裁決事例 令和3年(2021年)

裁決事例 令和3年(2021年)

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令和3年12月17日裁決

海苔養殖業を営む請求人が事業の用に供する全自動乾海苔製造装置等は、耐用年数省令別表第二の「食料品製造業用設備(耐用年数10年)」ではなく「水産養殖業用設備(耐用年数5年)」に該当するとした事例

裁決事例集 第125集

ポイント

 本事例は、耐用年数省令別表第二の機械・装置の業用設備の判定は、請求人の業種ではなく、資産の使用状況等から社会通念に照らし、これが日本標準産業分類によるいずれの業種用として通常使用されているかにより判定すべきとしたものである。

要旨

 原処分庁は、海苔養殖業を営む請求人が使用する「全自動乾海苔製造装置」等の設備(本件償却資産)について、耐用年数の適用等に関する取扱通達1-4-2《いずれの「設備の種類」に該当するかの判定》及び同1-4-3《最終製品に基づく判定》の定めに従い、本件償却資産が製造する最終製品は乾海苔であり、乾海苔は水産食料品に該当することは明らかであるとして、本件償却資産は、日本標準産業分類の中分類「09-食料品製造業」の業種用に通常使用されていると認められるから、減価償却資産の耐用年数に関する省令の別表第二《機械及び装置の耐用年数表》の番号1「食料品製造業用設備」に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件償却資産は、請求人が自家取得した原藻を自宅敷地内作業場において、乾燥させて漁業協同組合へ出荷できる乾海苔にするために、海苔養殖業従事者のみに通常使用されていると認めるのが相当である。そして、海苔養殖業者が漁業協同組合へ出荷する乾海苔は直ちに食用に供されるものではなく、食用に加工し流通させるのは漁業協同組合から乾海苔を購入した流通業者であることからすれば、乾海苔が水産食料品であることが明らかであるとして、本件償却資産が食料品製造業用として通常使用されていると認めることは困難である。したがって、本件償却資産は、日本標準産業分類の大分類「B-漁業」の中分類「04-水産養殖業」の業種用として通常使用されていると認められるから、別表第二の番号28「水産養殖業用設備」に該当する。

参照条文等

減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第二 耐用年数の適用等に関する取扱通達1-4-2、1-4-3

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令和3年12月1日裁決

評価対象地は、相続開始日において、土壌汚染のある土地と認められ、当該評価対象地の評価に当たり、浄化・改善費用相当額を控除すべきとした事例

裁決事例集 第125集

ポイント

 本事例は、法令等により土壌汚染の除去等の措置を講ずる義務が生じていない評価対象地について、相続開始日において、土壌汚染対策法所定の基準を超える特定有害物質を地中に含有していたことが認められ、土壌汚染のある土地と認めるのが相当であるとして、当該評価対象地の評価に当たり、浄化・改善費用相当額を控除すべきとしたものである。

要旨

 原処分庁は、評価対象地(本件各土地)は法令等により土壌汚染の除去等の措置を講ずる義務が生じておらず、本件各土地の価格形成に影響を及ぼすような土壌汚染は認められないから、本件各土地の評価に当たり、土壌汚染がないものとした場合の評価額から浄化・改善費用相当額を控除する必要はない旨主張する。
 しかしながら、本件各土地は、相続開始日において、土壌汚染対策法所定の基準を超える特定有害物質を地中に含有していたことが認められ、土壌汚染のある土地と認めるのが相当であることから、本件各土地の評価に当たり、浄化・改善費用相当額を控除すべきである。そして、本件各土地及びその周辺の状況や土壌汚染の状況から、本件各土地について最有効使用ができる最も合理的な土壌汚染の除去等の措置は掘削除去であると認められるところ、請求人が主張する土壌汚染対策工事の各見積額(本件各見積額)の算定過程に特段不合理な点は見当たらず、浄化・改善費用の金額として相当であると認められるので、本件各土地の評価に当たり、土壌汚染がないものとした場合の評価額から、浄化・改善費用相当額として本件各見積額の80%相当額を控除して評価するのが相当である。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達1の(3)

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令和3年11月19日裁決

医師が健康診断業務に係る役務の提供の対価として関与先の病院等から受領した報酬は、給与所得の収入に当たるとした事例

裁決事例集 第125集

ポイント

 本件は、請求人の健康診断業務に係る収入について、関与先の病院等の指揮命令に服し、空間的、時間的拘束を受けて行った業務ないし労務提供の対価であると認められることから、給与所得に該当するとしたものである。

要旨

 請求人は、関与先である法人との間の法律関係について、当該法人から業務を請け負って収入を得る事業所得者であることが判決(本件判決)において確定しており、契約内容や業務内容が当該法人と同様である他の法人等(本件法人等)との間でも請求人は事業所得者であるとして、請求人が本件法人等から得た自己の健康診断業務(本件業務)に係る収入により生じた所得(本件所得)は、所得税法第27条《事業所得》第1項に規定する事業所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件業務に係る報酬は、あらかじめ本件法人等との間で従事時間等に応じて決められた対価が支払われるものであり、また、本件法人等から業務に必要な器具等の貸与等及び交通費等の支給を受けていたことからすれば、請求人は、本件業務から一般的に生じ得る危険を負担することはなかったものと認められる。また、請求人は、本件法人等から業務内容や従事時間及び従事場所などの指定を受けていたことなどからすれば、本件法人等から本件業務について指揮命令や空間的、時間的拘束を受けていたと認められるから、本件所得は、所得税法第28条《給与所得》第1項に規定する給与所得に該当する。

参照条文等

所得税法第27条第1項 所得税法第28条第1項 所得税法第35条第1項

参考判決・裁決

横浜地裁平成28年11月9日判決(税資266号順号12930)

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令和3年10月8日裁決

請求人が不動産業者との間で締結した不動産売買契約は、「土地及び建物」と「賃貸人の地位」について別個に認識し、それら2つの財産を当該不動産売買契約の目的としたとみるのが相当であり、請求人が受領した売買代金の一部は、「賃貸人の地位」の譲渡の対価として受領した金員であると認められ、貸付けに起因する所得であることから不動産所得に該当するとした事例

裁決事例集 第125集

ポイント

 本事例は、請求人が不動産売買契約に伴い受領した売買代金について、当該不動産売買契約に定められた契約条項の内容や、契約前後の請求人及び売買契約の対象となった不動産の借主の事情を把握し、当該売買に係る契約解釈を的確に行い、請求人が受領した売買代金の一部について「賃貸人の地位」の対価として受領したと判断したものである。

要旨

 請求人は、賃貸していた不動産の賃借人が送金した金員(本件解約金相当額)は、当該不動産を含む不動産(本件不動産)の売買契約(本件売買契約)に基づく売買代金に含まれており、本件不動産の対価として請求人が譲受人から受領したものであるから譲渡所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件売買契約は、その特約条項によれば、本件不動産の所有権のみならず、本件不動産の賃貸借契約(本件賃貸借契約)に基づく賃貸人たる地位や、本件賃貸借契約の解約申入れに基づき賃借人から支払われる本件解約金相当額を受領する地位も移転させる趣旨のものと認められるところ、①本件解約金相当額の性質は、本件賃貸借契約に基づく中途解約金であること、②本件賃貸借契約が合意解約され、本件解約金相当額が支払われることが本件売買契約の締結より前に確定していたこと、③本件売買契約に付された不動産の価格が解約金とは別に形成されていたこと、及び④本件売買契約における売買代金から本件解約金相当額を除いた金額に相当する価格が、本件不動産の転売価格と均衡することが認められた。これらの諸事情からすると、本件売買契約は、本件解約金相当額を含む売買代金総額の全てを本件不動産の譲渡対価とする趣旨のものであったとは解し難い。また、本件売買契約の前に本件賃貸借契約が合意解約され中途解約金が支払われることが確定していた本件では、「賃貸人の地位」の交換価値が、本件不動産そのものの交換価値から独立した「本件解約金相当額を受領する地位」の価値として客観的に把握することができた。これらのことからすれば、請求人と譲受人は、売買された不動産と「賃貸人の地位」について、それぞれ別個の価格を認識し、それら2つの財産を本件売買契約の目的としたとみるのが相当であり、本件解約金相当額は、請求人が「賃貸人の地位」の対価として受領した金額であると認められる。そして、本件解約金相当額が、本件賃貸借契約が合意解約されることを前提として「残賃貸借期間の賃料の補償」として支払われることが確定したものであり、本件賃貸借契約に基づく賃貸人の地位に包含されるものであることからすると、請求人が受領した本件解約金相当額は、不動産の貸付けに起因して発生した所得であるといえ、不動産所得に該当する。

参照条文等

所得税法第26条第1項 所得税法第33条第1項

参考判決・裁決

福岡高裁平成30年11月27日判決(税資268号順号13213) 平成24年8月2日裁決(裁決事例集№88)

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令和3年9月17日裁決

被相続人が毎年一定額を入金していた未成年の子名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

裁決事例集 第124集

ポイント

 本事例は、被相続人が、毎年一定の金額を当時未成年であった嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証を作成した上で、長女の唯一の法定代理人である母を介し、長女名義の普通預金口座に毎年入金していたことにつき、当該母が、その贈与証に基づく贈与を受諾し、入金していたものであるから、当該口座に係る預金は長女に帰属する財産であり、相続財産には含まれないと認定したものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の亡夫(被相続人)が、毎年一定の金額を当時未成年であった被相続人の嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証(本件贈与証)を作成した上で、長女の母を介し、長女名義の普通預金口座(本件預金口座)に平成13年から平成24年までの間、毎年入金していたことについて、長女の母は、本件贈与証の具体的内容を理解しておらず、被相続人の指示に従い本件預金口座に入金していたにすぎず、当該入金が長女へ贈与されたものとは認識していないから、被相続人から長女への贈与は成立しておらず、本件預金口座に係る預金は被相続人の相続財産に含まれる旨主張する。
 しかしながら、本件贈与証の内容は、その理解が特別困難なものとはいえない上、長女の母は、本件贈与証を預かるとともに、被相続人の依頼により本件預金口座へ毎年入金し、本件預金口座の通帳等を口座開設当時から管理していたことからすれば、平成13年当時、長女の唯一の親権者であった長女の母は、長女の法定代理人として、本件贈与証による贈与の申込みを受諾し、その履行として本件預金口座へ毎年入金していたと認めるのが相当であり、また、本件預金口座には、利息を除き、毎年の入金以外に入金はないから、本件預金口座に係る預金は、平成13年の口座開設当初から長女に帰属するものであって、相続財産には含まれない。

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令和3年9月17日裁決

被相続人が毎年一定額を入金していた未成年の子名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

裁決事例集 第124集

ポイント

 本事例は、被相続人が、毎年一定の金額を当時未成年であった嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証を作成した上で、長女の唯一の法定代理人である母を介し、長女名義の普通預金口座に毎年入金していたことにつき、当該母が、その贈与証に基づく贈与を受諾し、入金していたものであるから、当該口座に係る預金は長女に帰属する財産であり、相続財産には含まれないと認定したものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の亡父(被相続人)が、毎年一定の金額を当時未成年であった被相続人の嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証(本件贈与証)を作成した上で、長女の母を介し、長女名義の普通預金口座(本件預金口座)に平成13年から平成24年までの間、毎年入金していたことについて、長女の母は、本件贈与証の具体的内容を理解しておらず、被相続人の指示に従い本件預金口座に入金していたにすぎず、当該入金が長女へ贈与されたものとは認識していないから、被相続人から長女への贈与は成立しておらず、本件預金口座に係る預金は被相続人の相続財産に含まれる旨主張する。
 しかしながら、本件贈与証の内容は、その理解が特別困難なものとはいえない上、長女の母は、本件贈与証を預かるとともに、被相続人の依頼により本件預金口座へ毎年入金し、本件預金口座の通帳等を口座開設当時から管理していたことからすれば、平成13年当時、長女の唯一の親権者であった長女の母は、長女の法定代理人として、本件贈与証による贈与の申込みを受諾し、その履行として本件預金口座へ毎年入金していたと認めるのが相当であり、また、本件預金口座には、利息を除き、毎年の入金以外に入金はないから、本件預金口座に係る預金は、平成13年の口座開設当初から長女に帰属するものであって、相続財産には含まれない。

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令和3年9月17日裁決

被相続人が毎年一定額を入金していた未成年の子名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

裁決事例集 第124集

ポイント

 本事例は、被相続人が、毎年一定の金額を当時未成年であった嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証を作成した上で、長女の唯一の法定代理人である母を介し、長女名義の普通預金口座に毎年入金していたことにつき、当該母が、その贈与証に基づく贈与を受諾し、入金していたものであるから、当該口座に係る預金は長女に帰属する財産であり、相続財産には含まれないと認定したものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の亡父(被相続人)が、毎年一定の金額を当時未成年であった被相続人の嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証(本件贈与証)を作成した上で、長女の母を介し、長女名義の普通預金口座(本件預金口座)に平成13年から平成24年までの間、毎年入金していたことについて、長女の母は、本件贈与証の具体的内容を理解しておらず、被相続人の指示に従い本件預金口座に入金していたにすぎず、当該入金が長女へ贈与されたものとは認識していないから、被相続人から長女への贈与は成立しておらず、本件預金口座に係る預金は被相続人の相続財産に含まれる旨主張する。
 しかしながら、本件贈与証の内容は、その理解が特別困難なものとはいえない上、長女の母は、本件贈与証を預かるとともに、被相続人の依頼により本件預金口座へ毎年入金し、本件預金口座の通帳等を口座開設当時から管理していたことからすれば、平成13年当時、長女の唯一の親権者であった長女の母は、長女の法定代理人として、本件贈与証による贈与の申込みを受諾し、その履行として本件預金口座へ毎年入金していたと認めるのが相当であり、また、本件預金口座には、利息を除き、毎年の入金以外に入金はないから、本件預金口座に係る預金は、平成13年の口座開設当初から長女に帰属するものであって、相続財産には含まれない。

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令和3年9月17日裁決

被相続人が毎年一定額を入金していた請求人名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

裁決事例集 第124集

ポイント

 本事例は、被相続人が、毎年一定の金額を当時未成年であった請求人に贈与する旨を記した贈与証を作成した上で、請求人の唯一の法定代理人である母を介し、請求人名義の普通預金口座に毎年入金していたことにつき、当該母が、その贈与証に基づく贈与を受諾し、入金していたものであるから、当該口座に係る預金は請求人に帰属する財産であり、相続財産には含まれないと認定したものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の亡父(被相続人)が、毎年一定の金額を当時未成年であった請求人に贈与する旨を記した贈与証(本件贈与証)を作成した上で、請求人の母を介し、請求人名義の普通預金口座(本件預金口座)に平成13年から平成24年までの間、毎年入金していたことについて、請求人の母は、本件贈与証の具体的内容を理解しておらず、被相続人の指示に従い本件預金口座に入金していたにすぎず、当該入金が請求人へ贈与されたものとは認識していないから、被相続人から請求人への贈与は成立しておらず、本件預金口座に係る預金は被相続人の相続財産に含まれる旨主張する。
 しかしながら、本件贈与証の内容は、その理解が特別困難なものとはいえない上、請求人の母は、本件贈与証を預かるとともに、被相続人の依頼により本件預金口座へ毎年入金し、本件預金口座の通帳等を口座開設当時から管理していたことからすれば、平成13年当時、請求人の唯一の親権者であった請求人の母は、請求人の法定代理人として、本件贈与証による贈与の申込みを受諾し、その履行として本件預金口座へ毎年入金していたと認めるのが相当であり、また、本件預金口座には、利息を除き、毎年の入金以外に入金はないから、本件預金口座に係る預金は、平成13年の口座開設当初から請求人に帰属するものであって、相続財産には含まれない。

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令和3年8月4日裁決

原処分庁が用いた資産負債増減法による事業所得の推計方法において、純資産の増加額の算定に際し基礎とした資産の認定に一部誤りがあるとした事例

裁決事例集 第124集

ポイント

 本事例は、原処分庁が用いた資産負債増減法による推計において、請求人名義の預金口座への入金額の一部は、子名義の預金口座から引き出された金銭を原資とするものであり、請求人の事業所得を原資とするものではないから、純資産の増加額とは認められないとした事例である。

要旨

 原処分庁は、原処分庁が請求人の事業所得を算定するに当たって採用した資産負債増減法において、子名義の普通預金口座(本件普通預金口座)から引き出された金銭によって請求人名義の定期預金口座が開設されたとの事実を裏付ける証拠はないことから、減算調整項目(事業外所得)として減算すべき金額はない旨主張する。
 しかしながら、本件普通預金口座から合計2,000,000円が引き出された翌日に同額が請求人名義の定期預金口座に入金されたこと、本件普通預金口座に係る通帳等を同居人が管理していること、本件普通預金口座から引き出された2,000,000円が請求人名義の定期預金口座への入金以外に充てられたことをうかがわせる事情がないことなどからすれば、請求人名義の定期預金口座に入金された金銭は本件普通預金口座から引き出された金銭を原資とするものであり、事業所得を原資とするものとはいえない。

参照条文等

所得税法第156条

参考判決・裁決

平成23年7月8日裁決(裁決事例集№84) 平成26年2月27日裁決(裁決事例集№94)

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令和3年8月3日裁決

広大地の判定に当たり、開発許可面積基準を満たさないことをもって直ちに広大地に該当しないとすることはできないとした事例

裁決事例集 第124集

ポイント

 本事例は、広大地の判定に当たり、開発許可面積基準を指標とすることに合理性はあるものの、当該基準を満たさないことをもって直ちに広大地に該当しないとすることはできず、評価対象地の経済的に最も合理的な使用は道路を開設して戸建住宅の敷地とする開発を行うことであるなどとして、評価対象地は広大地に該当すると判断したものである。

要旨

 原処分庁は、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》に定める広大地に該当するか否かの判定に当たり、①評価対象地(本件土地)は共同住宅の敷地として利用されており、現に有効利用されていること、②その地域における標準的な宅地の面積に比して著しく地積が広大かについては、指標となる各自治体が定める開発許可を要する面積基準(開発許可面積基準)を満たすか否かにより判断すべきであること、③本件土地は、路地状開発をすることができ、公共公益的施設用地の負担が必要とは認められないことから、本件土地は広大地に該当しない旨主張する。
 しかしながら、①その地域における標準的な宅地の使用は、戸建住宅の敷地としての利用であるから、本件土地は、現に宅地として有効利用されているとは認められないこと、②広大地の判定に当たり、開発許可面積基準を指標とすることに合理性はあるものの、当該基準を満たさないことをもって直ちに広大地に該当しないとすることはできないこと、また、③本件土地の経済的に最も合理的な使用は、道路を開設して戸建住宅の敷地とする開発を行うことであると認められることから、広大地に該当する。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達24-4

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令和3年7月12日裁決

請求人の夫名義の預金口座から請求人名義の証券口座に金員が入金されたことは、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当しないとした事例

裁決事例集 第124集

ポイント

 本事例は、請求人の夫名義の預金口座から請求人名義の証券口座に金員が入金されたことは、本件の各事情を考慮すれば、当該請求人名義の証券口座において夫の財産がそのまま管理されていたものと評価するのが相当であるとして、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当しないと判断したものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の夫名義の預金口座からの金員が入金(本件入金)された請求人名義の証券口座(本件口座)について、①請求人自身の判断で取引を行っていたこと、②本件口座の投資信託の分配金が請求人名義の普通預金口座に入金されていたこと、③当該分配金等を請求人の所得として確定申告がされていたことから、本件入金は、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当する旨主張する。
 しかしながら、①請求人は、本件入金の前後を通じて夫の財産の管理を主体的に行っており、その管理に係る全部の財産について請求人に帰属していたものと認めることはできないから、本件口座において請求人自身の判断で取引を行った事実をもって利益を受けたと認めることはできない上、②分配金等の入金があっても、請求人が私的に費消した事実が認められない本件においては、これを管理・運用していたとの評価の範疇を超えるものとはいえず、③確定申告をしたことは、申告をすれば税金が還付されるとの銀行員の教示に従い深く考えずに行ったものとの請求人の主張が不自然とまではいえず、殊更重要視すべきものとは認められないことなどの各事情を考慮すれば、本件入金によっても、夫の財産は、本件口座においてそのまま管理されていたものと評価するのが相当であるため、本件入金は、請求人に贈与と同様の経済的利益の移転があったものと認めることはできず、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当しない。

参照条文等

相続税法第9条

参考判決・裁決

東京高裁平成21年4月16日判決(税資259号順号11182)

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令和3年6月25日裁決

原処分庁が固定資産課税台帳に登録された価格のない土地の登録免許税の課税標準額の算定の基とした近傍宅地価格は、類似する不動産の価額とは認められないとした事例

裁決事例集 第123集

ポイント

 本事例は、固定資産課税台帳に登録された価格のない土地(本件土地)の所有権移転登記に係る登録免許税の課税標準について、原処分庁が算定の基礎とした本件土地の形状等が考慮されていない本件土地に類似するとした宅地の台帳価格(本件近傍宅地価格)ではなく、本件土地を固定資産評価基準に定める評価方法に従って算定した台帳価格相当額とすべきとしたものである。

要旨

 原処分庁は、固定資産課税台帳に登録された価格(台帳価格)のない土地(本件土地)の所有権移転登記(本件登記)に当たり、登記官が登録免許税法施行令附則第3項の規定により、本件土地が所在する自治体の長が本件土地に類似するとした宅地の台帳価格(本件近傍宅地価格)を基に算定した登録免許税の課税標準価額は適正である旨主張する。
 しかしながら、本件近傍宅地価格は、本件土地が不整形な雑種地であることを考慮したものではないから類似する不動産の価額とは認められず、本件土地の課税標準価額は、当該土地を固定資産評価基準に定める評価方法に従って算定した台帳価格相当額とすべきである。

参照条文等

登録免許税法施行令附則第3項

参考判決・裁決

平成30年6月14日裁決(裁決事例集No.111)

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令和3年6月25日裁決

当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

裁決事例集 第123集

ポイント

 本事例は、相続税の申告書の作成を依頼した税理士からの質問に対して請求人がした回答が、同税理士の質問を誤解して回答した可能性を否定できず、故意に虚偽の事実を説明したものとは認められないとして、かかる回答をしたことをもって、請求人が、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

要旨

 原処分庁は、請求人が、被相続人が締結していた各建物更生共済契約(本件各共済契約)に関する権利(本件各権利)を相続税の課税財産として申告する必要があると認識していながら、税理士(本件税理士)に対して本件各共済契約は掛け捨て型のものであると故意に虚偽の説明をし、本件税理士に相続税の課税財産として申告すべき損害保険契約に関する権利はないとの誤解を生じさせた上、本件税理士に本件各権利の存在を一切告げなかったことは、当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動に当たり、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定の隠蔽又は仮装の行為が認められる旨主張する。
 しかしながら、本件税理士の請求人に対する質問の文言からすれば、請求人の「共済は掛け捨てに移行している」旨の回答は、本件税理士の質問の趣旨を誤解してなされた可能性があり、実際に建物更生共済契約から掛け捨ての損害保険へと移行されたものもあることからすれば、必ずしも虚偽であるとまではいえない。また、請求人が本件税理士に預けた各普通貯金通帳の中には本件各共済契約に係る共済掛金の支払が確認できるものもあることからすれば請求人が本件税理士に対して本件各権利を秘匿しようという意図があったとまで認めることはできない。したがって、請求人が本件税理士に対して故意に虚偽の説明をしたものと認めることはできず、請求人が本件税理士に当該回答をした事実をもって、請求人が、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないから、国税通則法第68条第1項に規定の隠蔽又は仮装の行為があったということはできない。

参照条文等

国税通則法第68条第1項

参考判決・裁決

最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)

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令和3年6月24日裁決

所有者を被相続人の孫とする登記がなされているなど家屋に係る相続税の申告以前の状況からすると、相続税の申告において請求人が当該家屋を申告しなかったことにつき国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由が認められるとした事例

裁決事例集 第123集

ポイント

 本事例は、相続財産と認められる家屋について、①相続開始前に当該家屋の登記上の所有者が被相続人から同人の孫に名義変更されていたこと、②請求人自身が関与税理士として当該家屋の売買に係る譲渡所得の申告を行っていること、③上記①の名義変更以前から当該家屋に被相続人は居住しておらず同人の孫が居住していたことなどの理由から、相続税の申告において当該家屋を申告しなかったことにつき国税通則法第65条第4項所定の「正当な理由」があると認められるとしたものである。

要旨

 原処分庁は、相続開始時点において被相続人(本件被相続人)の孫(本件孫)名義となっていた家屋(本件家屋)について、本件被相続人や共同相続人らの各預金口座等を調査すれば、本件家屋の売買代金が実質的に支払われておらず、本件被相続人と本件孫との間の当該家屋に係る売買契約が成立していないことを確認できたのであるから、本件家屋が被相続人に帰属する財産であることを把握することは可能であったにもかかわらず、その確認を怠った請求人には国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する「正当な理由」は認められない旨主張する。
 しかしながら、前述するとおり、相続開始時点において本件家屋の登記上の名義は本件孫名義であり、請求人自身が関与税理士として本件家屋の売買に係る譲渡所得の申告を行っていたことに加え、当該売買以前から本件家屋には、本件被相続人ではなく譲受人である本件孫が居住していたことからすると、請求人は、本件家屋に係る本件被相続人と本件孫との間の売買契約が有効に成立し、本件家屋の所有権が本件孫に移転したと誤信せざるを得ない事情があったといわざるを得ない。加えて、本件家屋の売買代金が実質的に支払われていないことを把握し得た時点が、相続税の申告期限後であったことを併せ考えれば、請求人が本件家屋について申告しなかったことにより相続税の申告が過少申告となったことにつき、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお請求人に過少申告加算税を賦課することは不当又は酷であって、請求人には「正当な理由」があったと認められる。

参照条文等

国税通則法第65条第4項

参考判決・裁決

最高裁平成18年4月20日第一小法廷判決(民集60巻4号1611頁)

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令和3年6月23日裁決

原処分庁の平均所得率の計算過程において、損失の金額が生じていた類似同業者の所得率はマイナス値で計算すべきとされた事例

裁決事例集 第123集

要旨

 請求人は、原処分庁の所得金額の推計の算出について、①原処分庁の算出基準においては、青色申告の承認を受けた者の確定申告が適切になされたものであって、かつ、請求人の確定申告と比較しうる理由の根拠が示されていないこと、②原処分庁が請求人の所得金額の推計に用いた請求人と業種・業態が類似し事業規模が同程度であると判断した同業者(本件類似同業者)の業態が全く不明であり、原処分庁が所得率の高い同業者だけを選んで推計の基礎に用いた可能性も否定できないこと、及び③本件類似同業者の本件各年分の平均所得率は年分によってかなりの開差があることから、推計の合理性があるとはいえない旨主張する。
 しかしながら、原処分庁は、本件類似同業者を抽出するにあたり、業種・業態の類似性、個人又は法人の別、事業所の所在地の接近性、資料の正確性並びに事業規模の類似性等に係る基準を設けてこれらの条件に全て該当する者を抽出したのであるから、当該抽出基準は合理性を有するものであり、また、同業者の抽出過程に原処分庁の恣意が介在したとの事実は認められない。そして、平均所得率の算出に使用した資料は、いずれも帳簿書類等が整っている青色申告者の決算書であり、その信頼性ないし正確性は高く、さらに本件類似同業者の件数も本件類似同業者の個別性を平均化するに足るということができる。したがって、本件類似同業者と請求人の間には類似性があり、原処分庁の本件類似同業者の抽出基準及び抽出方法は合理性を有するものであると認められる。ただし、原処分庁の平均所得率の計算過程において、本件類似同業者のうち1名に損失の金額が生じていたにもかかわらず、その者の所得率を0.00%で計算しているが、その者の所得率を0.00%とすべき特殊な事情は認められないことから、当該所得率は損失の金額で算出したマイナス値で計算すべきである。

参照条文等

所得税法第156条

参考判決・裁決

平成30年6月8日裁決(裁決事例集No.111)

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令和3年6月23日裁決

推計による所得税等の課税処分について、原処分庁による推計の必要性が認められ、また、推計の合理性があるとした事例

裁決事例集 第123集

ポイント

 本事例は、原処分庁の同業者率による推計方法について、①推計基礎の正確性、②推計方法の最適性及び③推計方法の客観性があり、推計の合理性があるとしたが、類似同業者の一部の減価償却費や必要経費の算定における計算誤りがあったため、更正処分の一部を取り消すのが相当であるとした事例である。

要旨

 請求人は、請求人の総勘定元帳により、請求人の所得金額を実額で計算することができ、推計の必要性がない旨、また、原処分庁による推計方法は合理性がない旨主張する。
 しかしながら、請求人が提出した資料では実額で計算することはできず、本件には推計の必要性があったと認めるのが相当である。
 また、推計方法については、原処分庁は、請求人の各年分の総収入金額に類似同業者の平均必要経費率(同業者比率)を用いる方法により請求人の事業所得の金額を算出しているところ、①同業者比率による推計方法については、一般に、業種・業態が類似する同業者にあっては、特段の事情がない限り、経験則上、同程度の同収入金額に対し、同程度の所得が得られると考えられており、請求人の営む事業の場合であっても例外でなく、本件において請求人に特段の事情があるとは認められないこと、②推計の基礎となる総収入金額は正確に把握されていること、③抽出基準に合理性がある上、類似同業者の抽出過程において課税庁の恣意や思惑が介在していないこと、及び④抽出件数も類似同業者の平均値を求める上で合理的であることが認められる。したがって、原処分庁による推計については、抽出した類似同業者の一部の者の減価償却費や必要経費の算定における計算誤りの部分を除いて、合理性があると判断するのが相当である。

参照条文等

所得税法第156条

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令和3年6月22日裁決

相続開始後3年以内に遺産分割された土地について、租税特別措置法第69条の4の適用を受ける場合の更正の請求の期限は、当該土地の遺産分割の日から4か月以内であるとした事例

裁決事例集 第123集

ポイント

 本事例は、租税特別措置法第69条の4の適用について準用される相続税法第32条第1項に規定する更正の請求は、本件特例対象宅地等の遺産分割の日の翌日から4月以内にしたものに限られるとしたものである。

要旨

 請求人らは、租税特別措置法第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第4項ただし書にある「特例対象宅地等が申告期限から3年以内に分割された」というのは、「全ての相続財産が申告期限から3年以内に分割された」と解釈して、相続税法第32条《更正の請求の特則》第1項の更正の請求を認めるべきであるから、本件の各更正の請求(本件各更正請求)は、相続税法第32条第1項所定の期限内にされたものである旨主張する。
 しかしながら、請求人らによって、租税特別措置法第69条の4第1項の規定による特例(本件特例)の対象とした土地(本件土地)は、遺産分割協議書の作成日付の日において遺産分割がされたものと認められるところ、本件各更正請求は、本件特例対象宅地等の価額の計算における本件特例の適用について、申告の時点では未分割であったが、本件土地の遺産分割により「申告期限から3年以内に分割された場合」に該当したことによりされたものであるから、相続税法第32条第1項第1号及び第8号に規定する課税価格及び相続税額が異なることとなったことを知った日についても、本件土地の遺産分割の日(遺産分割協議書が作成された日)であるというべきであり、本件特例の適用についてされる相続税法第32条第1項に規定する更正の請求は、本件土地の遺産分割の日の翌日から4月以内にしたものに限られることとなり、請求人らは、これをしなかったものであるから、その後にされた本件各更正請求が相続税法第32条第1項所定の期限内にされたものに該当することはない。

参照条文等

租税特別措置法第69条第4項、第5項 相続税法第32条第1項

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令和3年6月22日裁決

隠蔽仮装行為の始期に関する請求人の申述は信用できず、そのほかに隠蔽仮装行為の始期を示す証拠や請求人によって隠蔽仮装行為がなされたことを示す証拠もないから、請求人に隠蔽仮装の行為があったとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分等を取り消した事例

裁決事例集 第123集

ポイント

 本事例は、請求人の行った隠蔽仮装行為(伝票を意図的に廃棄し、売上金額を過少に記載した日計表の作成)の始期について、請求人が争う年分及び課税期間の初年である旨の請求人の申述は信用性がなく、そのほかに、始期が同年と認める証拠はなく、また、同年分及び同課税期間において、他に請求人が隠蔽仮装行為を行ったことを示す証拠がないとして、隠蔽又は仮装に該当する事実は認められないとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人は、事業に係る正しい売上金額を把握していたにもかかわらず、真実の売上金額を記載した売上メモ及び伝票を意図的に廃棄し、売上金額を過少に記載した日計表を商工会に提示することにより、売上げの一部を故意に申告していなかった旨主張する。
 しかしながら、請求人は、調査担当職員による質問の当初、隠蔽仮装行為の始期について、曖昧な申述にとどまっていたことなどからすれば、同始期に関して、明確な記憶を持っておらず、その記憶は曖昧なものであったと認められる。そして、隠蔽仮装行為の始期に関する請求人の申述は、自発的な申述をしたのではなく調査担当職員の教示に沿う形で申述した程度にすぎず、客観的事実とも整合せず、不自然であるともいえ、直ちに信用できない。また、そのほかに隠蔽仮装行為の始期を示す証拠や請求人によって隠蔽仮装行為がなされたことを示す証拠もないから、請求人に、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとは認められない。
 また、隠蔽又は仮装の具体的事実や開始時期を特定できない本件において、他に何らかの偽計その他の工作を伴う不正の行為があったと認めるに足る証拠もないから、請求人には国税通則法第70条《国税の更正、決定等の期間制限》第4項に規定する「偽りその他不正の行為」に該当する事実があったとは認められない。
 さらに、更正の請求では、納税者側において売上金額が過大であることの立証をすべきであるところ、請求人から提出された資料等では、修正申告書に記載された売上金額が過大であるとは認められない。

参照条文等

国税通則法第23条第1項第68条第1項第70条第4項

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令和3年6月17日裁決

建物売買に伴い被相続人に生じた債務のうち、当該建物の経済的価値を超える部分については、相続税の債務控除の対象となる「確実と認められるもの」には該当しないとした事例

裁決事例集 第123集

ポイント

 本事例は、請求人が被相続人と生前締結した建物売買契約(売主:請求人、買主:被相続人)に伴い被相続人に生じた売買代金相当額の債務について、当該債務のうち、当該建物の経済的価値(評価通達に基づき算出された評価額)を超える部分は、いずれ混同により消滅させるべき債務を、いわば名目的に成立させたにすぎず、相続開始日現在における消極的財産価値を示すものとはいえないため、相続税の債務控除の対象となる「確実と認められるもの」には該当しないとしたものである。

要旨

 請求人が、被相続人と生前に締結した売主を請求人、買主を被相続人とする建物売買契約に伴い被相続人に生じた売買代金相当額の債務(本件債務)は、真正に成立した処分証書が存在し、法的に履行が強制されることから、その全額が相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」に該当する旨主張するのに対し、原処分庁は、本件債務は履行を予定していないことから、その全額が「確実と認められるもの」には該当しない旨主張する。
 しかしながら、本件債務の発生原因となった建物売買契約は、建物の売買金額と相続税評価額との間に生じる差額により相続税の軽減効果が期待できるとの提案があった上で締結されたことからすると、本件債務のうち、売買対象となった建物(本件建物)の経済的価値(評価通達に基づき算出された評価額)に相当する部分については、相続開始日時点における債務としての消極的経済価値を示しているものの、本件建物の経済的価値を超える部分については、いずれ混同により消滅させるべき債務を、いわば名目的に成立させたにすぎないのであるから、相続開始日時点における債務としての消極的経済価値を示すものとはいえない。したがって、本件債務のうち、本件建物の経済的価値に相当する部分については、相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」に該当するものの、本件建物の経済的価値を超える部分については、「確実と認められるもの」には該当しない。

参照条文等

相続税法第14条第1項同法第22条

参考判決・裁決

最高裁昭和49年9月20日第三小法廷判決(民集28巻6号1178頁)

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令和3年6月17日裁決

建物売買に伴い被相続人に生じた債務のうち、当該建物の経済的価値を超える部分については、相続税の債務控除の対象となる「確実と認められるもの」には該当しないとした事例

裁決事例集 第123集

ポイント

 本事例は、請求人が被相続人と生前締結した建物売買契約(売主:請求人、買主:被相続人)に伴い被相続人に生じた売買代金相当額の債務について、当該債務のうち、当該建物の経済的価値(評価通達に基づき算出された評価額)を超える部分は、いずれ混同により消滅させるべき債務を、いわば名目的に成立させたにすぎず、相続開始日現在における消極的財産価値を示すものとはいえないため、相続税の債務控除の対象となる「確実と認められるもの」には該当しないとしたものである。

要旨

 請求人が、被相続人と生前に締結した売主を請求人、買主を被相続人とする建物売買契約に伴い被相続人に生じた売買代金相当額の債務(本件債務)は、真正に成立した処分証書が存在し、法的に履行が強制されることから、その全額が相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」に該当する旨主張するのに対し、原処分庁は、本件債務は履行を予定していないことから、その全額が「確実と認められるもの」には該当しない旨主張する。
 しかしながら、本件債務の発生原因となった建物売買契約は、建物の売買金額と相続税評価額との間に生じる差額により相続税の軽減効果が期待できるとの提案があった上で締結されたことからすると、本件債務のうち、売買対象となった建物(本件建物)の経済的価値(評価通達に基づき算出された評価額)に相当する部分については、相続開始日時点における債務としての消極的経済価値を示しているものの、本件建物の経済的価値を超える部分については、いずれ混同により消滅させるべき債務を、いわば名目的に成立させたにすぎないのであるから、相続開始日時点における債務としての消極的経済価値を示すものとはいえない。したがって、本件債務のうち、本件建物の経済的価値に相当する部分については、相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」に該当するものの、本件建物の経済的価値を超える部分については、「確実と認められるもの」には該当しない。

参照条文等

相続税法第14条第1項同法第22条

参考判決・裁決

最高裁昭和49年9月20日第三小法廷判決(民集28巻6号1178頁)

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令和3年6月3日裁決

請求人が、被相続人の借入金が存在しないのに存在するかのように仮装していたとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

裁決事例集 第123集

ポイント

 本事例は、相続税の課税価格の計算上債務控除していた被相続人の請求人からの借入金について、実際に被相続人が請求人から借り入れることとなった経緯が認められ、金銭借用証書の表題の記載からしても借入れが不自然とはいえないことや、当時、被相続人が意思能力に欠ける状態であったとは認定できず同借入れを否定する事情もないなどとして、同借入金がなかったと認めることはできないとして国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定の仮装に該当する事実があったとは認められないとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人が相続税の申告において相続税の課税価格の計算上債務控除をしていた被相続人の請求人からの借入金は、請求人から被相続人ヘ直接送金されておらず、十分な金額の預貯金を有する被相続人が請求人から借り入れする必要も認められないこと等から、借入金が存在しないにもかかわらず、あたかも当該借入金が存在したかのように装って金銭借用証書を作成したことが事実の仮装行為に該当し、国税通則法第68条《重加算税》第1項所定の重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。
 しかしながら、①被相続人の土地の購入資金に係る信用金庫からの融資がとん挫し、請求人が代わりに被相続人に対し金員を貸し付けることとなった経緯が認められ、金銭借用証書の表題に一時的な貸付けであることを意味する「一時」と付されていること等からすれば、請求人が被相続人に同金員の貸付けをしたとしても不自然とはいえないこと、②暫定的に請求人から被相続人に対する貸付けが行われた可能性があるから、請求人から被相続人に直接送金されていないことをもって直ちに被相続人の請求人からの借入れがなかったとはいえないこと、③同金員の貸付けについて被相続人の了解を得ていたことを否定する事情もないことからすれば、被相続人の請求人に対する借入金が存在しなかったとはいえず、請求人が金銭借用証書を作成して、存在しない債務を実際に存在するかのように仮装していたとは認められないから、請求人に国税通則法第68条第1項の「仮装」があったとは認められない。

参照条文等

国税通則法第68条第1項

参考判決・裁決

平成27年10月1日裁決(裁決事例集No.101)

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令和3年5月20日裁決

前住職から請求人への資金移動により相続税法第66条第4項に規定する贈与者である前住職の親族等の相続税の負担が不当に減少する結果になるとは認められないとした事例

裁決事例集 第123集

ポイント

 本事例は、前住職から請求人への資金移動は、相続税法第66条第4項に規定する財産の贈与に該当すると認められるものの、前住職及びその親族が、請求人の業務運営、財産運用及び解散した場合の財産の帰属等を事実上私的に支配している事実は認められないことから、相続税法第66条《人格のない社団又は財団等に対する課税》第4項に規定する贈与者である前住職の親族等の相続税の負担が不当に減少する結果となるとは認められないとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人が相続税法施行令第33条《人格のない社団又は財団等に課される贈与税等の額の計算の方法等》第3項第1号ないし第3号の各要件をいずれも満たしていないことに加え、①前住職から請求人への資金移動(本件資金移動)の時点における請求人の役員の3分の2を前住職及びその親族(前住職ら)で占めており、請求人の業務を自由に裁量できる立場であったこと、②請求人は前住職らに対し、生活費の供与など特別の利益を与えていること、及び③請求人が解散した場合、前住職らに財産が帰属することなどを理由として、前住職から請求人への資金移動により相続税法第66条第4項に規定する贈与者である前住職の親族等の相続税の負担が不当に減少する結果となる旨主張する。
 しかしながら、請求人は上記施行令の規定には該当しないものの、①前住職らによる請求人の業務運営及び財産管理については、請求人の総代が相当程度に監督しているものと認められるほか、前住職らが私的に業務運営や財産管理を行っていたとまでは認められないこと、②前住職らが、本件資金移動の時点において、請求人の財産から私的に生活費などの財産上の利益を享受した事実は見当たらないこと、及び③前住職らが恣意的に請求人を解散し、その財産を私的に支配することができるとはいえないことから、本件資金移動は、前住職から請求人への贈与に該当するとしても、本件資金移動により相続税法第66条第4項に規定する前住職の親族等の相続税の負担が不当に減少する結果となるとは認められない。

参照条文等

相続税法第9条第66条第4項 相続税法施行令第33条第3項

参考判決・裁決

東京高裁昭和49年10月17日判決(行集25巻10号1254頁) 東京高裁昭和50年9月25日判決(行集26巻9号1023頁) 昭和50年9月30日裁決(裁決事例集No.11)

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令和3年3月26日裁決

外国子会社合算税制に係る所得が無申告であった者に対する無申告加算税の賦課決定処分において、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条《国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項を適用したことを適法とした事例

裁決事例集 第122集

ポイント

 本事例は、請求人が、外国子会社合算税制に係る所得の基因となる外国子会社の株式を記載した国外財産調書を提出していなかった場合において、原処分庁が、当該所得に係る無申告加算税の賦課決定処分を行う際に内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条第2項の加重措置を適用したことは適法と判断したものである。

要旨

 請求人は、平成27年12月31日、平成28年12月31日及び平成29年12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有していたと認められるから、平成27年分から平成29年分までにつき、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国送法)第5条《国外財産調書の提出》第1項本文に規定する国外財産調書の提出義務があったにもかかわらず、これらをいずれも法定提出期限内に提出しなかったと認められる。
 したがって、上記各年分の無申告加算税の金額につき、国税通則法第66条《無申告加算税》並びに国送法第6条《国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項の規定に基づいて計算すると、いずれも原処分の各金額と同額となるから、本件の無申告加算税の各賦課決定処分は、いずれも適法である。

参照条文等

内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第2条第7号第5条第1項第6条第1項第2項、同法施行令第11条、同法施行規則第13条

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令和3年3月24日裁決

第三者が何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表を作成した行為は、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当しないとした事例

裁決事例集 第122集

ポイント

 本事例は、第三者が何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表は、当該第三者が請求人の確定申告書を作成するためだけの一時的な補助資料の域を出るものではなく、その作成が、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当すると認めることは困難であるから、重加算税の賦課要件を満たさないとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の申告書を作成した第三者が、何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表(本件試算表)を作成した上で、それを基に作成した確定申告書を提出したことは、請求人の事業所得に係る必要経費の計上について、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為であり、重加算税の賦課要件を満たしている旨主張する。
 しかしながら、当該第三者は、本件試算表を使用して確定申告書を作成した後には、本件試算表を保存しておくことなく、不要なものとして処分しており、また、請求人を含む他者に見せることもなかったものである。そうすると、本件試算表は、当該第三者が確定申告書を作成するためだけの一時的な補助資料の域を出るものではなく、その作成が、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当すると認めることは困難であるから、重加算税の賦課要件を満たさない。

参照条文等

国税通則法第68条第1項

参考判決・裁決

最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)

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令和3年3月24日裁決

第三者が何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表を作成した行為は、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当しないとした事例

裁決事例集 第122集

ポイント

 本事例は、第三者が何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表は、当該第三者が請求人の確定申告書を作成するためだけの一時的な補助資料の域を出るものではなく、その作成が、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当すると認めることは困難であるから、重加算税の賦課要件を満たさないとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の申告書を作成した第三者が、何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表(本件各試算表)を作成した上で、それを基に作成した確定申告書を提出したことは、請求人の事業所得に係る必要経費の計上について、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為であり、重加算税の賦課要件を満たしている旨主張する。
 しかしながら、当該第三者は、本件各試算表を使用して確定申告書を作成した後には、本件各試算表を保存しておくことなく、不要なものとして処分しており、また、請求人を含む他者に見せることもなかったものである。そうすると、本件各試算表は、当該第三者が確定申告書を作成するためだけの一時的な補助資料の域を出るものではなく、その作成が、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当すると認めることは困難であるから、重加算税の賦課要件を満たさない。

参照条文等

国税通則法第68条第1項

参考判決・裁決

最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)

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令和3年3月23日裁決

当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

裁決事例集 第122集

ポイント

 本事例は、請求人が、みなし相続財産である死亡保険金の申告漏れに関し、当該死亡保険金の存在を税理士に伝えなかったことをもって、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとまではいえないことから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税の賦課要件は充足しないとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人が、自身が支払を受けた2口の死亡保険金のいずれもが相続税の課税対象であることを理解しながら、そのうちの1口の死亡保険金(本件保険金)に関する資料を税理士に交付せず、本件保険金を含めない申告書を当該税理士に作成・提出させたことは、当初から財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたといえるから、重加算税の賦課要件を充足する旨主張する。
 しかしながら、請求人及び被相続人が受けた本件保険金を扱う銀行の担当者の説明によると、請求人は、本件保険金が相続税の課税の対象とならないものと誤解した可能性が否定できず、この誤解に基づいて、本件保険金の存在を税理士に伝えなかった可能性も否定できない。また、請求人は、調査の初日に本件保険金の入金事績が記録された請求人名義の銀行口座に係る通帳を原処分庁の調査担当職員に提示するなど、本件保険金の入金の事実を調査担当職員に対して隠そうとはしていなかったことが認められ、この事実は、上記誤解があった可能性を高める事実といえる。
 したがって、請求人が本件保険金の存在を税理士に伝えなかったことをもって、請求人が当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとまではいえず、重加算税の賦課要件は充足しない。

参照条文等

国税通則法第68条第1項

参考判決・裁決

最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)

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令和3年3月4日裁決

請求人の事業所得の金額を推計するに当たり、原処分庁が採用した類似同業者の抽出基準及び抽出方法に一応の合理性があるとした事例

裁決事例集 第122集

ポイント

 本事例は、推計の基礎数値である収入金額の異動により、審判所の認定額が原処分額を下回ったため、原処分の一部を取り消したものである。

要旨

 請求人は、請求人の事業は自動車整備業のみで、自動車販売は附帯的に行っているだけであるから、原処分庁が、自動車整備業及び自動車販売業を営む者を類似同業者の抽出基準としていることには合理性がない旨主張する。
 しかしながら、請求人は、自動車整備業だけでなく自動車の販売も行っていると認められる以上、原処分庁が、類似同業者の抽出基準において、自動車整備業及び自動車販売業を営む者を請求人の類似同業者としたことは相当である。なお、請求人の収入金額の異動により、審判所の認定額が原処分額を下回ったため、原処分の一部を取り消した。

参照条文等

所得税法第156条

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令和3年3月1日裁決

当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

裁決事例集 第122集

ポイント

 本事例は、請求人が、みなし相続財産である死亡保険金の申告漏れに関し、その存在を一旦は認識していたものの、申告までの間に失念等した可能性を直ちには否定できず、また、請求人が、当初から当該死亡保険金をあえて申告から除外することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたともいえないことから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税の賦課要件は充足しないとしたものである。

要旨

 原処分庁は、申告漏れとなっていた死亡保険金(本件死亡保険金)について、請求人が、自身でその支払請求手続を行ったこと、原処分庁の調査担当職員に本件死亡保険金の存在を伝えなかったことなどから、本件死亡保険金の存在を認識しつつ、それをあえて申告していないから、過少に申告する意図を有していたといえ、また、本件死亡保険金の存在を関与税理士等に説明せず、関係資料の提示もしなかった行為は、本件死亡保険金を相続税の申告財産から除外するという過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動に該当するものとして、重加算税の賦課要件を充足する旨主張する。
 しかしながら、請求人が当初は生命保険契約に係る申告すべき保険金は同じ保険会社の別件の申告済の保険金(本件申告済保険金)のみであると誤認していたことに加えて、本件申告済保険金及び本件死亡保険金の請求手続は、請求人が仕事で多忙な中でその合間に行われたものであることなどからすると、請求人が、本件死亡保険金について、その存在及び申告が必要な相続財産であることを一旦認識したものの、相続税の申告までの間に、本件死亡保険金の存在とこれについても申告が必要であることを失念ないし誤認した可能性を直ちに否定することはできない。さらに、関与税理士等とのやりとりの経過等を見ても、請求人が当初から本件死亡保険金をあえて申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたともいえないため、重加算税の賦課要件は充足しない。

参照条文等

国税通則法第68条第1項

参考判決・裁決

最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)

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令和3年2月5日裁決

みなし相続財産に該当する生命保険金が申告漏れとなったことにつき、請求人が殊更過少な相続税申告書を提出したとは認められないとした事例

裁決事例集 第122集

ポイント

 本事例は、相続税の重加算税を賦課する場合の殊更過少な相続税申告書を提出したか否かの認定に当たっては、請求人や税理士の証言の一部分をもって判定するのではなく、その証言内容を裏付けるに足る事情の存在を含めて判定すべきとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人が一部の生命保険金について相続税の申告すべき財産であることを十分認識していたにもかかわらず、関与税理士に対してその存在を殊更に秘匿したことなどに照らせば、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。
 しかしながら、同税理士は関係資料等の提出時や申告書の作成時に請求人に対して具体的な確認等をしていなかった上、その他に、請求人が同税理士に対して殊更にその存在を秘匿したと裏付けるに足りる事情も存在しないことなどに照らせば、請求人が当初から過少申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたような場合に該当するとまでは認められないから、同項に規定する重加算税の賦課要件を満たすとはいえない。

参照条文等

国税通則法第68条第1項

参考判決・裁決

最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)

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令和3年1月20日裁決

源泉所得税の納付が法定納期限後になったことについて、その納付が、告知があるべきことを予知してされたものではないと認められた事例

裁決事例集 第122集

要旨

 原処分庁は、請求人が法定納期限を徒過して源泉所得税等を納付したことについて、当該納付は調査担当職員が実地調査の日程調整を依頼した際に行った源泉徴収義務の存否に関する発言(本件発言)を起因としたものであり、その後の調査が進行すれば告知に至るであろうことを予知して行ったものであるから、国税通則法第67条《不納付加算税》第2項に規定する「当該国税についての調査があったことにより当該告知があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当しない旨主張する。
 しかしながら、当該規定の適用に係る判断に当たっては、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、納付に至る経緯、納付と調査の内容との関連性等の事情を総合考慮して判断するのが相当であるところ、調査担当職員が署内調査を行い、実地調査の日程調整を依頼した時点では、その後の調査の進行により、やがて納税の告知に至る可能性が高い状況にあったといえるものの、本件発言からは、具体的な取引内容や調査対象期間も示されず、そのため、請求人は署内調査の内容・進捗状況を具体的に認識していないと認められ、さらに、請求人が当該納付を自主的に行ったと認められるから、当該納付と署内調査との関連性も乏しいと言わざるを得ない。したがって、当該納付は、同項に規定する「当該国税についての調査があったことにより当該国税について当該告知があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当する。

参照条文等

国税通則法第67条第2項

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