裁決事例 令和7年7月25日裁決

裁決事例 令和7年7月25日裁決

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令和7年7月25日裁決

定年年齢を超えて勤務していた医師に支払った一時金は、退職を原因として給付されたものと認められるから、退職所得に該当するとした事例(令和4年3月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分並びに令和4年12月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の納税告知処分・全部取消し)

裁決事例集 第140集

ポイント

 本事例は、病院等を運営する請求人が、雇用する医師の定年を定める旨の就業規則の改正を行い、当該改正時、既に定年に達していた医師らに対して退職金として支払った一時金について、所得税法第30条第1項に規定する退職手当等に該当するとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人が運営する病院等で勤務する医師ら(本件医師ら)に対し退職金の名目で支払った金員(本件一時金)について、請求人と本件医師らの間には、退職及び再雇用という実質がなく、従来の勤務関係がそのまま継続していたことが推測され、本件医師らは、再雇用とされた前後で賃金が同水準であり、その役職も変動がなかったと推認されること等から、勤務関係が終了したとも、勤務関係の性質、内容及び労働条件等において重大な変動があって、形式的には継続している勤務関係が実質的には単なる従前の勤務関係の延長とはみられないなどの特別の事実関係があったとも認められず、また、本件一時金が合理的な理由による退職金支給制度の実質的改変により精算の必要があって支給されたものとも認められないから、本件一時金は所得税法第30条《退職所得》第1項に規定する退職手当等に該当しない旨主張する。
 しかしながら、請求人の理事を兼務する医師(本件兼務医師)を除く本件医師らについては、新たな雇用契約(本件各雇用契約)に至る経緯及び内容を踏まえると、雇用形態の法的性質は大きく異なっており、請求人を取り巻く状況などを踏まえると、本件各雇用契約の前後で業務内容及び賃金等の変動がないことをもって従来の勤務関係が終了していないとみるのは相当でなく、請求人の本件各雇用契約締結の目的も合理的な理由を有するから、従来の勤務関係の終了があったと認められる。また、本件兼務医師については、理事の身分に変更がないから請求人における勤務関係が終了したとはいえないが、使用人としては他の医師らと同様に従来の勤務関係が終了したと認められ、本件兼務医師に係る本件一時金は、理事としての職務に対するものではないこと等から、使用人としての関係においては、実質的にみて所得税法第30条第1項に規定する「退職により一時に受ける給与」というための各要件の要求するところに適合し、課税上、これと同一に取り扱うことが相当であり、同項に規定する「これらの性質を有する給与」に該当すると認められる。したがって、本件一時金は、所得税法第30条第1項に規定する退職手当等に該当する。

参照条文等

所得税法第30条第1項

参考判決・裁決

最高裁昭和58年9月9日第二小法廷判決(民集37巻7号962頁) 最高裁昭和58年12月6日第三小法廷判決(集民140号589頁)

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