裁決事例 裁決事例集 第104集

裁決事例 裁決事例集 第104集

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平成28年9月30日裁決

当初から過少申告及び無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき、所得税等については過少申告をし、消費税等については期限内に確定申告書を提出しなかったと認定した事例(平成21、22、24年分の所得税並びに平成25年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の各賦課決定処分、平成21年1月1日から平成24年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第104集

ポイント

 本事例は、請求人が、消費税等の負担を免れるため、長年にわたり、農産物等の販売金額を過少に記載した下書用の収支内訳書を作成し、これを市の申告相談で市職員に提示することにより、同職員をして販売金額を過少に記載した収支内訳書及び確定申告書を作成させ続けていたとして、重加算税の賦課要件を満たすとしたものである。

要旨

 請求人は、自身が下書用の収支内訳書を作成した行為は単なる過少申告行為であり、隠ぺいしようという確定的な意図の下に行った申告ではなく、隠ぺい又は仮装に該当する行為はないから、国税通則法第68条《重加算税》第1項及び第2項に規定する重加算税の賦課要件は満たされない旨主張する。
 しかしながら、請求人は、消費税等の負担を免れるため、7年間という長期間にわたり、農産物及び肉用牛(農産物等)の販売年間取引実績表等によってその販売金額の合計額が1千万円を超えていることを認識していたにもかかわらず、その合計額が1千万円を超えないよう、農産物等の販売金額を過少に記載した下書用の収支内訳書を作成し、これを市の申告相談で市職員に提示することによって、同職員をして農産物等の販売金額を過少に記載させ、その合計額がいずれも1千万円以下となる収支内訳書及び確定申告書を作成させ続けていたものと認められる。したがって、請求人は、当初から過少申告及び無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき、所得税等については過少申告をし、消費税等については期限内に確定申告書を提出しなかったと認められるのであるから、国税通則法第68条第1項又は第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たすというべきである。

参照条文等

国税通則法第68条第1項及び第2項

参考判決・裁決

最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁) 平成23年6月3日裁決(裁決事例集No.83)

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平成28年9月29日裁決

小規模宅地等の特例について、建物が区分登記され、各々が独立して生活できる構造になっている場合、被相続人が居住していた当該建物の区分所有に係る部分の敷地のみが被相続人の居住の用に供していた宅地に当たるとした事例(平成22年10月相続開始に係る相続税の各更正の請求に対する各更正処分・棄却)

裁決事例集 第104集

ポイント

 本事例は、小規模宅地等の特例について、建物が区分登記され、各々が独立して生活できる構造になっている場合、被相続人が居住していた当該建物の区分所有に係る部分の敷地が被相続人の居住の用に供していた宅地に当たり、被相続人と生計を一にしていない者が居住していた当該建物の部分の敷地に相当する宅地は、被相続人等の居住の用に供されていた宅地に当たらないと判断したものである。

要旨

 請求人らは、請求人の一人である兄E及びその弟Gが2分の1ずつ相続により取得した宅地(本件宅地)について、本件宅地を敷地とする建物(本件建物)の2階部分に居住していた兄Eが、1階部分に居住していた被相続人(本件被相続人)及び弟G(本件被相続人ら)の面倒を見ていたという事情を踏まえ、本件建物の1階部分と2階部分を区別せずに1棟の建物として考えれば、建物全体が、租税特別措置法(平成23年法律第114号による改正前のもの)(措置法)第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》(本件特例)第1項に規定する「被相続人等の居住の用に供されていた家屋」に該当し、さらに、兄Eが、措置法第69条の4第3項第2号イに規定する本件被相続人らと同居していた親族に該当するので、本件宅地の全体を措置法第69条の4第3項第2号に規定する特定居住用宅地等として本件特例が適用できる旨主張する。
 しかしながら、本件建物はその構造上1階部分及び2階部分に区分でき、それぞれが独立して居住の用に供することができる設備・構造を備えている上、区分登記されていることからすれば、本件被相続人の居住の用に供されていた「家屋」は、本件建物の1階部分に限られる。また、実際の生活状況をみても、兄Eは本件被相続人と同居していた親族、あるいは生計を一にしていた親族とは認められない。したがって、本件宅地のうち、本件被相続人らの居住の用に供されていた1階部分の敷地に相当する宅地で、本件被相続人と同居していた弟Gが相続した部分のみが、特定居住用宅地等として本件特例の適用対象となり、その他の部分は本件特例を適用することができない。

参照条文等

租税特別措置法(平成23年法律第114号改正前のもの)第69条の4第1項、第3項 租税特別措置法通達69の4-21

参考判決・裁決

平成20年6月26日裁決(裁決事例集No.75) 平成26年8月8日裁決(裁決事例集No.96)

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平成28年9月28日裁決

登録価格のない土地の課税標準について、当該土地の近傍に存する土地の登録価格を基礎として算定した事例(平成27年3月登記により納付された登録免許税の還付通知をすべき理由がない旨の通知処分・一部取消し)

裁決事例集 第104集

ポイント

 本事例は、登録価格のない土地の課税標準について、当該土地に類似する土地は当該土地に隣接する土地よりも当該土地の近傍に存する土地(近傍地)であるから、当該近傍地の登録価格を基礎として算定した価額と判断したものである。

要旨

 請求人は、登録免許税法附則第7条《不動産登記に係る不動産価額の特例》に規定する価額につき、同附則の委任を受けた登録免許税法施行令附則第3項(施行令附則第3項)に規定する固定資産課税台帳に登録された評価額(登録価格)のない土地(本件土地)の登記申請に際し納付した登録免許税額は過大であり、本件土地が合筆・分筆される前の土地(本件土地とおおむね所在地が同じ。)に係る平成27年1月1日現在の登録価格に基づく1平方メートル当たりの評価額に本件土地の地積を乗じて算定した価額(請求人主張額)を本件土地の登録免許税の課税標準(本件土地課税標準)とするべきである旨主張し、原処分庁は、登記申請に際し、登記機関が認定した価額(本件登記機関認定価額)の基礎とした本件土地に隣接する土地(本件隣接地)は、その立地条件等から本件土地との類似性が極めて高い土地であり、本件登記機関認定価額に誤りはない旨主張する。
 しかしながら、本件土地の登記申請が平成27年3月になされていることから、本件登記機関認定価額算定の基準日は、施行令附則第3項第1号の規定により、平成26年12月31日となるため、請求人の主張する平成27年1月1日現在の登録価格を算定の基礎とする請求人主張額をもって、本件土地課税標準とすることはできない。また、本件隣接地は、本件土地の属する地域の土地利用に係る行政上の規制等の内容や登録価格の算定の基礎となる価格が異なっており、本件土地と類似する土地であるとは認め難く、他方、本件土地の近傍に存する土地(本件近傍地)は、土地利用に係る行政上の規制等の内容や登録価格の算定の基礎となる価格が本件土地と同じである。したがって、本件隣接地よりも本件土地に類似する土地は、本件近傍地であると認められ、本件近傍地の登録価格を基礎として算定した価額を本件土地課税標準とするのが相当である。

参照条文等

登録免許税法第10条 登録免許税法附則第7条 登録免許税法施行令附則第3項

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平成28年9月26日裁決

審判所認定地域が各土地に係る広大地通達に定める「その地域」に当たると判断した事例(平成24年5月相続開始に係る相続税の各更正の請求に対する各更正処分・全部取消し)

裁決事例集 第104集

ポイント

 本事例は、各土地の地域に係る土地の利用状況及び周辺地域の状況等の事情を総合勘案して、審判所認定地域が各土地に係る広大地通達に定める「その地域」に当たると判断したものである。

要旨

 原処分庁は、請求人らが相続(本件相続)により取得した各土地(本件各土地)の財産評価基本通達24-4《広大地の評価》(広大地通達)の適用につき、広大地通達に定める本件各土地の「その地域」は、原処分庁の主張する地域(原処分庁主張地域)は用途地域が工業地域に指定され、工場、事務所、戸建住宅及び駐車場等が混在する地域であるのに対し、その周囲は用途地域が第一種住居地域と指定されており、戸建住宅を中心とする地域であることから、本件各土地に係る「その地域」は原処分庁主張地域の用途地域、すなわち工業地域である旨主張する。

 しかしながら、原処分庁主張地域において、①本件相続の開始前20年間に工場の新築はなく、工場として利用されている戸数の割合は僅かであること、②良好な住宅地としての発展等を目的とした土地区画整理事業が施行されたこと、③本件各土地の所在する地方自治体の都市計画の方針により、住居系の土地利用への誘導が図られていることを踏まえると、本件各土地の所在する地域(本件地域)における土地の標準的な使用は工場用地から住宅用地に移行しつつあるものと認められる。そして、④本件地域は戸建住宅や共同住宅の建築において用途制限に差のない第一種住居地域に定められた地域(本件周辺地域)に囲まれるように存しており、容積率及び建ぺい率も同一であること、⑤本件地域及び本件周辺地域(審判所認定地域)の東側には川幅約8mの川が流れており、これを境に土地の利用状況が異なることなどの事情を総合勘案すると、審判所認定地域が本件各土地に係る広大地通達に定める「その地域」に当たると認めるのが相当である。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達24-4

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平成28年9月8日裁決

原処分庁が選定した類似同業者の中に選定基準に該当しない事業者が含まれていたと認定した事例(平成21年分から平成24年分までの所得税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分、平成22年1月1日から平成22年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の決定処分並びに無申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、平成23年1月1日から平成23年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、平成24年1月1日から平成24年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに重加算税の賦課決定処分・一部取消し、棄却)

裁決事例集 第104集

要旨

 請求人は、請求人の自宅に存したノート(本件ノート)は請求人の事業に係る売上金額が記載されたものではないから、原処分庁が本件ノートを基に請求人の事業所得の金額等を推計の方法により算定したことには合理性がない旨主張する。
 しかしながら、本件ノートに記載された売掛金の額は、請求書の金額及び預金口座に振り込まれた金額と9割以上が一致していることからすると、本件ノートには、請求人の事業に係る売上金額を記載したものとして一定の信ぴょう性があると認められる。加えて、原処分庁は、請求人が営む事業と業種、業態、事業内容、規模等が類似すると認められる青色申告者の平均特前所得率(総収入金額に対する青色申告特典控除前の事業所得の金額の割合の平均値)に基づいて、請求人の事業所得の金額を推計の方法により算定しているところ、原処分庁が類似同業者を機械的に抽出すべく設定した選定基準についてみると、選定対象とした事業者は、①請求人が営む店舗の所在地を管轄する税務署及び同税務署と隣接する税務署の管轄内に納税地及び事業所を有する者に限定し、地域差による収益等のかい離を回避していること、②請求人が営む事業の営業形態との同一性に配慮が認められ、売上金額が請求人の売上金額の0.5倍以上2倍以下であり、複数店舗経営及び兼業ではなく、青色事業専従者がいないなど事業規模等の類似性を十分に考慮していること、③年中途の開廃業がない青色申告者で調査中又は不服申立て中でない者に限定することによって、収入金額等を把握する上で障害となる不安定要素を有する者が除外されるとともに、同業者に係る資料及び金額の正確性が担保されていることから、原処分庁による推計の方法自体は相当であると認められる。ただし、原処分庁が選定した類似同業者の中には、原処分庁が設けた選定基準に該当しない事業者が一部含まれていることから、これらを類似同業者から除外した上で平均特前所得率を算定することが相当である。

参照条文等

所得税法第156条

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平成28年9月8日裁決

請求人が立替払したと認められる金額は、全て総収入金額から除外したとの原処分庁の主張を一部排斥した事例( 平成23年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、 平成24年分の所得税の更正処分及び無申告加算税の賦課決定処分、 平成25年分の所得税及び復興特別所得税の再更正処分並びに無申告加算税の賦課決定処分、 平成22年1月1日から平成22年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに無申告加算税の賦課決定処分、 平成24年1月1日から平成24年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに無申告加算税の変更決定処分、 平成25年1月1日から平成25年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに無申告加算税の賦課決定処分・ 一部取消し、 棄却、 却下)

裁決事例集 第104集

要旨

 原処分庁は、所得税の事業所得の総収入金額の算定に当たっては、請求人が取引先の支払を立替払したと主張する金額のうち、立替払したと認められる部分については既に総収入金額から除外しており、その他の部分については立替払したとは認められない旨主張する。
 しかしながら、取引先への文書照会に対する回答内容等によれば、請求人が取引先の支払を立替払したとして原処分庁が認めたもののほかに、取引先一社分について立替払した金額があったにもかかわらず、当該金額を当該総収入金額から除外していなかったことが認められる。

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平成28年9月7日裁決

請求人が所有する物件の賃貸借に係る契約において、賃借人が当該物件を住宅として転貸することが契約書その他において明らかであるとした事例(平成26年1月1日から平成26年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第104集

ポイント

 本事例は、消費税法上、非課税とされる住宅の貸付け(消費税法別表第一第13号)には、住宅が転貸借及び再転貸借される場合も含まれると判断したものである。

要旨

 請求人は、消費税法基本通達6-13-7《転貸する場合の取扱い》(本件通達)が想定するのは転貸借取引のみであるところ、請求人が不動産販売会社(本件会社)から取得した物件(本物件)を本件会社に賃貸する取引(本件賃貸借取引)は、その契約(本件賃貸借契約)の内容からすれば、本物件が再転貸借されること及び本物件に実際に居住することができない法人が再転貸人になることが想定されているから、本件通達適用の前提を欠いており、また、仮に本件通達適用の余地があるとしても、本件賃貸借契約等において、本件会社が本物件を実際に人の居住の用に供することが明らかでないなどとして、本件賃貸借取引は、非課税取引である「住宅の貸付け」には該当しない旨主張する。
 しかしながら、「住宅の貸付け」が非課税とされる趣旨は、住宅の貸付けを行う事業者が賃借人に対し、消費税相当額を転嫁しないことにより、住宅賃借人を政策的に保護することにあるものと解され、消費税法第6条《非課税》に規定する別表第一第13号に掲げる「住宅の貸付け」は、「当該貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされているものに限る」と規定されていることからすれば、本件通達の適用範囲を限定しようとする請求人の主張に合理性は認められず、また、本物件に係る本件会社との売買契約書及び賃貸借契約書の記載内容、本件賃貸借契約締結時の請求人に対する本件会社の社員の説明などからすれば、本件賃貸借契約における賃借人である本件会社が本物件を住宅(人の居住の用に供する家屋等)として転貸することが契約書その他において明らかであるから、本件賃貸借取引は「住宅の貸付け」に該当し、その全額が非課税取引となる。

参照条文等

消費税法第6条、別表第一第13号 消費税法基本通達6-13-7

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平成28年8月22日裁決

各店舗の収益の帰属は、当該各店舗の営業許可の名義人ではなく請求人であるとした事例( 平成22年2月1日から平成23年1月31日まで及び平成24年2月1日から平成25年1月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分、平成22年2月1日から平成23年1月31日まで及び平成24年2月1日から平成25年1月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分、平成23年1月分の源泉徴収に係る所得税の納税告知処分並びに不納付加算税及び重加算税の各賦課決定処分、平成25年1月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の納税告知処分並びに不納付加算税の賦課決定処分・一部取消し、 法人税の青色申告の承認の取消処分ほか・棄却、平成28年8月22日裁決)

裁決事例集 第104集

ポイント

 本件は、請求人とは異なる者が営業許可の名義人となっている飲食店について、当該各飲食店に係る収益は当該各名義人ではなく請求人と認められるものの、当該各店舗に係る収益の計算において原処分庁が算定した売上原価の額等に誤りがあることから、原処分の一部を取り消したものである。

要旨

 請求人は、請求人とは異なる者が営業許可の名義人となっている複数の飲食店(本件各店舗)について、本件各店舗の経営者は営業許可の各名義人(本件各名義人)であるから、本件各店舗に係る収益は請求人に帰属しない旨主張する。
 ところで、実質的な費用収益の帰属主体及び資産の譲渡等の帰属主体については、名義と実質が一致しない場合、実質的にこれらを享受する者に対して課税されることとなるところ、その判断は事業に至る経緯、経営の実態、経理関係、関係者の認識等を総合して行うべきである。これを本件についてみると、①請求人の代表者(本件代表者)の指示により、本件各名義人が本件各店舗の賃借人及び営業許可の名義人になっていること、②本件代表者が開業前の工事等に関与していたこと、③本件代表者によって、本件各名義人及び本件各店舗の従業員の勤務状況が管理されていたことからすると、本件代表者が本件各店舗の開業を決意し、経営の実権を握っていたといえる。また、本件代表者の指示の下、本件各店舗の売上日報等が作成され、本件代表者が売上金の回収、売上げ及び経費の管理を行い、給与を支給していたことからすると、本件代表者が主体となって本件各店舗に係る経理処理をしていたと認められる。そうすると、かかる経営状況は、本件代表者が自ら主体となって経理処理をしている請求人が経営する飲食店(申告店舗)と同様であって、申告店舗と本件各店舗はその経営実態において何ら変わることはないことから、本件代表者には本件各店舗の収益が全て請求人に帰属するとの認識があったものと認められる。
 したがって、本件各店舗に係る収益の帰属者は請求人であると認められる。ただし、原処分庁が算定した売上原価の額等に誤りがあることから、原処分の一部を取り消すべきである。

参照条文等

法人税法第11条 消費税法第13条(平成27年法律第9号による改正前のもの)

参考判決・裁決

岡山地裁平成23年10月25日判決(税資261号順号11798)

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平成28年8月10日裁決

本件における飲食店の経営主体が請求人である旨の原処分庁の主張を排斥した事例( 平成23年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、 平成24年分の所得税の更正処分、 平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分、 平成23年1月1日から平成23年12月31日まで及び平成24年1月1日から平成24年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分、 平成25年1月1日から平成25年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分、 平成23年1月から平成25年12月までの各期間分の源泉徴収に係る所得税等の各納税告知処分等・ 却下、 全部取消し)

裁決事例集 第104集

ポイント

 本事例は、事業所得が誰に帰属するかは、当該事業の遂行に際して行われる法律行為の名義、事業への出資状況、収支の管理状況、従業員に対する指揮監督状況などを総合し、経営主体としての実体を有する者を社会通念に従って判断すべきとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の父(父)が営むものとして申告された飲食店(本件飲食店)の事業について、①平成23年以降の法律行為の名義は全体として請求人であり、②同人が収支の管理を行い、③同人が従業員の採用や給与の決定・昇給を行っていたと認められることから、平成23年分ないし平成25年分(本件各年分)における本件飲食店の経営主体は父ではなく請求人であり、その事業に係る所得は請求人に帰属する旨主張する。
 しかしながら、事業所得の帰属者の判断に当たっては、当該事業の遂行に際して行われる法律行為の名義に着目するのはもとより、当該事業への出資の状況、収支の管理状況、従業員に対する指揮監督状況などを総合し、経営主体としての実体を有するかを社会通念に従って判断すべきである。本件においては、①本件各年分における本件飲食店の店舗の賃貸借契約は、父名義で行われているほか、その事業の用に供されている物的設備等のほとんどが父の所有するものであり、②請求人は平成23年当時、本件飲食店を経営するだけの資金力を有するに至っておらず、その経営は父の資金力に大きく依存していたところ、③平成23年以降のいくつかの法律行為等に請求人の名義が用いられていることや、請求人が収支の管理を行い、従業員の採用や給与の決定・昇給を行っていたとしても、それは、請求人がいずれ本件飲食店の事業を承継することを前提に本件飲食店に勤務し始めたことから、父から店長としてかなりの裁量を持たされていたにすぎないといえ、④請求人がその生活費等を本件飲食店の事業に係る収益から享受し、父は本件飲食店の事業から収益を享受していなかったとしても、本件各年分における本件飲食店の経営状況は悪く連年損失が生じていたことからすると、父が経営者であって請求人が従業員であるとの状況を前提とすれば整合的であり、これらを総合して考慮すれば、本件飲食店の経営主体は父であったとみるべきであり、その事業に係る所得は父に帰属する。

参考判決・裁決

最高裁昭和37年3月16日第二小法廷判決(集民59号393頁) 名古屋地裁平成17年11月24日判決(裁web)

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平成28年8月8日裁決

外貨建借入金の借換えの際に計算される為替差損益が単に評価上のものにとどまる場合には課税の対象となる収入として認識しないとした事例(平成23年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第104集

ポイント

 本事例は、借換えの前後における外貨建借入金の内容に実質的な変化が生じていない場合、当該借換えの際に計算される為替差損益は単に評価上のものにすぎず、課税の対象となる収入として認識しないとしたものである。

要旨

 請求人は、金融機関から外貨建借入金を借り入れ、当初の借入れから最終的な返済までの間に借換えを繰り返しているところ、最終的な返済時だけでなく、各借換え時において計算される為替差損益も課税の対象として認識すべきである旨主張する。
 しかしながら、所得税法第36条《収入金額》第1項は、収入の原因たる権利が確定的に発生した場合に、その時点で所得の実現があったものとして課税所得を計算するという建前(いわゆる権利確定主義)を採用したものと解されており、収入という形態において実現した利得のみを課税の対象としているから、外貨建借入金の借換え時に計算される為替差損益が単に評価上のものにとどまる場合には、課税の対象となる収入として認識しないこととなる。本件においては、金融機関と請求人との間で貸付与信枠に係るファシリティー契約が結ばれ、同契約に定められた貸付与信限度額、金利の計算方法及び担保等の条件に基づき、同一支店から、同一の通貨で借換えが行われており、借換えに係る既存の借入金と新たな借入金の内容に実質的な変化が生じたとは認められない。そうすると、借換え時において、既存の借入金の返済により計算される為替差損益は、単に評価上のものにすぎないから、課税の対象となる収入として認識しないこととなる。

参照条文等

所得税法第36条第1項第57条の3第1項

参考判決・裁決

最高裁昭和49年3月8日第二小法廷判決(民集28巻2号186頁)

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平成28年7月6日裁決

請求人の子会社が複数の外国法人と締結した契約の当事者が、当該子会社ではなく請求人であるとはいえないとした事例( 平成25年4月1日から平成26年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、 平成25年4月1日から平成26年3月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分、 平成25年6月から同年12月までの各月分及び平成26年2月から同年8月までの各月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の各納税告知処分並びに不納付加算税の各賦課決定処分・ 棄却、 全部取消し)

裁決事例集 第104集

ポイント

 本事例は、請求人の子会社が複数の外国法人と締結した契約に係る契約書はいわゆる処分証書に該当し、作成の真正に争いがなく他に特段の事情も認められないことからすれば、契約当事者を請求人であるとすることはできないとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の子会社(本件子会社)が複数の外国法人と締結した商材の販売(本件事業)に係る契約(本件契約)について、①請求人と本件子会社との間で締結した本件子会社の名義を借用する契約(本件許諾契約)に基づき、請求人が本件子会社の名義を使用して本件事業を行い、その収益を請求人に帰属させていること及び②請求人と本件子会社との間で締結された業務委託契約(本件業務委託契約)に基づき、本件契約に定められた本件子会社の業務を請求人の従業員が実際に行っていること等を理由として、本件子会社は名目上の契約者にすぎず、請求人が実質的な契約当事者である旨主張する。
 しかしながら、本件契約に係る契約書は、いわゆる処分証書に該当し、他に特段の事情がない限り、作成者によって記載どおりの行為がなされたものと認めるべきであるところ、本件子会社は事業を営む実体のある法人であり、その法人格を否認する特段の事情は認められず、本件契約の当事者が本件子会社であることを他の契約当事者が合意した上で本件契約を締結したことが認められ、あえて契約当事者を請求人であるとする特段の事情も認められない。また、本件許諾契約及び本件業務委託契約は、本件契約とは当事者が異なる別個の契約であり、それぞれの契約の締結には合理的な理由があると認められるから、これらの契約の存在を度外視して、本件契約と本件許諾契約及び本件業務委託契約をいわば不可分一体のものとみて、本件契約の当事者が請求人であるとすることはできない。

参考判決・裁決

最高裁昭和45年11月26日第一小法廷判決(裁Web) 最高裁昭和32年10月31日第一小法廷判決(民集11巻10号1779頁)

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平成28年7月4日裁決

当初から所得を過少に申告する意図を有していたと認められるものの、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動を認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例(平成19年分から平成24年分までの所得税並びに平成25年分の所得税及び復興特別所得税の重加算税の各賦課決定処分、平成19年1月1日から平成25年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の各賦課決定処分・一部取消し)

裁決事例集 第104集

ポイント

 本事例は、事業所得を秘匿した内容虚偽の所得税の確定申告書の提出など、当初から所得を過少に申告することを意図して行われたものと認められるものの、請求人が事業所得を秘匿するためにあえて帳簿を作成しなかったとまでは断定し難い上、請求人の営む事業に関するその余の行為においても、過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動を見いだすことはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

要旨

 原処分庁は、請求人は、請求人の営む事業(本件事業)で多額の利益が生じており、当該利益は帳簿書類を作成し確定申告をすべき金額であることを十分に認識していながら、債務弁済や利殖のために税を免れることを意図し、その意図に基づいて本件事業に係る帳簿書類をあえて作成せずに、7年間にわたって本件事業に係る多額の収入金額を一切記載しない内容虚偽の所得税等の確定申告を行うとともに、消費税等についてあえて申告していなかったものと認められるのであって、これら請求人の一連の行為は、請求人が当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき過少申告等をしたものと認められるから、請求人は、国税通則法第68条《重加算税》第1項及び第2項に規定する課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部の隠ぺいを行った旨主張する。
 しかしながら、請求人が、所得税等の確定申告に際し、本件事業に係る所得を全て秘匿して、給与所得及び株式等に係る譲渡所得等のみを記載した内容虚偽の確定申告書を提出し、本件事業に係る所得を申告しなかったこと、また、本件事業に係る収入等につき消費税等の申告をしなかったことは、当初から所得を過少に申告する意図、又は法定申告期限までに申告しないことを意図して行われたものと認めるのが相当であるものの、請求人が本件事業に関する正当な収入金額、必要経費及び所得金額を秘匿するためにあえて帳簿を作成しなかったとまでは断定し難い上、審判所の調査によっても、本件事業に関する請求人のその余の行為において、過少申告等の意図を外部からもうかがい得る特段の行動などを見いだすことはできない。
 したがって、原処分庁が主張する請求人の行為は、過少申告等の意図を外部からもうかがい得る特段の行動とは評価することができないものであり、請求人の所得税等及び消費税等について、重加算税を賦課することはできないものといわざるを得ない。

参照条文等

国税通則法第68条第1項第2項

参考判決・裁決

最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)

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