裁決事例 令和5年2月8日裁決
請求人が不動産の売買取引及び不動産の売買の仲介取引に関し、各取引の存在を把握し当該所得金額等も含め申告すべきことを認識しながら、これを申告しないことを意図し、これらを除外した収支内訳書の下書を作成して、それを提示して税務相談し、その結果に基づき確定申告をしたことなどから、隠蔽又は仮装が認められるとした事例(平成29年分から令和2年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の各賦課決定処分、平成29年1月1日から令和2年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第130集
ポイント
本事例は、請求人が、一部の取引に係る所得金額等を申告すべきことを認識しながら、意図的にこれを除外した収支内訳書の下書を作成して税務相談し、その結果に基づき確定申告をしたことなどの諸事情から、国税通則法第68条第1項及び第2項に規定の事実の隠蔽又は仮装が認められるとして、同条該当性を認めたものである。
要旨
請求人は、主たる業務である不動産賃貸の仲介の収支を管理する業績管理表実績と題する表(本件業績管理表)は、請求人の事業全部に係る帳簿書類ではないことから、同表に不動産の売買取引(本件売買取引)及び不動産の売買仲介取引(本件売買仲介取引)に関する記載がないとしても内容虚偽の帳簿書類の作成に当たらず、これらの取引の申告をしないことを意図したものではないから、国税通則法(通則法)第68条《重加算税》第1項及び第2項に規定する事実の隠蔽又は仮装に当たらない旨、また、これらの取引の申告をしない意図をうかがい得る特段の行動もしていない旨主張する。
しかしながら、本件売買取引に関しては、請求人は、同取引の帳簿書類たる売買計算表を作成して利益を把握しており、同表により算出した本件各売買取引に係る所得金額等も含めて申告すべきであると知りながら、これを申告しないことを意図して、本件業績管理表のみに基づいて、本件売買取引に係る収入金額等を除外した内容虚偽の収支内訳書の下書を作成し、税務署での申告相談に、本件売買取引に係る書類を一切持参せず、対応した職員に同下書を提示して相談した上で、その結果に基づいて、所得金額等を意図的に過少に記載して確定申告をしたと認められるから、通則法第68条各項に規定する隠蔽又は仮装が認められる。また、本件売買仲介取引に関しては、請求人は、仲介手数料収入についての申告の必要性を認識していたと推認できること、本件売買仲介取引に関する収支の記録が存在しないのは、本件売買仲介取引に係る所得金額等を申告する意図がなかったことに起因すると認められること、前記申告相談の際に、対応した職員に対し、本件売買仲介取引に係る所得について何も明らかにしていないこと、調査の当初の言動は、本件売買仲介取引を隠蔽する意図に基づくものと推認できることからすると、当初から申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったと認められ、同各項に規定する隠蔽又は仮装が認められる。
参照条文等
参考判決・裁決
最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)
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