裁決事例 平成13年(2001年)
居住の用に供していた当該家屋を遺産分割により取得した者は租税特別措置法69条の3第2項に規定する「所有家屋に居住したことがない者」に当たらず、また、遺言執行費用を課税価格の計算上控除することはできないとした事例
裁決事例集 第62集 412頁
要旨
請求人は、本件相続により取得した本件土地につき、租税特別措置法第69条の3に規定する特定居住用宅地等に該当する旨主張するが、本件のように、被相続人と同居していた相続人がいない場合に同特例の適用を受けるには、本件土地を取得した相続人が「相続開始前3年以内に相続税法の施行地内にあるその者又はその者の配偶者の所有する家屋に居住したことがない者」であることが要件となるところ、請求人は、同期間において、前回の相続に係る未分割財産であった本件マンションに配偶者と共に居住し、その後、それに係る遺産分割によって同マンションを取得したもので、民法第896条及び第898条の規定により、請求人は上記要件に該当しないことになるため、本件土地は特定居住用宅地等に該当しない。
請求人は、民法上、遺言の執行に関する費用は相続財産の負担とされているから、本件遺言執行費用は相続税の課税価格の計算上控除できる旨主張するが、本件遺言執行費用は、本件弁護士と請求人との合意に基づき相続開始後に発生するものであるから、被相続人の債務ではなく、また、本件被相続人に係る葬式費用でもないから、課税価格の計算上、取得財産から控除することはできない。
自己が勤務する法人の親会社から付与されたストック・オプションに係る経済的利益は、請求人の非独立的ないし従属的な人的役務の提供の対価としての性質を有するから給与所得に該当するとした事例
裁決事例集 第62集 92頁
要旨
請求人は、自己が勤務しているK社の親会社であるG国法人H社から付与されたストック・オプションに係る経済的利益は、H社と雇用関係にないこと等から、一時所得に該当する旨主張する。
しかしながら、本件ストック・オプションは、H社のストック・オプションプランに基づき、請求人へストック・オプション付与契約書により付与されているところ、本件プラン及び本件付与契約書に記載された各規定のとおり、本件プランの目的として、人材の確保と当該人材に対する追加的インセンティブの供与が掲げられていること、本件ストック・オプションは、請求人が本件従業員等(H社及びH社の子会社の役員及び従業員をいう。)であることを前提に、対価として付与されたものであること、その行使は、請求人の本件従業員等としての一定期間の勤務をもって可能となること、その譲渡等は原則として禁止されていることが認められる。
これらのことからすると、本件利益は、請求人が本件従業員等たる地位に基づき、H社の株式を購入することができる権利を同社から付与され、本件従業員等として一定期間勤務することにより、これを行使して得たものであるということができる。換言すれば、本件利益は、請求人が、専らK社に勤務することに基づいて得られた経済的利益、すなわち、請求人の非独立的ないし従属的な人的役務の提供の対価としての性質をもった所得ということができるから、給与所得に該当すると解するのが相当である。
要旨
請求人は、本件独占販売権は、E国のG社から取得したものであるが、本件独占販売権に基づき、本件譲受け直前まで日本国内で営業活動をしていたのはG社の日本子会社H社であり、H社のノウハウ、人的資源等も引き継いでいることから「これらの権利に係る事業を行う者の住所地」は、H社の住所地(日本)であると認められ、本件独占販売権を取得した取引は、消費税法上、国内取引に当たると主張する。
しかしながら、本件支払金は、G社が保有する本件製品の独占販売店の権利の価値(独占販売により稼得することができる将来の収益)を認めてG社へ支払われたものであり、G社が本件独占販売権をH社又は請求人に付与することによって、G社自体が本件独占販売権に係る事業を行っていると認められる。そうすると、本件独占販売権の譲渡者であるG社の所在地はE国であるので国外取引となり、課税仕入れに該当しない。
租税特別措置法第41条第1項及び租税特別措置法施行令第26条第2項に規定する建築の意義には増改築も含まれると解すべきであるから住宅借入金等特別控除の適用要件に該当するとの請求人の主張を排斥した事例
裁決事例集 第62集 173頁
要旨
請求人は、建築基準法における建築には増改築が含まれるから、租税特別措置法(以下「措置法」第41条第1項及び租税特別措置法施行令(以下「措置法施行令」第26条第2項(以下、両規定を併せて「本件措置法規定等」という。)に規定する建築にも増改築が含まれると解すべきである旨主張する。
しかしながら、本件措置法規定等に規定する建築には、下記のとおり、増改築は含まれず、建築基準法における建築の意義とは別意に解するのが相当であり、請求人の主張は採用できない。
(1)措置法第41条第1項は、居住者が、[1]居住用家屋の新築、[2]居住用家屋で建築後使用されたことのないものの取得、[3]居住用家屋で建築後使用されたことのある家屋で政令で定めるものの取得、[4]その者の居住の用に供している家屋で政令で定めるものの増改築等をし、これらの家屋をその者の居住の用に供した場合において、一定の要件の下に、住宅借入金等特別控除の適用をする旨規定している。
(2)上記(1)の[3]の政令で定めるものは、措置法施行令第26条第2項第3号の規定によれば、当該家屋が耐火建築物である場合には、その取得の日以前25年以内に建築されたものであるとされている。
(3)上記(1)の[4]の「増改築等」とは、措置法第41条第4項において、当該居住者が所有している家屋につき行う増築、改築その他の政令で定める工事で当該工事に要した費用の額が百万円を超えるものであることその他の政令で定める要件を満たすものである旨規定している。
(4)措置法第41条第1項の規定から判断すると、上記(1)の[1]は、居住者自らが建築主となって新築した建物について規定し、[2]及び[3]は、居住者以外の者が建築した建物で居住者が承継取得したものについてそれぞれ規定したものであって、建物の建築後、居住の用に供されたことのない建物は[2]に、居住の用に供されたことのある建物は[3]に該当し、また、現に居住している者がその建物に増改築等をした場合が[4]に該当することになる。
(5)また、住宅借入金等特別控除は、住宅政策の一環として、個人の持家取得の促進及び居住水準の向上を図ることなどを目的として設けられた制度であり、上記(1)の[3]の既存住宅の取得については、その良質性を確保する趣旨から、上記(2)のとおり、建築後の経過年数に一定の制限が加えられている。
(6)ところで、建築基準法第1条《目的》は、同法は国民の生命、健康及び財産の保護を図るため、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関して守られるべき最低の基準を定めた法律である旨規定しており、その趣旨目的は、上記(4)の住宅借入金等特別控除のそれとは異にしているから、本件措置法規定等の適用については必ずしも建築基準法における用語の意義をそのまま引用しなければならないものではない。
(7)上記(2)から(6)までに述べたことから判断すると、本件措置法規定等に規定する建築には増改築は含まれないと解するのが相当である。
請求人が採用した個別対応方式における課税資産の譲渡等に要するものとその他の資産の譲渡等に要するものとの区分方法は合理的基準の一つであるとして、異議決定で採用した一括比例配分方式による計算を排斥した事例
裁決事例集 第62集 462頁
要旨
原処分庁は、請求人が不動産の賃貸収入に係る課税仕入れの消費税額を個別対応方式により計算して申告したことについて、建物の建築費が「課税資産の譲渡等に要するもの」と「その他の資産の譲渡等に要するもの」に明確に区分されていないので、一括比例配分方式により課税仕入れの消費税額を計算すべきであると主張する。
しかしながら、請求人の建物の建築費の区分方法は、当該建築費の大部分を共通の資産の譲渡等に要するものであると認識した上で、これを建物の使用面積割合で課税資産の譲渡等に要するものと、その他の資産の譲渡等に要するものに区分するというものであって、合理的な基準の一つであると認められるところ、請求人の個別対応方式による課税仕入れの消費税の計算は正当である。
要旨
- 請求人は、法人税法第11条《実質所得者課税の原則》によりパナマ子会社の損失を請求人の所得金額に合算したものであり、また、「船舶所有権等に関する契約公正証書」によれば当該外航船舶の所有権は請求人にあると認められることからも、本件には租税特別措置法(以下「措置法」という。)第66の6条《内国法人に係る特定外国子会社等の留保金額の益金算入》は適用されないと主張する。
しかしながら、船舶は子会社の所有であること、また、法人税法第11条と措置法第66の6とはそれぞれ独立した規定として存在することが意図されているといえ、両者の適用関係が競合する場合には、まず、法人税法の特別法である措置法の規定が適用されることから、請求人の主張には理由がない。 - 請求人は、仮に、措置法第66の6の規定が適用されるとしても、パナマ子会社は株式を発行しておらず、同法第2項第1号の規定によって「発行済株式等」の保有割合を基準に判定される外国関係会社ひいては特定外国子会社等にも当たらないので、この点からも請求人にはタックスヘイブン対策税制の適用はないと主張する。
しかしながら、パナマ会社法は、発起人による「株式を取得することの合意」によって法人が設立でき、株式の発行自体が設立要件となっていないことからすると、パナマ法人が請求人の特定外国子会社等であるというためには、請求人が当該取得に合意した株式を所有していることが要件であるところ、[1]パナマ法人の設立時の役員が請求人の役員であること、[2]請求人が同社設立時の商業登記簿謄本の写しを保管していること、[3]請求人は、同社の発起人からなんらの権利を主張されることなく、支障なく業務運営を遂行していること及び[4]パナマ会社法においては株主が会社運営に直接関与する場合があることからすれば、発起人と請求人との間では、発行予定株式等の全部の譲渡に関する契約ないしこれに類する契約が黙示的にせよ締結されたものと推認されるから、このことによって請求人はパナマ法人を支配し得る単位化された物的持分としての法的地位を承継したものと認めるのが相当であることから、請求人の主張には理由がない。 - 請求人は、原処分は従来の法令の解釈を変更して突如としてなされ、一貫性を欠く恣意的な処分であるとし、また、請求人に対して「タックスヘイブン対策税制により申告すべし」との原処分庁の指導がなかったことから、信義誠実の原則に反すると主張する。
しかしながら、請求人がパナマ子会社の損失を所得金額に合算して申告したのは、請求人自身の独自の法令解釈により判断した結果であり、また、原処分庁は、請求人に対して「パナマ子会社についてタックスヘイブン対策税制が適用されない」という公式見解を示したことはないことから、信義誠実の原則が適用される余地はなく、請求人の主張には理由がない。
三者間で行った本件土地の交換は、所得税基本通達33-6の6《法律の規定に基づかない区画形質の変更に伴う土地の交換分合》に該当し、譲渡がなかったものとして取り扱われるとした事例
裁決事例集 第62集 130頁
要旨
原処分庁は、所得税基本通達33-6の6《法律の規定に基づかない区画形質の変更に伴う土地の交換分合》(以下、「本件通達」という。)にいう土地の区画形質の変更とは、一団の土地の登記地番及び所有権に基づく区画に対して、道路その他の公共施設の整備、不整形地の整理等によって区画を適正にし、土地の形状・土質を改良して適正な宅地を造成することをいうとの解釈に基づき、本件交換は、本件一団の土地全体について造成が行われておらず、請求人らがそれぞれ所有する各画地について行った造成工事は、区画形質の変更に際して行われたものではないので本件通達に定める交換分合には該当しない旨主張する。
しかしながら、本件通達の取扱いは、その経済実態から、土地所有者相互間における相隣関係の問題として単に土地の境界線を整理しただけとか不整形地であったところに道路を付け区画を整理するというのであれば、その土地の交換分合が土地所有者相互間において必要最小限の範囲内で行われた場合には、税務上はその交換分合による土地の譲渡はなかったものとする趣旨であり、本件通達にいう土地の区画形質の変更とは、土地の区画を整理し、又は土地の形状及び土質を変更し、利用しやすい土地にすることをいうと解され、必ずしも土地の形質の変更を伴わなければならないというものではない。
本件交換は、本件通達に定める、一団の土地の利用増進を図るために行う土地の区画形質の変更に際し、相互にその区域内に所有する土地の交換分合を行った場合に該当し、四囲の状況からみて必要最小限の範囲内で行われた交換分合にも当たると認めるのが相当である。
そうすると、本件交換は本件通達に定める交換分合に該当し、譲渡がなかったものとされるから、本件更正処分はその全部を取り消すべきである。
要旨
請求人は、差押調書に記載された滞納税額に誤りがあるので、差押調書に瑕疵があり、瑕疵ある差押調書に基づいて行われた差押処分は無効である旨主張する。
しかしながら、数個の租税債権を差押債権として行われた差押処分は、各租税債権ごとに数個の差押処分が競合するものではなく、差押処分は1個であり、従って、原因となった租税債権の一部に数額の誤りがあっても、そのことによって、直ちに差押処分の効力が左右されるものではないと解されるところ、本件については、本件差押調書に記載された滞納国税の合計額は、その誤りが特に大きいとはいえないこと、及び滞納税額に誤りがなければ本件差押物件を差し押さえなかったであろう特段の事情があるとは認められないことからすれば、本件差押調書の滞納税額の記載の一部に誤りがあったというだけで、本件差押処分が無効ということはできない。
固定資産課税台帳上の地目が現況と異なることは「特別の事情」に当たり、その不動産の価額は、当該「特別の事情」を考慮して、登記官が認定することになるとした事例
裁決事例集 第62集 471頁
要旨
請求人は、本件土地の所有権移転登記に係る登録免許税の課税標準の基礎となる額につき、本件土地の状況は元所有者が現況を確認した平成4年4月22日以前から請求人が登記した平成12年5月1日及びその後も変わりないから、本件土地の価額は平成12年度の台帳価格をもって算定すべきである旨主張する。
しかしながら、原処分庁が現地調査の結果認定した本件土地の地目と固定資産課税台帳上の地目とが異なっていたものであり、この事実は租税特別措置法施行令第44条の3第2項に規定する「特別の事情」に該当するため、本件にあっては、台帳価格を基礎とすることができず、台帳価格を基礎とし、当該事情を考慮して登記官が認定した価額によることとなる。
要旨
請求人は、その経営する介護専用型有料老人ホームの入居者から収受した本件入居一時金の収益の計上時期につき、契約上、契約終了時にその返還義務を免除されるとされており、返還義務は入居契約時から契約終了までの間常に存在するから、本件入居一時金は契約終了時の収益に計上すべきであると主張する。
しかしながら、本件入居一時金は、入居者が終身にわたって介護を受ける権利を取得するために支払われるものであり、そして、請求人は、それについて特定保管の義務を負わず、実際にもホームの運転資金に当てられており、本件入居一時金を自己の所有として自由に利用できたものであるから、本件入居一時金はそれを収受した日の属する事業年度の益金の額に算入すべきである。
要旨
請求人は、簡易課税制度選択届出書の提出に当たって、原処分庁から簡易課税に関する説明が一切なかったことから、簡易課税とは単に消費税を算出する計算過程が簡単になるという認識しかなく、その提出は錯誤によるものであり無効であるから、本件課税期間について本則課税を認めるべきであると主張する。
しかしながら、簡易課税制度選択届出書が錯誤により無効となるのは、請求人の錯誤が、客観的に明白かつ重大なものである場合に限られると解すべきところ、本件簡易課税制度選択届出書は、本件課税期間から適法にその効力を有しているものと認められ、また、請求人はグループの営業担当者から消費税等の届出書の提出について指導を受けていることから、簡易課税制度の内容については十分知りえたものと認められる。
したがって、本件簡易課税制度選択届出書の提出は、請求人自身の判断に基づいてなされたものであり、提出に当たって請求人に本件簡易課税制度選択届出書の提出が無効となるような客観的に明白かつ重大な錯誤があったとは認められないから、請求人の主張には理由がない。
一時払いの生命保険契約上の権利を退職金の一部として受領し、その後当該生命保険契約を解約したことにより解約返戻金を受領した場合の一時所得の金額の計算上控除する金額は、一時払いした保険料に限られず、退職所得として課税された退職時における当該生命保険契約の解約返戻金相当額であるとした事例
裁決事例集 第62集 161頁
要旨
原処分庁は、請求人が法人役員を退任した際に生命保険契約上の権利を退職金の一部として一時払いの生命保険契約の契約者及び受取人の名義を請求人に変更することにより受領し、その後当該生命保険契約を解約したことにより解約返戻金を受領した場合、所得税法第34条第2項に規定する一時所得の金額の計算上控除する金額は、所得税法施行令第183条第2項に規定するとおり法人が一時払いした保険料に限られ、請求人が退職所得として課税された退職時における当該生命保険契約の解約返戻金相当額ではない旨主張する。
しかしながら、所得税法施行令第183条第2項は、生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の金額の計算方法を完結的・網羅的に規定したものではなく、同項第2号は、生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の金額の計算上、保険料総額のみしか控除できない旨を規定した特例規定ではないものと解され、当該一時金に係る一時所得の金額の計算に当たっては、保険料総額以外に所得税法第34条第2項に規定する収入を得るために支出した金額がある場合には、その支出した金額を一時所得に係る総収入金額から控除できるものと解される。
一時所得の金額の計算上控除する金額については、一般には保険料の額と解するのが相当であるとしても、本件においては、本件退職時解約返戻金相当額が保険料総額を上回っており、その上回った金額を含めて退職所得課税の対象となっていることから、その上回った金額は、所得税法第34条第2項に規定する一時所得の金額の計算上収入を得るために支出した金額に含まれると解するのが相当である。
簡易課税制度選択届出書の提出があり、その後簡易課税制度不適用届出書の提出がないので、本件課税期間については簡易課税制度を適用した更正処分等は適法であるとした事例
裁決事例集 第62集 435頁
要旨
請求人は、設備投資に係る消費税等の還付を受ける目的で、本則課税を適用して申告したものであるが、消費税等の還付が受けられないのであれば本件申告書の取り下げを認めるべきであり、簡易課税制度を適用して行った更正処分等は違法、不当であると主張するが、本件申告書は、法令の規定に従った適法なものであり、自ら自由に取り消し、撤回をすることは許されず、また、請求人は簡易課税制度選択届出書を提出しているが、その後簡易課税制度不適用届出書の提出がないので、簡易課税制度を適用して行った更正処分等は適法である。
1月4日は国税通則法第10条第2項に規定する「その他一般の休日」に該当しないとして、審査請求人の年始の営業開始日である平成12年1月5日(水曜日)に提出された消費税及び地方消費税の確定申告書は期限後申告に該当するとしてなされた無申告加算税の賦課決定処分を適法と認定した事例
裁決事例集 第62集 16頁
要旨
請求人は、請求人をはじめとする出版業界では、年始の1月4日までを休日としており、1月4日は一般国民が慣行上休日としている一般の休日に該当するので、平成12年1月5日に提出した本件確定申告書は期限内申告である旨主張する。
しかしながら、一般の休日とは、日曜日、国民の祝日以外の全国的な休日をいい、1月2日及び3日は、この一般の休日に該当すると解されるが、1月4日については、年始の休日としている企業等が見受けられるとしても、行政機関及び金融機関等においては必ずしも休日とはされていないのであり、一般国民の慣行上の休日には当たらないと解されるので、国税通則法第10条第2項に規定する一般の休日には該当しないというべきである。
したがって、本件確定申告書の法定申告期限は、消費税法第45条第1項及び通則法第10条第2項の規定により、平成12年1月4日であるから、同月5日に提出された本件確定申告書は期限後申告書に該当する。
要旨
請求人は、平成11年中に支払った通勤費相当額は、給与収入を得るために必ず発生する必要な費用であるから、非課税所得として給与収入から除外するべきである旨主張する。
しかしながら、非課税所得となる通勤手当は、給与所得を有する者で通勤するものがその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるものと規定されているところ、請求人が勤務する派遣会社は請求人に対して、このような通勤手当を支給していないため、請求人が平成11年中に支払った通勤費相当額があるとしても、これを非課税所得として給与収入から除外することはできない。
簡易課税制度選択事業者が、消費税の経理処理につき税抜経理方式をとっているからといって、本則課税による仕入れ税額控除が認められることにはならないとした事例
裁決事例集 第62集 444頁
要旨
新設法人で、かつ、簡易課税制度選択届出書を提出している請求人は、消費税等の経理処理について税抜経理方式をとっているから本則課税を認めるべきであると主張するが、当該届出書は本件課税期間を適用開始課税期間として適法にその効力を有しており、かつ、本件課税期間から事業を開始しているから、基準期間のない本件課税期間においては簡易課税制度を適用しなければならず、本則課税を適用する余地はない。
役員退職給与等の支給及びその金額について社員総会の承認を要する場合、その支給等に関する役員規定の理事会における承認をもって、本件死亡退任役員に係る退職慰労金等の債務が確定したということはできないとした事例
裁決事例集 第62集 258頁
要旨
請求人は、本件事業年度において、損金経理により未払金に計上した死亡退任した役員に対する役員退職慰労金及び弔慰金(本件退職慰労金等)の額は平成8年5月31日に開かれた理事会の決議に基づき制定された「役員規定」に依拠しているから、本件退任の事実をもって、本件退職慰労金等の支給金額が具体的に確定する旨主張する。
しかしながら、法人税法第22条第3項第2号には、原則として、債務の確定した費用のみを損金の額に算入する旨規定されているところ、本件役員規定において、役員退職慰労金等は社員総会の承認を得て支給する旨、退職慰労金等の額は社員総会において承認された額とする旨が定められているから、退職慰労金等を支給するか否か、及び支給金額を幾らとするかについては、いずれも社員総会の承認に委ねられていることが明らかであり、そして、本件事業年度中に、本件退職慰労金等の支給に関して社員総会で何ら決議がされていない以上、本件役員の退任を原因として、本件退職慰労金等の額が自動的に決せられ、請求人がその支払い義務を負うことになると解することはできず、本件事業年度中に、本件退職慰労金等に係る債務が確定したということはできない。
試験研究費の額が増額した場合等の法人税の特別控除(租税特別措置法第42条の4)について、修正申告により増加した法人税額に対応する控除の増額は認められないとした事例
裁決事例集 第62集 284頁
要旨
請求人は、租税特別措置法(平成9年法律第22号による改正前のもの)第42条の4《試験研究費の額が増加した場合等の法人税額の特別控除》第3項に規定する法人税の特別控除について、自主的に提出した修正申告により増加した法人税額に対応する金額については控除が認められるべきである旨主張するが、同項の適用については、「確定申告書等」にその控除を受ける金額の記載があり、かつ、当該金額の計算に関する明細書の添付がある場合に限られ、また、その控除される金額は、「当該申告に係るその控除を受けるべき金額」とされており(同条10項)、そして、ここにいう「確定申告書等」については、法人税法第2条第30号に規定する中間申告書及び同法第31号に規定する確定申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)とされ(措置法第2条第2項第11号)、「確定申告書等」には修正申告書が含まれないものであるから、請求人の主張には理由がない。
なお、「当該申告に係るその控除を受けるべき金額」とは、当該申告書に記載された控除税額そのものでなく、当該申告書に記載された事項を基礎として計算される正当額をいうものと解される。
税法の改正により減価償却資産の耐用年数が短縮された場合の減価償却費の処理方法については、明文の規定がなく理論により決するほかないとの請求人の主張が排斥した事例
裁決事例集 第62集 49頁
要旨
請求人は、税法の改正により減価償却資産の耐用年数が短縮された場合の減価償却費の処理方法については、明文の規定がなく理論により決するほかない旨主張する。
しかしながら、所得税法第49条、所得税法施行令第120条、第129条、第131条、耐用年数省令第1条、第4条及び平成10年改正省令附則第2項等の規定が存在するのであって、これらの規定によれば、税法に規定する耐用年数とは、その期間内で償却を完了させるということを意味するものではなく、減価償却費の額を算定するために必要な償却率を算出するための基礎となるものにすぎないと解するのが相当であり、このことは、税法の改正により耐用年数が短縮された場合においても何ら変わるものではないから、原処分庁が、本件建物の期首帳簿価額に、本件改正後の耐用年数に対応する償却率を乗ずることによって本件減価償却費の額を算定したことは適法である。
請求人は、株式譲渡契約に係る債務不履行を理由として約定解除権を行使した後、相手方との合意によりそれを撤回したと認められるから、その解除による違約金の取得に係る収益は、解除権行使の効力が生じた日の事業年度に帰属すると判断した事例
裁決事例集 第62集 236頁
要旨
請求人は、本件解除通知書の送付後も、本件株式譲渡契約に係る交渉が譲受人との間で継続されていたもので、その後における、本件覚書の作成時に同契約を解除した旨主張する。
しかしながら、当該交渉は、本件株式譲渡契約の法律関係を維持するために継続されていたというよりも、新たな譲受人に本件株式を譲渡するための契約締結の準備行為として行われていたものと認められ、そして、本件覚書による合意は、請求人による解除権の行使及び違約金の取得が有効にされたことを前提として、双方の合意により、その解除の意思表示を撤回したものと認められるから、本件解除による違約金の取得に係る収益は本件解除通知書が譲受人に到達した日(解除権行使の効力が生じた日)の属する本件事業年度に帰属する。
請求人は、株式譲渡契約に係る債務不履行を理由に約定解除権を行使した後、相手方との合意によりそれを撤回したと認められるから、その解除による違約金の取得に係る一時所得の収入すべき時期は、解除権行使の効力が生じた日であると判断した事例
裁決事例集 第62集 145頁
要旨
請求人は、本件解除通知書の送付後も、本件株式譲渡契約に係る交渉が譲受人との間で継続されていたもので、その後における、本件覚書の作成時に同契約を解除した旨主張する。
しかしながら、当該交渉は、本件株式譲渡契約の法律関係を維持するために継続されていたというよりも、新たな譲受人に本件株式を譲渡するための契約締結の準備行為として行われていたものと認められ、そして、本件覚書による合意は、請求人による解除権の行使及び違約金の取得が有効にされたことを前提として、双方の合意により、その解除の意思表示を撤回したものと認められるから、本件解除により取得した違約金は一時所得の収入金額に当たり、その収入すべき時期は、本件解除通知書が譲受人に到達した日(解除権行使の効力が生じた日)である。
法人成りしたことに伴い個人事業を廃止した年分の必要経費に算入した従業員退職金(預り金経理)は必要経費に算入できないとする原処分庁の主張を排斥した事例
裁決事例集 第62集 76頁
要旨
原処分庁は、請求人が個人事業を廃止していわゆる法人成りしたことに伴い個人事業を廃止した年分の必要経費に算入した従業員退職金について、退職金支給規定の支払事由に法人成りの定めがないこと及び労使協定書に従業員の有する全ての権利義務が法人へ承継される旨規定されていることから、従業員退職金の支払債務は法人成り後の退職金支給規定に規定された支給事由が生じたときに初めて発生すると解するべきであり、また、請求人らが預り金として会計処理した従業員退職金は実質的には未払金であり、長期にわたる未払いは経済的合理性を欠くものであるから、従業員退職金の債務は成立しておらず、必要経費に算入することはできない旨主張する。
しかしながら、関係者の答述及び従業員全員が請求人らに提出した退職所得の受給に関する申告書から、従業員退職金の支払について、労使間で事前の協議が整い、従業員にその協議内容を周知し、請求人らは従業員の了解の下に退職所得の受給に関する申告書の提出を受けたものと認められるから、従業員退職金の支払債務は成立していると判断するのが相当であり、退職金支給規定の記載内容の一部のみを取り上げて従業員退職金の債務が成立していないと判断することはできないから、従業員退職金を必要経費に算入できないとした更正処分はその全部を取り消すのが相当である。
本件寺院は人格のない社団に該当すると認められるから、信徒が伽藍新築工事のために寄附した金銭は寺院に帰属するとして、当該金銭を住職の事業所得として課税した原処分を取り消した事例
裁決事例集 第62集 37頁
要旨
原処分庁は、本件寺院は法人格もなく、権利能力なき社団にも該当しないことから、本件寺院の信徒が伽藍新築工事のために寄附した金銭は、本件寺院の住職である請求人の事業所得に係る総収入金額を構成する旨主張する。
しかしながら、本件寺院の寺院規則及び運営状況等から判断するに、本件寺院の実態は、[1]共同の目的、[2]組織、[3]団体の存続、[4]運営、[5]財産の管理等において、実質的に権利能力なき社団の要件を備えていることから、本件寺院は、税法上の人格のない社団等に該当すると認められる。
したがって、信徒が寄附した金銭は、本件寺院に帰属することから、原処分庁の主張は採用できない。
要旨
請求人は、給与等の収入金額から支出した通勤費、宿泊費、衣服費、交際費、新聞雑誌費などの金額(以下「本件支出」という。)を必要経費として実額計算で控除すべきである旨主張するが、給与所得の算定に当たって実額で給与所得を求めるべきものとする法令の定めはないから、この点に関する請求人の主張には理由がない。
また、請求人は、本件支出が給与所得者の特定支出の控除の特例(以下「本件特例」という。)に該当するのであれば、その該当部分について本件特例を適用し、給与所得控除額を超える部分の金額を控除すべきである旨主張するが、本件確定申告書には、本件特例の適用を受ける旨及び特定支出の額の合計額の記載がなく、かつ、領収を証する書類その他の当該支出の事実及び金額を証する書類の添付もない上、本件確定申告書の提出の際にこれを提示した事実もないなど、本件支出は、本件特例の適用要件を満たしていない。
なお、請求人は、形式的判断で課税をするのではなく、常識的に必要な費用であるという実態を理解してほしい旨主張する。
しかしながら、給与所得の算定に当たって実額で給与所得を求めるべきものとする法令の定めがないことは先に述べたとおりである。
また、本件特例の控除の対象とされる特定支出の範囲もサラリーマン特有の支出として限定的なものとされているところ、本件支出のうち該当すると見る余地がある支出は旅費交通費と自家用車諸費用及びタクシー利用等の支出の合計額に限られるが、仮に当該金額が本件特例の要件に該当するとしても、当該金額が請求人の給与等に係る給与所得控除額を超えないことは明らかであるので、いずれにせよ本件特例を適用することはできない。
要旨
請求人は、本件費用の支払先等は明らかにできないが、本件費用は事業の継続を確保するうえで必要であるから損金の額に算入されるべきである旨主張するが、法人税法第22条第3項の規定により損金の額に算入される費用は、その支払先及び使途が明らかであることを要するところ、請求人は当審判所にそれを明らかにする具体的資料を提出せず、また当審判所の調査によってもそれを確認することができないことから、本件費用は損金の額に算入することはできない。
要旨
請求人は、地方自治法1条の2第3項に規定する特別地方公共団体の財産区(自治法上の財産区)に該当するから、その所有地の賃貸につき法人税の納税義務を負わない旨主張する。
しかしながら、請求人においては、その定例会がその議決機関とされ、区長及び役員が執行機関とされていること、請求人の収入及び支出は町の予算及び決算に編入されていない(町と別に決算を行っている)こと等の事実を総合すると、請求人は、名称こそ財産区と称しているが、その実態は自治会であり、法人税法上の人格のない社団等に該当すると認められるため、その所有地に係る不動産賃貸業(収益事業)につき、法人税の納税義務を負う。
要旨
請求人は、本件相続税の計算に当たり、本件被相続人の所有する本件土地に請求人の自宅を昭和52年に新築する際、被相続人と請求人との間で借地契約を締結し、これに基づき地代を支払っていたことなどから、本件土地は貸地(底地)である旨主張する。
しかしながら、本件土地の利用関係は、権利金の授受がなされておらず、かつ、地代の額が近隣の相場の半分以下であること、被相続人から請求人らに対して地代の額を上回る相当額の生活費の支払や現金の贈与がなされていることなどから、親子という特殊関係に基づく使用貸借であって、賃貸借ではないと解するべきである。
要旨
請求人は、揮発油税法の規定からすると、単なる混和が製造に当たらないと主張するが、揮発油税法では、揮発油の製造に関し、同法第6条に製造とみなす場合について規定しているほかに明確な定義規定が設けられておらず、「製造」の定義については社会通念に照らして解釈する必要があるところ、社会通念による製造の概念は、材料又は原料に物理的操作を加え、又は化学的変化を与えることによって一つの物を造り出す行為をいい、この場合、材料又は原料が新品であるか中古品であるかを問わず、また、素材であるか製品であるかを問わないと解されているから、揮発油の製造について定義する揮発油税法基本通達第9条1項の定めは正当なものと認められる。
したがって、揮発油に揮発油以外の物を混和して揮発油とする行為は揮発油の製造に、また、その混和を行う者は揮発油の製造者に該当することになり、当該製造者は、当該製造場から移出した揮発油について、揮発油税法等の規定するところにより、揮発油税等の納税義務者となる。
評価基本通達に定める路線価等を適用しないで土地の時価を算定するときは路線価の評価水準等を考慮する必要はなく、また、相続税法第17条に定めるあん分割合につき請求人らが申告に使用した端数処理の方法には合理性が認められないとした事例
裁決事例集 第62集 352頁
要旨
請求人らは、本件土地の価額は時価である取引価額に路線価の評価水準を乗じ、さらに、評価基本通達に定める各種減額を適用すべきである旨、また、原処分庁が更正する場合の相続税法第17条に規定するあん分割合は相続税法基本通達17-1の定めにより、請求人らが申告に使用した端数処理の方法を適用すべきである旨主張する。
しかしながら、評価基本通達に定める路線価等を適用しないで土地の時価を算定する場合に、路線価の評価水準を考慮する必要はなく、路線価等を基に画一的に時価を算定する場合に適用するものとしている各種の減額を適用する余地もない。
また、相続税法基本通達17-1は、合理的な端数処理を行っている場合には、納税者によって選択されたその端数処理によって相続税額を計算することができることとした取扱いであるが、本件は、請求人らが選択した端数処理の方法に明確な基準は見出せず、合理性があるものとは認められないから、原処分庁はその方法を選択できないのであって、相続税法17条の規定に基づいてした原処分庁のあん分割合に違法はなく、請求人の主張には理由がない。
上場株式等の現物出資及びその低額受入処理という相続税回避行為に係る非上場株式を純資産価額方式により評価するに当たり法人税等相当額を控除することは相当でないとした事例
裁決事例集 第62集 380頁
要旨
請求人は、本件出資及び本件株式の純資産価額方式による評価について、評価基本通達の定めに従って、法人税額等相当額を控除して評価すべきである旨主張するが、本件のように、ことさら評価差額を人為的に作出して相続税の軽減を図っているような場合に、評価基本通達を形式的、画一的に適用し、法人税額等相当額を控除することは、評価基本通達の趣旨に沿わないのみならず、このような計画的な行為を行うことのない納税者との間での租税負担の公平を著しく害し、又、富の再分配機能を通じて経済的平等を実現するという相続税法の立法趣旨に反する著しく不相当な結果をもたらすこととなるから、評価基本通達によらないことが相当と認められる特別な事情があるとして、法人税額等相当額を控除しないで計算したものをもって当該出資及び当該株式の時価とみるのが相当である。
要旨
請求人は、本件競走馬の保有に係る所得は事業所得に該当すると主張する。
しかしながら、競走馬の保有に係る業務が所得税法第27条第1項にいう事業に該当するかどうかは、単に、その営利性、有償性、継続性、反復性の有無のみならず、業務に費やした精神的・肉体的労力の程度、業務のための人的・物的設備の有無、投下資本の調達方法、その者の職業(職歴)、社会的地位、生活状況及び当該業務から相当程度の期間継続して安定した収益が得られる可能性が存するか否か等を総合的に検討し、一般社会通念に照らして判断するのが相当であるところ、平成6年から平成10年までの間における請求人の保有する本件登録馬の頭数は、登録期間が6月以上のものは1頭ないし3頭と少数である上、請求人は、本件競走馬の保有に当たり、特別な事業所や設備は設置していなく、請求人は、専属の従業員も雇用しておらず、その管理運営は専ら第三者に委託していること、請求人は、主として建設工事業の業務に基づく所得により生計を賄っていたこと、請求人の本件競走馬に係る所得は、平成10年分こそ利益を計上したが、平成5年分ないし平成9年分は専ら損失の金額を計上するのみであったこと等からすると、本件競走馬の保有は、事業所得の基因となる事業といえるための諸要素を欠くものというほかなく、いまだ所得税法施行令第63条第12号に規定する「対価を得て継続的に行う事業」とは認められないというべきである。
要旨
請求人は、居住用と居住用以外の建物の敷地となっている不動産につき持分で贈与を受けた場合には、贈与当事者の真意を汲んで配偶者の特別控除の特例の適否を判定すべきであると主張するが、当該特例は、生存配偶者の老後の生活安定に配慮する趣旨から、一生に一度限り、その取得した居住用財産の課税価格から2千万円を限度として控除することを、登記簿の謄本等の提出を要件として認める措置であり、その解釈は厳格にされるべきである。
したがって、本件においては、本件受贈財産のそのすべてが居住用家屋の敷地であるとはいえず、請求人の更正の請求には理由がない。
要旨
請求人は、土地の取得に際して売主に支払った固定資産税等について、その経済的実質を考慮すると租税公課そのものであるから、損金の額に算入すべきであると主張するが、土地等の非減価償却資産についても、法人税法第22条第4項、同法施行令第54条を適用し、資産の取得のために実質的に欠かせない費用と認められるものがあれば、それは「資産の購入のために要した費用」とするのが相当であるところ、本件において、買主である請求人は地方税法上の当該固定資産税等の納税義務者でないから、請求人が支払った当該金員は、固定資産税等として市町村に納付するものでなく、固定資産税等の負担なしに当該土地を取得できる対価として売主に支払う固定資産税等に相当するものといえるため、それは、本件土地の取得のために実質的に欠かせない費用であり、「資産の購入のために要した費用」として当該土地の購入の代価に加算するのが相当である。
要旨
請求人は、先輩からの言い伝えを信じて申告したにすぎず、ほ脱の意思をもっていなかったのであるから、請求人の行為は、国税通則法第70条第5項に規定する「偽りその他不正の行為」に該当しない旨主張する。
しかしながら、当審判所の調査の結果によれば、請求人は、各年分の確定申告に当たり、実際の給与等の収入金額を給与明細書等により承知し得たにもかかわらず、多額の金額を除外した後の金額を各年分の確定申告書の給与収入金額欄に記載し、その結果、多額の税額を免れていたことが認められる。
さらに、請求人が、過去に日本の法人に勤務していたことからして、同人において、800万円をも上回る金額が、非課税所得分の支給額として不相当に高額であると認識し得なかったとは到底認められず、同人は、合理的な根拠もなく恣意的に給与等の収入金額を除外して申告したものと認めるのが相当である。
これらのことからすれば、請求人が正当な税額を免れる目的で、所得金額をことさらに過少に記載した申告書を提出したことは明らかであり、請求人の行為は、本件規定における「偽りその他不正の行為」に該当する。
震災特例法の免税規定を知らずに登録免許税を納付した者が、その後、被災者証明書を添付して行った還付通知すべき請求に対してなされた、還付の通知をすべき理由がない旨の通知処分は適法とした事例
裁決事例集 第62集 480頁
要旨
請求人は、阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(震災特例法)第37条《阪神・淡路大震災の被災者が新築又は取得した建物に係る所有権の保存登記等の免税》第1項の規定の存在を知らずに登録免許税を納付したもので、過誤納といえるから、所轄税務署長に対し還付通知すべきである旨主張する。
しかしながら、震災特例法第37条第1項は、新築又は取得をした建物で政令で定めるものの所有権の保存又は移転の登記については大蔵省令で定めるところにより受けるものに限り登録免許税を課さない旨規定し、震災特例法施行規則第20条第1項は、その登記申請書に市町村長の証明に係る書類で阪神・淡路大震災により所有建物に被害を受けた者の氏名及び住所並びに当該建物の所在地の記載があるものを添付しなければならない旨規定しており、そして、震災特例法には、登記申請時に証明書の添付がない場合でも当該免税規定の適用を受けることができるとするゆうじょ規定は存在しないため、本件で過誤納の事実があったということはできず、請求人の主張には理由がない。
要旨
請求人は、原処分庁は滞納国税を相当額上回る価額の土地3筆と建物を差し押さえたのであるから、国税徴収法第48条《超過差押及び無益な差押の禁止》第1項に規定する超過差押えに該当する旨主張する。
しかしながら、当審判所の調査によれば、請求人は本件差押財産のほかに換価できる財産を有しておらず、差押財産である土地と建物は一体として請求人の居住の用に供されており、また、これらの全部に差押国税に優先する根抵当権が設定されていると認められるところ、仮に、原処分庁が差押財産のうちの一部の財産を差し押さえるとすると、分割することによって差押財産の経済的価値が害されることになり相当ではない。
以上のことからすれば、原処分庁のした差押処分は、差押財産の担保価値の維持、有効利用の見地、優先債権者への配当等を考慮した妥当なものといえるから、国税徴収法第48条第1項に規定する超過差押えには該当しない。
要旨
請求人は、配偶者に対する相続税額の軽減の特例の適用を受けるため提出した「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請」(以下「本件承認申請」という。)を却下する旨の処分(以下「本件却下処分」という。)は違法である旨主張するが、本件承認申請は、申請期限を徒過して提出されているは明らかであり、また、申告期限内に申請書の提出がなかった場合に税務署長の裁量により申請を認めることができる旨を定めた法令の規定もないことから、本件却下処分は適法であるといわざるを得ない。
要旨
請求人は、本件特別リベートは過去の建材仕入れに係るリベートとして受け取ったものであるが、仕入先F社と金額の協議が整っていないにもかかわらず、F社が一方的に請求人の事務所に置き去ったので収益に計上せず金庫に預かっていたものであると主張する。
しかしながら、本件特別リベートは、予め契約により定まっているものではないところ、F社は、請求人に対して過去の取引に係る特別リベートの精算であることを請求人の代表者に告げた上で現金を手渡したものであるので、F社からの通知により請求人が認識した日の属する事業年度の益金に計上するのが相当であるので更正処分は適法である。
しかし、請求人は、本件特別リベートの金額に不満を持ち、F社との協議が整うまで収益に計上しなくてよいとの認識で調査日現在まで金庫にそのまま預かっていたものと認められ、金員を受領した事実を隠ぺい又は仮装することを意図して収益を除外したとは認められないので、重加算税の賦課決定処分のうち過少申告加算税額を上回る部分は取り消すのが相当である。
要旨
請求人は、本件修正申告書は、原処分庁の度重なるしょうようによって、本件工事が個人的取引であると認識しつつも、請求人の無知によって誤って提出したものであるから無効である旨主張する。
しかしながら、本件工事に係る請求人の前代表者は本件調査に立ち会っており、また、修正申告のしょうようの際、原処分庁は現代表者と前代表者が同席しているところで、本件工事に係る売上及び原価が計上漏れとなっていることを指摘している事実が認められる。
さらに、本件修正申告書は調査終了後相当期間経過した日後に提出されていることから、請求人において十分に検討の上提出したものと認められる。
以上のとおり、請求人は、本件工事に係る売上及び原価が請求人に帰属することを十分認識して本件修正申告書を提出したものと認めるのが相当であり、本件修正申告書を提出したことについて明白かつ重大な錯誤があるとは認められないから、本件修正申告書は無効ではない。
要旨
請求人は、砂利採取業者による海砂採取に際して、同社から受領した金員(本件金員)は請求人の組合員に対する漁業補償金であり、組合員に帰属するものであるから、その配分金額が確定するまで仮受金として計上することが認められる旨主張する。
しかしながら、共同漁業権は漁協とその組合員全員に質的に分有され、漁協は漁業権の保有主体として管理機能を、組合員全員はその収益権能(漁業権行使権)をそれぞれ有していると解されるところ、本件金員は、請求人が砂利採取業社による共同漁業権設定水域外の水域における海砂採取に同意することに伴い受領した、請求人に帰属するものであって、所得税法施行令第94条(事業所得の収入金額とされる保険金等)第1項第2号に規定する補償金とは認められず、請求人の所得の計算上益金の額に算入すべき金額であるため、請求人の主張は採用できない。
請求人の被相続人が提出した確定申告書は、被相続人が現処分庁所属の担当職員の言われるままに署名押印し、その内容について納得せずに提出したものであり無効であるから、無効な確定申告により確定した滞納国税を徴収するため行われた差押処分も違法であるとの主張を排斥した事例
裁決事例集 第62集 505頁
要旨
請求人は、請求人の被相続人が原処分庁へ提出した確定申告書は、請求人の被相続人が原処分庁所属の担当職員に言われるままに署名押印し、その内容について納得せずに提出したものであり、無効であるから、無効な確定申告書に係る滞納国税を徴収するため行われた差押処分は違法である旨主張する。
しかしながら、担当職員が、被相続人の申立てに基づき確定申告書の金額欄に記載し、被相続人本人が確定申告書に署名押印した事実は認められるものの、担当職員が請求人の被相続人の意思に反して確定申告書の提出を強要したとする事実は認められない。
また、請求人の被相続人は当時年齢82歳と高齢ではあるものの、原処分庁所属の徴収担当職員と再三にわたり滞納国税の納付について相談を行い、納付の意思を示していたことなどから、確定申告書の内容について納得していたと認めるのが相当である。
なお、確定申告書の記載内容の過誤の是正については、錯誤が客観的に明白かつ重大であって、法が定めた方法以外に是正を許さないならば納税義務者の利益を著しく害すると認められる特段の事情がある場合でなければ錯誤の主張が許されないと解されているところ、本件についてはこれに該当する事実は無いと認められるから、その是正は更正の請求により行うべきである。
以上のとおり、請求人の主張には理由がなく、差押処分は適法に行われていると認められるから、原処分は適法である。
要旨
請求人らは、同人らが所有していた小切手及び現金を、不動産の売買を仲介した者に交付し、これを同人に不法に領得されたことにより生じた損失は、横領による損失であるから、雑損控除の対象となる損失に該当する旨主張する。
しかしながら、当該損失は詐欺による損失であると認められ、また、請求人らが横領行為によって損害を受けたとして賠償を求めた裁判の判決は、被告が口頭弁論期日に出頭せず、答弁書等を提出しないことから、原告である請求人らの請求原因事実を自白したものと擬制したものであって、証拠によって横領の事実を客観的に認定したものではないから、所得税法第72条1項の雑損控除の対象となる損失には該当しない。
本件土地に係る譲渡担保契約が解除されるとともに、土地の譲渡代金の清算が行なわれ所有権移転登記が完了していることから、本件土地は譲渡されたとした事例
裁決事例集 第61集 393頁
要旨
請求人は、本件土地を分譲する際、請求人の名称では分譲しにくいため販売主の名称を換える目的で本件売買契約書を作成したものであり、所有権まで移転させるものではなく、本件土地の譲渡は行っていない旨主張するが、本件売買契約書はそれより以前に締結された譲渡担保契約の解除及び譲渡担保物の清算を目的として作成されたものであり、本件売買契約書作成日に売買代金の清算も了しており、また所有権移転登記も完了していることから、同日に本件土地の引渡があったとするのが相当である。
請求人の譲渡した家屋及びその敷地は、病気の老母の看護のために居住していたとする請求人の主張を排斥して、居住用財産とは認められないから租税特別措置法第35条の特例を適用することはできないとした事例
裁決事例集 第61集 322頁
要旨
請求人は、譲渡した物件(本件家屋及びその敷地)に病気の老母の看護のため居住していたことから、その譲渡については租税特別措置法第35条の特例を適用すべきである旨主張する。
しかしながら、[1]本件家屋及び請求人がS市に有する家屋の電気及びガス等の使用料の状況という客観的数値、[2]双方の家屋の近隣住民の申述内容、[3]請求人の住民登録の状況、[4]請求人の過去の確定申告書の記載内容、[5]老母の居住状況に係る市役所の認定などを併せて判断すると、請求人が主として居住の用に供していたのはS市の家屋であり、本件家屋は仮に使用していたとしても、一時的あるいは臨時的なものであったと判断するのが相当であり、本件譲渡物件は居住用財産とは認められないことから、本件譲渡について本件特例を適用することはできない。
ゴルフ会員権を購入した者からの届出債権が破産債権として債権表に記載されたことは国税通則法第23条第2項第1号に該当するとしてなされた更正の請求につき、当該届出債権は不法行為に基づくものであるから、同号に規定する「課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決」には該当しないとした事例
裁決事例集 第61集 1頁
要旨
請求人(破産管財人)は、破産前の請求人(ゴルフ会員権販売代行業)を介して会員権を購入した会員がその購入代金相当額を裁判所に届け出、その届出債権が破産債権として確定した旨請求人及びゴルフ場経営会社双方の債権表に記載され、確定判決と同一の効力を有することになったこと(破産法第241条、第242条、第287条)は国税通則法第23条第2項第1号に規定する「課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決」に該当する旨主張するが、当該届出債権は会員からの不法行為による損害賠償に基づくものであるから、当該届出債権を裁判所に届け出た行為をもって、請求人と当該ゴルフ場経営会社との間で締結された会員募集業務委託契約等、課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実の存否、効力等を直接審判の対象とした訴えがされたと見ることはできないため、そもそも、その事実は国税通則法第23条第2項第1号に規定する「課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決」に該当せず、請求人の主張には理由がない。
固定資産課税台帳に登録された建物の価格(台帳価格)に基づいて登記を了した者が、その後、その課税標準額は当該建物の売買価額によるべきであるとして行った還付通知すべき請求に対してなされた、還付の通知をすべき理由がない旨の通知処分は適法とした事例
裁決事例集 第61集 693頁
要旨
請求人は、登録免許税の課税標準となる本件建物の価額については、鑑定価額を参考にした公正かつ時価を反映した価額であるその売買価額とすべきである旨、及び台帳価格と売買価額の乖離が明白な場合には、登録免許税法施行令附則第4項にいう「特別の事情」に該当する旨主張する。
しかしながら、請求人は、本件登記申請書に本件建物の台帳価格に基づいて計算した課税標準額と当該課税標準額を基に計算した登録免許税の額を記載しており、その登録免許税の課税標準額及び税額の計算過程に誤りのないことが認められるから、登録免許税法附則第7条の規定に基づき登録免許税を適正に計算、納付していることになるところ、請求人は、鑑定評価額を118百万円も下回った金額で売買しており、また、主張する鑑定評価額については、平成5年の本件建物の大改築(費用約14億円)がどのように反映されたかが明らかでない。
さらに、本件不動産の売買については、売主側の事情による売買という個別的事情が認められ、他方、台帳価格は、いわゆる再建築価額法により評価され、その評価方法は家屋の適正な時価を算出する最も妥当な方法と解されており、そして、平成5年の大規模な改築後、本件登記時迄の間に、増改築、損壊等の事情は認められないから、本件登記時における本件建物の台帳価格を本件建物の時価でないと解するは相当でない。
なお、登録免許税法施行令附則第4項にいう「特別の事情」とは、課税台帳に登録後、当該不動産自体に当該規定が列挙する事由その他これに類する事情により質的又は量的な形状の変化を生じたため、当該不動産の価額が台帳価格により難い程度に変動した場合につき、例外的な取扱を定めたものと解されるが、請求人主張の事情は、本件建物自体の質的又は量的な形状の変化ということはできず、請求人の主張は、いずれも理由がない。
当初申告において補償金が非課税であると誤認して収入にも計上せず修正申告において特別控除を適用してきたが、経理担当者の入院による収入不計上及び収用の特別控除の手続きの不知はやむを得ない事情に当たらず、ゆうじょ規定は適用できないとした事例
裁決事例集 第61集 427頁
要旨
請求人は、租税特別措置法第65条の2(収用換地等の場合の特別控除)第5項のいわゆるゆうじょ規定の適用を修正申告において求めてきたものであるが、同規定における「やむを得ない事情」とは、客観的にみて本人の責めに帰すことのできない事情をいうものと解される。
しかし請求人の主張する、[1]経理担当者が入院したことから本件補償金に係る収入が会計帳簿に計上されなかったこと、[2]市役所から非課税であると聞いたため関与税理士に連絡せず申告もれになったこと及び[3]収用等の特別控除に手続きが必要であることはを知らなかったことは、いずれも請求人の主観的判断、個人的事情に過ぎず、ゆうじょ規定の適用におけるやむを得ない事情があったということはできず、かえって請求人の代表者は請求人の名義で本件補償金に係る契約を締結し、本件補償金が請求人名義の預金口座に振り込まれたことを知っていたのであるから、本件補償金が請求人の収入であることを容易に認識し得たと認められ、これを収入に計上せず、確定申告に収用換地等の場合の特別控除の記載又は明細書の添付をしなかったことは、請求人自身の責めに帰すべき事情により生じたものというべきものである。
また、請求人は、修正申告書において租税特別措置法第65条の2(収用換地等の場合の特別控除)第5項のいわゆるゆうじょ規定の適用を求めたのであるから、当該修正申告書を更正する場合にはゆうじょ規定を適用しない理由を更正理由書に附記すべきである旨主張するが、更正通知書には租税特別措置法第65条の2は確定申告書等において適用されるものであるところ、修正申告書は確定申告書等には該当しないから収用等の特別控除額を損金の額に算入できない旨記載されており、この記載内容は更正の理由附記の趣旨を満たしたものであることが認められる。
請求人から、その主張する本件譲渡土地の取得に係る裏金の支払事実を確認できる資料の提出がないとして、前所有者が有していた同土地に係る請求人との売買契約書及び確定申告額等に基づいて取得費の額を算定した原処分は適法であるとした事例
裁決事例集 第61集 190頁
要旨
請求人は、譲渡した各土地(6筆)の取得に当たって、原処分庁が認めた裏代金以外に多額の裏代金及び造成費の支払があった旨主張し、裏代金の支払いについては、請求人からそれを明らかにする証拠書類の提出があって初めてその事実を確認できるところ、請求人は、本件税務調査に際し、F土地(裏代金の支出を認めたもの)に係る領収証以外の本件土地に係る売買契約書等を提出せず、また、当審判所に対しても、その主張する裏代金及び造成費の内訳を明らかにする証拠書類を提出しないため、請求人の主張は採用できない。
要旨
請求人は、本件土地の寄附に基因してされた譲渡所得の課税は、その後、本件土地の所有権移転登記を抹消すべき旨の確定判決があったから取り消されるべきである旨主張する。
しかしながら、本件判決は、原告と被告が親類関係にあるなどの状況下においてなされ、また、本件登記が無効となるべき事実は認められないから、本件判決があったとしても譲渡所得の課税処分を取り消すべき理由にはならない。
請求人が行った「ゴルフ会員権を会員権業者を介して知人に譲渡した取引」は、請求人が譲渡損失を作り出して所得税の軽減を図ることを目的とした仮装取引であると認められるから、重加算税の賦課決定処分は適法であるとした事例
裁決事例集 第61集 47頁
要旨
請求人は、会員権業者を介在させたゴルフ会員権を請求人の知人へ譲渡した本件取引において、請求人が知人の購入代金を立て替えるとともに担保として会員権を預かっていたとしても、何ら不自然なことはなく通常の取引であるから、仮装取引の認定は誤っている旨主張する。
しかしながら、[1]本件一連の取引後も、本件会員権は、その名義も保管形態もその取引前と変わらず請求人名義のまま同人によって保管され、請求人が本件ゴルフ場でメンバーとしてプレーし、年会費の支払いも請求人が負担していたことから、譲渡の実体を認めることができないこと、[2]取引の相手方である知人は、当該取引を実体のないものと認識していること、[3]請求人が立替金と称して支出した現金は、売却代金として請求人に還流したものであって、本件の一連の取引は経済的合理性に反するものであることから、本件会員権の譲渡に係る一連の行為は、譲渡損失を作り出して所得税の還付を受けるためになされた仮装行為と認めるのが相当である。
要旨
原処分庁は、請求人が生計を別にする父親G(内科医)に支払った給料の額は診療従事の実態等からみて著しく高額であり、Gの診療従事の実態は非常勤医師のそれと同様である旨主張する。
ところで、所得税法第37条第1項に規定する必要経費に該当するためには、業務について生じた費用であること、すなわち、業務との関連性がなければならないとともに、業務の遂行上必要であることを要し、さらに、その必要性の判断においても、単に事業主の主観的判断のみによるのではなく、客観的に必要経費として認識できるものでなければならないと解すべきである。
これを本件についてみると、原処分庁は、客観的に必要経費として認識できる金額を算出するための方法として、非常勤医師の勤務1時間当たりの給料の額の平均を求め、これを基準として認定給料額を算定しているところであるが、Gの診療従事の実態は、原処分庁がGの適正な給与の額を算定するための比準として採用した公立病院等に勤務する非常勤内科医師のそれと類似しておらず、原処分庁の給料の額の算定方法には合理性が認められない。
さらに、当審判所において、請求人と類似する個人医院を調査したところ、請求人の収入金額に対する本件給料の額の割合は、類似する個人医院の収入金額に対する親族の従業員の給料の額の割合と比べて低く、本件給料の額が客観性を欠き不相当に高額とは認められず、また、Gの診療従事の状況に照らしても、本件給料の額が不相当に高額であるとは認められないことから、原処分の全部を取り消すのが相当である。
請求人らから同時にされた各共有地の持分移転登記申請については、その各土地は共同で競落したことに基因しているもので、1筆の共有地からの同一事件に係る分筆登記によって生じたものではないから、租税特別措置法第84条の4第2項の適用はないとした事例
裁決事例集 第61集 721頁
要旨
租税特別措置法第84条の4第2項の特例は、[1]共有物分割による持分移転登記の申請に係る土地全てが、もともと共有の1筆の土地であって、同一の分筆登記によって生じたものであること、[2]共有物分割による持分移転登記が、[1]の分筆で生じた他の土地の共有物分割による持分移転登記と同時に申請されていること、の二つの要件を備えている場合に限って適用されるものであるから、仮に、数筆の土地について共有物分割による持分移転登記が同時に申請された場合であっても、その申請に係る土地が、もともと共有であった1筆の土地から同一事件に係る分筆登記によって生じたものでない場合には適用がないところ、本件申請に係る本件各土地は、請求人らが共同で競落したことに基因して共有することとなったものであって、分筆登記前の土地について共有関係があったものでないから、本件登記申請には本件特例の適用がない。
請求人が、被相続人の財産から親族に支払った金員は、相続開始後に成立した贈与契約に基因するもので、相続開始の際に現に存する確実な債務ではないとした事例
裁決事例集 第61集 560頁
要旨
請求人は、1億円の贈与義務(「本件債務」という。)は相続開始の際に現に存する債務であり、相続税の課税価格の計算上控除すべき金額であると主張する。
しかしながら、贈与債務が、相続税の課税価格の計算上債務として控除するための要件を充たすには、相続開始までにその贈与債務の基礎となる贈与契約が成立しており、かつ、相続開始のときに債務者(贈与者)につきその債務の履行が義務づけられる未履行の贈与債務であることが必要であるところ、本件においては、相続開始の時点においては、被相続人と受贈者の代理人との間で交渉が終了していたとはいえず、相続開始後に取り交わされた基本合意書をもって贈与額が確定し、これにより贈与契約が成立したものと認められることから、本件債務は相続開始の際に現に存する確実な債務には該当しない。
請求人が行った本件ゴルフ会員権の売却及び再取得に関わる一連の行為は、請求人が、所得税の軽減を目的として、虚偽の売却計算書等を作成させ、売買取引の外形を仮装した実態のないものと認められるから、本件譲渡に係る損失の発生及びこれに係る損益通算を認めなかった更正処分並びに重加算税賦課決定処分は適法であるとした事例
裁決事例集 第61集 175頁
要旨
請求人は、本件ゴルフ会員権の相場が購入価額の半額となり、更に下がると考えられたこと等からそれを売却し、その後の事情から同会員権を再取得したものであるから、本件譲渡により譲渡損失が生じている旨主張する。
しかしながら、会員証及びネームプレートの交付がされていないこと、請求人が売却から再取得の間にメンバーとして2回にわたりプレーしていること、年会費の清算がされていないこと等の事実からすると、本件売却及び再取得は、所得税の軽減を目的としてされた、実態のない仮装のものであるから、本件譲渡によって損失が発生したものと認めることはできない。
また、請求人による本件ゴルフ会員権の売却から再取得に至る一連の行為は、所得税の軽減を目的として、本件買取計算書及び本件売却計算書により売買取引の外形を仮装したものであり、そして、請求人は、仮装した本件買取計算書に基づき、本件ゴルフ会員権の譲渡によって損失が生じたとして、他の各種所得の金額と損益通算した確定申告書を提出したものであるから、本件重加算税賦課決定処分は適法である。
要旨
請求人は、ホテルの一室である本件建物を不動産貸付業の用に供するために購入したものであり、生活に通常必要でない資産には該当しないから、賃貸に係る不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額については、他の各種所得の金額から控除すべきである旨主張する。
しかしながら、[1]本件建物は、著名なリゾート地に所在し、請求人が別荘等と同様に保養等の用に供し得る性質のものであること、[2]本件分譲案内書によれば、賃貸料収入が得られるほか、ホテルの利用上のメリットや節税対策になることがうたわれていること、[3]請求人は、実質的に一般客に優先して利用することができること及び[4]本件賃貸料の額は、請求人が負担した必要経費の額の2割程度であり、管理費の額にも達しておらず、経済的にみて不合理であること等の事実が認められる。
そうすると、本件建物を賃貸しているのは、単に、本件建物の管理費等の負担を軽減するために過ぎないものであり、また、本件建物の性質及び状況等の諸般の事情を総合的に勘案し、これを客観的にみれば、本件建物は主として保養等の目的で所有していたものと認めるのが相当であり、生活に通常必要でない資産に該当するから、本件損失金額は損益通算が認められない。
請求人が同族グループ法人へ譲渡したとする土地建物等は、引き続き請求人の借入金の担保に供されており、所有権移転の登記もされておらず、請求人名義で他に賃貸されていることから、譲渡はなかったと認定し譲渡損の損金算入を否認した更正処分が適法であるとした事例
裁決事例集 第61集 413頁
要旨
請求人は、自己が所有する土地建物等の同族グループ法人への譲渡により譲渡損を計上したものであって、不動産売買契約は有効に成立しており、その価額も適正で代金決済も行われているので、譲渡損の計上は認められるべきであると主張する。
しかしながら、本件は、[1]不動産売買契約書に記載されている請求人の義務である抵当権の抹消及び所有権の移転登記が履行されていないこと、[2]同契約後においても、引き続き請求人を賃貸人とした賃貸借契約が継続していること、[3]新たな賃借人との賃貸借契約においても請求人が賃貸人となっていること及び[4]請求人が譲渡したとする日の後、原処分庁が請求人の滞納国税の徴収のため本件土地建物等の差押処分を行っているが、本件契約上の譲受人である同族グループ法人から何らの異議が申し立てられていないこと等から、本件土地建物等の譲渡はなかったものといわざるを得ないから、本件土地建物等の譲渡損を損金の額に算入することはできない。
請求人が譲渡したゴルフ会員権の実質は、会員権に内包されているゴルフ場施設の優先利用権が消滅した後の金銭債権である預託金返還請求権と認められ、譲渡所得の基因となる資産には該当しないから、その譲渡による損失の金額は他の所得金額と損益通算することはできないとした事例
裁決事例集 第61集 246頁
要旨
請求人は、預託金会員制のゴルフ会員権である本件会員権に係る当該施設の優先利用権は消滅しておらず、請求人が譲渡した本件会員権はゴルフ会員権であるから、その譲渡による損失の金額は他の所得金額と損益通算を認めるべきである旨主張する。
しかしながら、本件ゴルフ場の敷地及び建物は、競売により第三者の所有となり、かつ、本件ゴルフ場経営会社の本件会員権に係る債権債務が新所有者に引き継がれていないこと等からすると、本件ゴルフ場経営会社が本件ゴルフ場の会員に対して、本件ゴルフ場施設を利用させることができなくなった場合には、当該施設の優先利用権は消滅したものと解される。
そうすると、請求人が譲渡した本件会員権の実質は、本件会員権に内包されている本件ゴルフ場施設の優先利用権が消滅した後の金銭債権である預託金返還請求権と認めるのが相当であり、譲渡所得の基因となる資産には該当しないから、本件損失の金額を他の所得金額と損益通算することはできない。
要旨
請求人は、[1]本件家屋の改修工事費用の全額を実際に負担しているから、請求人の住宅取得等特別控除の対象となる増改築等に要した費用の額は、当該改修工事費用の全額である旨及び[2]当該工事費用の支出があったことにより本件家屋の請求人の持分を変更しているから、登記簿上の持分に基づいて行われた更正処分は事実を誤認している旨主張する。
ところで、本件家屋の改修工事により付加された部分は、本件家屋と一体となっていることから民法第242条により本件家屋に附合したこととなり、その所有権は本件家屋の共有者にそれぞれの持分に応じて帰属することになる。
そうすると、増改築部分についても共有者が各々の持分に応じて所有していると解されるから、請求人の住宅取得等特別控除の対象となる増改築等に要した費用の額は、本件家屋の改修工事に要した費用の額のうち請求人の持分に相当する部分となる。
また、不動産登記はその真正なることを保証するために不動産登記法に規定する厳格な手続きによってなされており、登記には登記簿上表示される法律関係が実体法上も存在するものと推定される効力があり、登記簿上の法律関係が一応真正なものとして取り扱われる。
もとより、反対の証拠によりこの推定を覆すことは可能であるが、請求人は持分変更の登記をしなかった理由を回答するのみで持分が変更されているとする主張を立証するに足りる証拠資料を提出せず、また、当審判所の調査によっても請求人の持分が変更されているとの心証を得ることはできないことから、請求人の本件家屋の持分は登記簿に記載された2分の1であると認めるのが相当である。
したがって、この点に関する請求人の主張は採用することができない。
本件充当処分時において、滞納国税に係る更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分は取り消されておらず、また、本件青色申告承認取消処分及び本件更正処分が無効とは認められないとして、滞納国税に対する還付金の充当処分は適法であるとした事例
裁決事例集 第61集 13頁
要旨
請求人は、本件青色申告承認取消処分及び本件更正処分には重大かつ明白な瑕疵が存在しており無効であるから、本件更正処分等に係る滞納国税に還付金を充当した本件処分は違法である旨主張する。
しかしながら、課税処分と充当処分とは、同一の効果を実現するための一連の手続きを構成するものでなく、それぞれ別個の目的及び効果を有する独立した行政処分であるから、仮に、課税処分が違法であるとしても、それが取り消されるか、又は無効でない限り、充当処分が違法となるものではないところ、本件充当処分時において、本件更正処分は取り消されておらず、また、本件青色申告承認取消処分及び本件更正処分は、いずれも無効な処分と認められないため、本件充当処分は適法である。
請求人の代表者が車両販売業者から新築祝金として受領した金員は、請求人の収益に計上すべきものではなく車両の購入価額を水増してディーラーに支払った上受領したものであるとした事例
裁決事例集 第61集 379頁
要旨
原処分庁は、請求人の代表者が車両の販売業者から受領した金員は、代表者個人に対する新築祝金ではなく、同社が請求人との今後の継続的取引を期待して支払った謝礼的性格を有するいわゆるリベートであり、請求人の雑収入として収益に計上すべきである旨及び当該金員は代表者が自宅新築資金として費消していることから代表者への役員賞与である旨主張する。
しかしながら、当該金員は請求人が車両販売会社から車両を購入する際に車両価格に上乗せして一旦車両販売会社へ預け、同社を通じ新築祝金に仮装して代表者へ支払ったものであるから請求人の収益ではなく、購入した車両の取得価額を過大に計上していたものであると認められる。
よって、当該金員を益金に算入した原処分は取り消されるべきであり、他方、車両の取得価額の過大な部分は減額すべきであるので減価償却超過額相当額を損金の額から減算するのが相当である。
土地の時効取得に係る一時所得の収入金額の発生時期について時効を援用した平成9年分としたことは、課税要件明確主義及び合法性の原則から逸脱したものとはいえないし、税法の不知、誤解等は、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」に当たらないとした事例
裁決事例集 第61集 30頁
要旨
請求人は、修正申告の基因となった土地の真実の所有者は現在訴訟中で不確定であるから、当該土地の時効取得に係る一時所得は、租税法律主義からいえば課税要件明確主義及び合法性の原則から逸脱しているし、時効を援用した時が一時所得の収入金額の発生の時であるとの判断は税理士や弁護士等の法律の専門家でも知らないのであるから、一般市民には対処のしようもなく、このような場合にまで過少申告加算税を賦課することは不当若しくは酷であると主張する。
しかしながら、時効による権利の得喪の効果は時効を援用した時に確定的に生ずると解されており、請求人は本件土地に係る調停申立書において、時効取得を原因とする所有権移転登記を求める旨の主張をしているのであるから、本件土地の時効取得に係る一時所得の収入金額の発生時期を時効を援用した本件年分としたことは、課税要件明確主義及び合法性の原則から逸脱したものとはいえないし、税法の不知、誤解等は、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」には該当しないことから、請求人の主張には理由がない。
要旨
請求人は、簡易課税制度適用課税期間に取得した建物を、本則課税適用課税期間に売却したため、本件更正処分は、結果的に仕入税額が控除されていない不当な課税であると主張するが、請求人の場合、本件課税期間に係る基準期間の課税売上高が2億円を超えていることから、消費税法第37条第1項かっこ書の規定により簡易課税による仕入税額控除の計算を行うことはできず、同法第30条に定める本則課税の方法によらざるを得ないこととなる。
そうすると、仕入税額控除の額の計算の基礎とすべきと主張する本件建物は、本件課税期間前に仕入れられたものであるから、本件課税期間において仕入税額控除の対象とすることはできないことは明らかであり、また、簡易課税によった場合に比べて税負担が大きくなることをもって本件更正処分が不当な課税であるということもできない。
請求人が父から売買契約により譲り受けた土地の対価は、当該土地の時価に比して著しく低い価額であると認められ、相続税法第7条の規定により贈与があったものとした事例
裁決事例集 第61集 533頁
要旨
相続税法第7条は、著しく低い価額で財産の譲渡を受けた場合においては、法律的には贈与といえないとしても、経済的には対価と時価との差額について実質的に贈与があったと同視することができるため、この経済的実質に着目して、課税負担の公平の見地からその差額について贈与があったものとみなして贈与税を課税する趣旨のものと解されるところ、請求人及び原処分庁の主張する時価額はいずれも採用できない。
そこで、当審判所において、公示価格を基に土地価格比準表に準じて地域要因及び個別的要因等の格差補正をして本件土地の時価額を算定したところ、その価額は45,661,363円と算定された。
そうすると、本件土地の時価と売買価額との差額は18,501,363円に達するものであることから、本件土地の売買価額は、相続税法第7条に規定する著しく低い価額の対価であると認めるのが相当である。
不動産所得の基因となる資産の取壊しにより生じた損失の金額が、所得税法第51条第4項に該当し、本件損失を不動産所得の必要経費に算入しないで計算したところの不動産所得の金額を限度として必要経費に算入されるとした事例
裁決事例集 第61集 118頁
要旨
不動産の貸付けが不動産所得を生ずべき事業といえるか否かは、社会通念上、事業と言い得るか否かによって判断するのが相当と解されているところ、請求人の不動産貸付けは、[1]貸付物件は本件不動産のみで、その貸付先は請求人が主宰するK社のみであること、[2]本件不動産の賃貸料は請求人の預金口座に振込入金されており、賃貸料収入の受領等に係る役務の提供は極めてきん少であること、[3]本件建物の日常の清掃は、K社の従業員が行っていること、また、本件不動産に係る必要経費についても、本件建物の減価償却費以外には固定資産税があるのみで、その支払については、請求人の預金口座からの自動引き落としになっていることから、本件不動産に係る維持管理の程度は極めて低いと認められること、[4]本件建物の取壊しは、K社の営業方針に基づくものであると認められること、[5]請求人は生活の資金の大部分をK社の給与から得ていることなどを総合して判断すると、社会通念上、事業と称するに至る程度のものとは認められない。
したがって、その業務の用に供されていた本件建物の取壊しによる資産の損失の金額は、所得税法第51条第4項の規定が適用され、本件損失を不動産所得の必要経費に算入しないで計算したところの不動産所得の金額を限度として必要経費に算入される。
原処分庁の調査担当職員が請求人の消費税に係る経理処理を是正しなかったとしても、国税通則法第65条第4項及び第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由」に当たらないとした事例
裁決事例集 第61集 20頁
要旨
請求人は、税務調査において、調査担当職員から、外航航路に就航している航空機(以下、「外航機」という。)のハンドリング業務について消費税の免税に該当する旨回答を受けたと主張する。
この点について、本件調査担当職員は、当審判所に対し、税務調査の際に、請求人から外航機のハンドリング業務に係る消費税について、元請先の航空会社の指導に基づき免税の経理処理をしているとの説明を受け、それ以上の確認を行わないまま、調査を終了した旨答述している。
ところで、税務官庁が、税務調査において、納税者の経理処理について、特に指摘をしなかったからといって、当該経理処理を公的あるいは確定的に是認したものでないことは明らかであり、その後の税務調査において、当該経理処理の誤りが判明した場合に、その是正を求めることはむしろ当然である。
そうすると、本件調査担当職員が請求人の消費税に係る経理処理を是正しなかった事実のみを持って、請求人に対して誤った指導を行ったというのは相当でない。
要旨
請求人は、本件講習会は本件予備校が設置する課程として行っている授業の一環であり、専ら本校生徒を対象に行っているので、本校生徒から徴収する本件講習料は消費税法に規定する非課税取引に係る対価であると主張する。
しかしながら、本件予備校の学則では教養一般課程に設置された各学科の教科、科目及び授業時間の定めの中に本件講習会の授業時数が含まれておらず、また、休業日の定めの中で教育上必要がありやむを得ない事情があった場合以外は授業を行わないとし、夏期休業及び冬期休業の期間を具体的に規定しているにもかかわらず、本件講習会は本件予備校が授業を行わない休業期間中に開催していること及び受講者を本校生徒に限らず大学入学試験を受験する者を対象に広く一般に募集していることからして、本件予備校の課程とは別枠に設置された独立した授業、講習と認められ、消費税法の非課税規定にある課程における教育としての役務の提供に該当しないから請求人の主張には理由がない。
衣料品の輸入販売業を営む請求人が海外の取引先に支払った金員は、所得税法第161条第7号イに規定する工業所有権等の使用料に該当し、源泉徴収に係る所得税の納税告知処分は適法であるとした事例
裁決事例集 第61集 293頁
要旨
請求人は、海外の取引先から提供を受けるデザイン画等の対価として契約に基づき支払った金員について、[1]当該デザイン画等は鑑定、調査の結果が図面化されたものにすぎず、[2]取引先のデザイン画等の作成の実費相当額を支払ったものであり、また、[3]当該デザイン画等を基に製作される衣料品はイタリアで製造され、請求人の日本国内業務に該当しないから、所得税法第161条第7号イに規定する使用料に該当しないと主張する。
しかしながら、当該金員は、[1]デザイナーの創作によるデザイン画等の対価であり、[2]契約書等から実費相当額とは認められず、[3]請求人が日本国内で販売するための衣料品製作に係るデザイン画等の提供の対価であると認められる。
したがって、当該金員は同号イに規定する使用料と認められるから、原処分庁が行った源泉徴収に係る所得税の告知処分は適法である。
請求人が支出した諸会費等が家事関連費に該当するとしても、業務の遂行上直接必要な部分を明らかにすることができないから、必要経費の額に算入することはできないとした事例
裁決事例集 第61集 129頁
要旨
請求人は、同人が支出した諸会費等(同窓会費、共済負担金、英会話研修費、旅費交通費、同窓会主催旅行の参加費用等)は、請求人の業務の遂行上必要な経費であるから、必要経費の額に算入すべきである旨主張する。
しかしながら、支出した経費が、業務の遂行上直接必要である場合はもちろんのこと、それが家事関連費であっても、[1]その主たる部分が業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分できる場合、及び[2]青色申告であれば取引の記録等に基づき業務の遂行上直接必要な部分を明らかにすることができる場合に、それぞれその明らかな部分を必要経費に算入することができることとされているところ、請求人の主張する諸会費等はいずれも家事費又は家事関連費と認められ、家事関連費に該当するとしても、業務の遂行上直接必要な部分を明らかにすることはできないから、これを必要経費の額に算入することはできない。
要旨
請求人は、本件給料については、外注工賃に科目を変えていたため、経理担当者が単純に誤って源泉徴収を行わず、消費税及び地方消費税の申告の際にも、本件給料を課税仕入れとしていたものである旨主張する。
しかしながら、本件給料の経理に当たり、意図的に科目を偽り、外注工賃として継続的に処理することが企図されているのであるから、むしろ、本件給料について所得税の源泉徴収が行われず、あるいは課税仕入れとして税額控除の処理がなされることは、請求人において当然に予定されていたものとみるのが自然であって、当審判所の調査によっても、代表者が経理担当者に対して、税務上は本件給料を外注工賃勘定から給料手当勘定に訂正計上し、真実の給料支給の額に見合った源泉所得税を納付するなど、適法に処理するよう特段の指示をしたというような形跡もうかがわれない。
そうすると、経理担当者の単純な誤りによって、法定納期限までに源泉所得税が納付されず、また、消費税及び地方消費税の申告が過少申告となっていたとする請求人の当該主張は、採用することができない。
離婚成立前に登記原因を贈与とする所有権移転登記をした上で行った贈与税の申告について、その後裁判上の離婚をしたことを理由とする国税通則法第23条第2項による更正の請求を認めなかった事例
裁決事例集 第61集 550頁
要旨
請求人は、離婚を条件として前夫から取得することとなっていた土地について、離婚前に登記原因を贈与とする贈与税の申告をしたが、その後の裁判により離婚が確定したことをもって、当該土地は財産分与であるとして、国税通則法第23条第2項を適用して、更正の請求が認められる旨主張する。
しかしながら、請求人が当該土地の所有権移転登記をしたのは、裁判離婚を提訴する前で、婚姻状態が継続していたこと、また、提訴の内容は離婚を求めるものであり、財産分与の額を決定したものではないことから、当該土地の取扱いは、財産分与とは認められず、相続税法第9条の規定により、贈与として取り扱うのが相当であるから、更正の請求は認められない。
要旨
原処分庁は、[1]被相続人とその妻には退職までほぼ同等の収入があったこと、[2]請求人等が金融機関に提出した相続関係届出書に使用した印鑑と預金証書の印鑑が異なること、[3]本件全定期預金の満期日が同一日であること、[4]金融機関職員の申述によると、被相続人の妻が本件全定期預金の印鑑を所有しており、この妻のみに会って、その指示の下で取引をしていたこと、[5]本件全定期預金は、出金されることはほとんどなく、請求人らがその資金を提供したり、あるいはその一部を費消したことを裏付ける事実はないこと、[6]相続人の申述によると、被相続人の妻が請求人らの名義を自由に使用し、本件定期預金をすべて一体のものとして管理していたことなどから、本件全定期預金は贈与前にすべて被相続人及びその妻に帰属していた旨主張する。
しかしながら、[4]及び[5]の事実は、本件全定期預金がすべて被相続人の妻に帰属することの根拠にはなり得ても、被相続人に帰属することの根拠とはならないし、[5]の事実は、本件全定期預金が請求人らに帰属するものではないことを推測させる一事情にすぎず、被相続人に帰属することを推測させる理由とはならない。
また、被相続人とその妻には退職までほぼ同等の収入があったことは、両者にそれぞれ固有の財産形成があったことを推測させる事実ではあるが、そのことのみをもって、本件全定期預金の具体的な帰属を推測することはできない。
賃貸料として6か月分相当額を一括計上しているが、賃貸は一時的なものにすぎず、相当の対価を得て継続的に行う事業に準ずるものに該当しないとして、租税特別措置法第37条第1項の適用を認めなかった事例
裁決事例集 第61集 337頁
要旨
請求人が、事業用資産と主張する本件土地は、Q社との賃貸借契約日からわずか3週間足らずでK社に譲渡の意思表示をしている事実、さらには賃貸借期間を1年としたことについて、賃貸条件を1年ごとに更新するためのものである旨の請求人の主張を裏付けるに足りる証拠も認められないことを総合勘案すると、当該土地の賃貸は一時的なものにすぎず、相当の対価を得て継続的に行う事業に準ずるものに該当するとはいえないから、本件土地の譲渡所得の金額の計算において、租税特別措置法第37条第1項の適用は認められない。
物納申請土地は、無道路地であったり、市道に接してはいるがのり地やがけ地であったり、あるいは、物件の所在も特定できないものであり「管理又は処分をするのに不適当」な財産に当たると判断した事例
裁決事例集 第61集 614頁
要旨
請求人は、相続税を金銭で納付する資力がないからこそ物納申請したのであり、本件物納申請土地以外に物納できる財産がないにもかかわらず、却下処分をしたことは不合理である旨主張するが、物納制度は、物納申請財産を国に帰属させるのが目的ではなく、相続税の納付の単なる手段であり、国がこれを換価し、その代金をもって財政収入に充てることを目的としているものと解されるから、物納財産は、管理又は処分を通じて金銭納付があったと同等の経済的利益を確保し得るものでなければならないから、たとえそのような事情があったとしても、右の目的を達成できない財産である以上、却下はやむを得ないというべきである。
また、請求人は、本件物納申請土地について、一方で相続税の規定に基づき課税を行い、もう一方で物納を認めないとするのは不合理である旨主張するが、相続税の課税は、相続による財産の取得というその財産的価値に担税力を認めて行われるものであり、一方、物納財産の管理又は処分の適否は、これらを通じて、金銭による納付があった場合と同等の経済的利益を将来現実に確保できるかという観点から判断されるのであって、ある相続財産について、それが課税計算の基礎となった財産であっても、そのことから直ちに物納財産として管理又は処分に適するということを意味するものではなく、管理又は処分をするのに不適当であるとされることもあり得るというべきである。
本件物納申請土地は、無道路地であったり、市道に接してはいるがのり地やがけ地であったり、あるいは、物件の所在も特定できないものであることから、原処分庁が管理又は処分をするのに不適当な財産であると認定したことは相当であると認められる。
要旨
公図は一般に土地の面積、形状を必ずしも正確に表現しているとはいえないが、公図上の本件土地と、現実に存在する「A土地」との位置関係を道路との関係において比較すると、明らかに一致しておらず、かつ、その不一致は無視できないほど顕著であるといわざるを得ない。
さらに、被相続人作成の遺言公正証書等の記載から、被相続人らは、「A土地」が地番「727番1」の土地の一部であり、本件土地は所在不明である旨の認識を有していたことがうかがわれ、そうした認識は、P市が本件土地の評価を留保していること等に照らすと、客観的な根拠のないものと断じることはできない。
また、直ちに「A土地」が、地番「727番1」の土地の一部でないと断ずることもできない。
以上のことから、「A土地」が本件土地であるとする事実を認めることはできず、むしろ「A土地」は地番「727番1」の土地の一部と認めるのが相当であり、本件土地は、現時点においてその存在を確定できないから、相続財産には含まれないと解するのが相当である。
第一種市街地再開発事業に係る権利変換により取得した施設建築物及び施設建築敷地に関する権利を譲渡した場合に、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の課税の特例を認めなかった事例
裁決事例集 第61集 304頁
要旨
第一種市街地再開発事業は権利変換方式により行われるため、同事業施行地内の土地等は、権利変換期日において施設建築物の権利床及び保留床並びに施設建築敷地に変換され、従前の権利関係は消滅するから、事業施行者にとって事業の用に供すべき土地等は、権利変換期日に確保されたこととなる。
そうすると、租税特別措置法第31条の2第1項の規定(本件特例)及び同条第2項第4号が制定された目的及び経緯並びに第一種市街地再開発事業の目的とを踏まえると、本件特例の適用対象となる租税特別措置法第31条の2第2項第4号に規定する「第一種市街地再開発事業の用に供される土地等の譲渡」とは、第一種市街地再開発事業の施行の前段階である事業用地の確保に資する譲渡、すなわち、権利変換期日以前の譲渡に限られるものと解される。
これを本件についてみると、本件権利の譲渡は、本件権利変換期日後の譲渡であるから、本件権利の譲渡に係る所得税額の計算上、本件特例の適用は認められない。
消費税法第9条第1項の規定の適用により免税事業者となる者については、納税義務が発生しないことから、基準期間における課税売上高の計算上課されるべき消費税額等に相当する額は存在しないとした事例
裁決事例集 第61集 623頁
要旨
請求人は、免税事業者の行う取引であっても、非課税取引以外は全て課税の対象であるから、課税資産の譲渡等の対価の額には、課されるべき消費税額等に相当する額が含まれており基準期間の課税売上高は3,000万円以下となることから、本件課税期間は免税事業者である旨主張する。
しかしながら、消費税法第9条第1項は同法第5条第1項に規定された課税要件としての納税者の範囲を限定するものであり、発生した消費税の納税義務を免除することを規定したものではないから、同法第9条第1項の規定の適用により免税事業者となる者については、たとえ課税資産の譲渡等を行ったとしても納税義務が成立せず課されるべき消費税額等に相当する額は存在しないから、本件課税期間は免税事業者とはならない。
所得税法第62条第2項の規定(保証債務)の適用に当たっては、確定申告書等にその適用を受ける旨の記載が必要とされているところ、その記載がないことを理由に棄却した事例
裁決事例集 第61集 235頁
要旨
請求人は、本件譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上、所得税法第64条第2項の課税の特例を適用すべき旨主張するが、本件特例は、保証債務を履行するために資産を譲渡し、その履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができなくなった場合において、[1]求償権を行使することができなくなった事実が確定申告前に生じているときには、確定申告書に本件特例の適用を受ける旨の記載がある場合、又は、[2]その事実が確定申告後に生じた場合には、当該事実が生じた日から2月以内に、当該事実が生じた日を記載した更正の請求書により更正の請求をする場合に適用を受けることができるものと解される。
これを本件についてみると、求償権の行使が不能か否か明らかでないところ、請求人は、上記[1]及び[2]のいずれの手続もしていないから、本件譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上、本件特例を適用することはできない。
いわゆる台帳価格のない建物の価額について、原処分庁がA法務局の部長通達による認定基準に基づき認定したのに対し、同認定基準は一般的な建物に適用されるものであるから、本件建物のような特殊な建物に適用すべきではないとして、本件建物と類似する建物の台帳価格によるべきであるとした事例
裁決事例集 第61集 705頁
要旨
原処分庁は、本件建物は本件登記の申請日において台帳価格のない不動産であるから、昭和60年2月28日付1不登4第151号A法務局民事行政部長依命通達「不動産登記法の登録免許税課税標準価格の認定基準」に基づいて認定した価額が本件建物の価額となる旨主張する。
しかしながら、本件認定基準は、一般的な建物について適用されることを前提に、建物の構造、種類の区分ごとに、画一的にその基準となる単価を定めているものにすぎないのであって、本件のように、特殊な建物についてなされた本件認定基準に基づく認定を、本件建物と類似する建物の台帳価格を基礎として登記機関が認定した価額ということはできない。
共同抵当権の設定登記をして納付した登録免許税については、その後、抵当権の追加担保の設定登記をすべきであったとして、錯誤を登記原因として更正登記がなされても、登録免許税の過誤納には当たらないとした事例
裁決事例集 第61集 713頁
要旨
請求人は、当初、共同抵当権の設定登記をした後、抵当権の追加担保の設定登記をすべきであったとして更正登記申請をしたのに対し、登記官が登記原因を錯誤として当該更正登記を認めたのであるから、当初の共同抵当権の設定登記に係る登録免許税については、登録免許税法第31条第2項に規定する過誤納に当たると主張するが、登記官においては、形式的審査権による審査の結果に基づき、当該更正登記申請に形式的な無効原因がないため、申請書記載の登記原因をそのまま認容したにすぎないと認められるから、更正登記申請が受理されたことをもって、当初の登記時に遡及して、登記申請行為及び登記を受けたこと自体が変更され、登録免許税の額が減額変更されるものではないので、請求人の主張には理由がない。
商品先物取引による所得は請求人に帰属すると認められ、また、年末における建玉に係る値洗い損の額は単なる計算上の金額に過ぎず、これを必要経費に算入することはできないとした事例
裁決事例集 第61集 83頁
要旨
請求人は、本件商品先物取引の委任契約は請求人の手仕舞いの依頼により終了したというべきであるから、当該取引に係る所得は請求人に帰属しない旨主張するが、本件委任契約は、当該取引に係るすべての決済が終了した日まで継続しており、それまでの間の当該取引が一任売買であるということもできず、仮に一任売買であったとしても、請求人が当該取引から生じた利益を現実に享受している以上、当該取引に係る所得は、請求人に帰属すると認めるのが相当である。
また、請求人は、仮に、本件商品先物取引に係る所得が請求人に帰属するとしても、年末における建玉に係る値洗い損の額は、雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべきである旨主張するが、値洗い損の額は単なる計算上の金額にすぎず、その年において債務が確定したということはできないから、雑所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
請求人及び原処分庁の行った両鑑定額とも採用できないとして、審判所において取引事例比較法による比準価格及び公示価格を規準とした価格により本件土地の価額を算定した事例
裁決事例集 第61集 579頁
要旨
請求人及び原処分庁とも、路線価が時価を上回るとして、これを採用しないことには争いがないが、本件土地の価額につき、請求人と原処分庁のそれぞれが鑑定評価額をもって本件土地の価額であると主張する。
しかしながら、審判所の調査によると、請求人と原処分庁のそれぞれが主張する鑑定額はいずれも採用できないから、当審判所において本件土地の価額を算定することとするが、開発法による価格は、その計算過程に想定部分も多く、合理性を欠くことも否定できないので、取引事例比較法による比準価格及び公示価格を規準とした価格により、本件土地の価額を算定するのが相当と認められる。
そこで、当審判所において採用した取引事例及び公示価格をもとに、当審判所においても相当と認める規準の一つである土地価格比準表に準じ、地域要因及び個別要因等の格差補正を行って本件土地の価額を算定したところ、請求人申告額を下回るので、本件更正処分はその全部を取り消すのが相当である。
相続人以外の者が市街化調整区域内の農地の特定遺贈を受けた場合において、受遺者の責めに帰さない事情により当該農地が非農地化されたときには、農地法上の許可を受けていなくても、非農地となった時点において所有権移転の効力が生ずるというべきであるから、受遺者については、その非農地化の事実を知った日をもって相続税法第27条第1項に規定する「相続開始があったことを知った日」と解すべきであるとした事例
裁決事例集 第61集 604頁
要旨
農地法上の許可等は法定条件であるとはいえ、農地の場合、農地法上の許可等のない限り、所有権移転の効力は生じないのであるから、この意味においては、停止条件付遺贈と同様に考えることができるのであって、本件遺贈は、当該条件が成就したときからその効力が生じるというべきである。
遺贈の目的である土地が農地であるか否かは、現況により判断すべきであることからすれば、少なくとも受遺者の責めに帰さない事情により非農地となった以上、農地法上の許可等を受けていなくても、非農地となった時に所有権移転の効力が生ずるというべきであり、同法に、違反転用に対する処分が規定されているからといって、所有権移転の効力が否定されるものではない。
本件の場合、客観的な使用状況に照らすと、遅くとも平成3年2月15日までには非農地になっていたと考えられ、その経緯からすると、同日に所有権移転の効力が生じたというべきである。
そして、請求人は、平成3年10月には非農地化した事実を知ったのであるから、請求人について相続税法第27条第1項に規定する「相続開始があったことを知った日」は、平成3年10月となる。
そうすると、本件決定処分は、国税通則法第70条第3項に違反し、違法である。
預託金制ゴルフクラブの会員権につき、預託金の据置期間直前に、ゴルフクラブ経営会社との合意に基づいて、会員権が2口に分割され、預託金の一部が返還されたとしても退会したとみることができない以上、資産に計上している入会登録料を損金の額に算入することは認められないとした事例
裁決事例集 第61集 403頁
要旨
請求人は、保有する預託金制ゴルフクラブの会員権につき、預託金の据置期間(10年間)経過直前において、当該経営会社から[1]預託金の一部は返還する旨、[2]2口の会員権に分割する旨、[3]残余の預託金はさらに10年間据え置く旨の申出を受け、その申出に合意したのであるが、請求人は、資産計上している返還されない入会登録料について、当該合意により当該ゴルフクラブを退会し、新たに入会契約を締結して2口の会員権を取得したのであるから、当該事業年度において入会登録料の損金算入を認めるべきである旨主張する。
しかし、請求人は、会員(法人正会員)としての地位を有したまま経営会社の申出に応じ、その結果、預託金の一部の返還を受けるとともに、会員としてプレーできるものが1名増加したというのが実態であって、既存の会員権の権利関係が変更されたにすぎず、退会を理由として本件入会契約が解除されたとみるのは相当ではなく、本件変更合意後においても依然として効力を有しているものと認めるのが相当であるから、入会登録料を本件事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することは認められないとした本件更正処分は適法である。
要旨
請求人は、租税特別措置法第37条第3項に規定する届出(以下「本件届出」という。)をその提出期限までにしなかったことについては、やむを得ない事情があるとして、租税特別措置法第38条第8項の規定(以下「本件ゆうじょ規定」という。)により、譲渡所得の金額の計算について租税特別措置法第37条第3項の規定を適用すべきである旨主張する。
しかしながら、本件ゆうじょ規定は、確定申告書に租税特別措置法第37条第1項の規定を受ける旨の記載がなかった場合等においてやむを得ない事情があるときに、同項の規定の適用を認めることができる旨を定めたものであり、本件届出を提出期限までにしなかった場合のゆうじょ規定ではないから、たとえ、実質的には本件特例の適用要件を満たしているとしても、本件届出を期限までに行わなかった以上、本件特例の適用を受けることはできない。
米国で出資・設立したリミテッド・ライアビリティ・カンパニー(LLC)の事業につき生じた損失は、当該LLCの構成員である請求人に帰属するのではなく、外国法人たる当該LLC自体に帰属するとした事例
裁決事例集 第61集 102頁
要旨
請求人は、米国の事業体であるリミテッド・ライアビリティ・カンパニー(LLC)は、法人格を有しないことは米国の解説マニュアルからも明らかであることなどから、本件LLCにつき生じた損失は、民法上の組合又は匿名組合に準じて構成員らに直接帰属する旨主張する。
しかしながら、本件LLCは、[1]商行為をなすを業とする目的でニューヨーク州LLC法に従った設立手続を経て設立されていること、[2]契約、財産の所有、裁判、登記等の当事者となる資格が与えられていること、[3]ニューヨーク州LLC法で「LLCは(構成員とは別個の)独立した法的主体である」と規定されていること、また、[4]本件LLCの事業活動の実態面でも本件LLCは構成員とは異なる権利義務の主体として活動していることなどからして、本件LLCは設立準拠法であるニューヨーク州LLC法の下で法人格を付与された事業体であり、係る法律上の資格と実態を有する本件LLCは我が国の租税法上の外国法人に該当し、本件LLCが行う事業から生じる損益は、本件LLCに帰属すると認めるのが相当である。
最低資本金を満たすために行った利益等の資本組入れに係る受取配当金について、確定申告書に益金不算入額及びその計算明細の記載がないこは「やむを得ない事情」には該当しないとした事例
裁決事例集 第61集 464頁
要旨
請求人は、本件受取配当金の益金不算入の申告ができなかった原因は、本件増資法人が支払通知をしなかったことにあり、このことは法人税法第23条第6項に規定する「やむを得ない事情」に該当する旨主張する。
しかし、この場合の「やむを得ない事情」とは、たとえば、風水害、地震、火災、法令違反の嫌疑等による帳簿書類の押収及びこれらに準ずるもの、即ち、外的要因によって、自己の力だけでは到底申告書の記載ができないような場合であって、自己の責めに帰すべき事情はこれに該当しないと解されるところ、請求人は、[1]本件増資会社の筆頭株主であり、かつ、請求人の代表者は本件増資法人の取締役であること、[2]本件増資に係る定時株主総会議事録には、請求人代表者の記名、押印があることから、確定申告書に益金不算入額及びその計算明細の記載がないことは「やむを得ない事情」には該当しないとした更正処分は適法である。
販売代理店契約の解除に伴う在庫品の返品に係る消費税額を、課税仕入れ等の消費税額から控除すべき時期は、代理店契約の末日を含む課税期間であるとした事例
裁決事例集 第61集 682頁
要旨
請求人は、本件課税期間末日に終了した代理店契約に係る期末在庫品を仕入先へ引き渡したのは翌課税期間であるから、消費税等の計算に当たり、本件在庫品の課税仕入れに係る消費税額を翌課税期間の課税仕入れ等に係る消費税額から控除すべきである旨主張する。
しかしながら、本件在庫品の引き渡し時期を請求人と仕入先とで定めた規定はないことから、本件代理店契約に基づく仕入れ取引の内容、請求人の経理処理、倉庫会社に対する荷渡指図書等関係資料、関係者の認識等を総合的に審理した結果、本件課税期間末日の午後12時の時点において本件代理店契約、保険契約等が終了し、同時に本件在庫品の所有権も相手方に移転したと解するのが相当であり、本件課税期間において本件在庫品に係る消費税額を課税仕入れ等に係る消費税額から控除すべきである。
要旨
請求人は、在日米軍基地内にある取引先との取引が、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律第7条に規定する免税取引に該当する旨主張する。
しかしながら、本件取引先の法的地位は合衆国政府の歳出外資金による機関であり、本件取引先との取引による請求人の課税資産の譲渡等は、上記に規定する合衆国軍隊又は合衆国軍隊の公認調達機関が合衆国軍隊の用に供するために購入するものには該当しないから、同条に規定する消費税の特例は適用できない。
要旨
請求人は、請求人の営む歯科技工所は、社会通念上、製造業というべきである旨主張する。
しかしながら、歯科技工は、免許を受けた歯科技工士でなければ業として行うことができないとされ、また、設計、作成の方法、使用材料等が記載された指示書によらなければならないとされるのは、これを行うには相当高度な専門知識、技能・技術が必要とされるためだけでなく、歯科技工士は歯科医師の補助者として歯科医療行為の一環としてこれを行うものであるから、たとえ請求人において材料を購入し、その技術を駆使して義歯を作成しているとしても、本件事業の本質は、歯科医師が患者に対してする医療行為と同様、専門的な知識、技能等を提供することにあるということができ、以上からすると、本件事業は、社会通念上もサービス業に該当すると解するのが相当である。
貸金庫内に保管されていた株券は、貸金庫の開閉状況、株券の管理・処分の決定方法等の状況からみて、本件被相続人名義分も含めて、その全部が、本件被相続人の被相続人である父親の未分割遺産であるから、そのうち本件被相続人の法定相続分相当のみが本件被相続人の相続財産であると認定した事例
裁決事例集 第61集 496頁
要旨
原処分庁は、貸金庫内に保管されていた甲社株券のうち、本件被相続人の父母名義分に係る本件被相続人の法定相続分相当及び本件被相続人名義の全部は、本件被相続人の相続財産であるから、請求人が本件被相続人から遺贈により取得した財産である旨主張する。
しかしながら、貸金庫内に保管されていた甲社株券は、貸金庫の開閉状況、貸金庫内に甲社株券とともに保管されていた甲社株券以外の株式の売却譲渡及びその代金の帰属先の決定が、相続人の協議により行われており、当該株式名義人単独では行われていないこと、本件被相続人が貸金庫保管の株券については自由に出し入れを行えなかったこと等を総合すると、本件被相続人名義分も含めて、その全部が本件被相続人の被相続人である父親に係る未分割遺産と認めるのが相当である。
そうすると、請求人は、名義いかんを問わず、貸金庫内に保管されていた甲社株券のうち、本件被相続人の父親の相続に係る本件被相続人の法定相続分相当のみを本件被相続人から遺贈により取得したものと認められる。
本件被相続人の被相続人である母の相続に係る遺産分割協議書は真正に成立したものと推定されるから、請求人は、この遺産分割協議書に基づき本件被相続人が相続した本件土地を、本件被相続人に係る遺産分割協議書に基づき相続したものと認めるのが相当であるとした事例
裁決事例集 第61集 473頁
要旨
請求人は、本件被相続人の被相続人である母親の相続に係る遺産分割協議書は、分割の対象となる相続財産の記載に誤りがあるほか、共同相続人の一人であった本件被相続人が詐術により共同相続人に白紙に署名押印させた上これに分割内容を記載して作成したものである等の理由により無効であるから、この遺産分割協議書により本件被相続人が取得したとされる本件土地を遺産に含めた本件被相続人に係る遺産分割協議書も無効であり、本件被相続人から請求人は本件土地を相続により取得していない旨主張する。
しかしながら、本件被相続人の被相続人である母親の相続に係る遺産分割協議書は、本件被相続人を含めその共同相続人全員が署名押印しており、特段の反証のない限り真正に成立したものと推定され、この推定を動揺させる事実は認められないから、この遺産分割協議は真正に成立したものと認められる。
そうすると、この遺産分割協議書に基づき本件被相続人は本件土地を取得したのであり、請求人は、本件被相続人に係る遺産分割協議書に基づき本件被相続人から本件土地を相続により取得したものと認めるのが相当であるから、請求人の主張には理由がない。
要旨
譲渡所得計算上の譲渡費用は、資産の譲渡のために直接かつ通常必要な費用又は資産の譲渡価額を増加させるために譲渡に際して支出した費用と解されている。
本件農地転用決済金(以下「決済金」という。)は、[1]土地改良法第42条第2項の定めにより、土地改良区の組合員たる資格の喪失に際して、組合員が有していた土地改良区の事業に関する権利義務が新たな権利者に移転がない場合に、その権利義務を清算するために徴収されるものであって、土地の譲渡とは直接関係がないことは明らかであり、[2]本件決済金の内訳は、長期借入金の返済に充当すべき将来の負担金や維持管理費といったいずれも本件土地の譲渡とは直接の対応関係がない、いわゆる期間対応費用であり、土地の譲渡のために直接かつ通常必要な費用とは認められず、[3]本件決済金は、土地改良区の決済金徴収規程に基づいて徴収されたものであり、請求人が本件決済金を支払ったことをもって、本件土地の譲渡価額が増加したとは認められないから、いずれにしても、譲渡費用には当たらない。
滞納処分により差し押さえた預託金会員制ゴルフ会員権の換価(取立て)等のため必要があるとして、譲渡担保契約に基づき同会員権に関する入会保証金証書を占有する請求人に対してされた同証書の引渡命令は適法であるとした事例
裁決事例集 第61集 735頁
要旨
請求人は、本件ゴルフ会員権は請求人が滞納者から譲り受けた財産であるから、請求人は滞納者の財産を占有する第三者には当たらないこと、また、債権証書の取上げができる場合は差押えのため必要があるときであるところ、引渡命令が出された当時既に本件差押処分がされていたから、必要があったとはいえないことから、同会員権に関する入会保証金証書についての本件引渡命令処分は違法である旨、さらには、そもそも本件ゴルフ会員権は、請求人が滞納者から譲り受けた譲渡担保財産であるので、請求人に対して国税徴収法第24条“譲渡担保権者の物的納税責任”第4項に規定する告知がされなければならないにもかかわらず、これを欠いていることから本件差押処分は違法であり、本件差押処分を前提としてされた本件引渡命令処分は違法である旨を主張する。
しかしながら、預託金会員制ゴルフ会員権の譲渡については、当該譲渡をもってゴルフ場経営会社以外の第三者に対抗するためには、民法第467条に規定する指名債権の譲渡の場合に準じて、譲渡人が確定日付のある証書によりこれをゴルフ場経営会社に通知し、又は確定日付のある証書によりゴルフ場経営会社がこれを承諾することを要し、これと滞納処分による差押えとが競合した場合の優劣は、確定日付の譲渡通知書がゴルフ場経営会社に到達した日時(又は確定日付のあるゴルフ場経営会社の譲渡の承諾の日時)と、差押通知書がゴルフ場経営会社に到達した日時との先後により決せられるところ、本件においては、譲渡通知書より先に差押通知書がゴルフ場経営会社に到達しており、請求人は譲渡担保契約に基づく譲渡担保権の設定をもって差押権者に対抗することができないから、国税徴収法第24条の規定を適用する余地はなく告知をする必要がないというべきであり、また、本件入会保証金証書を占有する請求人は、国税徴収法第58条に規定する滞納者の財産を占有する第三者に該当することになる。
また、国税徴収法第65条に規定する債権証書の取上げができる場合の「差押えのため必要があるとき」には、その債権の取立て、換価、権利の移転及び配当等のため必要と認められるときも含まれると解される。
したがって、本件引渡命令処分は適法である。
休業中法人を合併存続法人、稼働法人を被合併法人としたいわゆる逆合併につき、法人税法第132条を適用し、合併存続法人の繰越欠損金を損金の額に算入することはできないとした事例
裁決事例集 第61集 440頁
要旨
法人税法第57条趣旨、目的から、同条の適用には、繰越欠損金の控除に係る各事業年度の間において、経営実体の統一性が継続維持されていることが当然の前提とされているから、被合併法人の繰越欠損金は、合併法人の所得金額の計算上損金の額に算入することはできないと解される。
本件合併はその実体において、合併法人の経営実体が消滅し、被合併法人の経営実体のみが存続しているものであるから、合併法人の既往の繰越欠損金を損金の額に算入することは、法人税法第57条の規定に反するものであり、その結果、請求人が本来負担すべき法人税額を不当に減少させることになるのであるから、これは、正に同法第132条第1項によって否認されるべき法人税の負担を不当に減少させる行為又は計算に該当する。
要旨
請求人は、本件ゴルフ会員権をゴルフ場経営法人に譲渡したと主張するが、請求人の行った一連の行為は、ゴルフ倶楽部からの退会が承認されたことにより、預託金返還請求権をその預託先であるゴルフ場経営法人に対して行使したにすぎず、資産の譲渡には該当しないから、譲渡損失を前提とした損益通算の規定の適用はないとした本件更正処分は相当である。
要旨
請求人は、重加算税は故意に脱税の目的で積極的な不正行為をもって所得税をほ脱している場合に課されるものであり、売上げを除外した資金で取得した事業用資産の取得価額等を立証できなかったために修正申告した場合は、積極的な不正行為があったとはいえず、重加算税を賦課すべきでない旨主張する。
しかし、請求人は、売上除外に係る売掛帳及び請求書控等を別管理として関与税理士に提出せず、代金決済後に破棄し、除外売上金の決済手段として受領した約束手形又は小切手の一部を公表外預金口座で取り立てていることなどから、賦課要件となる事実を隠ぺいし、これに基づき納付すべき税額を過少に記載して、申告書を提出したものと認められ、国税通則法第68条第1項の規定に該当する。
なお、請求人は、原処分庁が除外売上金の使途について立証責任を負っているのであるから、事業用資産が存在しないこと又は個人的に費消したことを明らかにすべきである旨主張するが、除外売上金で事業用資産を取得していたか否かについては、その支出の支払先等が明らかになってはじめてその当否が判断できるのであるから、請求人が修正申告と異なる必要経費の存在を主張するからには、請求人自らがその必要経費に関し具体的な立証を行うべきである。
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