裁決事例 平成19年5月15日裁決
所得税の重加算税の賦課決定について、納税申告書の提出等の時点において、納税者が課税庁等に対し、自己が行った隠ぺい又は仮装の事実を知らせていたとしても、重加算税の課税要件には何ら影響しないとした事例
裁決事例集 第73集 64頁
要旨
請求人及び請求人の親族が本件物件を居住の用に供していないにもかかわらず、請求人は本件特例を適用する意図を持って、本件物件に居住しているAらの住民登録のみを異動させた旨自認し、また請求人及びEの住民登録を本件住所に異動し、住民票の除票等を本件確定申告書に添付することにより、本件物件を自己の居住用と仮装したことが認められ、これらの行為は、国税通則法第68条第1項に規定する「隠ぺい又は仮装」に該当する。
なお、請求人は、本件譲渡所得に関する相談の際に、Eが本件相談担当者に対し、請求人及び請求人の親族が本件物件に居住していなかったこと及び本件特例を適用するために請求人及びEの住民登録を本件住所に異動したことを説明しているから、国税通則法第68条第1項に規定する「隠ぺい又は仮装」の事実はこの時点でなくなったものであると主張する。
しかしながら、重加算税については、「隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出した」という国税通則法第68条第1項所定の課税要件を充足することにより成立するのであり、たとえ、納税申告書の提出時点において、納税者が課税庁等に対し、その隠ぺい又は仮装の事実を知らせていたとしても、重加算税の課税要件に何ら影響を与えるものではないから、この点に関する請求人の主張には理由がない。
請求人の多忙及び共同相続人の通院加療等を理由に、請求人が行った相続税の申告期限から3年以内に遺産が分割されなかったことについてのやむを得ない事由の承認申請を却下した処分が適法であるとした事例
裁決事例集 第73集 483頁
要旨
請求人は、本件特例の適用を受けようとする遺産が未分割であることについて、①相続人が関係していた法人と原処分庁との間の訴訟が係属中であること、②請求人は、自ら当事者となっている訴訟事件7件、雑事件10件、その他9件を抱えて多忙であったこと、③遺産の一部については分割を了するなど、請求人は分割協議の完了に努力していること及び④共同相続人のうちの1名が病気のため通院加療中であったことから同人に配慮する必要があったこととのやむを得ない事由が存在するので、原処分は違法であると主張する。
しかしながら、請求人が主張する事由は、いずれも租税特別措置法施行令第40条の2第12項で準用する相続税法施行令第4条の2第1項第1号ないし第3号に規定する本件相続に関する訴えの提起、和解、調停の申立て等の事由には該当しない。また、同項第4号に規定する「税務署長においてやむを得ない事情がある場合」については、個々の具体的事例に即し、税務署長が客観的な事実に基づいて認定することとなり、その判断のよりどころとして相続税法基本通達19の2-15(以下「本件通達」という。)において例示を掲げているところ、その取扱いは相当であると認められるので、請求人が主張する上記事情について、これに照らして判断すると次のとおりである。
①ないし③の事情は、当該事情が未分割の前提としてあったとしても、いずれも本件通達に定めるような客観的に遺産分割ができないと認められる事情には該当しない。
また、④の事情は、共同相続人のうちの1名が病気療養中であったとはいえ精神的又は身体の重度の障害疾病のため遺産分割ができなかったとはいえず、本件通達に定めるような客観的に遺産分割ができないと認められる事情には該当しない。
以上のとおり、本件特例の適用を受けようとする遺産が未分割であることについて、相続税法施行令第4条の2第1項各号に規定するやむを得ない事情があったとは認められないから、本件却下処分に違法はない。
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