裁決事例 平成28年5月20日裁決
死亡保険金の一部を故意に相続税の申告の対象から除外したものとまでは認め難いとした事例(平成24年9月相続開始に係る相続税の 重加算税の賦課決定処分、 更正処分及び重加算税の賦課決定処分・ 一部取消し、 全部取消し)
裁決事例集 第103集
ポイント
本事例は、請求人が死亡保険金の一部を申告しなかったことについて、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。
要旨
原処分庁は、請求人は、11口の死亡保険金を自ら受領しそのうち4口は当初申告しており、これらの死亡保険金全てを相続税額の計算の基礎とすべきことを認識していたと認められるから、その余の7口の死亡保険金(本件各無申告保険金)を受領した事実を隠ぺいする意図があったと推認されることや、調査担当職員に対し、本件各無申告保険金についても申告したと認識していた旨の虚偽の申述をしたことなどを総合考慮すると、本件各無申告保険金を当初申告から除外したことは、課税要件事実を隠ぺいしたところに基づくものである旨主張する。
しかしながら、請求人は、本件各無申告保険金をいずれも請求人名義の預金口座への振込送金により受領した上、調査の際には、調査担当職員からの求めに応じて、当該預金口座に係る預金通帳等を逡巡なく提示しているのであって、本件各無申告保険金の発見を困難ならしめるような意図や行動はうかがわれない。また、請求人が、調査担当職員から本件各無申告保険金の申告漏れを指摘されると、特段の抗弁をすることなく当該事実を認めており、修正申告の勧奨に応じて遅滞なく修正申告をしていることにも照らせば、本件各無申告保険金を故意に当初申告の対象から除外したものとまでは認め難い。これらによれば、請求人が、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものと認めることはできないから、本件各無申告保険金を当初申告の対象に含めなかったことが、課税要件事実の隠ぺい、仮装に基づく過少申告であるとは認められない。
参照条文等
参考判決・裁決
最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)
請求人に対する決定処分は、違法な調査に基づいて行われたものではないとした事例(平成21年分所得税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分並びに平成25年分所得税及び復興特別所得税に係る無申告加算税の賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第103集
ポイント
本事例は、先物取引の差金等決済に係る損失の繰越しのみを求めるための申告書を提出できる期限は、その申告書を提出することができる日から5年を経過する日までとした申告指導等に誤りはないとしたものである。
要旨
請求人は、原処分庁の行った平成21年分の所得税の決定処分(本件決定処分)は、①国税通則法(通則法)第74条の11《調査の終了の際の手続》第2項に規定する調査結果の説明を口頭で行っていないなど、調査終了の際の手続が不十分であること、②平成20年分の所得税につき、少なくとも法定申告期限から7年間は期限後申告が可能であったにもかかわらず、原処分庁が請求人に対して、法定申告期限から5年間が期限後申告書を提出できる期限であるとの指導(本件申告指導)をし、請求人は、不当な本件申告指導により、平成20年分の所得税の期限後申告書の提出を制限され、結果、平成21年分の所得税において、前年分の先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除が不可能な状態を強いられ、その後に本件決定処分がなされたという事情があることから、通則法第25条《決定》に基づく適法な調査によるものとはいえず、取り消されるべきである旨主張する。
しかしながら、上記①の主張について、本件における調査手続には、課税処分を取り消すべき違法な点はなく、また、上記②の主張について、請求人の平成20年分の所得税の期限後申告書は、その申告書を提出できる日から5年を経過する日が提出できる期限であると解されるところ、本件申告指導を行った時点において、既に当該期限を経過していたのであるから、本件申告指導により平成20年分の期限後申告を行う権利を制限されたとする請求人の主張はその前提を欠く。したがって、本件決定処分は、通則法第25条に規定する「調査」に基づいて適法に行われたものであり、取り消すべき違法はない。
参照条文等
参考判決・裁決
富山地裁平成19年3月14日判決(税資257号順号10655) 名古屋高裁金沢支部平成19年9月12日判決(税資257号順号10773) 水戸地裁平成21年2月17日判決(税資259号順号11142)
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