裁決事例 平成23年3月25日裁決
出版業者が書店等から返品された雑誌等は棚卸資産であり、陳腐化の事実が生じ、かつ、損金経理によりその帳簿価額を減額した場合でない限り期末評価損は認められないとした事例
裁決事例集 第82集
要旨
請求人(月刊誌等の出版業)は、棚卸資産のうち、書店等から返品された雑誌等については、古紙としての価値があるにすぎないから、評価損の計上が認められるべきである旨主張する。
しかしながら、棚卸資産について評価損が認められるのは、陳腐化等の事実が生じ、かつ、損金経理によりその帳簿価額を減額した場合であるところ、請求人の棚卸資産については評価損の計上が認められる状態にあったと認めるに足る証拠はなく、損金経理により棚卸資産の帳簿価額を減額した事実も認められないから、請求人は、当該雑誌等について、その評価損を損金の額に算入することはできない。
一方、原処分庁は、平成20年12月期の請求人の棚卸資産の期首計上額が過少であると認めるに足る証拠の提出がされなかったことを理由に、売上原価が過少となっているとの請求人の主張は認められない旨主張する。
しかしながら、請求人から提出された証拠資料によれば、棚卸資産の期首計上額が過少であると認められ、これにより過少となった売上原価の額を損金に算入して請求人の所得金額を再計算すると、更正処分の金額を下回ることから、更正処分はその一部を取り消すべきである。
請求人は、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した一部の経費について、不動産賃貸業の遂行上直接必要であった部分を明らかにしていないことから、当該経費を必要経費に算入することはできないとした事例
裁決事例集 第82集
ポイント
この事例は、請求人が、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入すべきと主張する経費について、必要経費についての立証責任は、原則として原処分庁にあるとした上で、原処分庁が具体的な証拠に基づき一定額の経費の存在を明らかにし、これが収入との間に合理的対応関係を有すると認められる場合には、請求人は、経費の具体的内容を明らかにし、ある程度これを合理的に裏付ける程度の立証をしなければならない旨を明示したものである。
要旨
必要経費についての立証責任は、原則として原処分庁にあると解すべきであるが、一般に必要経費は請求人にとって有利な事柄であり、請求人の支配領域内のこととして証拠資料を整えておくことが容易であるから、原処分庁が具体的な証拠に基づき一定額の経費の存在を明らかにし、これが収入との間に合理的対応関係を有すると認められる場合は、これを超える額の必要経費は存在しないものと事実上推定され、請求人は、経費の具体的内容を明らかにし、ある程度これを合理的に裏付ける程度の立証をしなければ、上記推定を覆すことはできないと解されるところ、請求人が、飲食代及び交通費が必要経費に当たることについて、経費の具体的内容を明らかにし、ある程度、これを合理的に裏付ける程度の立証をしたと認めることはできないから、必要経費に算入することはできない。
参照条文等
参考判決・裁決
東京地裁平成5年10月4日判決(税資199号1頁)
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