裁決事例 平成8年3月29日裁決
被相続人と請求人との間における本件土地の貸借関係は賃貸借とはいえず使用貸借と認めるのが相当であるから、本件土地は自用地として評価すべきであるとされた事例
裁決事例集 第51集 601頁
要旨
請求人は、本件土地は請求人が貸家の敷地として固定資産税等の1.7倍以上の地代を支払って借りていたものであるから貸宅地として評価すべきであるが、貸借に当たって、権利金の授受もないことから評価基本通達26(貸家建付地の評価)に定める程度に評価すべきであると主張する。
ところで、土地の貸借に当たって、当該土地の公租公課を負担する程度のものは使用貸借であると解されているところ、請求人は、本件土地を借り受けるに当たり賃貸借契約及び地代の取決めをせず、領収書のただし書には「固資税、都計税、S町3-718、R町1-909分」等と記載されているのみで、本件土地地代とは記載されておらず、請求人の不動産所得の青色申告決算書に支払地代として計上することなく、公租公課と計上していることが認められ、また、請求人が支払った額が本件土地の固定資産税等の1.7倍となっているのは、被相続人から負担の要求をされた、請求人が相続する予定の本件土地及びその他の土地の固定資産税等の合計額が当該価額になっているにすぎず、本件土地の使用対価としての性格のものとは認められないので、本件土地の貸借は使用貸借と認めるのが相当である。
そうすると、使用貸借による敷地利用権は、権利性の薄弱なものであり、経済的価値を有しないものと解され、また、借家人の敷地利用権は、建物所有者の敷地利用権に従属して、その範囲内での権能にすぎないと解されているので、本件土地の価額は、自用地としての価額から控除すべき建物所有者の敷地利用権の価額はないものとして算定するのが相当である。
請求人らの代理人が譲渡代金の全額を買主から受領した後、代理人から当該代金を回収できないとしても、保証債務の特例は適用できないとして請求人の主張を排斥した事例
裁決事例集 第51集 176頁
要旨
請求人らは、代理人であるE(譲渡土地の共有者)が買主から20億7,500万円の譲渡代金の全額を受領した後、破産宣告を受け、Eから譲渡代金の回収ができなくなったのであるから、担税力を考慮し保証債務の特例を適用すべきである旨主張する。
しかしながら、所得税法第64条(資産の譲渡代金が回収不能となった場合等の所得計算の特例)第1項に規定する「収入金額の全部又は一部を回収することができなくなった場合」とは、売主が買主から譲渡代金の全部又は一部を回収できなくなった場合と解され、また、民法第646条の規定により、受任者は事務処理に当たり受領した金銭等を委任者に引き渡す義務があると解されている。
このことからすると、請求人らは、Eを通じて買主から譲渡代金の全額を受領しているので、保証債務の特例を適用すべきであるという主張には理由がない。
なお、Eが破産宣告を受けた結果、請求人らが同人から譲渡代金を回収できなくなったとしても、それは受領した譲渡代金の使途の問題であって、譲渡代金の回収不能とは別異の事実と解するのが相当である。
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