裁決事例 平成16年2月27日裁決
原処分庁が配偶者が取得したと主張する財産は、遺産分割協議以前より存在し、当該遺産分割協議で子が取得したものと認めるのが相当であるから、配偶者が相続により取得した財産はなく、相続税法第19条に規定する相続開始前3年以内の贈与加算の適用もないとした事例
裁決事例集 第67集 543頁
要旨
原処分庁は、本件構築物を、第一回遺産分割協議書作成後に新たに発見された財産であるとして、第二回遺産分割協議書に基づき、妻Mが取得したものと主張するが、本件構築物は、[1]第一回遺産分割協議書作成時に明らかに存在していたこと、[2]それぞれの共同住宅に附随した設備等であることから、共同住宅の取得者が併せて取得すると理解するのが相続人の通常の意思と合致するといえること、[3]共同住宅はKが取得し、その不動産賃貸収入を確定申告していることから、本件構築物もKが取得したものと認めるのが相当である。
そうすると、妻Mは、本件相続により相続財産を取得していないことから、相続税法第19条に規定する「相続により財産を取得した者」に該当しないこととなるので、固定資産税及び交換差金相当額を贈与により取得したか否かを判断するまでもなく、妻Mに同条の適用はない。
要旨
- 不動産所得とは、所得税法第26条第1項において、不動産、不動産の上に存する権利、船舶又は航空機の貸付けによる所得をいう旨規定され、その「貸付け」には、同項かっこ書において、地上権又は永小作権その他他人に不動産等を使用させることを含む旨規定されている。すなわち、所得税法第26条第1項の「貸付け」には、他人に不動産等を使用させる一切の場合を含むものとされている。
これを本件についてみると、本件契約は、請求人が自己の農地を県に使用させるという内容のものであるから、本件契約に基づいて本件農地を使用させることも、所得税法第26条第1項の「貸付け」に当たる。
そして、本件損失補償金は、県が本件農地を使用することによって生じる損失を「正当な地代又は借賃」をもって補償したものであることが認められる。
そうすると、本件損失補償金は、請求人が本件農地を県に使用させたことによって得た所得であるといえるから、所得税法第26条第1項の「貸付けによる所得」に該当し、不動産所得に当たるとするのが相当である。 - 請求人は、本件契約は営利を目的とした継続的な土地使用契約でないので、本件損失補償金は不動産所得に該当しない旨主張する。
しかしながら、所得税法第26条第1項の「貸付け」には、他人に不動産等を使用させる一切の場合を含むとされており、営利を目的とした継続的な土地使用契約に限っておらず、請求人の主張には理由がない。 - 請求人は、本件損失補償金は、土地使用について生じる損失の補償であるとともに、「休耕による減収補償」、「土地の返還後の地味回復に関わる経費」及び「収益回復までの収益減収に関わる補填費」などであって、地代のような単なる土地使用の対価でないことは明らかであり、休耕による減収補償等は、農家の事業収益若しくはそれに代わる収入と認めるべきものであって、地代収入などとは明らかに性質が異なるものであるから、不動産所得に当たらない旨主張する。
しかしながら、本件損失補償金を算定するに当たり、請求人が主張するような要素が考慮されていることが認められるが、農地を使用させたことの対価を算定する際には、一般に、かかる要素が考慮されるべきものであり、そのことをもって、本件損失補償金が県に土地を使用させたことによる所得であることを否定するものではないから、請求人の主張には理由がない。 - 請求人は、本件農地の提供は、災害による河川の復旧工事に協力したものであって、もし請求人らが協力しなければ事業に重大な支障となり、土地収用法の適用もあり得たものであるから、本件農地の提供が公共工事のための半強制的な土地提供であることからすると、本件損失補償金は税負担の少ない一時所得とすべき旨主張する。
しかしながら、本件農地の提供が公共工事のために半強制的な土地提供であったとしても、そのような土地提供に係る損失補償金を一時所得とする旨定めた法令の規定はないから、請求人の主張には理由がない。
賃借人から土地賃貸借契約の終了に伴い原状回復費用名目で受領した金員は、その土地賃貸借契約の終了した日の属する年分の不動産所得の収入金額であると認定した事例
裁決事例集 第67集 264頁
要旨
請求人は、賃貸していた甲土地の原状回復工事については、本件合意書を交わすまでには賃借人であるB大学と何度も協議を重ね、解約に関する真意を基礎に本件合意書を交わしたものであり、B大学が甲土地の原状回復義務の履行を請求人に委任するに際し、本件合意金に過不足が生じたとしても精算を行わないこととしたのは、B大学側の諸般の事情及び強い意向を汲んで、請求人が承諾したものであり、本件合意金については、B大学が行うべき原状回復工事の費用を、同大学の都合から預ったものであるから、甲土地の原状回復工事が完了した平成14年7月31日までは、預り金とすべきであり、平成13年分の不動産所得に係る総収入金額とはならないと主張する。
しかしながら、請求人及びB大学が、保証金と本件合意金とを相殺し、請求人が同大学に対しその過不足額を支払ったことにより、B大学は、本件合意金の支払義務を履行したことが認められるが、本件合意書の内容によれば、本件合意金の支払義務履行によりB大学の原状回復義務は消滅し、請求人に対し甲土地を現況の状態に復し、返還したことになり、また、請求人とB大学との間には何らの債権債務も存しないのであるから、請求人には、本件合意金の返還義務はないことになる。
したがって、本件合意金をB大学からの預り金であるとするのは相当ではなく、平成13年中に確定したものとして、平成13年分の不動産所得に係る総収入金額として計上すべきものと認められる。
【 税務法規集に掲載する法令等の情報に関する注意事項 】
- 本サービスは、デジタル庁が管理するe-Gov法令検索のデータ、国税庁がホームページを通じて提供する通達等の情報および国税不服審判所の公表裁決事例・裁決要旨を利用しています。
- 法律の専門家が分類・整理した情報を元に、プログラムで自動的に法令等を解析し、関連する情報を統合的に閲覧できるように再編集していますが法令等の内容については、明白な誤りや文字種の統一などの形式的な点を除き、変更しておりません。
- 各法令等の施行日等の情報は法令等の名称の横にある マークのボタンからご覧いただけます。また、当該法令の元データにもその情報表示部分からアクセスすることができます。
- 本サービスの提供者は、デジタル庁および国税庁とは関係がなく、またこれらの機関を代表するものでもありません。
- 本サービスの提供者は、表示される情報に誤りがないように努めていますが、利用者による本サービスの利用に関する結果に対して一切の責任を負いません。