裁決事例 平成5年(1993年)

裁決事例 平成5年(1993年)

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平成5年12月27日裁決

請求人の代表者名義等の普通預金口座に入金されている小切手等の一部については、売上除外による入金であると認定できず、また、債権償却特別勘定の対象としている約束手形等は請求人の債権とは認定できないとした事例

裁決事例集 第46集 98頁

要旨

 原処分庁は、請求人の代表者及び従業員の個人名義の普通預金口座に預け入れた小切手、約束手形及び現金は、すべて請求人が売上を除外したものであると主張するが、[1]約束手形の一部については、振出人がAから融資を受けた際、Aに対し振り出したこと及び当該融資の資金を請求人が出したこと等が認められ、[2]また、小切手の一部については、振出人がBに対し貸付けのために振り出した小切手であり、振出人は請求人と取引がないこと及びBは行方不明であること等が認められることから請求人の売上金額であると認定することはできない。
 また、請求人は、資産として仮払金勘定及び受取手形勘定に計上し、期末に債権償却特別勘定への繰入れの対象とした小切手及び約束手形について、代表者に一時立て替えてもらい、支払った残土捨場の権利取得につき、その取得ができなくなったため小切手及び約束手形で返済を受け、一時立替分の返済として小切手等を代表者に渡したのであるから、請求人の債権であると主張する。しかし、[1]立替えをした事実を証する資料がないこと、[2]代表者は小切手について金融機関に対し依頼返却の届けをし、同一の小切手債務者が振り出した他の小切手を返却日以降同金融機関で取り立てており又小切手に相当する金額は現に代表者に支払われたとみるのが相当であることから、これらの小切手及び約束手形を請求人の債権と認定することはできない。

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平成5年12月22日裁決

建築条件付土地の譲渡について、一つの売買契約書が作成されていても、取引の経緯等から土地と建物の取引はそれぞれ別個の取引であると認められ、土地と建物の「一括譲渡」には当たらないとした事例

裁決事例集 第46集 191頁

要旨

 請求人は、新築した建物を土地とともに一括譲渡したとして、租税特別措置法関係通達63の2(2)-4に定めるいわゆる142パーセント基準を適用して課税土地譲渡利益金額を計算しているが、本件の場合、請求人は、[1]建築条件付である土地の販売価額を記載したチラシを配布して土地の購入者を募集し、その上で土地の購入予定者と新築しようとする建物の額を交渉の上決定していること、[2]建物の建築確認通知書の建築主は、請求人でなく土地の購入者であること、[3]売買契約書は、[1]のチラシに記載された土地の譲渡対価の額及び交渉の上決定した建物の譲渡対価の額並びにそれらの総額を記載したものであること、[4]消費税の確定申告は、売買契約書に記載されている建物の譲渡対価の額により課税標準を計算していることからみると、租税特別措置法関係通達63の2(2)-4にいう「土地と建物の一括譲渡」に該当するとは認められず、原処分庁が売買契約書の土地の譲渡対価の額を基に課税譲渡利益金額を計算したのは相当である。

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平成5年12月21日裁決

原処分庁が架空仕入れと認定した棚卸資産については、運送会社の送り状、請求人の商品棚卸表等周辺資料から、架空仕入れとする証拠に欠けるとした事例

裁決事例集 第46集 148頁

要旨

 原処分等は、請求人の代表者が、取引先に対して正規の取引とは別に架空の取引の納品書等を発行するよう依頼し、仕入代金を取引先の預金口座に振り込んだ後、架空取引に相当する金額を現地において現金で受領した事実を確認したとして、仕入商品の一部は架空取引であると認定した。
 しかし、①運送会社からの送り状及び請求書によれば、取引先から請求人へ納品されていることが認められていること、②請求人の期末商品棚卸表では、架空仕入れとした商品が在庫商品となっていること、③商品及びその品質表示票の商品番号を撮影した写真と、架空仕入れとした商品の商品番号とが一致すること、④請求人の代表者が取引先の現地に出張し現金を受領したとする日の前後の日に出張した事績がない日があること、⑤取引先の答述及びそれを裏付ける資料があいまいで信ぴょう性があるとは言いがたく、かつ、当該答述以外に架空仕入れがあることを裏付ける明らかな証拠資料もないことから、原処分庁が架空仕入れと認定した判断は、証拠に欠けるものといわなければならないので、更正処分の全部を取り消すのが相当である。

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平成5年12月17日裁決

同居している請求人の妻の父母が独立した生計を営んでいるとはいえないから、同父母に支払った給料及び地代は必要経費に算入することはできないとした事例

裁決事例集 第46集 42頁

要旨

 所得税法第56条にいう「生計を一にする」とは、同一の生活共同体に属して日常生活の資を共通にしていることをいい、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる特段の事情があるときを除き、これらの親族は生計を一にするものと解される。
 本件においては、請求人と妻の父母とは同一の家屋に居住していると認められ、また、家事上の共通経費についての実費精算が行われているとする事実が認められないことから、請求人らと同父母とが、互いに独立した生計を営んでいると認められる特段の事情は認められない。
 そうすると、原処分庁が、同父母に支払った給料及び地代を必要経費の額に算入しなかったことは相当である。
 なお、退職金の支給額、修繕費の計上漏れ等を必要経費の額に算入する等の結果、原処分の一部を取り消すべきである。

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平成5年12月15日裁決

リース会社から割賦で買い受け、同日当該リース会社にリースするとの契約により、当該資産につき、少額減価償却資産として、購入価額の全額を損金算入した経理処理について、これを認めなかった原処分は適法であるとした事例

裁決事例集 第46集 156頁

要旨

 請求人、リース会社、メーカー、最終使用者における一連の取引は、リース会社が本件物件を最終使用者に賃貸するに当たり、実質的には本件物件を取得することのない請求人を介在させ、請求人において少額減価償却資産の取得価額の一時損金算入の規定を適用し損失の先出しという経済的効果を生じさせることを目的として、請求人が本件物件を取得しこれを賃貸するという法形式を採用することを約して行ったものとみるのが自然で実態に則したものであり、請求人がリース物件を取得し、これを賃貸しているという実態は認められないので、減価償却を認めないとした原処分は適法である。

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平成5年12月13日裁決

相続税の確定申告書において、租税特別措置法第69条の3の適用を受けるために、いったん宅地を適法に選択した以上、後日、他の宅地への選択替えを求めて更正の請求をすることはできないとした事例

裁決事例集 第46集 1頁

要旨

 国税通則法第23条第1項第1号に規定する更正の請求は、納付すべき税額が、納税申告書に記載した課税標準等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと等により過大であるときになしうるものであるから、所得計算の特例等の規定で、納税者に一定事項の申告及び選択等を条件としてその規定の適用を受けることをゆだねている場合に、いったん自由な意思でこれらの規定に従い、かつ、適法な計算に基づいて申告書を提出し税額を確定させたものは、後日その一定事項の申告及び選択等の内容を変更することを理由に更正の請求をすることはできないと解すべきである。
 したがって、相続税の確定申告書において、租税特別措置法第69条の3の適用を受けるために、いったん宅地を適法に選択した以上、後日、他の宅地への選択替えを求めて更正の請求をすることはできない。

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平成5年12月10日裁決

不動産売買契約の解除に伴う損失は当該契約解除のあった日の属する事業年度の所得金額の計算上、損金の額に算入すべきものであって、国税通則法第23条第2項の規定により、そ及して所得金額を減額修正することはできないとした事例

裁決事例集 第46集 6頁

要旨

 国税通則法第23条第2項の各号に該当する後発的事由が発生しても、個々の税法の課税要件の実体規定に基づき、課税標準等の変動をどう処理すべきかその内容を検討し判断すべきであり、後発的事由が同項の各号に該当することのみをもって当然に更正の請求ができると解すべきでない。
 不動産売買契約の解除に伴う損失は、法人税法第22条第4項の規定による一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従い、当該契約解除のあった日の属する昭和54年4月期の所得金額の計算上、損金の額に算入すべきものであるから、国税通則法第23条第2項の規定を適用し、当該売買契約が締結された昭和49年4月期にそ及して所得金額を減額修正すべきものではない。

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平成5年12月10日裁決

同一相手方との間で土地を低価譲渡及び低価取得したことは、税負担の公平を害するといわざるを得ないが、この契約自体を虚偽仮装のものとみることは相当ではないとした事例

裁決事例集 第46集 137頁

要旨

 取引の相手方が、550百万円で取得した土地を240百万円で請求人に売却したことにより巨額な損失を生じる取引であっても、逆に請求人から600百万円で取得した土地を転売して利益を得ていることからすれば、本件各取引を不合理な取引ということはできない。
 原処分庁が本件土地の譲渡価額を910百万円と判断したことは必ずしも不当とはいえず、600百万円を計算の基礎とすることは税負担の公平を害するといわざるを得ない。しかし、上記の各取引の合意は明確に成立している事実が認められ、910百万円とする契約が存在し、それをあえて600百万円に偽装仮装した契約を作成したとは認定できない。
 したがって、本件取引について、国税通則法第70条第5項に規定する偽りその他不正の行為があったとは認定できないので、法定申告期限から3年を経過してなされた本件更正処分は違法であり、原処分は、その全部を取り消すべきである。

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平成5年12月8日裁決

親族間で賃貸借契約書及び売買契約書が作成されていた土地について、契約成立の事実は認められず、その所有者は被相続人であるとした事例

裁決事例集 第46集 197頁

要旨

 請求人は、本件土地については、被相続人と請求人の二男((被相続人の孫)(売買については二男夫婦))との間で、昭和54年に賃貸借契約が、昭和61年に売買契約が成立しているから、相続財産ではないと主張する。
 しかし、本件賃貸借契約書が作成された事実は外形的に認められるものの、[1]それに記載された約定は遵守されていず、[2]当該契約は祖母と孫という特殊な親族関係を基にして何ら第三者の目に触れることなく存在したものであり、その効果の発生が確認できないから、本件土地に係る賃貸借が成立していたとは認められない。
 また、本件売買契約書が作成された事実は外形的に認められるものの、[1]当事者間に本件土地が孫夫婦のものとする認識も認められず、[2]その契約書に記載された条項も約定どおり履行されていないから、契約の効力の発生を確認することもできず、[3]被相続人の死亡後その事実が他の相続人に露見するなど、当該契約は、祖母と孫という特殊な親族関係を基にして何ら第三者の目に触れることなく存在したものであると認められる。
 したがって、本件土地の所有者は名義人である被相続人と認められ、孫は本件土地を使用貸借により使用していたと認めるのが相当である。

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平成5年11月26日裁決

固定資産課税台帳に登録された価格のない建物の登録免許税の課税標準額について、当該建物が経年変化が激しい等から、例外的なものとして、新築建物課税価格の補正によることなく、類似建物を個別的に選定し、それらの価格を基礎として認定した事例

裁決事例集 第46集 247頁

要旨

 固定資産課税台帳に登録された価格のない建物の登録免許税の課税標準額は、類似する建物の固定資産税評価額を基礎として認定することとなるところ、原処分庁は、「建物の課税標準価額認定要領」(認定要領)に基づき、新築建物課税価格基準表に掲げる価額に経過年数に応じた補正率を乗じて算出する方法により認定している。
 しかし、本件建物は、一棟が工場、事務所及び倉庫と3種類に分かれ、鉄骨及び軽量鉄骨造りと構造の異なる建物であり、更に建築年が昭和44年と昭和55年に分かれており、経年変化による損耗が激しい部分があり、登記事務の迅速な処理を図ることを目的の一つとして、一般的な建物についての適用を予定している認定要領を採用することが不相当な例外的な建物であると認められる。
 そこで、固定資産課税台帳の閲覧、市担当職員の意見聴取に基づき、本件建物と同一市内にあって種類、構造及び床面積等の類似する建物各5件計10件を採用し、これらの建物の固定資産税評価額を基礎として、本件建物の登録免許税の課税標準額を算定すると、原処分庁の認定額は過大となるから、原処分の一部を取り消すのが相当である。

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平成5年10月29日裁決

一括払いの積立普通傷害保険の保険料のうち満期返戻金等の原資となる積立保険料部分は、業務遂行上必要な費用とは認められないから、保険料支払のための借入金に係る利息のうち、積立保険料に対応する額は、事業所得の金額の計算上必要経費とは認められないとした事例

裁決事例集 第46集 21頁

要旨

 請求人は、積立普通傷害保険の保険料を、借入金により支払ったものであるが、当該保険契約に係る保険料は、傷害保険料と積立保険料から構成されており、積立保険料は積み立てられ、満期返戻金及びこれに加算される契約者配当として契約者に支払われることとなる。
 すなわち、本件保険料のうち積立保険料は、満期返戻金等の原資となるものであって従業員の傷害を対象とした保険に係る保険料ではない。
 したがって、積立保険料の支払は、請求人の業務の遂行上、通常かつ客観的な必要性に基づくものとは認められないから業務との関連性はない。また、積立保険料は、保険期間の満了又は解約のときに受ける一時所得の収入金額から控除すべきものと認められる。よって、積立保険料を請求人の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
 そうすると、原処分庁が本件借入金のうち積立保険料に相当する借入金の利息を事業所得の計算上必要経費に算入しなかったことは相当であると認められる。

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平成5年10月29日裁決

請求人の取引形態は、委託販売ではなく買戻条件付販売と認められるから、取引先への納入済み商品につき期末売掛金として当該事業年度の売上金額に加算することは相当である。また、これに伴い、前事業年度末の売掛金を認定し、売上金額から控除すべきであるとした事例

裁決事例集 第46集 124頁

要旨

 出版業を営む請求人は、売上げについて、法人税基本通達2-1-3の委託販売としての経理処理を継続的に行っているのであるから、委託販売による計算書未着分は売上げに計上する必要はないと主張する。
 しかし、出版業において、通常、委託販売とよばれる取引は、出版社が取次店に対して見込み数量により出版物を送付し、取次店は売れ残り品を返品するという特約のある販売形態であり、基本通達にいう委託販売ではなく、買戻条件付販売である。
 請求人の取引も、取次店との約定書等に照らし、買戻条件付販売と認められる。
 なお、請求人は委託販売としての経理処理をしていない。
 したがって、事業年度末における取引先への納入済み商品につき、期末売掛金として本件事業年度の売上金額に加算することは相当である。
 請求人は、仮に買戻条件付売買であるとした場合、前事業年度末の売掛金残高を本件事業年度の売上金額から控除すべきであると主張するが、本件事業年度の売上金額を算定する場合には、年度中の入金額に年度末の売掛金の額を加算した金額から、前事業年度末の売掛金残高を控除すべきであると認められる。
 これにより、所得金額を計算すると、その額は修正申告の額に満たないので、更正処分はその全部を取り消すべきである。

(注)請求人の修正申告は、前事業年度末における取引先への納入済み商品を期末棚卸として減算していなかった。

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平成5年10月28日裁決

本件土地の譲渡は、代物弁済により譲渡した後買い戻して売却したもので、短期譲渡であり、代物弁済をした額が取得費の額であるとの請求人の主張に対し、代物弁済の事実は認められず長期譲渡であり、取得費の額は譲渡価額の100分の5であるとした事例

裁決事例集 第46集 70頁

要旨

 請求人は、本件土地は、昭和59年2月1日に代物弁済により譲渡した後、平成3年12月5日に買い戻して譲渡したものであるから、本件土地の譲渡による所得は短期譲渡所得であり、本件土地の買戻し価額は取得費に該当する旨主張する。
 しかしながら、請求人が融資を受けた会社との間で売買予約の締結か仮登記担保契約かが争いとなり、訴訟提起の上、和解により融資金額の確認と担保権確保のため各種登記が抹消されたという事実が認められ、代物弁済がされた事実はなく、所有権の移転はなされていない。また、請求人が代物弁済により譲渡したと主張する日以後においても本件土地を含む全土地の使用、収益、処分権は請求人に帰属していたと認められる。
 したがって、本件土地について、代物弁済による譲渡及び買戻しの事実があったとは認められないから、本件土地の譲渡による所得は長期譲渡所得であり、本件土地の取得費の額は、租税特別措置法第31条の4の規定により、本件土地の譲渡価額の100分の5に相当する金額となる。

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平成5年10月21日裁決

新たに診療所を開設するに当たっての診療開始前の期間に係る借入金利子は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないとした事例

裁決事例集 第46集 31頁

要旨

 所得税法第37条第1項に規定する「不動産所得、事業所得又は雑所得を生ずべき業務について生じた費用」とは、事業所得に限れば「事業所得を生ずべき事業について生じた費用」と解するのが相当であり、客観的にみて、その支出した費用がその事業と直接の関連性があり、事業の遂行上必要な支出であることを要し、かつ、費用収益対応の原則からすれば、収入すべき金額を生ぜしめる事業に係る費用に限られるものと解される。
 したがって、診療開始前の期間に係る借入金利子は、事業所得を生ずべき事業について生じた費用に該当しないので、必要経費に算入することはできない。

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平成5年10月21日裁決

母から受領した金員は亡父の遺産に係る代償金ではなく、母からの贈与であると認定した事例

裁決事例集 第46集 215頁

要旨

 請求人は、母から受領した金員は、亡父の遺産に係る代償金であるとし、その根拠として、母の売却した土地は亡父から母が相続したとする遺産分割協議につき、請求人はこの分割協議書を受領しておらず、かつ、この遺産分割協議書の印影の一部の相続人のものは印鑑登録がなく事実と相違しているから遺産分割は行われていない旨、また、本件金員を贈与として受領した旨記載した受領書は偽造されたものである旨主張する。
 しかし、[1]本件遺産分割協議書に記載された内容によって現実に遺産の分割が行われており、その後20数年を経過していること、[2]本件遺産分割協議書及び本件金員の受領書には代償金であることが読み取れる文言の記載がないこと、[3]本件金員の受領書が偽造されたとする事実もないことから、本件金員を母から贈与と認定した原処分は相当である。

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平成5年10月15日裁決

子会社の設立後に行った現物出資により取得した株式について、法人税法第51条の圧縮記帳の適用がないとした事例

裁決事例集 第46集 169頁

要旨

 本件現物出資は子会社の設立日以後にされていること、本件子会社が本件現物出資前に米国において他社を買収する等法人として機能していることから、法人設立のための出資とは考えられず、法人税法第51条に規定する「新たに法人を設立するため」に該当しない。
 また、本件現物出資の前提条件となる金銭出資が行われていないこと、本件現物出資前に本件子会社は法人として機能していること等から、法人税基本通達10-7-1に定める変態現物出資にも該当しない。
 したがって、圧縮記帳の適用はない。

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平成5年10月12日裁決

請求人の代表取締役として実質的に経営の主宰者と認められる者の行った売上金額の除外、個人名義預金等への留保は、請求人の隠ぺい又は仮装行為と同視すべきであるとした事例

裁決事例集 第46集 15頁

要旨

 請求人は、売上金の一部除外、個人名義預金等への留保は、専ら専務取締役個人の背任行為であって、請求人の代表者は、関知さえしていなかったから、請求人に隠ぺい又は仮装の意思及び事実はなく、重加算税の賦課決定は違法であると主張するが、行為者は請求人の専務取締役であり、かつ、実質的に経営の主宰者と認められることから、本件事実は、代表者がそれを知っていたかどうかにかかわらず、請求人の行為と同視するのが相当であるから、重加算税の賦課決定処分は適法である。

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平成5年8月24日裁決

養老保険契約に加入し支払った保険料について、請求人は、所得税基本通達36-31の(3)に該当すると主張するが、当該保険契約は、被保険者が主任以上という基準であり、全従業員がその恩恵に浴する機会が与えられているとは認められず、給与に該当するとした事例

裁決事例集 第46集 177頁

要旨

 請求人は、本件養老保険契約に係る被保険者について、[1]勤続年数15年以上、[2]年齢40歳以上、[3]定年までの定着度の各要件を総合勘案して、各職種より選定した旨主張するが、1名のやむを得ない例外を除いては主任以上の全従事員が被保険者となっており、保険加入の対象者として主任以上の基準を設けていたことが推認される。
 ところで、請求人においては、主任とは役職名の一つであって、役職の任免は請求人の業務運営上の必要に応じて行われるものとされており、必ずしもすべての従事員が主任以上の役付者になれるとは限らず、また、課長又は主任に任命されていない者で勤続年数15年以上かつ年齢40歳以上の者が3人認められることからみると、全従事員がその恩恵に浴する機会を与えられているとは認められない。
 したがって、本件保険契約については、全従業員がその恩恵に浴する機会が与えられているとは認められず、支払った保険料は、被保険者に対する給与とすることが相当である。

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平成5年7月9日裁決

新借地権者の本件土地の使用目的が限定されていなかったこと等から、本件土地の貸付けは「主として住宅の用に供される土地の貸付け」には該当せず、旧借地権者及び新借地権者から収受した本件名義書換料等及び新借地権者から収受した本件地代収入は収益事業に係る収入であるとした事例

裁決事例集 第46集 87頁

要旨

 「主として住宅の用に供される土地の貸付け」として非収益事業に係る収入であるか否かについては、本件賃貸借契約において、土地の使用が主として住宅の用に供されていたか否か、新借地権者の土地の使用状況等を総合的に判断すべきである。
 請求人は、新借地権者に堅牢建物の建設を承認したことが認められ、借地権譲渡承諾書では賃貸用ビル建設とあるが、その時点では具体的な建設計画もなく、請求人から住宅に供される旨の証拠の提出もなかったこと及び新借地権者は旧借地権者が本件建物から退去した後は入居者の募集もせず、生活の拠点としての住宅として使用したこともないこと等から、本件土地の名義書換料等及び新借地権者からの地代収入は収益事業に係る収入と認めるのが相当である。

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平成5年7月1日裁決

請求人は、反復、継続、独立した行為として土地を駐車場用に貸し付けており、これは消費税法上、事業として課税資産を貸し付けていることに該当するので、新規開業者ではなく、本件課税期間においては還付を受けるための申告はできないとした事例

裁決事例集 第46集 225頁

要旨

 請求人は、平成2年4月に駐車場を廃業した後、その跡地にマンションを新築し、平成3年6月から事業を開業して、同年7月新規事業の開業届とともに「消費税課税事業者選択届出書」を提出したので、本件課税期間において消費税の還付申告ができると主張するが、請求人は、廃業した駐車場以外の場所で土地を整備して駐車場として貸し付けており、対価を得て同種の行為を反復、継続、独立して行っていると認められるので、これは、所得税法における事業の概念とは異なり、事業の規模までは問わず、消費税法上の事業に該当する。
 したがって、請求人は、平成元年から課税資産の譲渡等に該当する事業を継続しており、本件課税期間は消費税法第9条第4項に定める「事業を開始した日の属する課税期間」には当たらない。また、本件課税期間に係る基準期間における課税売上高は959万円で免税事業者であるから、本件届出書の提出により課税事業者とされるのは、本件届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間以後になるので、還付を受けるための申告はできないとするのが相当である。

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平成5年6月25日裁決

請求人には生活の本拠とする居宅があるところ、譲渡したマンションへの居住目的は譲渡するまでの間の一時的なものとみるのが相当であり、譲渡所得について租税特別措置法第35条の規定による特別控除はできないとした事例

裁決事例集 第45集 323頁

要旨

 請求人は、本件マンションには、借家人が立ち退いた後間もなく居住を開始し、ほぼ毎週月曜日から金曜日まで寝泊まりしたのであるから、本件マンションは特例に規定する居住用財産に該当する旨主張する。
 しかしながら、請求人はS市に居宅を有し、同所には生計を一にする家族が居住し、土曜日及び日曜日は毎週、それ以外の日でも必要に応じてS市の居宅で家族と共に過ごすという生活を送っていたこと及びS市に請求人の事務所を有していたこと等を考慮すると、請求人が生活の本拠として居住の用に供していたのは本件マンションではなく、S市の居宅とみるのが相当である。
 本件マンションに係る電気、ガス及び水道の使用を開始したのは平成元年11月以降であり、かつ、これらの使用量は極めて少ないことが認められる。特に、平成元年12月から同2年2月までの電気の使用量は零であること及び請求人の住民登録は平成2年3月4日からS市の居宅であること等からみると、その居住目的は、本件マンションを譲渡するまでの間の一時的なものであったとみるのが相当であり、本件特例の規定の適用をすることはできない。

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平成5年6月24日裁決

青色申告の承認の取消し及び更正手続の違法を理由として、更正及び重加算税等の賦課決定を全部取り消した事例

裁決事例集 第45集 147頁

要旨

 請求人は、昭和57年には事業所得を生ずべき業務を廃止していると認められるから、昭和58年以後は、所得税法第151条第2項の規定により、青色申告の承認の効力は失われていることになるから、原処分庁が行った昭和60年分以後の青色申告の承認の取消しは、事実を誤認したものである。
 また、請求人は、昭和61年分の確定申告書とともに青色申告承認申請書を提出したものと推認され、昭和62年分以後は青色申告者であると認められる。したがって、原処分庁が行った昭和62年分から平成元年分までの更正通知書には、更正の理由が付記されていないので、各年分の更正は違法な処分である。

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平成5年6月23日裁決

夫婦共有の居住用財産を一体として譲渡して、譲渡益をあん分し、夫婦それぞれの特別控除の限度額の合計額を控除するような恣意的な計算を行うことは許されないとした事例

裁決事例集 第45集 312頁

要旨

 請求人は、共有の居住用財産に係る譲渡益のあん分方法について法律の規定はないから、夫婦が共有する場合には各人の特別控除額(3,000万円)の全額を適用できるように所得金額を算定すべきであると主張するが、かかる主張は請求人独自の見解であり、また、その算定方法に合理性があるとは認められない。
 そして、本件の場合、譲渡契約書の特約事項において、請求人らが建物を解体した上で更地にして引き渡すことが条件とされていることから、売買代金の総額を土地の譲渡対価とみるのが相当である。
 したがって、請求人に係る譲渡収入金額は、譲渡土地の総面積のうち請求人が譲渡した土地の面積の占める割合を譲渡価額の総額に乗じて計算するのが相当である。また、取得費については、本件土地建物の取得時の価額を算定するに足りる証拠もないから、固定資産税評価額を基に算定したことが不合理とはいえない。
 さらに、解体した建物に係る未償却残高は、資産の取壊しによる損失とするのが相当であるから、譲渡費用に算入するのが相当である。

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平成5年6月18日裁決

租税特別措置法第37条の11第1項に規定する上場株式等の譲渡による譲渡利益金額は個々の取引に係る譲渡利益金額であり、その支払がされる際に所得税を源泉徴収されることにより課税が終了し、確定申告をすることはできないとした事例

裁決事例集 第45集 132頁

要旨

 請求人は、租税特別措置法第37条の11第1項の規定(本件特例)の適用を受けて課税された所得税は、所得税法第120条第1項第5号に掲げる源泉所得税に該当するため、確定申告において、同項第3号に掲げる所得税の額から控除することができ、上場株式等の譲渡による譲渡利益金額は年間を通じての損益の通算もできる旨主張するが、本件特例に関しては、請求人が主張するような精算のための申告手続等についての別段の規定が存しないし、本件特例は暦年の所得金額いかんについてはこれを重要視することなく、源泉徴収のみをもって課税関係の終了を意図したものとみるのが相当であり、本件特例に規定する譲渡利益金額は個々の取引に係る譲渡利益金額と解すべきであって、これを年間を通じての譲渡利益金額等と解する余地はなく、その支払がされる際に所得税を源泉徴収されることにより課税が終了し、確定申告をすることはできないと解されるから、請求人の主張は採用できない。

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平成5年6月18日裁決

重加算税の賦課の要件を充足するとしても、過少申告加算税の争いにおいて重加算税相当額を認定することは許されないとした事例

裁決事例集 第45集 18頁

要旨

 原処分庁は本件賞与が架空の賞与であり、国税通則法第68条第1項に規定する重加課税の課税要件を充足することは明らかであるから、当該規定に基づいて算定される重加算税に相当する額までの範囲内でされた過少申告加算税の賦課決定は正当である旨主張するが、仮装又は隠ぺいに係る事実認定に基づき別途重加算税の賦課決定を行うのはともかく、過少申告加算税の賦課決定の適否が争われている場合において、重加算税の賦課要件の存在することを理由に過少申告加算税に代えて重加算税の額を認定することは許されない。

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平成5年6月17日裁決

原処分庁の認定した土地の譲渡価額は過大であるとした事例

裁決事例集 第45集 189頁

要旨

 原処分庁は、国土利用計画法に係る土地売買等の届出の経緯、譲受人の取引銀行に対する融資申込みの状況、請求人の従業員の説明、譲渡代金及び建物請負代金の決済状況により、本件土地の譲渡価額は、472,226,000円(坪当たり700,000円)であると認定したが、譲受人の代表者の答述及び帳簿書類の記載事実等に照らし、本件土地の譲渡価額は、請求人の主張のとおり、不動産売買契約書に記載された404,766,000円(坪当たり600,000円)であると認めるのが相当である。

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平成5年6月16日裁決

特定退職金共済制度の導入に伴う過去勤務債務分を特別賞与として損金に算入し、従業員の代表者名義の預金を設定した行為が所得金額の隠ぺい又は仮装に当たらないとした事例

裁決事例集 第45集 53頁

要旨

 期末に一部の従業員に対し特別賞与として損金に算入した金額は、請求人が特定退職金共済制度に加入したことにより、退職金支給時に勤務年数の長い従業員が不利になるという問題が生じたので、一時金として支給することとし、それを一部の従業員名義の預金としていたものであるが、[1]算定基準が従業員の入社等の経緯におおむね見合ったものと認められること、[2]一般従業員にもおおむね周知されていたことが推認できること、[3]預金を他の用途に支出した事実がないことから、本件預金が法人税の課税を免れるために設定されたと認定するまでの証拠はないといわざるを得ない。
 したがって、請求人が所得金額の計算の基礎となるべき事実を隠ぺい又は仮装したとは認められない。

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平成5年5月26日裁決

滞納処分があったことを知った日は原処分庁の主張する日より後であるから異議申立期間を徒過していないとした事例

裁決事例集 第45集 65頁

要旨

 原処分庁は、滞納処分があったことを請求人が知った日は、納税者が請求人に対し納税資金の金策を依頼した日であると主張するが、金策の依頼をした事実は認められるものの、この事実をもって滞納処分を知らしめたことにはならない。
 そうすると、原処分庁の担当職員が請求人と面接し不服申立ての教示をした事実からみて、その面接日の2、3日前に納税者からの連絡により滞納処分があったことを知ったとする請求人の答述を採用するのが相当であるから、その日から2月以内になされた異議申立ては期間を徒過していない。

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平成5年5月24日裁決

信託契約中の土地・建物であっても現に事業の用に供されていないものについては、小規模宅地等に該当せず、また、貸家建付地及び貸家に当たらないとした事例

裁決事例集 第45集 336頁

要旨

 請求人は、本件のように相続開始の時において既に信託契約により土地及び建物の管理運用が受託者に委ねられている場合には、現に事業の用に供されていなくとも、これは委託者の責めに帰さないことであるから、小規模宅地等の特例を適用しないのは課税の公平を欠くと主張するが、単に信託契約が締結されていることをもって、信託受益権の目的となっている信託財産に属する土地等の取扱いを、所有者が自ら財産の管理及び運用を行う場合の取扱いと異にすべき理由はなく、本件建物1・2階部分については相続開始の直前において被相続人の事業又は居住の用に供されていない以上、当該特例の適用はない。
 なお、本件建物1・2階部分は事業の用に供されていないから、この部分は自用家屋として、また、この床面積に対応する宅地については自用地として、それぞれ評価すべきである。

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平成5年5月21日裁決

譲渡物件は居宅新築のための仮住まいと認められ、譲渡所得について租税特別措置法第35条の規定による特別控除はできず、また、居住期間を偽った住民票の添付は重加算税の対象になるとした事例

裁決事例集 第45集 295頁

要旨

  1.  請求人は、本件資産の譲渡所得の計算に当たり、本件資産は居住の用に供していたものであり、仮住まい、あるいは特例の適用を受けるためのみの目的で入居したものではないから、租税特別措置法第35条の規定を適用すべきであると主張する。
     しかしながら、本件資産は、居宅を新築する資金に充てるため、それまで貸家にしていたものを売ることとしたが、当該譲渡に係る譲渡所得について租税特別措置法第35条の規定の適用を受けんがため、住民票上、居住期間を仮装したものであり、電気の使用量等から居宅が完成するまでの仮住まいであったと認められる。したがって、本件資産は本件特例に規定する居住用財産に該当しないことは明らかであり、居住用財産の売却に係る特別控除の適用はできない。
  2.  本件資産の賃貸期間を偽って確定申告をするとともに、本件資産について、虚偽の居住の為の補修工事をしたこと等の申立てをし、また、実際の居住期間とは異なる住民登録をした住民票を確定申告書に添付し本件特例を適用したことは、通則法第68条第1項の規定に該当し、重加算税の賦課決定は適法である。
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平成5年5月21日裁決

贈与財産は仮住まいの土地家屋と認められ、配偶者控除の適用はできず、また、実際の居住とは異なる住民登録をして、配偶者控除の適用要件を満たしているように仮装した行為は重加算税の適用対象になるとした事例

裁決事例集 第45集 267頁

要旨

 請求人は、居宅新築資金に当てるため売却することとした貸家について、主たる居住用財産に見せかけ、夫より持分の贈与を受けて贈与税の配偶者控除の適用を受けるとともに、譲渡所得については、夫と共に居住用財産の売却の特別控除の適用を受けようとしたものであるが、本件資産は、電気の使用量等からみて、居宅完成までの仮住まいであったことは明らかであり、特例の受けられる居住用財産ではない。
 請求人は、実際の居住とは異なる住民登録をし、本件資産に1年以上居住していたように仮装するとともに贈与を受けた翌年の3月15日まで居住したようにし、当該住民票を添付して贈与税の配偶者控除を適用して申告をしたが、この行為は国税通則法第68条第1項の重加算税の適用対象になる。

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平成5年4月30日裁決

土地の譲渡に当たり、架空の契約書及び架空の土地付建物の販売代理契約書を作成することにより、譲渡価額を過少に申告していたとした事例

裁決事例集 第45集 177頁

要旨

 請求人は、本件土地を譲渡するに当たりa契約書、b契約書及び土地付建物の販売代理契約書を作成しているが、a契約書及び土地付建物の販売代理契約書は請求人の依頼により作成された架空の契約書と認められ、本件土地の譲渡がb契約書により行われたにもかかわらず、架空の契約書を作成することにより、本件土地の譲渡価額の一部を販売代理報酬のごとく装い収益に計上し、本件土地の譲渡にかかる収益の額を過少に計上したことが認められる。

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平成5年4月28日裁決

請求人が、支給された賞与から支払った寄付金である旨主張する金額は、勤務先法人がその関連法人に寄付すべき金額を請求人の賞与に上乗せしたものであり、請求人の寄付金控除は認められないとした事例

裁決事例集 第45集 122頁

要旨

 請求人は、請求人が勤務先法人より支給された賞与から勤務先法人の関連法人に寄付したものであるから、寄付金控除を認めるべきであると主張するが、次の事実から請求人の主張する寄付金は勤務先法人が直接寄付したものと認められる。

  1.  勤務先法人の賞与の明細書の交付状況をみると、支給明細書が2通あり寄付金相当額を含めた明細書は、勤務先法人の税務調査時に交付している。
     したがって、退職した従業員は、寄付金相当額を含めた明細書の交付は受けていないこと。
  2.  寄付金の額は、勤務先法人において基本賃金を基準にして算定しており、請求人は寄付申込書を白紙で勤務先法人に提出している。また、寄付に応じなかった従業員はその計算がなされていないこと。
  3.  勤務先法人は、請求人が寄付申込書を提出する前に、寄付金相当額を預り金として経理していること。

 したがって、請求人の賞与は、寄付金相当額を含めない金額となり、所得税法第78条に規定する寄付金控除はないものとされた本件更正は適法である。

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平成5年4月28日裁決

請求人が従業員の賞与に含めて支給した金額は、請求人が関連法人に寄付すべき金額を賞与に上乗せする形で仮装経理したものであるとした事例

裁決事例集 第45集 227頁

要旨

 請求人は、関連法人から要請があった寄付金につき、従業員が、支給された賞与のうちから寄付したものである旨主張するが、次の事実から請求人の関連法人に対する寄付金を本件賞与に仮装したものである。

  1.  支給明細書が2通あり寄付金相当額を含めた明細書は、原処分調査時に交付している。したがって、退職した従業員は、寄付金相当額を含めた明細書の交付を受けていないこと。
  2.  寄付金の額は、基本賃金を基準にして算定しており、従業員は寄付申込書を白紙で請求人に提出している。また、寄付に応じなかった従業員はその計算がなされていないこと。
  3.  請求人は、従業員が寄付申込書を提出する前に、寄付金相当額を預り金として経理していること。

 したがって、法人の寄付金については損金算入限度額が定められていることから、請求人は、関連法人に対する寄付を従業員の名を借りて行うことにより、請求人の名で寄付した場合における法人税の負担の軽減を図ったものと認められる。

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平成5年4月19日裁決

株主が一堂に会して株主総会が開催されなかったとしても、請求人のように役員が90パーセント以上の株式を有している同族会社において、当該役員により作成された議事録は、実質的に株主総会が開催され、決議が行われた上で作成されたものとみるべきであり、過大な役員報酬の判定はこの議事録に基づいて行うのが相当であるとした事例

裁決事例集 第45集 213頁

要旨

 請求人は当初、株主総会の議事録であるとして甲議事録を提示し、その後に至って乙議事録を正規のものであるとして提示した。さらに請求人は、実際には株主総会は開催されておらず、株主総会の決議も存在しないので、役員報酬の額が相当な金額であるか否かは株主総会の議事録によるべきではなく、当該役員の職務内容からみて判断すべきであると主張した。しかし、本件においては、請求人の株主が一堂に会して株主総会が開催され決議が行われたと判断することはできないとしても、[1]請求人は、議事録の原案の作成を代理人に依頼していること、[2]代理人は、原案を作成するに当たって代表者に対し、あらかじめ「各事業年度の計算書類の承認は行われたか、役員報酬の額が前事業年度に比べて変更されたか否か、変更後の金額はいくらか」の点について確認していること、[3]原案を請求人の代表者は代理人から受け取り、代表者は原案に押印した後、他の役員にもこれを回付し、同人らも代表者と同様に押印し、議事録を作成していること、[4]役員の有する株式数の合計は、発行済株式総数の90パーセントを超えていること等からみると、実質的に株主総会が開催され、決議に基づいて議事録が作成されたとみるのが相当である。
 そして、株主総会の決議に基づいて作成された議事録は、甲議事録であると認められ、原処分庁が役員報酬が過大かどうかの判断を甲議事録に基づき行ったことは相当である。

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平成5年4月16日裁決

居住の用に供していない譲渡物件の所在地に住民登録をしていた者が、納税相談時に担当職員に虚偽の申立てをする等し、申告書を作成させ提出したことは、隠ぺい又は仮装の行為に該当するとした事例

裁決事例集 第45集 24頁

要旨

 請求人は、購入直後の約1年間を除いて譲渡した本件家屋を居住の用に供していなかったにもかかわらず本件家屋の所在地に住民登録をしていたが、納税相談時に相談担当職員に対して、本件家屋の利用状況について、全所有期間を通じてその4分の3相当部分を居住の用に供していた旨の虚偽の申立てをして関係書類に虚偽の事実を記載させ、かつ、これを基礎として計算した申告書を作成させた上でこれを提出しており、このような請求人の行為は、隠ぺい又は仮装の行為に該当する。

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平成5年4月14日裁決

主たる債務者が会社であるか、会社の代表者であるかが借用書上定かでない借入れについて、債権者が弟達で、借入れに事情があることや会社の経理等の念査から、本件借入れの債務者は会社で、会社の代表者がこれを保証したものと認定し、所得税法第64条第2項の適用を認めた事例

裁決事例集 第45集 110頁

要旨

 借入れは会社の資金の確保のためであること、仮領収書は会社から債権者である弟達に発行されていること、借入金に係る利息も会社から債権者に支払われていること、同一債務に係る借用書が4通あるがいずれが事実のものか、あるいはいずれも虚偽のものか判断し難いことからすると、借用書が会社の代表者である被相続人の名義で発行されていることを根拠に主たる債務者は被相続人であるとする原処分庁の主張は採用できず、そうすると、主たる債務者は実質的に会社とみるのが相当である。
 債務の保証について、債権者から、債権者と被相続人との間で「U町の土地」を担保とする保証契約をした旨の答述があり、これは、4通の借用証のうちの2通にU町の土地を担保にする旨の記載があることと符合し、当事者の真意が認められる。このことから、債権者と被相続人の間には本件債務に関して被相続人が保証する旨の合意が成立していたと認めるのが相当である。

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平成5年3月31日裁決

土地区画整理に伴う保留地を取得し、これを譲渡した場合は、事業施行者から取得した権利の譲渡であり、当該譲渡による所得は分離短期譲渡所得に当たるとした事例

裁決事例集 第45集 87頁

要旨

 請求人は、土地区画整理事業地内の本件保留地に係る譲渡は請求人が従来から有していた所有権の譲渡であり、事業施行者から新たに取得した権利の譲渡ではないから、分離長期譲渡所得に該当する旨主張するが、請求人は本件保留地売買契約により昭和63年8月26日に事業施行者から取得した本件保留地に係る権利を昭和63年10月6日に譲渡したものであり、これは、租税特別措置法第32条第3項に規定する所有期間が5年以下であるものの譲渡に該当するから、本件保留地の譲渡による所得は、分離短期譲渡所得に該当する。

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平成5年3月24日裁決

建造引当権に関する国税庁長官通達は、法令にない取扱いを新たに示したものとすることはできず、法令の不知、誤解は通則法第65条第4項の「正当な理由」があるとは認められず、調査担当者の具体的な指摘前に修正申告をしたとしても同法第65条第5項に該当しないとした事例

裁決事例集 第45集 9頁

要旨

 請求人は建造引当権に関する国税庁長官通達は法令に当たらず、請求人において不知のものであったから過少申告をしたことにつき通則法第65条第4項の「正当な理由」がある旨主張するが、同通達は措置法第65条の7第1項に掲げる表の第16号又は17号にいう「船舶」に関して、建造引当権が船舶に当たらないとの解釈を示したもの(解釈通達)とみるのが相当であり、国税庁において法令にない取扱いを新たに示したものと見ることはできないし、同通達に従った税務処理は納税者が税法の規定に従って当然になすべき処理と一致している。また、通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」とは、災害その他納税者の責めに帰することができない真にやむを得ない事由をいうものであり、納税者の法令の不知や誤解はこれに当たらないものと解されるから、本件においては、上記「正当な理由」があるとはいえない。
 さらに、請求人は調査担当者の具体的な指摘前に自発的に修正申告をしたから通則法第65条第5項に該当する旨主張するが、同項にいう「調査」とは所得金額の計算の基礎となった事実や法令の解釈適用に係る誤りの個別具体的な指摘を意味するものでなく、これらの有無を確認する目的でする質問、検査等のすべてを意味するもの、すなわち調査全般を指すものであり、本件においては、調査担当者が請求人の関与税理士に請求人の法人税の調査を行う旨事前通知し、請求人の本店において請求人の帳簿の検査等を行った事実があるから上記「調査」があったことになる。また、本件においては上記帳簿の検査のみならず、建造引当権の処理についての問答がなされている事実及び請求人が建造引当権に係る正当な税務処理を承知していた事実が認められるから、請求人は「更正があるべきことを予知して」いたと推認でき、通則法第65条第5項の規定は適用できない。

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平成5年3月15日裁決

原処分庁が差し押さえた滞納会社名義の普通預金は、滞納会社から任意整理の委任を受けた請求人に帰属する債権であるとの主張を退け、滞納会社に帰属するとした原処分に違法はないとした事例

裁決事例集 第45集 285頁

要旨

 請求人は、原処分庁が差し押さえた普通預金は、滞納法人から任意整理の委任を受けた請求人がその業務遂行上の財産として管理しているものであるから請求人に帰属する債権であること、また、仮に、それが認められない場合においても、差押え以前に滞納法人から譲り受けたものであるから請求人に帰属する債権である旨主張する。しかし、業務遂行上の財産として管理している請求人の行為は、いずれも請求人が委任された範囲内の行為であるから、請求人に帰属するとは認められない。また、本件普通預金の譲渡契約により滞納法人の債務者に対する通知又は債務者の承諾がなされたとは認められず、また、譲渡契約後においても、請求人は、譲渡されたとする財産を法人の財産として取り扱っている事実が認められるから、民法第467条《指名債権譲渡の対抗要件》の規定により、請求人は、当該譲渡契約をもって差押債権者たる原処分庁に対抗することはできない。

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平成5年3月15日裁決

日経平均株価指数オプション取引に係るオプション料等は当該権利の取得価額を構成するものであるとした事例

裁決事例集 第45集 171頁

要旨

 日経平均株価指数オプションは、日経平均株価指数という商品を一定の条件で買い付け又は売り付ける権利であり、その流通性があるところ、当該オプション取引に係るオプション料及び手数料は、当該オプションを取得するための対価又は一種の無形資産たる権利の取得価額を構成するものとして資産に計上することが相当であるから、当該取引の契約日に損金とすることはできない。

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平成5年3月3日裁決

仮に、本件現物出資に係る錯誤が民法第95条にいう錯誤に当たるとしても、本件現物出資の無効の主張は、訴えをもって行うべきであって、本件審査請求において、直接このような主張をすることは許されないとした事例

裁決事例集 第45集 75頁

要旨

 請求人は、本件現物出資は錯誤による無効なものであり、そうでないとしても、現物出資を撤回して本件現物出資相当額の金銭出資を行っているから、譲渡所得は生じなかったとみるべきであると主張するが、仮に、本件錯誤が民法第95条にいう錯誤に当たるとしても、本件現物出資の無効の主張は、有限会社法の規定に基づく訴えをもって行うべきであって、審査請求において直接このような主張をすることは許されないというべきであり、また、本件現物出資の撤回と解したとしても、相当期間有効に存続し、かつ遡及的に消滅したとする事由のない本件現物出資について、所得税法第33条第1項に規定する「資産の譲渡」に当たるとするのは当然のことである。

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平成5年2月24日裁決

債権償却特別勘定の設定に関する税務署長の認定が相当期間なされなかったとしても過少申告をしたことにつき正当な理由があるとは認められないとした事例

裁決事例集 第45集 1頁

要旨

 請求人は債権償特別却勘定の設定に関する税務署長の認定が相当期間なされなかったことから、原処分庁の事務処理の怠慢を理由に、過少申告加算税の賦課決定が不当である旨主張するが、更正により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が更正前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由があるとは認められない。

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平成5年1月29日裁決

販売業者の委託により商品の販売契約等の勧誘及び委託販売員の指導業務等を行うマネージャーは外交員に該当するとした事例

裁決事例集 第45集 251頁

要旨

 請求人は、マネージャーは請求人の商品の外交販売に従事せず、その者自身が雇用する委託販売に請求人の商品を外交販売させ、その取扱数量又は取扱金額に応じて販売手数料を受領する者であり、請求人の下請業者又は特約店の事業主であると主張するが、マネージャーは、請求人との委託契約により、[1]請求人の指定する商品の割賦販売契約等の勧誘及び委託販売員の指導等の業務の委託を受け、[2]電話使用料等の経費相当額を負担し、[3]継続的に請求人と顧客との商品の売買契約を媒介する役務の提供を行っているもので、[4]請求人は、その商品の販売高に応じてあらかじめ定められている手数料をマネージャーに支払っているものと認められるから、所得税法第204条第1項第4号に規定する外交員に該当し、請求人にはその源泉徴収義務がある。

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