裁決事例 平成26年9月1日裁決
原処分庁が請求人の所得区分及び必要経費を否認して更正処分をした事案について、必要経費性を否認する支出を特定していない理由の提示に不備があると判断した事例(平成21年分~平成23年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し)
裁決事例集 第96集
ポイント
本事例は、支出の必要経費性を否認して更正処分をする場合、更正通知書に記載する理由には、否認する支出を特定して記載しなければならないとしたものである。
要旨
原処分庁は、更正通知書に記載された処分の理由は行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与えるという行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》第1項本文の法の趣旨が求める程度に記載されていると認められるからその記載に不備はない旨主張する。
しかしながら、更正通知書に記載された必要経費該当性の判断に係る理由のうち旅費交通費及び新聞図書費の一部の費用が必要経費に該当しない旨の理由の記載については、当該必要経費として認められない費用がどの費用(あるいは費用の一部)であるかが特定されておらず、当該費用の内容すら理解できないものであって、要件該当性をおよそ判断できないものであり、摘示された事実からは更正の理由を検証し、その適否について検討することはできない。そうすると、上記記載が行政手続法第14条第1項の法の趣旨目的を充足する程度に具体的に根拠を明示したとは評価できないから、これらの理由の記載には不備がある。
参照条文等
行政手続法第14条
参考判決・裁決
最高裁平成23年6月7日第三小法廷判決(民集65巻4号2081頁) 最高裁昭和60年4月23日第三小法廷判決(民集39巻3号850頁) 最高裁昭和47年12月5日第三小法廷判決(民集26巻10号1795頁)
請求人が、同人の母に対して、複数年の間に行った金銭の貸付けに係る利息について、その履行期の到来する平成23年において収入すべき金額は、平成23年分の期間に対応する部分の金額のみであるとした事例( 平成23年分の所得税の更正処分、 平成23年分の所得税の過少申告加算税の賦課決定処分・ 一部取消し、 全部取消し)
裁決事例集 第96集
要旨
原処分庁は、利息債権については、その履行期が到来すれば、権利が確定し、所得税法第36条《収入金額》第1項に規定する「収入すべき金額」に当たるものと解され、所得税基本通達36-8《事業所得の総収入金額の収入すべき時期》(7)(本件通達)における「その年に対応するもの」とは、同項の規定によりその年に権利が確定したものをいうとの解釈を前提として、請求人が母親に対して貸し付けた金銭の利息(本件利息)については、その履行期にその全額が確定したものであるから、本件通達により、同日が本件利息の全額の収入すべき時期となる旨主張する。
しかしながら、貸付金利息については、元本使用の対価であって、元本が返還されるまで日々発生するものであるから、特段の事情のない限り、現実の支払の有無を問わず、期間の経過により直ちに利息債権が発生し、収入の原因となる権利が確定するものと解するのが相当であり、また、本件通達は、期間対応計算を採用したものであるから、「その年に対応するもの」との文言については、その年における利息の計算期間の経過に対応するものと解するのが相当であり、本件利息に係る収入金額のうち、各年中の期間に対応する部分の金額に係る収入すべき時期は、それぞれの年の末日であり、貸付期間の終了した平成23年の期間に対応する部分の金額に係る収入すべき時期は、貸付期間の終了した平成23年である。
参照条文等
所得税法第35条第1項、第36条第1項 所得税基本通達36-5、36-8(7)、36-14(2)
参考判決・裁決
最高裁昭和49年3月8日第二小法廷判決(判タ309号255頁) 最高裁昭和53年2月24日第二小法廷判決(判タ361号210頁)
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