裁決事例 平成7年(1995年)
本件土地の譲渡価額は、請求人の主張する不動産売買契約書(甲契約書)に基づく金額ではなく、これとは別に存在する不動産売買契約書(乙契約書)が真正なものと認められるから、同契約書上の金額から実測により減額された金額を差し引いた金額とするのが相当であるとした事例
裁決事例集 第50集 163頁
要旨
本件土地の譲渡価額について、請求人は、不動産売買契約書(甲契約書)のとおり3,966万円であると主張するが、甲契約書とは別に、譲渡価額を5,020万円とする不動産売買契約書(乙契約書)が存在するところ、[1]買主代表者のメモに実測に基づき54万円を減額する旨の記載があり、5,020万円から同額を差し引くと4,966万円となること、[2]買主の帳簿上、本件土地の支払代金として4,966万円が支払われていること、[3]仲介手数料の額が4,966万円に見合うものと認められること及び[4]買主の代表者の答述によると、甲契約書は仲介業者から裏契約の話を持ちかけられて作成したものであることから乙契約書が真正なものと認められるので、本件土地の譲渡価額は乙契約書に基づく4,966万円とするのが相当である。
租税特別措置法第35条の居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用を受ける旨の確定申告書を提出した者が、その後に、住宅取得等特別控除の適用を受けるため、居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用を受けない旨の修正申告書を提出することは認められないとした事例
裁決事例集 第50集 13頁
要旨
請求人は、租税特別措置法第35条の居住用財産の譲渡所得の特別控除を適用して確定申告書を提出したのは錯誤に基づくものであり、当該特別控除の適用を受けないこととした修正申告書は国税通則法第19条により適法であるから、翌年分の住宅取得等特別控除の適用を認めるべきである旨主張するが、請求人の居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用を受ける旨記載した確定申告書は、当該特別控除の適用要件を具備した適法なものであるから、その後において、修正申告書によってその適用を受けない旨に変更することはできず、当該確定申告書の提出に錯誤は認められないから、翌年分については、租税特別措置法第41条第6項の規定により住宅取得等特別控除の適用はない。
特定の資産の買換えの課税の特例を適用した船舶の譲渡契約に係る対価の額には、内航貨物船に係る建造引当権が含まれており、当該建造引当権の対価の額につき買換えの特例が適用されないとした事例
裁決事例集 第50集 202頁
要旨
- 請求人は、原処分庁が認定した建造引当権の対価の額は、推定であり根拠とならず、また、高額である旨主張するが、[1]内航海運業界では、建造引当権を売買の対象とする慣行が存在し、その取引相場に基づき売買されていること、[2]取引実例による1重量トン当たりの建造引当権は、いずれも認定額を上回っていること、[3]解撤業者から請求人の代表者の口座へ別途船体に係る購入価額に相当する対価の額が振り込まれており、本件譲渡契約には船体は含まれていないと認められることから、建造引当権の対価の額につき原処分庁の認定は、相当である。
- したがって、建造引当権の対価の額に相当する金額につき、特定の資産の買換えの課税の特例を適用できないとした原処分は相当である。
譲渡土地1,567平方メートルのうちゲートボール場として使用されていた397平方メートルは、居住用家屋の敷地に該当しないので、この部分の譲渡については、租税特別措置法第35条の適用がないとした事例
裁決事例集 第50集 140頁
要旨
請求人は、そもそもゲートボール場は、請求人及び家族が使用するものとして居住用家屋に隣接して設置したものであるから、当該土地も租税特別措置法第35条に規定する「居住用家屋の敷地の用に供されている土地」に該当する旨主張する。
しかしながら、原処分関係書類及び請求人の答述によれば、ゲートボール場として使用されていた部分の土地について、[1]請求人は、昭和56年9月以降Q町長寿会と無償貸借契約を締結していること、[2]P市長は、昭和56年10月Q町自治会から受けた同場設置の陳情に基づき同場の整地工事を行ったこと、[3]同場の出入口は、居住用家屋の出入口と別であること、[4]請求人は、平成3年1月17日P市長に対し同場の設置されている土地の固定資産税免除申請を行い、[5]市長は、平成3年2月~5年2月までの間総額322千円の固定資産税を免除していること、[6]道具用倉庫は、Q町長寿会の会員が設置管理していることが認められる。
ところで、租税特別措置法第35条第1項に規定する「譲渡土地が居住用家屋」の敷地に該当するか否かの判定は、社会通念に従い当該家屋と一体として利用されていたか否かにより、具体的には、敷地と当該家屋の位置、面積及び利用状況等を総合して、当該家屋と一体として利用されている土地をいうものと解されるところ、本件ゲートボール場として使用されていた部分の土地は、居住用家屋の敷地の用に供されていた土地に該当しないというべきであるから、当該土地が居住用財産に当たらないとした本件更正処分は、適法である。
納税者本人の申告行為に重要な関係を有する部門(経理部門等)に所属し、相当な権限を有する地位(課長等)に就いている者の隠ぺい又は仮装の行為は、特段の事情がない限り、納税者本人の行為と同視すべきであり、重加算税の賦課決定処分は適法であるとした事例
裁決事例集 第50集 25頁
要旨
請求人は、棚卸資産の減額は、請求人の経理課長が行ったものであり、請求人の代表取締役その他の役員は全く関知していないし、過少申告の事実も知らされていなかったとして、重加算税の賦課決定は違法であると主張するが、納税者本人の申告行為に重要な関係を有する部門(経理部門等)に所属し、相当な権限を有する地位(課長等)に就いている者の隠ぺい又は仮装の行為は、特段の事情がない限り、納税者本人の行為と同視すべきであるから、重加算税の賦課決定は適法である。
要旨
請求人は、本件土地を昭和62年10月8日Fに9,935万円で譲渡したにもかかわらず原処分庁は、請求人が同月31日G社に17,130万円で譲渡したとして収入金額を過大に認定しているので、本件更正処分及び重加算税の賦課決定処分は違法である旨主張する。
しかしながら、原処分関係資料等及び本件土地取引に関与した関係者の答述によれば、次の事実が認められる。
- 昭和62年10月8日の売買契約書に記載されている本件土地の地積は、同月10日に実測した面積であり、また、Fは、本件土地に係る短期譲渡所得の申告をしているものの、ごく一部しか納税しておらず、行方不明であること。
- [1]売主側の仲介業者であるLは、本件土地の隣接地が坪当たり1,100万円で売れたので売却を勧め、請求人の夫であるJとG社側の仲介業者であるEの間に入り4~5回交渉の上、坪当たり1,000万円と決めた。[2]Eは、Lからの依頼によりG社が坪当たり1,000万円で本件土地を購入する旨の売買契約を昭和62年10月10日W銀行の応接室で締結し、G社の代表者○○から受領した小切手8,265万円と現金8,865万円をKに渡した。[3]売買契約に立ち会った銀行員であるAは、昭和62年9月下旬にJから坪当たり1,000万円で売却するので、根抵当権の解除と売買契約時の立会いの依頼があり、立ち会った際に勘定した現金は1~2千万円程度の少額ではなく、小切手は預金、現金はJが持ち帰った旨答述していること。
以上の事実によれば、請求人は、Fを本件土地の買主として介在させ、更に、Fを売主とする虚偽の売買契約書を作成したのであるから、請求人がG社に本件土地を17,130万円で譲渡したと認めるのが相当であるので、本件更正処分等及び重加算税の賦課決定処分は正当である。
所得税法第212条《源泉徴収義務》第3項の「支払」の意義については、これを実質的に解し、現実に金銭を交付する行為のみならず、その支払債務が消滅すると認められる一切の行為を含むものと解するのが相当であるとして、形式的意味における清算人会の決議に基づく必要があるとする請求人の主張を排斥した事例
裁決事例集 第50集 215頁
要旨
- 所得税法第25条第1項第3号の規定は、形式的には、法人の利益配当ではないが残余財産の分配等の方法で、実質的に利益配当に相当する法人利益の株主等への帰属が認められる行為が行われたときに、これを配当とみなして株主等に課税する趣旨である。
したがって、法人の当該行為が残余財産の分配に当たるか否かについては、商法等の定める手続きを経ているか否かだけでなく、当該行為のもつ経済的効果をも勘案して実質的見地から判断すべきである。 - 上記の趣旨からすれば、所得税法第212条《源泉徴収義務》第3項の「支払」についても実質的に解し、現実に金銭を交付する行為のみならず、その支払債務が消滅すると認められる一切の行為を含むものと解するのが相当である。
- 協同組合における残余財産の分配は、清算人会が決定することとされている[中小企業等協同組合法第36条の2(理事会)]が、みなし配当として源泉徴収義務が発生する残余財産の分配(支払)のために、常に清算人会の決議が必要と解すると仮に法人の利益が何かの機会に組合員に移転した場合でも、形式的には決議がなければ課税されないことになるが、これは所得税法の解釈として妥当でない。上記中小企業等協同組合法の規定は、組合員や債権者保護のための手続規定であり、決議以前に法人の利益が組合員に移転したような例外的場合における所得税法の解釈にまで影響を及ぼすものではないと解するのが相当である。
- 本件残余財産の分配の時期
- 平成3年12月の分配
11組合員に対する貸付金を仮払金と振替処理した平成3年12月10日に当該組合員に対して残余財産の一部442,895千円が分配され、その限度において請求人の残余財産の支払債務が消滅したものと認められる。 - 平成4年1月の分配
平成4年1月13日付の「組合清算金一部仮払いにつきお願いの件」と題する書面を交付した上、同日にG社に対し33,570,000円、同月21日にF社に対し23,535,000円支払っているのは、残余財産の一部の分配であり、各支払時点で請求人の支払債務が一部消滅したものと認められる。 - 平成4年8月及び9月の分配
請求人が、平成4年8月4日、同月20日及び同年9月21日に本件組合員に支払った金員は、同年7月17日の清算人会の承認に基づき本件念書記載のとおり、残余財産の一部を分配したものと認められる。
- 平成3年12月の分配
滞納会社が売上除外金から取締役に支出した金員は、社員総会において承認の決議を受けた損益計算書には計上されていないことから、職務執行の対価としての役員報酬には当たらず、国税徴収法第39条に規定する無償譲渡に当たるとした事例
裁決事例集 第50集 265頁
要旨
請求人は、滞納会社が売上除外金から請求人に支出した金員(本件金員)の性格は職務執行の対価たる役員報酬であると主張するが、滞納会社では社員総会決議によって役員報酬の総額が定められており、社員総会で承認された損益計算書に計上されている金額が役員報酬となるところ、本件金員は、社員総会において承認の決議を受けた損益計算書には計上されていないことから、職務執行の対価としての役員報酬には当たらない。
そうすると、本件金員の授受は滞納会社から請求人への贈与であり、国税徴収法第39条に規定する無償譲渡に該当する。
重加算税の賦課決定処分は課税面の処分であり、徴収面の第二次納税義務に係る告知処分とは全く別の処分であって、国税通則法第102条(裁決の拘束力)第1項の規定には抵触しないから、本件金員を賦課決定の審査請求では役員賞与と認定し、第二次納税義務に係る告知処分では贈与と認定しても違法ではない。
建物の賃貸借予約契約は、将来の賃貸借契約を締結させる義務を確認するものであり、事実上の賃貸借契約の締結と認めることはできないので、本件土地を貸家建付地として評価することはできないとされた事例
裁決事例集 第50集 235頁
要旨
請求人は、被相続人が建築中の本件建物について相続開始日前に賃貸借予約契約を締結し、相続開始日後に賃貸借契約を締結したが、その内容は予約契約とほとんど同じであり、予約金が敷金の一部に充当されているので、賃貸借予約契約は本件建物の竣工引渡日を賃料支払開始日とする賃貸借契約であるから、予約日に賃貸借契約が締結されたとみるべきであり、また、最終賃貸人は相続開始日までに独自で行う1階部分の造作工事の発注を行っており、本件建物に自由に立入ることが可能であったことから、少なくとも1階部分については引き渡されていたというべきであるから、本件建物の敷地は貸家建付地として評価すべきであると主張する。
ところで、貸家建付地とは、借家権の目的となっている建物の敷地として利用されている現況にある宅地でなければならず、原則として、[1]完成した建物が存在していること、[2]賃借人が建物の引渡しを受けて現実に入居していることあるいは契約上の賃貸借開始期日が到来していること及び[3]通常の賃料に相当する金銭の授受があることあるいはその権利義務が発生していること等の要件をすべて具備する建物の敷地をいうものと解することができる。
しかし、賃貸借予約契約は将来の賃貸借契約を締結させる義務を確認するものであり、事実上の賃貸借契約の締結と解することはできず、仮に、賃貸借予約契約の締結をもって賃貸借契約の締結がされたと判断しても、相続開始日現在、本件建物は完成しておらず、賃料の支払いもされていないので、上記の要件のすべてを具備していないことになる。
また、最終賃借人の造作工事の工事期間は平成3年9月1日から同年10月15日までと認められるから、相続開始日(平成3年8月10日)以前に本件建物の引渡しを受けて工事を着工していたと認めることはできず、仮に、工事会社が本件建物に立ち入っていたとしても、請求人は平成3年10月16日に本件建物の引渡しを受けたものであるから、最終賃借人が請求人から便宜の供与を受けたものとしか解せず、賃貸借に基づく占有が開始した結果とは認められない。
したがって、本件宅地を貸家建付地として評価することはできない。
加算税の賦課決定処分に当たり、その計算の基礎とした「更正処分により納付すべき税額」には、更正により増加する部分の納付すべき税額のほか、更正により減少する部分の還付金の額に相当する税額が含まれ、当該税額の還付を受けたか否かを問わないとした事例
裁決事例集 第50集 1頁
要旨
請求人は、過少申告加算税の基礎となる更正処分等により納付すべき税額には、「納付義務が存在するところの」という限定をつけて解釈すべきであるとし、本件課税期間の確定申告書に記載した還付金の額に相当する税額である控除不足還付税額の還付を受けていないので、本件更正処分により「減少する部分の税額」となった当該控除不足税額については、納付義務が存在しないこととなり、国税通則法第65条第1項に規定する納付すべき税額ではないことになるから、これを過少申告加算税の計算の基礎として賦課決定処分する根拠はない旨主張するが、同法第65条第1項は、更正等に基づく過少申告加算税は、同法第35条第2項の規定により課される旨規定しているところ、同項及び同法第28条第2項の規定内容から、当該「納付すべき税額」には、同法第28条第2項第3号イの更正により増加する部分の納付すべき税額のほか、同号ロの更正により減少する部分の還付金の額に相当する税額が含まれることは明らかであるから、当該税額の還付を受けたか否かを問わないと解するのが相当である。そうすると、更正により更正前の還付金の額に相当する税額がなくなり、納付すべき税額が生じた場合、過少申告加算税の計算の基礎となる税額は、その更正により生じた税額と、なくなった(消滅した)還付金の額に相当する税額を合計した税額となるところ、本件賦課決定処分は、更正処分により納付すべき税額と消滅した還付金の額に相当する税額を合計した税額を過少申告加算税の計算の基礎としており、請求人の主張には理由がない。
要旨
原処分庁は、台風により被害を受けた本件宅地の擁壁の工事費用の額については、原状回復のための費用と資本的支出とに明確に区分できない旨主張するが、本件復旧事業は、本件宅地と一体である市道に係る擁壁の復旧事業と同様の形状、材質により行われたことが認められ、当該復旧事業は、位置、形状、寸法、材質を変えずに原形復旧するものであることから、請求人が支出した本件宅地の擁壁工事費用の額は、その全額が原状回復のために支出したものであって、資本的支出の額はないとみるのが相当である。
バラ出荷設備は、基礎、屋根、壁、柱、窓及びバラ輸送車の搬出口あるいは風よけのためのシャッターで構成され、機械等の蔵置あるいは人の作業の用に供されていることから、建物と認めその耐用年数を適用するのが相当であるとした事例
裁決事例集 第50集 175頁
要旨
請求人は、そのバラ出荷設備のうち、「上屋及び側壁」、「基礎工事」、「出荷口防風雪設備」及び「タンク架構部分」(以下、これらを併せて「本件各資産」という。)については、出荷設備の一部であり、当該出荷設備全体として機械装置の機能を果たしているのであるから、機械及び装置に該当し、その耐用年数は10年である旨主張するが、本件出荷設備は、[1]基礎工事を施した上、支柱を立て土地に定着させた建造物であり、構造的には本件タンク等を取り囲む形で周囲に支柱があり、この支柱に上屋、側壁及び出荷口防風雪設備をタンク架構部分に直接取り付け、本件タンク等を覆ったものであること、[2]機能的には、物の蔵置に供され、人の作業の用に供されていること、[3]本件出荷設備を倉庫として、残留防止用バラ出荷設備を建築物として登記がなされ、建築物として建築確認がなされていること、[4]不動産取得申告書にバラ出荷棟を取得した旨記載して申告していることから、本件各資産は、本件タンク等に附帯的に取り付けられたものではなく、基礎、屋根、壁、柱、窓及びバラ輸送車の搬出口あるいは風よけのためのシャッターで構成され、機械等の蔵置あるいは人の作業の用に供されていることから、建物と認めその構造に従い35年の耐用年数を適用するのが相当である。
保証債務の履行に伴う求償権放棄の取消通知が、消滅時効の援用により求償権の行使不能となったとしても、所得税法第152条に規定する更正請求ができないとした事例
裁決事例集 第50集 91頁
要旨
請求人は、被相続人が昭和63年3月に行った求償権放棄(債務免除)の通知を平成5年1月に取り消したところ、平成5年6月に主債務者から消滅時効の援用により求償権の行使不能となったのであるから、所得税法第152条の規定により昭和62年分の譲渡所得について更正請求ができる旨主張する。
しかしながら、次の事実からすると、本件求償債権は、被相続人が求償権放棄(債務免除)の通知を行った昭和63年3月で既に消滅していることが明らかであるので、所得税法第152条の規定に該当しないこととなる。したがって、更正をすべき理由がないとした本件通知処分は適法である。
- 被相続人が行った求償権放棄(債務免除)の通知書には、[1]金融機関及び関係者と協議の結果、主債務者であるG社の倒産を回避して事業を継続するために被相続人所有の土地を譲渡して、G社の借入金を弁済した、[2]被相続人がG社に有する求償債権36,076千円のうち、14,500千円を放棄する、[3]この結果、G社の財務体質が改善されると思う、旨記載されていること。
- G社は、昭和63年4月期の事業年度で14,500千円を雑収入に計上するとともに、現在まで事業を継続していること。
- 民法第519条は、債権者が債務者に債務免除の意思表示をしたときは、当該債権は消滅する旨規定し、この債務免除は債権者の一方的な意思表示により成立し、この意思表示は撤回できないと解されていること。
本件土地の譲渡収入金額は126,160千円であり、また、G社と本件土地の売買契約の事実がないので、当該契約解除に伴う違約金の支払いがないと認定した事例
裁決事例集 第50集 56頁
要旨
- 請求人は、F社から受領した123,372千円のうち、20,000千円はG社との売買契約の解除に伴う違約金であって、本件土地の譲渡収入金額ではない旨主張するが、[1]請求人とF社との間で作成された本件土地の売買価額を126,160千円とする契約書が存在すること、[2][1]の契約書は、請求人が内容を確認した上で署名・押印したものである旨答述していること、[3]請求人は、F社から123,372千円を受領したことを自認していること、[4]G社は、請求人から本件土地を購入したことも、違約金を受領したこともない旨答述していることから、本件土地の譲渡収入金額は126,160千円であり、また、G社と本件土地の売買契約の解除に伴う違約金の支払事実がないと認定して、分離短期譲渡所得金額を24,183千円とした本件更正処分は適法である。
- 原処分庁は、請求人が不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した借入金の支払利子のうち、平成2年4月に購入したP市S町所在の貸家(本件貸家)の使用開始までの期間の支払利子は、必要経費に算入できない旨主張するが、[1]請求人は、昭和62年頃から不動産賃貸業務を行っていること、[2]本件貸家の取得も不動産賃貸業務の遂行上行われていること、[3]借入金1億円は、本件貸家の取得のためと認められるので、本件貸家の使用開始までの支払利子5,630千円は、不動産所得の必要経費に算入するのが相当であり、不動産所得の金額は△5,766千円となる。
- 以上の結果、請求人の総所得金額は△1,504千円(事業所得4,262千円、不動産所得△5,766千円)となるから、課税短期譲渡所得金額は22,679千円となり、この金額は、本件更正処分額を下回るので、本件更正処分の一部を取り消すべきである。
要旨
請求人は、平成3年1月に譲渡した農地は親子3人の生活を賄うとともに減反政策にも協力してきたことを考慮し、本件買換特例の適用対象資産に該当する旨主張する。
しかしながら、租税特別措置法は一定の政策目的で定められた特則・例外規定であるから、その解釈適用は、厳格にされなければならないところ、特定の事業用資産の買換特例は、譲渡資産が事業の用に供されていることを大前提としている。
ところで、請求人は、水田農業確立対策要綱に基づき、譲渡土地を預託水田として助成金の交付を受けていたが、市道工事の終了した昭和62年頃、譲渡土地に土盛を行い自家用の野菜を植栽し昭和63年11月頃の収穫を最後に耕作を止め、放置していた旨審判所に答述していることから、当該土地の譲渡時(平成3年1月)において、当該土地は事業(農業)の用に供されていないことが明らかである。
したがって、譲渡土地が租税特別措置法第37条に規定する買換特例の適用対象資産に該当しないとした更正処分は相当である。
貸室の入居に当たり前賃借人から買い取った造作及び備品の買取費用は、その造作及び備品をすぐ取り壊し、新たな造作を取得したこと等からみて、繰延資産に該当するとした事例
裁決事例集 第50集 190頁
要旨
前賃借人に支払った造作及び備品の買取費用は、[1]本件貸室は、引渡しを受けた日の翌日から本件造作等の取壊し又は廃棄及び新店舗の改修工事が始まり、請求人が本件造作等を利用した事実はないこと、[2]前賃借人の営業していた麻雀店と、請求人が新店舗にて営業しようとしていたバーとでは業種が全く異なること等から、前賃借人が営業していた麻雀店舗としての本件造作等の利用価値に着目して支出したものではなく、既存の本件造作等を取壊し又は廃棄して、新たな内部造作を施してバーを営業できるという価値に着目しての支出と認められ、実質的には建物の賃借に際して支払う権利金とその性質を異にするものではなく、繰延資産に該当する。
要旨
請求人は、平成3年1月に甲土地(昭和28年取得、時価187,825万円)とF社所有の乙土地(昭和63年取得、時価159,660万円)を交換し、28,165万円の差金(時価の20%以内)を取得したのであるから、交換の特例の適用対象資産に該当する旨主張する。
所得税法第58条に規定する交換特例は、それぞれ1年以上所有する固定資産である同種の資産(交換のために取得したと認められるものを除く)と交換し、交換取得資産を交換譲渡資産と同一の用途に供した場合には、譲渡所得の計算上、交換譲渡資産の譲渡がなかったものとみなされる。
ところで、審判所が原処分関係資料等を調査したところ、次の事実が認められる。
- F社の開発事業部が昭和61年7月に発議して社内決裁を了した乙土地の取得に係る稟議書によれば、乙土地は商業ビルの請負工事条件付の転売目的で取得する旨記載されていること。
- F社の昭和63年3月期の貸借対照表によれば、乙土地は棚卸資産として計上されていること。
- F社のK総務部長は、乙土地は購入当初から交換時まで棚卸資産であり、固定資産としての利用計画及び固定資産として利用した事実は一切なかった旨記載した確認書を国税局の調査官あてに提出していること。
以上の事実によれば、F社所有の乙土地は棚卸資産と認めるのが相当であるから、所得税法第58条に規定する交換特例の適用対象資産に該当しないとした本件更正処分は適法である。
仮換地の指定変更は、土地区画整理事業の遂行の必要性から行われたものではなく、私人間の仮換地の交換に基づく指定変更願により行われたものであるから、租税特別措置法第33条の3の規定の適用はないとされた事例
裁決事例集 第50集 111頁
要旨
請求人は、租税特別措置法第33条の3(換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例)は、個人が、その有する土地などにつき土地区画整理法による土地区画整理事業が施行された場合において、当該土地等に係る換地処分により土地等を取得したときは、換地処分により譲渡した土地等の譲渡はなかったものとみなす旨規定しているところ、本件仮換地の指定変更は、土地区画整理審議会の委員から公共性のあるもので、所得税の課税関係は生じないと言われて行ったものであり、土地区画整理事業の終了しない段階で行われたものであるから、租税特別措置法第33条の3の規定により譲渡はなかったとみなされるべきであると主張する。
しかしながら、本件仮換地は指定後10数年の間、特に問題もなく請求人の自動車板金業の敷地として使用されていたものであり、本件仮換地の指定変更は、事業施行者が土地区画整理事業遂行上の必要性から働きかけたものではなく、請求人とF社との間における仮換地が事実上付帯した従前地の交換契約を実現するために行われたものと認められるところ、租税特別措置法第33条の3の規定は、土地区画整理事業施行地内であっても、土地区画整理事業の遂行とは直接関係のない土地等の交換契約を実現するための本件指定変更のようなものまでも、譲渡がなかったとみなす規定ではなく、請求人の主張は採用できない。
取引先である外国法人の発注に基づき第三者を介して当該法人に販売し、輸出代金を受領している取引は、輸出取引に該当するものの、請求人には、輸出証明書が交付されていないことから、消費税法第7条第1項に規定する輸出免税の適用を受けることができないとした事例
裁決事例集 第50集 257頁
要旨
- 本件取引は、取引先である外国法人からの発注に基づき、第三者に納入して当該外国法人から輸出代金を受領していることから、消費税法第7条第1項第1号に規定する輸出取引に該当するものと認められる。
しかし、輸出免税の適用を受けるためには、輸出取引等を行った事業者は、税関長から交付を受ける輸出の許可若しくは積み込みの承認があったことを証する書類又は輸出の事実を税関長が証明した書類の保存が要件とされているところ、請求人に対して本件取引に関する輸出証明書が交付されていないため、輸出取引に該当するとしても、請求人は輸出免税の適用を受けることはできない。 - 請求人は、消費税法施行規則第5条第1項第4号において税関長の証する書類以外であっても取引の事実を証する書類であれば輸出取引を証明するものとする旨の規定をしていることをもって、本件取引も輸出免税の対象となる旨主張するが、本件取引は、同号に規定する取引に該当しないので、請求人主張は採用することができない。
要旨
請求人は、受注先であるM社等に納品した製品の対価には、同社から支給された原材料の部品代金を含めた金額(製品の対価に係る消費税額を含む)を受領し、他方、M社等から製品の加工を受注するに際しては、原材料の部品の対価(製品の対価に係る消費税額を含む)をM社等に支払っていることから、消費税の課税標準額は、M社等から有償支給された原材料部品の金額を加算した金額により計算することが相当である。
遅延損害金の定めのない貸付金にあっては、約定利率と同じ割合で遅延損害金が日々発生しているものと解すべきであり、本件はこれを新たに消費貸借の目的としたものと認められることから、当該遅延損害金が回収不能になったとしても所得税法第64条第1項の規定の適用はないとした事例
裁決事例集 第49集 34頁
要旨
- 遅延損害金の定めのない本件貸付金にあっては、約定利率と同じ割合である年8パーセントの利率による遅延損害金がその元本が返済されるまで日々発生し、発生と同時に弁済期が到来して収入すべき金額が確定するものと解すべきである。
- 平成3年8月16日に両者の間で、平成2年5月25日から平成3年8月16日までの利息額等についての金銭借用証書を取り交わしていることからすると、新たに両当事者間に準消費貸借契約が成立したものと認められる。そうすると、法律上、既存債権である本件利息及び遅延損害金に係る債権は消滅し、その額について消費貸借上の債権が新たに発生したことになるから、所得税法第64条第1項に規定する「各種所得の計算の基礎となる収入金額」は、法律上もはや存在せず、これに相当する金額が仮に一定の事由により回収不能になったとしても、同項の規定の適用はないと解すべきである。
「一括支払システムに関する契約書(代金債権担保契約書)」第3条の2(国税徴収法第24条の規定に基づく譲渡担保権者に対する告知が発せられたときは、当座貸越債権は何らの手続を要せず弁済期が到来するものとし、同時に担保のため譲渡した代金債権は当座貸越債権の代物弁済に充当されるとするもの)の効力について、かかる変動を認めることは国税徴収法第24条による物的納税義務の規定が機能しなくなることを意味するのであるから、国税徴収法第24条の規定が、このような擬制による権利変動を保護しているとは解されないとした事例
裁決事例集 第49集 585頁
要旨
本件条項の下においては、告知が発せられた時に担保権が実行されたことになるが、告知が発せられたかどうか、いつ発せられたかは、告知書を受領して初めて知ることができるのである。そうすると、譲渡担保財産は、譲渡担保権者と同設定者が認識しない間に、正確にはいつの時点か不明であるが、ともかく告知書が到達する前に、担保権の実行により代物弁済に充てられて、その確定的権利が変動したことになる。
このような変動は、もっぱら国税債権者に対し譲渡担保権の消滅を主張するために当事者間で存在したこととされたものであり、かかる変動を認めることは国税徴収法第24条による物的納税義務の規定が機能しなくなることを意味するのであるから、国税徴収法第24条の規定が、このような擬制による権利変動を保護しているとは解されず、同条の規定の適用上、担保権の実行は同条第2項による告知の告知書が到達した後に行われたものとして取り扱われるべきである。
消費税に相当する金額の1円未満の端数処理の計算方法については、個々の商品ごとの代金と、当該個々の商品に課されるべき消費税に相当する額とのそれぞれの合計額と解すべきである旨の請求人の主張は認められないとした事例
裁決事例集 第49集 563頁
要旨
消費税法施行規則第22条第1項に規定する「決済上受領すべき金額」とは、顧客に複数の商品を一括して引き渡した場合には、それらの商品の代金として顧客から一括して受領する領収書ごとの金額をいうものであることは明らかであり、請求人が主張するように個々の商品ごとの代金と、当該個々の商品に課されるべき消費税に相当する額とのそれぞれの合計額と解するのは相当でない。また、「区分して領収する場合」とは、領収する側においてはもちろんのこと、代金を支払う側に対しても課税資産の譲渡の対価の額と課されるべき消費税に相当する額とに区分していることを明示すべきところ、請求人は、代金決済時に発行するレシート上にこのような区分表示をしていないので、請求人の主張は認められない。
要旨
特定の事業用資産の買換特例は、買換資産を取得した日から1年以内に事業又は事業に準ずるものの用に供されなければならないところ(租税特別措置法第37条第1項、租税特別措置法施行令第25条第2項)、請求人らは「事業に準ずるもの」とは、買換資産の機能からみて自家用にも事業用にも使用される可能性のある資産の貸付けをいうものであり、本件買換資産は、賃借人であるL社がカラオケボックス事業として使用していることは明らかであることから、本件買換特例の適用対象資産に該当する旨主張する。
しかしながら、租税特別措置法施行令第25条第2項に規定する「事業に準ずるもの」とは、事業と称するに至らない不動産等の貸付けで相当の対価を得て継続的に行うものとされていることから、賃貸された買換資産の機能によって本件買換特例の適否が判断されるべきものではない。
ところで、被相続人は、買換資産を取得した日に当該資産をL社に賃貸しているものの、同社から賃貸料を収受していないことから、被相続人の本件買換資産の貸付行為は、L社に対する無償貸付けと認められるので、本件買換特例の適用要件である事業用又は事業に準ずるものの用にも該当しないと認めるのが相当である。
したがって、譲渡資産に係る課税長期譲渡所得金額の計算上、本件買換特例の適用がないとした原処分は相当である。
簿外の売上金等から支出した功労金及び支払利息は、事業年度末において、債務が確定しているとはいえず、当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入することができないとした事例
裁決事例集 第49集 324頁
要旨
請求人は、簿外資金から支出した功労金について、念書等で使用人に確約したものであり、事業年度末に金額及び債務が確定しているので、未払いであっても、本件事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入すべきである旨主張するが、本件念書等が支給日より前に作成され、かつ、本件事業年度終了の日までに支給金額、支給日を本件使用人に周知していたと認定することはできず、債務が確定していたと認めるに至らないから、本件功労金は、本件事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入することはできない。
また、請求人は、簿外資金から支出した支払利息(本件金員)につき、約定書のとおり、金額及び債務が確定している旨主張するが、本件約定書は、金利を年6パーセント程度の割合で支払うとする不確定の数字のものであり、支払期日の具体的な記載がないこと及び本件功労金に係る同日付の念書等については上記のとおりであることからすると、本件約定書が作成日とする日に存在したとは認めがたいこと並びに計算明細書についても、審査請求書の作成時に作成され、本件金員の額と一致していないことから、本件約定書は、後日作成されたものと推認するのが相当である。
店頭における商品の仕入れに際し、仕入先が言うままの名称を帳簿等に記載している仕入取引については、その名称が真実のものでないと推認されるとして、消費税の仕入税額控除は適用できないとした事例
裁決事例集 第49集 490頁
要旨
- 請求人は、本件帳簿等は消費税法第30条第8項及び第9項に規定する帳簿及び請求書等の要件を満たし、保存すべき書類としては十分なものであり、本件調査においても本件帳簿等を提示していることから、仕入税額控除を認めるべきである旨主張する。
- 審判所の判断は、次のとおりである。
- 消費税法第30条第1項の適用を受けるためには、課税仕入れの真実の仕入先が記載されていることを要し、ただ単に仕入先の氏名として何らかの氏名が記載されていれば足りるというものではない。
- 仕入先が請求人の店頭に商品を持ち込み、発行者の氏名及び住所等が記載されている請求書及び領収書を持参しないという、通常一般に行われていない形の取引においては、仕入先の言うがままの氏名等が真実かどうか、社会通念上要求されるところの注意の範囲内では相当程度疑われるというべきである。
- しかるに、請求人は、取引の経路等を確認せず、仕入先の言うままの名称を本件請求書に記載していたことは明らかであり、本件帳簿等に記載されている氏名は真実のものではないと推認されるから、本件帳簿等は、氏名等の記載を欠くものと認められ、消費税法に定める帳簿、請求書に該当せず、仕入税額控除の要件とされる帳簿等の保存がなかったことになるので、仕入税額控除をすることはできない。
要旨
請求人は、青色申告者で不動産貸付業及び理容業を営み、その妻が[1]不動産管理台帳の記載、[2]賃貸料の受領及び領収書の発行、[3]賃貸料未納者に対する督促及び集金、[4]現金領収した賃貸料の預金への預入れ、[5]賃借人との使用契約書の作成、[6]無断駐車の有無の見回り、[7]駐車場の草取り、[8]理容業用タオルの洗濯及び床清掃などの業務に従事しているから、その妻は青色事業専従者に該当する旨主張する。しかしながら、[1]駐車場の駐車可能台数、[2]賃貸料の銀行振込みの数、[3]賃貸料の現金領収の数、[4]賃借人の交替した数、[5]無断駐車の見回りの回数、[6]駐車場の路面の状況、[7]理容店の客数などからみると、その妻が請求人が主張するような業務に現に従事し、又は従事していたとしても、その事務量は僅少であると認められ、請求人の事業に専ら従事していたとはいえないから、その妻は青色事業専従者の要件を満たしていない。
要旨
請求人は、その事業は、染色加工業であって日本標準産業分類によれば、製造業の中分類(繊維工業)の小分類染色整理業に該当し、請求人自らの名と責任においてすべての加工を外注先に依存する製造業であり、第三種事業に当たる旨主張するが、請求人の事業は、白生地を受注先の小売店から提供されて、それに染色等の加工をしているのであるから、「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供事業」に該当し、第四種事業に当たる。
代物弁済を原因とする不動産の所有権移転登記について、その実質は譲渡担保契約に基づくものであるとみるのが相当であり、清算手続がとられていない以上、被担保債権が消滅したものとみることはできないとして、国税徴収法第24条の譲渡担保権者の物的納税責任に関する告知処分が適法であるとした事例
裁決事例集 第49集 575頁
要旨
代物弁済を原因とする本件財産の所有権移転登記は、本件貸付元本等を担保するためのものであり、このことは当事者双方共に了解の上であることが認められ、本件財産の所有権移転登記は正に譲渡担保契約に基づくものであるとみるのが相当である。
請求人は、たとえ買戻特約付の契約であっても、本件財産の所有権は代物弁済を原因として、請求人に移転しているのであるから、既に被担保債権は消滅しており、被担保債権のない譲渡担保契約はありえない旨主張するが、本件財産の所有権移転登記は、請求人の債権確保を確実にするために債権担保の目的で行ったものと認められるから、その実質は譲渡担保契約に基づくものであるとみるのが相当であり、清算手続がとられていない以上、本件貸付元本等の被担保債権が消滅したものとみることはできない。
要旨
請求人は、本件不動産は請求人夫婦の共有であり、本件不動産の譲渡に係る譲渡所得は請求人と妻に帰属するので、租税特別措置法第35条に規定する特別控除の特例は、請求人と妻のいずれにも適用できる旨主張するが、[1]本件不動産の購入時における売買契約書等の名義、[2]本件不動産の登記簿上の所有名義、[3]本件不動産の譲渡時における売買契約書等の名義、[4]本件譲渡代金で購入したマンションの名義、及びその残余の金員を預け入れた貸付信託、定期預金等の口座はいずれも請求人の単独名義であることから、本件不動産は、請求人が単独で所有していたものと認めざるを得ない。
したがって、本件不動産の譲渡に係る譲渡所得は、すべて請求人に帰属することになる。
土地及び建物の一括譲渡契約において、その契約書の特約条項欄に土地及び建物の譲渡価額の記載があるとしても、本件建物の固定資産税の評価額が少額であって固定資産税も賦課されていないこと、本件建物の取得時及び譲渡時の取引先がいずれも本件建物の評価価値はない旨申述していること、請求人自ら確定申告において本件土地建物の取得価額を全額本件土地の原価の額としていること等から本件建物の譲渡価額は零円とするのが相当であるとした事例
裁決事例集 第49集 347頁
要旨
- 請求人は、課税土地譲渡利益金額の計算上、土地及び建物を一括譲渡した場合の土地の譲渡価額はその不動産売買契約書の特約条項欄に売買金額の内訳として記載されている土地及び建物の価格のうちの土地の価格であると主張するが、本件建物の固定資産税の評価額が少額であって固定資産税も賦課されていないこと、本件建物の取得時及び譲渡時の取引先がいずれも本件建物の評価価値は無い旨申述していること、請求人自ら確定申告及び修正申告において本件土地建物の取得価額を全額本件土地の原価の額としていることから本件建物の価額はないものと認められ、また、近隣の土地の売買実例からみて本件物件の譲渡価額の総額は本件土地の譲渡価額と認められ、不動産売買契約書の特約条項欄の売買金額の内訳として記載されている土地及び建物の価格は取引の真実を反映したものではないと認めるのが相当である。
- 本件土地の譲渡費用の算定について、請求人は、実額配賦法によって本件土地の譲渡に係る部分の金額を合理的に計算して申告したと主張しているが、租税特別措置法施行令第38条第8項及び第38条の5第4項の規定は、土地の譲渡等の全てについて支出する経費のうち、当該土地の譲渡等に係る部分の金額を合理的に計算することができるものにあっては、概算法に代えて実額配賦法により計算することを例外的に認めたものと解されるところ、請求人は、実額配賦法により算定した根拠を何ら示さないためそれによる方法が合理的か否か審理できないのであるから概算法により算定したことは相当である。
- 譲渡収益の一部を除外していたことについて、請求人は会計帳簿に正当に記帳さており隠ぺい又は仮装の事実はないこと、また、その除外した金員は代表者からの借入金の返済に充てたものであって代表者が個人的に費消したものではないと主張するが、本件物件について契約価額の違う2通の契約書を作成していること、除外した本件金員の一部を代表者個人の普通預金口座に入金していること、請求人の会計帳簿への記載はなく申告もしていないこと等の行為は国税通則法第69条第1項に規定する隠ぺい又は仮装に該当する。
また、請求人の代表者は、請求人の株式の80パ-セントを所有しており、その代表取締役として請求人を支配・管理していること、その地位を利用して本件金員を受領したと認められること、代表者から請求人に対し返金した事実はないこと等の事実から代表者が当該金員を費消したものと認めるほかはなく、原処分庁が本件金員を代表者に対する賞与と認定したことは相当である。
なお、源泉所得税の計算に当たって、代表者に対する賞与と認定した本件金員の支払確定日は、代表者が本件金員を受領した事実に応じ、現金受領日、代表者個人の普通預金口座に振り替えた日(入金した日)又は当該事業年度終了の日とするのが相当である。
課税仕入れ等の税額の算出にあたり、個別対応方式による計算は、一括比例配分方式により計算することとする課税期間が2年を経過していないため、当該方式による計算はできないとした事例
裁決事例集 第49集 554頁
要旨
請求人は、原処分庁が、本件課税期間の課税仕入れ等の税額の算出にあたり、一括比例配分方式につき、同方式を継続して2年間適用していないとして本件更正処分を行ったが、前々課税期間においては、一括比例配分方式により確定申告をした後、更正の請求に基づき、原処分庁が、仕入税額控除についてその全額を控除する減額の更正処分をしているから、減額の更正があっても、仕入税額控除の計算方法が変更されたものではないことから、前々課税期間から一括比例配分方式を適用していることになる旨主張するが、請求人の前々課税期間における課税売上割合は、100分の95以上のため、消費税法第30条第2項の一括比例配分方式は適用できないところ、更正の請求に基づき、同条第1項による仕入税額控除の計算方法に基づく減額の更正をしたものであって、前々課税期間においては一括比例配分方式を適用していないことになる。
したがって、一括比例配分方式の適用開始時期は前課税期間となり、消費税法第30条第5項で規定する当該方式により計算することとする課税期間が2年を経過していないため、本件課税期間においては、個別対応方式による計算はできない。
滞納者が請求人に対してした離婚に伴う財産分与及び子の監護費用分担額の一時の支払につき、不動産を給付した上で保有し得た財産の2分の1に相当するまでの金額については、不相当に過大と認めることはできないが、これを超える部分については、不相当に過大なものとして国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等処分に該当するとした事例
裁決事例集 第49集 606頁
要旨
請求人は、本件不動産等の譲受け及び本件金員(60,000,000円)の受領は、離婚に伴う財産分与及び慰謝料として相当であり、国税徴収法第39条に規定する無償の譲受けには当たらないので、第二次納税義務を負うべき理由はない旨主張するが、請求人には本件調停当時の滞納者の総財産の価額(一応の算出価額201,458,153円)の過半に達する本件不動産等(同134,344,915円)の給付がされていること並びに請求人の離婚後扶養料及び子の監護費用分担額等の金額を踏まえて判断すると、本件金員に関しては、滞納者が本件不動産等を請求人に給付した上で保有し得た財産の2分の1に相当するまでの金額については、不相当に過大とまで認めることはできず、他方、これを超える部分については、不相当に過大なものと認めることができるから、請求人はこの金額の限度において、本件滞納国税の第二次納税義務を負うことになる。
譲渡の対価として代替地及び建物の交付の要求に対し、譲受人は代替地を購入して建物を建築して渡していることから、譲渡収入の金額は、代替地と建物建築価額の合計額になるとした事例
裁決事例集 第49集 202頁
要旨
請求人は、本件譲渡土地の収入金額は、M社に譲渡した際の売買契約書に記載した263,000,000円であり、この価額は不動産鑑定評価額271,841,000円に照らしおおむね妥当であるとし、また、代替資産の取得価額263,000,000円は、本件不動産鑑定評価額302,470,000円及び建物の建築価額97,349,000円の合計額399,810,000円に比べ開差はあるが、これは、取引上の駆け引きに請求人が秀でていたことによるものであり、正当な取引額というべきであると主張する。
しかし、請求人は、本件譲渡において、代替地の取得を希望したが、代替地を自分で直接購入することはせず、また、交渉の過程で代替地の面積が本件譲渡土地の面積より不足する分を別途建物を建築して引き渡すことを条件とし、さらに、金銭の負担を一切しないで本件代替資産を取得しており、このことは、本件譲渡土地の譲渡の対価として本件代替資産を取得したことにほかならない。
本件代替地の価額は、M社がB社から取得した価額455,300,000円とみるのが相当であり、本件建物の価額は設計料と建築費用の97,340,000円であるから、本件譲渡土地の譲渡収入金額は、この合計額の552,640,000円となる。
外国籍を有する者への不動産の譲渡対価の支払時において、譲渡人は外国へ出国しているものの、多額の資産を国内に残したままであること等から判断すると、出国は一時的なものと認められ、また、譲渡人の外国人登録は閉鎖されていず、同人の永住許可も失効しておらず、かつ、同人が数次の再入国の許可をうけていたことを勘案すれば、譲渡人は、居住者に該当するものと判断することが相当であるから、当該譲渡対価の支払者には所得税法第212条に規定する源泉徴収義務はないとした事例
裁決事例集 第49集 374頁
要旨
原処分庁は、Lマンション3室(本件不動産)の譲渡人は、[1]A国の国籍を有していること、[2]本件不動産の譲渡対価(本件譲渡対価)の支払時前の出国に先立ち、身の回り品の一切をB国の住所地(g市T町223番地)に搬出しており、その後再入国した事実は認められないこと、[3]国内に生計を一にする配偶者その他の親族を有しないのみならず、何らの職業も有していないこと及び[4]本件不動産を譲渡したことにより、本件譲渡対価の額に係る預金を除いて国内に資産を有しなくなった各事実が認められ、また、譲渡人の二男を譲渡人の代理人とする委任状によれば、譲渡人の住所地がB国(g市T町223番地)と記載されていることから判断すると、譲渡人が本件譲渡対価の支払時において非居住者であることは明らかであるから、請求人には、本件譲渡対価の支払について源泉徴収義務がある旨主張する。
しかし、[1]譲渡人が居住していたLマンション101号室(譲渡人の妻の娘であるHが所有している。)には、譲渡人が所有していた絵画、蔵書及び置物等の美術品が現存していることが確認されたこと、[2]譲渡人の家事使用人として20年間住み込みで働いていたC夫婦の答述から、譲渡人は、出国後も同夫婦を家事使用人として、引き続き雇用する意思があったものと推認されること、[3]H及びC夫婦の答述から、これらのいずれもが、譲渡人の出国は一時的であり、再入国するものと認識していたことが認められること、[4]譲渡人は、本件譲渡対価の支払時に本件譲渡対価の全額により設定された定期預金を含めて多額な預金を国内に有していたこと及び[5]Hの答述から、上記[4]の預金の一部は、納税預金として残していたものと認められることを総合して判断すると、譲渡人の出国は一時的なものであり、再入国してH所有のLマンション101号室において引き続き居住する意思があったと認められる。また、譲渡人の外国人登録は閉鎖されていず、同人の永住許可も失効しておらず、かつ、同人が数次の再入国の許可を受けていたことを勘案すれば、譲渡人は居住者に該当するものと判断することが相当であるから、請求人には、本件譲渡対価の支払について所得税法第212条に規定する源泉徴収義務はない。
なお、委任状に記載された譲渡人の住所地及び同人の荷物の搬出先の住所地がB国(g市T町233番)である旨の主張については、ここにいうところの「居住する(××語)」という用語は、[1]住んでいる又は[2]居住するということを意味するものであって、必ずしも生活の本拠たる住所地を意味するものではないから、委任状に上記の用語が使用されていることをもって譲渡人がA国に住所を有するものと断定することはできず、他方、売買契約書の「売主」欄には、譲渡人の国内における住所地が記載されているのであるから、この点に関する原処分庁の主張は採用することはできない。
軽油引取税の特別徴収義務者に該当しない一般販売店は、同税相当額を価格に上乗せして顧客から対価を受領しているとしても、当該相当額は課税資産の譲渡等の対価の額に含まれるとした事例
裁決事例集 第49集 460頁
要旨
課税資産の譲渡等に関連して取得する金銭のうちに軽油引取税が含まれている場合において、同税の特別徴収義務者(特約店)に該当しない一般販売店は、同税を徴収する者ではなく、納税する者であり、また、一般販売店が、軽油引取税相当額を価格に上乗せして顧客から対価を受領しているとしても、当該相当額は同税自体ではなく、売却価格の一部にすぎず、その対価の受領は同税の徴収ではないことから、課税資産の譲渡等の対価の額に含まれる。
また、特約店との間で軽油に関する委託販売契約を締結している場合、委託販売手数料が役務の対価として課税資産の譲渡等の対価の額となるところ、当該契約にそった取引の処理をしていないことから、委託販売とは認められない。
請求人が、代表者の借地権に係る立退料として代表者が受領したものである旨主張する金員は、請求人が譲渡した本件不動産(借地権と建物)の譲渡価額に含まれるとした事例
裁決事例集 第49集 293頁
要旨
- 請求人は、本件金員93,383,000円は、代表者の借地権に係る立退料であって、請求人に帰属するものではない旨主張するが、[1]本件不動産の譲渡価額は、当初、請求人と買主の間で本件金員を含む価額で合意していたこと、[2]国土法に基づく届け出は、[1]と合意価額でされたこと、[3]市長の指導により予定価格を変更したこと、[4]契約書は、変更後の価格で作成したが、当初の合意価額との差額は別途支払う旨の確約書が差し入れられていること、[5]本件金員は、代表者が受領し、領収書を発行しているが、市長の指導があった後、契約当事者を変更する合意があったとは認められないこと等からすると、本件不動産の譲渡価額は、当初に合意された価額が不変であったと判断される。
そうすると、本件不動産の譲渡価額は、本件金員を含む1,134,000,000円となる。 - また、請求人は、借家人である代表者に当然支払われるべき立退料があるはずである旨の主張をするので、立退料の損金認容につき判断する。
代表者は本件建物に永年居住していたのであり、請求人が本件建物を譲渡するという請求人の事情により、これを明け渡すこととなったのであるから、何らかの支払があっても特に異とするにはあたらない。
しかし、[1]本件金員は約1億円と多額であるところ、これを立退料として支払うという明確な意思は、代表者による買主からの受領まで認めることはできないこと、[2]その金額は、国土法に基づく市長からの指導による引下げ額と同額であり、これを立退料として支払うべき合理的な説明がなされていないこと等からすると、本件金員は単に市長の指導に基づく引下げ分を給付したものにすぎず、本件金員の立退料としての支払を相当とするものではない。
また、請求人は、購入したマンションを権利金等なく賃貸していること及び引っ越し費用を負担していることからみても、これをもって立退料相当の経済的利益の供与は終了していると考えても不自然ではない。
事務処理の遅れにより確定申告書を期限までに提出しなかったことは、災害その他やむを得ない事情があったとは認められないから、青色申告承認の取消処分は適法であるとした事例
裁決事例集 第49集 340頁
要旨
請求人は、確定申告書をその期限までに提出しなかったのは、[1]経営コンサルタント業という仕事の社会的責任から、顧問先からの至急の要請があれば、自社のことは後回しにしてでも顧問先を優先せざるを得ないこと、[2]経理部員もその影響を受けたこと及び[3]代表者の保証先の経理を全面的にみることになったため、経理事務がほとんどできなかったことによるものであり、平成4年4月1日から平成5年3月31日までの事業年度(平成5年3月期)の確定申告書の提出が遅れたのは、平成5年3月に保証先が倒産したことにより、同年4月から5月までは残務整理及び債務の弁済の準備に追われ、同年6月に入って本来の仕事をすることができたというやむを得ない事情があったことによるものであり、また、平成5年3月中に青色申告の承認の取消処分の予告をしていないこと及び同取消処分を行った平成5年3月期とその直前事業年度との取扱いに矛盾があり、同取消処分は不当である旨主張する。
しかし、請求人が確定申告書を提出期限までに提出しなかった理由は、単に請求人の事務処理の遅れによるものであり、また、平成5年3月期のみならず同期の前5事務年度の確定申告書についてもその提出期限までに提出していないので、請求人が確定申告書をその提出期限までに提出しなかったことにつき災害その他やむを得ない事情があったとは認められないから、原処分庁が青色申告の承認の取消処分を行うに当たり裁量権の逸脱、濫用があったとも認められない。
また、青色申告の承認の取消処分についての予告等を行わなければならない旨を定めた法令上の規定はなく、同取消処分においていずれの事業年度までさかのぼるかは、税務署長の合理的裁量にゆだねられていると解するのが相当であり、同取消処分は、原処分庁において所定の手続を経て合理的裁量の範囲においてなされたものであり、また、原処分庁には、裁量権の逸脱、濫用の事実は認められないから、本件青色申告の承認の取消処分は適法である。
本件保証債務については、いずれもその保証を行うことが請求人の税理士等の事業の遂行上必要であったと客観的に認められる特段の事情はないとみるのが相当であるから、所得税法第51条第2項及び同法施行令第141条にいう「その事業の遂行上生じた保証債務」には該当しないとした事例
裁決事例集 第49集 62頁
要旨
請求人は、自己の顧問先であるE社及びF社(以下、これらを併せて「両社」という。)の借入金を保証したのは、会計事務所としてのマネ-ジメントサ-ビスによる報酬額の増加及び事業経費の削減を図るためのもので、税理士等の事業の遂行上必要なものであるから、本件保証債務の履行による損失の金額については、所得税法第51条第2項及び同法施行令第141条の規定に該当し、事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべきであり、また、本件利子割引料の額については、本件保証債務の履行に伴う借入金に係る支払利息の額であるから、事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべきである旨主張する。
しかしながら、本件保証債務については、いずれもその保証を行うことが請求人の税理士等の事業の遂行上必要であったと客観的に認められる特段の事情はないとみるのが相当であるから、所得税法第51条第2項及び同法施行令第141条にいう「その事業の遂行上生じた保証債務」には該当しないというべきである。
また、本件保証債務の履行による損失の金額は、請求人の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないと認められるから、本件保証債務の履行に伴う借入金の利子割引料の額についても所得税法第51条第2項及び同法施行令第141条の規定を適用することはできず、請求人の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
喫茶店を経営していた土地建物の譲渡時に喫茶店の営業権等の売買も行われたとの請求人の主張に対し、営業権等は売買されていなかったと認定し、譲渡価額全額が土地建物の対価であるとした事例
裁決事例集 第49集 123頁
要旨
請求人は、本件土地建物の所在地域においては、飲食店等を譲渡する場合、その土地建物のほかに営業権の存在を認め、付随して譲渡する慣習があるとし、本件土地建物は、いわゆる「居抜き」と呼ばれるそのままの状態で譲渡したもので、売買当事者は請求人の喫茶店の営業に営業権を認めて、営業権の対価を含めて売買をしたとし、本件土地建物は180,000,000円、営業権は50,000,000円、什器備品等は20,000,000円で売買したものであると主張する。
しかしながら、売買価額が180,000,000円と記載された契約書(甲契約書)と同じく250,000,000円と記載された契約書(乙契約書)があるところ、次により、乙契約書に記載された内容が真正の契約と判断され、同契約書に記載された250,000,000円は、その全体が本件土地建物の譲渡の対価と推認される。
- 譲渡代金の総額が250,000,000円であるところ、甲契約書と営業権50,000,000円の領収書の金額を合計しても230,000,000円であるのに対し、乙契約書の金額は250,000,000円であること。
- 乙契約書には、売買物件として本件土地建物のみが表示されていること。
- 乙契約書が真正と異なるのであれば、仮に作り替えるという約束があったとしても、請求人が同契約書に署名押印することは不自然であること等。
請求人が耐用年数の短縮を求める理由は、本件建物自体の構造等に変化が生じて物理的、客観的に使用可能期間が短くなったという事由ではなく、取壊しの行われることが将来予定されているという本件契約当事者の取決めを理由とするものであるので、所得税法施行令第130条第1項に掲げる事由には該当しないとした事例
裁決事例集 第49集 100頁
要旨
請求人は、本件建物は、賃貸借期間が10年に限定され、賃貸借期間終了後取り壊されるものであることから、本件建物の耐用年数は、法定耐用年数の40年ではなく、賃貸借期間に応じた10年となるとして、耐用年数の短縮を承認すべきである旨主張するが、所得税法施行令第130条第1項が耐用年数の短縮を認める特別な事由を列挙しているのは、耐用年数の短縮は、減価償却資産の使用可能期間が法定耐用年数よりも物理的ないし客観的に短くなるという事由が現に発生しているような場合に限って認める趣旨によるものと解するのが相当である。
本件建物についてみると、請求人が耐用年数の短縮を求める理由としている「賃貸借期間(10年)満了に伴う本件建物の取壊し」は、本件建物自体の構造等に変化が生じて物理的、客観的に使用可能期間が短くなったという事由ではなく、取壊しの行われることが将来予定されているという本件契約当事者双方の取決めを理由とするものである。
当審判所の調査によっても、本件建物の構造その他からみて、本件建物について、所得税法施行令第130条第1項に掲げられている耐用年数の短縮を認めなければならない特別な事由があるとも認められないので、請求人の主張は採用することができない。
本件借入金については、その借入れに係る借用証書に債権者の住所、氏名等の主要事項が記載されていない等多くの疑問点及び不自然な点があることから、債務は存在しなかったと認定した事例
裁決事例集 第49集 393頁
要旨
請求人らは、本件借入金1億2千万円は借用証書の筆跡等から被相続人の債務であり、相続財産から控除すべきであると主張する。
しかしながら、[1]本件債務の主張は更正の請求により行われているところ、更正の請求後、本件借入金及び利息を弁済し、借用証書を返却されながら、大切な証拠となるべきその借用証書を自ら破棄していること、[2]遺産分割協議書作成の2か月前に借入金の存在を知らされながら遺産分割協議書に本件借入金の記載がないこと及び[3]借用証書には債権者の住所、氏名等主要事項の記載がないことから、被相続人に帰属する債務として本件借入金が存在したとは認められない。
また、次のことからも被相続人に債務が存在したとは認められない。
- 本件借入金の入金事跡がなく、費消された事跡も判明しないこと。
- 被相続人は本件借入れをしたとされる1か月後に土地譲渡代金339,840,000円を受領しながら、本件借入金の弁済に充てず、その大半の3億1千万円を定期預金として残していること。
- 請求人等の主張する借入年月日と貸主の答述とは異なること。
- 借入利息22,000,000円の算定根拠が不明であること。
- 金融業者の多額の貸付けにもかかわらず、何らの債権保全措置もされていなかったこと。
海外で営業しているレストランの経営主体は、請求人ら個人ではなく、当該国で設立された現地法人であると認められ、請求人がレストランの経営による収入を事業所得の収入金額として申告しているものは、雑所得に係る収入金額に該当すると解されるから、雑所得の金額の計算上生じた損失の額は、他の各種所得の金額から控除することはできないとした事例
裁決事例集 第49集 243頁
要旨
請求人は、E国で営業しているレストランの開設のため現地法人を設立したのは、全くの名義のみで、レストランの実質的な経営者は、請求人及び請求人の知人である甲の両人であることは明らかであり、本件所得は事業所得に該当するから、本件所得に係る損失の金額について、所得税法第69条(損益通算)第1項の規定による損益通算を認めないで行った更正処分は違法である旨主張するが、当該現地法人はE国の法令に従って設立された合資会社であり、かつ、レストランの営業を行っている実態を有する法人であると認められるから、レストランの経営主体は現地法人であって請求人らではないといわざるを得ない。
本件所得については、レストランの営業により生じた所得は、現地法人に帰属するものと認められ、また、請求人が各年分の確定申告においてレストランに係る収入金額として申告(昭和63年分715,000円、平成元年分546,546,757円及び平成2年分零円)をしているものが、請求人の所得に係る収入金額になるとしても、雑所得に係る収入金額に該当するものと解される。
したがって、雑所得の金額の計算上生じた損失の額は、その存否について判断するまでもなく、所得税法第69条第1項の規定により、他の各種所得の金額から控除することはできないから、本件更正処分は適法である。
賦課処分と滞納処分とは、それぞれその目的を異にする独立の行政処分であるから、課税処分が取り消されるか無効でない限り、課税処分の違法を理由として、交付要求の取消しを求めることは出来ないとした事例
裁決事例集 第49集 624頁
要旨
請求人は、本件課税処分が違法であるから、当該処分を前提としてなされた本件交付要求も違法で取り消すべきであると主張するが、賦課処分と滞納処分とは、それぞれその目的を異にする独立の行政処分であるから、課税処分が無効であるか、又は違法を理由として取り消された場合には当該処分を前提とした交付要求の違法を招来するものの、課税処分に存する違法が単に取り消し得べき瑕疵にすぎないときには、それが取り消されない限り課税処分は依然として有効であって、当該処分の違法性を理由として交付要求の取消しを求めることは出来ない。
本件についてみると、本件課税処分が取り消されたという事実はなく、また、本件課税処分を無効ならしめるような重大かつ明白な瑕疵があると認めるに足る証拠もないから、本件課税処分に係る違法を理由として本件交付要求の取消しを求めることはできない。
源泉所得税等還付金を相続税延納分の未納利子税額に充当した後に、所得税の修正申告により納付すべき税額が生じても、当該納付すべき税額が納期限までに納付されなかったことにより行った本件督促が違法となるものではないとした事例
裁決事例集 第49集 1頁
要旨
請求人は、源泉所得税等還付金は、修正申告により納付すべき所得税の一部に充当されるべきことは法令上も当然に予定されているのであり、請求人に他の租税債務があったとしても、これに充当することは許されない旨主張する。源泉所得税等還付金が発生した場合には、その年分の未納の所得税で修正申告書の提出により納付すべきものがあるときは、その他の未納の国税に優先して充当するものであるところ、請求人には、源泉所得税等還付金の発生時にこれらの事実はなく、原処分庁は、その他の未納の国税である相続税延納分の未納利子税額に充当したことが認められる。そうすると、当該充当の後に所得税の修正申告があっても、充当が違法となるものではなく、所得税の修正申告により納付すべき税額が納期限までに納付されなかったことにより行った本件督促は適法である。
支払利息に係る借入金が総勘定元帳に記載されておらず、支払利息の経費算入割合が各年で異なる等の事実は存するが、これをもって、隠ぺい又は仮装を認定することはできないとし、重加算税賦課決定処分の一部を取り消した事例
裁決事例集 第49集 9頁
要旨
原処分庁は、請求人が必要経費の額に算入した支払利息につき、[1]当該支払利息に係る借入金が総勘定元帳に記載されていないこと、[2]請求人は当該借入金が事業用資金でない旨申述していたこと、[3]支払利息の経費算入割合が係争各年で異なることから、事業所得に係る必要経費として支払利息の額を過大に付け込んだものであって、国税通則法第68条第1項に規定する「隠ぺい又は仮装」に該当する旨主張するが、請求人には事業所得及び不動産所得に係る借入金があること、当該借入金の一部は事業所得及び不動産所得に係る業務の用に供されていること、支払利息の経費算入割合が異なるのは借入金の使途についての記帳が不十分であったためであることが認められるから、上記[1]ないし[3]をもって、事実を隠ぺい又は仮装したとまでいうことはできず、支払利息に係る税額に対する各年分の重加算税の賦課決定処分をしたことは相当でない。
鋼板加工販売業を営む請求人の元代表者(故人)の個人的な借入金を請求人が肩代わりしたことによる本件借入金に係る支払利息等の額については、これを請求人の経費として損金の額に算入することはできず、元代表者の相続人に対する寄付金と認めるべきであるとした事例
裁決事例集 第49集 311頁
要旨
本件借入金は、請求人が請求人の業務に全く関係のない請求人の元代表者A(故人)の個人借入金を肩代わり返済するために借り入れたものであり、請求人固有の借入金とは認められないことから、本件借入金に係る支払利息等の支出金(以下「本件支出金」という。)は、請求人が負担すべきものではない。
また、請求人が本件支出金を支払利息等として損金の額に算入していることから、Aの相続人に対する債権の一部を放棄したものと認められ、本件支出金の額につき、Aの相続人に対する経済的な利益の供与があったとして寄付金と認定した原処分庁の判断は相当である。
一団の土地を取得し、順次、同一人に譲渡する旨の契約に基づき土地を譲渡した場合で、約定土地のすべてを譲渡できないときは買主の要請により買戻義務が生ずる旨の特約があっても、棚卸資産である土地の譲渡に係る収入金額を計上すべき時期は、上記特約にかかわらず、当該土地の引渡しがあった日であるとした事例
裁決事例集 第49集 145頁
要旨
- 一団の土地を取得し、順次、同一人に譲渡する旨の契約に基づき土地を譲渡した場合で、約定土地のすべてを譲渡できないときは買主の要請により買戻義務が生ずる旨の特約があっても、棚卸資産である土地の譲渡に係る収入金額を計上すべき時期は、当該土地の引渡しがあった日であり、その引渡しの日がいつであるかは、売買代金の受領状況や移転登記時期等の諸事情を総合勘案して判断するのが相当である。
- 土地を購入する契約を締結して支払った本件手付金に係る損失については、請求人が契約の支払期日までに残金債務を履行しなかったため、本件手付金を没収されたものと認められるから、残金債務の支払期日である昭和63年12月7日ないし売主から契約破棄等の意思表示のされた同月9日に確定したものとするのが相当である。
- 本件株式の評価損については、本件株式の発行会社である各社が請求人の事業に係る取引先であることを認めるに足りる証拠はなく、本件株式が請求人の事業の用に供されたとはいえないから、本件株式の評価損が生じたとしても、それを必要経費に算入することはできない。
- 請求人は、事業廃止後の費用発生額を必要経費に算入すべき旨主張するが、所得税法第63条(事業を廃止した場合の必要経費の特例)の規定に該当する事実が発生した場合には、所得税法第152条の規定により、更正の請求をすることができる旨定められているのであるから、事業廃止後の費用発生額は、所得税法第152条の規定による更正の請求により処理すべきであると解するのが相当であり、更正の請求を経ていない本件においては、これを必要経費に算入することはできない。
評価通達に定める路線価が実勢価格に70パーセントの評価割合を乗じた水準に設定されているから、鑑定評価額に70パーセントを乗じた価額を本件土地の評価額とすべきであるとの主張を退けた事例
裁決事例集 第49集 408頁
要旨
請求人らは、平成3年分の路線価は前年7月1日時点における実勢価格に70パーセントの評価割合を乗じた水準に設定されていたことは公知の事実であるとし、路線価により評価して申告した相続税について、平成2年秋以降、地価が著しく下落したのは明らかであるとして、本件相続開始時の実勢価格を不動産鑑定士の鑑定により求め、これに70パーセントを乗じた金額を基に評価をし、更正の請求をした。
これに対し、原処分庁は、本件鑑定評価額による評価により減額更正をしたが、本件鑑定評価額に更に70パーセントの評価割合を乗じる必要はないとした。
ところで、本件は、更正の請求に対し、原処分庁が本件鑑定評価額により評価して更正したのであるから、請求人は本件土地の価額がこの評価を下回ることを主張、立証することを要すると解すべきであるが、路線価が公示価格水準の70パーセント程度(評価水準)により評価しているのは、評価上の安全性を考慮した計算過程上の一要素にすぎないものであるところ、本件鑑定評価額は、鑑定人が公示価格との均衡を考慮しつつ、本件土地の特殊性をしんしゃくした上で求めた正常価格であって、これに評価水準を乗じなければならない理由はなく、また、そうしなければ課税の公平の原則に反するともいえない。そうすると、請求人の主張、立証をもって、本件土地の価額が本件減額更正に係る価額を下回ると認定することはできない。
被相続人の死亡によりいったん相続登記(2人各2分の1)がされた土地について、調停がされ、その結果、相続人間で、一方が当該土地を取得し、他方(請求人)が金銭を受領した場合において、旧相続登記は共同相続人全員の遺産分割協議に基づいたものとは認められず、一方、調停による新相続登記と金銭の授受は、代償分割と認められ、請求人が土地の共有持分を他の相続人に譲渡したものではないとした事例
裁決事例集 第49集 110頁
要旨
原処分庁は、被相続人(父)からの相続に係る旧相続登記(兄弟2人各2分の1)に際し、請求人の母が請求人の妻に、登記に必要な印鑑の預託及び登記費用の負担を請求しており、請求人の妻はその事実を請求人に説明していることから、請求人はそのことを承知しており、また、本件土地についてなされた旧相続登記に無効ないし錯誤の要因は認められず、本件土地の錯誤登記による所有権の抹消は、いったん有効になされた遺産分割のやり直しによる請求人の共有持分の譲渡と認めるのが相当であると主張する。
しかしながら、[1]被相続人の遺産について、共同相続人の答述等からも遺産分割協議をした事実を確認できないこと、[2]請求人の妻も三文判しか渡していないと認められること及び[3]遺産分割協議書の存在が確認できないことから、旧相続登記は被相続人の遺産について共同相続人全員の遺産分割協議に基づいて行われたものとは認められず、したがって、本件土地は、請求人と弟の間において分割前の共有の状態であったといわざるを得ない。
本件調停書に基づき、弟が本件土地を取得し、その代償として請求人が弟から250,000,000円を受領したことは、代償分割そのものであって、請求人が本件土地の持分2分の1を弟に譲渡したと認定することはできない。
本件不動産の譲渡の時期については、請求人は、その経理処理上、本件不動産の譲渡収入を売買契約の効力の発生した日の属する平成元年3月期ではなく、平成2年3月期の収益に計上しているから、契約の効力発生の日を譲渡の時期とすることはできず、原則としての取扱いにより、引渡しがあった平成元年7月17日が譲渡の時期となるとした事例
裁決事例集 第49集 443頁
要旨
請求人は、平成元年3月29日に、収益事業である旅館業の用に供していた本件不動産の売買契約を締結し、消費税法取扱通達9-1-13(固定資産の譲渡の時期)のただし書により、同日を資産の譲渡の日として、本件建物に係る譲渡の対価の額を平成元年4月1日から開始する本件課税期間の消費税の課税標準額に含めないで申告したところ、原処分庁は、平成元年7月1日以降が本件建物の引渡しの時期であるとして、本件建物の譲渡対価の額を本件課税期間の消費税の課税標準に含めて更正処分をした。
請求人は、上記通達のただし書に関し、当該契約の効力発生の日を譲渡の日とすることは、請求人が契約の効力発生の日を譲渡の時期としたことを認識していれば足りる旨主張するが、法人にあっては契約の効力発生の日を譲渡の時期として経理処理をしているときという意味と解される。請求人の経理処理は、平成元年3月31日現在、本件不動産を請求人の基本財産として計上し、本件不動産の譲渡収入を平成元年4月1日から平成2年3月31日までの事業年度の収益として計上していることから、本件建物の譲渡については、事業者が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日を資産の譲渡の時期としているときに該当しないので、原則としての取扱いにより引渡しの日が譲渡をした時となる。
本件不動産は、平成元年7月17日にその引渡しがあったことは明らかであるから、本件不動産の譲渡が消費税の適用日以後の取引であるとして、本件建物の譲渡価額を本件課税期間の課税標準額に加算した原処分は適法である。
本件土地は、請求人が代償分割により単独で取得したものであり、代償金は、請求人にとっては相続税の課税価格の計算上控除すべきものであり、遺産分割後の譲渡の際の所得金額の計算上控除すべきものではないとした事例
裁決事例集 第49集 224頁
要旨
- 遺産分割についての家事調停において、調停調書が作成され調停が成立したが、当該調書には[1]本件土地は、請求人が単独で取得する、[2]請求人は、その代償として他の相続人に代償金を支払う、[3]代償金の支払が遅延したときは、遅延損害金を支払う旨記載されている。
そうすると、本件土地は、請求人が取得し、その代償として他の相続人に金員を支払ったものと認められる。
また、請求人が本件土地を譲渡しているが、他の相続人が当該譲渡に関与した事実は認められないから、分割の済んだ本件土地を、請求人が単独で譲渡したものと認められる。 - 請求人は、本件調停の経緯からみて、本件調停による分割は、実質上の換価分割である旨主張するが、代償金の額は当時の買付け予定価格に比べ少ない額で取り決められており、各相続人の持分に応じた換価分割の結果によるものとは認められないこと、通常の換価分割では発生しないと認められる損害金の支払があることなどから、本件調停による分割は、換価分割によるものではなく、実質的にも代償分割によるものと認められる。
- また、請求人は、代償金であっても、譲渡所得の計算上控除が認められるべきである旨主張するが、代償金は、請求人にとっては相続税の課税価格の計算上控除すべきものであり、遺産分割後の譲渡の際の所得金額の計算上控除すべきものではない。
租税特別措置法第69条の3“小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例”の適用に関し、構築物又は建物の敷地の用に供されていないとの理由、また、相当な対価を得て貸し付けられていない等の理由から、同条の対象となる宅地等に該当しないとした事例
裁決事例集 第49集 428頁
要旨
被相続人は、不動産賃貸を事業的規模で行っていたものであり、本件A物件(宅地)は砂利敷きの月ぎめ駐車場として貸し付け、また、本件B物件(宅地)はアスファルト敷きで、長女に賃貸していたので、いずれも、租税特別措置法第69条の3の規定により、小規模宅地等の特例の適用を認めるべきである旨請求人は主張する。
しかし、本件A物件については、砂利を敷設したのは10年くらい前であると認められ、平成5年現在、砂利は地中に埋没して土地の一部とみられる状態になっており、相続開始直前においても当該砂利敷きは構築物とはいえない状態になっていたと推認されるところから、構築物若しくは建物の敷地の用に供されていないので、事業の用に供されていたかどうかを判断するまでもなく小規模宅地等の特例の対象となる宅地等には該当しない。また、本件B物件については、長女に対する賃貸料が付近の通常の賃貸料に比し著しく低廉と認められるので、相当な対価を得て貸し付けられていたとはいえず、さらに、賃貸借契約書は存在せず、賃貸借期間の定めもなかったので継続的に貸し付けられていたとも認められないので、事業の用に供されていたとは認められないから、小規模宅地等の特例の対象となる宅地等には該当しない。
要旨
請求人は、J社から帳票類を仕入れ、一切手を加えず、得意先に販売しているのみであり、また、得意先は特定の事業者であって一般の消費者ではないから、請求人の業務は、消費税法施行令第57条第2項に規定する卸売業に該当すると主張し、仕入先であるJ社と情報サ-ビス提供の契約をしているのは請求人ではなく、請求人の代表者である税理士であり、また、得意先との関係においても、請求人の業務と代表者たる税理士の業務は明確に区分されていると主張する。
しかし、請求人が行っているのは、得意先が起票した伝票等の資料をJ社の情報処理システムにより整理分析して帳簿等を作成する会計処理業務であり、請求人の主張する帳票類の販売とは、会計処理業務の成果品として作成される帳簿等を引き渡すことである。
したがって、請求人の業務は、消費税の簡易課税制度の適用上、卸売業には該当しない。
本件土地等は、貸付けの用に供されることが客観的に明らかとは認められないから、不動産所得を生ずべき業務の用に供されている資産には該当せず、本件土地等の取得に要した借入金利子等の額は、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないとした事例
裁決事例集 第49集 23頁
要旨
請求人は、請求人が取得した本件土地等に係る不動産取得税、登記費用、固定資産税、借入金利子及び保証料(以下、これらを併せて「本件借入金利子等」という。)の額については、不動産所得の金額の計算上必要経費の額に算入すべきである旨主張するが、請求人は、平成2年6月29日に本件土地等を取得して以来、これを利用するためにホテル等の建設を計画しその建物の設計図を作成するなど、本件土地を貸付けの用に供する意思を有していたことはうかがえるものの、いまだ計画した建物の建設着工がなされていないばかりか、本件土地の上に建物を建設するために必要な開発許可の申請や建物建設請負契約の締結、既存建物の取壊し等すら行われていないことからすれば、本件土地等については、貸付けの用に供されることが客観的に明らかであるとは認められない。
したがって、本件土地等は、不動産所得を生ずべき業務の用に供されている資産には該当しないものであり、本件借入金利子等の額は、請求人の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
土地の一部を物納する予定につき、物納予定地と残地に分けて評価すべきであるとの請求人の主張について、物納予定の有無は本件土地の相続開始時における現況に影響を及ぼさないから区分して評価することは相当でないとした事例
裁決事例集 第49集 420頁
要旨
請求人は、本件土地の一部は物納予定地であり、物納により分離されるので、残地は地積が減少して形状も悪化することになり、この事情を無視して相続開始時の形状のままで評価するのは妥当ではない旨主張する。
しかしながら、土地を評価するに当たっては、相続開始時において物理的に一体として利用されている土地ごとに区分して評価するのが、「相続開始時における財産の現況」に即した評価と解されるところ、本件土地は、相続開始時においてE株式会社にまとめて貸し付けられ、物理的に一体として利用されており、物納予定地と残地に区分して評価するのは相当ではない。
相続により財産を取得した者が、物納するか否か及び当該財産のどの部分を物納するかについては、相続開始後において、その者の意思、行為等によって決定したり、また、変更することができるものであるから、本件土地の相続開始時における現況に影響を及ぼすものではない。
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