裁決事例 平成10年6月25日裁決
要旨
請求人は、H社の企業年金プランのうち、米国内国歳入法第401条k項に規定する年金プランに加入し、掛金を拠出しているが、[1]当該掛金は、内国歳入法においては拠出時の給与の減額とされ、将来の年金受給時に課税されるものであること、[2]当該掛金は、請求人に現金等で支給されず、請求人が管理、支配できない給付に該当するものであること及び[3]請求人が将来米国の居住者として受給する年金の一部である掛金に課税することは、日米租税条約第23条(1)及び同条約の目的である「反二重課税」に反することから、我が国においては拠出時の給与として課税すべきではない旨主張する。
しかしながら、401kプランの掛金として拠出するか又は給与として現金で受け取るかは請求人の任意であること、更に401kプランの掛金とする場合であっても、拠出割合及び投資対象については請求人の判断と責任において選択することとされていることなどから判断すると、本件掛金は、請求人がH社の使用人としての地位に基づいて役務の提供の対価として受け取った給与を請求人の意思と判断により、401kプランの掛金として拠出したものと認めるのが相当であり、本件掛金相当額は、所得税法第36条の規定により、各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額に該当し、同法第28条第1項の規定により、給与所得に該当するものと認められる。
請求人の絵画の売買に係る業務については、人的、物的設備が備わっておらず、請求人が本件絵画業務に費やす精神的、肉体的労力は低く、自己の危険と計算における企画遂行性にも乏しいことが認められ、また、その営利性も極めて乏しいことから、本件絵画業務は事業所得を生ずべき事業としての社会的客観性を備えたものには該当しないとした事例
裁決事例集 第55集 53頁
要旨
請求人は、請求人の絵画の売買に係る業務が開業以来赤字であるのは、事業戦略上の判断を誤ったため損失を招いただけであり、特定の画廊を通じて業務を行っているのはその方が効率的であったからであること等から、本件絵画業務は事業所得を生ずべき事業に該当する旨主張する。
しかしながら、本件絵画業務についてみると、[1]絵画を販売、展示するための店舗を有していないこと、[2]購入した絵画は美術品ロッカーに保管されたままになっていること、[3]絵画業務の事務について専任の従業員を置かず、請求人の経営する法人の役員に行わせ、しかもその対価も支払っていないことから、本件絵画業務には、人的、物的設備が備わっているとは認められず、本件絵画業務に関する広告宣伝活動を一切していないことや画廊業者の同業者団体に加入していないこと及び古物営業法の営業許可を得ていないことから、外形的にも事業としての実態が認められない。
また、絵画の購入から売却まですべて特定の画廊に任せて取引をしており、請求人が本件絵画業務において、精神的、肉体的労力をほとんど費やしていないものと認められ、自己の危険と計算において企画遂行しているとは認められない。
さらに、本件絵画業務は、業務の開始当初の高額な絵画の購入に伴う借入金の利息等の負担が大きいにもかかわらず、[1]絵画の売買回数が極めて少なく、その売買点数も少ないこと、[2]平成4年以降の絵画の購入価額は少額のものがほとんどで、その売買差益もきん少なものであること、[3]業務を開始してから毎年損失となっていることなどから、相当期間継続して安定した収益を得ているとは認められず、その営利性も極めて乏しい。
以上のことから、本件絵画業務は事業所得を生ずべき事業として社会的客観性を備えたものには該当しないと判断するのが相当である。
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