裁決事例 裁決事例集 第103集

裁決事例 裁決事例集 第103集

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平成28年6月28日裁決

被相続人は、生前、不動産を売却していないから、当該売却に係る代金債権は発生していないと判断した事例(平成23年3月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・全部取消し)

裁決事例集 第103集

ポイント

 本事例は、不動産に係る親子間の売買契約書は存在するが、当該売買契約書は、実体を伴わない架空の内容を記載した契約書であると認めるのが相当であり、当該売買に係る代金債権は発生していないと判断したものである。

要旨

 原処分庁は、被相続人は、生前、子に対して、不動産(本件不動産)を売却しているところ、相続開始時点において、本件不動産の売買に関する契約書(本件売買契約書)記載の代金が支払われていなかったことから、被相続人は、上記代金に相当する債権(本件代金債権)を有していた旨主張する。
 しかしながら、本件売買契約書は存在するものの、本件売買契約書の作成に、買主とされる子が関与していないこと、本件売買契約書において、所有権移転登記手続は、売買代金全額の支払と引替えに行うとされているが、現在に至るまで売買代金は全く支払われておらず、そうであるのに、所有権移転登記が完了しているのは不自然であること、子が請求人との間で作成した金銭消費貸借契約書記載の金員を受け取っておらず、当該金員の返済もしていないこと、請求人及び子の間では、本件不動産の子の所有名義は便宜上のものであり、真実は請求人が所有者であることを確認する旨の合意書が作成されていること、子が本件不動産の所有者としてこれを管理、支配している形跡がうかがわれないことの事情に照らせば、本件売買契約書は、実体を伴わない架空の内容を記載した契約書であるものと認めるのが相当であり、したがって、本件代金債権は発生していないというべきである。

参照条文等

相続税法第2条 民法第555条

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平成28年6月8日裁決

火災による損害が反映されていない建物の台帳価格が、登録免許税法第10条第1項に規定する価額(時価)を超えていることから、合理的に算定した価額をもって課税標準とするのが相当であるとした事例(登録免許税の還付通知をすべき理由がない旨の通知処分・一部取消し)

裁決事例集 第103集

ポイント

 本事例は、火災による損害が反映されていない台帳価格の建物の時価は、経年減点補正率により算定された建物の台帳価格に、市の建物の固定資産評価に係る調査結果に基づき算定した建築時再建築費評点数に占める補正後再建築費評点数の割合を乗ずることで、本来考慮されるべき損害を反映した建物の台帳価格に相当する価額の算出が可能であり、当該価額は、固定資産評価基準に従って適正に算定されたものといえ、登記の時における建物の適正な時価を表したものと認められると判断したものである。

要旨

 原処分庁は、所有権移転登記(本件登記)時に課税標準とした建物(本件建物)の固定資産課税の台帳価格(台帳価格)に、過去に生じた火災による損害(本件損害)が反映されていないとしても、台帳価格のある不動産の課税標準の額は、登録免許税法附則第7条《不動産登記に係る不動産価額の特例》、登録免許税法施行令附則第3項の規定により、本件建物の本件登記の時における台帳価格によるべきである旨主張する。
 しかしながら、登録免許税法第10条《不動産等の価額》第1項の登録免許税の課税標準たる不動産の価額とは不動産の「時価」をいうところ、時価の設定は基本的に当該不動産の台帳価格によるべきであるものの、台帳価格が何らかの理由により時価を表していない場合には、他の方法により求めた時価を登録免許税の課税標準として採用することができると解するのが相当である。そこで、本件建物の時価を検討すると、経年減点補正率により算定された本件建物の台帳価格に、市の本件建物の固定資産評価に係る調査結果に基づき算定した建築時再建築費評点数に占める補正後再建築費評点数の割合を乗ずることで、本来考慮されるべき本件損害を反映した本件建物の台帳価格に相当する価額の算出が可能であり、当該価額は、固定資産評価基準に従って適正に算定されたものといえ、本件登記の時における本件建物の適正な時価を表したものと認められる。そして、本件建物の台帳価格はその時価を上回るから、本件建物の登記に係る課税標準の額は、本件建物の台帳価格とはならず、当該時価によるべきである。

参照条文等

登録免許税法第10条第1項 登録免許税法附則第7条

参考判決・裁決

平成24年1月24日裁決(裁決事例集No.86) 平成24年3月6日裁決(裁決事例集No.86) 平成24年12月5日裁決(裁決事例集No.89)

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平成28年6月3日裁決

開発許可を受けたのは受託者であって、不動産信託の受益者としての権利(受益権)の譲受人でないため、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用はないとした事例(平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第103集

ポイント

 本事例は、信託財産に属する資産が土地等である所得税法第13条第1項に規定する受益者等課税信託の信託受益権が譲渡された場合には、当該信託財産に属する資産である土地等が譲渡されたことになるところ、当該土地等の開発許可を受けたのは受託者であって、当該信託受益権の譲受人でないため、優良住宅他の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用はないと判断したものである。

要旨

 請求人らは、信託法第16条《信託財産の範囲》第1項及び所得税法第13条《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》第1項の規定からすると、信託財産に関する受託者の行為は受益者の行為と同一人格の行為であるとみなされることから、当該信託の受託者が都市計画法第29条《開発行為の許可》第1項に基づく開発許可を取得すれば、当該許可を受けた地位は、信託受益権が譲渡された場合の受益者である譲受人も有するというべきであり、当該譲受人は、租税特別措置法第31条の2《優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例》第2項第13号(本件特例)の「開発許可を受けて住宅建設の用に供される一団の宅地の造成を行う」法人に該当するなどと主張する。
 しかしながら、本件特例は本来課されるべき租税を政策的な見地から特に軽減するものであるから、租税公平主義に照らし、その解釈は条文の文言に即して厳格にされるべきであり、条文の文言を離れてみだりに拡張解釈や類推解釈をすることは許されないことに鑑みれば、本件が対象土地に係る信託受益権(本件受益権)の譲渡であり、本件受益権の譲受人自身が開発許可を取得していない以上は、開発許可を受けた者に対する譲渡との要件を満たさないものとして、本件特例の適用を受けることはできない。

参照条文等

所得税法第13条第1項 租税特別措置法第31条の2第2項第13号

参考判決・裁決

東京地裁平成13年3月29日判決(税資250号順号8869)

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平成28年6月2日裁決

請求人が平成25年中に行った外国通貨建預金の払出しにより生じた為替差損益の金額は、同年分の収入すべき金額に該当するとした事例(平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第103集

ポイント

 本事例は、本件における為替差損益については、外国通貨を円貨に交換して口座から払い出した時に所得税法第36条《収入金額》第1項にいう収入すべき金額が実現したものとして所得を認識するとしたものである。

要旨

 請求人は、平成25年分における請求人の外国通貨建預金(本件外貨預金)の払出しにより生じた為替差損益(本件為替差損益)の金額は、請求人名義の本件外貨預金の口座を開設した平成21年から最終払出日の平成25年までの間にわたり継続して行われた取引であるから、この期間を基礎として計算されるべきである旨主張する。
 しかしながら、本件為替差損益については、外国通貨を円貨に交換して本件外貨預金の口座から払い出した時に所得税法第36条《収入金額》第1項にいう収入すべき金額が実現したものとして、所得を認識する必要がある。したがって、請求人の平成25年分の雑所得の金額の計算上総収入金額に算入すべき金額は、請求人が平成25年中に外国通貨を円貨に交換して本件外貨預金の口座から払い出した時に生じた各為替差損益の額の合計額とされるべきである。

参照条文等

所得税法第57条の3

参考判決・裁決

東京地裁平成23年1月26日判決(税資261号順号11599)

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平成28年5月30日裁決

個人で事業を営む請求人が同族会社に支払った不動産賃借料について、地理的条件等の類似する不動産賃借料よりも高額であることから、所得税法第157条を適用した事例(平成23年分及び平成24年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・一部取消し、棄却)

裁決事例集 第103集

ポイント

 本事例は、不動産の賃料が、地理的条件、用途、規模、構造などの状況が類似すれば、特別な事情がない限り、その金額は同程度になることから、所得税法第157条の適用の検討に当たり、地理的条件等の類似性が確保された不動産の平均賃料と請求人が同族会社に支払った賃料を比較することには合理性があるとしたものである。

要旨

 請求人は、原処分庁が所得税法第157条《同族会社等の行為又は計算の否認等》第1項の規定の適用に当たって算定した診療所(土地を含む。)の適正賃料について、その算定方法に合理性がないことから、請求人が同族会社に支払った賃料(本件賃料)を必要経費に算入したことは請求人の所得税の負担を不当に減少させる結果となるとは認められない旨主張する。
 しかしながら、同項に規定する「所得税の負担を不当に減少させる結果となる」と認められるか否かは、同族会社の具体的行為又は計算が通常の経済人の行為等として経済的合理性を有しているか否かを基準として判断すべきであり、不動産の賃料は、地理的条件、用途、規模、構造などの状況が類似すれば、特別な事情がない限り、その金額は同程度になることから、請求人が本件賃料を支払ったことについて通常の経済人の行為として経済的合理性を有しているか否かを判断する際に、地理的条件等の類似性が確保された不動産の平均賃料と本件賃料を比較することには合理性があると認められる。そして、原処分における診療所の類似物件の抽出基準は地理的条件等の類似性が確保されており、本件賃料は当該基準に従って抽出した不動産の平均賃料(診療所の適正賃料)よりも高額であることから、請求人が本件賃料を支払ったことは通常の経済人の行為として経済的合理性を有していない。したがって、請求人が本件賃料を必要経費に算入したことを容認した場合には請求人の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められる。
 なお、原処分庁による診療所の類似物件の平均賃料の算定に一部誤りがある。

参照条文等

所得税法第157条第1項

参考判決・裁決

平成23年7月8日裁決(裁決事例集№84)

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平成28年5月20日裁決

死亡保険金の一部を故意に相続税の申告の対象から除外したものとまでは認め難いとした事例(平成24年9月相続開始に係る相続税の 重加算税の賦課決定処分、 更正処分及び重加算税の賦課決定処分・ 一部取消し、 全部取消し)

裁決事例集 第103集

ポイント

 本事例は、請求人が死亡保険金の一部を申告しなかったことについて、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

要旨

 原処分庁は、請求人は、11口の死亡保険金を自ら受領しそのうち4口は当初申告しており、これらの死亡保険金全てを相続税額の計算の基礎とすべきことを認識していたと認められるから、その余の7口の死亡保険金(本件各無申告保険金)を受領した事実を隠ぺいする意図があったと推認されることや、調査担当職員に対し、本件各無申告保険金についても申告したと認識していた旨の虚偽の申述をしたことなどを総合考慮すると、本件各無申告保険金を当初申告から除外したことは、課税要件事実を隠ぺいしたところに基づくものである旨主張する。
 しかしながら、請求人は、本件各無申告保険金をいずれも請求人名義の預金口座への振込送金により受領した上、調査の際には、調査担当職員からの求めに応じて、当該預金口座に係る預金通帳等を逡巡なく提示しているのであって、本件各無申告保険金の発見を困難ならしめるような意図や行動はうかがわれない。また、請求人が、調査担当職員から本件各無申告保険金の申告漏れを指摘されると、特段の抗弁をすることなく当該事実を認めており、修正申告の勧奨に応じて遅滞なく修正申告をしていることにも照らせば、本件各無申告保険金を故意に当初申告の対象から除外したものとまでは認め難い。これらによれば、請求人が、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものと認めることはできないから、本件各無申告保険金を当初申告の対象に含めなかったことが、課税要件事実の隠ぺい、仮装に基づく過少申告であるとは認められない。

参照条文等

国税通則法第68条第1項

参考判決・裁決

最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)

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平成28年5月20日裁決

請求人に対する決定処分は、違法な調査に基づいて行われたものではないとした事例(平成21年分所得税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分並びに平成25年分所得税及び復興特別所得税に係る無申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第103集

ポイント

 本事例は、先物取引の差金等決済に係る損失の繰越しのみを求めるための申告書を提出できる期限は、その申告書を提出することができる日から5年を経過する日までとした申告指導等に誤りはないとしたものである。

要旨

 請求人は、原処分庁の行った平成21年分の所得税の決定処分(本件決定処分)は、①国税通則法(通則法)第74条の11《調査の終了の際の手続》第2項に規定する調査結果の説明を口頭で行っていないなど、調査終了の際の手続が不十分であること、②平成20年分の所得税につき、少なくとも法定申告期限から7年間は期限後申告が可能であったにもかかわらず、原処分庁が請求人に対して、法定申告期限から5年間が期限後申告書を提出できる期限であるとの指導(本件申告指導)をし、請求人は、不当な本件申告指導により、平成20年分の所得税の期限後申告書の提出を制限され、結果、平成21年分の所得税において、前年分の先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除が不可能な状態を強いられ、その後に本件決定処分がなされたという事情があることから、通則法第25条《決定》に基づく適法な調査によるものとはいえず、取り消されるべきである旨主張する。
 しかしながら、上記①の主張について、本件における調査手続には、課税処分を取り消すべき違法な点はなく、また、上記②の主張について、請求人の平成20年分の所得税の期限後申告書は、その申告書を提出できる日から5年を経過する日が提出できる期限であると解されるところ、本件申告指導を行った時点において、既に当該期限を経過していたのであるから、本件申告指導により平成20年分の期限後申告を行う権利を制限されたとする請求人の主張はその前提を欠く。したがって、本件決定処分は、通則法第25条に規定する「調査」に基づいて適法に行われたものであり、取り消すべき違法はない。

参照条文等

租税特別措置法第41条の15

参考判決・裁決

富山地裁平成19年3月14日判決(税資257号順号10655) 名古屋高裁金沢支部平成19年9月12日判決(税資257号順号10773) 水戸地裁平成21年2月17日判決(税資259号順号11142)

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平成28年5月13日裁決

生命保険金及び生命保険契約に関する権利の一部を故意に相続税の申告の対象から除外したものとは認め難いとした事例(平成24年12月相続開始に係る相続税の 重加算税の賦課決定処分、 更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・ 一部取消し、 全部取消し)

裁決事例集 第103集

ポイント

 本事例は、請求人が生命保険金等の一部を申告しなかったことについて、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものとは認めることができないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

要旨

 原処分庁は、請求人が、生命保険金及び生命保険契約上の権利が相続税の計算の基礎となる財産であることを十分に認識しながら、生命保険契約の一部のみを申告した一方、関与税理士に対して5口の保険契約(本件各保険)に関する書類を提出せず、これらを申告しなかったことは、当初から課税標準等を過少に申告することを意図して、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をし、その意図に基づく過少申告をしたものと認められる旨主張する。
 しかしながら、請求人は、①本件各保険の契約締結に関与していないこと、②相続開始の約4か月後に保険会社から教示を受けるまでは、本件各保険の2口について、相続に起因する保険金の支払請求手続ないし契約者等の変更手続の必要性を認識しておらず、保険会社から促されて受動的にこれらの手続を行ったものとみられること、③当初申告後に保険会社から連絡を受けるまでは、本件各保険の3口の存在を認識していなかったことがうかがわれることに加え、④当初申告書の作成過程で関与税理士に対し相続財産の計上漏れを指摘して訂正を求めるなど、正確な申告を行う姿勢を示していたこと、⑤原処分庁の調査担当職員から本件各保険の申告漏れを指摘された後、遅滞なく修正申告に応じていることに照らせば、請求人が、本件各保険を故意に当初申告の対象から除外したものとは認め難い。
 したがって、請求人が、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものとは認めることができない。

参照条文等

国税通則法第68条第1項

参考判決・裁決

最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)

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平成28年5月10日裁決

滞納者が自己の債務弁済に係る事務を請求人に委任していたことからすると、滞納者の預金口座から請求人の預金口座への振込入金は、当該委任に係る事務に関連して行われたものというべきであるから、当該入金をもって国税徴収法第39条が規定する無償譲渡等の処分があったということはできないとした事例(第二次納税義務の納付告知処分・全部取消し)

裁決事例集 第103集

ポイント

 本事例は、争点の判断に当たり、審理の範囲を原処分庁が主張する間接事実の有無のみに絞ることなく、原処分庁が主張していない間接事実を認定し、当該認定事実から課税等要件の充足を否定したものである。

要旨

 原処分庁は、滞納者の自宅売却代金(本件売却代金)の一部が滞納者の預金口座から請求人の預金口座に振込入金(本件入金)されたところ、①滞納者が請求人に対して本件入金に係る金員の返還を求める意思を示していないこと、②請求人が本件入金を自宅のリフォーム費用に充てていることなどから、本件入金は、国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》が規定する無償譲渡等の処分に該当する旨主張する。
 しかしながら、滞納者が本件売却代金を原資とする滞納者の債務弁済に係る事務を請求人に委任していた事実(本件委任)が認められることからすると、本件入金は、請求人が本件委任に係る事務に関連して行ったものというべきであるから、本件入金をもって国税徴収法第39条が規定する無償譲渡等の処分があったということはできない。

参照条文等

国税徴収法第39条

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平成28年5月6日裁決

本件土地の想定整形地の間口距離、奥行距離は、建築計画概要書の写しにある配置図によれば、原処分庁が主張するものとは異なるとした事例(平成24年4月相続開始に係る相続税の 各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、 各更正処分・ 一部取消し、 棄却)

裁決事例集 第103集

要旨

 原処分庁は、請求人らが相続により取得した東側と西側でそれぞれ道路に接する不整形な土地(本件土地)について、財産評価基本通達20《不整形地の評価》にいう「想定整形地」の間口距離は50.35m、奥行距離は35.0mであるから、本件土地の評価につき適用すべき同通達に定める不整形地補正率は0.98となる旨主張する。
 しかしながら、建築計画概要書の写しにある配置図によれば、本件土地に係る想定整形地の間口距離は50.50m、奥行距離は35.28mであるから、本件土地の評価につき適用すべき同通達に定める不整形地補正率は0.97となる。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達20

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平成28年4月25日裁決

相続財産である各預金口座を隠ぺいし、秘匿しようという確定的な意図、態勢の下に、計画的に相続税の申告書を提出しなかったとまではいえないとした事例(平成24年11月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分・一部取消し)

裁決事例集 第103集

ポイント

 本事例は、請求人が、相続に関する原処分庁の照会に対して被相続人名義の各預金口座の存在を回答せず、相続税調査の初期においても上記回答に沿った申述するなど、当該各預金口座の存在を隠した事実は認められるものの、これらの行為をもって、隠ぺい又は仮装の行為と評価することは困難であるなどとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

要旨

 原処分庁は、被相続人が、生前、同人名義の各預金口座の存在を原処分庁に容易に知り得ない状況を作出するとともに、請求人に対して当該各預金口座は申告する必要はないと指示しており、請求人が、その意図を十分に理解して、当該各預金口座を記載しない「相続についてのお尋ね」(本件お尋ね回答書)を原処分庁に提出するとともに、原処分庁所属の職員に対しても、その記載に沿った申述を行った後、その存在を把握されるに至って、当該職員から指摘された口座についてのみ段階的にこれを認める行為を繰り返したのであるから、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する隠ぺい又は仮装の事実がある旨主張する。
 しかしながら、無申告加算税に代えて重加算税を課す場合、法定申告期限の前後を含む、外形的、客観的な事情を合わせ考えれば、真実の相続財産を隠ぺいし、秘匿しようという確定的な意図、態勢の下に、計画的に納税申告書を提出しなかったときには、重加算税の賦課要件を満たしていると解するのが相当である。これを本件についてみると、請求人は、相続税の法定申告期限後において、当初、当該各預金口座の存在を隠す申述をしているものの、当該職員から指摘されるとその存在を認めており、当該各預金口座を隠す態度を一貫していたとはいえない上、当該各預金口座が発見されるのを防止するなど積極的な措置を行っていないことからすれば、本件お尋ね回答書の提出及び当該各預金口座を隠していたことを、隠ぺい又は仮装と評価するのは困難である。そして、このほか、請求人が、法定申告期限の前後において、積極的な隠ぺい又は仮装の行為を行っていないことからすれば、法定申告期限経過時点において、相続税の調査が行われた場合には、積極的な隠ぺい又は仮装の行為を行うことを予定していたと推認することはできない。
 したがって、請求人は、当該各預金口座を隠ぺいし、秘匿しようという確定的な意図、態勢の下に、計画的に相続税の申告書を提出しなかったとまではいえないから、重加算税の賦課要件を満たさない。

参照条文等

国税通則法第68条第2項

参考判決・裁決

最高裁平成6年11月22日第三小法廷判決(民集48巻7号1379頁)

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平成28年4月19日裁決

太陽光発電設備の引渡しを受けた日を仮装したと認めることはできないとした事例(平25.4.1~平26.3.31の課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分・一部取消し)

裁決事例集 第103集

ポイント

 本事例は、太陽光発電設備に係る請求書を請求人が作成したことについて争いはなく、その請求書の欄外に工事完了は課税期間の末日までとする旨記載されていたとの事実関係の下、請求人がこのような請求書を作成したことをもって太陽光発電設備の引渡しを受けた日を仮装したとはいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

要旨

 原処分庁は、請求人が太陽光発電設備の取得費を課税仕入れの対価の額に含めたことについて、請求人は、課税期間内に太陽光発電設備の設置工事(本件工事)が完了しないことを十分認識していたにもかかわらず、本件工事が課税期間の末日である平成26年3月31日までに完了する旨記載した内容虚偽の請求書(本件請求書)を作成したのであるから、太陽光発電設備の引渡しを受けた日を仮装したものというべきである旨主張する。
 しかしながら、本件請求書は、飽くまで本件工事の代金を請求する書面であって、太陽光発電設備の引渡しに係る書面ではない上、本件請求書が平成26年1月31日付で作成されていることからすれば、「工事完了は3月31日までとする」との記載は、工事完了の予定日が記載されたものとみるほかなく、請求人が本件請求書を作成したことをもって太陽光発電設備の引渡しを受けた日を仮装したと認めることはできない。

参照条文等

国税通則法第68条第1項

参考判決・裁決

最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)

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平成28年4月19日裁決

相続財産である現金の申告漏れについては、過少申告の意図を外部からもうかがい得る請求人の行為の結果としてなされたものと認定した事例(平成24年10月相続開始に係る相続税の過少申告加算税及び重加算税の賦課決定処分・一部取消し)

裁決事例集 第103集

ポイント

 本事例は、相続財産である現金の申告漏れについて、請求人は、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づく過少申告をしたものと認められるとして、重加算税の賦課要件である「隠ぺい」によると判断したものである。

要旨

 請求人は、関与税理士に対し、現金の存在及びその大まかな額の分かる資料を提出しており、申告すべき現金の額について関与税理士の税務的な判断に任せていたことから、重加算税の賦課要件である「隠ぺい」といわれるような行為はなかった旨主張する。
 しかしながら、請求人は、被相続人の財産を管理しており、相続開始日における多額の現金が相続財産に当たることを知っていたことなどから、当初から現金を過少に申告することを意図し、その意図に基づき多額の現金の存在につき関与税理士に敢えて秘匿し、手元に残っていた現金は存在しない旨を示す書面を関与税理士に提出するなどして、その結果、関与税理士に現金を過少に記載した申告書を作成させて原処分庁に提出したものである。したがって、請求人は、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づく過少申告をしたものと認められるから、現金に関する申告漏れについては、重加算税の賦課要件である「隠ぺい」によるものと認められる。

参照条文等

国税通則法第65条第1項第68条第1項 国税通則法施行令第28条第1項

参考判決・裁決

最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)

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平成28年4月14日裁決

子会社に対する売掛債権の放棄に係る損失は法人税法上の寄附金に該当するとして、原処分の一部を取り消した事例(法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分並びに復興特別法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分・一部取消し)

裁決事例集 第103集

ポイント

 本事例は、請求人は子会社に対する売掛債権を有効に放棄したものと認められるところ、当該売掛債権の放棄に係る損失は法人税法上の寄附金に該当するとしたものである。

要旨

 原処分庁は、債権放棄に関する請求人と子会社との間の意思について、回収不能額が不確定な状態の下、子会社に対する売掛債権(本件売掛債権)の全額を放棄する旨の内容虚偽の債権放棄声明文(本件声明文)を作成し交付することで子会社の清算を進めることを企図し、その交付後において、子会社の請求人に対する返済不足額として確定した回収不能額を債権放棄する趣旨であることが明らかであるなどとして、本件声明文の交付をもって請求人が本件売掛債権を放棄したとは認められない旨主張する。
 しかしながら、本件売掛債権の放棄に至る経緯等からすれば、請求人は、子会社を破産させることなく清算する必要から本件売掛債権の全額を放棄したと認めるのが自然であり、本件売掛債権の放棄は、請求人の真意に基づくものといえることから、本件声明文の交付をもって、請求人は、本件売掛債権を有効に放棄したものと認められる。そして、請求人が子会社の清算に伴う損失負担を行う理由は認められないので、本件売掛債権の放棄に経済的合理性があるとはいえず、当該子会社の債務超過が相当期間継続した事実もないことから、本件売掛債権の放棄に係る損失の額は法人税法上の寄附金の額に該当する。

参照条文等

国税通則法第68条第1項 法人税法第37条第7項 租税特別措置法第66条の4第3項 法人税基本通達9-4-19-6-1

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平成28年4月7日裁決

原処分庁が認定した登録免許税の課税標準たる土地の価額は、当該土地に類似する不動産の登録価格を基礎としたものということはできないとして処分の一部を取り消した事例(平成27年2月登記により納付された登録免許税に係る還付通知をすべき理由がない旨の通知処分・一部取消し)

裁決事例集 第103集

ポイント

 本事例は、平成27年2月にした平成26年12月31日現在の固定資産課税台帳に登録された価格(登録価格)がない土地の所有権移転登記に係る登録免許税の課税標準について、他に当該土地の登記の時における適正な価額とは認められるものがないときは、平成26年度の固定資産評価基準の定めにより計算した価額が当該土地の登記の時の価額として相当なものであると認められるとしたものである。

要旨

 請求人は、平成27年2月にした平成26年12月31日現在の固定資産課税台帳に登録された価格(登録価格)がない土地(本件土地)の所有権移転登記に当たり、納付した登録免許税は過誤納となっている旨主張し、原処分庁は、登録免許税法施行令附則第3項の規定に基づき付近の土地の登録価格から認定した価額は適正であり、過誤納はない旨主張する。
 しかしながら、本件土地の周辺で、本件土地と形状、間口、奥行き、利用状況及び接道状況等が類似する不動産は存在しなかったと認められる上、登記官が認定した価額は、単に近傍の固定資産評価の路線価に雑種地等補正をして算定されただけであるとうかがわれ、これを本件土地に類似する不動産の登録価格を基礎としたものということはできない。本件の登記申請は、平成27年2月になされており、用いるべき登録価格は平成26年12月31日現在のものであって、これと異なり、平成27年1月1日を基準日とする平成27年度の登録価格を用いる請求人の主張額は、登録免許税法施行令附則第3項第1号の規定に反しており、また、平成27年2月と平成27年1月1日とでは、本件土地の造成工事が完了していたか否かという差異があるから、平成27年度の登録価格をもって直ちに同項所定の登記官が認定する価額とは認められない。いずれの価額も本件土地の登記の時における適正な価額とは認められないから、平成26年度の固定資産評価基準の定めにより計算した価額が本件土地の登記の時の価額として相当なものであると認められる。

参照条文等

登録免許税法第10条、同附則第7条 登録免許税法施行令附則第3項

参考判決・裁決

平成24年10月12日裁決(裁決事例集No.89)

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平成28年4月7日裁決

請求人が確定申告書に添付した書類には、租税特別措置法第10条の5の4第4項に規定する内容が記載されていないから、同条第1項に規定する特別控除の適用は認められないとした事例(平成26年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分・棄却)

裁決事例集 第103集

ポイント

 本事例は、雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除の適用を受けるためには、当初の確定申告書に「雇用者給与等支給増加額」等を記載した明細書の添付が必要であると判断したものである。

要旨

 請求人は、租税特別措置法第10条の5の4《雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除》第4項後段に規定する「当該確定申告書に添付された書類」には、青色申告決算書など確定申告書に添付すべき書類が含まれると解すべきであり、同条第1項に規定する特別控除(本件特別控除)の金額の計算の基礎となる雇用者給与等支給増加額は、請求人が所得税の確定申告書に添付した書類(本件添付書類)等を基に算出することができるから、更正の請求において本件特別控除の適用を受けることができる旨主張する。
 しかしながら、同条第1項の規定により控除を受けることができる金額は、「確定申告書に添付された書類に記載された雇用者給与等支給増加額を基礎として計算した金額」に限られるところ、同条の規定の構造に鑑みれば、同条第4項後段に規定する「当該確定申告書に添付された書類」とは、同項前段に規定する「第1項の規定による控除の対象となる雇用者給与等支給増加額、控除を受ける金額及び当該金額の計算に関する明細を記載した書類」を指すものと解するのが合理的である。そして、本件添付書類には、上記「雇用者給与等支給増加額、控除を受ける金額及び当該金額の計算に関する明細」のいずれの記載もないのであるから、本件添付書類を基に雇用者給与等支給増加額を算出することができたとしても、そのことをもって、本件特別控除の適用を受けることはできない。

参照条文等

租税特別措置法第10条の5の4(平成27年法律第9号による改正前のもの)第1項第4項

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