裁決事例 平成29年5月29日裁決
催告後6か月以内にされた承認によっても、民法第153条が規定する催告による時効中断効が生じるとした事例( 第二次納税義務の納付告知処分、 不動産の差押処分・ 棄却)
裁決事例集 第107集
ポイント
本事例は、催告後6か月以内にされた承認によっても、民法第153条が規定する催告による時効中断効が生じると解するのが相当であるとしたものである。
要旨
請求人は、滞納者(本件滞納者)の滞納国税(本件滞納国税)に係る債務の承認によって催告による時効中断の効力が生じるとする原処分庁の民法第153条《催告》の解釈は誤っており、本件滞納国税の徴収権の時効は中断していない旨主張する。
しかしながら、民法第153条は、債権者の催告について、債権者が正規の中断事由によって補強することにより時効中断の効力を認めるものであって、正規の中断手続をとるのが遅れることにより時効が完成するのを防ぐ便法として機能することを期待して定められたものと解され、債権者の催告について、債務者の行為による正規の中断事由である承認を、債権者の行為による正規の中断事由と区別する理由はないというべきであるから、催告後6か月以内にされた承認によっても、民法第153条が規定する催告による時効中断効が生じると解すべきである。
これを本件についてみると、本件滞納者の行った承認は、原処分庁が差押予告書(本件差押予告書)の送達によって行った本件滞納国税についての催告後6か月以内にされたものであるから、当該承認によって、本件差押予告書による催告の時効中断の効力が生じたものと認めるのが相当である。
参照条文等
国税通則法第72条第1項、第3項 民法第147条、第153条
参考判決・裁決
大阪高裁平成18年5月30日判決(判タ1229号264頁) 大審院昭和4年6月22日判決(民集8巻597頁) 最高裁昭和43年6月27日第一小法廷判決(民集22巻6号1379頁)
収入金額の一部が計上されていない試算表を作成した行為は、隠ぺい、仮装と評価すべき行為に該当するとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例( 平成25年分の所得税及び復興特別所得税の重加算税の賦課決定処分、 平成25年1月1日から平成25年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の賦課決定処分・ 一部取消し)
裁決事例集 第107集
ポイント
本事例は、一部の業務に係る収入金額を除く一方当該業務に係る必要経費の一部を加えて作成された試算表は、確定申告義務が生じないことの説明資料として作成されたものとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。
要旨
原処分庁は、請求人は、建築設計業務のほか風俗業を営むことによって多額の利益が生じていることを認識しつつ、風俗業を行っていた複数の店舗のうちの一部の店舗に係る業務(本件独自業務)について、その収入金額を除く一方必要経費の一部を加えた試算表(本件試算表)を作成しているところ、本件試算表は、本件独自業務に係る収入金額を除外するともに、本件独自業務以外の業務において損失が生じているという虚偽の内容を記載することにより、所得金額が生じていないという状況を意図的に作出し、確定申告義務がないことの説明資料として作成されたものといえるから、請求人は、本件独自業務に基因する事業所得の金額を隠ぺいして確定申告書を提出しなかったものと認められる旨主張する。
しかしながら、本件試算表は、請求人が顧問契約の締結を検討していた税理士法人(本件税理士法人)によって作成されたものであるところ、請求人は、本件独自業務に係る売上げを記載した手帳の提示などをせず、本件税理士法人に試算表を作成させたと認められるものの、その後原処分調査までの間に、本件税理士法人に対して本件独自業務を行っていることを述べていることや、原処分調査の際、自ら進んで本件試算表を示して確定申告義務がないとの説明をしたこともなかったことなどを考慮すると、本件独自業務に係る収入金額を申告しないという意図を有していたとか、所得金額が生じない状況を意図的に作出したものとは認められず、本件試算表の作成は、請求人による隠ぺい、仮装と評価すべき行為に該当するとは認められない。
参照条文等
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