裁決事例 裁決事例集 第99集

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平成27年6月25日裁決

小規模宅地等の特例の適用に当たり、各相続人が、複数の利用区分が存する一の宅地を相続により共有で取得した場合、当該特例を適用できる部分は、当該宅地の面積に、当該各相続人(被相続人の一定の親族)が取得した宅地の持分を乗じた面積となるとした事例(平成22年7月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第99集

要旨

 請求人らは、租税特別措置法(平成23年法律第114号改正前のもの)(措置法)第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第1項の規定(本件特例)の適用につき、本件被相続人の所有する宅地(本件宅地)の上に存する一棟の建物が利用上及び構造上独立しており、本件被相続人及びその配偶者(本件配偶者)の居住の用並びに本件被相続人が主宰する法人(本件同族会社)の事業の用に供されていたという利用実態に応じて、本件宅地のうち、本件被相続人等の居住の用に供されていた部分に相当する宅地を本件配偶者が取得し、本件同族会社の事業の用に供されていた部分に相当する宅地を本件同族会社の役員である本件被相続人の子ら(本件子ら)が取得するとして、共有としたことから、本件配偶者が取得した本件宅地の持分の全てが特定居住用宅地等に該当し、本件子らが取得した各持分の全てが特定同族会社事業用宅地等に該当する旨主張する。
 しかしながら、被相続人が所有していた宅地を相続人が共有で取得した場合には、各共有者の権利は単独所有の権利、性質、及び内容と異ならず、共有物全体に及ぶと解されている。また、特定居住用宅地等又は特定同族会社事業用宅地等に該当する各部分は、租税特別措置法施行令(平成25年政令第169号改正前のもの)第40条の2《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第7項又は第11項において、措置法第69条の4第3項第2号又は同項第3号に定める要件に該当する者が相続により取得した持分に応ずる部分とする旨規定されている。そうすると、①特定居住用宅地等として本件特例を適用できる部分は、本件被相続人等の居住の用に供されていた部分に相当する本件宅地の面積に、本件配偶者が取得した本件宅地の持分を乗じた面積となり、②特定同族会社事業用宅地等として本件特例を適用できる部分は、本件同族会社の事業の用に供されていた部分に相当する本件宅地の面積に、本件子らが取得した本件宅地の各持分を乗じた面積となる。

参照条文等

租税特別措置法(平成23年法律第114号改正前のもの)第69条の4第1項、第3項第2号・第3号 租税特別措置法施行令(平成25年政令第169号改正前のもの)第40条の2第7項、第11項

参考判決・裁決

大審院判大正8年11月3日、民録25輯1944頁

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平成27年6月19日裁決

請求人ほか3名が相続した不動産の共有持分から生ずる賃料収入について、当該賃料収入の全額が請求人に帰属するものである旨の原処分庁の主張を排斥した事例( 平成18年分以後の所得税の青色申告の承認の取消処分、 平成18年分の所得税の更正処分、 平成19年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、 平成20年分~平成23年分の所得税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、 平成24年分の所得税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分、 平18.1.1~平24.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分・ 棄却、 全部取消し、 一部取消し、 一部取消し、棄却)

裁決事例集 第99集

要旨

 原処分庁は、請求人ほか3名の相続人らが相続した不動産の共有持分から生ずる賃料収入について、請求人が他の相続人ら3名に渡しておらず、また、その全額を請求人の不動産所得として申告していたことなどからすれば、当該賃料収入の全額が請求人に帰属するものである旨主張する。
 しかしながら、相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し、その帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けないものと解するのが相当であるから、当該賃料収入は、その全額が請求人に帰属するのではなく、法定相続分に応じて請求人ほか3名の相続人らにそれぞれの割合で帰属するものと認めるのが相当である。

参考判決・裁決

最高裁平成17年9月8日第一小法廷判決(民集59巻7号1931頁)

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平成27年6月15日裁決

請求人は、所得税法第58条第5項に規定する「第1項の規定の適用を受けた居住者」に該当することから、本件土地の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除すべき取得費の額は、所得税法第58条第5項及び所得税法施行令第168条第3号の規定を適用して計算した金額になるとした事例( 平成23年分の所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分、 平成23年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第99集

要旨

 請求人は、平成8年分の所得税の申告において、請求人の借地権(本件借地権)と相手方所有の土地(本件土地)の交換(本件交換)による本件借地権の譲渡に係る譲渡所得について、本件交換時の交換対象資産の各価額の差額を計算すると当該差額が多い方の価額の20%を超えることなどから、所得税法第58条《固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例》第1項に規定する特例(本件特例)の適用を受けていたとは認められないので、請求人は同条第5項に規定する「第1項の規定の適用を受けた居住者」に該当せず、したがって、原処分庁が、平成23年の本件土地の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除すべき取得費の額について、所得税法施行令第168条《交換による取得資産の取得価額等の計算》第3号の規定を適用して計算したことは誤りである旨主張する。
 しかしながら、所得税法が採用する申告納税方式の下では、居住者が固定資産を交換した日の属する年分の所得税につき確定申告書に本件特例の適用を受けようとする旨を記載するなどして申告をした場合には、その申告により本件特例の適用を前提として計算された税額は確定し、修正申告又は更正により本件特例の適用が否定されない限り、そのような居住者は所得税法第58条第5項に規定する「第1項の規定の適用を受けた居住者」に該当すると解される。本件においては、請求人は、本件交換による本件借地権の譲渡に係る譲渡所得について本件土地を交換取得資産として本件特例の適用を受けようとする旨の平成8年分の所得税の申告をしたものと認められ、その後は、請求人が修正申告をした事実、あるいは原処分庁が更正処分をした事実はいずれも認められない。したがって、請求人は、所得税法第58条第5項に規定する「第1項の規定の適用を受けた居住者」に該当することとなるから、本件土地の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除すべき取得費の額は、所得税法第58条第5項及び所得税法施行令第168条第3号の規定を適用して計算した金額によるべきである。

参照条文等

所得税法第58条第1項第5項 所得税法施行令第168条第3号

参考判決・裁決

東京地裁平成15年9月19日判決(税資253号順号9443)

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平成27年6月11日裁決

請求人が提出した消費税法第9条《小規模事業者に係る納税義務の免除》第4項に規定する消費税課税事業者選択届出書は、事業者ではない者が提出したものであり、同項の適用は認められないと認定した事例(平24.1.1~平24.12.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分・棄却)

裁決事例集 第99集

要旨

 請求人は、課税期間(本件課税期間)の開始の日の前日までに、消費税法第9条《小規模事業者に係る納税義務の免除》第4項に規定する同条第1項本文の適用を受けない旨の届出書(本件選択届出書)を提出しているから、本件課税期間において納税義務は免除されず、消費税及び地方消費税(消費税等)の還付を受けることができる旨主張する。
 しかしながら、請求人は、本件選択届出書を提出した日の属する課税期間において、消費税法上の事業者ではなく、本件選択届出書は、事業を行う個人以外の個人から提出されたものであって、その届出の実体的効果は、本件選択届出書が提出された時から生じていないというべきである。したがって、請求人は、本件課税期間において消費税を納める義務が免除される事業者であるから、本件課税期間における消費税等の還付を受けることはできない。

参照条文等

消費税法第9条第1項第4項

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平成27年6月9日裁決

仕入先との間の契約の解除に伴う解約料として支払った金員の額を損金の額に算入したことについて、隠ぺい又は仮装の行為があったとは認められないとした事例(平20.12.1から平21.11.30までの事業年度の法人税の重加算税の賦課決定処分・一部取消し)

裁決事例集 第99集

要旨

 原処分庁は、請求人が、仕入先からの棚卸資産の購入に係る取引に関し、当該仕入先との間の契約の解除に伴う解約料として支払った金員の額(本件解約料)を損金の額に算入したことについて、請求人と当該仕入先との間に解約の合意はなく、契約が存続したまま当該棚卸資産の購入が継続されているにもかかわらず、請求人は、当該仕入先と通謀して虚偽の解約契約書及び関係書類を作成し、本件解約料を当該棚卸資産の取得価額に含めず期末棚卸高を算定したことに隠ぺい又は仮装の行為が認められる旨主張する。
 しかしながら、請求人と当該仕入先との間では解約の合意は成立し、当該解約の合意に基づき当該金員が支払われたものと認められ、解約契約書は当該合意に基づき作成されたものと認められること、また、解約合意後に請求人と当該仕入先との間で行われた当該棚卸資産に係る取引に係る契約条件が当該解約の合意の時点では合意されておらず、その後に締結された新たな契約に基づき行われていることからすると、請求人が、本件解約料を当該製品の取得価額に含めず期末棚卸高を算定したことについて隠ぺい又は仮装の行為があったとは認められない。

参照条文等

国税通則法第68条第1項

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平成27年6月3日裁決

未分割遺産に係る相続税の課税価格の計算は、いわゆる穴埋方式によるべきであるとした事例(平成22年5月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第99集

要旨

 請求人らは、預貯金等の未分割財産(本件未分割財産)について、本件には請求人ら以外の相続人が本件未分割財産及びこれから発生する収益の全てを支配、独占しているなどの個別的事情があることから、相続税法(平成23年法律第82号による改正前のもの)第55条《未分割遺産に対する課税》に規定する課税価格の計算は、各共同相続人が未分割の財産に対する自己の相続分に応じた価額相当分を取得したものとして計算する方法、すなわち、積上方式によるべきである旨主張する。
 しかしながら、相続財産の一部が分割された場合、そのことによって、相続財産全体に対する各共同相続人の法定相続分の割合が変更されることはないから、各共同相続人は、他の共同相続人に対し、相続財産全体に対する自己の相続分に応じた価額相当分から既に分割を受けた財産の価額を控除した価額相当分についてその権利を主張することができる。そうすると、相続税法第55条に規定する「民法(第904条の2を除く。)の規定による相続分の割合に従って当該財産を取得したものとしてその課税価格を計算する」とは、各共同相続人が相続財産全体に対する自己の相続分に応じた価額相当分から既に分割を受けた財産の価額を控除した残りの価額相当分を取得したものとして計算する方法、すなわち、穴埋方式により課税価格を計算すると解するのが相当である。

参照条文等

相続税法(平成23年法律第82号による改正前のもの)第13条、14条、55条

参考判決・裁決

最高裁平成5年5月28日第三小法廷判決(裁web) 東京地裁平成17年11月4日判決(税資255号順号10194)

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平成27年6月1日裁決

差押処分の直後に自主納付により滞納国税が完納される可能性は著しく低く、請求人の財産を早期に保全する必要性があったと認められることからすると、差押処分に係る徴収職員の裁量権の行使は差押処分の趣旨及び目的に反して不合理なものであったとはいえず、差押処分は不当なものではないとされた事例(債権の差押処分・棄却)

裁決事例集 第99集

要旨

 原処分庁が、請求人の滞納国税(本件滞納国税)を徴収するために債権の差押処分(本件差押処分)をしたことに対し、請求人は、原処分庁との納付相談において請求人の申し出た分割納付が認められたと理解して分割納付をしていたにもかかわらず、また、分割納付を依頼する各種事情を説明したにもかかわらず、これらの事情を一切考慮せずに行った本件差押処分は不当である旨主張する。
 しかしながら、本件滞納国税の納付状況等からすると、本件差押処分の直後に自主納付により本件滞納国税が完納される可能性は著しく低かったといわざるを得ず、請求人の財産を早期に保全する必要性があったと認められるから、本件差押処分に係る裁量権の行使は、差押えの趣旨及び目的に反して不合理なものであったとはいえず、本件差押処分は不当なものではない。

参照条文等

国税徴収法第47条第1項第1号 行政事件訴訟法第30条 行政不服審査法第1条第1項

参考判決・裁決

平成21年5月11日裁決(裁決事例集No.77) 平成22年9月29日裁決(裁決事例集No.80)

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平成27年6月1日裁決

更正処分の理由の提示について不備がないと判断した事例(平成22年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第99集

ポイント

 本件は、納税義務者以外の者による納税申告について、納税義務者が明示又は黙示に当該納税申告をする権限を与えていたとは認められないものの、納税義務者が、当該納税申告について追認していると認められるとしたものである。

要旨

 請求人は、所得税の更正処分に係る通知書(本件更正通知書)には、請求人が匿名組合契約の出資者である外国法人(本件外国法人)との間で締結した参加利益契約(本件参加利益契約)は配当を受ける旨を約す契約であり、請求人と本件外国法人との間の本件買戻合意(本件参加利益契約に基づく匿名組合契約に係る利益の分配を受ける権利を本件外国法人が買い戻すことなどの合意)は本件参加利益契約を解除する契約であると認定した根拠となる具体的な事実が摘示されておらず、また、原処分庁においてその法的評価の判断に至った過程自体を明示したものではないから、本件更正通知書に附記された理由は、更正処分庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由附記制度の趣旨から著しく逸脱した違法なものである旨主張する。
 しかしながら、本件更正通知書には、更正処分の理由として、①本件参加利益契約は、請求人が本件外国法人に対して出資を行い、当該出資額に応じた配当を受ける契約であったと認められること、②本件買戻合意は、本件参加利益契約を解除するものであったと認められるとして、原処分庁において当該合意を権利の譲渡ではないと捉えていることが明らかであり、また、③請求人が本件参加利益契約に基づき支払った拠出金と本件買戻合意に基づき受領した金員との差額である損失額は、資産の譲渡により生じたものではないことが示されており、本件更正通知書には原処分庁の判断の過程が明示されており、同通知書に附記された更正処分の理由に不備はない。

参照条文等

国税通則法第74条の14第1項 行政手続法第14条

参考判決・裁決

最高裁平成23年6月7日第三小法廷判決(民集65巻4号2081頁)

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平成27年6月1日裁決

競売により一括で取得した土地及び建物等の取得価額の区分について、固定資産税評価額の比率によってあん分することが相当であるとした事例( 平22.12.1~平23.11.30の事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、 平22.12.1~平23.11.30の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・ 棄却、 一部取消し)

裁決事例集 第99集

要旨

 請求人は、請求人が競売により一括で取得した土地及び建物(本件建物)等の取得価額の区分について、原処分庁が用いた土地及び家屋の固定資産税評価額の比率によってあん分する方法ではなく、請求人が依頼した不動産鑑定士の鑑定評価における土地と建物等の評価額の比率によってあん分し、法人税に係る建物等の減価償却費の額を計算すべきである旨主張する。
 しかしながら、鑑定評価による価額を用いたあん分法も一応合理性が認められる方法であるところ、請求人が用いた不動産鑑定士の評価額の計算が本件建物と構造の異なる建物に基づく査定を行っているなど必ずしも合理性のある算出方法となっていない一方、原処分庁が用いた土地及び家屋の固定資産税評価額は、いずれも同一の評価機関により算定されたものであり、かつ、同一時期の時価を反映しているものであることから合理性があるというべきである。よって、固定資産税評価額の比率によってあん分することが相当である。
 なお、原処分庁の固定資産税評価額の比率によるあん分は、本件建物に設置されたディスプレイ設備に係る固定資産税評価額に相当する額が含まれていないことから、原処分庁の計算は誤りである。

参照条文等

法人税法第31条第1項

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平成27年5月26日裁決

調査結果の説明に瑕疵があったとしても、原処分の取消事由とはならないとした事例(平成22年9月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却、却下)

裁決事例集 第99集

ポイント

 本事例は、証拠収集手続に影響を及ぼさない手続の違法は課税処分の取消事由とはならないものと解されるから、国税通則法第74条の11《調査の終了の際の手続》の調査結果の説明に瑕疵があったとしても、原処分の取消事由とはならないことを明らかにしたものである。

要旨

 請求人らは、本件相続に係る相続税の調査(本件調査)には、国税通則法(通則法)第74条の9《納税義務者に対する調査の事前通知等》第1項に規定された事前通知及び通則法第74条の11《調査の終了の際の手続》第2項に規定された調査結果の説明がいずれもなされていない違法があるから、原処分は取り消されるべきである旨主張する。
 しかしながら、まず、本件において、通則法第74条の9第1項所定の事前通知は、本件調査の担当職員の答述及びこれを裏付ける原処分関係資料によれば、当該職員によって適法になされているものと認められることから、この点に関する請求人の主張には理由がない。次に、調査の手続の違法が課税処分の取消事由となるのは、課税処分の基礎となる調査を全く欠く場合のほか、課税処分の基礎となる証拠資料の収集手続(証拠収集手続)に重大な違法があって調査を全く欠くのに等しいとの評価を受ける場合に限られ、他方、証拠収集手続に影響を及ぼさない他の手続の違法は課税処分の取消事由とはならないものと解されるから、証拠収集手続に違法があるとは認められない本件においては、証拠収集手続に影響を及ぼさない手続である調査結果の説明に瑕疵があったとしても、原処分の取消事由とはなり得ないものというべきである。したがって、この点に関する請求人の主張にも理由がない。

参照条文等

国税通則法第74条の9 国税通則法第74条の11

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平成27年5月25日裁決

登記記録の地目が畑で現況が墓地の土地の登記につき、登録免許税法第5条《非課税登記等》第10号に規定する「墳墓地に関する登記」に該当するかどうかは、不動産の現況ではなく登記記録の地目によるべきであるとした事例(登録免許税に係る還付通知の請求に対してされた還付通知をすべき理由がない旨の通知処分・棄却)

裁決事例集 第99集

要旨

 請求人らは、請求人らが相続した登記記録の地目が畑で現況が墓地の土地の登記につき、登録免許税法第5条《非課税登記等》第10号に規定する「墳墓地に関する登記」に該当するかどうかは、登記記録の地目ではなく現況に従って判断すべきである旨主張する。
 しかしながら、同号は「墳墓地に関する登記」について非課税とするものであるところ、この規定を適用するについては、登記記録の地目が墓地と記録されている土地に限られる。これは、登録免許税が、納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が自動的に確定する国税で、相続税等の財産税とは異なり流通税としての性格を有し、このような性格を持つ登録免許税において、登記官は、不動産登記の際、登記記録や登記申請に基づき、当該不動産の地目を形式的に判断する必要があるためである。したがって、登録免許税法第5条第10号に該当するかどうかは、不動産の現況ではなく登記記録の地目によるべきであることから、現況地目が墓地であっても、登記記録の地目が墓地でなければ、同号の適用はない。

参照条文等

登録免許税法第2条第5条第10号

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平成27年5月20日裁決

請求人の子会社には、法人税法施行令第68条《資産の評価損の計上ができる事実》第1項第2号ハに規定する「ロに準ずる特別の事実」が生じているとは認められないとした事例( 平23.4.1~平24.3.31の事業年度の法人税の再更正処分、 平24.4.1~平25.3.31の事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、 平24.4.1~平25.3.31の課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第99集

要旨

 請求人は、請求人の子会社(本件子会社)において、法人税法施行令第68条《資産の評価損の計上ができる事実》第1項第2号ハに規定する「ロに準ずる特別の事実」が生じているので、本件子会社に対する請求人の出資持分に係る評価損を損金の額に算入することができる旨主張する。
 しかしながら、この「ロに準ずる特別の事実」とは、同号ロとは異なる原因、すなわち、その有価証券を発行する法人そのものの資産状態以外の当該有価証券の価額の変動を生じさせる客観的な要素について、災害に準ずるような何らかの「特別の事実」が生じたことにより、当該有価証券の価額が著しく低下し、かつ、その価額の回復の見込みがないような場合を指すものと考えられるところ、本件子会社において法人税法施行令第68条第1項第2号ハに規定する「ロに準ずる特別の事実」が生じているとは認められないことから、本件子会社に対する請求人の出資持分に係る評価損を損金の額に算入することはできない。

参照条文等

法人税法第33条第1項第2項 法人税法施行令第68条第1項第2号ロ、ハ

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平成27年5月8日裁決

本件金地金について、相続開始日に本件被相続人の相続財産として存在したと認めるには十分とはいえないことなどから、請求人が取得した相続財産であるとは認められないとした事例(平成23年9月相続開始に係る相続税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分・全部取消し)

裁決事例集 第99集

要旨

 原処分庁は、本件被相続人が金地金を取得した以後、①相続開始日の3年前頃には本件被相続人の下に多数の金地金が保有されていたこと、②調査した金地金取扱業者等に対する売却の事実がないこと、③相続人等への金地金の贈与の事実がないことから、相続開始日において、本件被相続人又は本件被相続人の委任を受けた請求人の管理下に同人の相続財産として申告された金地金以外の金地金(本件金地金)が存在したと主張する。
 しかしながら、上記①から③までの事情は、相続開始日に本件金地金が本件被相続人の相続財産として存在したと認めるには十分とはいえず、他に原処分庁の主張事実を認めるに足りる証拠はないから、本件金地金は、請求人が取得した相続財産であるとは認められない。

参照条文等

相続税法第2条

参考判決・裁決

名古屋高裁平成15年12月25日判決(税資253号順号9500)

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平成27年4月21日裁決

法人の代表取締役である請求人が、当該法人から契約上の地位を譲り受けた生命保険契約を解約したことにより受領した解約払戻金に係る一時所得の金額の計算上、当該法人が支払った保険料を一時所得の金額の計算上控除することはできないとした事例(平成22年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第99集

要旨

 法人の代表取締役である請求人は、同人が当該法人から契約上の地位を譲り受けた生命保険契約を解約したことにより受領した解約払戻金に係る一時所得の金額の計算上、当該法人が支払った保険料を含む当該生命保険契約に係る保険料の総額を控除すべきである旨主張する。
 しかしながら、一時所得に係る支出が所得税法第34条《一時所得》第2項にいう「その収入を得るために支出した金額」に該当するためには、それが当該収入を得た個人において自ら負担して支出したものといえる場合でなければならないと解するのが相当である。なお、所得税法施行令(平成23年6月改正前のもの)第183条《生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算上控除する保険料等》第2項第2号についても、以上の理解と整合的に解釈されるべきものであり、同号が一時所得の金額の計算において支出した金額に算入すると定める「保険料…の総額」とは、保険金の支払を受けた者が自ら負担して支出したものといえる金額をいうと解すべきであって、同号が、このようにいえない保険料まで上記金額に算入し得る旨を定めたものということはできない。したがって、当該解約払戻金に係る一時所得の金額の計算上、当該法人がその名義により支払った保険料は、これを控除することはできない。

参照条文等

所得税法第34条第2項 所得税法施行令第183条第2項第2号(平成23年6月政令第195号による改正前のもの) 所得税基本通達34-4(平成24年2月10日付課個2-11・課審4-8による改正前のもの)

参考判決・裁決

最高裁平成24年1月13日第二小法廷判決(民集66巻1号1頁)

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平成27年4月13日裁決

青色事業専従者給与の支払に充てられた資金の原資が請求人の給与収入から請求人の事業に振り替えられたもの(事業主借)であることを理由に、青色事業専従者給与の支払額全額が、請求人の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入できないとした原処分庁の主張を排斥した事例(平成22年分~平成24年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し)

裁決事例集 第99集

要旨

 原処分庁は、請求人には事業収入の約4倍の給与収入があり、当該給与収入が請求人の事業に資金流入され、青色事業専従者給与が支払われていることからすれば、青色事業専従者給与は事業から支払を受けていた場合には当たらず、その全額が事業所得の金額の計算上必要経費に算入できない旨主張する。
 しかしながら、請求人の場合、青色事業専従者給与は、事業主借勘定に振り替えられ事業用とされた現金から支払われており、事業から支払われていたものと認められるから、労務の対価として相当であると認められる金額は、青色事業専従者給与の金額として、請求人の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することが相当である。

参照条文等

所得税法第57条第1項(平成25年法律第28号による改正前のもの) 所得税法施行令第164条第1項

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平成27年4月8日裁決

委託売却による売却通知が処分に当たることを前提に、不服申立ての利益がないことを理由に審査請求を却下した事例(委託売却による売却通知処分・却下)

裁決事例集 第99集

要旨

 審査請求によって処分の取消しを求めるには、請求人に取消しを求める利益のあることが必要であるところ、請求人が取消しを求める委託売却による売却通知処分については、原処分庁が本審査請求がされたことを理由に当該委託売却を中止し、当該委託売却に係る売却実施期間が経過したため、当該売却通知処分に基づき請求人の財産が売却されることはなくなり、同処分の効力は消滅したので、本審査請求は不服申立ての利益を欠く不適法なものである。

参照条文等

国税徴収法第109条第1項、同条第4項 国税徴収法第171条第1項第3号

参考判決・裁決

神戸地裁昭和46年2月19日判決(裁web)

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平成27年4月1日裁決

押印が漏れている相続税の申告書について、納税申告書としての効力が認められるとした事例(平成25年1月相続開始に係る相続税の無申告加算税の賦課決定処分・全部取消し)

裁決事例集 第99集

ポイント

 本事例は、納税申告書としての他の要件を具備している限り、押印がないことのみをもって納税申告書としての効力がないものとはいえないとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人が法定申告期限内に提出した相続税の申告書(本件申告書)について、請求人の押印がなく国税通則法(通則法)第124条《書類提出者の氏名及び住所の記載等》第2項の規定を充足していないこと、加えて、本件申告書の書面等から請求人の申告の意思を認めることができず本件申告書が有効なものと認められないことから、通則法第17条《期限内申告》に規定する期限内申告書には該当しない旨主張する。
 しかしながら、納税申告書の効力については、押印がない場合であっても、単なる押印漏れであることも考えられるので、納税申告書として他の要件を具備している限り、押印がないことのみをもってその効力がないものとはいえず、このような場合には、当該納税申告書が押印のない者の申告の意思に基づいて提出されたものと認められるか否かによって、その効力を判断すべきである。そして、申告の意思に基づいて提出されたものかどうかの判断に当たっては、納税申告書の作成経緯や原処分庁への納税申告書の提出状況及び納税の状況等を総合考慮すべきと考える。これを本件についてみると、①本件申告書は遺産分割協議で成立した内容を基に共同相続人の総意により作成されたものであること、②請求人は共同相続人である長女に本件申告書の原処分庁への提出を任せ、長女が現に提出したものであること、③請求人が申告納税義務を認識し相続税を納期限内に全額納付したことなどがそれぞれ認められることから、本件申告書は、請求人の意思に基づいて提出されたものと認めるのが相当である。また、本件申告書は、押印箇所を除き納税申告書としての要件を具備しているものと認められる。したがって、本件申告書に請求人の押印のないことについては、単なる押印漏れにすぎず、本件申告書の納税申告書としての効力には影響しないというべきであるから、本件申告書は、通則法第17条に規定する請求人の期限内申告書に該当する。

参照条文等

国税通則法第124条 相続税法施行規則第13条第1項

参考判決・裁決

平成22年9月14日裁決(裁決事例集No.80)

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