裁決事例 平成11年3月23日裁決
借地権の更新料が土地の時価の10分の5以下である場合には、当該更新料が地代の年額の20倍に相当する金額を超えるとしても、譲渡所得には該当しないとされた事例
裁決事例集 第57集 75頁
要旨
請求人は、本件土地の借地権の更新料は、当該土地の地代の年額の20倍に相当する金額を超えるものであるから、所得税法施行令第79条第3項の規定により譲渡所得の収入金額に該当する旨主張する。
ところで、所得税法施行令第79条第1項では、借地権の設定のうち、当該設定が建物若しくは構築物の所有を目的とする借地権等の設定である場合において、当該設定の対価として支払をうける金額がその土地の更地価額の10分の5に相当する金額を超えるときは、当該設定行為を資産の譲渡とみなす旨規定している。同条第3項では、その設定により受ける金額が、その設定により支払を受ける地代の年額の20倍に相当する金額以下である場合には、資産の譲渡には当たらないものと推定する旨規定しているが、この規定は、同条第1項にいう資産の譲渡とみなされる行為に当たるか否かを判定する上での推定規定であるから、当該行為が資産の譲渡に当たるか否かを同項により判定した場合には、同条第3項の規定を適用する余地はないものと解される。
そこで、本件土地の更地価額と借地権の更新料を検討すると、本件更新料は土地の更地価額の10分の5以下であると認められることから、当該更新料の金額が地代の年額の20倍に相当する金額を超えていたとしても、本件更新料は不動産所得の総収入金額に算入されるべきものである。
診療所開設遅延に係る本件和解金は、請求人の心身、資産に加えられた損害を補てんする性質のものではなく、本来所得となるものや得べかりし利益を喪失した部分を受領したもので、請求人の業務の遂行により生ずべき事業所得に係る収入金額に代わる性質を有するものと認められるとした事例
裁決事例集 第57集 127頁
要旨
請求人は、請求人を開設者とする診療所の開設が遅延した場合にはGが請求人に損害賠償金を支払う旨の合意書に基づき、請求人が和解により受領した本件和解金は、請求人の精神的苦痛及び肉体的苦痛に対する対価として算定されたものであるから、所得税法第9条第1項第16号及び同法施行令第30条の規定により非課税とされる損害賠償金に該当する旨主張する。
しかしながら、本件合意書に定める損害賠償金の積算根拠は、[1]本件診療所の開設に伴う医療機器のリース料及び借入金の元利返済金、[2]光熱費、修繕補修費、家具及び看護婦・医師等の人件費並びに[3]請求人の得べかりし収入及び税金負担分であり、請求人は、本件訴訟において、この損害賠償金の積算根拠及び本件診療所に代えて第三者を開設者とする診療所を開設せざるを得なかったことによる医療収入の実際の損害の内容を明らかにし、これに基づいて和解したものと認められ、請求人の答述及び和解金の支払者の申述からも精神的苦痛及び肉体的苦痛の対価として和解したとは認められず、また、これを証する証拠書類の提出もないことから、本件和解金は、請求人の心身、資産に加えられた損害を補てんする性質のものではなく、本来所得となるものや得べかりし利益を喪失した部分を受領したもので、請求人の業務の遂行により生ずベき事業所得に係る収入金額に代わる性質を有するものと認めるのが相当である。
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