裁決事例 平成12年6月21日裁決
合併存続法人に生じた欠損金額を被合併法人の所得金額を対象として欠損金の繰戻請求を認めるべきであるとの請求人の主張に対して、合併存続人と被合併法人では法人格が異なることから還付請求は認められないとして、これを排斥した事例
裁決事例集 第59集 191頁
要旨
商法第103条[合併の効果]は、吸収合併の場合、合併存続法人が被合併法人の権利義務を承継する旨規定しているところ、この合併により合併存続法人が承継する権利義務は、被合併法人の私法上の実質的な積極的、消極的財産であって、計算上の数額である資本や各準備金、あるいは単なる経理計算関係などはこれに該当するものではなく、また、被合併法人の公法上の権利義務が合併存続法人に承継されるかどうかは、当該公法上の権利義務の性質によって個別に検討されるべきものである。
そして、法人税法第81条第1項の規定は、法人税は各事業年度ごとに所得金額を算定し、これによって課税する原則の例外として青色申告法人に限り欠損金の繰戻しの制度を認めているものであるが、前述のとおり計算関係にすぎない合併存続法人の欠損金が合併の効果として合併前の被合併法人に当然に及ぶと解することはできず、その繰戻しが認められるためには法人税法上、別段の根拠が必要であると解される。しかしながら、同条の欠損金の繰戻し制度について、合併後の合併存続法人の欠損金につき、合併前の被合併法人の所得についてまで及ぶことを認めた規定はない。
また、この制度は各事業年度ごとの所得によって課税する原則を貫くと各事業年度を通じて所得計算をする場合に比して、税負担が加重となる場合が生ずるので、これを緩和して当該法人の企業活動の健全を期待保障しようとするものであるから、この趣旨からして欠損金の繰戻しが許されるには当該法人が人格の同一性を保っていることを前提とするものと解されるところ、合併存続法人と被合併法人は人格の同一性を保っているということはできないことから、請求人の主張を認めることはできない。
土地がいわゆる公図混乱地区に所在し、その地積の確定は測量が完了するまではできなかったとしても、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由に当たらないとした事例
裁決事例集 第59集 37頁
要旨
請求人らは、本件更正処分による納付すべき税額の計算の基礎となった事実が当該更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったのは、やむを得ない事情によるものであり、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由がある旨主張するところ、本件土地が公図混乱地区にあったため、その地積の確定には相当の時間を要し、現に原処分庁が本件更正処分をした時点において、本件土地の測量が完了していなかったことは認めることができる。
しかしながら、過少申告加算税が、過少な申告という事実のみをもって賦課されるものであることに照らすと、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由があると認められる場合とは、税法の解釈に関して申告当時に公表されていた見解がその後改変されたことに伴い修正申告をした場合など、申告当時に適法とみられていた申告が、その後の事情の変化により、納税者の故意過失に基づかないで過少申告となった場合のように、過少申告をしたことが真にやむを得ない理由によるもので、かかる納税者に過少申告加算税を課すことが不当又は酷になる場合を意味するものと解するのが相当である。
本件において、請求人らは、当初、本件土地の一部について、その登記名義が被相続人であるにもかかわらず、これを相続財産として申告しなかったばかりか、本件土地の地積は不動産登記簿上の地積とも、本件貸付台帳上のそれとも異なることを認識しながら、あえて当該貸付台帳上の地積等に基づいて本件申告をしたのであり、本件土地が公図混乱地区にあり、また、その地積を確定した上で修正申告をする予定である旨を調査担当職員に告げていたとしても、請求人らは、本件申告時において、本件土地の地積が本件申告に係る地積の範囲内であり、これを超えるものではないことを客観的に裏付ける事実を認識していたものということはできないのであるから、正当な理由があるとは認められない。
【 税務法規集に掲載する法令等の情報に関する注意事項 】
- 本サービスは、デジタル庁が管理するe-Gov法令検索のデータ、国税庁がホームページを通じて提供する通達等の情報および国税不服審判所の公表裁決事例・裁決要旨を利用しています。
- 法律の専門家が分類・整理した情報を元に、プログラムで自動的に法令等を解析し、関連する情報を統合的に閲覧できるように再編集していますが法令等の内容については、明白な誤りや文字種の統一などの形式的な点を除き、変更しておりません。
- 各法令等の施行日等の情報は法令等の名称の横にある マークのボタンからご覧いただけます。また、当該法令の元データにもその情報表示部分からアクセスすることができます。
- 本サービスの提供者は、デジタル庁および国税庁とは関係がなく、またこれらの機関を代表するものでもありません。
- 本サービスの提供者は、表示される情報に誤りがないように努めていますが、利用者による本サービスの利用に関する結果に対して一切の責任を負いません。