裁決事例 裁決事例集 第70集

裁決事例 裁決事例集 第70集

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平成17年12月19日裁決

過去の事業年度について、その後に欠損金額が生じていたことが判明した場合においては、更正により当該事業年度の欠損金額として確定することができる場合に限り、当該欠損金額を控除事業年度の所得金額の計算上損金の額に算入できるとした事例

裁決事例集 第70集 249頁

要旨

 東京高等裁判所昭和63年9月28日判決(昭和62年(行コ)第68号法人税更正処分取消請求控訴事件、最高裁判所平成元年4月13日判決の原審)によれば、過去の事業年度における欠損金額を繰越欠損金の額として控除事業年度の所得金額の計算上損金の額に算入するためには、その過去の事業年度において所得金額の計算上欠損金額が認められる場合でなければならないとされている。すなわち、過去の事業年度について、その後に欠損金額が生じたことが判明した場合においては、更正により当該事業年度の欠損金額として確定することができる場合に限り、当該欠損金額を控除事業年度の所得金額の計算上損金の額に算入できると解すべきである。
 これを本件についてみると、既に法定申告期限から5年を経過していることから、原処分庁は、国税通則法第70条第2項の規定により、請求人の平成8年7月1日から平成9年6月30日まで、平成9年7月1日から平成10年6月30日まで及び平成10年7月1日から平成11年6月30日までの各事業年度(以下「平成11年6月期以前の各事業年度」という。)について、本件使用料の額を所得金額から減算する更正をすることができなかったことが認められる。
 そうすると、平成11年6月期以前の各事業年度については、当該各事業年度の所得金額の計算上、いずれも本件使用料の額を所得金額から減算することによる欠損金額は生じなかったことが確定したのであるから、これを平成14年7月1日から平成15年6月30日までの事業年度の所得金額の計算上損金の額に算入することはできない。

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平成17年12月19日裁決

非常勤取締役に対する役員報酬について、類似法人から算出した報酬額を適正と判断した事例

裁決事例集 第70集 215頁

要旨

 請求人は、非常勤取締役である代表者の母に対する適正報酬額は、当該取締役が代表取締役のよき相談相手として経営に参画していることから、請求人の従業員に対する給与の支給額を参酌して算定することが最も妥当であり、原処分庁が不相当に高額な部分として損金の額に算入できないとした額は過大であると主張する。
 しかしながら、法人税法施行令第69条第1号に照らしてみると、[1]よき相談相手というのも客観性・具体性に欠け、その裏づけとなる確たる証拠資料はないこと、また、当該取締役には決められた仕事はないこと、[2]特定の従業員の給与の支給額に照らすことについては、当該従業員の職務の内容や勤務の状況等を明らかにしないこと及び請求人の収益の状況如何にかかわらず本件取締役の職務の内容からして、当該従業員に支給されている給与額をもってその根拠とならないこと、そして、[3]原処分庁が、請求人と業種、事業規模などが類似し、請求人の所在する地域の非常勤取締役が存する法人を選定したこと及び当該類似法人に存する非常勤取締役に支給された年間報酬額の平均額をもって本件取締役に対する適正報酬額を算出した方法は妥当なものと認められることなどを勘案すると、原処分庁が、本件役員報酬のうち、不相当に高額な部分として算定した金額は相当と認められる。

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平成17年12月15日裁決

当初の遺産分割協議の錯誤無効を理由に行った再度の遺産分割協議に基づき取得した新たな財産は、当初の遺産分割協議に要素の錯誤があったとは認めることができないから贈与により取得したものと認められるとした事例

裁決事例集 第70集 259頁

要旨

 請求人は、養親である祖父亡Gの後妻亡Hと養親子関係がないことを知らないで行った本件遺産分割は、法律行為の要素に錯誤があり、養親子関係がないことを知っていれば亡Hに亡Gの遺産を相続させる本件遺産分割を行うはずはなかったとして、本件遺産分割協議が錯誤により無効である旨主張する。
 しかしながら、請求人と亡Hとの間に養親子関係があったとしても、請求人が主張するように、請求人が本件土地建物を亡Hから相続により取得することになるとは限らず、また、請求人が亡Hとの間に養親子関係がないことを知っていたとしても、請求人が主張するような遺産分割協議が成立するという必然性も認められない。そうすると、請求人の主張する「錯誤」は、遺産分割協議の動機に関するものであり、この動機が遺産分割協議の際に表示されていたとしても、本件遺産分割の内容と異なる内容の遺産分割協議がされたということにもならないから、民法第95条に規定する法律行為の要素の錯誤ということはできず、結局、請求人の思い違いないし勘違いにすぎないというほかはない。
 したがって、本件遺産分割に要素の錯誤があったとは認めることはできないから、本件土地建物は、請求人が亡Hの相続人から贈与により取得したものと認めるのが相当である。

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平成17年12月7日裁決

父親が所有する家屋について増改築工事を行い、増改築工事後にその家屋に居住を開始したとしても、「居住の用に供している家屋で政令に定めるものの増改築等」に該当しないから租税特別措置法第41条(住宅借入金等を有する場合の特別税額控除)の適用はないとした事例

裁決事例集 第70集 189頁

要旨

 請求人は、増改築後にしか所有権を取得できないにもかかわらず、増改築前に所有権を有していない場合には住宅借入金等特別控除の適用を認めないとする租税特別措置法第41条第4項の規定は、当該控除の制度の趣旨に反し著しく不当であり、一戸建ての建物を第三者から購入した者よりも不利な扱いをすることになるので、不合理な差別を禁止し、法の下の平等を規定した憲法に違反する。
 したがって、本件増改築に対して住宅借入金等特別控除が適用されるべきである旨主張する。
 しかしながら、租税特別措置法第41条第1項は、居住者が、国内において、その者の居住の用に供している家屋の増改築等をした場合、同条第4項は、第1項に規定する住宅借入金等特別控除が適用される増改築等の目的となる家屋は、当該居住者が所有している家屋である旨それぞれ規定しており、居住の用に供し、かつ、所有しているか否かの判断の基準となる時は、増改築等の工事がされた時であることは文理上明らかである。
 本件では、請求人は、本件増改築の工事がされた時点で本件家屋に居住しておらず、所有もしていないのであるから、本件家屋は、住宅借入金等特別控除が適用される増改築等の目的となる家屋に当たらず、本件増改築に対して住宅借入金等特別控除を適用する余地はない。
 したがって、本件増改築に対して住宅借入金等特別控除が適用されるべきであるとの請求人の主張には理由がない。
 なお、租税特別措置法第41条第4項の規定が憲法に違反するか否かの判断は、当審判所の権限に属さない事項であるので、審理の限りでない。

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平成17年11月29日裁決

身体障害者更生施設への入所に係る利用者の費用負担として支払った利用者負担金は医療費控除の対象とはならないとした事例

裁決事例集 第70集 157頁

要旨

  1.  請求人は、[1]身体障害者更生施設は医療法にいう病院又は診療所ではないが、同施設では、医師及び看護師を含む施設職員により、入所者の更生に必要な治療又は指導及び訓練が行われていること、[2]所得税法施行令第207条は医療費の範囲を規定しているだけであって、対価の明示が医療費控除を受けるための要件であることを規定しているものではないことなどから、本件利用者負担額の全額が、医療費控除の対象となる医療費に該当する旨主張する。
     しかしながら、所得税法第73条第2項及び同法施行令第207条の規定によれば、実質的にみて医療費に該当すれば、又は医療費に該当するものが含まれていれば、すべて医療費控除の対象になるのではなく、法令に定められた医療費の対価と評価できるものでなければ医療費控除の対象とはならないと解されるところ、本件利用者負担額は、その中には一部嘱託医師による診療や看護師による看護等の対価が含まれていると認められるものの、当該対価以外のサービスの対価と渾然となっており、それがどの部分かについてはその区分が明確でなく、医療費に当たる部分とそれ以外のものを区分する仕組みになっていない。
     したがって、医療費外のサービスの対価が混在する利用者負担額全体を、所得税法第73条第2項所定の医療費の対価ということはできない。
  2.  また、請求人は、医療費控除の取扱いに係る法令解釈通達である平成12年6月8日付課所4ー9「介護保険下での指定介護老人福祉施設の施設サービスの対価に係る医療費控除の取扱いについて」において、指定介護老人福祉施設の施設サービスの対価の2分の1が医療費控除の対象とされていることから、この対価と性格が極めて類似する本件利用者負担額についても、最低その2分の1は医療費に該当する旨主張する。
     しかしながら、指定介護老人福祉施設は、所得税法施行令第207条第3号に規定する診療所に準ずるものとして所得税法施行規則第40条の3第2項に規定された施設であることから、その施設の人的役務提供の一部が医療費とされているのであるが、身体障害者更生施設については、そのような法的措置は講じられておらず、また、指定介護老人福祉施設の利用者の負担額は、受益の程度に応じた負担を基本とする考え方に基づき算定されており、いわゆる応能原則がとられていないことにかんがみれば、本件利用者負担額と指定介護老人福祉施設の利用者の負担額を同質のものとみることはできない。
     したがって、この点に関する請求人の主張は採用できない。
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平成17年11月16日裁決

本件取引期間における商品先物取引の差金等決済により生じた損失の金額について、租税特別措置法第41条の15の適用による当該損失の繰越控除及び繰戻控除が認められないとした事例

裁決事例集 第70集 134頁

要旨

 請求人は、本件取引期間全体では、総額で多額の損失を被っているのであるから、本件先物取引において、一時的に利益が生じたからといって課税するのは違法である旨主張するが、所得税の納税義務は、暦年の終了の時に成立し(国税通則法第15条第2項第1号)、その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、その年において収入すべき金額とされているところ(所得税法第36条第1項)、請求人は、本件取引期間全体では損失を被っているものの、平成13年中の本件先物取引では利益が生じているのであるから、同年中の本件先物取引による損益は、平成13年分の所得となる。
 また、請求人は、本件更正処分に際しても、商品先物取引に係る損失の繰越控除を認めることとした租税特別措置法第41条の15の適用を認めるべきである旨主張するが、平成15年に改正された租税特別措置法第41条の15第1項及び第2項の内容は、平成15年1月1日以後に商品先物取引の差金等決済をしたことにより生じた損失の金額について適用されるものであり、請求人が行った商品先物取引は、平成14年12月以前に行われたものであるところ、平成14年12月31日以前の商品先物取引の差金等決済をしたことにより生じた損失の金額についてもそ及して適用することを定めた規定が存在しない以上、本件取引期間において請求人が行った商品先物取引について、租税特別措置法第41条の15の規定の適用はない。

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平成17年11月10日裁決

住宅として賃貸中の建物を譲渡目的で取得した場合には、仕入税額控除における個別対応方式では「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」に区分されると判断した事例

裁決事例集 第70集 369頁

要旨

 請求人は、本件各信託不動産(土地及び建物)に係る賃貸収入(住宅の貸付けに伴う賃貸収入)は、当該各不動産の取得に伴い付随的に生じたものにすぎず、当該各不動産の取得が当該各不動産の譲渡を目的とするものであることを妨げるものではないから、当該取得に係る課税仕入れは、消費税法第30条第2項第1号(個別対応方式)の適用に当たり、「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」に区分されるべき旨主張する。
 しかしながら、請求人は、本件各信託不動産を、譲渡する目的だけでなく、その賃貸収入を得る目的を併せ持って取得したものであり、また、本件課税期間において、本件各信託不動産を取得した日から課税資産の譲渡等に該当しない当該各不動産に係る賃貸収入(住宅の貸付け)が生じている以上、本件各信託不動産に係る課税仕入れにつき、個別対応方式において、「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」に区分することはできず、「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」に区分するのが相当であるから、請求人の主張には理由がない。

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平成17年11月4日裁決

「公売中止申立書」は、公売通知の取消しを求める異議申立書として取り扱うことが相当であるとした事例

裁決事例集 第70集 413頁

要旨

 原処分庁は、本件公売中止申立書は単に公売を中止してほしいとの申立てであり、これを異議申立書と解することはできない旨主張する。
 しかしながら、請求人らは、当審判所に対し、本件公売中止申立書は異議申立書である旨の意思表示をしていることから、本件公売中止申立書を異議申立書として取り扱うことが相当と認められる。
 そして、本件公売中止申立書は、国税通則法第81条第1項に規定する記載事項のうち、「異議申立てに係る処分」、「異議申立てに係る処分があったことを知った年月日」及び「異議申立ての趣旨及び理由」についての記載がなされていないことから、当審判所において、異議申立ての対象とする処分等について、請求人らに対して補正を求めたところ、請求人らは、本件公売通知に対する本件公売処分の執行の中止の申立てである旨回答しており、この回答内容から、本件公売中止申立ては、本件公売通知に対してその取消しを求めるものと解される。

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平成17年10月26日裁決

納税者が納税申告を第三者に委任した場合において、当該納税者は当該第三者に対する選任、監督上の注意義務を尽くしていないとして、重加算税の賦課決定処分を認容した事例

裁決事例集 第70集 20頁

要旨

 請求人は、源泉徴収票を交付して、第三者に申告手続の代行を委任したものの、当該第三者が作成した確定申告書、収支内訳書及び報酬・料金等の支払調書は、請求人の了解を得ず、不正な還付請求申告をするために作成されたものであるので、請求人の意思に基づかず、当該確定申告書は無効であり、当該第三者がした隠ぺい・仮装行為の効果は請求人には及ばないので、重加算税の賦課決定処分は取り消されるべきである旨主張する。
 しかしながら、納税者自らの判断と責任で自主的に申告納税する申告納税制度の下において、納税者の判断とその責任において、申告手続の代行を第三者に一任し、その者が納税者に代わって申告した場合には、その申告は、そのまま申告名義人である納税者が行った申告として取り扱うべきものと解されるところ、請求人は、友人を介して、申告手続の代行を当該第三者に一任しているので、請求人が申告内容を承知しているか否かにかかわらず、当該確定申告は、申告名義人である請求人の行った申告として取り扱うべきであって、その効果は請求人に及ぶ。
 また、納税者が納税申告を第三者に委任した場合において、当該第三者がした隠ぺい・仮装行為に基づく申告について、納税者がどこまで責任を負うべきかについては、納税者と当該第三者との関係、当該行為に対する納税者の認識及びその可能性、納税者の黙認の有無、納税者が払った注意の程度等に照らして、個別的、具体的に判断されるべきものであり、納税者が当該第三者に対する選任、監督上の注意義務を尽くすことにより、当該第三者の隠ぺい・仮装行為を防止することできた場合には、当該第三者の不正行為を納税者の行為と同一視し得るものとして、その防止を怠った当該納税者に対し、重加算税を賦課することができると解すべきであるところ、請求人は、当該第三者に対する選任、監督上の注意義務を尽くさなかったと認められることから、当該第三者による隠ぺい・仮装行為は、請求人の行為と同一視し得るものとして、請求人に対し重加算税を賦課することができる。
 したがって、請求人の主張にはいずれも理由がない。

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平成17年10月4日裁決

取引相場のない株式の評価を類似業種比準方式で行うに当たって、評価会社の1株当たりの配当金額及び利益金額を最大5年間までさかのぼって算定すべきである旨の請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第70集 353頁

要旨

 請求人は、財産評価基本通達(以下「評価通達」という。)は法律ではないから納税者を拘束するものではなく評価通達を基になされた本件更正処分は違法である、仮に評価通達によるとしても、利益、損失の変動の激しい法人においては、評価会社の業績を最大限5年間さかのぼって評価すべきである旨主張する。
 しかしながら、評価通達に定められた相続財産評価の一般基準が合理的なものであり、かつ、評価通達により難い特別の事情が存しない限り、評価通達の定めるところにより相続財産を評価することが違法ということはできないというべきであり、請求人の主張には理由がない。また、評価通達における類似業種比準方式は、株式の価格形成の基本要素として考えられている3要素(配当金額、利益金額、純資産金額)を比準要素とし、標本会社の数値と評価会社の数値を同一の基準により算定するなど所定の措置を講じることにより、評価上の恣意性の排除、評価の統一性、画一性、安全性の担保に配意したものであるところ、評価会社の数値のみを課税時期の直前5年間の業績を基に算定するとすれば類似業種比準方式の合理性自体が失われるおそれがある等のため、請求人の主張には理由がない。

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平成17年9月29日裁決

登記機関が認定する価額の算定に当たり、本件土地の現況地目と登記嘱託書に添付された固定資産課税台帳記載事項証明書の課税地目とは異なるとして、現況地目に基づき課税標準を認定した事例

裁決事例集 第70集 397頁

要旨

 原処分庁は、登録免許税法施行令附則第3項に規定する類似する不動産の台帳価格を基礎として登記機関が認定する価額の算定に当たり、登記嘱託書に添付されていた近傍宅地の固定資産課税台帳記載事項証明書には法務局提出用近傍証明書との記載があるから当該近傍宅地は本件土地に近傍類似していることが証明されており、当該証明書の評価額に基づいて本件土地の価額を算定したことは適法である旨主張する。
 しかしながら、本件各土地の登記申請時の現況は、市道沿いから中央にかけて雑草が密生し、奥の部分は竹やぶが進入してきているが、かつて整地されたこともうかがえる状況にあり、P市の固定資産評価事務取扱要領によれば、「その他の雑種地」で、人の手は加えられているが、駐車場、運動場及び資材置場等として利用できる程度の造成が加えられていない土地(以下「その他の雑種地で直ちに利用可能でないもの」という。)に該当すると認められるのに対し、当該近傍宅地の課税地目は専用宅地であり、双方の土地は課税地目が異なるから、原処分庁の主張は採用できない。
 そうすると、本件各土地に類似する土地としては、本件各土地が接する路線(以下「本件路線」という。)に接する土地のうち、課税地目が「その他の雑種地で直ちに利用可能でないもの」を選定するのが合理的と考えられる。
 本件各土地の所在するP市では、「その他の雑種地で直ちに利用可能でないもの」の固定資産税評価額の算定は、面積、形状にかかわらず、画地調整をせずに、路線価に0.2を乗じた1平方メートル当たりの価格に面積を乗じて算定した価額によるとされており、この取扱いは相当と認められることから、本件各土地に類似する土地の価額は、特定の類似する土地を選定するまでもなく、本件路線に接面して本件各土地に類似する土地の平成15年1月1日現在の台帳価格、すなわち、平成15年1月1日現在の本件路線の路線価に0.2を乗じた1平方メートル当たりの価格に本件各土地の面積を乗じて算定した価額によることが合理的である。

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平成17年9月28日裁決

納税者と関与税理士との間において、課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし又は仮装することについての意思の連絡があったものと認められるとして、重加算税の賦課決定処分を認容した事例

裁決事例集 第70集 34頁

要旨

 請求人は、航空貨物運送に関する清算業務等に係る経費を繰上計上したこと及び割戻料収入の計上を繰り延べたことに関して、証ひょう書類を改ざんした事実など、国税通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装の事実はなく、法人税の重加算税賦課決定処分は違法である旨主張する。
 ところで、国税通則法第68条第1項の「事実を隠ぺいする」とは、納税者がその意思に基づいて、課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実を隠匿しあるいは脱漏することをいい、「事実を仮装する」とは、納税者がその意思に基づいて、所得、財産あるいは取引上の名義に関し、あたかも、それが真実であるかのように装うなど、事実をわい曲することをいうと解され、また、納税者が納税申告を第三者に委任し当該第三者が隠ぺい・仮装行為に基づく申告をした場合において、納税者と当該第三者との間において、その国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装することについての意思の連絡があったものと認められれば、納税者に対する重加算税の賦課要件を充足するものというべきである。
 そうすると、請求人の代表者は、関与税理士に平成15年3月期(以下「本件事業年度」という。)の所得金額の操作を依頼し、関与税理士は、この依頼に基づき、平成16年3月期の当該費用をあたかも本件事業年度の経費であるかのごとく、事実を仮装した上で繰上計上し、また、割引料収入が本件事業年度の収益となるべき事実を隠ぺいした上で、当該割引料収入を平成16年3月期の収益に繰り延べたものであり、請求人と関与税理士との間において、当該経費及び割引料収入に係る事実を隠ぺい又は仮装することについての意思の連絡があったものと認められる。
 したがって、請求人が、関与税理士を介して、当該経費を繰上計上したこと及び当該割引料収入の計上を繰り延べた上で、本件事業年度の法人税の確定申告書を提出したことは、国税通則法第68条第1項の規定に該当することとなり、請求人の主張には理由がない。

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平成17年9月27日裁決

贈与により取得した株式を株式発行会社の法人税の確定申告書に記載された所得金額等を基に評価したことにより贈与税の過少申告をしたことについて正当な理由はないとした事例

裁決事例集 第70集 9頁

要旨

 国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」とは、過少に税額を申告したことが納税者の責めに帰すことができない客観的な障害に起因するなど、その申告が真にやむを得ない理由によるものであり、納税者に過少申告加算税を課すことが不当若しくは酷になる場合を意味するものと解される。請求人は、本件贈与税の申告に際し、D社の法人税の確定申告書に記載された所得金額等を基に同社の株式の価額を算定したものであるが、その所得金額等は、その後同社による修正申告によって増加するに至ったのであるから、そもそも誤った内容のものであったのであり、これは同社の法人税の申告が適正に行われていなかったことによるものであるところ、請求人は、上記確定申告書の提出時において同社の代表取締役の地位にあったのであるから、同社の税務申告の最終責任者であると認められ、また、本件贈与税の申告時においても同じく代表取締役の地位にあったのであるから、上記法人税の確定申告書の記載内容が適正であるかどうか確認できる立場にあった。これらのことを考慮すると、その誤りを看過し、本件では、過少申告となったことが、真にやむを得ない理由によるもので、請求人に過少申告加算税を課すことが不当若しくは酷になる場合に当たるとは認め難い。

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平成17年9月21日裁決

商法第349条第1項に規定する反対株主の株式買取請求に基づき株式発行法人が自己の株式を取得した日は、株式買取価格の決定の申請に係る和解成立の日であるとした事例

裁決事例集 第70集 105頁

要旨

 請求人は、商法第349条第1項に規定する反対株主の株式買取請求に基づき、株式発行法人が自己の株式を取得した日は、株主等が発行法人との間で能動的に行った契約の成立ないし法律行為の日、すなわち反対株主が株式買取請求権を行使した日であり、その日は商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律第44条第2項(本件経過措置)に規定する施行日(平成13年10月1日)前であるから、所得税法第25条第1項第5号に規定する自己の株式の取得を事由とするみなし配当課税は適用されない旨主張する。
 しかしながら、同号に規定する自己の株式の取得とは、株式発行法人がする証券取引所の開設する市場における購入による取得等以外の自己の株式の取得であり、本件自己の株式の取得は、反対株主の株式買取請求に応じて売買により取得したものであるから、本件自己の株式の取得の日については、売買の効力が生じたときがいつであるかに帰着するところ、売買では代金は重要な要素であるから、代金額が定まっていない場合には、売買の効力は生じないと解される。本件は、当事者間において株式買取価格が調わず、裁判所に商法第245条の3第3項の規定に基づき価格の決定を申請し、和解により株式買取価格が決定し、それに基づき株式発行法人が請求人に対して株式買取代金を支払い、請求人は株式発行法人に株券を引き渡したものであるから、その和解の日に、売買契約の効力が生じ、当事者双方が契約を履行したといえる。そうすると、本件における自己の株式の取得の日は、本件経過措置に規定する施行日以後となるから、所得税法第25条第1項第5号の規定が適用される。
 なお、最高裁昭和48年3月1日決定は、反対株主が株式買取請求権を行使したときは、法律上当然に会社と株主の間に売買契約が成立したのと同様の法律関係が生ずると判示するが、この法律関係とは、会社が株主から将来決定する価格で株式を買い取る義務を負い、株主が会社に同価格で株式を売り渡す義務を負うという法律関係をいうのであって、売買契約の効力が生じたことまでをいうものではない。

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平成17年9月21日裁決

海面使用料は、砂利採取業者等から支払を受けた段階で請求人に確定的に帰属しているとした原処分を適法とした事例

裁決事例集 第70集 197頁

要旨

 請求人は、砂利採取業者等から受領した海面使用料は組合員に対する漁業補償金であるから、請求人の所得として課税するのは違法である旨主張する。
 しかしながら、請求人が所有する共同漁業権にその基礎を置く組合員の有する漁業権の行使権は、漁業協同組合の構成員たる組合員としての地位と不可分な、いわゆる社員権的権利であり、共同漁業権から派生しこれに附従する第二次的権利であって、砂利採取業者等との関係は間接的なものとなるから、漁業操業上の利益の喪失による損害を請求することはできず、これを請求できるのは共同漁業権を有する請求人のみであること、海面使用料に関する契約ないし請求はいずれも請求人が当事者となっていることからすれば、海面使用料は、砂利採取業者等から支払を受けた段階で請求人に確定的に帰属しているというべきである。

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平成17年9月21日裁決

滞納国税につき分割納付中になされた充当処分を適法とするとともに、委託納付は行政処分に当たらないとした事例

裁決事例集 第70集 1頁

要旨

 請求人は、自己の滞納国税を納付するため国税通則法第55条の規定に基づき約束手形1葉を納付委託するとともに、本件納付誓約書に基づき毎月分割納付を履行している最中であるにもかかわらず、原処分庁が、一方的に本件充当処分及び本件各委託納付を行ったのは、権利の濫用である旨主張する。
 しかしながら、本件充当処分は国税通則法第57条第1項の規定に基づくものであり、同項は、税務署長に対し、還付金等と納付すべきこととなっている国税とが同一の納税者について存在する場合に、還付金等を納付すべきこととなっている国税に充当することを義務付けるものである。また、納付委託により事実上納税が猶予されている滞納国税について、還付金等の充当を制限する旨の法律上の規定はないことから、本件充当処分について原処分庁がその権利を濫用したとは認められない。
 また、委託納付とは、納税者が、税務署長に対し、その受領すべき還付金等により未納の国税等の納付を委託したものとみなされ、同委託に基づき税務署長が同還付金等を同未納国税等に収納する手続を行うことをいい、これにより、法律上当然にその委託納付に相当する額の還付及び納付があったものとみなされる。そうすると、納付委託の効果は、法律上擬制される納税者自らの委託に基づくものであって、税務署長等による公権力の行使によるものではないから、「国税に関する法律に基づく処分」には該当しない。したがって、本件各委託納付に対する審査請求は不適法なものである。

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平成17年9月13日裁決

所得税の申告に際し、あたかも土地を有償により譲渡したかのように事実を仮装し、その仮装した事実に基づき架空の譲渡損益を計上し、納付すべき税額を過少に記載した内容虚偽の確定申告書を提出したことが重加算税の賦課要件を満たすとした事例

裁決事例集 第70集 73頁

要旨

 本件両土地に係る売買代金等の決裁は、金融機関からの請求人の妻及び長女名義の借入金によりそれぞれ行われているところ、当該借入金は、請求人名義の当座預金から振り出された小切手により預け入れられた定期預金を担保として借り入れられたものであり、さらに当該借入金は、請求人が、請求人の預金が化体した請求人の妻名義の定期預金を解約するなどして返済している。そうすると、本件両土地の売買代金等の決裁は、単に請求人が自己の資金を請求人の妻及び長女名義で使用した取引で還流させることにより創出したものであり、本件両土地の売買に関して代金の授受はなかったものと認められより預け入れられた定期預金を担保として借り入れられたものであり、さらに当該借入金は、請求人が、請求人の預金が化体した請求人の妻名義の定期預金をる。また、本件両土地の取引については、請求人自らの意思のみに基づき本件土地合意書を作成し、かつ本件両土地の購入代金に係る金融機関との借入れ、返済の事実関係を請求人がすべて現出させ、さらに本件両土地の管理状況等も取引の前後において変化がなく、乙土地の収益を自己の所得として確定申告していることが認められる。
 したがって、請求人は、あたかも本件両土地を有償により譲渡したかのように事実を仮装し、その仮装した事実に基づき架空の譲渡損益を計上し、納付すべき税額を過少に記載した内容虚偽の確定申告書を提出したものと認められる。
 よって、本件過少申告行為は、国税通則法第68条第1項の重加算税の賦課要件である「納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたこと」に当たる。

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平成17年9月12日裁決

請求人が返還を求めている土地を使用(占有)している者から受領した金員について、請求人が本件土地を自ら使用収益することができなくなったことの対価として支払われたものとするのが相当であることから、所得税法施行令第94条第1項第2号の規定に該当するとして、不動産所得の総収入金額とした事例

裁決事例集 第70集 87頁

要旨

  1. 争点
    (1)請求人が、その所有する土地を権原なく使用(占有)する者から損害賠償金として金員を受領している場合に、それが課税所得に該当するか否か。(争点1)
    (2)請求人に対する課税処分が違法であることを理由に督促処分の取消しを求めることができるか否か。(争点2)
  2. 請求人の主張
    (1)争点1について
     E社は、請求人とE社との間の本件土地に係る賃貸借契約が終了したにもかかわらず、長年にわたり使用(占有)し続けている。そのため、請求人は、本件土地を自由に使用することができない状況となり、多大な損害を被り、また、長年にわたり重い身体的負担を負い、心身に対して深刻な損害を受けている。本件金員は、E社が本件土地を明け渡すまでの間、請求人がE社から受けている損害に対する賠償金である。
     したがって、本件金員は、所得税法第9条第1項第16号に規定する非課税所得の損害賠償金に該当するから、本件金員を不動産所得の総収入金額であるとしてされた、本件課税処分は違法である。
    (2)争点2について
     上記(1)のとおり、本件課税処分は違法であるから、本件課税処分に基づく本件督促処分は違法である。
  3. 審判所の判断
    (1)争点1について
    イ 所得税法第9条第1項第16号、同法施行令第30条及び第94条の趣旨は、損害賠償が他人の被った損害を補てんし、損害がないのと同じ状態にすることを目的とするものであって、その間に所得の観念を入れることが酷であるから、これを非課税所得とし、他方、損害賠償金の名目で支払われたとしても、そのすべてが非課税所得になるわけではなく、本来所得となるべきもの又は得べかりし利益を喪失した場合にこれが賠償されるときは、喪失した所得(利益)が補てんされるという意味においてその実質は所得(利益)を得たのと同一の結果に帰着すると考えられるから、それを非課税所得としないとするものである。
    ロ これを本件についてみると、[1]請求人は、E社に対して、損害賠償金を請求するに当たって、本件土地をE社が使用(占有)することによる経済的損失に対する損害賠償の部分と精神的苦痛に対する損害賠償の部分とを明らかにしないで請求していること、[2]E社は本件和解において合意した賃貸借契約期間満了後も継続して本件土地を駐車場として使用し、請求人に対して、その使用の対価と称して本件金員を支払っていること、[3]請求人は、E社が支払う上記[2]の対価を損害賠償金として受領し、その増額を数度にわたり要求していること、[4]E社は、請求人に対して、本件和解に基づく賃貸借契約期間中は月額15万円を支払い、当該賃貸借契約期間満了後も毎月の送金を継続し、その金額を徐々に増額して、平成13年5月以降は月額35万円としていること、及び[5]E社は請求人の損害賠償金の増額要求に対して、送金している金額が周辺の土地事情からみても決して低い額ではない旨回答していることが認められる。
     上記[1]ないし[5]のとおり、本件金員の支払を求めた請求人の請求方法、本件金員の額及びその金額の変遷、本件金員の支払態様、支払者であるE社の認識などの事実を総合すると、請求人がE社から支払を受けている本件金員は、請求人がその心身に受けた損害を賠償するためのものでも、資産に加えられた損害につき支払を受ける見舞金でもなく、請求人の本件土地に対する使用収益を妨げて請求人の得べかりし利益を喪失させて生じさせた経済的損害を賠償するためのものであると認めるのが相当である。
     そうすると、本件金員は、損害賠償金ではあるが、本来所得となるべきもの又は得べかりし利益を喪失した場合にこれを賠償するためのものであるから、喪失した所得(利益)が補てんされるという意味においてその実質は所得(利益)を得たのと同一の結果に帰着すると考えられ、それは課税所得となるものというべきである。
    ハ そして、所得税法施行令第94条の規定によれば、本件金員は、請求人の業務の遂行により生ずべき不動産所得に係る収入金額に代わる性質を有するものというべきである。
    ニ 以上のとおり、本件金員は、所得税法第9条第1項第16号に規定する非課税所得の損害賠償金には該当せず、請求人の不動産所得の金額の計算上総収入金額に算入されることから、この点に関する請求人の主張を採用することはできない。
    (2)争点2について
     本件課税処分が適法であることは、上記(1)のとおりであり、原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、本件督促処分は、本件滞納国税がその納期限である平成16年9月30日までに完納されなかったことから、国税通則法第37条第1項の規定に基づいて行われたものと認められるので、本件督促処分は適法である。
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平成17年7月15日裁決

仕入れに係る歩引き及び売上げに係る歩引きは、金融取引(非課税取引)に該当せず、消費税法第32条第1項及び同法第38条第1項に規定する「対価の返還等」に該当するとした事例

裁決事例集 第70集 381頁

要旨

 請求人は、請求人の仕入れに係る歩引き(以下「本件仕入歩引」という。)及び売上げに係る歩引き(以下「本件売上歩引」という。)は、財務取引及び金融取引であるから、消費税法第32条第1項に規定する「仕入れに係る対価の返還等」及び同法第38条第1項に規定する「売上げに係る対価の返還等」には該当しない旨主張する。
 しかしながら、本件仕入歩引の額又は本件売上歩引の額は、市中金利の変動や通常の支払期日と実際に支払われた日との期間の日数の長短に対応して各月別に具体的に計算するのではなく、単に各月の取引金額に対して請求人と仕入先又は売上先との間で取り決めた歩引率を乗じて計算しているものにほかならない。
 本件仕入歩引又は本件売上歩引は、請求人と仕入先又は売上先との間において、手形ではなく現金で早期代金決済を行うことに対する奨励的な意味合いのもとに、買掛金又は売掛金の一部を減額するという決済条件の一つになっているものであり、その実質が値引き又は割戻しと同様であることから、消費税法第32条第1項に規定する「仕入れに係る対価の返還等」及び同法第38条第1項に規定する「売上げに係る対価の返還等」に該当すると認められる。

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平成17年7月8日裁決

A市土地開発公社が公有用地の代替地という目的で取得した土地は法人税法上も棚卸資産であり、法人税法第50条《交換により取得した資産の圧縮額の損金算入》第1項に規定する取得資産には該当しないとした事例

裁決事例集 第70集 225頁

要旨

 請求人が交換により取得した土地(以下「本件土地」という。)は、公有用地の代替地という目的で取得され、A市に引き取られることを予定された土地であることからすれば、販売用資産としての商品としてみるべきであり、本件公社が流動資産に計上した経理処理は相当であると認められる。さらに、取得後の事情の変化等によって、当初の保有目的が変更されたという事実も認められないことから(本件土地の賃貸借は、土地の積極的な利用の一環にすぎず、土地の最終的な利用の妨げとならない範囲で行われているものにすぎないから)、固定資産への区分変更は行われていないとするのが相当であり、請求人の主張する本件公社の性格及び本件土地の取得後の実態を検討してみても、本件土地を固定資産であると認定すべき事由は見当たらない。
 そうすると、土地開発公社経理基準要綱の定めに従った本件公社の経理処理を法人税法上も否定する理由はないから、本件土地を流動資産とした本件公社の経理処理については、法人税法上も相当と判断される。
 したがって、本件土地は、棚卸資産である販売用資産としての商品に該当するから、法人税法第50条の適用要件、すなわち、同条第1項に規定する「取得資産」は固定資産に限られるとする要件を満たしておらず、同条の規定の適用は認められない。

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平成17年7月7日裁決

権利関係が錯綜した貸宅地の評価について、財産評価基本通達によらず原処分庁側の鑑定評価額によることが合理的であるとした事例

裁決事例集 第70集 272頁

要旨

  1.  請求人らは、本件貸宅地については、財産評価基本通達(以下「評価通達」という。)に基づき算定した評価額は時価を超えている状態にあることから、評価通達によらず、他の合理的な方法に基づき時価を算定すべきであり、具体的には、R不動産鑑定士の鑑定評価額(以下「請求人ら鑑定額」という。)が時価である旨主張する。一方、原処分庁は、道路の用に供されている部分のある6区画については、L不動産鑑定士らの鑑定評価額(以下「原処分庁鑑定額」という。)を基としてその道路部分の鑑定額を補正した金額(以下「原処分庁評価額」という。)が、それ以外の2区画については原処分庁鑑定額が時価である旨主張する。
  2.  しかしながら、時価とは、当該財産の客観的な交換価値をいうものと解されるところ、課税実務上、土地等の評価については、評価通達に定められた画一的な評価方法が採用されているが、これは、個別に評価する方法を採ると、その評価方式、基礎資料の選択の仕方等により、評価額に格差が生じることを避けがたく、また、課税庁の事務負担が重くなり、回帰的かつ大量に発生する課税事務の迅速な処理が困難となるおそれがあることなどから、課税の適正や納税者間の公平を図ることが合理的であるという理由によるものと解される。
     ただし、評価通達に基づき算定された土地等の評価額が、客観的交換価値を上回るなど、評価通達に基づき評価することが著しく不適当と認められる特別な事情がある場合には、評価通達に基づく評価方法によらず、その他の合理的な評価方法により評価することができると解される。
  3.  本件貸宅地の評価額については、評価通達に基づき算定した評価額が、請求人ら鑑定額及び原処分庁評価額・原処分庁鑑定額のいずれをも上回っていることから、これらの鑑定額等について検討したところ、次のとおりである。
    (1)請求人ら鑑定額
     請求人ら鑑定額は、年間支払賃料を還元利回りで還元して算定した地代徴収権の価値と、更地価格を割引率で割り引いて算定した更地の復帰価値との合計額から、市場性の減退等を理由とした減額をして、底地価格を決定している。
     しかしながら、地代の還元利回りと更地への復帰価値を算定するための割引率とは異なる性質のものであるにもかかわらず、特段の理由もなく同一の利率を採用していることから、その利率は適切なものとは認められない。また、更地の復帰価値の基準となる更地価格の決定に当たって、鑑定評価を行う場合に規準としなければならないとされている地価公示価格を、数値の具体的な算定根拠が明らかでない個別格差を乗じて調整しているなど、その更地価格は合理性が認められない。更に、市場性の減退を理由とした減額にも具体的な根拠が示されていない。
     以上のことから、請求人ら鑑定額は採用することはできない。
    (2)原処分庁評価額・原処分庁鑑定額
     原処分庁鑑定額における底地価格の決定は、還元利回り、割引率、更地価格とも相当であり、請求人ら鑑定額に比べ合理性が認められる。
     しかしながら、原処分庁評価額は、原処分庁鑑定額において判定された道路部分の価値率10%を、評価通達の定めを準用して0%に置き換え、同鑑定額を補正して算定しているが、評価通達によらず不動産鑑定評価基準により評価するものであるから、単に、評価通達における取扱いを根拠として、当該価値率を0%とすることは相当とは認められない。道路部分の価値率は、原処分庁鑑定額が採用した10%とするのが相当である。
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平成17年7月4日裁決

譲渡した土地が使用貸借により親の居宅の敷地として利用されていた場合における当該土地の所得税基本通達38ー8に定める「使用開始の日」は、両親が当該居宅に居住を開始した日であるとした事例

裁決事例集 第70集 122頁

要旨

 譲渡した土地の取得費に算入される借入金の利子は、取得目的に応じた使用又は処分がされた日までの期間に対応する借入金の利子とされているが、土地の取得目的は主観的には一応定まっていても、潜在的な他の目的を排除し難い場合が多く、かつ、当初の取得目的がその後変更されることも少なくないことを考慮すると、土地の地目、形状等に照らし、客観的にみて使用の事実があったと判断されるときに、取得目的に応じた使用があったと認めるのが相当である。請求人は、親子という生活共同体の構成員として両親が居住するための建物の建築用地として本件土地を取得したものであり、本件土地は本件家屋の敷地の用に供されていることから、本件においては、請求人の両親が本件家屋を居住の用に供した日をもって本件土地を使用開始したとするのが相当である。

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平成17年7月1日裁決

請求人が被った紳士録の掲載料や登録抹消料として支出した金員に係る損失は、詐欺ないし恐喝により生じたものであるから雑損控除の対象とはならないとした事例

裁決事例集 第70集 144頁

要旨

 請求人は、「右翼団体系のLら(以下「本件加害者」という。)から、「人事録の掲載に係る年会費を支払わなければ、あちこちの団体が、場合によっては、勤務先や自宅に乗り込む」「人事録の木版を買い取れ」「ブラックブックという人名録の抹消料を支払え」などと次々脅迫を受け、請求人や家族の身の危険を感じ、本件損失に係る金員を支払ったものであり、自らの意思に基づいて現金を支払ったのではなく、本件加害者から抵抗不能の状態に陥るほどの暴行に等しい脅迫を受け、その結果、意思能力を欠き、現金を強取されたものであるから、本件損失は盗難により生じたものである。また、J警察署に届け出た「盗難による被害届」(以下「本件届出」という。)は、数度の事情聴取を受け被害の内容を十分承知しているJ警察署の担当刑事からの進言によるものであり、J警察署長はこれを受理し、本件届出を受理した旨の証明書(以下「本件証明書」という。)を交付しているのであるから、J警察署長は、本件損失を盗難によるものと認識しており、本件証明書はその事実を証明している。」旨主張する。
 しかしながら、所得税法第72条第1項の規定から、雑損控除の対象となる損失は、「災害又は盗難若しくは横領による」ものに限られると解されるところ、請求人は、[1]電話で脅迫されて本件損失に係る金員を支払っていること、[2]J警察署は、請求人が届出をした事件を、盗難事件ではなく紳士録の掲載料や登録抹消料として現金をだまし取る詐欺ないし恐喝による事件として捜査しており、本件届出は誤って受理され本件証明書が交付されたこと、[3]請求人が受けたという脅迫の内容及び態様が請求人の主張どおりであることからすると、本件加害者が、請求人の反抗を抑圧する程度の脅迫を加えたとは認められないから、本件損失は、請求人が現金を強取されたことにより生じたものではなく、詐欺ないし恐喝により生じたものとするのが相当であって、「災害又は盗難若しくは横領による」ものとは認められない。したがって、本件損失は、雑損控除の対象とはならない。

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