裁決事例 平成11年7月1日裁決
国税徴収法第38条の第二次納税義務の告知処分に至る手続に違法があり、また、納付相談の要請を了解したにもかかわらず、この了解事項を一方的に破棄して告知処分を行ったことは、信義則に反するとの請求人の主張が排斥された事例
裁決事例集 第58集 324頁
要旨
請求人は、本件告知処分は、滞納会社に対する滞納処分の手続が十分に行われていたとはいえず、法律的な瑕疵があり、また、徴収担当職員は納付相談の要請を了解していたにもかかわらず、原処分庁がこの了解事項を一方的に破棄し、本件告知処分を行ったことは信義誠実の原則に反する旨主張する。
しかしながら、国税徴収法第38条に規定する第二次納税義務の告知処分は、同条に規定する第二次納税義務のいずれの要件にも該当する場合に成立するとされており、また、滞納会社が原処分庁と納付相談中である場合あるいは原処分庁の滞納会社に対する徴収手続が尽くされた後でなければ第二次納税義務を課すことができない旨を定めた法令上の規定はなく、請求人は、同条に規定する第二次納税義務を負うこととなる。
また、請求人の納付相談に応じてほしい旨の要請に対し、原処分庁がこれを容認した事実は認められず、請求人が徴収担当職員から拒否されなかったことをもってこの要請を了解していた旨の請求人の主張は、請求人の一方的な理解にすぎない。そうすると、原処分庁が公的見解を表示した事実は認められず、租税法規の適用における納税者間の平等、公平を犠牲にしても、なお請求人の信頼、利益を保護しなければ正義に反するというような特別の事情があるとは認められない。
請求人が経営するパチンコ店のフロアー責任者及び経理責任者として実質的に経営に参画していた従業員が行った売上除外による隠ぺい行為について、それが横領目的であったとしても請求人の行為と同視すべきであるとして、重加算税の賦課決定処分を認容した事例
裁決事例集 第58集 9頁
要旨
重加算税の賦課要件たる隠ぺい又は仮装の行為者は、納税義務者たる法人の代表者に限定されるものではなく、その役員又は従業員等で経営に参画していると認められる者が隠ぺい又は仮装をし、かつ、代表者がそれに基づき過少申告した場合は、当該法人が重加算税の負担を受けるべきであり、このことは、当該法人の代表者が納税申告するに当たり、隠ぺい又は仮装行為を知っていたか否かによって左右されるものではない。
ところで、売上データを改ざんし、売上金の除外をした本件従業員は、請求人が経営するパチンコ店のフロアー責任者として、同店のコンピュータの操作、台の入替え、景品の管理、従業員の採用及び給与の計算等の一切を任され、確定申告書等の「経理責任者自署押印」欄に記名・押印していること、請求人の代表者はP市内在住の医師であって、パチンコ業については全くの素人であり、同店所在のQ市には年に1ないし2回程度しか来ていないことが認められる。
以上のことから、本件従業員は経理責任者等として請求人の経営に参画していたものと認められ、このような地位にあった従業員が売上金等の管理を担当し、故意に売上金の一部を除外したものである以上、それが同人の私的利益を図るために行われたものであり、また、それを代表者が知らなかったとしても、当該従業員の行為は、請求人の行為と同一視すべきであって、請求人に対して重加算税を賦課した原処分は適法である。
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