裁決事例 平成16年5月17日裁決
本件各土地の譲渡代金は主債務者に運転資金として貸し付けられ、主債務者が当該資金をもって本件各債務を弁済したものと認められるから、本件各土地の譲渡所得につき、所得税法第64条第2項に規定する保証債務の特例を適用することはできないとした事例
裁決事例集 第67集 383頁
要旨
請求人は、本件各土地の譲渡代金は、主たる債務者を経由して本件各債務の弁済に充てられているが、実質的には、請求人が連帯保証人として本件各連帯保証債務を弁済したものであり、本件各土地の譲渡は保証債務の特例の適用要件を備えていると主張するが、[1]請求人は、主たる債務者に対して本件各弁済の額を超える資金を提供していること、[2]当該超える金額について、主たる債務者は、人件費、役員給与等の支払に充てていること、[3]債権者から請求人に保証債務の履行の請求はなかったことなど、本件各弁済の形態等からすると、請求人は、譲渡代金の一部を主たる債務者に貸し付け、主たる債務者が当該資金をもって本件各債務を弁済したとみるのが相当であり、本件各弁済を請求人による保証債務の履行と評価することはできない。
破産宣告を受けた法人が経営するゴルフ場に係る会員権は、譲渡所得の基因となる資産に該当しないから、その譲渡による損失の金額を他の所得金額と損益通算することはできないとした事例
裁決事例集 第67集 401頁
要旨
請求人は、預託金会員制の本件ゴルフクラブは、その経営会社が破産宣告を受けた後も引き続きプレーをすることが可能であり、本件破産宣告によって破産債権に移行するのは預託金返還請求権のみであって、「プレーをする権利」は破産債権とはならず、本件ゴルフ会員権に係る施設利用権は消滅していないから、本件会員権は譲渡所得の基因となる資産に該当する旨主張する。
しかしながら、預託金会員制のゴルフ会員権は、ゴルフ場の優先的施設利用権と預託金返還請求権とが内在しているものであるところ、ゴルフ場を所有又は経営する法人が破産した場合には、これらの権利は、破産法第15条の規定により破産宣告前の原因に基づいて生じた財産上の請求権たる破産債権として金銭債権に変更されることになるから、破産宣告後に譲渡された本件会員権は、譲渡所得の基因となる資産に該当しない。
なお、本件ゴルフクラブは、破産宣告後においても営業を継続し、その会員は従前と同様にプレーすることができるとされているが、これは、破産管財人が、破産財団となったゴルフ場を換価するまでの期間その財産的価値の保全を図ることを目的に、破産したゴルフ場の清算のための手段と手続の過程として、本件ゴルフ場を営業し本件ゴルフクラブの会員にプレーを許諾しているものにすぎず、本件会員権に係る優先的施設利用権が存するものとは認められない。
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