裁決事例 令和5年12月4日裁決
請求人が、工事代金の一部が申告漏れとなったことについて、課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実について、隠匿あるいは故意に脱漏したとまでは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例(令和2年1月1日から令和3年12月31日までの各事業年度の法人税に係る重加算税の賦課決定処分、令和2年1月1日から令和3年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分・全部取消し)
裁決事例集 第133集
ポイント
本事例は、請求人の取締役が、申告漏れとなっていた現金での受領に係る工事代金について、領収証を故意又は過失により発行しなかったか、その控えを故意又は過失により破棄したものと認められるものの、故意に領収証を発行しなかったこと、あるいはその控えを故意に破棄したことなどにより、故意に帳簿に記載しなかったことを裏付ける証拠はないとして、国税通則法第68条第1項に規定する「隠蔽」に該当するとは認められない旨判断したものである。
要旨
原処分庁は、請求人が現金で受領した工事代金(本件工事代金)について、請求人の取締役が請求人に帰属する金員と認識して受領した上で帳簿に記載せず、個人的に費消したと認められ、請求人も修正申告において取締役に対する役員賞与を支出したとして追認していることから、これらの行為は故意であり、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽」に該当する旨主張する。
しかしながら、請求人が領収証の控えが存在しながら帳簿に記載しなかったことをうかがわせる証拠はないことから、本件工事代金が帳簿に記載されていなかったのは、請求人が本件工事代金に係る領収証を故意又は過失により発行しなかったか、その控えを故意又は過失により破棄したものと認められるところ、取締役の申立てからは過失により本件工事代金に係る領収証を発行しなかった事実は認められるものの、故意に領収証を発行しなかったこと、あるいは、領収証の控えを故意に破棄したことなどにより、故意に帳簿に記載しなかったことを裏付ける証拠は見当たらない。また、取締役が本件工事代金を個人的に費消したと取り扱われても仕方ない旨申し立てたことや、請求人が本件工事代金相当額を修正申告で役員賞与の取扱いをしたことは認められるものの、取締役が自らの所持金と混同するなどにより本件工事代金を個人的に費消した可能性を否定できず、請求人に帰属する金員と認識した上で個人的に費消したと認める証拠もない。そうすると、請求人が課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実について、隠匿あるいは故意に脱漏したとまでは認められない。
参照条文等
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