、本部から購入した商品をその性質や形状を変更しないで販売しており、小売業(第二種事業)に当たる旨主張するが、請求人の事業形態は、紳士服等の縫製を現実に行うのは本部であっても、顧客との間においては、当該紳士服等の縫製は請求人の行為として行われているものであって、本部が縫製した紳士服等の製品を請求人が購入して顧客に販売しているとみることはできないことから、請求人の事業内容は、製造業(第三種事業)に該当すると認めることが相当である。

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平成8年4月18日裁決

請求人が組合員に対し支払った本件払戻額のうち、共益費用及び店舗賦課金部分の金額については、出資者としての地位に基づく配当と認められるが、空店舗均等割賦課金部分の金額については、当該空店舗均等割賦課金の返還と認められるから、益金の額から減算するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第51集 370頁

要旨

  1.  本件払戻額のうち共益費用及び店舗賦課金部分の金額は、[1]その原資が請求人の建物等を譲渡したことによる剰余金であって、請求人と組合員その他の構成員との取引に基づくものとは認められないこと、また、[2]出資金及び出資預り金の合計額に対する組合員ごとの出資金及び出資預り金の割合は、本件払戻額の合計額に対する各組合員が本件払戻しにより支払いを受けた金額の割合とほぼ一致していることから、実質的に出資割合に応じた払戻しをすることについて組合員が合意したことによるものであることが窺われることから、事業利用分量配当ではなく出資者としての地位に基づく配当と認められる。
  2.  空店舗均等割賦課金部分の金額については、請求人の事業を行うために通常必要な費用を賄うため組合員の出資に応じて均等に賦課された空店舗均等割賦課金の返還と認められるから、益金の額から減算するのが相当である。
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平成8年4月15日裁決

居住の用に供していない土地建物の所在地に住民票を移し、その住民票を添付して相続税法第21条の6の特例の適用を受けようとしたことが、事実の隠ぺい又は仮装に該当するとした事例

裁決事例集 第51集 12頁

要旨

 請求人は、請求人の夫から夫所有の土地建物の持分(本件資産)の贈与を受け、この贈与に係る贈与税について相続税法第21条の6(贈与税の配偶者控除)の特例を適用して贈与税の期限後申告をしているところ、請求人は本件資産を居住の用に供していないにもかかわらず、申告書に贈与の特例を適用する旨記載し、これに実際の住所とは異なる内容が記載された住民票を添付したものであるから、国税通則法第68条(重加算税)第2項に規定する課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装し、その隠ぺいし又は仮装したところに基づき納税申告書を提出したときに該当する。

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平成8年4月11日裁決

譲渡土地は、昭和63年9月1日から譲渡(平成2年4月24日)するまで事業の用に供していないので、特定の事業用資産の買換特例が適用できないとして請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第51集 258頁

要旨

 請求人は、譲渡資産を事業の用に供しなくなっても相当の期間(おおむね3年間)内は事業用資産としての性質を失うものでないから、譲渡土地のうち565平方メートルは、租税特別措置法第37条(特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例)第1項に規定する事業用資産に該当する旨主張する。
 ところで、租税特別措置法第37条第1項に規定する事業の用に供しているものの譲渡とは、原則として、譲渡の時点において現に事業又は事業に準ずるものの用に供されている資産に限られている。しかし、事業用資産として供用が停止された場合には、その時点で直ちに非事業用資産となるのではなく、供用停止後も事業継続の意図があると認められるものについては、相当の期間内は、いまだ事業用資産としての性質を失うものではないと解するのが相当であって、この相当の期間とは、客観的に明白な事業継続の意思の有無、事業用資産の種類、構造等の特性、事業の用に供しなくなった具体的な理由、供用停止後の資産の状況及び供用停止後の買換えの準備活動等を総合して判断するのが相当である。
 しかしながら、譲渡土地上にある事務所兼工場及びプレハブ建物の利用状況について、請求人の長男及びJ社(譲渡土地の前賃借人)の代表者であるZは、審判所に対し、[1]昭和63年8月31日以後は空家の状態であったこと、[2]本件建物の1階はメッキ工場と事務所、2階は食堂、プレハブは汚水処理等に使用していたが、昭和61年6月に移転した後は保守管理や除雪等を一切行っていなかったため窓やシャッターが壊れ、昭和63年8月の時点では使用不能の状態であった旨答述している。
 以上のことから、譲渡土地は、譲渡時点において事業用資産としての性質を既に失っていたと認めるのが相当であるから、原処分庁が譲渡土地に係る譲渡所得金額の計算に当たり、租税特別措置法第37条第1項の適用がないとした更正処分は適法である。

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平成8年4月5日裁決

不動産所得の金額の計算上、相続税の延納に係る利子税は、必要経費にならないとされた事例

裁決事例集 第51集 31頁

要旨

 請求人は、不動産所得の金額の計算上、相続税の延納に係る利子税について、所得税の確定申告税額の延納に係る利子税及び延払条件付譲渡に係る所得税額の利子税を除き附帯税を必要経費として認めていないが、その目的及び趣旨は、附帯税でも罰則的なものとか家事関連的なものについては必要経費として認めないということであるから、事業に対応する利子税については必要経費として認めるべきであると主張するが、所得税法第45条(家事関連費等の必要経費不算入等)第1項第3号は、利子税のうち同法第131条(確定申告税額の延納に係る利子税)第3項又は同法第136条(延払条件付譲渡に係る所得税額の延納に係る利子税)に規定する利子税に限って例外的に必要経費への算入を認めているにすぎず、相続税の延納に係る利子税はこれに該当しないから、必要経費として認められない。また、相続税の延納に係る利子税は、相続に付随して生じたものであるから、業務の遂行ないしこれと直接の関連をもつものと解することはできない。

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平成8年3月29日裁決

被相続人と請求人との間における本件土地の貸借関係は賃貸借とはいえず使用貸借と認めるのが相当であるから、本件土地は自用地として評価すべきであるとされた事例

裁決事例集 第51集 601頁

要旨

 請求人は、本件土地は請求人が貸家の敷地として固定資産税等の1.7倍以上の地代を支払って借りていたものであるから貸宅地として評価すべきであるが、貸借に当たって、権利金の授受もないことから評価基本通達26(貸家建付地の評価)に定める程度に評価すべきであると主張する。
 ところで、土地の貸借に当たって、当該土地の公租公課を負担する程度のものは使用貸借であると解されているところ、請求人は、本件土地を借り受けるに当たり賃貸借契約及び地代の取決めをせず、領収書のただし書には「固資税、都計税、S町3-718、R町1-909分」等と記載されているのみで、本件土地地代とは記載されておらず、請求人の不動産所得の青色申告決算書に支払地代として計上することなく、公租公課と計上していることが認められ、また、請求人が支払った額が本件土地の固定資産税等の1.7倍となっているのは、被相続人から負担の要求をされた、請求人が相続する予定の本件土地及びその他の土地の固定資産税等の合計額が当該価額になっているにすぎず、本件土地の使用対価としての性格のものとは認められないので、本件土地の貸借は使用貸借と認めるのが相当である。
 そうすると、使用貸借による敷地利用権は、権利性の薄弱なものであり、経済的価値を有しないものと解され、また、借家人の敷地利用権は、建物所有者の敷地利用権に従属して、その範囲内での権能にすぎないと解されているので、本件土地の価額は、自用地としての価額から控除すべき建物所有者の敷地利用権の価額はないものとして算定するのが相当である。

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平成8年3月29日裁決

請求人らの代理人が譲渡代金の全額を買主から受領した後、代理人から当該代金を回収できないとしても、保証債務の特例は適用できないとして請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第51集 176頁

要旨

 請求人らは、代理人であるE(譲渡土地の共有者)が買主から20億7,500万円の譲渡代金の全額を受領した後、破産宣告を受け、Eから譲渡代金の回収ができなくなったのであるから、担税力を考慮し保証債務の特例を適用すべきである旨主張する。
 しかしながら、所得税法第64条(資産の譲渡代金が回収不能となった場合等の所得計算の特例)第1項に規定する「収入金額の全部又は一部を回収することができなくなった場合」とは、売主が買主から譲渡代金の全部又は一部を回収できなくなった場合と解され、また、民法第646条の規定により、受任者は事務処理に当たり受領した金銭等を委任者に引き渡す義務があると解されている。
 このことからすると、請求人らは、Eを通じて買主から譲渡代金の全額を受領しているので、保証債務の特例を適用すべきであるという主張には理由がない。
 なお、Eが破産宣告を受けた結果、請求人らが同人から譲渡代金を回収できなくなったとしても、それは受領した譲渡代金の使途の問題であって、譲渡代金の回収不能とは別異の事実と解するのが相当である。

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平成8年3月28日裁決

保険契約に係る保険料の負担者は死亡者であり、死亡保険金は相続税の課税対象とされるべきである旨の請求人主張の事実は認められず、一時所得に該当するとした事例

裁決事例集 第51集 149頁

要旨

 請求人は、本件保険契約に係る契約者及び保険料の負担者は、いずれも死亡者である長男であるので、本件死亡保険金は相続財産として相続税の課税対象とされるべきであると主張する。
 しかしながら、[1]第1回の保険料は長男が支払った事実はあるものの、請求人の妻がその支払いの直後に長男に小遣いを渡していることから、同人が当該保険料を実質的に負担したとは必ずしもいえないこと、[2]長男の預金口座から本件保険料が支払われている事実は認められないこと等から、本件保険料の負担者が長男であるとは認められない。
 したがって、本件の死亡保険金は、相続財産には該当せず、一時所得に該当するものと認めるのが相当である。

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平成8年3月27日裁決

外国人芸能タレントの招へい業者へ支払った金員及びその芸能タレントへ支払った、いわゆるドリンク・バックについて源泉徴収を要するとされた事例

裁決事例集 第51集 460頁

要旨

  1.  請求人が外国人芸能タレントの招へい業者に支払った芸能タレントの報酬額及び源泉所得税額相当額については、請求人と当該招へい業者との間には芸能タレントの出演請負契約があること、芸能タレントの報酬額及び源泉所得税額相当額の区分は明確になっておらず、その区分は当該招へい業者へ支払う報酬の算定根基にすぎないこと、現行の源泉徴収制度は、報酬の支払先に源泉徴収を依頼するような制度にはなっていないこと等からみて、請求人において源泉徴収を要する。
  2.  請求人が外国人芸能タレントに対して芸能タレントの売上成績に応じて支払った、いわゆるドリンク・バックは、当該芸能タレントのホステス業務に対する対価であること、ホステス業務に関する請求人と芸能タレントとの関係は請負と認められること、ホステス業務は国内店舗で行われていること等からみて、国内源泉所得に該当するから、源泉徴収の対象になる。
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平成8年3月22日裁決

土地の取得費は、前所有者自筆の売渡契約書に記載された1,200万円ではなく、売買契約書に記載された600万円と認めるのが相当であるとした事例

裁決事例集 第51集 127頁

要旨

 請求人は、本件土地の取得費は、昭和55年12月20日に支払った600万円だけではなく、この価額に昭和56年1月28日に支払った600万円を加えた1,200万円であると主張し、その理由として、[1]昭和56年1月28日に600万円を支払ったことは登記原因の日付が昭和56年1月28日となっていることからも明らかであり、[2]本件土地の取得に当たっての譲渡代金を600万円とする売買契約書は、印章の押印がなく、売買契約書としての効力がなく、請求人が保管していた前所有者自筆の売渡契約書こそ印章の押印もあり、真実の書類であって、[3]隣接地が昭和61年5月に坪当たり5万円で売買されていることからみて、本件土地の昭和55年頃の坪当たり単価は約4万円が相当であると主張する。
 しかしながら、[1]登記原因の日付が昭和56年1月28日となったのは農業委員会の所有権移転の許可が昭和56年1月27日であったことからと認められ、登記原因の日が残金の支払いの証拠とはいえず、[2]売買契約書には契約の日付の記載がなく、買主欄に請求人の押印はないものの、2か所の訂正箇所には売主、買主双方の押印がされていることからすると、実態を反映しないものとは認められず、昭和56年1月28日に600万円を支払ったことを証明する領収書はなく、請求人が自ら原処分庁に600万円で買い入れたと回答していることなどから売渡契約書が真実の契約書であるとの請求人の主張は採用できず、更に、[3]請求人の売買事例は取得から5年以上経過後のもので、物件の形状なども異なっており事例として不適当であり、地価事情が類似し、かつ、取引年月日が近い売買実例価額は、1平方メートル当たり5,952円であることなどから、本件土地の取得費は600万円と認めるのが相当である。

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平成8年3月11日裁決

請求人の本件外注費の計上は、仮装によるものとして損金算入を認めなかった事例

裁決事例集 第51集 308頁

要旨

 請求人が当該事業年度の損金の額に計上した外注費のうち、[1]G社及びF社に対する工事代については、領収書に記載された所在地にG社及びF社が実在した事実が認められないこと、元請先の社員らは、請求人の依頼によりG社及びF社が作業をした旨記載した作業証明書を作成したこと、本件外注費の支払いに当てられたとされる受取手形が請求人の代表者N及び監査役Jが管理している代表者N個人、その長女及び監査役J個人名義の各普通預金口座で取り立てられていたこと、また、[2]H社に対する車両賃借料については、領収書に記載された所在地が請求人の監査役J個人の住所地であること、当該車両に係る賃貸借契約書が存在せず、T社の売上帳によると販売先が請求人であること、当該車両の修理代等の費用を請求人が負担していたこと、本件外注費の支払いに当てられたとされる受取手形が請求人の代表者N及び監査役Jが管理している代表者N個人及び監査役Jの兄の名義の各普通預金口座で取り立てられていたこと等の事実から、いずれも仮装によるものと認められる。

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平成8年3月4日裁決

平成2年分土地及び平成3年分土地の売主は請求人、買主はT社、譲渡収入金額は3億68万円及び1,670万円であるとして請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第51集 65頁

要旨

 請求人は、平成2年分土地(P市R町241田2,840平方メートル)の買主はN社で、譲渡収入金額は1億4,604万円及び平成3年分土地(P市S町1893田168平方メートル)の買主はE社で、譲渡収入金額は969万円である旨主張する。
 しかしながら、次の事実によれば、請求人は、平成2年分土地及び平成3年分土地をいずれもT社に3億68万円及び1,670万円で譲渡したと認めるのが相当である。
【平成2年分土地譲渡】

  1.  T社は、[1]平成2年6月7日K銀行e支店から引き出した6,155万円により作成した保証小切手2,900万円、現金3,100万円及びX社(仲介業者)が用意した現金100万円により手付金6,100万円を、[2]同年10月11日同支店から引き出した2億3,963万円により作成した保証小切手1億2,263万円及び現金1億1,700万円により残金2億3,968万円を支払っていること。
  2.  上記[1]の保証小切手は請求人名義で裏書し、[2]の保証小切手はN社(平成元年2月6日銀行取引停止)名義で裏書してJ銀行a支店のN社名義の普通預金口座に入金された後、平成2年10月中にほぼ全額が引き出され、また、同普通預金口座の開設申込書(平成2年6月7日)には請求人の電話番号が記載されていること。
  3.  N社の代表者は、調査担当者に[1]T社との売買契約書を作成したが、代金は受領しておらず、[2]売買交渉は請求人が行った旨申述していること。
  4.  X社の代表者は、調査担当者に[1]平成2年6月8日に請求人とT社は、譲渡価額を3億68万円とする売買契約を締結して手付金を授受したが、[2]残金の決済時に売主名を請求人からN社への変更要望があり、[3]T社は渋ったが、平成3年分の土地の購入予定があったので、要望に応じた旨申述していること。
  5.  X社の代表者は、審判所に[1]請求人が審判所に提出したX社の代表者に対する質問調書の内容は、請求人から何とか助けてくれとの依頼により署名押印したものであって、事実と異なる虚偽のものであること、[2]平成2年6月8日付の売主を請求人、買主をT社及び譲渡価額を3億68万円とする売買契約書は、平成2年10月12日の残金決済時にT社の代表者の目前で廃棄した旨答述していること。
  6.  T社の代表者が審判所に提出した書面には、[1]X社を仲介業者として請求人と売買契約を締結し、手付金及び残金をいずれも請求人に支払い、領収書を受領したこと、[2]手付金を現金3,200万円、保証小切手2,900万円及び残金を現金1億1,700万円、保証小切手1億2,263万円としたのは、請求人からの強い要請によるものである旨記載されていること。

【平成3年分土地譲渡】

  1.  T社は、平成3年12月18日K銀行e支店から引き出した1,670万円により土地代金を支払っていること。
  2.  T社とX社との間で、[1]平成3年分土地の売買契約書の作成は、売主名が決まらないという請求人の事情により遅れていること、[2]売主名を空欄の重要事項説明書を送付するので、後日補完記載の上返送して欲しい旨の文書(平成4年1月14日付)があること。
  3.  T社の代表者が審判所に提出した書面には、[1]平成3年分土地は、平成2年分土地に継続して請求人から購入したこと、[2]平成3年12月18日に売主を請求人、買主をT社及び譲渡価額を1,670万円とする売買契約を締結し、[3]同日全額現金で支払った旨記載されていること。
  4.  X社の代表者は、調査担当者に[1]売主をE社、買主をT社とした売買契約書は、請求人から平成4年1月頃に売主名を請求人からE社に書き替えてほしい旨の要望があったので、[2]売主名を請求人からE社に書き替えた売買契約書をT社に郵送して差し替えた売買契約書である旨申述していること。

【重加算税】

 請求人は、[1]平成2年分土地をT社に3億68万円で譲渡したにもかかわらず、後日N社がT社に3億68万円で譲渡したとする虚偽の売買契約書を作成し、また、[2]平成3年分土地をT社に1,670万円で譲渡したにもかかわらず、後日E社がT社に1,670万円で譲渡したとする虚偽の売買契約書を作成し、当該売買契約書に基づき平成2年分及び平成3年分の確定申告書を提出したことは、国税通則法第68条(重加算税)第1項に規定する仮装・隠ぺいに該当するので、重加算税の賦課決定処分は適法である。
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平成8年3月1日裁決

特別養護老人ホームへの入所に伴い、市に対して支払った老人福祉法の規定に基づく措置費徴収金は、医療費控除の対象にならないとされた事例

裁決事例集 第51集 187頁

要旨

 請求人は、請求人の母が特別養護老人ホームに入所したことに伴い、市に対して老人福祉法第28条の規定に基づく措置費徴収金を納付したが、請求人の母は老人福祉法及び老人保健法の双方にいう老人に該当し、老人福祉法にいう特別養護老人ホームと老人保健法にいう老人保健施設とは、その機能及び運営上において区分し難い状況になっており、どの施設に入所するかは、施設側に余裕があるか否かにより決まるのであるから、老人保健施設の利用料は医療費控除の対象となり、特別養護老人ホームの措置費徴収金がその対象にならないのは、不公平である旨主張する。
 しかし、特別養護老人ホームは、65歳以上で身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることが困難な者を家族に代わって介護、介助するための福祉施設であり、一方、老人保健施設は、その身体の状態及び病状に照らし施設療養の提供が必要と認められる者を入所させる施設であるから、両者を同質の施設とみることはできず、また、当該措置費徴収金の中には医師等による診療の対価は含まれていないから、請求人の主張は認められない。

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平成8年3月1日裁決

譲渡土地に係る賃貸契約は実態を伴わないものであるから、特定の事業用資産の買換特例が適用できないとして請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第51集 236頁

要旨

 請求人は、昭和63年9月1日付でS社と締結した譲渡土地に係る賃貸契約に基づく地代収入について平成元年分及び平成2年分の確定申告を行っており、当該土地は租税特別措置法施行令第25条第2項に規定する事業に準ずる資産に該当するので、租税特別措置法第37条(特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例)第1項が適用されるべきである旨主張する。
 しかしながら、次の事実によれば、昭和63年9月1日付の譲渡土地に係る賃貸契約は、平成元年10月頃に租税特別措置法第37条第1項の規定を受けんがために日付を遡及して作成されたものであって、その実態を伴わないものであるから、譲渡土地が同条に規定する買換特例の適用対象資産に該当しないとした更正処分は相当である。

  1.  請求人は、昭和58年に大学を卒業した後、譲渡土地上にある賃貸建物の所有者であるLと生計を一にしたことがなく、また、海外勤務地であるa国から昭和63年9月14日に帰国していること。
  2.  Lは、平成元年8月にg県の計量保安課の立入調査を受けた際、担当官から移転の指導を受けたので、1の賃貸建物の移転を決意した旨答述していること。
  3.  譲渡土地の仲介業者であるFは、[1]譲渡土地の売りの具体的な話は平成元年8月ないし9月に受けて、同年10月に専任媒介契約を締結し、[2]その際、Lから税金の相談も受けたが、土地と建物の所有者が異なっていたので、顧問税理士と良く相談するようにと説明した旨答述していること。
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平成8年2月29日裁決

路線価は、1年間適用されることとされているため評価上の安全性等を考慮して、毎年1月1日現在の公示価格水準の価格の80パーセント程度で評定されているので、路線価を1月1日から相続開始日までの地価変動率により修正した価額をもって時価であるということはできないとされた事例

裁決事例集 第51集 528頁

要旨

 請求人は、更正の請求において、相続税法第22条(評価の原則)によれば、相続等により取得した財産の価額は時価による旨規定されているところ、路線価はその年の1月1日現在の価額であるから、大幅な地価の下落があった場合には、路線価を1月1日から相続開始時までの地価下落率により修正した価額を時価とすべきであると主張する。
 ところで、更正の請求をする場合は、更正の請求をする者が、まず、自ら記載した申告内容が真実に反するものであることを主張・立証すべきであると解されるところ、路線価は、売買実例価額の収集等技術的な理由から1年間適用されることとされており、毎年1月1日を評価時点として、1年間の地価変動にも耐え得るものであることの必要性など評価上の安全性等を考慮して公示価格水準の価格の80パーセント程度により評定されているので、路線価を1月1日から相続開始時までの地価変動率により修正した価額は、相続税法第22条の時価であるということはできないから、請求人の主張をもって、本件土地の価額が、本件減額更正処分に係る価額を下回るという事実を証明したことにはならない。

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平成8年2月28日裁決

公的機構から受領する処理料は、役務の提供を行うことの反対給付として受けるものであるから、課税資産の譲渡等に該当するとした事例

裁決事例集 第51集 673頁

要旨

  1.  請求人は、本件収入金額に係る廃プラスチックの処理料は県及び市町村の補助対象事業であり、当該処理料は県交付要領等に基づき交付される補助金及び助成分担金たる給付金であるから、課税資産の譲渡等の対価に該当せず、不課税である旨及び当該補助金等は、請求人が県及び市町村から廃プラスチック協議会を通じて受ける間接交付の形態を採っているとしても、補助金等の性格に影響を及ぼすものでない旨主張する。
  2.  しかしながら、補助金等は、反対給付を受けることなく交付されるものであるが、請求人は補助金の交付申請を行っていないところ、廃プラスチック処理料は、県廃プラスチック協議会が各市町村廃プラスチック協議会に請求をし、納入を受けていることから、廃プラスチック処理の実施主体は県廃プラスチック協議会と認められ、同協議会から請求人に対し廃プラスチックの処理料が支払われており、両者の間には廃プラスチックの処理委託契約が存在すると認めるのが相当である。なお、廃プラスチック協議会を通じたからといって、補助金等の性格に影響を及ぼすものでないとの主張は相当でない。
  3.  したがって、県が各市町村に、また、各市町村が各市町村廃プラスチック協議会に交付するものは特定の行政目的のものであり、いずれも補助金に該当すると認められるが、請求人が県廃プラスチック協議会から受領する廃プラスチック処理料は、廃プラスチック処理という役務の提供を行うことの反対給付として受けるものであるから、補助金等又は間接補助金等に当たらず、課税資産の譲渡等に該当することとなる。
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平成8年2月27日裁決

支給を受けた死亡退職金の一部を返還したとしても、相続税法第3条第1項第2号に規定する死亡退職金の額には影響を及ぼさないとして請求人らの主張を排斥した事例

裁決事例集 第51集 504頁

要旨

 請求人らは、K社から支給を受けた死亡退職金1億400万円のうち4,400万円を返還したので、死亡退職金の額は6,000万円である旨主張する。
 ところで、相続税法第3条(相続又は遺贈により取得したものとみなす場合)第1項第2号は、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した死亡退職金の支給を受けた者は、当該退職金を相続により取得したものとみなす旨規定されており、また、次の事実によれば、平成4年11月24日の臨時社員総会議事録(乙議事録、死亡退職金の額を1億400万円から6,000万円に変更)は、真正に作成されたものと認められず、他に死亡退職金の変更決議がされたことを認めるに足りる証拠も存在しないことから、請求人らが返還した4,400万円は、K社を救済するための資金供与とみるのが相当であるから、更正をすべき理由がない旨の通知処分は正当である。
(1)K社の代表社員及び請求人らは、平成4年6月9日の臨時社員総会議事録(甲議事録1億400万円の死亡退職金の支給決議)に署名押印しているが、乙議事録に署名押印した代表社員及び請求人らの筆跡及び印影は同一であること。
(2)K社の代表社員であるLは、審判所に対し[1]K社は、甲議事録に基づき請求人らに1億400万円の死亡退職金を支給したが、[2]法人税の調査の結果、7,400万円の過大退職金に係る修正申告の納付税額が約4,400万円と分かったので、会社を救済するため平成4年11月20日請求人から4,400万円の返還を受け、延滞税節約のため同日納税し、[3]乙議事録は、平成5年1月頃M税理士に依頼して作成した旨答述していること。

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平成8年2月7日裁決

青色申告の対象となる業務を行っていない年分の譲渡損失は、純損失の繰戻しによる還付請求は認められないとした事例

裁決事例集 第51集 198頁

要旨

 請求人は、青色申告の承認を受けているのに平成5年中に青色申告の対象となる所得を生ずべき業務を行っていなかったことのみをもって、純損失の繰戻しによる還付請求を認めないのは不合理であり、還付すべきである旨主張する。
 しかし、請求人の平成5年分以後の所得税については、平成5年中に賃貸用不動産を譲渡した後は不動産所得を生ずべき業務を行っていた事実はなく、また、同年末日までに事業所得等に係る業務を開始した事実も認められないことから、請求人の青色申告の承認は平成5年分以後その効力は失われており、同年分の純損失につき繰戻しによる還付請求をすることは認められない。

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平成8年2月5日裁決

年末近くに入居したため、その年に融資が間に合わず借入金の年末残高証明書の発行を受けられなかった場合、住宅取得等特別控除は結果的に4年間しか適用がないとされた事例

裁決事例集 第51集 272頁

要旨

 請求人は、請求人のように年末近くに新築住宅に入居したため、住宅金融公庫からの融資が翌年になり、入居した年の年末残高証明書の交付を受けることができない場合、住宅取得等特別控除(平成元年改正前のもの)の適用を4年間しか受けられず、5年間の適用を受けた者に比べ、不公平、不平等であるから、「年末残高証明書が交付された日の属する年以後5年間」は適用があるものと解し、その適用を認めるべきである旨主張する。
 しかし、住宅取得等特別控除は「当該居住の用に供した日の属する年以後5年間の各年」について適用される旨規定されており、この規定は特則・例外規定であり厳格に解すべきものであるから、請求人が主張するように解することはできず、請求人の主張は採用できない。

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平成8年2月1日裁決

父名義預金を解約して請求人名義の定期預金等を開設したことは、父から贈与により取得したものであるとして請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第51集 518頁

要旨

 請求人は、J銀行a支店ほか2行の預金8,700万円のうち7,200万円は、夫から預かったものであり、父から贈与を受けたものではなく、仮に、贈与を受けたものであるとしても、贈与は平成3年1月1日であるから平成3年分の贈与である旨主張する。
 しかしながら、次の事実によれば、平成2年分の贈与税の課税価格は7,260万円(8,700万円-1,500万円+60万円)となるので、本件決定処分は適法である。

  1.  平成2年12月31日に[1]K銀行c支店で、同支店及びd支店の父名義の普通預金口座から出金された3,800万円により、同支店の請求人名義の定期預金等3,800万円が開設、[2]L銀行e支店で、f支店及びg支店の父名義の普通預金口座から出金された3,300万円により、同支店の請求人名義の定期預金等3,300万円が開設、[3]J銀行a支店で、b支店の父名義の普通預金口座から出金された1,600万円は、同支店の請求人名義の普通預金口座に入金されていること。
  2.  平成3年3月4日にJ銀行a支店で、同支店の請求人名義の普通預金口座から出金された1,500万円は、b支店の父名義の普通預金口座に入金されていること。
  3.  請求人は、平成2年中に父から60万円の贈与を受けていること。
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平成8年1月31日裁決

ゴルフ会員権を買戻し条件付で譲渡(取得価格の10分の1で譲渡するとするもの)したこととし、譲渡費用を加えた損失金額につき、給与所得と損益通算して所得税の還付申告をしたことは、国税通則法第68条第1項の隠ぺい、仮装に当たるとした事例

裁決事例集 第51集 1頁

要旨

 請求人は、ゴルフ会員権(本件会員権)の売却により譲渡損失を生じさせれば損益通算ができることを承知の上で、本件会員権の売却、買戻しを行い、本件会員権の売買により、実質的な損失は生じていないことを十分承知しているにもかかわらず、計算書の作成をもって損失が生じたとして申告しているのであり、このことは、損益通算を行うための目的で本件会員権の譲渡取引があったかのような仮装をしたことに基づき申告したことにほかならないものである。そうすると、国税通則法第68条(重加算税)第1項に規定する「課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき」に該当するものというべきである。

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平成8年1月26日裁決

本件土地の買主が当該土地を転売しているので、租税特別措置法第31条の2第2項第9号に該当しないとして請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第51集 208頁

要旨

 請求人は、本件土地の実質的な買主はX社であるから、租税特別措置法第31条の2(優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例)第2項第9号に該当する。仮に、本件土地の買主がW社であったとしても、同社が同号に規定する優良住宅を建設しなかったことについて請求人には何ら瑕疵がないので、同条が適用されるべきである旨主張する。
 ところで、租税特別措置法第31条の2第2項第9号は、優良住宅の建設を行う個人又は法人に対する土地等の譲渡で、当該土地等が優良住宅の用に供されるものと、また、同号括弧書には、優良住宅の建設を行う法人として「当該建設を行う法人の合併による消滅により当該建設に関する事業を引き継いだ合併法人が当該建設を行う場合には、当該合併により消滅した法人又は当該合併法人」を含む旨規定されている。

  1.  原処分関係資料及び審判所の調査したところによれば、次の事実が認められる。
    1.  請求人は平成5年9月3日の契約に基づき売買代金2億6,965万円をW社から、W社は平成5年12月20日の契約に基づき売買代金2億6,262万円をX社から受領していること。
    2.  請求人は、本件土地の売主を請求人、買主をW社としてP市長に国土利用計画法の届出をし、平成5年9月3日の契約の残金受領時に登記済権利証等をW社に渡した旨答述していること。
    3.  X社の担当者は、本件土地についてW社と平成5年12月20日に売買契約を締結し、即日決済したが、請求人と交渉したことはない旨答述していること。
    4.  W社とX社が合併した事実はないこと。
  2.  以上の事実によれば、本件土地の買主であるW社が、当該土地をX社に転売していることから、請求人の本件土地の譲渡は、租税特別措置法第31条の2第2項第9号に規定する特例適用要件を欠くこととなるので、本件更正処分は適法である。
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平成8年1月26日裁決

本件海外慰安旅行の参加者の一人当たりの費用の額は平成3年5月分341,000円、平成4年5月分454,411円及び平成5年5月分520,000円であり、当該金額は、多額であると認められることから、社会通念上一般に行われている福利厚生行事と同程度のものとは認められないとした事例

裁決事例集 第51集 346頁

要旨

  1.  使用者が負担するレクリエーション等の福利厚生行事において、経済的利益の供与を受けた場合、従業員は雇用されている関係上、必ずしも希望しないレクリエーション行事に参加せざるをえない面があり、その経済的利益を自由に処分できるわけでもないこと、当該行事に参加することによって従業員等が受ける経済的利益の額は少額であるのが通常である上、その評価も困難な場合が少なくないこと及び従業員等の慰安を図るため使用者が費用を負担してレクリエーション行事を行うことは一般化しており、当該レクリエーション行事が、社会通念上一般に行われていると認められる場合にはあえて課税しないこととするのが相当である。
     従業員等の慰安旅行が社会通念上一般に行われていると認められるか否かの判断に当たっては、当該旅行の企画立案、主催者、旅行の目的・規模・行程、従業員の参加割合、使用者及び従業員の負担額、両者の負担割合等を総合的に考慮すべきであるが、経済的な利益の額が多額であれば、課税しない根拠を失うこととなる。
  2.  本件海外慰安旅行において請求人が負担した参加者1人当たりの費用の額は、それぞれ、平成3年5月分341,000円、平成4年5月分454,411円及び平成5年5月分520,000円であるが、当該金額は、上記のあえて課税しない趣旨からすれば、多額であると認められることから、社会通念上一般に行われている福利厚生行事と同程度のものとは認められない。
     そうすると、請求人が負担した本件各旅行の費用のうち、従事員(その代理で参加した妹、友人を含む。)に係る金額については、当該従事員に対し臨時的な給与等を支給したことになる。そのうち、請求人の代表取締役に係る部分の金額(平成3年5月分341,00円、平成4年5月分454,411円及び平成5年5月分520,000円)は、同人に対し役員賞与を支給したこととなるから、本件各事業年度の損金の額に算入することはできない。また、取引先の役員及び従業員に係る部分の金額(平成4年5月分454,111円及び平成5年5月分1,040,000円)は、交際費の額と認められる。
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平成8年1月25日裁決

借地権の価額は、不動産鑑定士が、実際に支払われている賃料に基づく純収益を還元して得た収益価格を標準として、売買事例を基に算定した比準価格等を比較考量して算定した鑑定評価額ではなく、評価基本通達に従って評価した価額が相当であるとした事例

裁決事例集 第51集 620頁

要旨

 請求人は、不動産鑑定評価基準は、賃貸されている借地権付建物の価格を求める場合について、実際実質賃料に基づく純収益を基に還元して得た収益価格を標準とし、積算価格及び比準価格を比較考量して決定すると定めており、また、バブル崩壊後の不動産の取引の実態や融資の際の担保評価をみると収益性を重視しているところから、本件借地権の価額は、実際の賃料収益を基に算定した収益価格の80パーセント相当額と近隣の取引事例に比準して算定した比準価格に見込再調達原価を基に算定した建物価格を加算した積算価格の20パーセント相当額の合計額から建物の価額を除いて算定した本件鑑定評価額により評価すべきであり、更正の請求を認めるべきであると主張する。
 しかしながら、本件鑑定評価額の収益価格は、建ぺい率及び容積率を最大限まで使用していない建築後40年近くも経過し老朽化や陳腐化の激しい建物における近隣相場より著しく低廉な賃料を基に算定されたもので、借地権の最有効使用の状況における適正な賃料を基礎として算定されたものではなく、客観的な交換価値を表す価額とは認められないので、この収益価格を標準に上記のウエイトで算定した本件鑑定評価額は適正な価額とは認められない。
 そこで、近隣の取引事例からみて時価相当と認められる借地権の比準価格を基に、特に不合理であるとは認められない評価基本通達に定める貸家建付借地権の評価方法に従って算定した借地権の価額は、当初申告に係る価額を超えるので、更正の請求は認められない。

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平成8年1月22日裁決

ゴルフ場を経営する法人から謝礼として提供を受けたゴルフ会員証を継続的に譲渡したことによる所得は、一時所得に該当せず、雑所得に該当するとした事例

裁決事例集 第51集 161頁

要旨

 請求人は、本件ゴルフ会員証はゴルフ場のオープン記念として贈与されたものであり、当該会員証は、入会金を払い込めば会員権を取得できるというゴルフ会員権購入選択権を証するものであるので、一時所得に該当する旨主張する。
 しかし、本件ゴルフ会員証は、[1]ゴルフ場を経営するJ社は、請求人が本件ゴルフクラブの理事長等の選任に尽力したこと等に対する謝礼として提供したものであり、[2]同社は、請求人に対し名誉会員証とは別に本件証書を提供していることから、請求人が第三者に本件証書を売却することを前提として提供しているものと認められ、当該証書を継続的に売却したことにより実現した本件所得は雑所得に該当すると解するのが相当である。

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平成8年1月17日裁決

買主に本件土地の所有権移転登記を了した後、当該土地の元所有者の相続人から提起された訴訟に係る弁護士費用は、譲渡費用に当たらないとして、請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第51集 139頁

要旨

 請求人は、平成元年12月に本件土地の元所有者の相続人から提起された当該土地の所有権移転登記抹消請求訴訟(本件訴訟)に係る弁護士費用9,087万円のうち4,336万円は、当該土地の買主に完全な所有権の引渡しを履行するためにも不可欠なものであるから、譲渡費用に該当する旨主張する。
 ところで、所得税法第33条(譲渡所得)第3項によれば、譲渡所得の計算上、控除される譲渡費用は「その資産の譲渡に要した費用の額」とされており、この費用は、資産の譲渡を実現するために直接必要な支出を意味し、資産の維持・管理費用は含まれないと解されるところ、本件訴訟は、昭和21年の本件土地の贈与が虚偽表示又は錯誤により無効であるか否かであり、まさしく所有権の帰属に関するものと認められるから、本件訴訟に係る弁護士費用は、本件土地の所有権を維持するための支出であって、本件土地の譲渡を実現させるために必要な費用ではないと判断するのが相当である。
 なお、最高裁判所は、本件訴訟について、平成○年○月○日の判決で昭和21年に本件土地の贈与事実があると認定している。

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平成8年1月16日裁決

収益の計上について、委任状の発行があることを絶対的なものとして、売買契約の名義人を取引の当事者と認定したことは相当でないとした事例

裁決事例集 第51集 281頁

要旨

  1.  原処分庁は、本件輸出取引は[1]請求人が取引先あてに委任状を発行し、取引先は請求人の代理人として入札に参加していること、[2]インボイスは、請求人から取引先の売上先あてに発行されていること、[3]信用状は、取引先の売上先が発行し請求人が受益者になっていること、[4]輸出報告書の名義は請求人であること及び[5]船荷証券の輸出者は請求人であることなどから、請求人と取引先の売上先との直接取引である旨主張する。
  2.  しかしながら、委任状は、代理権を与えたというより取引先が入札の際入札製品を特定するために発行したとみるのが相当であり、委任状の発行を絶対的な要件として、売買契約の当事者を請求人とすることはできない。また、売買契約書の条項には特則条項があることから、請求人は、取引先の指示に基づいてかかる措置を講じたものと認められ、[1]本件調達に係る納入業者の製品を請求人が仕入れた事実がなく、請求人が取引先の指示により船積みしたと推認できること、[2]本件通信文等には、本件輸出取引に係るほとんどすべての経過が記載されており、記載内容から実際の物及び金の流れと一致していることなどから、請求人の主張は相当である。
  3.  なお、請求人が取引先の指示によって送金した金員は、原処分庁は支払理由及び支払先が不明であると主張するが、請求人が銀行から送金小切手の受領を受け、当該取引先の指示する相手先に送金し、裏書人も当該相手先であることが認められることから、原処分庁主張は理由がない。

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