裁決事例 裁決事例集 第89集

裁決事例 裁決事例集 第89集

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平成24年12月20日裁決

裁判上の和解により取り消された配当に係る源泉所得税について、申告等の手続により還付を求めることはできないとした事例

裁決事例集 第89集

要旨

 請求人は、裁判上の和解(本件和解)により取り消された配当(本件配当)について源泉徴収された所得税の額(本件源泉所得税)は、所得税法第181条《源泉徴収義務》の規定に基づいて適法に徴収・納税されたものであるから、適法に源泉徴収された年金について受給者が申告等の手続で精算することを認めた最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決(本件最高裁判決)を準用し、申告等の手続によって精算できる旨主張する。
 しかしながら、本件和解により本件配当が取り消された後は、本件配当はその支払の時点まで遡って無効となるのであるから、所得税法第181条の源泉徴収義務の適用対象とならず、本件源泉所得税は、同法第120条《確定所得申告》第1項第5号の「源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額」には該当しない。また、本件最高裁判決は、生命保険契約等に基づく年金に係る源泉徴収義務について判断したものであり、源泉徴収義務についての法令の根拠がなくなった源泉所得税についてまでも申告等の手続においてその精算を認めたものではない。

参照条文等

所得税法第120条第1項第5号第181条第1項第207条

参考判決・裁決

最高裁平成4年2月18日第三小法廷判決(民集46巻2号77頁) 最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決(民集64巻5号1277頁)

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平成24年12月14日裁決

更正処分をする場合の相続税法第17条のあん分割合は、原則として端数調整することなく各共同相続人の相続税額を計算するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、相続税の更正処分をする場合に、相続税法第17条のあん分割合について、共同相続人が当初申告において選択した端数調整方法を用いることができるのは、当該更正処分の前後において各共同相続人全員の相続税の課税価格に増減がない場合等、極めて限定的な場合であり、それ以外の場合には、端数調整することなく相続税額を計算するのが相当としたものである。

要旨

 原処分庁は、相続税の本件各更正処分において、相続税法第17条《各相続人等の相続税額》のあん分割合について、請求人らが当初申告において選択した端数調整方法により相続税額を計算している。
 しかしながら、相続税法基本通達17-1《あん分割合》は、更正処分をする場合において、相続又は遺贈により財産を取得した者(財産取得者)全員が選択した端数調整方法によって相続税額を計算することができる旨定めているものの、この定めは任意とするものであり、これは、各財産取得者が当初申告した取得財産及びその評価額につき、更正においては異なる判断がされることが多く、各財産取得者が当初申告において選択した端数調整方法を用いると、各財産取得者全員又は一部の者の意に反する結果となるおそれがあるからであると解される。したがって、更正する場合において、各財産取得者が当初申告において選択した端数調整方法を用いることができるのは、例えば、更正の前後において各財産取得者全員の相続税の課税価格に増減がない場合等、極めて限定的に解するのが相当である。本件においては、請求人らの各課税価格は、本件各更正処分の前後おいて異なることから、本件各更正処分におけるあん分割合は、請求人らが選択した端数調整方法に依拠せずに、端数調整することなく、相続税額を計算するのが相当である。

参照条文等

相続税法第17条 相続税法基本通達17-1

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平成24年12月13日裁決

相続人の一人が遺産分割により取得し同族会社に一括貸ししていた単独所有地及び共有地の評価単位は、全体を一画地として評価するのが相当とした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、相続人の一人が遺産分割により取得した単独所有地及び共有地(いずれも立体駐車場の敷地)について、当該共有地が、遺産分割の前後を通じて当該単独所有地と同一の用途に供される蓋然性が高いと認められる場合には、共有地であることによる使用等の制約は実質的には認められないから、当該単独所有地と区分して評価する必要はないとしたものである。

要旨

 ①原処分庁は、請求人らが相続により取得した一団の雑種地(本件各雑種地)は、その一部について、共有者の有無及び共有持分の割合が異なるため、5区画に区分した評価単位により評価すべきとし、開発許可を要する面積の基準を上回る1区画のみを財産評価基本通達24-4《広大地の評価》に定める広大地として評価すべきである旨主張し、他方②請求人らは、本件各雑種地については、一部の雑種地が共有となっているものの、全体が同族法人に賃貸され、当該法人が立体駐車場の敷地として利用していた土地であることから、全体を一つの評価単位により評価すべきであり、広大地として評価すべきである旨主張する。
 しかしながら、①本件各雑種地は、堅固な立体駐車場の敷地として一括で貸し付けられ、一括して貸付けの用に供されていたことなどから、当該相続に係る遺産分割後も同一の用途に供される蓋然性が高いと認められる状況にあり、一部が共有地であることによる使用、収益及び処分の制約が実質的にないものと認められ、その利用状況、権利関係等から、全体を一つの評価単位により評価すべきであるが、②本件各雑種地の属する幹線道路沿いの地域における標準的使用は、商業施設等の敷地であり、本件各雑種地を当該地域の標準的使用に係る敷地の地積に区分したとしても、開発行為を行うに際して公共公益的施設用地の負担が必要であるとは認められないことから、本件各雑種地は、広大地には該当しないものとして評価すべきである。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達77-2

参考判決・裁決

静岡地裁平成19年7月12日判決(税資257号順号10752) 平成22年7月22日裁決(裁決事例集No.80)

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平成24年12月6日裁決

債権の差押処分について、その財産の帰属を誤ったとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、会社分割(新設分割)の対象とされた敷金返還請求権の帰属を、新設会社である請求人にあるとしたものである。

要旨

 原処分庁は、会社分割(新設分割)の対象とされた敷金返還請求権(本件債権)には、賃貸借契約において譲渡禁止の特約が定められている上、第三債務者は本件債権の承継について承諾していないことからすれば、本件債権は滞納法人に帰属する財産である旨主張する。
 しかしながら、譲渡禁止特約のある指名債権を譲受人が特約の存在を知って譲り受けた場合でも、債務者がその譲渡について承諾を与えたときは、当該債権譲渡は譲渡の時に遡って有効となると解されるところ、滞納法人は、第三債務者に対し本件債権を請求人に承継した旨の通知を行い、第三債務者は原処分庁の行った債権差押え(本件差押処分)より前に、本件債権が滞納法人から請求人に承継されたことについて書面による承諾をしたものと認めるのが相当である。したがって、本件差押処分は本件債権の移転に劣後しているので、本件差押処分は請求人に帰属する財産に対してなされた違法な処分である。

参照条文等

国税徴収法第62条

参考判決・裁決

最高裁昭和52年3月17日第一小法廷判決(民集31巻2号308頁)

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平成24年12月5日裁決

住宅借入金等特別控除の対象となる「居住用家屋」とは、個人が当該家屋を2以上有する場合には、「その者が主としてその居住の用に供すると認められる一の家屋」をいうとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本件は、「居住用家屋」を複数有している場合には、①「主たる居住用家屋」をその取得の日から6月以内に居住の用に供し、かつ、②①の居住日以後その年の12月31日まで引き続き当該「主たる居住用家屋」を居住の用に供している場合にのみ、住宅借入金等特別控除の適用があるとした事例である。

要旨

 請求人は、住所地であるⅰ県所在の家屋(本件D家屋)のほかに、平成20年にa市所在の家屋(本件E家屋)を取得し、かつ、本件E家屋をその取得の日から6月以内に居住の用に供しているから、住所地をⅰ県からa市に異動した日の属する平成22年分の所得税について、本件E家屋を対象として住宅借入金等特別控除の適用を認めるべきである旨主張する。
 しかしながら、租税特別措置法第41条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第1項に規定する住宅借入金等特別控除の対象となる「居住用家屋」とは、租税特別措置法施行令第26条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第1項に規定する「個人がその居住の用に供する家屋」を指し、個人が当該家屋を2以上有する場合には、「その者が主としてその居住の用に供すると認められる一の家屋」(主たる居住用家屋)をいうものと解されるところ、請求人は、本件E家屋の取得後6月以内に居住の用に供したときまでの間に、同家屋の生活環境を整え、その後、定期的にa市へ赴いた際に、日常生活の拠点として同家屋を利用していたものの、毎月の大半の日を本件D家屋で起居していたのであるから、上記期間中、請求人は、各家屋相互間の比較において、本件D家屋を中心として日常生活を送っていたものであり、同家屋が請求人の主たる生活の拠点として利用されていた家屋、すなわち「主たる居住用家屋」であったと認められる。他方で、上記期間中、本件E家屋は、請求人の「主たる居住用家屋」ではなく、住宅借入金等特別控除の対象となる「居住用家屋」には当たらないから、請求人は、本件E家屋を対象として住宅借入金等特別控除の適用を受けることができない。

参照条文等

租税特別措置法(平成21年法律第13号による改正前のもの)第41条第1項 租税特別措置法施行令第26条第1項

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平成24年12月5日裁決

台帳価格に土地の現況が反映されておらず、当該台帳価格が登録免許税法第10条第1項に規定する価額(時価)を超えていることから、当該時価を公示価格を基に算定した事例

裁決事例集 第89集

要旨

 原処分庁は、請求人が取得した本件土地の登録免許税の課税標準たる価額について、登記を行った年度の固定資産課税台帳に登録された価額(台帳価格)となる旨主張する。
 しかしながら、登録免許税法第10条《不動産等の価額》第1項に規定する不動産の価額と同法附則第7条《不動産登記に係る不動産価額の特例》に規定する台帳価格の関係については、台帳価格が何らかの理由により不動産の時価を表していない場合には、他の方法により求めた不動産の価額(時価)を課税標準として採用することができると解するのが相当であるところ、本件土地は、登記を行った年度の台帳価格の基準日において無道路地であったと認められるのに対し、当該台帳価格は無道路地としての評価がなされていなかったと認められることから、当該台帳価格が時価を表していない場合も想定される。そこで、当審判所が土地価格比準表に準拠して公示価格を基に本件土地の時価を求めたところ、登記を行った年度の台帳価格を下回るものとなり、本件土地については他に時価を求める合理的な手法が見当たらないことからすれば、本件土地の登録免許税の課税標準たる価額は、当審判所が求めた価額とするのが相当である。

参照条文等

登録免許税法第10条、附則第7条

参考判決・裁決

平成24年1月24日裁決(裁決事例集No.86)

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平成24年12月4日裁決

請求人を代表取締役とする同族会社の収入として計上された不動産の賃貸料は請求人に帰属するとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、請求人を代表取締役とする同族会社の収入として計上された不動産の賃貸料について、当該不動産の真実の所有者及び賃貸借契約における真実の賃貸人はいずれも請求人であると認められるから、請求人に帰属するとしたものである。

要旨

 請求人は、賃貸物件である各建物(本件各建物)の登記名義人及び賃貸借契約(本件各賃貸借契約)の賃貸名義人は請求人となっているが、本件各建物は請求人から請求人を代表取締役とする同族会社(本件法人)に譲渡したものであり、本件各建物の実質的な所有者は本件法人であるから、本件各賃貸借契約に基づく賃貸料収入(本件賃貸料収入)は本件法人に帰属する旨主張する。
 しかしながら、本件各建物の所有権の登記名義人を本件法人とすることができない特段の事情はなく、本件各建物の真実の所有者は請求人であるとの推定を覆す合理的な根拠も見当たらない上、本件各建物の本件法人への譲渡もその取引としての実態が存在しない。また、本件各賃貸借契約の賃貸名義人を本件法人とせず、請求人として締結しており、本件各賃貸借契約の賃貸人を本件法人に変更できない特段の事情も見当たらないことから、本件各賃貸借契約の真実の賃貸人は請求人であると認められる。したがって、本件各建物の真実の所有者及び本件各賃貸借契約における真実の賃貸人は、いずれも請求人であると認められるから、本件賃貸料収入は請求人に帰属する。

参照条文等

所得税法第12条

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平成24年12月3日裁決

贈与を受けた債券に係る償還額のうち、当該債券(元本)に対する利息部分の額は、運用益に相当するものであり、非課税所得には該当しないとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、贈与を受けた債券(元利均等償還が行われる社債)の利子に係る所得は、年金受給権に関する相続税と所得税の二重課税についての最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決の射程等が及ばないと判断したものである。

要旨

 請求人は、父から贈与を受けた本件債券(元利均等償還が行われる社債)に係る第1回目の償還額(本件償還額)のうち、当該債券に係る償還予定表において利息相当額とされる部分(本件金員)について、本件債券に係る贈与税及び所得税の課税関係は、年金受給権に関する相続税と所得税の二重課税についての最高裁判所判決(平成22年7月6日第三小法廷判決・民集64巻5号1277頁。(本件最高裁判決))の射程に含まれるものであり、同判決の内容に沿った課税処理がなされるべきであるから、本件金員は、その一部が所得税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第9条《非課税所得》第1項第15号に規定する非課税所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件債券は、本件最高裁判決における年金受給権とは、ある期間定期的に金銭の給付を受けるという形態は類似するものの、①当該年金受給権は相続税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第24条《定期金に関する権利の評価》に規定する「定期金給付契約に関する権利」に該当するものであるのに対し、本件債券は「社債」に該当するものであり「定期金給付契約に関する権利」に該当しないものであること、②当該年金受給権は元本部分と運用益部分とが区分されていないものであるのに対し、本件債券の各償還額は元本部分と利息(運用益)部分とが約定において明確に区分されているものであることからすれば、その権利の性質・内容が明らかに異なるものというべきである。そうすると、本件債券及び本件償還額について、本件最高裁判決の解釈をそのまま当てはめて、本件最高裁判決の示した課税関係と同様の課税処理をするのは相当ではない。そして、本件債券は、第1回目の償還日から最終回の償還日まで各元本の償還額及び各利息額等があらかじめ元利均等償還となるように組成され、発行時に償還予定表によってそれらの各金額を明示した金融商品であるから、本件金員は、本件債券(元本)に対する利息であり、運用益に相当するものであるから、非課税所得に該当しない。

参照条文等

所得税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第9条第1項第15号 相続税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第24条 財産評価基本通達197-4

参考判決・裁決

最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決(民集64巻5号1277頁)

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平成24年11月29日裁決

区分所有者たる請求人の建物管理組合に対する管理費の支払は、当該管理組合の構成員たる地位に基づいて負担するものであるから、資産の譲渡等の対価には該当しないとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、区分所有者として請求人が支払ったと認められる管理費の額の算定については、当該管理費の額が建物の区画(部屋番号)に応じて計算されていることから、共有持分割合によらず、区分所有する部分に対応するものとして算定するのが合理的として、処分の一部を取り消したものである。

要旨

 請求人は、請求人が区分所有する建物(本件建物)の管理組合(本件管理組合)に対して負担すべき管理費(本件管理費)は、本件管理費の額が本件建物の店舗、事務所等の使用形態による受益に応じて算定されていること及び本件管理組合は本件建物の維持管理が業務(本件管理業務)であることから、本件管理業務という役務の提供の対価として支払ったものであり、消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第1項に規定する課税仕入れに該当する旨主張する。
 しかしながら、本件管理費の支払は、本件管理業務に要する費用を、請求人が本件管理組合の構成員たる地位に基づき負担するにすぎず、本件管理組合が本件管理業務を行う上において、請求人は、何らかの資産の譲渡等の反対給付として対価を支払っているものではないから、本件管理組合にとって本件管理費の収受は、資産の譲渡等の対価には該当せず、消費税法上はいわゆる不課税取引となり、請求人がこれを課税仕入れにすることはできない。

参照条文等

消費税法第2条第1項第12号

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平成24年11月29日裁決

請求人は売買契約の当事者ではないし、売買代金を享受した事実も認められないことから、譲渡所得が発生したとは認められないとした事例

裁決事例集 第89集

要旨

 原処分庁は、①請求人が平成17年にした本件不動産による代物弁済はねつ造された金銭消費貸借契約証書に基づく債権債務を前提とするものであり、②平成20年にされた本件不動産の売買契約(本件売買契約)の当事者は、形式的には請求人の長男が主催する法人(本件法人)となっているとしても、実質的には本件不動産の真実の所有者である請求人であるから、③本件売買契約に係る売買代金(本件売買代金)は、請求人に帰属するものであり、請求人には、本件売買代金を収入金額とする平成20年分の譲渡所得が発生した旨主張する。
 しかしながら、本件売買契約を締結するに至った経緯等によれば、実際買主と交渉を行っていたのは請求人の長男であり、請求人が本件売買契約に関与した事実を認めることはできないし、原処分庁の上記①の主張は、民法上他人物売買が有効とされていることを正解しないものなどであって、採用することはできない。また、本件法人における本件売買代金の使途などからすると、請求人が本件売買代金を享受したと認めることはできない。したがって、請求人は、本件売買契約において本件不動産を譲渡した実質的な当事者ではなく、また、本件売買契約において本件法人を単なる名義人として利用し、その収益を享受した事実も認められないから、請求人には平成20年分の譲渡所得が発生したとは認められない。

参照条文等

所得税法第12条第33条

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平成24年11月14日裁決

相続によって取得した株式の発行会社から交付を受けた残余財産分配金のうち、剰余金の配当とみなされる金銭は、非課税所得には該当しないとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、破産手続中であった株式会社の株式を相続により取得し、当該株式に係る分配見込額を時価として相続税の課税対象とされたものについて、その後、当該株式の発行会社から交付を受けた残余財産分配金のうち剰余金の配当とみなされる金銭は、所得税法第9条《非課税所得》第1項第16号の非課税所得には該当しないとしたものである。

要旨

 請求人らは、各みなし配当金(請求人らが相続によって取得した株式の発行会社から交付を受けた残余財産分配金のうち、剰余金の配当とみなされる金銭)は、所得税法第9条《非課税所得》第1項第16号の非課税所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、①上記規定にいう「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの」とは、相続を直接の原因として相続人の下で実現した所得に限られ、相続後に相続とは別の原因で相続人の下で実現した所得は該当しないと解するのが相当であるところ、本件において、各みなし配当金を取得したことによって請求人らに帰属した所得は、相続後3年以上の期間が経過してから、相続とは別の事由、すなわち、上記会社の清算手続において、債務を完済し、残余財産が最終的に確定したことによって、初めて請求人らの下で実現したものであり、また、相続の開始時には各みなし配当金の支払原因となる具体的な残余財産分配請求権は確定的に発生していなかったから、相続を直接の原因として実現があったものとできないことや、②上記各みなし配当金が「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの」に該当するためには、各みなし配当金の額に相当する経済的価値が、相続開始時における上記株式の価値に相当する経済的価値と同一のものと評価できることが必要となるところ、上記会社については、相続の開始後に収支及び資産の状況に種々の変動があり、当該変動後の最終的な清算価値を具現化した残余財産分配金の額に相当する経済的価値は、当該変動前の清算価値に基づいて評価された上記株式の価額に相当する経済的価値と同一と評価できないことからすれば、上記各みなし配当金が「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの」に該当すると認めることはできない。

参考判決・裁決

最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決(民集64巻5号1277頁)

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平成24年11月13日裁決

特定路線価の評定方法に不合理と認められる特段の事情がない限り特定路線価を正面路線価として評価するのが相当とした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、路線価の設定されてない道路のみに接する宅地を評価する場合において、当該道路に特定路線価が設定されているときは、当該特定路線価の評定方法に不合理と認められる特段の事情がない限り、当該道路と接続する路線に設定されている路線価を正面路線価として評価する方法よりも、当該特定路線価を正面路線価として評価する方法が合理的であることを初めて明らかにしたものである。

要旨

 請求人らは、相続により取得した各土地(本件各土地)は、路線価の設定されていない位置指定道路(本件位置指定道路)のみに接面しており、本件位置指定道路は、路線価の付された市道(本件市道)に接続しているところ、本件各土地の評価に当たっては、本件位置指定道路に設定された特定路線価(本件特定路線価)ではなく、本件市道に付された路線価を正面路線価とすべきである旨主張する。
 しかしながら、特定路線価を設定して評価する趣旨は、評価対象地が路線価の設定されていない道路のみに接している場合であっても、評価対象地の価額をその道路と状況が類似する付近の路線価の付された路線に接する宅地とのバランスを失することのないように評価しようとするものであって、このような趣旨からすると、特定路線価は、路線価の設定されていない道路に接続する路線及び当該道路の付近の路線に設定されている路線価を基にその道路の状況、評価しようとする宅地の所在する地区の別等を考慮して評定されるものであるから、その評定において不合理と認められる特段の事情がない限り、当該特定路線価に基づく評価方法は、路線価の設定されていない道路のみに接続する路線に設定された路線価を基に画地調整を行って評価する方法より合理的であると認められる。本件特定路線価の評定についてみると、不合理とみられる特段の事情は見当たらないから、本件各土地の価額は、本件特定路線価を正面路線価として評価するのが相当である。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達1414-3

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平成24年11月7日裁決

請求人らの母親の預金口座から出金された金員が請求人らの債務の返済に充てられているが、両当事者はその事実を知らなかったのであるから、請求人らが対価を支払わないで経済的利益を受けたとは認められないとした事例

裁決事例集 第89集

要旨

 原処分庁は、請求人らの借入金の返済(本件返済)について、請求人らの兄が原処分庁にした申述に基づき、請求人らの資金援助の求めに応じて同兄が母親の預金口座から出金(本件出金)し、本件出金による金員により上記返済がされたとの事実を認定し、当該事実に基づいて、請求人らが本件返済により母親から相続税法第9条に規定する「対価を支払わないで・・・利益を受けた」と認められる旨主張する。
 しかしながら、本件返済の経緯についての請求人らの兄の供述(原処分庁にした申述及び当審判所にした答述)は、曖昧であり、供述内容自体が客観的事実と矛盾し、あるいは客観的事実に基づいて通常人がとると考えられる行動に反する不合理なものであるから、これを信用することはできない。そして、本件においては、本件返済がされた当時、請求人らの母親が軽度の認知症の状態にあったと認められる上、当審判所の調査の結果によっても、他に請求人らが本件返済を認識し、事前事後に本件出金を承諾していたと認めるに足りる証拠も見当たらないから、結局、請求人らが本件返済により母親から実質的に贈与と同様の経済的利益を受けた事実を認めることはできない。したがって、本件においては、請求人らが本件返済により母親から「対価を支払わないで・・・利益を受けた」とは認められない。

参照条文等

相続税法第9条

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平成24年11月5日裁決

請求人の費用計上に取引先との通謀や水増しがなく、過大に計上していないとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、運搬費が過大な金額であることを請求人が認識していたと認めるべき客観証拠は存在しない上、請求人の取締役業務部長が取引先の担当者と通謀して運搬費を過大な金額としていたことを認定した根拠となる申述の全てが信用できず、裏付け証拠も一切存在しないから、当該申述に基づき、請求人が、運搬費が過大な金額であることを認識して計上したと認めることはできないとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の取締役業務部長が、取引先の担当者と通謀した上で、請求人の海上輸送等に係る各運搬費(本件各運搬費)を水増しして請求人に請求させ、その水増しした金額の一部を取引先担当者から返金させていた旨主張する。
 しかしながら、本件各運搬費が過大に計上されたものであるというためには、請求人が故意に過大な金額としたこと、また、過大な金額を支払うことについて通常の取引と認めるべき合理的な理由がないことが必要であるところ、請求人が本件各運搬費が過大な金額であることを認識していたと認めるべき客観証拠は存在しない上、請求人の取締役業務部長と取引先の担当者が通謀して、本件各運搬費を水増しして支払い、その水増しした金額の一部を返金させていた証拠はないから、請求人が本件各運搬費を過大に計上したとは認められない。

参照条文等

法人税法第22条第3項

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平成24年11月1日裁決

請求人名義の車両を代表者に対し贈与等をした事実はなく給与を支給したのと同様の経済的効果をもたらしたとは認められないとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、代表者の妻が個人的に使用している請求人名義の車両は、代表者の妻が無償で専属的に使用していると認められるから、当該車両の使用につき通常支払うべき使用料の額に相当する経済的な利益を享受していると認められるものの、当該車両を代表者に贈与したとまでは認められないとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の実質経営者(実質経営者)の妻が個人使用するために請求人名義で取得した車両(本件車両)について、請求人が実質経営者の指示により本件車両の取得費等を費用に計上していること、実質経営者の妻は請求人の役員又は従業員ではなく、実質経営者が請求人の100%株主であることからすれば、本件車両の取得費等は、実質経営者に対する役員給与に当たり、また、個人で使用する目的で取得した本件車両の取得費等を請求人の費用に計上したことは、法人税法第34条《役員給与の損金不算入》第3項に規定する隠ぺい又は仮装による役員給与に当たる旨主張する。
 しかしながら、請求人は、①本件車両の購入に関する注文の当事者であり、②信販会社を通じて本件車両の売買代金を支払い、③自動車車検証に使用者として記載されていることからすると、本件車両の所有者は請求人であると認めるのが相当であり、請求人から実質経営者に対して本件車両の贈与があった等、請求人が一定の行為をしたことにより実質的に実質経営者に対して給与を支給したのと同様の経済的効果をもたらしたとまでは認めることができず、仮装隠ぺいと認めるに足る証拠もない。ただし、実質経営者の妻は、実質経営者の権限を利用して、本件車両を専属的に利用していることが認められるから、実質経営者は、本件車両の使用につき通常支払うべき使用料の額に相当する経済的な利益を享受しているというべきであり、当該経済的な利益の額は、実質経営者に対する役員給与に当たる。

参照条文等

法人税法第34条

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平成24年10月29日裁決

滞納後に発生した猶予該当事実を、納税の猶予の猶予該当事実に当たるとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、滞納後に発生した請求人の猶予該当事実(請求人の母の入院加療に伴う支出)を、滞納国税を一時に納付することができなかった事実と認め、国税通則法第46条第2項第5号(第2号類似)に該当するとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人が請求人の母の入院加療に伴う支出を行う以前から税金を滞納しているのであるから、国税通則法第46条《納税の猶予の要件等》第2項第5号(第2号類似)の猶予該当事実に基づいて、滞納国税を一時に納付することができなくなったとは認められない旨主張する。
 しかしながら、納付困難税額がある一方で、猶予該当事実に基づく支出又は損失がある場合には、その支出又は損失の額が納付困難の原因となっているものとみるのが相当であるところ、請求人には納付困難税額と猶予該当事実(請求人と生計を一にしない母の病気)に基づく支出とが、それぞれ存在することから、請求人は猶予該当事実に基づき、滞納国税を一時に納付することができなかったと認められ、また、国税通則法第46条第2項に規定するその他の要件も充足していると認められるから、当該猶予該当事実と納付困難の原因との間の基因関係の不存在を理由とする原処分は違法というべきである。

参照条文等

国税通則法第46条第2項第5号

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平成24年10月24日裁決

外国法人に対して支払った航空機操縦士の派遣に係る報酬は所得税法第161条第2号に規定する人的役務の提供に係る対価に該当するとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、請求人が外国法人に支払った金員には、人的役務の提供に係る対価に該当しないものが含まれているとした一方、請求人が当該外国法人に代わって支払った住宅家賃等は人的役務の提供に係る対価に含めるべきであるとして、当該外国法人に対する国内源泉所得の対価の額を算定し直した結果、納付すべき税額が原処分の額を下回る月があるから、原処分はその一部を取り消すべきであるとしたものである。

要旨

 請求人は、外国法人から派遣を受けた航空機の操縦に従事する乗務員(派遣乗務員)は、派遣時において有する既存の免許及び経験だけでは請求人が運航する航空機の機長として操縦することができないから、所得税法施行令第282条《人的役務の提供を主たる内容とする事業の範囲》第3号に規定する「専門的知識又は特別の技能を有する者」(特別技能者等)には該当せず、また、仮に該当するとしても、当該外国法人は運航代行業を営んでいるものではないから、請求人が当該外国法人に支払った対価は所得税法第161条《国内源泉所得》第2号に規定する人的役務の提供に係る対価に該当しない旨主張する。
 しかしながら、派遣乗務員は、①派遣時においてICAO(国際民間航空機関)加盟国であり国際民間航空条約の締約国である外国の政府が授与した航空業務の技能に係る資格を有しており、我が国において航空業務に従事するために必要な知識又は技能を一定程度有している者として評価できること、②派遣乗務員の総飛行時間は、我が国における○○運送用操縦士の資格を取得する際に必要とされる飛行時間をはるかに上回るものであり、定期運送用操縦士として一定の経験を有していると認められることなどからすれば、派遣乗務員の派遣時における航空機の操縦に関する知識又は技能は、航空機の操縦の分野に関する一般的な知識又は技能のレベルを相当程度超える高度な知識又は技能であると認めるのが相当であるから、派遣乗務員は特別技能者等に該当するというべきである。また、航空機の乗務員を派遣する事業を行う当該外国法人は、特別技能者等の当該知識又は技能を活用して行う役務の提供を主たる内容とする事業を行う者に該当するといえることから、請求人が当該外国法人に支払った対価は、所得税法第161条第2号に規定する人的役務の提供に係る対価に該当する。

参照条文等

所得税法第161条第2号 所得税法施行令第282条第3号

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平成24年10月16日裁決

請求人が代表者に代わって送金した金員につき代表者に対してその返済を免除した事実は認められないとした事例

裁決事例集 第89集

要旨

 原処分庁は、請求人が代表者個人を貸主とする金銭消費貸借契約に基づく貸付けに係る送金を行ったことついて、①請求人は当該送金が代表者個人の貸金債権に係るものであることを認識していながら送金をしていること、②請求人と代表者との間で当該送金に係る金銭の返済に関する取決めが行われた事実は認められないことからすると、請求人は代表者に対して返済を求める意思を有さずに当該送金をしたものと認められることから、代表者に対して経済的な利益を供与したことになる旨主張する。
 しかしながら、請求人は当該送金した額について仮払金として経理していることからすると、請求人が代表者に代わって立て替えて送金をしたものと認めるのが相当であり、また、当該仮払金と経理した金額について貸倒処理を行うまでの間、請求人の帳簿上、依然として仮払金として計上していたことからすると、請求人において、代表者に対し当該送金の額の返済を免除するなどの明示的又は黙示的な行為を行った事実は認められないから、請求人が当該仮払金の額について、代表者に対して経済的な利益を供与したということはできない。

参照条文等

国税通則法第68条 所得税法第36条第183条 法人税法第127条第130条

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平成24年10月12日裁決

固定資産課税台帳に登録された価格のない不動産について類似する不動産が存在しない場合における登録免許税の課税標準の額は、固定資産評価基準を基礎として算定するのが相当とした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、固定資産課税台帳に登録された価格のない不動産について類似する不動産が存在しない場合又は類似する不動産が把握できない場合における登録免許税の課税標準の額のたる不動産の価額(時価)は、登録免許税における不動産の課税標準の額が、固定資産課税台帳に登録された価格を基礎としていることなどから、固定資産課税標準によってその価額を算定し、その算定した価額が時価を上回らない限り、その価額とするのが相当であると判断したものである。

要旨

 請求人は、固定資産課税台帳に登録された価格のない本件土地の登記に係る登録免許税の課税標準たる本件土地の価額について、本件土地の周辺に本件土地の時価と同水準の土地が見当たらない場合には、本件土地の売払いに際して売払人が依頼した民間精通者による評価額(本件精通者評価額)とすべきである旨主張する。
 しかしながら、登録免許税の課税標準の額たる土地の価額は、当該土地と類似する土地が存在しない場合にあっては、固定資産評価基準によって算定した価額が時価を上回らない限りにおいて、その価額は相当と認められるところ、本件の場合、本件土地と類似する土地は存在せず、また、固定資産評価基準によって算定した本件土地の価額(本件固定資産評価額)は、仮に本件精通者評価額が時価として相当と認められるとしても、本件精通者評価額を下回るものであること及び他に本件固定資産評価額が時価を上回ることを認めるに足る証拠もないことから、本件登記に係る登録免許税の課税標準の額たる本件土地の価額として相当なものと認められる。したがって、本件登記に係る登録免許税の課税標準たる本件土地の価額は、本件固定資産評価額とするのが相当である。

参照条文等

登録免許税法第10条、附則第7条 登録免許税法施行令附則第3項

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平成24年10月10日裁決

不整形地の評価をするに当たって原処分庁が採用した想定方法による整形地は財産評価基本通達20に定める想定整形地に当たらないとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、財産評価基本通達20の解釈等及び屈折路に内接する不整形地に係る想定整形地のとり方を、それぞれ初めて明らかにしたものである。

要旨

 原処分庁は、屈折路に内接する本件土地について、財産評価基本通達20《不整形地の評価》(本件通達)に定める評価をするに当たって、整形地の想定方法として、本件土地の全域を含むく形のうち最も面積の小さいものとすべきであり、原処分庁の採用した想定方法はこれに該当するものである旨主張する。
 本件通達の趣旨は、評価対象地が不整形の場合はその画地全部を宅地として十分に機能させることができず、整形地に比して利用価値が減少することを考慮して、利用価値が減少していると認められる範囲で補正するというものであり、この趣旨からすれば、整形地の想定方法が複数ある場合には、その想定方法自体が不合理なものでない限り、その想定されたもののうち、最も小さい面積のものを想定整形地として評価するのが合理的である。
 しかしながら、本件土地についてみると、本件通達に定める想定整形地とは、評価対象地の画地全域を囲む正面路線に面する最小面積のく形となっているものをいうことからすると、請求人らの主張する想定整形地のとり方に不合理な点は認められないが、原処分庁の主張する想定整形地は、正面路線に面したく形ではないことから、本件通達に定める想定整形地そのものには当たらない。したがって、本件土地の整形地の想定方法は、請求人らの主張する方法によるべきである。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達20

参考判決・裁決

仙台高裁平成19年1月26日判決(税資257号順号10617)

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平成24年10月9日裁決

「相当の地代を収受している貸宅地の評価について」通達により、被相続人から土地を借り受けている同族法人の株式の評価上、純資産価額に計上される当該土地の価額の20%に相当する金額は、土地保有特定会社を判定する際の「土地等の価額」に含まれるとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、「相当の地代を収受している貸宅地の評価について」通達に定める自用地としての価額の20%相当額が、土地保有特定会社の判定の際の「土地等の価額」に含まれることを初めて判断したものである。

要旨

 請求人らは、借地権が設定されている土地について、「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合には、「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて」通達(相当地代通達)の5《「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の借地権の価額》により、当該土地に係る借地権の価額は零として取り扱われることとなるから、同通達の8《「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の貸宅地の評価》及び「相当の地代を収受している貸宅地の評価について」通達により、当該土地を借り受けている同族法人の株式の評価上、当該土地の価額の20%に相当する金額は、同法人の純資産価額に含められるとしても、それは借地権の価額ではなく、財産評価基本通達189《特定の評価会社の株式》の(3)のイに定める土地保有割合を算定する際の「土地等の価額」には該当しない旨主張する。
 しかしながら、相当地代通達5及び8の取扱いは、借地権が設定されている土地を前提としており、設定された借地権の存在を否定することなく、課税の各場面における借地権の価額の多寡を定めているものであり、相当地代通達8により純資産価額に算入される自用地としての価額の20%に相当する金額を借地権以外の価額と解することはできず、また、当該20%に相当する金額を当該「土地等の価額」から除外するとの特段の定めもないことから、当該20%に相当する金額は、借地権の価額として当該「土地等の価額」に含まれるものと解するのが相当である。

参照条文等

「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて」5、8 「相当の地代を収受している貸宅地の評価について」

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平成24年10月5日裁決

都市再開発法に基づいて収受した土地に係る補償金及び土地の明渡し等に伴う損失の補償金等は、本件係争事業年度の収益の額に算入されないとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、都市再開発法に基づく第一種市街地再開発事業(権利変換方式)により収受した土地に係る補償金については権利変換期日に、土地の明渡し等に伴う損失の補償金等については土地及び当該土地にある物件の明渡しの期限(明渡しの義務が生じることとなる日)に、それぞれ収入すべき権利が確定したものと解するのが相当であるとして、原処分を取り消したものである。

要旨

 請求人が都市再開発法の規定に基づいて設立された市街地再開発組合から受領した権利変換処分に基づく土地補償金(本件土地補償金)及び移転補償金等(本件移転補償金等)を、本件係争事業年度(平成20年11月期)の益金の額に算入したことについては、原処分庁も是認するところであり、当事者間に争いはない。
 しかしながら、都市再開発法第87条《権利変換期日における権利の変換》第1項、第91条《補償金等》第1項、第96条《土地の明渡し》第1項、同条第3項、第97条《土地の明渡しに伴う損失補償》第1項及び同条第3項の各規定によれば、同法に定める権利変換処分(権利変換期日において権利を失い、かつ、当該権利に対応して、施設建築敷地等が与えられないものに限る。)が行われた場合には、施行者は、権利変換期日までに施行地区内の土地を有する者に対して補償金を支払う義務を負い、また、施行者が定めた明渡しの期限までに当該土地及び当該土地にある物件に関し権利を有する者に対して移転補償金等を支払う義務を負う一方で、当該土地は権利変換期日において新たに所有者となるべき者に帰属するとともに、当該土地又は当該土地にある物件を占有している者は、施行者が定めた明渡しの期限までに施行者に土地若しくは物件を引渡し又は物件を移転する義務を負うことになるから、権利変換処分を受けた施行地区内の土地及び当該土地にある物件を有する者においては、土地に対する補償金については権利変換期日に、移転補償金等については土地及び当該土地にある物件の明渡しの期限(明渡しの義務が生じることとなる日)に、それぞれ収入すべき権利が確定したものと解するのが相当である。
 そうすると、本件における権利変換処分に係る権利変換期日並びに土地及び建物の明渡しの期限はいずれも本件係争事業年度の前事業年度(平成19年11月期)に属するから、本件土地補償金及び本件移転補償金等はいずれも平成19年11月期の益金の額に算入すべきである。

参照条文等

法人税法第22条第2項第4項 都市再開発法第87条第1項、第91条第1項、第96条、第97条

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