裁決事例 平成14年12月4日裁決
要旨
請求人らは、延納申請に係る担保として提供した財産(土地)は、担保として適当であり、原処分庁が行なった相続税に係る延納申請却下処分は違法である旨主張する。
しかしながら、延納の担保として提供される財産は、その担保に係る相続税額を確実に徴収することができる金銭的価値を有するものでなければならず、延納許可が取り消された場合に、国税通則法第52条第1項の規定に基づき、滞納処分の例により換価し、その換価代金を国税に充当することが困難と考えられる事情を有する財産は、延納の担保としては適当でないと解するのが相当である。
本件担保物件は、その所有権の帰属につき訴訟において係争中の物件であって、仮に、原処分庁が本件担保物件を本件延納申請の担保として受け入れ、抵当権を設定したとしても、訴訟の結果によっては、当該抵当権によって本件担保物件を公売等で換価し国税に充当することができないおそれがあることは明らかである。
要旨
請求人は、[1]本件確定申告書が期限後申告となったのは、税務職員の誤指導によるものであるから、国税通則法第66条第1項ただし書の「正当な理由」に該当する、[2]期限後申告が誤指導によるものであり、本件消費税等の税額を法定申告期限内に納付していることを考慮すれば、無申告加算税を課することは、請求人に酷すぎるものであり、同項ただし書の「正当な理由」に該当する、[3]本件消費税等の税額を法定申告期限内に納付しているのであるから、租税債権として確定することが可能であり、無申告加算税を賦課することは申告の適正を担保し申告納税制度を確保するために行政上の制裁として設けられた制度の趣旨からも不当である旨主張する。
しかしながら、請求人が主張するような誤指導の客観的な事実を認めることができないこと、期限後申告となったのは、請求人が税務申告を委託した会計事務所職員が消費税について申告期限延長制度がないことを知らず、請求人の法人税の申告期限の延長が承認されていることから消費税等についても申告期限延長制度があるものと誤認していたためであり、消費税法の不知又は誤認であることから、「正当な理由」に該当しない。
また、申告納税方式においては、確定申告書の提出が納税義務を確定させるために重要な意義を有することから、納税者の法定申告期限内の申告書提出義務の不履行に対して、同項の規定により、行政上の措置として、一律に無申告加算税が賦課されるものであり、当該申告書に係る税額が法定申告期限内に納付されたか否かにより、同項の規定の適用が左右されるものではない。
要旨
請求人は、滞納処分による債権の差押えに対して、[1]滞納者に対して被差押債権を超える債権を有しているので相殺すべきであること、[2]差押えの前に本件債権を元従業員に譲渡したとする債権譲渡通知書が届き、当該債権譲渡は本件差押処分に先行するから滞納者に対する債務が存在しない旨主張して差押処分の取消しを請求する。
しかしながら、差押処分等の国税に関する処分に対し、審査請求ができる者は、その処分の取消しを求めることに法律上の利益を有する者に限られると解されている。本件差押処分によって、国は滞納者に代わって債権者の立場に立つにとどまり、国と第三債務者たる請求人との関係は、私法上の債権者、債務者という関係にすぎないことになる。
そうすると、請求人が任意に当該債務を履行しない場合は、国は、民事訴訟法に定める手続により被差押債権に係る債務名義を得たうえで、強制執行の手続を踏むほかはなく、請求人は、国が被差押債権取立てのための訴えを提起したときには、当該債務の不存在等差押え前から滞納者に対して有する一切の抗弁を主張して対抗することができるのであるから、債権者が滞納者から国に交代したことに伴い、法律上の不利益を受けることはない。
したがって、被差押債権に係る債務が存在しないことを理由として本件差押処分の取消しを求める本件審査請求は、法律上の利益を欠いた不適法なものである。
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