裁決事例 平成17年9月21日裁決
商法第349条第1項に規定する反対株主の株式買取請求に基づき株式発行法人が自己の株式を取得した日は、株式買取価格の決定の申請に係る和解成立の日であるとした事例
裁決事例集 第70集 105頁
要旨
請求人は、商法第349条第1項に規定する反対株主の株式買取請求に基づき、株式発行法人が自己の株式を取得した日は、株主等が発行法人との間で能動的に行った契約の成立ないし法律行為の日、すなわち反対株主が株式買取請求権を行使した日であり、その日は商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律第44条第2項(本件経過措置)に規定する施行日(平成13年10月1日)前であるから、所得税法第25条第1項第5号に規定する自己の株式の取得を事由とするみなし配当課税は適用されない旨主張する。
しかしながら、同号に規定する自己の株式の取得とは、株式発行法人がする証券取引所の開設する市場における購入による取得等以外の自己の株式の取得であり、本件自己の株式の取得は、反対株主の株式買取請求に応じて売買により取得したものであるから、本件自己の株式の取得の日については、売買の効力が生じたときがいつであるかに帰着するところ、売買では代金は重要な要素であるから、代金額が定まっていない場合には、売買の効力は生じないと解される。本件は、当事者間において株式買取価格が調わず、裁判所に商法第245条の3第3項の規定に基づき価格の決定を申請し、和解により株式買取価格が決定し、それに基づき株式発行法人が請求人に対して株式買取代金を支払い、請求人は株式発行法人に株券を引き渡したものであるから、その和解の日に、売買契約の効力が生じ、当事者双方が契約を履行したといえる。そうすると、本件における自己の株式の取得の日は、本件経過措置に規定する施行日以後となるから、所得税法第25条第1項第5号の規定が適用される。
なお、最高裁昭和48年3月1日決定は、反対株主が株式買取請求権を行使したときは、法律上当然に会社と株主の間に売買契約が成立したのと同様の法律関係が生ずると判示するが、この法律関係とは、会社が株主から将来決定する価格で株式を買い取る義務を負い、株主が会社に同価格で株式を売り渡す義務を負うという法律関係をいうのであって、売買契約の効力が生じたことまでをいうものではない。
要旨
請求人は、砂利採取業者等から受領した海面使用料は組合員に対する漁業補償金であるから、請求人の所得として課税するのは違法である旨主張する。
しかしながら、請求人が所有する共同漁業権にその基礎を置く組合員の有する漁業権の行使権は、漁業協同組合の構成員たる組合員としての地位と不可分な、いわゆる社員権的権利であり、共同漁業権から派生しこれに附従する第二次的権利であって、砂利採取業者等との関係は間接的なものとなるから、漁業操業上の利益の喪失による損害を請求することはできず、これを請求できるのは共同漁業権を有する請求人のみであること、海面使用料に関する契約ないし請求はいずれも請求人が当事者となっていることからすれば、海面使用料は、砂利採取業者等から支払を受けた段階で請求人に確定的に帰属しているというべきである。
要旨
請求人は、自己の滞納国税を納付するため国税通則法第55条の規定に基づき約束手形1葉を納付委託するとともに、本件納付誓約書に基づき毎月分割納付を履行している最中であるにもかかわらず、原処分庁が、一方的に本件充当処分及び本件各委託納付を行ったのは、権利の濫用である旨主張する。
しかしながら、本件充当処分は国税通則法第57条第1項の規定に基づくものであり、同項は、税務署長に対し、還付金等と納付すべきこととなっている国税とが同一の納税者について存在する場合に、還付金等を納付すべきこととなっている国税に充当することを義務付けるものである。また、納付委託により事実上納税が猶予されている滞納国税について、還付金等の充当を制限する旨の法律上の規定はないことから、本件充当処分について原処分庁がその権利を濫用したとは認められない。
また、委託納付とは、納税者が、税務署長に対し、その受領すべき還付金等により未納の国税等の納付を委託したものとみなされ、同委託に基づき税務署長が同還付金等を同未納国税等に収納する手続を行うことをいい、これにより、法律上当然にその委託納付に相当する額の還付及び納付があったものとみなされる。そうすると、納付委託の効果は、法律上擬制される納税者自らの委託に基づくものであって、税務署長等による公権力の行使によるものではないから、「国税に関する法律に基づく処分」には該当しない。したがって、本件各委託納付に対する審査請求は不適法なものである。
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