裁決事例 裁決事例集 第68集

裁決事例 裁決事例集 第68集

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平成16年12月22日裁決

裁判上の和解に基づく停止条件付の贈与契約について、停止条件が成就したのは、不動産の売買契約が成立した時と解するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第68集 135頁

要旨

 請求人は、裁判上の和解に基づき作成された本件和解調書の趣旨は、贈与者が売却した不動産の売買代金を受領することを停止条件とした贈与契約であり、停止条件付の贈与である場合の財産取得の時期とされる「その条件が成就した時」とは、不動産の売買代金が実際に贈与者に支払われた時である旨主張する。
 しかしながら、本件和解調書によれば、「その条件が成就した時」とは、当該不動産の売買契約が成立した時と解するのが相当であり、請求人の主張は採用できない。

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平成16年12月14日裁決

過去に原処分庁所属の職員が指導した事項と異なる内容でされた更正処分は、信義誠実の原則に反しないとした事例

裁決事例集 第68集 33頁

要旨

 請求人は、前回調査担当者の指導内容に反する本件更正処分は、信義則の適用により取り消されるべき旨を主張する。
 しかしながら、課税処分について、信義則を適用し租税法規に適合する課税処分を違法なものとして取り消すのは、納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしても、納税者の信頼を保護しなければならないという特別な事情がある場合と解すべきところ、[1]本件更正処分は、消費税法に基づいた適正な処分であり、その結果、請求人は正当な税額を負担することになったにすぎないこと、[2]本件更正処分に伴う加算税の賦課決定処分は、前回調査担当者の指導に誤りがあったことを理由に取り消されていること、[3]仮に、本件更正処分を取り消した場合には、請求人だけが正当な課税を免れ、かえって租税平等の原則に反する不当な結果を生ずることとなることからみれば、本件においては、納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしても、納税者の信頼を保護しなければならないという特別な事情があるとは認められず、本件更正処分を、信義則の適用によって取り消すのは相当ではない。

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平成16年12月13日裁決

相続税の総額の計算に当たり、被相続人並びにF及びGは養子縁組により養母を同じくするが、Fは被相続人と実父母を同じくし、Gは被相続人と実父母を異にするから、F及びGは、父母の双方を同じくする兄弟姉妹(F)と父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(G)となり、法定相続分はそれぞれ3分の2と3分の1となるとした事例

裁決事例集 第68集 159頁

要旨

 請求人F及びGは、民法第900条4号の規定の適用に当たって、被相続人並びにF及びGは養子縁組により養母を同じくするから、FとGの法定相続分は平等であると主張するが、Fは被相続人と実父母を同じくし、Gは被相続人と実父母を異にするから、F及びGは、父母の双方を同じくする兄弟姉妹(F)と父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(G)となり、法定相続分は、それぞれ3分の2と3分の1となる。

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平成16年12月13日裁決

税関長の算定した価格は関税定率法に基づき適法に算出されたものとした事例

裁決事例集 第68集 231頁

要旨

 請求人は、輸入墓石は、国内において仕入れた原石を中国に輸送し、墓石に委託加工したものであり、この原石については仕入時に消費税等を支払っているから、輸入墓石に係る消費税等の課税価格は、加工賃、船代及び諸費用の合計額によるべきであって、その価格に原石代を含めると、結果的に原石について二度の消費税等が課税されることになり、消費税法違反になる旨主張する。
 しかしながら、輸入貨物に係る消費税の課税標準は、関税定率法により算出される課税価格に個別消費税額と関税額を加算した金額であるところ、本件輸入貨物は、原石を提供した加工賃方式による逆委託加工貿易により輸入された貨物であるから、その課税価格は、関税定率法第4条の4を適用して算出するのが相当である。そうすると、輸入インボイス記載の価格に当該墓石の原材料である原石の仕入価格及び原石の輸出関連費用を加算して算出された原処分の課税価格は輸入貨物の取引形態に合致するものであり、当該規定により合理的かつ適法に算出されたものであると認められる。
 また、課税貨物に係る消費税については、消費税法第30条の規定により、税務署長に提出する消費税の確定(中間)申告において、課税標準に対する消費税額から控除されることから、請求人の結果的に二度の消費税等が課税される旨の主張は採用することができない。

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平成16年12月9日裁決

請求人は注文主から建築工事の全体を請け負っているから、当該工事に係る収入金額の全額が消費税の課税売上高であるとして、当該工事に係る自己の実質収入金額は設計・監理料のみであるとの請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第68集 217頁

要旨

 請求人は、本件工事に係る自己の実質の収入金額は、設計・監理料のみであるから、本件各基準期間の課税売上高は3,000万円以下で、本件各課税期間に係る消費税の納税義務がない旨主張する。
 しかしながら、請求人は、建築工事の全体を請け負っているものと認めるのが相当であるから、請求人の本件工事に係る収入金額の全額が課税売上高となり、設計・監理料のみを課税売上高とする請求人の主張は、採用することができない。

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平成16年12月8日裁決

代償分割により、共同相続人の一人が所有する土地を他の相続人に交付したことによる譲渡所得の収入すべき金額は、その土地の時価によるべきとした事例

裁決事例集 第68集 92頁

要旨

 代償分割債務を履行するために資産を無償で交付した場合における譲渡所得の収入すべき金額は、その代償分割の目的となる資産を交付した時におけるその資産の価額によると解されるところ、その場合の価額は、その交付の時における客観的な交換価値、すなわち時価をいうものと解することが相当である。
 請求人は、地価の下落を理由として修正した路線価を基に、本件土地の管理状況及び他の相続人への金銭債務の支払額を考慮して本件土地の価額を算定しているが、その算定方法は客観的な時価を求めるにおいて合理的な根拠を欠くものである。また、原処分庁が採用した公示地及び基準地は、その用途地域、建ぺい率及び容積率は本件土地と異なっていることが認められるから、本件土地の価額を求めるための基礎としては合理性を欠くものである。
 よって、請求人及び原処分庁の主張する価額はいずれも時価であるということはできない。
 そこで、当審判所が、取引内容が明確で、かつ、資料の正確性が確保されている3取引事例を選定し、これに相当と認められる不動産鑑定評価基準及び土地価格比準表等を参考として、不動産鑑定評価における取引事例比較法と同様の手法により価格を試算し、これらを平均した金額は本件土地の譲渡時における価額と認められるところ、当該価額を基に本件譲渡所得の金額を計算すると、本件更正処分の額を上回るので、本件更正処分は適法である。

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平成16年12月3日裁決

請求人が、相続により取得した土地及び建物の価額は、財産評価基本通達により評価すべきであり、請求人の主張する不動産鑑定評価額には合理性が認められないとした事例

裁決事例集 第68集 170頁

要旨

 請求人は、相続により取得した土地及び建物の価額について、路線価は相続開始日現在までの地価下落が反映されておらず、実際の取引において路線価では売却できないこと、また、建物に居住するためには相当の修理費用が必要であること等から、財産評価基本通達によらず、不動産鑑定士による鑑定評価額により評価すべきであると主張する。
 しかしながら、本件土地の所在する地域の地価は平成14年1月1日から相続開始日までの間に20%を超える下落があったものとは認められないなど、本件土地及び建物の価額については、財産評価基本通達を適用して評価することが著しく不適当と認められる特別の事情は認められず、更に、請求人提出の不動産鑑定士による鑑定評価書の評価額は適正な時価であるとはいえないことから、財産評価基本通達の定めに従って評価するのが相当である。

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平成16年11月26日裁決

適格退職年金契約の解約により生命保険会社から支払われた一時金は、請求人の退職により支給された一時金ではないから、所得税法第34条並びに同法施行令第183条第2項及び第3項第3号の規定により一時所得に当たるとされた事例

裁決事例集 第68集 71頁

要旨

 請求人は、生命保険会社から支払われた金員は、請求人の退職により支払われたもので退職所得に該当し、一時所得には該当しない旨主張する。
 しかしながら、当該金員は、請求人が勤務するF社の適格退職年金契約の解約請求に伴い、生命保険会社から請求人に支払われた一時金で、適格退職年金契約の解約により支払われたものと認めるのが相当であり、請求人の退職により支給された一時金ではないから、生命保険会社から支払われた金員は、所得税法第34条並びに同法施行令第183条第2項及び第3項第3号の規定により一時所得に該当する。

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平成16年11月24日裁決

見積価額は適正に算定されており、また、公売の通知は不服申立ての対象となる処分には当たらないとした事例

裁決事例集 第68集 285頁

要旨

 請求人は、[1]本件公売財産の見積価額は低廉であり、本件見積価額の決定(公告)処分は違法、不当であること、[2]本件公売通知は、滞納国税の一部納付後の残額を免除するという徴収担当職員の約束があったにもかかわらず、何ら免除されないままなされたこと、及び請求人の意思を確認することなく一方的になされたことから、違法、不当であること、を主張する。
 しかしながら、原処分庁が本件公売財産の見積価額の算定の基礎とした本件鑑定評価額は、取引事例比較法により査定した本件土地の更地価格から本件建物の取壊し等費用相当額を控除して算定しており、この評価方法を不相当とする理由があるとは認められない。また、原処分庁が本件鑑定評価額から10%の減額をしたのは、本件鑑定評価額の鑑定時と公売予定月とに隔たりがあり、その間に価格変動があったため、本件鑑定評価額を公売予定月の価格に時点修正したものであると認められるから時点修正による減額は相当である。さらに、本件鑑定評価額から上記時点修正による減額をした後の金額から、更にその20%を減額しているが、これは公売の特殊性に伴う調整として行われたものと認められ、この調整を不相当とする理由があるとは認められない。したがって、本件公売財産の見積価額は適正に算定されたものと認めるのが相当である。
 そして、請求人はその主張する売却価額について具体的な説明及びこれを証する証拠を提出していないことから、その売却価額は請求人の希望する価額に過ぎないと認めるのが相当であり、また、公売財産の見積価額は客観的な時価を下回るのが通例であることからすれば、低廉であることをもって本件公売財産の見積価額を直ちに違法であるとすることはできないところ、上記のとおり本件公売財産の見積価額は適正なものと認めるのが相当である。
 また、公売の通知は、国税局長が公売した場合において、滞納者に対して最後の納付の機会を与えるため、公売の日時、場所、公売保証金の金額、買受代金の納付の期限等、公告すべき事項等を通知するものにすぎず、それ自体として納税者の権利義務その他法律上の地位に影響を及ぼすものではなく、行政処分には当たらないと解されており、本件公売通知は国税通則法第75条第1項に規定する国税に関する法律に基づく処分に該当しない。

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平成16年11月19日裁決

金融機関が行った貸付債権と預金の相殺は、民法第506条第2項の規定により双方の債権が相殺適状を生じた時まで遡及するが、相続開始日はそれ以前であるから、当該預金は相続財産を構成するとした事例

裁決事例集 第68集 144頁

要旨

 民法第506条第2項は、相殺は双方の債権が相殺適状を生じた時に遡及して効力を生ずる旨を規定しており、これを本件についてみると、本件手形借入債務は、その返済期限が相殺適状を生じた日となることから、本件相殺の効力は、同日に遡及し、同日より前には遡及しない。したがって、本件定期預金は本件相続開始日に本件被相続人の預金として存在する。

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平成16年11月11日裁決

前事業年度に係る更正処分について訴訟係属中であっても、当該更正処分が無効と認められる場合でない以上、当該更正処分の結果に基づきなされた本件更正処分は適法であるとした事例

裁決事例集 第68集 50頁

要旨

 一般に行政処分に重大かつ明白な瑕疵があり、そのため行政処分が無効と認められる場合であれば格別、そうでない以上、たとえ瑕疵があっても行政処分の安定を図る意味から、同処分が取消権限のある行政庁又は裁判所によって取り消されるまでは有効なものとして扱われると解されている。
 これを本件についてみると、前事業年度に係る更正処分については当審判所は裁決によって適法である旨の判断を既に示しているところであり、また、当該更正処分に係る訴訟は現在においても係属中で、当該更正処分の取消判決もなされていない。
 よって、原処分庁が前事業年度の更正処分の結果に基づき本件更正処分を行ったことに何ら違法はない。

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平成16年11月10日裁決

執行不能調書は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する「判決等」には当たらないとした事例

裁決事例集 第68集 15頁

要旨

 請求人らは、本件各執行不能調書をもって、国税通則法第23条第2項第1号に規定する「申告等に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決」に該当する旨主張するが、本件各執行不能調書は、民事執行規則第13条第1項第7号及び執行官規則第17条に基づくもので、民事訴訟に係る判決ではなく、当該調書について判決と同一の効力を有する旨の規定がなく、また、本件各執行不能調書に記載されている内容は、本件債務者等に対する強制執行の結果であり、申告等に係る課税標準等の基礎となる事実、すなわち、本件相続開始日における現況には変更がないのであるから、国税通則法第23条第2項第1号の判決又は判決と同一の効力を有する和解その他の行為には該当しないものと認められる。

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平成16年11月8日裁決

遺産分割審判に係る高裁決定を不服として許可抗告の申立て及び特別抗告が行われている場合における相続税法第32条の更正の請求をすることができる「事由が生じたことを知った日」は、当該高裁決定に係る文書が送達された日であるとした事例

裁決事例集 第68集 203頁

要旨

 請求人は、遺産分割に係る審判について即時抗告を行い、当該即時抗告に対する高裁決定を不服として許可抗告の申立て及び特別抗告を行ったものであるところ、許可抗告の申立て及び特別抗告には高裁決定の確定を遮断する効力はなく、当然の執行停止の効力もないことから、即時抗告に対する高裁決定により審判は確定し、審判の確定によって遺産分割の内容が終局的に定まることとなる。そして、即時抗告に対する高裁決定は、告知することによって効力を生じるから、この場合の相続税法第32条1号に規定する更正の請求をすることができる「事由が生じたことを知った日」は、即時抗告に対する高裁決定に係る文書が請求人に送達された日となる。

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平成16年10月29日裁決

判決理由中で認定された事実に基づいてなされた更正の請求について、国税通則法第23条第2項第1号に規定する「判決」には当たらないと判断した事例

裁決事例集 第68集 1頁

要旨

 請求人らは、国税通則法第23条第2項第1号にいう「判決」をもって、いわゆる「主文」を指すものと限定的に解釈すべき必然性はなく、理由中において本件土地譲渡が無効であることを確認した本件判決も同号にいう判決に該当する旨主張する。
 しかしながら、同号にいう判決とは、当事者間に権利関係の争いがあり、その後、判決により申告等があった当時の権利関係と異なる事実関係が生じた場合の判決をいうと解するのが相当である。
 これを本件についてみると、土地譲渡の有効性については、既に当事者間で和解の成立により解決が図られており、また、本件判決の理由中において、土地譲渡の無効が確認されたとしても、そのことは、土地譲渡の当事者間の法律関係に何ら影響を及ぼし得ない以上、本件判決が同号にいう「判決」に当たるということはできない。

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平成16年10月22日裁決

賃借した土地に設置した支柱付き鉄骨屋根の駐輪場施設は、当該土地の賃借期間満了時に解体撤去されることが確実であることを理由としてされた当該賃借期間を耐用年数とする短縮承認申請は、法人税法施行令第57条第1項に掲げる事由に該当せず認められないとした事例

裁決事例集 第68集 125頁

要旨

 請求人は、自転車駐車場設備に係る支柱付き鉄骨屋根の耐用年数の短縮承認事由として、[1]駐車場設備を供する事業は公共性が高いこと、[2]事業契約期間の満了時には当該駐車場設備を無償譲渡又は解体撤去することが将来確実であり、当該賃借期間は法定耐用年数に比して短くなっているから短縮承認されるべきと主張する。
 しかしながら、耐用年数の短縮を規定する法人税法施行令第57条第1項は、減価償却資産の材質や製作方法が著しく異なったり、地盤の隆起沈下や陳腐化する等使用可能期間がその法定耐用年数に比して短いこととなった事由が現に発生している場合を列挙しているところ、当該支柱付き鉄骨屋根については、その設置状況及びそれ自体に使用可能期間が法定耐用年数よりも物理的ないし客観的に短いこととなった事由が現に発生しているとは認められず、また、請求人の短縮申請事由は規定された短縮事由のいずれにも該当しないから、これを却下した原処分は適法である。

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平成16年9月28日裁決

民事再生中の請求人に対して行われた差押処分が職権濫用による違法・不当な処分に当たらないとした事例

裁決事例集 第68集 41頁

要旨

 差押処分を行うに当たって、滞納者が一部でも納付の意思を表示すれば差押処分ができなくなる旨や滞納者の了解を得なければならない旨を定めた法令の規定はない。
 また、徴収担当職員は、過去から再三にわたり納付指導及び取引先への売掛債権の差押処分を行う旨の予告を行っており、本件滞納国税の一部を請求人が納付したとしても、残額の早期完納が見込まれる具体的な納付計画もないから、本件滞納国税の早期完納が実行されないと認められ、本件差押処分を行ったものである。
 したがって、原処分庁が国税徴収法第47条第1項第1号の規定に基づいて本件差押処分を行ったことは、請求人が民事再生中といえども本件滞納国税を徴収するために必要なものであり、原処分庁の本件差押処分をもって職権濫用とは認められない。

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平成16年9月27日裁決

審査請求人が営む不動産貸付けについて、同族会社1社への専属的な貸付けであり、本件貸付けの維持管理業務の程度が実質的には相当低いなどとして、不動産所得を生ずべき事業には当たらないとした事例

裁決事例集 第68集 59頁

要旨

 請求人は、本件貸付けによる収入が年間700万円以上であること、また、9年間事業規模相当として申告してきたことなどを理由に本件貸付けは不動産所得を生ずべき事業に当たる旨主張する。
 事業性については、[1]営利性・有償性の有無、[2]継続性・反復性の有無、[3]自己の危険と計算における事業遂行性の有無、[4]取引に費やした精神的肉体的労力の程度、[5]人的・物的設備の有無、[6]取引の目的、[7]事業を営む者の職歴・社会的地位・生活状況などの諸点を総合勘案して判断されるべきところ、本件貸付けについては、不動産貸付けの目的、営利性、継続性などを部分部分としてみた場合においては、直ちに事業ではないということはできない要素も認められる。
 しかしながら、本件貸付けは、請求人が代表取締役社長を務める同族会社F社への専属的な貸付けのみであり、事務所の修理等は専ら賃借人である同社が主導的に行い、賃借料の決定は同社の業績が優先的に考慮されていることから、請求人における事業遂行上その企画性は乏しく、危険負担も少ないと認められる。また、事務所は、F社が利用しやすいようF社が所有する事務所の1階とワンフロアで一体的に利用できるよう改造されており、その構造からみて他に賃貸等が可能である等の汎用性がないなど、これらの点における請求人の自己の危険と計算における事業遂行性は希薄であると認められる。
 さらに、請求人の配偶者Gが大半の時間を費やして行っている清掃などには、本来F社がその業務として行うべきものが含まれており、GがF社の取締役に就任していることに照らすと、本件貸付けにおいて貸主として本来行うべき維持管理業務の程度は、実質的には相当低いことが認められる。
 これらの諸点を総合して勘案すると、本件貸付けは、社会通念上事業と称するに至る程度のものとは認められないと判断するのが相当である。
 なお、請求人が本件貸付けを9年間事業規模相当として申告し、原処分庁がこれに対して是正しなかったとしても、そのことをもって本件貸付けの事業性が認められるものではない。

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平成16年9月15日裁決

消費税の確定申告書を法定申告期限までに提出できなかったこと及び簡易課税制度選択届出書を提出できなかったことは、原処分庁の説明及び周知努力の不足のためであるから、簡易課税制度を適用して消費税等の納付すべき税額を計算すべきであり、無申告加算税の賦課決定処分も違法であるとの請求人の主張を、確定申告書の提出及び簡易課税制度の選択は請求人自身の責任と判断においてなされるべきであり、税法の単なる不知により不利益を受けたとしても、納税者自身が甘受せざるを得ないとして排斥した事例

裁決事例集 第68集 276頁

要旨

  1.  請求人は、簡易課税制度選択届出書を提出できなかったのは、[1]会社設立時の届出をした際に、原処分庁から簡易課税制度について説明が一切なかったこと、[2]会社設立時の届出書類一式の中に簡易課税制度選択届出書の用紙がなかったこと、[3]簡易課税制度について原処分庁が十分な周知を行わなかったことが原因であるから、原処分庁は、簡易課税制度を適用して消費税等の納付すべき税額を計算すべきである旨主張する。
     しかしながら、税務署長が納税者に対して、簡易課税制度について周知しなければならないとする法令上の規定はなく、また、申告納税制度の下における消費税等の確定申告、申請及び届出等の手続は納税者自身の責任と判断においてなされるべきであり、税法の単なる不知により納税者自身不利益を受けたとしても、それは納税者自身において甘受せざるを得ないと解されるから、この点に関する請求人の主張には理由がない。
  2.  請求人は、消費税等の確定申告書を法定申告期限までに提出できなかったのは、原処分庁が、[1]申告書用紙を送付してこなかったこと、[2]当該申告が必要であることを事前に通知しなかったことが原因であるから、これらをしないで行った本件各賦課決定処分は違法である旨主張する。
     しかしながら、消費税は、税務署長からの通知、案内等の有無にかかわりなく、法定の期限内に確定申告書を提出することを義務付けられているのであり、原処分庁による申告書用紙の送付は、国民の納税義務の適正かつ円滑な履行を確保するため、行政上任意的に行われる納税者に対するサービスの一環にすぎず、消費税法その他の関係法令の規定に基づくものではないから、申告書用紙の送付がなかったからといって、それが法定申告期限内に提出ができなかったことの正当な理由にはならない。
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平成16年9月9日裁決

本件浜買いに係る取引実態は、消費税法施行令第49条第2項に規定する再生資源卸売業に準ずる課税仕入れの取引実態にないとした事例

裁決事例集 第68集 255頁

要旨

 請求人は、本件浜買いの相手先は、請求書、納品書等の必要性や知識に乏しく、領収書の発行すら行っておらず、浜買いの相手先に住所、氏名を問い質すことは困難であり、強行すれば商取引の危機を招き、さらに、零細漁師、半漁で他に勤めている者など多種多様であって、概ね不特定多数の部類に属し、取引金額もほとんど3万円未満が多いから、消費税法施行令第49条第2項に該当すると主張する。
 しかしながら、消費税法施行令第49条第2項にいう再生資源卸売業とは、日本産業標準分類の中分類に規定されている空瓶・空缶等空容器卸売業、鉄スクラップ卸売業、非鉄金属スクラップ卸売業及び古紙卸売業等であり、また、再生資源卸売業に準ずるものとは、不特定かつ多数の者から課税仕入れを行う事業のうち、取引の実態から仕入れの相手方の氏名又は名称を確認することが不可能に近いという点で再生資源卸売業に準ずるものをいうと解されるところ、本件において、請求人がその帳簿書類に、浜買いに係る仕入れの相手先を記載していない理由は、請求人と当該相手先との関係及び請求人の営業上の問題に起因しているものであるから、本件浜買いは相手方の氏名又は名称を確認することができない取引実態にあると認めることはできず、再生資源卸売業に準ずるものに該当しない。

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平成16年7月9日裁決

分離長期譲渡所得等について、保証債務の履行のための譲渡に関する課税の特例を適用すべきであるとしてなされた更正の請求に対し、確定申告書にその旨の記載がなく、また、その旨の記載がなかったことについてやむを得ない事情があるとは認められないとして、当該特例を適用することはできないと判断した事例

裁決事例集 第68集 23頁

要旨

 所得税法第64条第3項及び第4項によれば、同法第152条の規定による更正の請求をする場合を除き、確定申告書に保証債務の特例の適用を受ける旨の記載がある場合に限り本件特例の適用があり、確定申告書にその旨の記載がない場合にも、その旨の記載がなかったことについてやむを得ない事情があると認められるときは、本件特例を適用することができる。
 これを本件についてみると、本件申告書に本件特例の適用を受ける旨の記載がなく、また、その旨の記載がなかったことについてやむを得ない事情があるとは認められないから、本件特例を適用することはできない。
 そうすると、債務保証の事実、求償権行使不能の事実等の本件特例の適用を受けるための実体的要件の有無を判断するまでもなく、本件申告書に記載された課税標準等若しくは税額等の計算は、国税通則法第23条第1項第1号に規定する「国税に関する法律の規定に従っていなかったこと」又は「当該計算に誤りがあったこと」のいずれにも該当しないから、本件更正の請求には理由がない。

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平成16年7月9日裁決

従業員に業績の不振の状況を示す目的で関係書類を処分し、帳簿書類等を調査担当者に対して提示できなかったことは、請求人自身の責めに帰するものであり、消費税法第30条第7項に規定する「やむを得ない事情」とは認めることはできないとした事例

裁決事例集 第68集 246頁

要旨

 請求人は、帳簿書類等を保存していなかったのは、廃業状況に追い込まれており、従業員の要請に基づき事業を継続するためには人員の削減が不可欠であることから、「廃業状況にある」ことを示す目的で一部書類を処分したためであり、それほどまでに追い詰められていた経営状況であったという事実以上に、消費税法第30条第7項に規定する「やむを得ない事情」はあり得えない旨主張する。
 しかしながら、請求人が業績の不振から会社を閉鎖するために、従業員にその状況を示す目的で関係書類を処分し、本件調査に際し、本件各課税期間に係る帳簿書類等を調査担当者に対して提示できなかったことは、請求人自身の責めに帰するものといわざるを得ず、消費税法第30条第7項に規定する「やむを得ない事情」とは認めることができない。

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平成16年7月2日裁決

本件土地は既存家屋とともに取得したものとして、住宅借入金等特別控除の適用を受けていることから、本件土地の取得に係る借入金をその後に新築した本件家屋の取得に係る借入金に含めて住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできないとした事例

裁決事例集 第68集 115頁

要旨

 審査請求人は、本件土地を取得した日以後2年以内に本件家屋を新築したから、本件土地の取得に係る借入金は、住宅借入金等特別控除の適用対象となる旨主張する。
 しかしながら、審査請求人は、本件土地を本件既存家屋とともに取得したものとして、本件既存家屋及びその敷地の用に供されている本件土地の取得に係る借入金について、住宅借入金等特別控除を受けていることから、本件土地の取得に係る借入金をその後に新築した本件家屋の取得に係る借入金に含めて住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできない。

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