裁決事例 裁決事例集 第30集
要旨
海運代理業を営む請求人は、本件交際費について、外国法人の船主らが負担する旨の包括的承認契約により立替払をしたにすぎないから、請求人の費用ではないと主張するが、個々の荷主の接待等は、船主らの指示によるのではなく専ら請求人の裁量により行われていること等から、請求人の費用として交際費等の損金不算入額の計算の対象とすることが相当である。
要旨
歯列矯正施術料の収入金額の計上について、請求人は、過去の診療実績に基づき3年間に配分すべきであると主張するが、本件矯正施術料は、請求人と患者との間において締結された治療契約により、歯列矯正装置を装着した時に患者に請求し、受領しているから、矯正装置を装着した時に収入すべき権利が確定したものと認めるのが相当である。
要旨
原処分庁は、租税特別措置法第37条の規定の適用に係る買換資産の取得資金はまず譲渡資産の譲渡代金が充てられたものとすべきであるから、当該買換資産を借入金により取得したとしても、その借入金の利子の全額を不動産所得の必要経費と認めることはできない旨主張するが、同条の適用に係る買換資産であるからといって、その取得資金には、まず譲渡代金が充てられたとみるべき理由はなく、買換資産の取得資金に借入金が充てられ、譲渡資金の譲渡代金が充てられないことが明らかな場合において、その買換資産を不動産所得の基因となる貸付けの業務の用に供しているときは、当該不動産所得の金額の計算上その借入金の利子は全額必要経費に算入すべきである。
要旨
請求人は、本件資産は、被相続人が中間譲受人に譲渡したもので、最終譲受人に譲渡したものではないと主張するが、最終譲受人が、買受代金として支払った金員を全額被相続人が収受していること及び最終譲受人に対して、被相続人の都合で売主を中間譲受人とした旨の念書が差し入れられていること等から、本件資産は、被相続人が直接最終譲受人に譲渡したものである。
要旨
請求人は、離婚に伴う財産分与として本件土地の所有権を被分与者に移転したことにつき、その実質は共有財産中の所有地を特定し、真正な登記名義を回復したにすぎず、仮に本件土地が請求人の特有財産であったとしても、財産分与は対価を伴わない無償譲渡であり、被分与者の潜在的持分に着目して共有財産を分割するという清算的性格を有するものであるから、財産分与に譲渡所得の概念を持ち込むことには無理がある旨主張するが、本件土地の取得について被分与者が何らかの形で貢献していることは否定できないとしても、そのことをもって本件土地が直ちに被分与者との共有になるものとはいい得ず、本件土地は、請求人の特有財産であったものと認められ、また、夫婦の一方がその特有財産である不動産を財産分与として他方に譲渡した場合、そこに資産の移転が存することは明らかであって、その譲渡は、分与義務の消滅という経済的利益の享受を伴うものであるから有償の譲渡と認めるのが相当であり譲渡所得課税の対象となる。
要旨
請求人は、租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改正前のもの)第37条第1項の規定の適用を受けるため、買換資産の取得予定年月日等を記載した買換承認申請書を提出したのに、同条第4項に規定する承認に係る通知書を受け取った事実はないから、同条第1項の規定の適用はないこととなり、買換資産を取得予定年月日までに取得しなかったことによりなされた本件更正は、法定申告期限(確定申告書の提出期限)から3年経過後になされたものであって、違法であると主張するが、当該通知書が請求人に送達されなかったとする特段の事情の認められない当該通知書の送達にあっては、税務署長が郵便によって発送した日から起算して通常到達すべきであった時に送達があったと推定するのが相当であり、これにより請求人は同法第37条第4項に規定する承認を受けていると認められるから、当該承認に係る買換資産の取得予定年月日までに買換資産を取得しなかった場合の法定申告期限(同法第37条の2第2項に規定する修正申告書の提出期限)から3年以内になされた本件更正について、更正期限を徒過した違法はない。
要旨
原処分庁は、請求人の取締役営業部長が子会社の代表取締役として同社の経営に従事していたことは明らかであり、また、同人が子会社と請求人双方の業務を兼ねていたとしても、請求人の使用人としての職務に常時従事することはできないと認められるので、同人は請求人の使用人兼務役員とはなり得ないものであって、請求人が同人に支払った使用人分給与は子会社に対する寄付金となると主張するが、同人は、子会社の代表取締役に就任した後においても子会社の経営に参画し、その業務に従事していたものと認めることはできず、請求人の使用人兼務役員として業務に従事しており、その職務が就任前と格別異なるところは認められず、役員としての報酬及び使用人としての給与も、特別に増額されていないことが認められるから、本件使用人分給与を子会社に対する寄付金と認定したことは、相当でない。
要旨
請求人は、宅地開発行為に伴う本件土地の市に対する無償提供は法人税法第37条第3項第1号に規定する地方公共団体に対する寄付金に該当すると主張するが、請求人が、宅地開発行為の許可の申請をするに当たり、公共施設の管理者である市に対して、市道に接する部分の本件土地を、公共道路用地として無償提供し、市道の拡幅工事を行ったのは、都市計画法上の開発行為の規制により、本件土地部分に道路を設置する必要があったことによるものであり、そこに設置される道路の効用は、開発土地に吸収され、その宅地としての効用を形成するものと認められるから、その道路の無償提供は名目的なものにすぎず、それにより請求人は損失を受けていないというべきである。したがって、本件土地の無償提供は、地方公共団体に対する寄付金には該当せず、本件土地の取得価額は、開発土地の取得価額を構成するものと認めるのが相当である。
要旨
請求人は、国の水田利用再編対策実施要綱に基づく水田預託契約により農協に預託した水田について、同農協から請求人自らが委託を受けて、除草、害虫駆除等を行って保全管理をしたものであること等から、当該水田は租税特別措置法(昭和58年法律第11号による改正前のもの)第37条第1項に規定する事業用資産に該当する旨主張するが、[1]請求人は自らの意思に基づいて耕作することを停止し農協に預託したものであり、資産の買換えのために耕作を停止したものではないこと、[2]請求人は耕作可能な状態に管理していたが、これは農協から委託を受け、その受託者としての保全管理作業であって農業経営のための業務とは認められないこと、[3]請求人は本件土地について農協と水田預託契約を締結したことによって自ら本件土地を耕作する意思を放棄したというべきであることなどから、本件土地は事業用資産とは認められない。
他に所得があるため控除対象配偶者となり得ない者が支払を受けた青色事業専従者給与の額は、支払者が事業所得の必要経費に算入したか否かにかかわらず、給与所得に係る収入金額になるとした事例
裁決事例集 第30集 55頁
要旨
請求人は、眼科医を営む請求人の夫から青色事業専従者給与として支払を受けた金員につき、夫が事業所得の金額の計算上必要経費に算入していないことをもって、請求人の給与所得の収入金額にはならないと主張するが、請求人は、青色事業専従者給与のほかにも所得があって、仮に、この事業専従者給与がなかったとしても、控除対象配偶者になり得ない者であり、同人は青色事業専従者の適格要件を満たしているとともに、その青色事業専従者給与の額も相当であると認められているので、当該金員は、夫の確定申告において事業所得の必要経費に算入されているか否かにかかわらず、請求人の給与所得の収入金額となる。
要旨
原処分庁は、請求人が甲土地を取得し家屋の建築確認を受けた後に取得した地続きの土地について、居住用家屋の敷地とはいえないから租税特別措置法(昭和62年法律第96号による改正前のもの)第36条の2に規定する買換資産には該当しないと主張するが、請求人が甲土地と乙土地とを時期を異にして同一人から取得し、甲土地のみを家屋の敷地として建築確認申請を受けたのは、譲渡者の都合によってやむを得ず契約を2回に分けたにすぎないものであり、[1]甲土地と乙土地は、一体となって家屋の敷地として機能していること、[2]市の固定資産税の課税に当たっては、甲土地と乙土地のいずれもが住宅の敷地として減額の対象となっていたことなどから、甲土地と乙土地とはいずれもが居住用家屋の敷地と認められ、同条に規定する買換資産に該当する。
要旨
請求人は、本件眼鏡等は近視及び乱視の病気を治療するための医療器具に当たるから、その購入費用については医療費控除を認めるべきであると主張するが、眼鏡の購入費用で医療費控除の対象となるものは、医師が治療上必要であると認めた眼鏡の購入に要した費用に限られるものであって、近視、乱視等の単なる屈折異常を矯正するために使用する眼鏡の購入費用は、医療費控除の対象となる医療費に該当しないと解されるところ、本件眼鏡等は、近視用及び乱視用で、請求人の眼の屈折異常を矯正するために購入したものであり、医師による眼の病気治療の必要上購入したものでないことが明らかであるから、その購入費用は医療費控除の対象となる医療費に該当しない。
要旨
請求人は、代理店を対象とする表彰制度に基づき支出した本件支払手数料について、金銭の支払に代えて海外旅行を実施したものではなく、当該金員は銀行振込みの方法によって直接入賞代理店に支払っていること及び海外旅行の参加を強制したものではないことなどを理由として、売上割戻しであると主張するが、請求人は入賞代理店に対して、賞品として海外旅行招待の目録を渡して海外旅行を実施していること及び本件支払手数料は、その旅行の実施の前後にわたって支払われ、かつ、支払金額が、その団体旅行費用相当額であること等に照らすと、本件支払手数料は、もともと、得意先である代理店を海外旅行に招待することを目的として支出されたものであるから、本件支払手数料は、租税特別措置法第62条第3項に規定する交際費等に該当すると認めるのが相当である。
要旨
本件取引差額について、請求人は取締役営業部長個人に帰属すると主張するが、[1]当該取締役が請求人から仕入れ、売上げの一切の業務を任されて取引したものであること、[2]売上代金の一部を架空名義で請求し、通常は手形払いであるに対し、現金又は小切手払いで受領したものであること、[3]当該取締役の個人口座に入金されてはいるが、請求人の取引先に対する裏口銭、接待費用等に充てられていると認められること等から、当該取締役個人に帰属するものではなく、請求人に帰属するものと認定するのが相当である。
なお、土地に係る支出金のうち借地を返還するに当たってのクレーン撤去跡の整地工事費及びクレーン軌道に係る支出金は、修繕費と認められるので、原処分の一部を取り消すべきである。
要旨
請求人は、本件差押処分について、請求人が審査請求中である違法な本件課税処分に対応する部分は違法であること及びその結果、本件課税処分に対応する部分以外の部分については国税徴収法第48条第1項に規定する超過差押えに該当することから、本件差押処分はその全部を取り消すべきであると主張するが、課税処分が当然無効である場合又は違法を理由として取り消された場合は、これに基づく差押処分の違法を招来するものであるところ、本件課税処分について重大かつ明白なかしがあるとは認められず、また、本件課税処分は取り消されていないから、本件課税処分に係る滞納国税に対する差押処分の取消しを求める請求人の主張には理由がなく、また、それを前提として超過差押えとなるという請求人の主張にも理由がない。
要旨
請求人は、本件建物等の譲渡所得の金額の計算上取得費から控除する償却費の額の累積額には、不動産所得の金額の計算上必要経費の額に算入された新築貸家住宅等の割増償却費の額は含まれないと解すべきであると主張するが、所得税法第38条第2項第1号の規定により、譲渡所得の取得費の計算上控除される資産の売却費の累積額には、その資産の減価償却費の額の計算について租税特別措置法第14条第1項の規定により割増償却の適用を受けている場合には、同項の規定の適用を受けた期間に係る割増償却費の累積額が含まれると解するのが相当である。
法人の代表者が法人の業務に関連してした保証債務を当該法人が無償で引き受けたことによる負担額は、債務の引受けの時ではなく、現実にこれを履行した時の損金の額に算入されるとした事例
裁決事例集 第30集 113頁
要旨
請求人は、主たる債務者の死亡等により連帯保証の名義人である請求人の代表者が履行すべきこととなった本件保証債務につき、請求人が負担することとした債務の損金計上時期について、その負担することとした債務は、請求人が債権者と交渉して負担額及び支払方法を決定したのであるから、民法第513条の規定により新たな債務というべきであり、仮に保証債務であるとしても、主たる債務者が存在せず、初めから求償権が発生しないのであるから、いずれにしても、債権者と負担額及び支払方法について合意した時に損金として確定していると主張するが、本件保証債務は、請求人の業務に関連するものと認められるものの、当事者間において債務の要素を変更する契約がなされた事実がないから、請求人の負う債務が新たな債務であるという主張は採用できず、請求人は本件保証債務を代位弁済するにすぎないこと及び代位弁済により生ずる代表者に対する求償権を放棄していることからすると、当該求償権が発生し、これを放棄することとなる代位弁済の実行時点ではじめて損金とすべきである。
要旨
請求人は、本件土地、建物の譲受けに伴い、当該建物において営まれていたパチンコ営業に係る営業権の取得があったと主張するが、当該パチンコ営業については、[1]近年欠損続きであったこと、[2]超過収益力の要因となる事実が認められないこと、[3]請求人はその譲渡人の商号、取引先、従業員等を引き継いでいないので、営業の譲受けがあったとも認められないことから、本件営業権の取得の事実はなく、本件営業権に係る減価償却費の額の損金算入を認めなかった原処分は相当である。
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