裁決事例 平成2年7月6日裁決
外国法人の香港本店名義で外国の銀行に保有している円建て定期預金に係る受取利息は、外国法人の日本支店が独自に運用したことに基づくものであって同支店において行う事業に帰せられるものであるから、外国法人の日本支店の国内源泉所得に該当するとした事例
裁決事例集 第40集 192頁
要旨
請求人の香港本店名義で外国の銀行に保有している円建て定期預金は、請求人の親会社であるA外国銀行東京支店が保有していた円建て定期預金を、同支店の閉鎖に伴い引き継いだものであるが、[1]当該預金がA外国銀行東京支店から請求人の香港本店に引き継がれた旨の約定がないこと、[2]国内おける調達資金ないし融資先との決済の状況等は、A外国銀行東京支店が本件預金の所有者であった当時と全く同じであり、しかも、請求人の日本支店は当該預金に係る資金調達コストを負担していること等の事実が認められ、これらの行為に請求人の香港本店が関与していた事実は認められないから、当該預金はその名義にかかわらず日本支店によって実質的に所有されているとするのが相当である。
したがって、当該預金に係る受取利息の額は、請求人の内部取引に基づくものではなく、請求人の日本支店独自の運用等によるものであって、同支店が国内にある事業所において行う事業に帰せられるものであり、かつ、当該受取利息については外国において法人税が課されないから、請求人の日本支店の国内源泉所得に係る収益に該当する。
被相続人が生前立退料を支払うなどして借家人を立ち退かせた上、その貸家用の家屋を取り壊し、その敷地に貸家用の家屋を建築中である場合において相続が開始したときのその敷地について、貸家建付地としてではなく、自用地として評価すべきであるとした事例
裁決事例集 第40集 235頁
要旨
貸家建付地とは、相続開始時点において現に貸付けの用に供されている建物の敷地を指すものと認められる。貸家建付地は自用地に比べて低額に評価することとされているが、これは、借家人はその借りている建物の敷地に対して借地権等の権利を有しているわけではないが、借家した建物利用の範囲内でその敷地に対しても事実上の支配権を有していることから、敷地の所有者にとっては、その分その敷地の経済的な価値がこれらの権利の目的となっていない自用地に比べ低くなっていることを考慮したものと認められる。
本件は、相続開始の時においては、本件宅地の上に建築中の新建物が存在したが、当該建物はまだ現実に貸付けの用に供されておらず、かつ、立退料の支払等により終了した新建物の建築前に賃貸されていた旧建物に係る賃貸借契約と新建物に係るそれとの間には継続性も認められないから、本件宅地には貸家建付地としてその評価額算定上考慮すべき借家人の事実上の支配権は存在せず、他に本件宅地の評価額算定上考慮すべき特段の事情も認められない。したがって、本件は、貸家建付地としてではなく、自用地として評価すべきものである。
要旨
被相続人は、本件宅地を含む土地にあった旧建物(1,708平方メートル、居住用の部分を除く)を長期間賃貸していたこと、被相続人は、旧建物の敷地の一部を譲渡したことに伴う買換資産として、相続開始時点において、その残りの本件宅地に新建物を建築中であったこと(新建物の完成後、相続人は直ちに賃貸している)、被相続人は、本件旧建物以外にも24戸のマンションを賃貸していたこと等から、被相続人の旧建物を含む不動産の貸付けは、社会通念上事業というべき規模、対価及び継続性を備えたものとするのが相当である。
本件宅地は、貸家建付地としての評価はできないとしても、被相続人の不動産貸付けは事業というべきであり、新建物は、被相続人が賃貸していた旧建物の敷地の一部の譲渡に伴い建替中であったものであるから、これを被相続人の事業の面からみた場合、その事業には継続性が認められる。
したがって、本件宅地は、相続開始直前においても被相続人の事業の用に供されていたとするのが実態に即しており、租税特別措置法第69条の3の規定による事業用の小規模宅地等としての相続税の課税価格の計算の特例を適用するのが相当である。
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