裁決事例 令和5年12月7日裁決

裁決事例 令和5年12月7日裁決

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令和5年12月7日裁決

国外財産又は財産債務に係る過少申告加算税等の特例による加重措置の対象となる「重要なものの記載が不十分であると認められる場合」は、国外財産調書又は財産債務調書の記載内容により判断すべきとした事例(令和2年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の賦課決定処分、令和元年分から令和3年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第133集

ポイント

 本事例は、確定申告書の内容等から国外財産調書又は財産債務調書に記載すべき財産が特定できる場合であっても、納税者が提出した国外財産調書又は財産債務調書の記載内容から当該財産の特定が困難なときは、国外財産又は財産債務に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例による加重措置が適用されるとしたものである。

要旨

 請求人は、請求人がした修正申告(本件修正申告)の基因となった財産(本件財産)から生ずる所得について確定申告をしていたことや、原処分庁所属の調査担当職員から本件財産について確認があったことなどからすると、本件財産は既に特定済みであるため、本件修正申告による過少申告加算税は、令和4年法律第4号による改正前の内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国送法)第6条《国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第3項又は第6条の3《財産債務に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項の規定(加算税加重措置)により加算税の額が加算されることとなる国外財産調書又は財産債務調書に記載すべき事項のうち重要なものの記載が不十分である場合には該当しない旨主張する。
 しかしながら、加算税加重措置の適用の可否の判断は、国外財産調書又は財産債務調書の記載内容から行うべきであるところ、請求人が提出したこれらの調書には本件財産に係る記載事項に誤りや記載漏れがあり、その記載内容からは本件財産の特定が困難であると認められる。したがって、当該記載内容は、国送法第6条第3項第2号又は第6条の3第2項第2号に規定する「記載すべき事項のうち重要なものの記載が不十分である」ものと認められるから、修正申告に係る過少申告加算税について加算税加重措置が適用される。

参照条文等

国税通則法第65条第1項 内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(令和4年法律第4号による改正前のもの)第6条、第6条の3 内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律施行規則(令和4年財務省令第27号による改正前のもの)第12条、第15条、別表第一、別表第三 内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国外財産調書及び財産債務調書関係)の取扱いについて(法令解釈通達)6-3、6の3-3

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令和5年12月7日裁決

請求人がした修正申告書の提出は、通則法第65条第5項(令和4年法律第4号による改正前のもの)の「その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合において、その申告に係る国税についての調査通知がある前に行われたもの」に該当しないとした事例(平成29年分から令和2年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第133集

ポイント

 本事例は、いわゆる更正の予知の判断枠組みにつき「税務職員がその申告に係る国税についての調査に着手してその申告が不適正であることを発見するに足るかあるいはその端緒となる資料を発見し、これによりその後の調査が進行し先の申告が不適正で申告漏れの存することが発覚し更正に至るであろうということが客観的に相当程度の確実性をもって認められる段階に達した後に、納税者がやがて更正に至るべきことを認識した上で修正申告を決意し修正申告書を提出したものでない」か否かにより判断するとした上で、その該当性については、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、修正申告に至る経緯、修正申告と調査の内容との関連性等の事情を総合考慮して判断すべきとしたものである。

要旨

 請求人は、原処分庁所属の調査担当職員(本件調査担当者)が、請求人に対して、調査又は行政指導の行為のいずれの事務として行うかを明示していないから、国税通則法第65条《過少申告加算税》第5項に規定する「調査」があったとはいえないため、修正申告書(本件修正申告書)の提出が、同項に規定する「その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合」に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件調査担当者は、請求人が勤務する法人の親会社から受けたインセンティブ報酬(本件報酬)が記載された資料の内容と請求人の確定申告書の記載内容とを比較検討することにより、本件報酬に係る給与所得の申告金額が計上されていないことをあらかじめ確認した上で、請求人に本件報酬を確認する旨の電話連絡(本件電話)をしたと推認され、これらの行為は本件調査担当者の課税標準等又は税額等を認定するに至る一連の判断過程であると認められるから、同項に規定する「調査」があった場合に該当すると認められる。そして、調査の内容・進捗状況、調査の内容・進捗状況に関する請求人の認識、修正申告に至る経緯、修正申告と調査の内容との関連性に係る各事情からすれば、修正申告の時点において、本件調査担当者による調査は、その後の調査が進行し確定申告が本件報酬を計上しない不適正なものであることが発覚し更正に至るであろうということが客観的に相当程度の確実性をもって認められる段階に達していたというべきであり、また、請求人は、本件電話を受けてから税理士に依頼し、修正申告していることから、やがて更正に至るべきことを認識した上で修正申告を決意し修正申告書を提出したものと認められる。したがって、本件修正申告書の提出は、「調査があつたことにより更正があるべきことを予知してされたものではない場合」に該当しない。

参照条文等

国税通則法第65条第5項(令和4年法律第4号による改正前のもの)

参考判決・裁決

東京地裁平成24年9月25日判決(判時2181号77頁)

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