裁決事例 平成13年5月30日裁決
請求人が、被相続人の財産から親族に支払った金員は、相続開始後に成立した贈与契約に基因するもので、相続開始の際に現に存する確実な債務ではないとした事例
裁決事例集 第61集 560頁
要旨
請求人は、1億円の贈与義務(「本件債務」という。)は相続開始の際に現に存する債務であり、相続税の課税価格の計算上控除すべき金額であると主張する。
しかしながら、贈与債務が、相続税の課税価格の計算上債務として控除するための要件を充たすには、相続開始までにその贈与債務の基礎となる贈与契約が成立しており、かつ、相続開始のときに債務者(贈与者)につきその債務の履行が義務づけられる未履行の贈与債務であることが必要であるところ、本件においては、相続開始の時点においては、被相続人と受贈者の代理人との間で交渉が終了していたとはいえず、相続開始後に取り交わされた基本合意書をもって贈与額が確定し、これにより贈与契約が成立したものと認められることから、本件債務は相続開始の際に現に存する確実な債務には該当しない。
請求人が行った本件ゴルフ会員権の売却及び再取得に関わる一連の行為は、請求人が、所得税の軽減を目的として、虚偽の売却計算書等を作成させ、売買取引の外形を仮装した実態のないものと認められるから、本件譲渡に係る損失の発生及びこれに係る損益通算を認めなかった更正処分並びに重加算税賦課決定処分は適法であるとした事例
裁決事例集 第61集 175頁
要旨
請求人は、本件ゴルフ会員権の相場が購入価額の半額となり、更に下がると考えられたこと等からそれを売却し、その後の事情から同会員権を再取得したものであるから、本件譲渡により譲渡損失が生じている旨主張する。
しかしながら、会員証及びネームプレートの交付がされていないこと、請求人が売却から再取得の間にメンバーとして2回にわたりプレーしていること、年会費の清算がされていないこと等の事実からすると、本件売却及び再取得は、所得税の軽減を目的としてされた、実態のない仮装のものであるから、本件譲渡によって損失が発生したものと認めることはできない。
また、請求人による本件ゴルフ会員権の売却から再取得に至る一連の行為は、所得税の軽減を目的として、本件買取計算書及び本件売却計算書により売買取引の外形を仮装したものであり、そして、請求人は、仮装した本件買取計算書に基づき、本件ゴルフ会員権の譲渡によって損失が生じたとして、他の各種所得の金額と損益通算した確定申告書を提出したものであるから、本件重加算税賦課決定処分は適法である。
要旨
請求人は、ホテルの一室である本件建物を不動産貸付業の用に供するために購入したものであり、生活に通常必要でない資産には該当しないから、賃貸に係る不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額については、他の各種所得の金額から控除すべきである旨主張する。
しかしながら、[1]本件建物は、著名なリゾート地に所在し、請求人が別荘等と同様に保養等の用に供し得る性質のものであること、[2]本件分譲案内書によれば、賃貸料収入が得られるほか、ホテルの利用上のメリットや節税対策になることがうたわれていること、[3]請求人は、実質的に一般客に優先して利用することができること及び[4]本件賃貸料の額は、請求人が負担した必要経費の額の2割程度であり、管理費の額にも達しておらず、経済的にみて不合理であること等の事実が認められる。
そうすると、本件建物を賃貸しているのは、単に、本件建物の管理費等の負担を軽減するために過ぎないものであり、また、本件建物の性質及び状況等の諸般の事情を総合的に勘案し、これを客観的にみれば、本件建物は主として保養等の目的で所有していたものと認めるのが相当であり、生活に通常必要でない資産に該当するから、本件損失金額は損益通算が認められない。
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