裁決事例 平成23年11月17日裁決

裁決事例 平成23年11月17日裁決

原文を表示
平成23年11月17日裁決

借地権の設定されている土地の評価に当たり、自用地としての価額から控除すべき借地権の価額はないとした事例

裁決事例集 第85集

ポイント

 この事例は、借地権の設定されている土地の評価に当たり、賃貸人と賃借人との間においては、借地権の価額についての認識のないことが明らかであることから、当該土地は、自用地としての価額により評価すべきであるとしたものである。

要旨

 請求人は、請求人の父(本件被相続人)の相続(本件相続)により取得した土地(本件土地)を、本件相続開始の日において、図書館建物及び駐車場施設の敷地としてa市との間で賃貸借契約を締結し(本件賃貸借契約)、賃貸していたのであるから、本件土地の価額は、財産評価基本通達25《貸宅地の評価》の定めに従い、自用地としての価額から借地権の価額を控除した価額で評価すべきである旨主張する。
 しかしながら、確かに、本件賃貸借契約に係る契約書(本件賃貸借契約書)の記載内容及びその解釈並びに本件土地の使用の主目的からすれば、本件土地には、当該図書館建物の所有を目的とする借地権の設定がされたものと認められるものの、①本件賃貸借契約書には、本件被相続人が本件土地の譲渡を希望するなどの場合には、賃借人であるa市は更地価格を意味する「適正価格」で買い取る旨が定められていること、②本件賃貸借契約における賃貸料の額からみて、本件土地上の借地権の価額については何ら考慮されていないこと、③a市が本件土地に係る鑑定評価を依頼した際に、a市は本件土地を買い取るに当たって考慮すべき借地権の価額は存在していなかったと認識していたものと認められ、また、実際にも本件土地は鑑定評価額に近似した価額で請求人からa市に譲渡されており、借地権の存在を考慮した価額で譲渡されたものではないことが明らかであることなどからすると、本件相続開始の日において、借地権が存した本件土地の自用地の価額から控除すべき借地権の価額はなかったと認められる。このような場合には、財産評価基本通達を形式的に適用すべきではなく、本件土地の評価に当たり、自用地としての価額から借地権の価額を控除しないこととするのが相当である。

参照条文等

借地借家法第2条 相続税法第22条

原文を表示
平成23年11月17日裁決

課税処分の取消訴訟が係属中であっても、課税処分の効力は妨げられず滞納処分は続行されるとともに、課税処分と滞納処分はそれぞれ目的を異にする別個独立した行政処分であるから、違法性は承継されないとした事例

裁決事例集 第85集

ポイント

 この事例は、滞納処分の前提となった課税処分に係る取消訴訟の裁判が係属している中で、滞納処分の取消しを求めて審査請求がされた場合において、いわゆる「執行不停止」の原則に従い、取消訴訟が係属中であっても滞納処分の執行・手続の続行は妨げられず、また、先行する課税処分が重大かつ明白な瑕疵により無効であるか、違法を理由として権限ある機関によって取り消された場合でない限り、先行する課税処分の違法性を理由として滞納処分の取消しを求めることはできないと判断したものである。

要旨

 請求人は、本件差押処分の前提となった加算税の各賦課決定処分(本件各賦課決定処分)の取消訴訟の裁判が係属中で、いずれも違法な処分であるため、裁判で取り消されることが明らかであり、①本件各賦課決定処分を前提とした、形式的な国税徴収法に基づく本件差押処分は、原処分庁の権限の濫用であり、不当な手続であるとともに、②本件差押処分は、本件各賦課決定処分と密接に関連し、不可分の関係であることから、前提となる本件各賦課決定処分の違法性が承継され、本件差押処分も違法となる旨主張する。
 しかしながら、行政事件訴訟法第25条《執行停止》第1項の規定により、本件各賦課決定処分の取消訴訟が係属中であっても、本件各賦課決定処分の効力は妨げられず、本件各賦課決定処分に係る納付すべき税額に基づき、滞納処分は続行されることとなるところ、原処分庁は、督促に係る国税が完納されておらず、裁判所からの執行停止命令もなされていないことから、滞納国税につき督促手続を経て国税徴収法第47条《差押の要件》第1項第1号の規定に基づき本件差押処分を行ったものである。
 また、課税処分は、国税の納税義務を具体化し、その納付すべき税額を確定させることを目的とする処分であり、滞納処分は、既に具体的に確定した税額が納期限までに完納されない場合に、国税債権の強制的実現を目的とする徴収手続であって、両者はそれぞれ目的を異にする別個独立した行政処分であるから、違法性は承継されず、課税処分が重大かつ明白な瑕疵により無効であるか、違法を理由として権限ある機関によって取り消された場合でない限り、先行する課税処分の違法性を理由として滞納処分の取消しを求めることはできないと解するのが相当であるところ、先行する本件各賦課決定処分には重大かつ明白な瑕疵はなく、また、違法を理由として権限ある機関によって取り消された事実もないので、本件各賦課決定処分の違法性を前提とした請求人の主張はその前提を欠くものである。

参照条文等

国税通則法第105条第1項 行政事件訴訟法第25条

参考判決・裁決

平成14年12月11日裁決(裁決事例集No.64・126頁)

【 税務法規集に掲載する法令等の情報に関する注意事項 】

  • 本サービスは、デジタル庁が管理するe-Gov法令検索のデータ、国税庁がホームページを通じて提供する通達等の情報および国税不服審判所の公表裁決事例・裁決要旨を利用しています。
  • 法律の専門家が分類・整理した情報を元に、プログラムで自動的に法令等を解析し、関連する情報を統合的に閲覧できるように再編集していますが法令等の内容については、明白な誤りや文字種の統一などの形式的な点を除き、変更しておりません。
  • 各法令等の施行日等の情報は法令等の名称の横にある マークのボタンからご覧いただけます。また、当該法令の元データにもその情報表示部分からアクセスすることができます。
  • 本サービスの提供者は、デジタル庁および国税庁とは関係がなく、またこれらの機関を代表するものでもありません。
  • 本サービスの提供者は、表示される情報に誤りがないように努めていますが、利用者による本サービスの利用に関する結果に対して一切の責任を負いません。