裁決事例 令和6年7月3日裁決
外国法人から支払われる国外給与が外貨建て円払い取引に該当せず、円換算を要しないと判断した事例( 令和元年分から令和3年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分、 令和2年分から令和3年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の各賦課決定処分・ 一部取消し、 棄却)
裁決事例集 第136集
ポイント
本事例は、雇用契約の定めに従って国外給与を日本円で支払うために作成された所得明細に基づいて日本円で送金された給与につき、当該所得明細に記載された支給総額を給与所得の収入金額とすることが相当であって、当該所得明細は日本円で表示されているから、当該国外給与の支給は外貨建て円払い取引には該当せず、その収入金額の算定に当たって円換算は要しないと判断したものである。
要旨
原処分庁は、外国法人が請求人に交付した税額計算書(本件計算書)には、請求人の給与(本件国外給与)が外国通貨で記載されており、本件国外給与が請求人の口座に日本円で入金されていることから、いわゆる外貨建て円払い取引に該当するとして、本件国外給与に係る給与所得の収入金額は、所得税基本通達57の3-2《外貨建取引の円換算》の注5の定めに基づき、外貨建取引に準じた方法で本件計算書の総支給額を円換算する必要がある旨主張する。
しかしながら、本件計算書は、外国法人が請求人から源泉徴収した税金を外国の国税当局に納付する際に使用する書類であって、外国法人は、請求人との雇用契約の定めに従い、請求人に本件国外給与を日本円で支払うため、日本円で算定した所得明細(本件所得明細)を請求人の給与明細として作成し、本件所得明細に基づき、本件国外給与を請求人の口座に日本円で送金していることから、本件国外給与の支給は外貨建て円払い取引には該当せず、本件国外給与の各月の収入金額は、日本円で算定された本件所得明細に記載の総支給額であることから、本件国外給与に係る給与所得の収入金額を算定するに当たり、円換算する必要はない。
参照条文等
請求人が訴訟上の和解に基づき受領した解決金は、遺留分減殺請求に基づく価額弁償金であると断定することはできないため、更正の特則である相続税法第35条第3項第1号の要件は満たさないと判断した事例(平成28年6月相続開始に係る相続税の更正処分・全部取消し)
裁決事例集 第136集
ポイント
本事例は、請求人が、訴訟上の和解に基づき受領した解決金は、その全額が遺留分減殺請求に基づく価額弁償金であると認めるに足りる客観的な証拠はなく、価額弁償金以外の法的性質を有する金員が含まれていることを否定できず、遺留分減殺請求に基づく価額弁償金に該当すると断定することはできないことから、更正の特則である相続税法第35条《更正及び決定の特則》第3項第1号の要件は満たさないと判断したものである。
要旨
原処分庁は、請求人が被相続人が有する一切の財産を請求人の兄に相続させる旨の公正証書遺言の無効を求める訴えを提起したところ、訴訟上の和解により請求人の兄から請求人に対して支払われることとなった解決金(本件解決金)について、①当該訴訟における双方の代理人弁護士の認識、②当該訴訟において請求人が予備的主張として遺留分減殺請求に基づく価額弁償を請求していたこと及び③当該和解後に請求人の兄が本件解決金の全額が請求人の個別的遺留分であることを前提として行動していたことからすると、本件解決金は遺留分減殺請求に基づく価額弁償金であって、その全額が請求人の相続税の課税価格に算入される旨主張する。
しかしながら、①和解調書には、本件解決金が遺留分減殺請求に基づく価額弁償金であることを示す記載はないこと、②当該訴訟における双方の代理人弁護士のいずれの申述内容も、本件解決金の全額が遺留分減殺請求に基づく価額弁償金であるとするものではなく、担当裁判官の心証も不明であること、③当該訴訟においては、主位的には公正証書遺言の無効を主張しているのであって、予備的な主張を根拠にして本件解決金の性質を判断することはできないこと及び④請求人の兄も、和解当時、本件解決金には遅延利息が含まれていると認識していたと考えられること等からすると、本件解決金は、その全額が遺留分減殺請求に基づく価額弁償金であると認めるに足りる客観的な証拠はなく、価額弁償金以外の法的性質を有する金が含まれていたことを否定できない。したがって、原処分庁の主張には理由がない。
参照条文等
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