裁決事例 平成21年(2009年)

裁決事例 平成21年(2009年)

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平成21年12月17日裁決

請求人について、「著しい損失」は認められないものの、売上金額は著しく減少し、赤字の状態に陥っているから、国税通則法第46条第2項第4号に掲げる事実に類する事実があるとした事例

裁決事例集 第78集 43頁

要旨

 原処分庁は、①本件の調査期間と基準期間の損益及び売上げと②本件の特定調査期間と特定基準期間の損益及び売上げを比較すると、いずれも事業についての著しい損失及び著しい売上げの減少は認められないから、請求人には国税通則法第46条第2項第4号及び同号に掲げる事実に類する事実は認められない旨主張する。
 しかしながら、請求人に取引先の都合による販売委託契約の解除という損失原因が認められ、当該損失原因が発生した日が特定できるから、請求人の猶予該当事実の有無を判断するために用いる調査期間及び基準期間は、本件特定調査期間及び本件特定基準期間とすることが相当である。
 そこで、請求人が現金主義会計を採用し、決算期末に決算修正及び整理事項の調整を行っていることを考慮して、本件特定調査期間及び本件特定基準期間の経常損益等の金額を算出すると、請求人には、「著しい損失」は認められないものの、売上金額は著しく減少し、赤字の状態に陥っているから、請求人には国税通則法第46条第2項第4号に掲げる事実に類する事実があると認められる。

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平成21年12月16日裁決

請求人が買い受けた不動産の売買代金の支払に代えて引き受けた債務の免除は、請求人の経済的利益に当たるから、不動産所得の総収入金額に算入するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第78集 131頁

要旨

 請求人は、債務者をT、連帯保証人を請求人及びSとした本件債務承認弁済契約が約定どおりに履行されなかった平成7年12月末日において、約定利率の年14%について契約変更があったと解すべきであり、このことは、その後の交渉において、R社から年5.7%、年1%の遅延損害金の利率が提示されていることからも明らかであること、そして、請求人とR社との交渉の結果、遅延損害金の額は最終的に1,000,000円で確定し、請求人はこれを支払っているから、債務免除による経済的利益は生じていない旨主張する。
 しかしながら、本件債務承認弁済契約に係る遅延損害金の約定利率は、求償債務残元金が完済されるまで一貫して年14%であったことは明らかである。また、請求人がR社に1,000,000円を支払い、R社がTに対して有する遅延損害金の残額を免除したことにより、本件債務承認弁済契約上の債務者であるTの債務が消滅したものと認められる。そして、当該遅延損害金の債務免除によりTの債務が消滅すると、請求人が本件引受債務の履行を引き受けたことにより、Tに対して負っていた債務者の債務を履行するという債務も消滅することになり、債務者Tの債務を履行するという請求人の債務は、請求人の金銭的負担を必要とする債務であるから、この債務の消滅は請求人において経済的利益を受けたものと認められ、請求人が受けた経済的利益の額は、Tが免除された遅延損害金の額と同額である。
 したがって、請求人がR社に1,000,000円を支払ったことにより、R社がTに対して有する遅延損害金の残額を免除し、これにより請求人にこれと同額の経済的利益が生じたことは明らかである。
 そして、請求人が本件土地建物の売買代金の一部に代えて本件引受債務の履行を引き受け、その結果、経済的利益を受けたこと、請求人が本件建物を継続して賃貸の用に供していたことからすれば、請求人は不動産の貸付けに関連して当該経済的利益を享受していたと認められるから、当該経済的利益は不動産所得の付随収入として不動産所得の金額の計算上総収入金額に算入されることになる。

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平成21年12月15日裁決

相続により取得した土地は、いわゆるマンション適地等に該当するので、財産評価基本通達24-4に定める広大地に該当しないとした事例

裁決事例集 第78集 432頁

要旨

 請求人らは、請求人らの一人が相続により取得した本件土地(1,075平方メートル)の最有効使用は、本件土地が存する本件地域の状況及び本件土地の個別的要因を考慮すると、中高層の集合住宅等の敷地として利用することなく、建築資金が小額でリスクの小さい戸建住宅の敷地として利用することである旨主張する。
 しかしながら、本件地域では、①平成X年にその用途地域が住宅地域から近隣商業地域に変更され、建ぺい率は80%、容積率は300%と中高層の集合住宅等を建設することが可能であること、②平成X年以降、市に対して開発許可申請がなされていないことから、1,000平方メートル以上の土地について開発行為をした場合に公共公益的施設の負担が必要な開発は行われていないこと、③本件相続の開始以前10年間において、戸建住宅よりむしろ中高層の集合住宅等が多く建築されていることが認められる。次に、本件土地についてみると、本件土地の形状、接面道路の幅員、本件土地と接面道路との接する距離、接面道路と県道・国道との距離に加えて、容積率が300%と定められていることなどからしても、本件土地に中高層の集合住宅等を建築することに特段の支障を来す状況は見受けられない。なお、平成10年8月には、本件地域内の約830平方メートルの土地に11階建の事務所ビルが建築されており、本件土地と同規模の土地が細分化されることなく一体として利用されている。以上の事実を勘案すると、本件土地の最有効使用は、戸建住宅の敷地の用に供することではなく、中高層の集合住宅等の敷地の用に供することであると認められる。したがって、本件土地はマンション適地等に該当するので、財産評価基本通達24-4に定める広大地に該当するとして評価することはできない。

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平成21年12月11日裁決

E国法人に対して支払ったゲームソフトの開発委託費は、国内源泉所得である著作権の譲渡等の対価に該当し、非居住者等に対する源泉所得税の課税対象となるとした事例

裁決事例集 第78集 208頁

要旨

 請求人は、原処分庁がゲームソフトの開発委託契約(以下「本件開発委託契約」という。)に基づいて請求人がE国法人に支払った金員は国内源泉所得となる所得税法第161条第7号ロに規定する著作権の使用料又は譲渡の対価に該当するとして行った源泉所得税の納税告知処分等について、当該金員は開発委託に対する対価であるから源泉所得税の課税対象となる国内源泉所得に該当しない旨主張する。
 しかしながら、本件開発委託契約の目的は、E国法人が保有する原著作物を基礎とした新たなゲームソフトの開発及び販売であり、その本体をなす合意は、E国法人から請求人に対する当該ゲームソフトの二次的著作物に係る著作権の譲渡又は使用許諾であるといえるから、本件開発委託契約に基づいて支払った金員は、当該二次的著作物に係る著作権の譲渡又は使用許諾の対価にほかならないから、源泉所得税の課税対象となる国内源泉所得に当たるとみるのが相当である。

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平成21年12月7日裁決

年の中途で死亡した者の控除対象配偶者に該当するかどうかは、死亡時の現況により見積もったその年の1月1日から12月31日までの配偶者の合計所得金額により判定すべきであるから、配偶者控除は適用できないとした事例

裁決事例集 第78集 193頁

要旨

 請求人らは、所得税法第85条第3項において、年の中途において死亡した居住者の配偶者がその居住者の控除対象配偶者に該当するかどうかの判定は、死亡の時の現況による旨規定しており、居住者が死亡の時まで配偶者を扶養していたか否かによって判断されるから、当該判定に係る配偶者の合計所得金額の計算期間はその年の1月1日からその居住者の死亡の日までとなる旨主張する。
 しかしながら、合計所得金額を構成する所得税法第23条から第35条までの各種所得金額は、いずれも「その年中の」、すなわち、1月1日から12月31日までの収入金額又は総収入金額を基礎に計算されることから、それらの合計である合計所得金額についても1月1日から12月31日までの期間で計算されることとなる。そして、このことは、配偶者控除を受けようとする居住者が年中に死亡していたかどうかによって異なるものではない。

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平成21年12月2日裁決

確定申告書に外国税額控除を受けるべき金額の記載及び書類の添付をしなかったことについて、やむを得ない事情はないとした事例

裁決事例集 第78集 200頁

要旨

 請求人は、A国での所得に係る税金を故意に逃れたわけではなく、A国での所得が日本で課税の対象となることを知らなかっただけであるから、所得税法第95条第7項に規定する「やむを得ない事情」があったといえる旨主張する。
 しかしながら、所得税法第95条第7項に規定する「やむを得ない事情」とは、例えば、外国所得税を課されたことを証する書類を添付しようとしたが、外国政府の事務処理上の都合でこの書類の作成が遅れ、期限までに入手できず確定申告書に添付できなかった場合など、納税者の責めに帰すことのできない客観的事情をいい、納税者の法の不知や事実の誤認などの主観的事情はこれに当たらないと限定的に解するのが相当である。
 本件の場合、請求人において、確定申告書に外国税額控除を受けるべき金額の記載及び外国税額控除に関する書類の添付のいずれもしなかったのは、同人がA国での所得が日本で課税の対象となることを知らなかったことに基因するものであるところ、このことは、請求人の税法の不知という主観的な事情によるものであるから、請求人の責めに帰すことのできない客観的事情によるものということはできない。

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平成21年11月27日裁決

再生計画により免責された債務(部分)について、連帯保証人が保証債務を履行した場合でも、主たる債務者は連帯保証人に対し求償債務を負担しないことから、損金算入は認められないとした事例

裁決事例集 第78集 365頁

要旨

 請求人は、本件再生計画に基づき免責されたC銀行及びE銀行からの債務については、既に債務免除益として請求人の所得金額の計算上、益金の額に算入しており、この債務免除益と裏腹な関係にある本件求償債務について、請求人の損失と認識し、損金の額に算入することは当然のことである旨主張する。
 しかしながら、Dらは、C銀行に対する本件保証債務及びE銀行に対する本件保証債務のいずれに係る求償権についても、それを行使することはできないのであり、請求人において、その求償債務自体が発生していないところ、本件求償債務の存在を前提とする請求人の上記主張は、その前提において誤っており、その主張には理由がない。

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平成21年11月27日裁決

解散による清算所得の金額の計算において、残余財産の価額から控除する利益積立金額等の金額がマイナスの場合には、これを零円として計算することはできないとした事例

裁決事例集 第78集 397頁

要旨

 請求人は、利益積立金額等がマイナスの場合にその金額を零円として清算所得の金額を算定しないということは、過年度の損失であるマイナスの利益積立金に対し清算時に課税することといえ、これは、清算前の通常の事業年度でも課税しない損失に対して課税することを意味するものであり、また、資本金に対して課税することと同義であり、所得に対して課税するという法人税の根幹に反するものとなる旨主張する。
 しかしながら、清算の過程で実現したいまだ課税されていない資産の含み益のうち、いわゆる累積欠損金に相当する金額について課税するかしないかは制度上の問題であり、現行法人税法上、清算所得の計算において解散の時におけるマイナスの利益積立金額を零円とする特段の規定は存在しないところ、この計算の下で算出された清算所得の金額は、いわば法人が解散するまでに稼得した部分の金額でいまだ課税されていない資産の含み益にすぎないのであるから、この含み益には株主からの投下資本に相当する部分は含まれていないと解するべきであり、請求人の主張には理由がない。

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平成21年11月20日裁決

二以上の家屋が併せて一構えの家屋であると認められるか否かについては、まず、それぞれの家屋の規模、構造、間取り、設備、各家屋間の距離等の客観的状況によって判断すべきであり、個人及びその家族の使用状況等の主観的事情は二次的に考慮すべき要素にすぎないとした事例

裁決事例集 第78集 289頁

要旨

 租税特別措置法施行令第20条の3第2項及び第23条第1項は、個人がその居住の用に供している家屋を二以上有する場合には、本件特例の適用対象となる家屋は、主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋に限る旨規定しているところ、本件特例の適用対象となる家屋の判定に当たり、二棟以上の家屋が併せて一構えの家屋であるといえるか否かについては、まず、それぞれの家屋の規模、構造、間取り、設備、各家屋間の距離等の客観的状況によって判断すべきであり、個人及びその家族の使用状況等の主観的事情は二次的に考慮すべき要素にすぎないものと解するのが相当である。したがって、単にこれらの家屋がその者及びその者と同居することが通常である親族等によって機能的に一体として居住の用に供されているのみでは不十分であり、家屋の構造、規模、設備等の状況から判断していずれか又はそれぞれが独立の居住用家屋としては機能できないものでなければならない。そうすると、これらの家屋がそれぞれ独立の家屋としての機能を有する場合には、これらの家屋を併せて一構えの家屋であるとは認められず、その者が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋に限り、本件特例の適用対象となるというべきである。
 本件家屋の規模、構造、間取り、設備、各家屋間の距離並びに通常考えられる用法及び機能等を考慮すれば、本件A家屋と、本件BC家屋とは、それぞれ別個独立の家屋であると認められ、これらの各家屋を併せて一構えの家屋であるということはできない。そして、請求人は、妻及び長男と共に本件A家屋で日常生活を営んでいたのに対し、本件BC家屋は、もともと飲食店の店舗等として使用し、廃業後は、一部に荷物等をおいて物置に使用していたにすぎないから、請求人が主として居住の用に供していた家屋は本件A家屋であると認められ、本件BC家屋は本件特例の適用対象となる居住用家屋には該当しない。また、租税特別措置法施行令第20条の3第2項及び第23条第1項は、家屋のうちにその居住の用以外の用に供している部分があるときは、その居住の用に供している部分に限り、本件特例の適用がある旨規定しているところ、本件A家屋の2階の3室のうち、Kに賃貸していた1室及びLに賃貸し、同人の退去後に使用していなかった1室は、本件譲渡の以前に貸室とされており、請求人がこれを居住の用に転用し、ある程度の期間継続して居住の用に供していたとは認められないから、当該部分は「居住の用に供している部分」に当たらない。
 したがって、本件A家屋の1階の全部及び2階の1室並びに本件A家屋の敷地の用に供されている本件借地権のうちその居住の用に供していた部分に限り、本件特例を適用するのが相当である。

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平成21年11月16日裁決

本件和解は、本件不動産の持分2分の1が被相続人の相続開始日にさかのぼって利害関係人に帰属することを認めたものと解する余地はなく、将来に向かって新たな権利関係等を創設する趣旨のものであることから、国税通則法第23条第2項第1号にいう「和解」に当たらないとした事例

裁決事例集 第78集 1頁

要旨

 請求人らは、①本件和解調書には、利害関係人に対する本件死因贈与契約を無効である旨の一条項があるものの、実質的には本件不動産の持分2分の1が、相続人たる請求人らではなく、利害関係人に帰属することを認めたものというべきである、②仮に本件和解条項の文言のとおり、本件死因贈与契約が無効であるとしても、本件和解により請求人らが利害関係人に支払う解決金は、療養看護の対価であり、被相続人が負担すべき債務として相続開始日において存在したものというべきであると主張し、本件和解により、申告に係る課税標準又は税額の計算の基礎となった事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したと主張する。
 しかしながら、本件和解条項は、本件死因贈与契約が無効であること及び本件不動産が請求人ら及び共同相続人Jに帰属することを確認したものであることが明確であり、これは、請求人らが申告の基礎とした事実と同一であり、本件和解条項を、本件不動産の持分2分の1が被相続人の相続開始日にさかのぼって利害関係人に帰属することを認めたものと解する余地はない。また、本件解決金は、請求人ら及び共同相続人Jが、利害関係人に対し、同人が被相続人の療養看護をしてきたことを認めて支払うことを合意したものであって、被相続人が、相続開始時において、利害関係人に支払うべきであったものとは認められない。したがって、本件和解により、申告に係る課税標準又は税額の計算の基礎となった事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとは認められない。

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平成21年11月13日裁決

同族会社の判定の基礎となった株主が当該同族会社に無償で貸与していた不動産が、当該同族会社の事業の遂行に欠くことができない重要な財産に当たるとした事例

裁決事例集 第78集 509頁

要旨

 国税徴収法第37条の「事業の遂行上欠くことのできない重要な財産」の範囲は、その事業の形態によりその財産が納税者の事業の遂行上果す役割いかんにより定まるので、これを一律に定めることはできないが、同条の趣旨に照らせば、その財産がないものとした場合において、その事業の遂行ができなくなるか又はできないおそれがある状態になると認められる程度に当該財産と事業が密接な関連性を有していれば、当該財産は、その事業の遂行に欠くことができない重要な財産に当たると解するのが相当である。
 これを本件についてみると、本件滞納法人の事業は、もともと、自ら生産した原料鶏卵を自己の工場で液卵に加工してV社に販売するというものであったが、N社との取引を開始した後は、同社に原料鶏卵を卸す一方、同社から、原料鶏卵の重量に見合う液卵を、X社を介して仕入れ、V社に販売するようになったものであることが認められる。そうすると、原料鶏卵の生産と液卵の販売とは、別個独立の事業ではなく、相互に関連しており、鶏卵を取り扱う一体の事業であったというべきである。そして、本件各不動産が事業に供されていた期間はそれぞれ異なるものの、平成15年8月期及び平成16年8月期における原料鶏卵の売上げの90%以上は、N社に対するものであり、これらが本件各不動産から出荷されていることからすれば、本件各不動産がなければ、本件滞納法人は、上記事業を遂行できなくなるおそれがあったと認められるから、本件各不動産は、本件滞納法人の事業遂行上不可欠な重要財産に当たるというべきである。

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平成21年11月10日裁決

宗教法人が所有し、主に葬儀会場及び法要会場等として使用されている建物の敷地が差押禁止財産に当たらないとした事例

裁決事例集 第78集 536頁

要旨

 宗教法人である請求人は、本件各土地は、宗教法人法第83条に規定する礼拝の用に供する建物の敷地に当たるから、差し押さえることができない旨主張する。
 しかしながら、本件各土地は、主に葬儀会場及び法要会場等として使用されている本件建物と一体として使用されていると認められるところ、たとえこれらが同法に規定する境内地に当たるとしても、仏像、位牌、神体、仏具、神具等で現に信仰又は礼拝の対象となっているものとは異なり、寺院の本堂、庫裏などと同様に、礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことができない物とは認められないから、国税徴収法第75条第1項第7号に規定する「その他礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことができない物」には当たらず、また、その他の差押禁止財産にも当たらない。さらに、宗教法人法第83条は、私法上の金銭債権に関する規定であるところ、国税債権は私法上の金銭債権ではないから、同条の規定は、本件差押処分には適用されない。

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平成21年11月10日裁決

請求人がした霊園用土地の買取り及び販売は、土地を買収してこれを造成し譲渡するものであるから、収益事業(不動産販売業)に該当するとした事例

裁決事例集 第78集 309頁

要旨

 請求人は、墓地の販売権すなわち永代使用権を譲渡したにすぎないから請求人の行為は収益事業に当たらない旨主張する。
 しかしながら、請求人は、霊園売買契約書に基づき、県から開発行為の許可を取得し、多数の地権者から本件土地を購入し、当該土地を墓地に造成した上でこれを譲渡している。これらの請求人の行為は、住宅団地を造成し譲渡する行為や工業団地を造成し譲渡する行為などと同様に、土地を買収してこれを造成し譲渡するものであるから、一般私企業との間で競合関係を有する不動産販売業に当たり、さらに、継続して事業場を設けて営まれていたと認められるから、収益事業に当たるというべきである。

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平成21年11月6日裁決

請求人が構成員となっているLLCから受ける配当に係る収入金額は、請求人に配分されたインセンティブ配分額の全額であるとした事例

裁決事例集 第78集 95頁

要旨

 LLCの構成員である請求人は、オフショア投資ファンドから当該LLCに対して配分されたインセンティブ再配賦額につき請求人に配分されたインセンティブ配分額は当該LLCの内部計算にすぎず、配当支払請求権として独立した債権として成立するものではないから、当該インセンティブ配分額のうち現実に払戻しを受けた金額のみが請求人の配当所得の収入金額となる旨主張する。
 しかしながら、①請求人はその年分に配賦を受けるインセンティブ配分額の見込額等につき毎年当該LLCの担当者から連絡を受けること、②通知されたインセンティブ配分額については、たとえ投資ファンドの成績が悪化したとしても返還する義務はないこと、③請求人は通知を受けたインセンティブ配分額について確定額の範囲内であれば払戻金額を自由に設定することができ、申し出る金額に上限はないこと、④請求人が払戻しを要求した額について送金に応じられなかったことはないことなどの事実が認められ、これらを併せかんがみれば、請求人には、当該インセンティブ配分額の全額について払戻しを受ける権利が生じたというべきである。

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平成21年11月6日裁決

請求人が監査役に対して支出したとする役員報酬は、取締役に対する報酬を監査役に対する報酬と仮装して経理したと認められることから、損金算入は認められないとした事例

裁決事例集 第78集 349頁

要旨

 請求人は、その監査役である代表者の父及び義姉に対する役員報酬について、両監査役が監査役として就任し登記されている以上、報酬の支給が行われて当然であり、両監査役は、商法上の責任の対価としても報酬を受給する権利があるから、当該報酬の額は損金の額に算入されるべきであり、また、当該報酬を代表者の妻である常務が費消していたのは、当該報酬の額の一部を常務を通じて実際に両監査役に対して支給し、その残額を両監査役から代表者が借り受けていたものである旨主張する。
 しかしながら、監査役に対する報酬として請求人が支出した金員の全額について、常務は、現金で直接受領し、自己の預貯金口座に入金するなどして管理し、自らの支払に費消していたこと、本件金員は常務の意思により管理し自由に費消可能な状態にあったこと、代表者と両監査役との間に本件金員に関する金銭消費貸借の事実も認められず、両監査役が実際に監査業務に従事しておらず、常務が監査業務を行っていることなどの諸事情を併せ考慮すれば、本件金員が、常務に対して支給されたものであり、請求人から常務に対する報酬と認めるのが相当であり、また、本件金員を請求人が両監査役に対して支給したとしていたことは、常務に対する報酬を監査役に対する報酬に仮装して経理していたと認められる。

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平成21年11月6日裁決

請求人について、売上げの減少や経費の増加の程度が著しいとは言い難く、利益については赤字の状態に陥ったとは認められないから、国税通則法第46条第2項第5号に規定する同項第4号に類する事実(事業についての著しい損失に類する事実)があったとは認められないとした事例

裁決事例集 第78集 30頁

要旨

 請求人は、①国税庁が定める納税の猶予等の取扱要領(以下「猶予取扱要領」という。)第2章第1節1の(3)のヘの(ハ)では、「納税者に事業上の著しい損失に類する事実があったこと」とは、「従前に比べ売上げの減少等の影響を受けたこと」と定めているから、比較の対象は調査日前1年間(調査期間)の直前の1年間(基準期間)より広いことは明らかであり、売上げの減少等の程度が著しいことまでを要件とするものではないところ、②平成19年分と平成13年分を比較すると、売上金額及び粗利益金額が明らかに減少した事実があるので、国税通則法第46条第2項第5号に規定する同項第4号に類する事実(以下「5号該当(4号類似)事実」といい、第4号で規定する事実を「4号該当事実」という。)がある旨主張する。
 しかしながら、猶予取扱要領にいう「従前」とは、4号該当事実の原則的な判定方法と例外的な判定方法の基礎となる期間を示していると解するのが相当であり、5号該当(4号類似)事実とは、自己の責に帰すことができないやむを得ない事由による著しい売上げの減少や著しい経費の増加をいい、利益の現象による5号該当(4号類似)事実があるというためには、著しい赤字の状態が生じたとまではいえないが、それに近い赤字の状態が生じていることが必要であると解されるところ、本件調査期間と本件基準期間を比較すると、売上げの減少や経費の増加の程度が著しいとは言い難く、利益については赤字の状態に陥ったとは認められないから、請求人には、5号該当(4号類似)事実があるとは認められない。

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平成21年10月28日裁決

法人の代表者が当該法人所有の資産を無償で専属的に利用したことは、経済的利益を享受していることに当たるから、源泉所得税の課税対象となるとした事例

裁決事例集 第78集 237頁

要旨

 請求人は、本件家具等は、請求人が宗教活動の用に供するために取得し、装飾や請求人の来客用等として本件マンション内に設置され、直接的あるいは間接的に宗教活動の用に供されるものであって、代表者に貸与したものではない旨主張する。
 しかしながら、本件マンションの間取りは居住用であり、代表者が一人で居住していることや宗教活動の用に供された事実がないことなどからすると、本件マンションは、その全体が専ら代表者の居住の用に供されていたと認められ、そうすると、本件マンション内に設置されている本件家具等は、請求人が、代表者が使用する目的で購入して代表者に貸与し、これを代表者が専属的に使用していたものと認めるのが相当である。
 そして、代表者は、請求人に対し、本件家具等の使用料名目での金員の支払をしておらず、また、本件マンションの賃貸料にも、本件家具等の使用料は含まれていないというべきであるから、本件家具等は、請求人から代表者に対して無償で貸与されていると認められ、代表者はこれにより通常支払うべき対価に相当する利益、すなわち本件家具等の使用に係る経済的利益を享受しているというべきである。

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平成21年10月23日裁決

建物賃貸借契約の合意解約に伴う残存期間賃料は、中途解約に伴う賃料収入に対する補償であり、不動産の貸付けにより生ずべき収入金額に代わる経済的利益と認められるから、不動産所得の総収入金額に当たるとした事例

裁決事例集 第78集 114頁

要旨

 請求人は、本件建物を処分する方法として、本件建物を売却し、その敷地について利用権を設定するとともに、請求人が支払うべき敷金及び保証金の精算をするという一連の取引を、①本件合意解約、②本件借地権付区分所有建物売買契約、③本件土地賃貸借契約という3つに分割して行ったものであるから、上記各契約を独立した取引と解釈すべきではなく、一連の取引として一体として捉えるべきであり、そうすると、本件建物賃貸借契約の合意解約に伴い生じた本件残存期間賃料は譲渡所得と見るべきであり、不動産所得には該当しない旨主張する。
 しかしながら、上記①ないし③の各契約はいずれも別個の契約であり、各契約を一個の契約であると認めるべき特段の事情があるとも認められない。本件残存期間賃料は、建物賃貸借期間を20年とし、賃貸借期間中は契約解除をなし得ない旨定めていた本件建物賃貸借契約につき、両当事者の合意により、賃貸借契約期間の満了を待たずして本件建物賃貸借契約を合意解約することに伴い、その合意解約の約定において確認された残存期間賃料に相当するものである。そうすると、本件残存期間賃料の性質は、中途解約に伴う賃料収入に対する補償であり、不動産の貸付けにより生ずべき収入金額に代わる経済的利益と認められるから、本件残存期間賃料は不動産所得に該当する。

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平成21年10月23日裁決

本件家屋に賃借人が住んでおらず、家賃が未払等であっても、賃貸借契約は継続していると認められることから、本件家屋は貸家として評価すべきであるとした事例

裁決事例集 第78集 448頁

要旨

 原処分庁は、本件家屋について①平成17年1月以降公共料金の使用実績がないこと、②賃料の支払を確認できないこと及び③請求人の被相続人の母親が死亡してからは貸しておらず空家であり、本件相続開始日において貸していない旨の原処分庁の調査担当者に対する申述をもって、賃貸されていたとは認められない旨主張する。
 しかしながら、仮に賃借人が電気、ガス、水道を使用していなかったとしても、不在により使用がなかったにすぎず、本件家屋が賃貸借の目的となっていない理由とはならず、また、賃料の支払を確認できないことについては、確かに、平成10年1月以降支払われていないことが認められるが、被相続人が賃借人に対し借地借家法第26条第1項及び第27条第1項に規定する解約の申入れをした事実は認められず、借地借家法には賃料が未払である事実があれば解約されたものとみなす規定もないから家賃が未払になった後も賃貸借契約は継続していたというべきである。さらに、請求人の原処分庁の調査担当者への申述についても賃借人が平成9年7月以降平成21年4月ころまでの間も本件家屋に荷物を置いて同所を占有していたこと、賃借人が父親の死亡後に被相続人から本件家屋を賃借したものであり、請求人も平成21年4月ころ、賃借人から残置家財の放棄承諾書の送付を受けるなど同人の適法な占有を前提とする行為をもしていることと整合せず、本件家屋が本件相続開始日において賃貸の用に供されていないことを裏付けるに足りるものとはいえない。したがって、これらの原処分庁の主張は採用することはできず、本件家屋は相続開始日において賃貸借の目的となっている貸家であると認められる。

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平成21年10月16日裁決

公正処理基準に反しない会計処理の方法により決算を確定させて確定申告を行った後に、その会計処理方法を遡及して変更することは許されないとした事例

裁決事例集 第78集 340頁

要旨

 請求人は、確定申告において本件事業年度の決算月(12月)の給与計算期間の締切日後の期間(12月16日から同月31日)に係る期末未払給与の額は期中に債務として確定しているから、前事業年度の期末未払給与の額との差額(以下「本件期末未払給与差額」という。)を当事業年度の損金の額に算入すべきである旨主張する。
 しかしながら、法人税法第22条第4項に収益の額及び損金の額は「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」(以下「公正処理基準」という。)に従って計算されるものとするとあるのは、法人が採用した会計処理の方法に客観的、常識的にみて規範性があり、これが公正処理基準に該当すると認められるものであれば、法人の会計がそれに従っている限り、それを認めていこうとする態度を明らかにしたものであると解するのが相当であるが、請求人が多年にわたり採用してきた経理慣行に従って、期末未払給与の額を現実に支払った日の属する事業年度の損金の額に算入することは、客観的、常識的にみて規範性があると認められ、また、企業会計原則に定める重要性の乏しいものは未払費用等として処理しないことができるとするいわゆる重要性の原則に照らしてみても公正処理基準に反するものということはできない。そして、法人税法第74条第1項において、確定した決算に基づき当該事業年度の課税標準である所得の金額又は欠損金額及び所得の金額に対する法人税額を記載した申告書を提出しなければならないと規定されており、確定申告後に確定申告の基礎とされた決算における会計処理の方法を変更することは原則として許されないものというべきであるところ、請求人が、多年にわたって採用してきた公正処理基準に反しない経理慣行に従って損益計算をし、これに基づいて確定申告をした後に至って、本件事業年度にさかのぼって会計処理の方法を変更し、改めて損益計算をして本件期末未払給与差額を本件事業年度の損金の額に算入することは認められず、請求人の主張には理由がない。

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平成21年10月14日裁決

労働者派遣事業を営む審査請求人が派遣労働者に支払う金員は、雇用契約又はこれに類する原因に基づき、労務の対価として請求人から本件派遣労働者に支給されたものであり、所得税法第28条第1項に規定する給与等に該当するものと認められることから、 課税仕入れに当たらないとした事例

裁決事例集 第78集 488頁

要旨

 請求人は、本件派遣労働者に対する業務上の指揮命令権はすべて本件派遣先にゆだねられており、また、労働者派遣法において派遣先にも一定の義務を課しているのは、請求人が本件派遣労働者に対してすべての責任を負うものではないことを裏付けたものであるから、請求人と本件派遣労働者との関係は、雇用として認識するより業務請負と考えるべきであり、本件金員は外注費(本件派遣労働者からのサービスの提供に対する対価)である旨主張する。
 しかしながら、請求人と本件派遣労働者との間には雇用関係が成立しており、本件派遣労働者は、請求人との雇用関係の下に、請求人の指揮命令に従うほか、本件派遣先の指揮命令を受けて、当該派遣先のために労働に従事していたものと認められ、本件金員は、請求人と本件派遣労働者との雇用契約又はこれに類する原因に基づき、請求人の指揮命令に服して提供した労務の対価として請求人から本件派遣労働者に支給されたものであり、所得税法第28条第1項に規定する給与等に該当するものと認めるのが相当である。
 したがって、本件金員を対価とする役務の提供を受けることは、消費税法第2条第1項第12号に規定する課税仕入れに当たらないので、同法第30条第1項に規定する課税仕入れに係る消費税額の控除をすることはできず、請求人の主張は、独自の見解というべきであって、採用することはできない。

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平成21年10月9日裁決

職務発明に係る特許を受ける権利を勤務先に承継させた者の相続人が、特許を受ける権利の対価に係る訴訟上の和解により取得した金員は、その相続人の雑所得に該当するとした事例

裁決事例集 第78集 172頁

要旨

 請求人は、E社との和解によって受領した金員は、請求人の死亡した子Dがした職務発明による特許を受ける権利のE社への承継に際し一時に受けるべき対価の修正追加支払額であることから、Dに帰属し、Dの当該権利の承継が行われた年分の譲渡所得であるので請求人には課税されない旨、及び、請求人に所得税が課税されるとしても、発明者の相続人である請求人にとっては対価性がなく、訴訟により請求人が獲得したもので継続性がないから、当該金員は一時所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、当該職務発明に係る対価請求権のうち、特許を受ける権利を使用者等に承継した後に支払われる不足額部分については、承継時には、対価の額は未実現(未確定)であるため、直ちにその全部について権利行使(権利の実現)することは困難であり、このような段階では、当該対価請求権は法的には発生していても、いまだ権利実現の可能性を客観的に認識することができるとはいえず、当該金員は、和解成立時に収入の原因となる権利が確定したと認められるから、請求人の平成19年分の所得とみるのが相当である。
 また、対価性とは、専ら、当該給付が役務行為又は資産と対価性があるか否かによって定められるべきであり、当該役務行為又は資産の譲渡の主体が相続人たる請求人であるか被相続人であるかはその判断に影響を与えるものではない。
 そうすると当該金員は、特許法第35条第3項の相当の対価の不足額を求めた訴訟により金額が確定した金員であり、特許を受ける権利を使用者に承継したことに伴い、使用者が当該権利を独占的に利用する権利を取得し、その金額は承継後に使用者が獲得した利益の実績に基づいて算定されるべきものであり、その実質は使用者に承継した特許を受ける権利の対価であることに疑いはないから、対価性があると認められ、これを一時所得と解することは相当でない。
 したがって、当該金員は、利子所得ないし一時所得のいずれにも該当しない所得であるから、雑所得に該当する。

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平成21年10月8日裁決

請求人がした国に対する土地の譲渡は、国からの買取り等の申出のあった日から6か月を経過した日までに行われたものではないので、収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除の特例は適用できないとした事例

裁決事例集 第78集 275頁

要旨

 租税特別措置法第33条の4第3項第1号は、公共事業施行者から当該資産につき最初に買取り等の申出のあった日から6か月を経過した日までに当該資産が譲渡されなかった場合には、同法第1項に規定する特別控除の特例(以下「本件特例」という。)は適用されない旨規定しているが、これは、公共事業施行者の申出に応じて資産の早期譲渡に協力した者に対してのみ、その補償金等に対する所得税について特別の優遇措置を講じることにより、公共事業の円滑な施行を図ることとした趣旨であり、ここにいう「買取り等の申出のあった日」とは、原則として、公共事業施行者が、資産の所有者に対し、①買取り資産を特定し、②その対価を明示して、③その買取り等の意思表示をした日をいうものと解するのが相当である。
 これを本件についてみると、本件公共事業施行者は、請求人に対し、本件買取り申出書面及び本件補償額明細書において、①買取り資産を特定し、②その買取り等の意思表示をし、請求人は、平成15年5月31日にこれを受け取ったことが認められるから、本件譲渡資産について買取り等の申出のあった日は平成15年5月31日であると認められる。そして、請求人が本件売買契約を締結したのは、平成16年3月29日である。そうすると、請求人は、本件譲渡資産を、最初に買取り等の申出のあった日から6か月を経過した日までに譲渡していないから、本件土地代金に係る譲渡所得の金額の計算上、本件特例を適用することはできない。

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平成21年10月6日裁決

非永住者の判定上、過去に外交官として日本に派遣されていた期間は、「国内に住所又は居所を有していた期間」に該当するとした事例

裁決事例集 第78集 87頁

要旨

 請求人は、在日A国大使館において外交官として勤務した期間中、専らA国において所得税を課せられ、日本において課税されていなかったこと、日○租税条約第○条及びウィーン条約第34条は、双方居住者としての二重課税を防止するために、派遣先国における居住者としての税務上の地位を排除していると解されることを理由に、所得税法第2条第1項第4号の「国内に住所又は居所を有していた期間」の判定に際し、当該期間を算入することは認められない旨主張する。
 しかしながら、所得税法においては、外交官について、我が国の居住者として扱わない旨の規定はなく、所得税法第9条第1項第8号の規定及び所得税基本通達9-11の定めは、外交官がそれぞれの国の主権を代表する者である点を考慮し、国際慣例に従い、所得税の課税を免除する趣旨であり、外交官として本邦に赴任している期間中、これを居住者としないことまでを定めたものではない。
 また、ウィーン条約第34条及び日○租税条約第○条は、外交官に対して、派遣先国内に源泉がある個人的所得等の特定の租税、賦課金を除き、派遣先国においてすべての賦課金及び租税を免除することを定めているにすぎず、外交官が派遣先国において居住者として扱われないことまで定めたものではない。
 日本国籍を有しない居住者が非永住者に該当するか否かは、過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下であるか否かにより決するものであるところ、請求人は、本件勤務期間中、本邦に住所を有していたと認められ、当該期間は5年を上回るから、本件期間においては、非永住者以外の居住者と認められる。

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平成21年9月18日裁決

消費税の控除対象仕入税額の計算方式について、一括比例配分方式を選択して申告した後に、更正の請求により個別対応方式に変更することはできないとした事例

裁決事例集 第78集 500頁

要旨

 請求人は、①消費税の導入の趣旨に反して、消費税等相当額の負担を強いられていること、②一括比例配分方式は簡便法であって、個別対応方式こそが原則的な控除対象仕入税額の計算方法であること、③請求人の控除対象仕入税額は、本件税理士の責めに帰すべき事由により、請求人に不利な計算方法により算定されていることから、本件更正の請求において、控除対象仕入税額の計算方法を一括比例配分方式から個別対応方式へ変更することができる旨主張する。
 しかしながら、納税者が消費税法第30条第4項の規定の適用を選択して一括比例配分方式により控除対象仕入税額を算定し確定申告をした場合には、更正の請求において、控除対象仕入税額の計算方法を一括比例配分方式から個別対応方式へ変更することはできないと解されるところ、請求人は、同項の規定の適用を選択して一括比例配分方式により控除対象仕入税額を算定し確定申告をしたものと認められることから、本件更正の請求において、控除対象仕入税額の計算方法を変更することはできない。
 また、上記①については、請求人が、課税仕入れについて、用途区分を明らかにしてさえいれば、いずれの計算方法を選択するのが税負担の面で有利であるかは、法定申告期限までに容易に判明することであること、上記②については、本件両方式のいずれの計算方法により控除対象仕入税額を算定すべきかは、いずれの計算方法が原則的な計算方法であるかによって決せられるものではなく、請求人がいずれの計算方法により控除対象仕入税額を算定して確定申告をしたかによって決せられるものであること、上記③については、請求人は、自己の意思と責任において本件税理士に税務代理を委任したものである以上、受任者である本件税理士の行為は委任者である請求人の責任の範囲内の行為と認められることから、請求人の主張にはいずれも理由がない。

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平成21年9月17日裁決

請求人が締結したビジネス専門学校との講師契約は、請負契約あるいはそれに類似する契約と認められるので、請求人が行った講義は消費税法に規定する「事業として」行われたことに該当するとした事例

裁決事例集 第78集 473頁

要旨

 消費税法第2条第1項第9号は、「課税資産の譲渡等」とは、「資産の譲渡等のうち、同法第6条第1項の規定により消費税を課さないこととされるもの以外のものをいう」とし、同法第2条第1項第8号は、「資産の譲渡等」とは、「事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいう」と定義している。
 そして、消費税法第2条第1項第8号に規定する「事業として」につき、消費税法基本通達5-1-1は、「対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供が反復、継続、独立して行われることをいう」と定めているところ、消費に広く負担を求める消費税法の趣旨・目的に照らして、当審判所においても、この解釈は妥当と認められる。
 請求人は、本件講義を反復、継続して行っていたと認められる。また、本件講義については、請求人の裁量が広く認められており、本件講師契約の実質が雇用契約あるいはそれに類似するものではなく、請負契約あるいはそれに類似するものであることからすれば、請求人の役務の提供については消費税法における「事業」というに足りる独立性が認められるというべきである。
 したがって、請求人が本件講義を行ったことは、消費税法基本通達5-1-1に定める対価を得て行われる役務の提供が反復、継続、独立して行われたことに該当するのであるから、消費税法第2条第1項第8号に規定する「事業として」行ったことに該当する。

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平成21年9月16日裁決

解散が見込まれている関連会社に増資払込みを行い、同社の清算結了により当該払込金を投資損失として損金の額に算入した行為は、純経済人として不自然・不合理な行為であり、法人税を不当に減少させるものであるから、当該投資損失(清算配当金控除後)の金額は損金の額に算入されないとした事例

裁決事例集 第78集 376頁

要旨

 請求人は、請求人が債務超過の状態にあるG社の増資(以下「本件増資」という。)を引受け、これに係る本件増資払込金を同社の清算結了により投資損失(以下「本件投資損失」という。)として処理したことについて、本件増資は株主の判断として通常なされる取引であり、また、請求人において発生が懸念される追加の損失や信用の失墜を最小限に食い止めるために行った本件投資損失の負担は経済的合理性があるから、本件増資払込金の支払は、法人税法第37条第7項に規定する寄附金に該当しないし、通常の経済人では行うことのない不自然、不合理な行為ではなく、法人税法第132条の同族会社の行為計算否認規定の適用はない旨主張する。
 しかしながら、請求人は、G社が営業休止、解散に向けた事務処理を行っているにもかかわらず、特段の事情も無く、第三者割当による有償増資に応じていること、また、請求人と関連会社で代表者が共通しているものの、資本関係や資金融通関係も無く、取引も少額であり、請求人が増資を引き受けなければならない必要性も無いことから、請求人が本件増資払込金を支払ったことは、純経済人の行為として不合理、不自然なものであり、これを投資損失として処理し、清算配当金との差額を損金の額に算入して法人税の確定申告し、法人税を不当に減少させていると認められるから、法人税法第132条の同族会社の行為計算否認規定の適用により当該金額については損金の額に算入することは認められない。

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平成21年9月10日裁決

請求人が海外に在留して報酬を得ていた期間は、請求人は国内に生活の本拠を有していなかったから、当該期間の請求人は非居住者に該当するとした事例

裁決事例集 第78集 63頁

要旨

 平成16年9月13日から平成18年6月8日までの期間における請求人の日本への滞在は、月に1回程度の頻度、主として週末を含む1日間から5日間にすぎないものであり、P市S町(日本)に所在する家屋は、請求人の妻が勤務先から社宅として賃借していたものであって、生活用動産が運搬されていなかったのも、妻及び子らが同所での生活に必要であったためと推認されることなどを考慮すると、当該家屋の所在地が請求人の日本滞在中の生活拠点であったことは認められるものの、請求人の生活の本拠が当該所在地にあったものと直ちに判断することまではできない。
 また、各コンサルティング契約はコンサルティング業務を国外に所在する事務所内で常勤で提供することを内容とするものであったこと、請求人は契約期間の大部分を国外で過ごしていることからすると、請求人は、主として国外において当該コンサルティング契約に係る業務を提供していたものと認めるのが相当であり、請求人が対外的に上記家屋内に事業所を置くコンサルタントであり事業主であるとしていたことをもって直ちに、請求人の職業的基盤が日本にあったとまで認めることはできない。
 さらに、請求人と生計を一にする妻は勤務先を休業し、一定期間子らとともに国外に滞在し請求人と起居を共にしたが、妻らの国外滞在は一時的なものであったと認めるのが相当であるから、請求人は国内に生計を一にする親族を有していたというべきであるところ、妻が休業中においても上記家屋の貸与を受けそこに居住を続けたのは、飽くまで妻の従業員としての選択・判断であると認められ、その選択・判断が、上記期間における請求人の生活の本拠を確保することを目的としてなされたものと認められないから、妻らが日本国内に居住していたことが請求人の生活の本拠が当該家屋にあったことを裏付ける重要な事実であるとまでは認め難い。
 また、請求人は現金及び銀行口座の預金を除き、日本国内に資産を保有していなかったところ、通常、預金口座を管理するために日本国内に生活の本拠を置く必要性はないことから、日本国内の資産の所在をもって、直ちに請求人の生活の本拠が上記所在地にあったとまでは認められない。
 上記の各点を総合勘案すれば、上記期間において請求人の生活の本拠が上記家屋にあった、又は、当該家屋に相当期間継続して居住していたと認定するのは困難であり、請求人は、非居住者に該当するといわざるを得ない。

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平成21年9月9日裁決

請求人の従業員が貯蔵品を売却したことによる収益は、取引を行った従業員の地位・権限などを総合考慮すれば、請求人の売上げとはいえないことから、請求人には帰属しないとした事例

裁決事例集 第78集 327頁

要旨

 原処分庁は、請求人の元課長が、請求人の印刷用紙を売却した取引(以下「本件紙取引」という。)は、請求人の事業の一環として行われたものと認められるから、本件紙取引に係る収益は、請求人の売上げである旨主張する。
 しかしながら、①元課長は、経営に従事する立場にはなく、また、本件紙取引の対象となった印刷用紙の払出しの指示を出す業務を行ってはいたものの、印刷用紙の保管及び管理に関する業務を遂行する職務及び権限を請求人から与えられておらず、印刷用紙を自己の判断で売却する権限を有していなかったこと、②本件紙取引は、元課長が、請求人から窃取した印刷用紙を、実在しない名義を使用して売却したものであること、③請求人は、印刷の請負及び製本紙器の製作等を目的とし、印刷用紙の販売を目的としていない上、本件各事業年度において、請求人が印刷用紙を他に販売した事実はなく、外注先に対し有償で支給した事実もなかったこと、④本件紙取引の相手方は、本件紙取引が請求人との取引であるとは認識していなかったことがそれぞれ認められるところ、以上のことを総合考慮すれば、本件紙取引に係る収益は、請求人の売上げとはいえないから、原処分は取り消すのが相当である。

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平成21年8月28日裁決

無効な行為により生じた経済的成果がその行為の無効であることに基因して失われたことによる返還債務は、それが現実に返還されるまでは担税力があり、現実に返還したときに必要経費に算入されるとした事例

裁決事例集 第78集 152頁

要旨

 請求人は、所得税法施行令第141条第3号の規定する「無効な行為により生じた経済的成果がその行為の無効であることに基因して失われ」とは、それまで正当な権利行使の結果として得ていたはずの経済的成果が無効の法理によって一転して不当利得であるとされ、不当利得返還義務が生じることを意味するから、現実に返還したときと解する余地はないと主張する。
 しかしながら、事業所得に対する課税は納税者の担税力に着目してなされるものであるところ、当該所得が無効な行為により得られた利得であるときであっても、少なくともそれが現実に返還されるまでは担税力を有するものであり、その担税力が失われるまでは損失が生じたということはできないことから、上記の政令に規定する「無効な行為により生じた経済的成果がその行為の無効であることに基因して失われ」とは、それが現実に返還されたときと解するのが相当である。

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平成21年7月6日裁決

融通手形の受取人の倒産による手形債務の負担が、請求人に帰責性があるということはできず、不測の事態によって資金繰りが困難になったという点で、売掛金等の回収が不能になった場合と同視できることから、国税通則法第46条第2項第1号に掲げる事実に類する事実に当たるとした事例

裁決事例集 第78集 15頁

要旨

 国税通則法第46条第2項各号に掲げる事実(以下「猶予該当事実」という。)とは、納税者の責に帰すことのできない金銭納付を困難ならしめる事実をいうものと解するのが相当であるところ、請求人が取引先C社に対して振り出した本件各手形は、経営困難に陥った当該取引先の資金調達のため、請求人とC社との間で手形の原因行為なくして振り出されたいわゆる融通手形であると認められるものの、これは、請求人の主要な取引先であるC社が倒産すれば同社に対する売掛債権が全額回収できなくなることなどから、やむを得ず振り出したものと認められるので、本件各手形の振出し及びC社の倒産による手形債務の負担について、請求人に帰責性があるということはできず、不測の事態によって資金繰りが困難になったという点で、同項第1号に類する事実として納税の猶予等の取扱要領に例示されている売掛金等の回収が不能になった場合と同視できるので、猶予該当事実に当たると解するのが相当である。

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平成21年7月2日裁決

質問検査に至る前段階として必要な情報収集の方法は、社会通念上相当な限度にとどまっていると認められるので、合理的な裁量の範囲を逸脱するような違法は認められないとした事例

裁決事例集 第78集 257頁

要旨

 請求人は、原処分に係る調査を担当した職員が身分を明らかにせず客になりすまし請求人の承諾を得ることなく従業員に対して事業内容等を質問した行為は、所得税法第234条第1項及び同法第236条に違反し違法である旨主張する。
 しかしながら、税務官署として更正・決定の場合のみならず、それ以外の場合にあっても、一定の処分をするか否かを認定判断する必要がある場合には、税務職員にはそのために必要な範囲内で質問検査によることなく職権による調査をすることもできると解されるところ、その具体的な手法は、その調査の必要性と相手方の私的利益との比較衡量において、質問検査に至らない範囲で、かつ、社会通念上相当な限度にとどまる限り、調査を担当する税務職員の合理的な裁量に任されているというべきであり、本件においては、調査担当職員は、請求人の経営する店舗に臨場する日の前に、客として同店舗に訪れ、従業員との話の中から1日の客数や従業員数等の業務様態についての情報等を収集したものであるが、これは調査担当職員が、請求人の正しい所得を把握するため、質問検査に至る前段階として、必要な情報を収集したというべきものであり、その情報収集の方法は、社会通念上相当な限度にとどまっていると認められ、これについて合理的な裁量の範囲を逸脱するような違法は認められないから、調査が違法であるとの請求人主張は採用できないというべきである。

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平成21年6月25日裁決

土地区画整理事業地内の評価対象地につき、開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要とは認められないことから、財産評価基本通達24-4(広大地の評価)の適用はないとした事例

裁決事例集 第77集 383頁

要旨

 財産評価基本通達24-4に定める「経済的に最も合理的な」開発については、①その地域の利用状況に合った宅地の地積に分割されること、②当該分割による開発が、都市計画法等の法令に反していないこと、③容積率及び建ぺい率も経済的に利用されることなどを考慮して判断すべきところ、本件甲土地及び本件乙土地のA路線の道路沿いは、一区画が600平方メートル以上の店舗等の商業施設の敷地、C路線の道路沿いは、一区画が150平方メートルから300平方メートル前後の戸建住宅の敷地としての、また、本件丙土地の近隣地域は、一区画が350平方メートルから700平方メートルの戸建住宅や中高層の共同住宅の敷地としての利用が、それぞれ本件区画整理地内における経済的に最も合理的であると認めるのが相当である。
 本件各土地に、「経済的に最も合理的な」開発を行った場合、公共公益的施設用地の負担が必要かどうかについて検討すると、請求人は、戸建住宅分譲用地の開発では公共道路の取付けは必要であると主張し、本件各土地の開発を想定した土地利用計画図と題する資料を当審判所に提出しているが、当該資料は、本件各土地について、中央部分に幅員6メートルの道路を取り付け、本件甲土地は地積が3,013平方メートルのところ、一区画の地積217.4平方メートルの12区画で道路敷設地積を404.2平方メートル、また、本件乙土地は地積が1,719平方メートルのところ、一区画の地積177.2平方メートルの8区画で道路敷設地積を301.4平方メートル、さらに、本件丙土地は地積1,384平方メートルのところ、一区画の地積135.3平方メートルの8区画で道路敷設地積を301.6平方メートルとしたものであるが、このような開発は、近隣地域の利用状況に沿ったものであると考えるのは困難であり、また、本件区画整理地内には必ずしも道路を敷設しない開発も認められるところ、本件各土地について、道路を敷設し、殊更に細分化して開発する合理的な理由や必然性は見当たらないことから、請求人の主張する利用方法が経済的に最も合理的であると認めることはできない。
 そこで、当審判所において、経済的に最も合理的であると認められる利用を前提とし、一区画の面積及び接道義務の基準、本件各土地の地形並びに本件区画整理地内の近隣地域の利用状況をしんしゃくして開発想定図を作成すると、本件各土地については、公共公益的施設として道路を敷設することなく開発することが経済的に最も合理的であると認められる。
 そうすると、本件各土地の開発を行うとした場合に、公共公益的施設用地として道路が必要と認められないので、本件各土地の評価に当たって財産評価基本通達24-4の適用はできないこととなる。

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平成21年6月24日裁決

請求人の役員らが行った債権放棄による債務免除については、法人税法施行令第117条に規定する事実に当たらないから、法人税法第59条第2項の規定は適用できないとした事例

裁決事例集 第77集 303頁

要旨

 請求人は、請求人の役員であるAらの債権放棄(以下「本件債権放棄」という。)による債務免除は法人税法施行令第117条第4号に規定する「前3号に掲げる事実に準ずる事実」に当たり、法人税法第59条第2項の規定に該当するから、原処分は違法である旨主張する。
 しかしながら、法人税法施行令第117条第1号から第3号までに規定する各事実は、いずれも法律によりその手続が定められているもので、その債務者の全資産を対象にすべての債権者に対して公正な弁済が行われるよう裁判所が関与して行われるものであるから、同条第4号に規定する「前3号に掲げる事実に準ずる事実」とは、債務超過に陥った債務者について、上記の手続に準じ、すべての債権者に対して公正な弁済が行われることが保障されているものに限られると解すべきであるところ、請求人は、①臨時株主総会において、本件債権放棄の要請を行うことを決議しただけで、Aらからの借入金以外の借入金及び買掛金などの営業債務に係る債務額の整理に関する事項などについて債権者集会で協議を行うなど、法人税基本通達12-3-1に定める、法律等の定めに準じた一連の手続等は行われていないと認められること、②本件債権放棄による債務免除を受けた直前の平成16年9月期の事業年度末において、貸借対照表上、債務超過の状態にはあるものの、事業経営が成り立たなくなるほどの経営の危機に陥っている状態ではなかったと認められること、③さらに、本件債権放棄による効果は、請求人の資金繰りにはほとんど影響がないことからすると、請求人も自認しているように、請求人があえてAらに対して債権放棄の要請という手段を早急にとらなければ、請求人は、債務超過の状態によって倒産するという状況にあったとは認められないこと、及び④請求人は、競売物件の取得等に係る資金として融資を受けるには、E銀行P支店からの求めに応じて債務超過の状態を解消する必要があったことから、請求人の財務内容を表面的に改善するためにAらに本件債権放棄の要請を行ったものと認めるのが相当である。
 そうすると、本件債権放棄による債務免除は、多数の債権者によって協議の上決められたものでなく、単に請求人とAらとの間における私的な協議によって決定され、その内容が一定の計画のもとに合理的に定められたものではないと認められることから、法人税法施行令第117条第4号に規定する事実に当たらないとした原処分は適法である。

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平成21年6月22日裁決

国外向けに出航する船舶の外国人乗組員に対する中古車販売は、輸出の許可を受ける前に引渡しが完了していることなどから、輸出免税が適用される外国貨物の譲渡に該当しないとした事例

裁決事例集 第77集 508頁

要旨

 請求人は、国外に向け出港する船舶の外国人乗組員(以下「本件各購入者」という。)に販売した中古自動車等を、本船船側に移動することによって引渡し、消費税法基本通達9-1-2の定めに従って、継続的にこの引渡しの日を譲渡の日とする経理処理を行っており、この引渡しの時点では、当該中古自動車等は輸出の許可を受けた外国貨物であるから、その販売は、外国貨物の譲渡に該当し輸出免税の対象となる旨主張する。
 しかしながら、当該中古自動車等に係る取引は、請求人の中古自動車の展示場において売買価格を合意したことにより売買契約が成立し、本件各購入者が、代金の支払をしてそのフロントガラスにサインをしたときに引渡しが完了していると認められ、また、輸出の許可は、その後、本件各購入者が、当該中古自動車等を自己の携帯品等として旅具通関の手続により受けたものであり、単に請求人がそれを本船船側に移動した日を譲渡の日とすることは合理的とは認められないことから、当該中古自動車等の販売を外国貨物の譲渡ということはできない。

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平成21年6月22日裁決

国税徴収法第38条にいう「譲受財産」とは、積極財産のみをいい、消極財産を含まないと解するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第77集 582頁

要旨

 請求人は、事業譲渡に係る財産には資産及び負債の双方が含まれることが前提であるから、国税徴収法第38条にいう「譲受財産」には、積極財産のみならず消極財産を含む旨主張するとともに、仮に、同主張が認められないとしても、請求人が本件滞納者から譲り受けた財産のうち、本件告知処分の日現在で実質的に残存している財産の額を限度として第二次納税義務を負うに過ぎないと主張する。
 しかしながら、国税徴収法第38条の趣旨は、事業の譲渡が行われるときは、通常、その事業用資産だけでなく、その事業に係る債務も譲受人に移転されるので、譲渡人の債権者が当該事業譲渡によって不利益を受けることはないが、租税債務については私人間の合意によって譲受人に移転させることができないので、譲渡人が納付すべき国税を譲受人から強制的に徴収することができず、また、事業の譲渡に伴ってそれまで滞納処分の引き当てとなっていた財産が譲受人に移転することによって、仮に譲受人から譲渡人に対して相応の対価が支払われたとしても滞納処分が困難となる結果、国税の確保に支障が生じることとなる一方、事業の譲渡に際しては、通常、譲受人から譲渡人に対して相応の対価が支払われるので、譲受人に対して譲渡人の国税についての第二次納税義務を負わせることが酷に過ぎることも考慮し、事業の譲受人が譲渡人の特殊関係者である場合に限って、譲受人に譲渡された財産を限度として、譲受人に対して譲渡人の国税についての納税義務を二次的に負わせることにより、国税の確保を図ることとしたものと解される。すなわち、同条は、事業の譲渡に伴い、譲渡人の国税の引き当てとなっていた財産が譲受人に譲渡されたことによって、国税の確保に支障が生じることから、譲受人が譲渡人の特殊関係者である場合に限り、その譲受人に対し、譲渡人の国税の引き当てとなっていた譲受財産を限度として、二次的に譲渡人の国税についての納税義務を負わせることとしたものと解されるのであるから、同条にいう「譲受財産」は、滞納処分の対象となっていた積極財産をいい、消極財産を含まないと解するのが相当である。
 また、国税徴収法第38条が第二次納税義務の責任の範囲として「譲受財産を限度」とする旨規定しているところ、同条は「譲受財産」という財産自体を限度としているのであって、財産の価額を限度とする規定ではなく、また、同条にいう「譲受財産」には、その財産の異動により取得した財産及びこれらの財産に基因して取得した財産が含まれ、さらに、同条は、第二次納税義務の限度を同法第39条のような「現に存する限度」としていないのであるから、同法第38条の規定による第二次納税義務の限度を「譲受財産」のうち第二次納税義務の納付告知処分時点において残存しているもののみを限度とするものと解することはできない。

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平成21年6月17日裁決

公演に係る主要な事項は請求人個人が行っていること、入場券の販売代金の取扱いは過去に請求人個人が行っていたとする公演時のものと異ならないことなどから、事業者は人格なき社団ではなく請求人個人であるとした事例

裁決事例集 第77集 469頁

要旨

 平成15年及び平成16年に「Rの会」の名称をもって行われた伝統芸能の催しは請求人が主催したとして所得税の確定申告を行っているところ、平成17年及び平成18年に行われた本件公演は、①会場の手配、出演料の支払といった主要な事項、入場券の販売代金の取扱いは、平成16年までに行われた催しと異ならないこと、②公演の際に来場者に配付されたパンフレットの「あいさつ文」には請求人の個人名のみの記載があること、③請求人は、本件公演の出演者であるところ、本件公演が請求人以外により主催されたとした場合に、通常支払われることとなる出演料を受領していないこと及び④本件公演により発生した損失の額を、請求人の事業所得の金額の計算上、必要経費の額に算入していることからすれば、本件公演の主催者と平成15年及び平成16年に行われた催しの主催者は同一であると推認される。
 また、Rの会代表S(請求人)名義の普通預金からのすべての出金を請求人自らが行っていることに加えて、出金に必要な印鑑についても請求人のものであることからすると、当該預金の管理は請求人が行っていたと認めるのが相当であり、さらに、当該預金の帰属が請求人からRの会に移転したとすれば請求人に交付されるべき当該預金の残高相当額を受領した形跡がないことからすると、当該預金は請求人に帰属していたと推認することができる。
 そうすると、本件公演の主催者が平成15年及び平成16年に行われた催しの主催者である請求人からRの会に変更されたと認めることはできず、本件公演は、請求人が行っていたというべきであり、請求人が本件公演に係る資産の譲渡等に係る対価を享受していると認められるから、請求人が行った課税資産の譲渡等であるとするのが相当である。
 請求人は、人格なき社団であるRの会が本件公演を行った旨主張するが、人格なき社団に当たるというためには、団体としての組織を備え、そこには多数決の原則が行われ、構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、そして、その組織によって代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確立しているものでなければならないと解されるところ、当審判所の調査において、Rの会の事務局長であると自認するNが、Rの会の規約、総会の議事録及び活動を証する資料について、その存在を明確に示すことができないこと並びにRの会の唯一の財産であるとする預金をNが管理していたとは認められないことからすると、Rの会が人格なき社団であるとは到底認めることはできず、請求人の主張は採用することができない。

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平成21年6月12日裁決

介護保険法に基づく居宅サービスに医療系サービスが伴わない場合、その居宅サービスの対価は医療費控除の対象とはならないとした事例

裁決事例集 第77集 143頁

要旨

 医療費控除の対象となる医療費について、所得税法第73条第2項は、医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるものをいう旨規定し、これを受けて、所得税法施行令第207条《医療費の範囲》には、保健師、看護師又は准看護師による療養上の世話(同条第5号)等の対価のうち、その病状等に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額がこれに該当する旨規定している。
 そして、所得税基本通達73-6は、上記「保健師、看護師又は准看護師による療養上の世話」には、保健師、看護師又は准看護師以外の者で療養上の世話を受けるために特に依頼したものから受ける療養上の世話も含まれる旨定め、平成12年6月8日付課所4-11「介護保険制度下での居宅サービスの対価に係る医療費控除の取扱いについて(法令解釈通達)」は、居宅サービスの対価に係る医療費控除の取扱いについて、医療系サービスのいずれかが位置付けられている居宅サービス計画に基づいて、居宅サービスを利用する者を対象とし、当該対象者が医療系サービスと併せて利用する①訪問介護(介護保険法第8条第2項)、②訪問入浴介護(同条第3項)、③通所介護及び④短期入所生活介護(同条第9項)(以下、上記①から④までの各居宅サービスを併せて「対象居宅サービス」という。)に要する費用(介護保険法第41条《居宅介護サービス費の支給》第4項各号に規定する「厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額」をいう。)に係る自己負担額を、療養上の世話を受けるために特に依頼した者による療養上の世話の対価として医療費控除の対象とする旨定めている。
 これら各通達の定めは、医療の対価と評価できるものについて、これを医療費控除の対象としている法の趣旨に照らし相当であると認められる。
 これを本件についてみると、本件利用料のうち、通所介護に係る費用の額は、対象居宅サービスに要する費用に該当するものの、本件居宅サービス計画には医療系サービスがいずれも位置付けられていないこと、請求人の妻であるAは医療系サービスを利用していないことから、療養上の世話を受けるために特に依頼した者による療養上の世話の対価とは認められない。
 また、福祉用具貸与に係る費用の額及び食費の額は、対象居宅サービスに要する費用にも該当せず、日常生活に関連する費用と認められることから、医療費控除の対象とすることはできない。
 したがって、本件利用料は、その全額が医療費控除の対象とならないから、請求人の主張には理由がない。

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平成21年6月10日裁決

債権を目的とする質権の設定承諾請求書に当該債権の債務者が記名押印して承諾したことは認められるものの、当該請求書に確定日付が付されていないから、質権者である請求人は当該債権を差し押さえた原処分庁に対抗することができないとした事例

裁決事例集 第77集 543頁

要旨

 本件質権により担保される請求人の債権が本件滞納国税に優先するには、請求人が原処分庁に対し、国税徴収法第15条第2項に規定する方法により、本件質権が本件滞納国税の法定納期限等以前に設定されたことを証明する必要があり、指名債権に対する質権が滞納国税の法定納期限等以前に設定されたことが証明されたといい得るためには、第三債務者に対する質権設定の通知又は第三債務者による質権設定の承諾が確定日付のある証書によって行われることを要し、かつ、当該証書に付された確定日付が滞納国税の法定納期限等以前のものであることを要するところ、本件の第三債務者が本件質権の設定の通知を受け、これを承諾した本件質権設定承諾請求書には確定日付が付されておらず、請求人は、本件質権の設定を第三者である原処分庁に対抗することができないから、本件滞納国税の法定納期限等以前に本件質権が設定されたことが証明されたということはできない。
 これに対し、請求人は、第三債務者が本件質権の設定を承諾した証書には確定日付が付されていないが、本件生命保険証券には質権設定を第三債務者が承認する旨の裏書があり、かつ、確定日付が付されているので、両証書を一体とみなし得る事情が存在し、本件質権は上記確定日付の年月日に設定されたものとみなされるから、本件質権は本件滞納国税の法定納期限等以前に設定されたことが証明されたものといえる旨主張する。
 しかしながら、上記裏書事項は、第三債務者が保険金支払請求権上に質権が設定されることを承認するということが記載されているにすぎず、その文言からは、請求人が質権者であることも、設定される質権により担保される債権が本件被担保債権であることもうかがうことはできず、まして、これを質権設定契約書とみることもできないのであるから、本件生命保険証券に確定日付が付されていることをもって、第三債務者の承諾が確定日付のある証書によってなされたものとみることはできない。また、請求人の主張を認めると、質権が設定される債権の債権者と債務者が共謀して、質権設定日をさかのぼらせ、第三者の権利を害することが可能となり、承諾が第三者に対する対抗要件足り得るためには、確定日付のある証書をもってすることを必要としている法の趣旨を没却してしまうことになりかねない。そうすると、本件質権が第三者である原処分庁に対する対抗要件を備えていない以上、本件質権は、本件滞納国税の法定納期限等以前に設定されたことが証明されたものということはできないから、この点に関する請求人の主張には理由がない。

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平成21年6月9日裁決

宗教法人が境内建物等の所有権の取得登記について登録免許税の非課税規定の適用を受けるためには、登記の申請書に非課税証明書の添付が必要であるとした事例

裁決事例集 第77集 461頁

要旨

 登録免許税法第4条第2項及び同法別表第三(以下「別表第三」という。)の12第3欄の第1号は、宗教法人が、専ら自己又はその包括する宗教法人の宗教の用に供する宗教法人法第3条に規定する境内建物の所有権の取得登記又は同条に規定する境内地の権利の取得登記については、登録免許税を課さない旨規定するが、別表第三の12第4欄は、これを同号の登記に該当するものであることを証する財務省令で定める書類(以下「本件非課税証明書」という。)の添付があるものに限る旨規定している。また、登録免許税法第4条第2項は、登録免許税を課さない登記等は、別表第三の12第4欄に財務省令で定める書類の添付があるものに限る旨の規定がある登記等にあっては、当該書類を添付して受けるものに限る旨、その要件を明確に規定している。これは、権利に関する登記の申請があった場合、登記官の審査対象は、申請書類及び登記簿に限定される(形式的審査権)ことも考慮し、宗教法人が本件非課税規定の適用を受ける際の要件として、本件非課税証明書の添付を要求したものと解される。
 これを本件についてみると、請求人は、本件各登記の申請の時に本件非課税証明書を添付せず、本件非課税規定を適用しないところで登録免許税の額を算出してこれを納付しており、原処分庁は、本件非課税証明書の添付がない本件各登記申請書を受理し、本件各登記を完了したことが認められる。
 本件非課税規定は、登録免許税を非課税にするという例外的な規定であることからすると、その適用に際しては、厳格に解釈するべきであり、本件各登記について手続的要件を満たしていない以上、本件非課税規定の適用を受けることはできないというべきである。

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平成21年6月5日裁決

債務保証をした事実はないこと及び 譲渡代金が借入金の返済に充てられていないことから、本件土地の譲渡につき、所得税法第64条第2項に規定する保証債務の特例を適用することはできないとした事例

裁決事例集 第77集 111頁

要旨

  1.  請求人は、C銀行等に支払った1,200万円は主たる債務者をBとする保証債務の履行である旨主張する。しかしながら、請求人は、Q市物件にC銀行等のために抵当権が設定されていることを認識しながらこれを買い受け、売主であるAらに本来支払うべき売買代金1,200万円を、抵当権消滅請求のために、C銀行等に対して支払ったにすぎないから、請求人が、AらのC銀行等に対する債務の保証をした事実はない。
  2.  また、請求人は、本件土地を譲渡し、その譲渡代金で保証債務を履行するつもりであったが、買い手が見つからず直ちに譲渡することができなかったため、やむを得ず本件各借入金と自己資金により保証債務を履行したのであるから、本件譲渡は実質的に保証債務を履行するためのものである旨主張する。
     しかしながら、所得税法第64条第2項の規定による特例を適用するためには、①債務の保証をしたこと、②保証債務の履行のために資産を譲渡したこと、③保証債務を履行したこと及び④履行に伴う求償権の全部又は一部が行使することができなくなったことの実体的要件が必要であると解される。請求人は、BのF社に対する債務を連帯保証しているから、F社の債権譲渡先であるG社に対する請求人による支払は、上記の実体的要件の①及び③を充足する。しかし、請求人は、本件各借入金のうちの550万円及び自己資金によりG社に対する代位弁済をしており、本件譲渡は上記代位弁済後になされているから、本件譲渡代金が直接保証債務の履行に充てられたわけではない。したがって、上記の実体的要件の②を充足するというためには、本件譲渡が、実質的にみて保証債務の履行のための資産の譲渡と認められることが必要である。そうすると、本件各借入金のうち550万円は本件保証債務の履行に充てられたものと認められるが、本件譲渡は、本件保証債務の履行から3年以上経過してから行われている上、本件各借入金の返済は、自己資金により行われており、本件譲渡代金が本件各借入金の返済に充てられた事実は認められない。
     以上によれば、本件譲渡は、実質的に保証債務を履行するための資産の譲渡であったとはいえず、本件譲渡代金と本件保証債務の履行との間に因果関係は認められないから、上記の実体的要件の②を充足しない。したがって、本件譲渡は「保証債務を履行するため資産の譲渡があった場合」には該当しない。
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平成21年6月3日裁決

青色事業専従者給与の金額については、その労務の性質及び提供の程度は他の使用人と比べて大きく異なるものではないことから、労務の対価として相当ではないとした事例

裁決事例集 第77集 42頁

要旨

 請求人は、その妻を青色事業専従者として、事業所得の金額の計算上必要経費に算入した本件専従者給与の金額について、請求人の妻の労務の性質及びその提供の程度に照らし、その全額がその労務の対価として相当である旨主張する。
 しかしながら、請求人の妻の労務の性質については、請求人の事業に従事する他の使用人のそれと比べて大きく異なるものではなく、また、請求人の妻の労務の提供の程度については、請求人の事業に従事した時間が最も長い使用人Hの約1.21倍程度であったものと認められることから、請求人の妻の労務の提供の程度を考慮し、請求人の事業に従事する他の使用人が支払を受ける給与の状況に基づき計算した金額と、類似同業者の青色事業専従者が支払を受ける給与の状況に基づき計算した金額の、いずれか高い金額を請求人の妻の適正給与額とするのが相当である。
 そうすると、使用人Hが支払を受けた給与の金額に基づき算定した金額は、類似同業者の青色事業専従者が支払を受けた給与の平均額よりも高い金額となるので、使用人Hが支払を受けた給与の金額に基づき算定した金額が、請求人の妻の適正給与額となる。
 したがって、本件専従者給与の金額のうち、適正給与額を上回る部分の金額は、請求人の妻の労務の対価として相当であるとは認められない。

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平成21年5月27日裁決

傭船した船舶を自己所有として減価償却費を計上していた内国法人と当該船舶を提供したM国法人との契約は、法形式及び契約内容から当該船舶の所有権留保付割賦売買契約ではなく、裸傭船契約(船舶賃貸借契約)であると認められるから、支払傭船料は国内源泉所得として源泉徴収課税すべきであり、当該船舶の減価償却費の計上は認められないとした事例

裁決事例集 第77集 161頁

要旨

 請求人は、原処分庁が、①請求人がM国船籍の船舶を所有するM国法人3社と締結した本件各契約に基づいて支払った本件各金員は、所得税法第161条第3号に規定する国内源泉所得となる「船舶の貸付けによる対価」に該当するとして行った納税告知処分等、及び②本件各契約は裸傭船契約であるから、本件各船舶に係る減価償却費は計上することはできないとして行った法人税の更正処分等について、本件各契約は、裸傭船契約の書式を使用しているが、同時に船舶の買取りの権利・義務に関する覚書を締結することにより、所有権留保付割賦売買契約となるもので、本件各船舶は請求人が本件各M国法人から取得したものであるから、①本件各金員は、裸傭船料ではなく本件各船舶の取得に係る割賦代金であり、同条第3号に規定する国内源泉所得には該当しない旨、また②本件各船舶の取得価額を基に算定された減価償却費は損金の額に算入されるべきである旨主張する。
 しかしながら、本件各契約は、裸傭船契約書の書式を用いて行われており、その記載内容を読む限り、裸傭船契約(船舶賃貸借契約)であると解するのが自然である。そして、請求人にとっては、本件各船舶を自ら所有して、日本船籍の船舶として使用するよりも、本件各M国法人が所有するM国船籍の船舶を借りて使用する方が、経済的にメリットがあることからすれば、請求人が、売買契約ではなく裸傭船契約の法形式を選択することには合理性がある。さらに、請求人は、裸傭船契約であることを前提とした経理処理を行っているから、請求人自身、本件各契約を、所有権留保付割賦売買契約ではなく、裸傭船契約であると認識していたといえ、また、本件各M国法人も、その経理処理からすれば、本件各契約を裸傭船契約と認識していたといえる。以上によれば、本件各契約は、所有権留保付割賦売買契約ではなく、裸傭船契約(船舶賃貸借契約)であると認められる。
 したがって、原処分庁が行った納税告知処分等は適法であり、請求人が本件各契約締結時に本件各船舶を取得した事実はないため、原処分庁が行った更正処分等も適法である。

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平成21年5月25日裁決

収用等がされる土地の上に存しない建物に係る移転補償金は、収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除の特例の適用対象となる補償金には該当しないとした事例

裁決事例集 第77集 256頁

要旨

 租税特別措置法(以下「措置法」という。)第33条の4第1項本文のかっこ書により本件特例が適用されることとなる同法第33条第3項第2号の規定は、同号の規定に該当する場合にあっては、収用等をされる土地の上にある資産の取壊し又は除去が土地の収用等と同じ性格のものであり、収用等に準じて課税の特例を認めることが相当であるとの趣旨から、資産の取壊し又は除去であっても、同号に規定する土地の上にある資産について、収用等による譲渡があったものとみなし、土地の収用等の場合と同様の課税の特例を認めることとしているものと解されることからすれば、同号に規定する「その土地の上にある資産」とは、正に、収用されることとなる土地自体の上にある資産を、あるいは土地の上に存する権利が収用されることとなる場合にはその権利の存する土地自体の上にある資産をいうものと解するのが相当であり、このことは文理上も明らかである。
 ところで、土地が収用等をされた場合、その上にある建物等に対して交付される補償金には、その取壊し又は除去により生ずる損失の補償として交付されるものと、その移転に要する費用の補償として交付されるものとがあるが、建物等の取壊しによる損失補償金は、措置法第33条第3項第2号の規定により本件特例の対象となる補償金とみなされるのに対し、建物等の移転補償金については、このような特別の規定はなく、現実に建物等を取り壊した場合であっても本件特例の適用がないことになり、実情に即さないところがあることから、公共事業施行者の補償の仕方いかんにより課税上の差異が生じることのないよう同号の規定との課税の公平をも図る趣旨から租税特別措置法関係通達(以下「措置法通達」という。)33-14が定められているものと考えられる。したがって、この措置法通達の取扱いが定められた趣旨からすると、措置法通達33-14に定める「当該土地等の上にある建物又は構築物」も、措置法第33条第3項第2号に規定する「その土地の上にある資産」と同様、収用されることとなる土地自体の上にある建物又は構築物を、あるいは土地の上に存する権利が収用されることとなる場合にはその権利の存する土地自体の上にある建物又は構築物をいうものと解するのが相当である。
 本件建物移転補償金は、本件事業の施行により本件土地及び本件国有地が道路用地とされたことに伴い、A社のガソリンスタンドの用に供されていた本件建物について、その移転に要する費用として補償されたものではあるが、本件事業により収用されることとなる土地又は土地の上に存する権利は、本件土地のみであり、本件土地の上には、本件建物を含めガソリンスタンドの用に供されていた既存の施設等はなかったものと認められる。
 すなわち、本件建物移転補償金は、土地の収用等に伴って支払われた補償金ではあるものの、本件事業用地の地域外に存する資産の移転に要する費用を補償したものであると認められ、収用されることとなる本件土地の上の資産について補償したものではないから、本件特例の対象となる補償金に該当しないことは明らかであり、請求人が主張するように、本件建物が本件土地を含むA社のガソリンスタンドの敷地と一体として使用されていたことのみをもって、本件特例を認める余地はないというべきである。

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平成21年5月25日裁決

収用等がされる土地の上に存しない建物に係る移転補償金は、収用換地等の場合の所得の特別控除の特例の適用対象となる補償金には該当しないとした事例

裁決事例集 第77集 369頁

要旨

 請求人は、請求人の所有する建物及び固定給油設備等(以下「本件建物等」という。)は請求人が営むガソリンスタンドの敷地と一体として使用していたものであり、租税特別措置法(以下「措置法」という。)第64条第2項第2号に規定する「その土地の上にある資産」として取り扱われるべきであるから、土地収用法に定める事業である道路拡幅工事(以下「本件事業」という。)に基因して取得した本件建物等の移転等補償金(以下「本件物件移転等補償金」という。)は、本件特例の対象となる旨主張する。
 しかしながら、土地収用法等の規定によって強制的に収用等をされる資産は、原則としてその資産を収用することができる公共事業の用に直接供されるものに限られるところ、本件特例が、収用等をされる土地の上にある資産の取壊し又は除去が土地の収用等と同じ性格のものであり、収用等に準じて課税の特例を認めることが相当であるとの趣旨から、資産の取壊し又は除去であっても、同号に規定する土地の上にある資産について収用等による譲渡があったものとみなし、土地の収用等の場合と同様の課税の特例を認めることとしていることからすれば、同号に規定する「その土地の上にある資産」とは正に収用されることとなる土地自体の上にある資産をいうものと解するのが相当であり、このことは文理上も明らかである。また、租税特別措置法関係通達64(2)-8及び64(2)-9は、公共事業施行者の補償の仕方いかんにより課税上の差異が生じることのないよう措置法第64条第2項第2号の規定との課税の公平を図る趣旨から定められたものであることからすると、同通達64(2)-8に定める「当該土地等の上にある建物又は構築物」も、同通達64(2)-9の対象となる「機械又は装置」も、ともに措置法第64条第2項第2号に規定する「その土地の上にある資産」と同様、収用されることとなる土地自体の上にある物件をいうものと解するのが相当である。そうすると、本件物件移転等補償金は、本件事業用地の地域外に存する資産の移転に要する費用等を補償したものであり、収用されることとなる土地の上の資産について補償したものではないから、本件特例の対象となる補償金に該当しないことは明らかであり、請求人の主張には理由がない。

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平成21年5月22日裁決

請求人が職員を社会福祉法人が行う通所介護業務に従事させて社会福祉法人から得た金員は、出向契約に基づく給与負担金ではなく業務委託契約に基づく対価と認められることから、課税資産の譲渡等の対価に該当するとした事例

裁決事例集 第77集 482頁

要旨

 請求人は、請求人の職員を社会福祉法人Eが行う通所介護業務に従事させて社会福祉法人Eから得た金員は、社会福祉法人Eに出向させた職員(以下「本件職員」という。)の給与を収受したものであり、消費税法基本通達5-5-10に定める給与負担金に該当するから課税資産の譲渡等の対価には該当しない旨主張する。
 ところで、出向とは、出向者が出向元との労働契約を維持して雇用関係が存続する一方、出向先の指揮命令に服して就労することから、出向先とも雇用関係に基づいて勤務する形態であると解されるところ、本件職員との雇用関係は請求人との間にのみ存在することからすれば、請求人が本件職員を社会福祉法人Eに出向させていたとみることはできず、社会福祉法人Eから収受した金員は、出向に基づく給与負担金とは認められない。
 また、請求人は、社会福祉法人Eとの間において上述した通所介護業務に係る業務委託契約書を作成しているところ、当該契約書に実用性はなく本件金員は上記通達にいう給与負担金であるとも主張するが、実際に当該契約書の契約内容に基づいて職員を社会福祉法人Eの通所介護業務に従事させて役務を提供し、その対価として本件金員を収受しているのであるから、本件金員は、課税資産の譲渡等に係る対価に該当する。

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平成21年5月20日裁決

外国税額控除は確定申告書に記載された額を限度として控除されるが、この額は外国税額控除の適用を選択したと認められる範囲内において正当に算定される金額であると解するのが相当であるから、内国法人が、外国税額控除の適用を受けることを選択し、控除対象外国法人税の額の計算の基礎としている場合において、その控除税額の算出過程における誤った計算等により控除対象外国法人税の額が過少となり支払うべき法人税の額が過大となったときは、更正の請求ができるとした事例

裁決事例集 第77集 320頁

要旨

 原処分庁は、法人税法第69条《外国税額の控除》第16項は法人が自ら適正に計算した外国税額控除を受けるべき金額を確定申告書に記載していることを前提としており、同項に規定する「控除されるべき金額」とは、法人の確定申告書別表六(二)の「当期に控除できる金額(19)」欄とその金額が転記された別表一(一)の「外国税額(43)」欄に記載された具体的金額をいうと解されるから、本件更正の請求には理由がない旨主張する。
 しかしながら、法人税法第69条第16項に規定する「控除をされるべき金額」とは、内国法人が外国税額控除の適用を選択した場合において、申告記載金額誤り又は計算誤りにより結果的に申告記載した控除金額が過少になっているときには、内国法人が外国税額控除の適用を選択したと認められる範囲内において、これらの誤りを法令に基づき是正した上で正当に算定される金額であると解するのが相当である。
 また、原処分庁は、国税通則法第23条第1項に規定する1号事由の存否については、租税実体法である法人税法の規定により判断されるべきであり、租税実体法上、一定事項の申告書への記載等が適用要件とされているにもかかわらず、その記載がされなかった場合には、単に当該規定の適用を受けることができなくなるだけで、1号事由には該当しない旨、及び当該確定申告書に記載した税額等の計算において、請求人は、自らの選択により、控除を受ける範囲の金額を○○○○円とし、他に控除できる分の金額について控除を受ける範囲の金額に含めなかったのであるから、請求人が主張するように、その選択が誤りだったとしても、1号事由に該当する事実は認められないから、本件更正の請求には理由がない旨主張する。
 しかしながら、内国法人が、受取配当金について、外国税額控除の適用を受けることを選択し、控除対象外国法人税の額の計算の基礎としている場合において、その控除税額の算出過程において誤った計算又は解釈をしたことにより控除対象外国法人税の額が過少となり支払うべき法人税の額が過大となったときは、「税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったこと」に該当するものというべきである。

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平成21年5月20日裁決

間接外国税額控除制度におけるみなし外国税額控除の適用を失念して確定申告した場合において、確定申告書への記載及び書類の添付をしなかったことにつきやむを得ない事情はないから、更正の請求の要件に該当しないとした事例

裁決事例集 第77集 358頁

要旨

 請求人は、租税条約の規定により請求人のD国の子会社E社が納付したものとみなされる外国法人税の額(以下「みなし納付外国法人税の額」という。)について、提出した法人税の確定申告書に、法人税法第69条《外国税額の控除》第8項の規定による外国税額控除の適用を受けるために必要な記載をしていないため、控除されるべき税額が過少となり、その結果納付すべき税額が過大になっているので、国税通則法第23条《更正の請求》第1項に規定する更正の請求の要件に該当する旨主張する。
 しかしながら、E社のみなし納付外国法人税の額に係る外国税額控除に関し、必要な事項が本件確定申告書に記載されておらず、添付すべき書類も添付されていないことに加え、請求人は当該控除の適用を単に失念していただけであり、上記記載及び添付をしなかったことにつきやむを得ない事情もないので、本件確定申告書を提出する時点で、請求人はE社のみなし納付外国法人税の額に係る外国税額控除を適用できないから、更正の請求の要件にも該当しない。

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平成21年5月12日裁決

貸付金債権の評価につき、その会社の資産状況及び営業状況等が破たんしていることが明白かつ債権の回収の見込みのないことが客観的に確実であるといい得る状況にあったとは認められないから、その一部を回収不能として減額することは認められないとした事例

裁決事例集 第77集 444頁

要旨

 本件貸付金については、財産評価基本通達の定めに基づいて評価するのが、相当であるところ、本件会社について、同通達205の(1)から(3)までに該当する事由は認められないことから、本件貸付金の全部又は一部が、本件相続開始日において、同通達205に定める「その他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるとき」に該当するか否かについて、本件会社の資産状況及び営業状況等に照らし判断すると、次のとおりである。
 本件会社は、本件相続開始日以降、現在に至るまで存続し、従業員のうち障害者を関係グループ会社であるK社に出向させ、主にK社からの出向料及び国等からの助成金により、営業外収益を計上している。また、本件会社は、事業目的を不動産の売買等に拡大した後、平成14年7月期に地方裁判所の競争入札に参加していること、及び平成17年7月期において、不動産取引による売却益として39,120,000円を計上していることからすれば、本件会社の営業が停止していたとは認められない。
 そして、本件会社は同族会社であり、関係グループ会社の代表者も本件相続人又はその親族らであり、本件会社の借入金債務は、K社、本件被相続人及びその親族からの債務が大半であって、返済期限等の定めがないため、直ちに返済を求められる可能性は極めて低く、金融機関等外部からの借入れに比べて有利といえ、現に、本件会社は、関係グループ会社との間で頻繁に貸借を行い、特にK社との間では、常時貸借が存在し、時々に応じて返済していた事実が認められる。
 さらに、本件相続開始日において、本件会社のU銀行及びV銀行に対する借入金債務残高は零円となっている上、L銀行に対しては、月々500,000円の返済を続けており、同銀行は、返済期限をはるかに過ぎている債権であるにもかかわらず、積極的な債権回収の動きをしていない。本件被相続人からの借入金についても、本件相続開始日の直前に、合計約20,000,000円を返済している。
 以上のことから、本件貸付金については、本件相続開始日において、財産評価基本通達205に定める「その他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるとき」、すなわち、本件会社の事業経営が破たんしていることが客観的に明白であって、債権の回収の見込みのないことが客観的に確実であるといい得る状況にあったとは認められない。

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平成21年5月11日裁決

中小企業を倒産させないことが国の方針であるとしても、租税の徴収手続において、中小企業の倒産を防止するためにその手続を制限する法令上の定めがない以上、これを裁量判断の基礎とすることができないとした事例

裁決事例集 第77集 593頁

要旨

 請求人は、本件差押処分は、中小企業を倒産させないとする国の方針と異なり不当な処分であると主張する。
 しかしながら、中小企業を倒産させないことが国の方針であるとしても、その方針に基づき、いかなる場合に差押処分ができないとするかについての法令の定めはなく、また、法は、納税者の権利及び利益の保護並びに生計及び事業の維持の観点から、滞納処分を一定の範囲で制限しているのであるから、滞納処分を制限した法令の定めに反しない差押処分を違法ということはできず、加えて、租税の徴収手続において、中小企業の倒産を防止するためにその手続を制限する法令の定めがない段階で、中小企業を倒産させないという観点のみから、法律に基づいて課された租税を裁量で徴収しないことは、かえって租税負担の公平を阻害することになり、さらに、差押処分によって、事業の継続が困難となる事実上の影響が反射的に生ずるとしても、その影響を考慮して差押処分をしないこととした場合には、国税債権を確実に徴収するために、徴収職員に対して早期に滞納者の財産を保全することを求めた国税徴収法第47条第1項第1号の趣旨が没却されることになる。そうすると、租税の徴収手続において、法令上の根拠のない中小企業の倒産を防止するという要素を裁量判断の基礎とすることはできないというべきである。

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平成21年4月27日裁決

外国為替証拠金取引における反対売買により決済が行われるまでの持高ないしは保有高について、営業日ごとの評価替により生じた為替差損益は、その時点で損益が確定するとした事例

裁決事例集 第77集 91頁

要旨

 請求人は、本来、外国為替証拠金取引は、一定の証拠金を預託して外貨保有の権利を取得し、それを反対売買することにより損益が確定するものであるから、本件清算型ロールオーバーにより営業日ごとに生じる本件為替差損益は確定しておらず、当該損益は所得税法上実現した収益に該当しない旨主張する。
 しかしながら、本件FX取引は、請求人の未決済ポジションにつき営業日ごとに評価替が行われ、当該評価替によって生じる本件為替差損益は本件取引口座において営業日ごとに清算がされ、営業日ごとに行われる本件清算型ロールオーバーにより、評価益が生じた場合には取引会社には評価益相当額の支払義務及び請求人には評価益相当額を受け取る権利が確定し、これとは逆に評価損が生じた場合には取引会社には評価損相当額の支払を受ける権利及び請求人には評価損相当額を支払う義務が確定することから、本件清算型ロールオーバーが行われた時点において、本件為替差損益が確定し、これについて現実に収入があった又は収入の原因たる権利が確定的に発生したというほかなく、そうすると、原処分庁の主張は理由があり、請求人の主張は採用することができない。

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平成21年4月23日裁決

職務発明・考案に係る権利の譲渡の対価として支払われた和解金については、職務発明に関する「相当の対価」の追加分として受け取ったものと認められることなどから、譲渡所得に該当せず、雑所得に該当するとした事例

裁決事例集 第77集 72頁

要旨

 請求人は、職務発明の対価支払請求訴訟における和解により得た和解金は和解調書の記載のとおり、請求人が和解当日までにF社でした職務発明・考案に係る権利を同社に譲渡した対価として受領したものであり、このような権利の譲渡により得た所得は譲渡所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、①請求人は本件職務発明につき「特許を受ける権利」をF社に承継し、出願報償金を受け取ったこと、②請求人が同社を被告として提起した相当の対価の支払請求訴訟は同社から受領した本件職務発明についてのロイヤリティ報償金及びクロスライセンス報償金が特許の実施開始以後に同社が得たロイヤリティ収入及びクロスライセンス収入のうち本件職務発明に関して請求人が得るべき「相当の対価」の額に満たないとしたものであり、その和解が成立し本件和解金が支払われたことが認められることなどから、本件和解金は、本件職務発明に関する「特許を受ける権利」の譲渡後に、同社がこの権利を独占的に利用するなどして得た利益の実績等を前提にして、両者が合意の上で定めた金額による本件職務発明に関する「相当の対価」の追加分相当の金員であると認めるのが相当である。
 また、F社がこの権利を独占的に利用するなどして得た利益の実績等に基づいて算定された使用料と同様のものであるから、本件和解金に係る所得は、雑所得となる。

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平成21年4月21日裁決

賃貸借契約終了時に原状回復費用に充当することが合意された敷金と追加金の合計額は、「原状回復義務」を消滅させることを「役務の提供」とする対価であり、課税資産の譲渡等の対価に該当するとした事例

裁決事例集 第77集 495頁

要旨

 請求人は、本件賃借人は建物の賃貸借契約の終了に伴う原状回復費用に充当するために本件合意金を請求人に預託したもので、原状回復工事をしなくてよいという「便益」は享受していないし、仮にそれを便益の享受とみても、本件合意金の大部分は原状回復工事業者に支払われるべき性質のものでその対価ではなく、本件合意金は預り金である旨主張する。
 しかしながら、消費税は、消費行為そのものに担税力を見いだすものであり、「対価を得て行われる」消費行為が課税の対象となり得るものであり、「役務の提供」の範囲は、「対価を得て行われる」と認められる「便益」の提供等、消費の対象となる「サービスの提供」を広く包含すると解されるところ、請求人は、建物賃貸借契約の終了に係る本件合意により、本来であれば本件賃借人において負担すべきであった「原状回復義務」を消滅させることを「便益」の提供として消費税法上の「役務の提供」を行ったことになり、また、そのために原状回復費用に充当されることとなる本件合意金が、本件賃借人の「原状回復義務を消滅させる」という「便益」を提供するための反対給付、すなわち「対価」に該当することから、本件合意金は、消費税の課税資産の譲渡等の対価に該当する。
 また、本件合意金の支払により、本件賃借人、請求人間にその余の債務関係が存在しないことが確認されており、実際に原状回復工事を行っても、その費用を本件賃借人との間で清算することは予定されていないのであるから、本件賃借人は、本件合意により原状回復義務の消滅という「便益」を受けているというべきであり、本件合意金の大部分が原状回復工事業者に支払われるとしても、それは、当該支払に対する消費税が課税仕入れとして仕入税額控除の対象になり得るものであることを意味するに過ぎない。
 したがって、本件合意金を預り金とする請求人の上記主張には理由がない。

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平成21年4月7日裁決

国税徴収法第39条の規定による第二次納税義務を負う受贈者が相続時精算課税制度を選択したことによって財産の贈与を受けた後に納付すべきこととなる相続税は、同条の受けた利益の額を算定するに当たって受益財産の価額から控除することはできないとした事例

裁決事例集 第77集 567頁

要旨

 請求人は、特定贈与者から生前贈与を受けて相続時精算課税を選択していた場合、国税徴収法第39条の規定により受贈者が負う第二次納税義務の限度となる「受けた利益の限度」を算定するに当たっては、相続時精算課税による相続税額を控除すべきであると主張する。
 しかしながら、同条にいう「受けた利益の限度」の額は、同条が滞納者の親族その他の特殊関係者に、その受けた利益が後に現存しなくてもなお受けた利益の限度において第二次納税義務を負担させていることからすれば、その算定上受益財産の価額から控除すべき対価及び費用は、当該受益の時においてその存否及び数額が法律上客観的に確定しているものであることを要すると解するのが相当であるところ、贈与税の申告に当たって相続時精算課税を選択した相続時精算課税適用者がその後納付する相続税額は、特定贈与者の死亡による相続開始の時に、当該贈与により取得した財産と相続又は遺贈により取得した財産とを合計した価額から、相続債務や葬式費用、基礎控除等を控除した価額を基に相続税額を計算した上、既に支払った贈与税額を控除して算出するものであり、贈与によって取得した財産の価額のみならず、当該贈与から特定贈与者の死亡までの財産の得喪及び債務の増減、相続開始日までの推定相続人の人数の増減、当該贈与を受けた者が相続又は遺贈によって取得した財産の価額や相続債務等により、その存否又は納付すべき税額が決定されるのであるから、受益の時においてその存否及び数額が法律上客観的に確定しているとはいえない。
 したがって、当該相続税は、国税徴収法第39条の「受けた利益の限度」の額の算定に当たり、受益財産の価額から控除することができないと解するのが相当である。

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平成21年4月3日裁決

内縁の夫は所得税法第2条第1項第33号に規定する控除対象配偶者に該当しないとした事例

裁決事例集 第77集 150頁

要旨

 請求人は、10年以上にわたり内縁の夫と同居し生計を一にしていること、請求人が加入している健康保険組合において内縁の夫が請求人の扶養配偶者と認定されていること、遺族年金が内縁の配偶者にも支給されること、所得税法の配偶者控除に係る条文に内縁関係の者は除外するとは記されていないことから、内縁の夫を控除対象配偶者と認め、配偶者控除を認めるべきである旨主張する。
 しかしながら、所得税法第83条第1項は、居住者が控除対象配偶者を有する場合、配偶者控除を適用する旨規定している一方で、同法は上記配偶者についての定義規定を置いていないが、身分関係の基本法は民法であるから、所得税法上の配偶者については、民法の規定に従って解するのが相当であるところ、民法は、婚姻の届出をすることによって婚姻の効力が生ずる旨を規定し(民法第739条第1項)、そのような法律上の婚姻をした者を配偶者としている(民法第725条、第751条等)から、所得税法上の配偶者についても婚姻の届出をした者を意味すると解するのが相当であり、所得税法上の配偶者の意義については、民法上使用されている配偶者の意義と同様に、戸籍法の定めるところにより市区町村長等に届出をした夫又は妻を指し、内縁の夫はこれに含まれないことになる。
 そして、これを本件についてみると、請求人は、内縁の夫を世帯主とする住民登録上、請求人の続柄として「妻(未届)」と登録されており、また、請求人の戸籍及び内縁の夫の戸籍のいずれにも、請求人及び内縁の夫に係る婚姻の記録はないことからすれば、内縁の夫が、請求人の民法の規定による配偶者であったとは認められない。
 したがって、内縁の夫は、請求人の所得税法上の配偶者に該当しないから、控除対象配偶者には該当せず、請求人は、配偶者控除を適用することはできない。

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平成21年4月2日裁決

子会社株式の価額の回復可能性の判断は、将来の回復可能性について判断するのであるから、事業年度終了の時までの当該子会社の業況等や既に行われた事実のみで判断するのではなく、既に具体的に実行することが決定されている事業計画等がある場合には、これについても含めて判断するのが相当であるとして、子会社株式の評価損の計上は認められないとした事例

裁決事例集 第77集 281頁

要旨

 請求人は、①外国子会社P社の株式の価額の回復可能性の判断は翌事業年度の増資払込みを含めて行うべきではないこと、②本件増資は実質的には「つなぎ資金の貸付け」であり、本件増資にはP社の業績回復に直結する経済効果はないことから、P社株式の価額には回復が見込まれず、本件評価損の損金算入は認められるべきである旨主張する。
 しかしながら、P社株式の価額の回復可能性の判断は、本件事業年度終了の時までの株式発行法人の業況等や既に行われた事実のみで判断するのではなく、既に具体的に実行することが決定されている事業計画等がある場合には、これについても含めて判断するのが相当であり、本件においては、本件事業年度中に、請求人の取締役会において外国事業の経営改善計画として本件事業年度及び翌事業年度にP社に追加出資を行うことが決定されていること等からすれば、当該外国事業の経営改善計画も含めて判断することが相当である。そうすると、当該経営改善計画を実施すれば、P社は単年度ベースで利益が生じ、その資産状態が改善される方向にあったことが認められる。よって、本件事業年度終了の時において、P社の株式の価額の回復が見込まれないとはいえないから、請求人の主張は採用できない。

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平成21年3月24日裁決

外国人研修生等が在留資格の基準に適合する活動を行っていないことを理由に日中租税条約第21条の免税規定の適用がないとした事例

裁決事例集 第77集 232頁

要旨

 請求人は、外国人研修生等に支払った研修手当等について、研修生等は、現に「研修」又は「特定活動」の在留資格を有しており、中華人民共和国政府及び日本国政府が認めた研修生又は実習生であり、また、実際に水産加工における包丁の技術、日本語などの研修を行っているから、本件研修生が受領した研修手当等は、日中租税条約第21条に規定する所得税の免税の適用がある旨主張する。
 しかしながら、日中租税条約第21条の事業修習者等は、在留資格をもって日本に滞在している者であり、許可された在留資格に応じたそれぞれの活動を行うことができるのであるから、技術等の修得をする活動を行う「研修」などの資格をもった者はその在留資格の基準に適合する活動を行わなければならず、たとえ、在留を許可され滞在している者であっても、在留資格の基準に適合しないような活動を行っている者にあっては、日中租税条約第21条に規定する事業修習者等には該当しないと解されるところ、請求人は、水産加工品梱包方法など研修計画書に記載された研修を行っていないことなどからすれば、本件研修生は、「研修」等の在留資格の基準に適合するような活動を行っている者とはいえず、日中租税条約第21条に規定する事業修習者等には該当しないので、研修手当等について、日中租税条約に規定する租税の免除の適用はない。

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平成21年3月19日裁決

救急病院等に勤務する医師等に対する宿直料は、本来の職務に従事したことに対する対価であるから、所得税基本通達28-1ただし書は適用できないとした事例

裁決事例集 第77集 222頁

要旨

 請求人は、所得税基本通達28-1に定める宿直料又は日直料の一部非課税の取扱いについて、宿直料が実費支弁の性格を有するので、宿直における仕事の内容及びその責任の軽重などにかかわらず一律4,000円までを非課税とするものであり、宿直とは夜間勤務のことをいうのであるから、請求人が設置する救急病院等に勤務する医師等に対する宿直料は4,000円まで非課税とすべきである旨主張する。
 しかしながら、所得税基本通達28-1が、ただし書において、課税しない宿日直料の対象となる宿日直勤務から①本来の職務として行ったもの、②通常の勤務時間に行ったもの、③代日休暇が与えられるもの及び④給与比例額により支給されるものを除いていることからすると、同通達の取扱いの適用対象とされる宿日直勤務とは、所定労働時間外または休日において、本来の業務に従事しないで行う構内巡視、文書等の収受又は非常事態に備えての待機などをいうものと解され、夜間行われる勤務であるからといって直ちに同通達の適用対象とされる宿日直勤務に該当するということはできず、また、同通達が夜間の勤務1回について一律4,000円までを非課税とする旨を定めたものであると解することはできない。よって、請求人の主張は採用できない。

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平成21年3月3日裁決

自己株式の購入価額は適正な価額であるから、資本等の金額のうち取得株式に対応する部分を超える部分については、みなし配当が生じるとした事例

裁決事例集 第77集 194頁

要旨

 請求人は、請求人が取得した自己株式の取得価額について、税法上の適正価額(時価)に比して高額であり、当該高額な部分は本件株式の取得の対価ではなく、請求人にとっては売主に対する寄附金であり、売主にとっては法人からの贈与であるから一時所得になり、みなし配当部分はないから、原処分庁の行った納税告知処分等は違法であると主張する。
 しかしながら、その自己株式の取得価額は、①第三者間における合意に基づく売買として成立したものであること、②平成16年当時の請求人の株式の純資産価額は、取得価額より若干低い程度であったこと及び③その自己株式の購入の約1か月前に関連会社から自己株式をおおむね同額で購入していることから、正常な取引に基づく時価、すなわち適正価額と認められ、当該高額な部分はなく請求人の主張は採用できない。

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平成21年2月20日裁決

住宅の共有持分を追加取得したことは、租税特別措置法施行令第26条第2項の「居住の用に供する家屋を2以上有する場合」には該当しないとした事例

裁決事例集 第77集 272頁

要旨

 原処分庁は、妻と共有していた居住用の家屋に関し、住宅借入金等特別控除を適用して所得税の確定申告をしていた請求人が、その後離婚し、財産分与により取得した前妻の持分を含めて同控除を適用して所得税の申告をしたことについて、共有持分の追加取得は既存住宅の取得に当たり、租税特別措置法施行令第26条第2項が「居住の用に供する家屋を2以上有する場合」に住宅借入金等特別控除の重複適用を認めていないことから、請求人は当初の持分取得に係る控除と共有持分の追加取得に係る控除を重複して受けることはできないと主張する。
 しかしながら、既に居住の用に供する家屋の共有持分を有する者が他の共有持分を追加取得したとしても、それは、新たに別の家屋を有することとなるものではなく、既に居住の用に供する家屋の持分を追加取得したことにすぎず、共有持分の追加取得後の所有権の及ぶ対象は当該家屋の一個のみである。また、持分の取得後の前後を通じて、当該家屋を主としてその居住の用に供している実態に変わりはない。
 したがって、請求人の共有持分の追加取得は、租税特別措置法施行令第26条第2項の「居住の用に供する家屋を2以上有する場合」に該当しない。

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平成21年2月19日裁決

原処分庁が納税の猶予の適否の判断に必要な事実確認等を行おうと努めたにもかかわらず、請求人自らが要件が充足されていることを明らかにしていく姿勢がうかがわれなかったのであるから、納税の猶予を受ける権利を侵害した事実はないとした事例

裁決事例集 第77集 13頁

要旨

 請求人は、本件徴収担当職員が本件納税の猶予の適否の判断に必要な質問検査を行わず、また、請求人の用意した本件納税の猶予申請に関する資料を見ないで帰ってしまい、請求人に説明の機会を与えなかったことは、請求人の納税の猶予を受ける権利を侵害するものであるから、本件納税の猶予不許可処分に係る手続は不当である旨主張する。
 しかしながら、納税の猶予の要件を充足することについての立証責任は納税の猶予の申請をした納税者にあり、その納税者が進んで税務署長等に納税の猶予の要件が充足されていることを明らかにしなかったため、当該税務署長等において納税の猶予の要件が充足されていることを認定判断できなかったとして納税の猶予不許可処分を行った場合、当該税務署長等の判断に誤りはないというべきであるとともに、その調査手続が違法又は不当であるということもできないと解するのが相当であるところ、本件徴収担当職員が本件猶予申請に係る事実確認を行おうと努めたにもかかわらず、請求人は第三者の立会いの下での調査に固執し、自らが進んで納税の猶予の要件が充足されていることを明らかにしていく姿勢がうかがわれなかった本件においては、請求人が主張するような納税の猶予を受ける権利を侵害した事実はないと認められ、この点において、本件不許可処分が違法又は不当であるということはできない。

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平成21年2月17日裁決

被相続人が生前に行った譲渡が所得税法施行令第26条に規定する「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合」の譲渡には該当しないとした事例

裁決事例集 第77集 31頁

要旨

 所得税法第9条第1項第10号の趣旨が、譲渡所得が発生した際に納税資力がない者に対して租税を免除するものであることからすると、所得税法施行令第26条に規定する債務を弁済することが著しく困難である場合に該当するかどうかは、譲渡所得が発生した際に、債務者の債務超過の状態が著しく、その者の信用、才能等を活用しても、現にその債務の全部を返済するための資金を調達することができないのみならず、近い将来においても調達することができない場合をいうと解される。そして、上記のとおり、同条第1項第10号の趣旨が納付困難な納税者に対して租税を免除するものであることからすれば、資力を喪失して債務の弁済が著しく困難である場合に該当するか否かの判断は厳格に行われるべきであり、弁済可能な金額を客観的、かつ、具体的な金額をもって算定し、その上で、さらにどれだけの返済資金を調達することができるかについて認定していくことが所得税法第9条第1項第10号の趣旨にかなうものである。
 これを本件についてみると、被相続人の資産の価額の評価に当たり、譲渡物件については、譲渡時において、譲渡の対価、すなわち譲渡価額として弁済可能な金額が客観的、かつ、具体的な金額として把握できるのであり、譲渡物件は譲渡以前においても譲渡価額と同額の価額を有していたと認めるのが相当であることから、譲渡価額に相当する価額で評価すべきである。そうすると、請求人らの主張する負債の額の合計額は464,853,670円であるところ、本件譲渡物件の譲渡価額は、520,000,000円であるから、負債に係る請求人らの主張を全て認めたとしても、資産の額が、負債の額を上回ることは明らかである。したがって、被相続人は、所得税法施行令第26条に規定する資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合には当らない。

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平成21年2月16日裁決

アスベストの除去費用は、人為による異常な災害とみることはできないとした事例

裁決事例集 第77集 125頁

要旨

 請求人は、所得税法第72条の規定の趣旨からすれば、同条に規定する「災害」とは、納税者の意思に基づかない事象をいうのであり、本件においては、本件建物の建築当時には合法であったアスベスト部材が、その後、科学的に人体に極めて有害であることが判明し、本件建物解体時にはアスベストの含有量調査及びその除去について法令により義務付けられるまでに至ったものであり、この一連の事象が納税者の意思に基づかない事象として同条に規定する「災害」に該当する旨主張する。
 しかしながら、所得税法第72条に規定する「災害」の語義として、それを「納税者の意思に基づかない事象」とすることは広きに過ぎ、雑損控除の範囲を適切に画することができなくなることからすれば、「納税者の意思に基づかない事象」のみをもって同条に規定する「災害」に該当するとの考えは法解釈としては妥当ではなく、所得税法第2条第27号及び同法施行令第9条の規定からすれば、災害とは、自然界に生じた天災ないしはそれと同視すべき事象を指すものであり、また、人為によるものであっても、鉱害、火薬類の爆発など自然界に生じた天災と同視すべき劇的な過程を経て害を被る事象をいうものと解するのが相当である。
 また、請求人は、上記のとおり一連の事象が所得税法第72条に規定する「災害」に該当する旨主張するが、なおあいまいで特定された主張とはいい難いところ、本件においては、いかなる事象を所得税法第2条第27号を受けた同法施行令第9条に規定する「人為による異常な災害」に該当するものとして検討するかによって判断内容は異なるものとなる。
 すなわち、請求人の主張を「建物の解体の際にアスベストが発見されたことによりアスベストの除去作業等を法令により義務付けられるに至ったこと」が「災害」に該当するとの主張と解し、「人為による異常な災害」とみることができるかを検討すると、法令によりアスベストの除去作業等が義務付けられたのは、作業の過程において飛散するアスベストを作業員等が吸引することによる健康障害の発生を防止するためであり、従来建材等に広く使用されていたアスベストが、人の健康上危険視されてその使用が禁止され、除去作業等の費用負担を余儀なくされたこと自体は、予見及び回避不可能であり、納税者の責めに帰すべきものではなく、納税者の意思に基づかないものとしても、除去作業等の義務が課せられ、これを行ったこと自体は法令に基づく要請であり、かつ、その費用負担も受忍すべきものというべきであるから、かかる法令に基づき費用負担が生じたこと自体を上記「人為による異常な災害」とみることはできない。

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平成21年2月13日裁決

遺産分割の際に支出した弁護士費用は、所得税法第38条に規定する「資産の取得に要した金額」には該当しないとした事例

裁決事例集 第77集 59頁

要旨

 所得税法第38条第1項に規定する「資産の取得に要した金額」には、当該資産の客観的価格を構成すべき取得代金の額のほか、登録免許税、仲介手数料等の当該資産を取得するために通常必要と認められる付随費用の額も含まれると解するのが相当であり、当該資産の維持管理に要する費用その他日常的な生活費ないし家事費に属するものはこれに含まれないと解するのが相当である。
 そして、居住者が相続により取得した資産を譲渡したことにより、所得税法第60条第1項を適用して譲渡所得の金額を計算する場合において、相続人が当該資産を取得するために通常必要と認められる費用、例えば、相続の場合の被相続人から相続人への名義変更に係る不動産登記費用も、同法第38条第1項に規定する「資産の取得に要した金額」に該当すると解される。
 もっとも、遺産分割の際に支出した訴訟費用、弁護士費用等は、一般には相続人間の紛争を解決するための費用であることから、相続人が当該資産を取得するために通常必要と認められる費用とはいえない。したがって、遺産分割の際に支出した訴訟費用、弁護士費用等は、所得税法第38条第1項に規定する「資産の取得に要した金額」に含まれる付随費用には該当しない。
 本件弁護士費用は、本件共同相続人が本件相続に係る遺産分割を求めて申し立てた本件各遺産分割事件において、被相続人の代理人を務めた弁護士に対し、委任契約の報酬として支払われたものの一部である。
 そうすると、本件弁護士費用は、遺産分割の際に支出した弁護士費用であるから、被相続人が本件土地を取得するために通常必要と認められる費用とはいえず、所得税法第38条第1項に規定する「資産の取得に要した金額」には該当しない。

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平成21年1月28日裁決

真実の仕入先の名称等が記載されていない帳簿等は消費税法第30条第7項に規定する帳簿保存要件を満たす帳簿等には該当しないから、これに係る消費税の仕入税額控除は認められないとした事例

裁決事例集 第77集 518頁

要旨

 請求人は、軽油の仕入先G社、H社及びJ社(以下「本件仕入先3社」という。)はいずれも実在していた会社であり、取引当時の状況から本件仕入先3社を架空の会社などと疑う余地は全くなく、消費税法第30条は納税者が帳簿等の記載内容の真実性を調査し確認する義務まで規定していない旨主張する。
 しかしながら、G社は、商業登記がなく、領収証と請求書の住所が異なっており、H社は、商業登記はあるが、その住所地には別人が居住しており、J社は、商業登記がなく、領収書記載の住所が住居表示上存在しないことなどから、本件仕入先3社は実体のない会社であることが認められ、請求人の帳簿等には真実の仕入先の名称が記載されていないこととなる。
 そして、①軽油をとりまく業界においてはかつてから不正軽油の問題があることは公知の事実であり、取引当時も不正軽油の販売が行われていたこと、②本件仕入先3社へ注文する際の電話番号が同じであったこと、③本件仕入先3社の集金担当者が同一人物であったことなど、各仕入先の名称が真実のものかどうか、社会通念上からみて相当程度疑われる状態であったといえ、加えて、請求人と本件仕入先3社との取引は、回数も多く、金額も多額であり、すべて現金決済であることからすると、請求人が積極的に確認するのが自然であるところ、これを確認することなく漫然と請求書等を保存し、帳簿に記載していたといわざるを得ないから、請求人において、本件仕入先3社が真実のものと信ずべき相当の理由があったとはいえない。また、請求人は、真実の仕入先の名称等を記載した帳簿等の保存をすることができなかったことにつきやむを得ない事情があったという主張及び立証をしていない。
 したがって、本件仕入先3社の名称が記載されている請求人の帳簿及び請求書等は、いずれも真実の仕入先の名称が記載されていないことから、消費税法第30条第8項及び第9項に規定する記載要件を満たした帳簿及び請求書等に該当せず、同条第7項に規定する帳簿及び請求書等の保存がなかったものということとなり、本件仕入先3社との取引については、同条第1項に規定する課税仕入れ等の消費税額の控除を適用することができないとした原処分は適法である。

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平成21年1月19日裁決

国税の収納機関たる日本銀行歳入代理店となっている金融機関の窓口で納税資金を預金口座から引き落として当該代理店に納付手続を依頼した日と当該金融機関が収納手続をした日が相違する場合、収納手続をした日が納付日であるとした事例

裁決事例集 第77集 1頁

要旨

 請求人は日本銀行歳入代理店であるA銀行B支店が平成20年1月21日の営業時間内に本件源泉所得税を弁済受領しており、弁済者が弁済受領権限のある者に対して既に弁済を完了しているのであるから、弁済日は翌日ではなく弁済当日の平成20年1月21日となる旨主張する。
 しかしながら、請求人の従業員Cは、平成20年1月21日の16時30分ころ、同支店において本件源泉所得税の納付手続を行ったと認められるところ、同銀行の内部規定では、15時から17時までに税公金の払込みを受付する場合は、当日払込資金を受け入れ、国税については、翌営業日付取引の依頼として預かり、受取証兼引換証を交付することとされており、同支店の窓口担当者がCに交付した本件受取証兼引換証は、複写式の一連の冊子に基づいて作成されたものであって、実際に同銀行に本件受取証兼引換証と一連となる書類が保管されていることに照らせば、上記窓口担当者が、上記内部規定に基づき本件受取証兼引換証を交付したことが推認でき、平成20年1月21日に本件源泉所得税を納付したのであれば、同日に領収証書が交付されるべきところ、本件においてはこれに代えて本件受取証兼引換証に、「預り日」として平成20年1月21日が、「手続ご指定日」として同月22日が別々に記入されていることからすれば、同支店は、一金融機関として翌営業日に納付手続を行う目的で金銭及び納付書等を預かったものであり、同支店は平成20年1月22日に本件源泉所得税を国庫金として収納したと認められるから、平成20年1月21日に納付は完了しておらず、平成20年1月21日に納付があったとはいえない。

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平成21年1月19日裁決

関係会社の名義による源泉所得税の納付は、請求人による納付としての法的効果を生じないとした事例

裁決事例集 第77集 207頁

要旨

 請求人は、各関係会社名義を用いての源泉所得税の納付であったものとしても、それは請求人が法定期限内に納付していたものであるから、請求人による納付があったものと扱うべきである旨主張する。
 しかしながら、租税法は、源泉徴収義務者本人が第三者名義で源泉所得税を徴収・納付することを予定していないというべきであり、これが外観上一見して源泉徴収義務者本人の通称ないし別名と判断できるような場合でない限り、源泉徴収義務者本人の徴収・納付としての法的効果は生じないものと解するのが相当である。本件における請求人の各関係会社は、それぞれが、①商業登記された法人であること、②給与支払事務所等の開設届出書を提出し、本件関係各社名で源泉所得税が納付されていること、及び③法人税及び消費税等の申告をしていることが認められ、これらのことからすれば、請求人による当該各関係会社の名義を用いた源泉所得税の徴収・納付は、外観上一見して請求人の通称ないし別名でなされたと判断することはできないから、本来の源泉徴収義務者である請求人自身の徴収・納付としての法的効果を生じないものと解される。

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平成21年1月16日裁決

酒類を譲渡担保の目的財産とする譲渡担保設定契約が無効又は課税庁に対して相対的に無効ということはできないから、譲渡担保財産となっていた酒類が滞納者に帰属するとしてした差押処分は違法であり、したがって、当該差押処分に続く配当処分において滞納国税に配当された金額は、残余金として譲渡担保権者である請求人に交付すべきであるとした事例

裁決事例集 第77集 552頁

要旨

  1.  酒税法は、酒税の適正かつ確実な賦課徴収を図る観点から、酒類の製造と業として行う酒類の販売について免許を必要とする旨定めたものであって、酒類の製造免許又は販売業免許を有していない者が行う酒類の譲渡そのものを禁止したものではなく、酒税法及び他の法令においても酒類を譲渡担保の対象にすることを禁止した規定はないから、譲渡担保権者が酒類の製造免許又は販売業免許を有していないという理由のみで、酒類の譲渡担保設定契約が無効又は課税庁に対して相対的に無効であるということはできない。
     また、酒税は、その製造場から酒類が移出された場合にその製造者に課されるものであり、譲渡担保権の実行によってその製造場から酒類が移出された場合もその製造者に酒税が課されることになるが、そのことから直ちに、酒類を譲渡担保の目的とすることが移出酒税そのものを譲渡担保の目的にしているとは解し難く、一定の財産的価値を有し、譲渡できるものはすべて譲渡担保財産とすることができるところ、酒類を譲渡担保財産とすることは法令上禁止されておらず、譲渡担保権の実行による酒類の売却代金がすべて譲渡担保の被担保債権の弁済に充てられた場合には、移出酒税の納付・徴収が困難になることが考えられるものの、製造者が酒税を滞納した場合、製造者の総財産が滞納処分の対象となることを考えれば、酒類を譲渡担保の目的としたことによって酒税の徴収が全く不可能になるとは考えられないから、本件譲渡担保設定契約が詐害性や反社会性を有するとは認められず、たとえ移出酒税が酒類の販売価額の一部を構成しているとしても、本件酒類を譲渡担保の目的としたことが公序良俗に反するとはいえない。
  2.  先に行われた処分と後に行われた処分が相結合して一つの法律的効果の実現を目指し、これを完成させるものであるときは、原則として違法性が承継されると解されるところ、滞納処分における差押処分や公売処分、配当処分は、滞納となった国税債権の強制的実現という同一目的のために段階的に行われるものであるから、差押処分の違法性は、その後の公売処分や配当処分に承継されることとなる。そして、不動産等についての差押えに欠陥があることを理由とする不服申立てはその公売期日までにしなければならない旨を定めている国税徴収法第171条第1項第2号の規定は、差押処分の違法性がその後の公売処分や配当処分に承継されることを前提として、滞納処分手続の安定や換価手続により権利を承継した者等の権利利益の保護を図るため、不服申立てについて制限を定めたものと解されるところ、酒類のような動産については、このような不服申立てについての制限を定めた規定はないのであるから、動産の差押処分の違法性は配当処分にも承継され、したがって、請求人は、本件差押処分の欠陥を理由として、本件各配当処分の取消しを求めることができると解される。
     そして、国税徴収法第129条第1項は、配当を受ける債権の範囲を限定列挙したものと解されるから、本件譲渡担保の被担保債権は、同項に規定する債権には該当しないものの、本件差押処分は財産の帰属を誤った違法な差押えであり、本件差押処分の違法性は本件各配当処分に承継され、本件滞納国税は配当を受ける資格を有しないので、本件滞納国税に配当された金額は、残余金として請求人に交付すべきである。
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平成21年1月9日裁決

出資持分の定めのない医療法人への組織変更の準備中に相続が開始した場合の医療法人の出資について、財産評価基本通達の定めにより評価することが相当であるとした事例

裁決事例集 第77集 413頁

要旨

 医療法人X会がP県知事に対して定款変更に係る認可申請をしたのは、本件相続開始日より後の平成○年○月○日であり、同知事の定款変更に係る認可の通知は同月○日付で行われており、X会は、本件相続開始日においては、同知事による本件定款変更の認可は受けていないことから、X会は出資持分の定めのある社団医療法人であり、X会の出資者は、X会の財産的価値をその持分に応じて有していたこと、さらに、本件相続の開始日前におけるX会の出資者は、被相続人、N及びVの3名であり、被相続人が有していた出資持分(以下「本件出資持分」という。)のすべてをNが遺贈により取得したこと、並びに本件相続の開始直前及び開始直後におけるX会の社員全員が被相続人、N(被相続人の配偶者)、V(被相続人の次男)及びその親族であったことに照らせば、本件相続の開始した時において、社員総会において本件定款変更を行わない旨の決議をし、これまでどおり出資持分の定めのある医療法人として存在し続けること、また、N、U(被相続人の長男)、V及びY(被相続人の弟、X会理事長)は、X会の財産的価値を把握していたことからすると、出資者が社員総会の承認を受けてX会の出資持分を当該算出した額を基準として第三者に譲渡することも可能であったと考えられるし、X会を解散して、残余財産の分配を受けることも可能であったことなどからすれば、本件出資持分は、特別の放棄の意思決定及び特別の法定手続の拘束下にあるなどと請求人が主張する事情は、X会、Y、被相続人、N及びVが、将来にわたって存続し得るよう妥協を図ることを目的として、実質的にX会の分割を図りたいとのNその他関係者の主観的事情であって、客観的交換価値である相続税法第22条に規定する時価を算定する場合に、このような主観的事情を考慮することは相当ではない。
 したがって、請求人の主張する事情は、本件出資持分の評価に当たり、財産評価基本通達194-2の定めによらないことが正当と認められるような特別な事情には該当しない。
 本件においては、平成○年○月○日に開催されたX会の臨時社員総会において本件定款変更が決議され、その際に、出資者の一人であった被相続人も社員として本件定款変更の決議に加わり、被相続人は、本件定款変更によって自己の出資持分が消滅することを認識した上で当該決議に賛成したと認められるが、この意思表示により、被相続人に出資持分放棄の義務が生じたということはできず、その後、平成○年○月○日のP県知事に対する本件定款変更に係る認可申請書の提出を経て、同月○日付のP県知事の本件定款変更の認可があったことにより、Nが遺贈により取得した被相続人のX会に対する出資持分が消滅したのである。したがって、本件相続開始日において、「出資持分の放棄義務」という被相続人の債務は存在しないから、Nの相続税の課税価格の計算上、本件出資持分の価額と同額である○○○○円を本件出資持分の放棄義務として債務控除額に計上して控除することはできない。

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